JP3945949B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸点の高い冷媒と沸点の低い冷媒とからなる非共沸混合冷媒を用いた空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ヒートポンプ式空気調和装置は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧機構、室内熱交換器及びアキュムレータが順次接続されて、ループ状の冷媒回路を構成する。この空気調和装置では、四方弁を動作させることによって、冷房運転時に上述の順序で冷媒が循環されて、室内熱交換器が蒸発器となり、暖房運転時に上述と逆の順序で冷媒が流れて、室内熱交換器が凝縮器となる。
【0003】
ところで、近年、オゾン層の破壊防止の観点から、空気調和装置の冷媒として、沸点の高い冷媒と沸点の低い冷媒とを混合したR407C等の非共沸混合冷媒が採用される傾向にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような非共沸混合冷媒を用いた場合には、R22等の単一冷媒の場合に比べて、蒸発器内で冷媒が蒸発しにくく、従って、この蒸発器内での冷媒圧力が低下してしまう。このため、空気調和装置の暖房運転時に、JISの暖房運転標準条件においても、蒸発器として機能する室外熱交換器に着霜が生じ易くなる。
【0005】
暖房運転時に室外熱交換器に着霜が発生し易くなると、除霜のための暖房運転停止時間が長くなって、暖房能力の低下を招くことになる。
【0006】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、非共沸混合冷媒を採用しても、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を抑制して、暖房能力を向上させることができる空気調和装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧機構、室内熱交換器及びアキュムレータが順次接続されてループ状の冷媒回路を構成し、この冷媒回路内に非共沸混合冷媒を充填させて、上記四方弁の動作によって冷房運転時と暖房運転時とで上記非共沸混合冷媒の流れを反転させるようにした空気調和装置において、暖房運転時に、上記非共沸混合冷媒のうち、沸点の高い冷媒を上記アキュムレータ内に貯留し、沸点の低い冷媒を上記冷媒回路内で循環させるよう構成され、上記アキュムレータへの沸点の高い冷媒の貯留は、暖房運転の開始時には室温に基づき、上記運転開始から所定時間経過後には目標吐出冷媒温度に基づき、減圧機構としての膨張弁の弁開度を設定することにより実施されることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1に記載の発明には、次の作用がある。
【0010】
暖房運転時に、非共沸混合冷媒のうち、沸点の高い冷媒がアキュムレータ内に貯留され、沸点の低い冷媒が冷媒回路内を循環することから、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器内で冷媒が蒸発し易くなり、従って、この室外熱交換器内での冷媒圧力が上昇するので、この室外熱交換器において着霜が抑制される。このため、暖房運転時間に対する除霜運転時間の割合が小さくなる。また、暖房運転時に沸点の低い冷媒が冷媒回路内を循環することから、凝縮器として機能する室内熱交換器内での冷媒圧力が上昇して、この室内熱交換器による暖房能力が向上する。これらの結果、空気調和装置全体として、暖房運転時における暖房能力を向上させることができる。
【0011】
また、暖房運転の際に、アキュムレータ内に沸点の高い冷媒を積極的に貯留させることから、冷媒回路において、アキュムレータへの冷媒貯留を回避するために設置されるレシーバタンクが不要となり、併せて、このレシーバタンクの設置により必要とされた室外熱交換器近傍の減圧機構も廃止できる。これらの結果、冷媒回路を簡素化でき、コストを低減できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る空気調和装置の一実施の形態における冷媒回路を示す回路図である。
【0014】
この図1に示すように、ヒートポンプ式空気調和装置10は、室外機11、室内機12及び制御装置13を有してなり、室外機11の室外冷媒配管14と室内機12の室内冷媒配管15とが連結されている。
【0015】
室外機11は室外に設置され、室外冷媒配管14に圧縮機16が配設されるとともに、この圧縮機16の吸込側にアキュムレータ17が、吐出側に四方弁18がそれぞれ配設され、この四方弁18側に室外熱交換器19が配設されて構成される。室外熱交換器19には、この室外熱交換器19へ向かって送風する室外ファン20が隣接して配置されている。
【0016】
一方、室内機12は室内に設置され、室内冷媒配管15に室内熱交換器21が配設されるとともに、室内冷媒配管15において室内熱交換器21の近傍に、減圧機構としての膨張弁22が配設されて構成される。上記室内熱交換器21には、この室内熱交換器21へ送風する室内ファン23が隣接して配置されている。
【0017】
室外冷媒配管14と室内冷媒配管15とが接続されることにより、アキュムレータ17、圧縮機16、四方弁18、室外熱交換器19、膨張弁22及び室内熱交換器21が順次接続され、この室内熱交換器21に四方弁18を介してアキュムレータ17が接続されて、空気調和装置10はループ状の冷媒回路9を構成する。
【0018】
また、上記制御装置13は、室外機11及び室内機12の運転を制御し、具体的には、室外機11の圧縮機16、四方弁18及び室外ファン20、並びに室内機12の膨張弁22及び室内ファン23をそれぞれ制御する。
【0019】
制御装置13により四方弁18が切り替えられることにより、空気調和装置10が冷房運転又は暖房運転に設定される。つまり、制御装置13が四方弁18を冷房側に切り換えたときには、冷媒が実線矢印の如く流れ、室外熱交換器19が凝縮器に、室内熱交換器21が蒸発器になって冷房運転状態となり、室内熱交換器21が室内を冷房する。また、制御装置13が四方弁18を暖房側に切り換えたときには、冷媒が破線矢印の如く流れ、室内熱交換器21が凝縮器に、室外熱交換器19が蒸発器になって暖房運転状態となり、室内熱交換器21が室内を暖房する。
【0020】
又、制御装置13は、冷房運転時及び暖房運転時に、膨張弁22の弁開度、並びに室外ファン20及び室内ファン23の回転数を空調負荷に応じて制御する。更に、制御装置13は、暖房運転時においては、膨張弁22の開度を後述のごとく調節して吐出冷媒温度制御を実行する。
【0021】
ここで、上記冷媒は、沸点の異なる複数の冷媒が混合されて構成された非共沸混合冷媒である。この非共沸混合冷媒としての例えばR407Cは、R134aを52Wt%、R125を25Wt%、R32を23Wt%で混同した三種混合冷媒である。これらの各冷媒の沸点は、R134aが−26℃、R125が−48℃、R32が−52℃である。従って、R125及びR32は、比較的沸点が低いので蒸発し易く、R134aは沸点が高いので蒸発しにくい。
【0022】
上記制御装置13は、暖房運転時に、次に述べる吐出冷媒温度制御を実行して、上述の非共沸混合冷媒のうち、沸点の高い冷媒(R134a)をアキュムレータ17内に貯留させ、沸点の低い冷媒(R125及びR32)を冷媒回路9内で循環させて、この冷媒回路9内を循環する冷媒の組成を変化させる。
【0023】
この吐出冷媒温度制御を実行する前提として、制御装置13には、室温センサ24により検出された、室内熱交換器21への吸込空気温度(つまり室温)が入力される。また、制御装置13には、吐出冷媒温度センサ25にて検出された、圧縮機16からの吐出冷媒温度(つまり実吐出冷媒温度)が入力される。更に、室外熱交換器19における入口と出口の中間位置を流れる冷媒の温度(つまり室外熱交換器冷媒温度)が室外熱交換器温度センサ26にて検出され、この室外熱交換器冷媒温度が制御装置13に入力される。また、室内熱交換器21における入口と出口の中間位置を流れる冷媒の温度(つまり室内熱交換器冷媒温度)が室内熱交換器温度センサ27にて検出され、この室内熱交換器冷媒温度が制御装置13に入力される。
【0024】
制御装置13は、暖房運転時において吐出冷媒温度制御として、図2に示すように、まず暖房運転開始後の数分間、室温センサ24を用いて室温を検出し(S1)、膨張弁22の弁開度を、室温センサ24にて検出された室温により決定される固定開度に設定する(S2)。
【0025】
この固定開度は、非共沸混合冷媒としてのR407Cのうち、沸点の高いR134aをアキュムレータ17内に貯留させるように決定された開度である。この結果、沸点が高く、蒸発しにくい冷媒(R134a)がアキュムレータ17内に貯留され、沸点が低く、蒸発し易い冷媒(R125及びR32)が冷媒回路9内を循環することになり、冷媒回路9内を循環する冷媒の組成が変化する。
【0026】
制御装置13に内蔵された運転タイマ(不図示)が、暖房運転開始後の上記数分間を検出すると(S3)、制御装置13は、次に、吐出冷媒温度センサ25にて検出された実吐出冷媒温度と目標吐出冷媒温度とを比較する(S4)。
【0027】
この目標吐出冷媒温度は、室外熱交換器温度センサ26、室内熱交換器温度センサ27にてそれぞれ検出された室外熱交換器冷媒温度、室内熱交換器冷媒温度をパラメータとした算出式により決定されるものである。そして、この目標吐出冷媒温度は、アキュムレータ17内にR134aが継続して貯留されるように、例えば圧縮機16の吸込過熱度SHを−1degとするように設定される。
【0028】
次に、制御装置13は、ステップS4において、実吐出冷媒温度が目標吐出冷媒温度よりも低い場合には、膨張弁22の弁開度を減少させて、冷媒回路9内を循環する冷媒量を減少させ(S5)、実吐出冷媒温度が目標吐出冷媒温度よりも高い場合には、膨張弁22の弁開度を増大させて、冷媒回路9内を流れる冷媒量を増加させる(S6)。これにより、アキュムレータ17内にR134aが貯留され、冷媒回路9内にはR125及びR32が循環する。
【0029】
上述のような吐出冷媒温度制御により、冷媒回路9内を循環する冷媒は、R125及びR32となって組成が変化しているので、R134aを含んだR407C全体の場合、つまり組成変化前の場合に比べ、蒸発器として機能する室外熱交換器19において冷媒が蒸発しやすくなり、従って、この室外熱交換器19内での冷媒圧力が上昇して、この室外熱交換器19における着霜が抑制される。と同時に、上述の組成変化後の冷媒によって、凝縮器として機能する室内熱交換器21内における冷媒圧力も組成変化前に比べて上昇し、この室内熱交換器21による室内の暖房能力が向上する。
【0030】
従って、上記実施の形態によれば、次の効果▲1▼及び▲2▼を奏する。
【0031】
▲1▼暖房運転時に、非共沸混合冷媒(R407C)のうち、沸点の高い冷媒(R134a)がアキュムレータ17内に貯留され、沸点の低い冷媒(R125及びR32)が冷媒回路9内を循環することから、暖房運転時に蒸発器として機能する室外熱交換器19内で冷媒が蒸発し易くなり、従って、この室外熱交換器19内での冷媒圧力が上昇するので、この室外熱交換器19において着霜が抑制される。このため、暖房運転時間に対する除霜運転時間の割合が小さくなる。
【0032】
また、暖房運転時に沸点の低い冷媒が冷媒回路9内を循環することから、凝縮器として機能する室内熱交換器21内での冷媒圧力が上昇して、この室内熱交換器21による暖房能力が向上する。
【0033】
これらの結果、空気調和装置10全体として、暖房運転時における暖房運転能力を向上させることができる。
【0034】
▲2▼暖房運転の際に、アキュムレータ17内に沸点の高い冷媒(R134a)を積極的に貯留させることから、冷媒回路9において、アキュムレータ17への冷媒貯留を回避するために設置されるレシーバタンクが不要となり、併せて、このレシーバタンクの設置により必要とされた室外熱交換器19近傍の減圧機構、例えば膨張弁も廃止できる。これらの結果、冷媒回路9を簡素化でき、空気調和装置10のコストを低減できる。
【0035】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
例えば、上記実施の形態では、非共沸混合冷媒としてR407Cの場合を述べたが、R410Aなど他の種類の非共沸混合冷媒にも本発明を適用できる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る空気調和装置によれば、冷媒回路内に非共沸混合冷媒が循環する空気調和装置において、暖房運転時に、非共沸混合冷媒のうち、沸点の高い冷媒をアキュムレータ内に貯留し、沸点の低い冷媒を冷媒回路内で循環させるよう構成されたことから、非共沸混合冷媒を採用しても、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を抑制して暖房能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気調和装置の一実施の形態における冷媒回路を示す回路図である。
【図2】図1の空気調和装置における暖房運転時の吐出冷媒温度制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
冷媒回路9
空気調和装置10
制御装置13
圧縮機16
アキュムレータ17
室外熱交換器19
室内熱交換器21
膨張弁22(減圧機構)
Claims (1)
- 圧縮機、四方弁、室外熱交換器、減圧機構、室内熱交換器及びアキュムレータが順次接続されてループ状の冷媒回路を構成し、
この冷媒回路内に非共沸混合冷媒を充填させて、上記四方弁の動作によって冷房運転時と暖房運転時とで上記非共沸混合冷媒の流れを反転させるようにした空気調和装置において、
暖房運転時に、上記非共沸混合冷媒のうち、沸点の高い冷媒を上記アキュムレータ内に貯留し、沸点の低い冷媒を上記冷媒回路内で循環させるよう構成され、
上記アキュムレータへの沸点の高い冷媒の貯留は、暖房運転の開始時には室温に基づき、上記運転開始から所定時間経過後には目標吐出冷媒温度に基づき、減圧機構としての膨張弁の弁開度を設定することにより実施されること、を特徴とする空気調和装置。
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