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JP3940572B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置 Download PDF

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JP3940572B2
JP3940572B2 JP2001266739A JP2001266739A JP3940572B2 JP 3940572 B2 JP3940572 B2 JP 3940572B2 JP 2001266739 A JP2001266739 A JP 2001266739A JP 2001266739 A JP2001266739 A JP 2001266739A JP 3940572 B2 JP3940572 B2 JP 3940572B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気弁のバルブリフト特性を連続的に変更可能なバルブリフト特性変更機構を備えた内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例として、特開2000−87712号公報には、駆動部としての油圧シリンダにより制御軸を回転駆動することにより、吸気弁のバルブリフト特性を連続的に変更可能なバルブリフト特性変更機構が開示されている。制御軸のコントロールプレートには径方向に延びる切割状溝が形成され、この切割状溝に油圧シリンダのピンがスライド可能に係合している。従って、制御軸の角度に応じてピンが切割状溝内を移動することにより、油圧シリンダから制御軸への駆動力の増幅率が変化する。そして、機関の常用回転域での応答性を向上するために、コントロールプレートと油圧シリンダとが常用回転域で直交するように連携されている。つまり、吸気弁の作動角が比較的小さい常用回転域で、駆動部から制御軸への駆動力の増幅率(減速比)が小さくなるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸気弁の作動角やバルブリフト等のバルブリフト特性の変更により吸入空気量の調整を行う場合、特にアイドル域や極低負荷域に対応する小バルブリフト特性のときに、制御軸をきめ細かく高精度に調整することが要求される。しかしながら、上記従来例のように、小バルブリフト特性に対応する機関常用域で、駆動力の増幅率が小さくなっていると、駆動部の変化量に対する制御軸の回転角度が大きくなり、制御軸の回転角度の分解能が低下するため、制御軸の微調整が困難となる。このため、アイドル域等における吸入空気量のきめ細かな調整が困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の内燃機関の可変動弁装置は、吸気弁の作動角及びバルブリフト量の少なくとも一方に相当するバルブリフト特性を連続的に変更可能なバルブリフト特性変更機構と、上記バルブリフト特性の変更時に、上記バルブリフト特性変更機構の制御軸を回転駆動する駆動部と、を有している。そして、上記駆動部が、駆動源と、この駆動源から制御軸へ駆動力を増幅して伝達する伝達機構と、所定の小バルブリフト特性の設定状態のときに、上記駆動源から制御軸への駆動力の増幅率が大きくなるように、上記制御軸の角度に応じて上記増幅率を変化させる増幅率変更機構と、を有している。
【0005】
上記の小バルブリフト特性の設定状態とは、典型的にはアイドル域や極低負荷域で用いられる設定状態に対応しており、例えば作動角及び/又はバルブリフト量が所定値以下の領域である。このような小バルブリフト特性時の増幅率を相対的に大きくすることにより、制御軸の分解能が局所的に向上するとともに、駆動源及び伝達機構を実質的に大きくして、制御軸が動弁系から受ける反力等によって不用意に揺れることを抑制することができる。
【0006】
特に、上記のバルブリフト特性変更機構により吸入空気量を調整する場合、アイドル域等の極低負荷域に対応する小バルブリフト特性時に、きめ細かな制御軸の調整が要求されるため、本発明が特に有効である。つまり、上記の小バルブリフト特性の設定状態は、吸入空気量が小さく、この吸入空気量の正確な微調整が要求される状態と言い換えることもできる。
【0007】
好ましくは、制御軸の制御精度を向上するために、上記制御軸の角度を検知する第1のセンサと、上記駆動源又は伝達機構の変化量を検知する第2のセンサと、を有し、これら第1のセンサ及び第2のセンサの少なくとも一方のセンサ出力に基づいて、上記制御軸の角度をフィードバック制御する。
【0008】
この場合、上記小バルブリフト特性のときには、上記第2のセンサのセンサ出力に基づいてフィードバック制御が行われるように構成することにより、センサ出力の分解能が向上し、制御軸角度をより正確にフィードバック補正することができる。
【0009】
上記伝達機構は、典型的には、上記制御軸の直交方向に延びるねじ軸及びこのねじ軸にスライド可能に噛合するナットを有するボールねじ部と、上記駆動部の出力軸からねじ軸の一端へ回転動力を伝達する回転動力伝達部と、一端が制御軸に固定されるとともに他端がナットに回転可能に連結される制御プレートと、により構成される。このように、ボールねじ部等を利用して上記の伝達機構を機械的かつ簡素に構成できる。また、上記増幅率変更機構が、上記制御プレート及びナットの変位を許容するように、上記ねじ軸を出力軸まわりに回転可能に支持する支持部を有している。このように、支持部を利用して増幅率変更機構を機械的かつ簡素に構成できる。
【0010】
上記バルブリフト特性変更機構の好ましい一例としては、クランクシャフトと連動して回転する駆動軸に揺動可能に支持される揺動カムと、上記駆動軸に偏心して設けられる駆動偏心部と、この駆動偏心部に回転可能に支持される第1のリンクと、上記制御軸に偏心して設けられる制御偏心部と、この制御偏心部に回転可能に支持されるとともに、一端で上記第1のリンクと連結するロッカーアームと、このロッカーアームの他端と上記揺動カムとを連携する第2のリンクと、を有している。このバルブリフト特性変更機構によれば、吸気弁の作動角とバルブリフト量の双方を連続的に変更できる。
【0011】
より好ましくは、上記所定の小バルブリフト特性時において、制御軸の角度に対するバルブリフト特性の変化量を小さくして分解能を向上するために、制御偏心部の中心を、ほぼ駆動軸の回転中心と制御軸の回転中心を結んだ直線上に配置する。
【0012】
また、吸気弁の作動角の中心位相を変更可能な位相変更機構を併用しても良い。この場合、吸気弁の開時期と閉時期を独立して調整することが可能となる。従って、例えばバルブリフト量が大きいときには主に吸気弁の閉時期をパラメータとして吸入空気量を容易かつ正確に調整し、バルブリフト量が小さい領域では主に作動角をパラメータとして吸入空気量を容易かつ正確に調整することが可能となる。
【0013】
典型的には、機関のアイドル制御範囲の中で、吸気弁の作動角の変化に対する吸入空気量の変化が最も大きくなるときに、上記増幅率が最も高くなるように設定されている。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、小バルブリフト特性時の増幅率を大きくすることにより、この小バルブリフト特性時に、制御軸の分解能を向上するとともに、制御軸が動弁系から受ける反力等によって不用意に揺れることを抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図3は、吸気弁12の作動角及びバルブリフト量の双方のバルブリフト特性を変更可能なバルブリフト特性変更機構11を示しており、図4及び図5は、このバルブリフト特性変更機構11の制御軸16を所定の角度範囲内で回転駆動する駆動部30を示している。
【0016】
先ず図1〜3を参照して、バルブリフト特性変更機構11について説明する。シリンダヘッド10には気筒列方向に延びる駆動軸13及び制御軸16が軸受ブラケット14を介して回転可能に支持されている。駆動軸13は、図外のクランクシャフトから回転動力が伝達され、このクランクシャフトに連動して軸回りに回転する。この駆動軸13には、吸気弁12のバルブリフタ19を押し下げる揺動カム20が各気筒毎に回転可能に外嵌・支持されている。この揺動カム20は、図1及び図3に示すように、各気筒の一対のバルブリフタ19にそれぞれ当接する一対のカム本体20aを、軸受ブラケット14により回転可能に支持される円筒状のジャーナル部20bで一体的に接続した構造となっている。
【0017】
上記の駆動軸13には、円筒状又は円柱状の駆動偏心軸部(駆動偏心部)15が固定又は一体形成されている。各駆動偏心軸部15の中心Xは駆動軸13の回転中心Yに対して偏心しており、駆動偏心軸部15の外周には、リング状の第1リンク25が回転可能に外嵌している。つまり、第1リンク25は駆動偏心軸部15の中心Xまわりに回転可能に支持されている。また、制御軸16には、円筒状又は円柱状の制御偏心軸部(制御偏心部)17が各気筒毎に固定又は一体形成されており、制御偏心軸部17の中心P1は制御軸16の回転中心P2に対して偏心している。制御偏心軸部17の外周には、ロッカーアーム18の中央部が回転可能に外嵌している。つまり、ロッカーアーム18は制御偏心軸部17の中心P1まわりに回転可能に支持されている。ロッカーアーム18の一端は第1連結ピン27を介して第1リンク25の先端に回転可能に連結されており、ロッカーアーム18の他端は棒状の第2リンク26の一端に第2連結ピン28を介して回転可能に連結されている。第2リンク26の他端は、第3連結ピン29を介して揺動カム20の一方のカム本体20aの先端に連結されている。
【0018】
このような構成により、クランクシャフトの回転に連動して駆動軸13が回転すると、第1リンク25の回転中心となる駆動偏心軸部15の中心Xが駆動軸13の回転中心Yに対して回転し、この第1リンク25,ロッカーアーム18及び第2リンク26を介して揺動カム20が所定の角度範囲内で揺動する。この揺動する揺動カム20がバルブリフタ19に当接してこれを押圧することにより、このバルブリフタ19を介して吸気弁12が押し下げられて、吸気弁12が開閉作動する。
【0019】
また、後述する駆動部30により制御軸16の角度を変化させると、ロッカーアーム18の揺動中心となる制御偏心軸部17の中心P1が制御軸16の回転中心P2に対して回転し、ロッカーアーム18及びリンク25,26の姿勢が変化する。これにより、揺動カム20の揺動特性が変化して、吸気弁12のバルブリフト特性が変化する。具体的には、駆動軸13の回転位相に対する吸気弁12の作動角の位相が略一定のままで、吸気弁12の作動角及びバルブリフト量の双方が連続的に変化する。
【0020】
このような構成のバルブリフト特性変更機構11は、吸気弁12のバルブリフタ19を押圧する揺動カム20が駆動軸13と同軸上に配置されているため、揺動カム20と駆動軸13との軸ズレ等を生じるおそれがなく、制御精度に優れていると共に、ロッカーアーム18やリンク25,26を駆動軸13の周囲に集約させて、機構のコンパクト化を図ることができる。また、駆動偏心軸部15と第1リンク25との軸受部や、制御偏心軸部17とロッカーアーム18との軸受部のように、部材間の連結部の多くが面接触となっているため、潤滑が行いやすく、耐久性,信頼性にも優れている。更に、固定カム及びカムシャフトを用いた一般的な既存の内燃機関に適用する場合にも、これら固定カム及びカムシャフトの位置に揺動カム20及び駆動軸13を配置すれば良く、レイアウトの変更が非常に少なくて済むため、その適用が容易である。そして、吸気弁12の作動角及びバルブリフト量の双方を機関運転状態に応じて任意の大きさに連続的に調整できる。
【0021】
次に、図4及び図5を参照して、制御軸16の駆動部30について説明する。この駆動部30は、駆動源としてモータ31と、このモータ31から制御軸16へ駆動力を増幅して伝達する伝達機構32と、を有している。モータ31は、シリンダヘッド10(図2,図3)側に固定されたハウジング33に固定されており、このハウジング33内に、軸回りに回転するモータ31の出力軸34が延在している。
【0022】
伝達機構32は、制御軸16の直交方向に延びるねじ軸36及びこのねじ軸36の外周にスライド可能に噛合するナット37を有するボールねじ部35と、互いに直交する出力軸34からねじ軸36へ回転動力を伝達する回転動力伝達部としての第1傘歯車38及び第2傘歯車39と、ねじ軸36に沿うナット37の直進運動を回転運動に変換して制御軸16へ伝達する制御プレート40と、を有している。第1傘歯車38は出力軸34の先端に固定され、第2傘歯車39はねじ軸36の一端に固定され、両傘歯車38,39は互いに噛合している。制御プレート40の一端は制御軸16に固定され、他端はナット37に回転可能に連結されている。ねじ軸36は、支持部としての支持ブラケット41を介して出力軸34まわりに回転可能に支持されている。すなわち、支持ブラケット41が第1ベアリング42を介して出力軸34に回転可能に支持されており、この支持ブラケット41にねじ軸36の一端が第2ベアリング43を介して回転可能に支持されている。
【0023】
上記の構成により、図外のエンジン制御部により機関運転状態に応じてモータ31の出力軸34が軸回りに回転駆動されると、この出力軸34に直交するねじ軸36が傘歯車38,39を介して回転し、このねじ軸36に噛合するナット37がねじ軸36に沿ってスライドし、このナット37に連結する制御プレート40が揺動する。このように、伝達機構32を構成する傘歯車38,39,ボールねじ部35及び制御プレート40により、モータ31の出力軸34から制御軸16へ回転動力が増幅して伝達される。このとき、制御プレート40の制御軸16まわりの揺動変位やナット37のスライド変位を許容するように、ねじ軸36が出力軸34まわりに回転する。これにより、バルブリフト特性変更機構11の制御軸16が回転して、吸気弁の作動角及びバルブリフト量が変更される。
【0024】
このようなバルブリフト特性変更機構11により吸気弁の作動角やバルブリフト量のようなバルブリフト特性を適切に制御することにより、従来では主としてスロットル弁により行なっていた吸入空気量の調整を、このバルブリフト特性変更機構11で行うことも可能となる。ここで、作動角の変化率は、作動角が小さく吸入空気量が少ない領域で大きい傾向にある。このような吸入空気量が小さい領域は、機関運転状態で考えるとアイドル状態や極低負荷域等で主に使用される。このようなアイドル状態では、吸入空気量を精度良く微調整することが要求されるため、スロットル弁を備えた従来の内燃機関では、一般的に、アイドルスピードコントローラのようなスロットル弁とは別の空気量調整機構が設けられる。従って、本実施形態のようにバルブリフト特性変更機構11によるバルブリフト特性の変更により吸入空気量を調整する場合、作動角やバルブリフト量が小さく、アイドル状態や極低負荷域で利用される所定の小バルブリフト特性のときに、制御軸16の回転角度を精度良く微調整する必要がある。
【0025】
また、制御軸16はロッカーアーム18を偏心した位置P1で回転可能に支持しているため、バルブリフト時にロッカーアーム18へバルブスプリング等の反力が作用すると、制御軸16には一定のトルクではなく変動トルク(回転トルク)が作用する。この変動トルクは制御軸16を回転方向に保持している駆動部30のボールねじ部35やモータ31に作用するため、この駆動部30の保持力が小さいと変動トルクにより制御軸16が不用意に回転(揺動)して、制御軸16の回転角度が一定に保たれなくなり、制御軸16を精度良く微調整することができない。しかながら、駆動部30の保持力を高めるために、モータ31から制御軸16への回転動力の増幅率(言い換えるとギア比又は減速比)を、この小バルブリフト特性のときに要求されるレベルに一様に大きく設定すると、小バルブリフト特性以外の設定状態で、制御軸16の分解能が不必要に高くなって、制御軸16の応答性が低下し、好ましくない。
【0026】
そこで本実施形態では、このような小バルブリフト特性の設定状態のときに、モータ31から制御軸16への駆動力の増幅率が部分的(一時的)に大きくなるように、制御軸16の角度に応じて増幅率を変化させている。この駆動率の変化について、図6に示す一設定例を参照して説明する。なお、図6において、P01は出力軸34の回転中心、P02は制御軸16の回転中心、P03は出力軸34と制御プレート40との連結中心(ナット37の連結中心)、36aはP01とP03とを結ぶねじ軸36のリンク中心線、40aはP02とP03を結ぶ制御プレート40のリンク中心線、LはP02,P03間の制御プレート40のプレート腕長さ、にそれぞれ対応している。また、出力軸34と制御プレート40との連結中心P03の軌跡は、中心をP02、半径をLとする円周上に存在する。
【0027】
上記の増幅率に対応する駆動部30のギア比、つまりモータ出力軸34の回転トルクに対する制御軸16の回転トルクの比は、制御プレート40のリンク中心線40aと、ねじ軸36のリンク中心線36aと、のなす角度(絶対値)αに応じて変化する。言い換えると、回転中心P02からねじ軸36のリンク中心線36aまでの距離に相当する実腕長さLA,LBに応じてギア比が変化する。つまり、実腕長さLA,LBの変化を許容するボールねじ部35,制御プレート40及び支持ブラケット41が、制御軸16の角度に応じて増幅率を変化させる増幅率変更機構を構成している。
【0028】
そして、連結中心P03が、αが90°となる位置Aにあるとき、トルク伝達を行なう実腕長さLAがプレート腕長さLと等しくなって最も長くなり、駆動力の増幅率(ギア比)が最も大きくなり、出力軸34の回転変化量に対する制御軸16の回転変化量が最も小さくなる。この位置Aの状態を、作動角及びバルブリフト量が最も小さい最小バルブリフト特性に設定する。この設定状態から制御軸16を反時計回りに回動すると、実腕長さがプレート腕長さLよりも徐々に小さくなっていき、連結中心P03が位置Bまで移動すると、実腕長さはLBとなる。このように、制御軸16をバルブリフ特性が大きくなる方向(図6の反時計回り方向)へ回転するに従って増幅率やギア比が小さくなり、逆に制御軸16を最小バルブリフト特性の方向(図6の時計回り方向)へ回転するに従って増幅率やギア比が大きくなる。従って、バルブリフト特性が小さい状態における制御軸16の制御精度の向上と、バルブリフト特性が大きい状態における制御軸16の応答性の向上と、の両立を図ることができる。つまり、バルブリフト特性が大きい領域での応答性を犠牲にすることなく、吸入空気量の高精度な微調整が要求される小バルブリフト特性における制御軸16の分解能を向上することができる。
【0029】
再び図4を参照して、制御軸16の一端に、この制御軸16の回転角度を検知する制御軸角度センサ(第1のセンサ)45を設け、この制御軸角度センサ45のセンサ出力に基づいて、制御軸16の角度をフィードバック制御することにより、制御軸16の角度をある程度精度良く補正することが可能である。しかしながら、本実施形態のように、小バルブリフト特性のときの増幅率が大きく設定されていると、この小バルブリフト特性のときには、駆動部30の出力軸34の回転角度に対する制御軸16の回転角度が小さいため、制御軸角度センサ45の出力分解能が低くなり、その精度が低下する傾向にある。
【0030】
そこで好ましくは、駆動部30の出力軸34の回転角度を検知する出力軸角度センサ(第2のセンサ)46を設け、小バルブリフト特性のときには、この出力軸角度センサ46のセンサ出力に基づいて、制御軸16の角度をフィードバック制御する。これにより、小バルブリフト特性のときにも、制御軸16の角度を高精度にフィードバック制御することができる。図7に示すフローチャートを参照して簡単に説明すると、先ずS(ステップ)1では、機関回転数,吸入空気量及び制御軸角度センサ45の第1のセンサ出力等を読み込む。続くS2では小作動角微調整範囲、すなわち小バルブリフト特性の設定状態であるかが判定される。小作動角微調整範囲でなければ、S3〜5へ進み、制御軸角度センサ45の第1のセンサ出力及び予め設定される第1のマップ等に基づいてモータ31の出力PMWが算出される。一方、小作動角微調整範囲であれば、S6〜9へ進み、出力軸角度センサ46の第2のセンサ出力及び予め設定される第2のマップ等に基づいてモータ31の出力PMWが算出される。
【0031】
次に図8及び図9を参照して、低回転時にバルブ反力等に起因して制御軸16に加わる力F12について考察する。ロッカーアーム18には、各リンク25,26から作用する力F1,F2の合力F12が、制御偏心軸部17の偏心中心P1に相当するロッカーアーム18の回転中心に作用する。この合力F12が、制御軸16の回転中心P2まわりの回転トルクとして制御軸16に作用する。ここで、リンク25,26のロッカーアーム18と連結する端部と反対側の端部が駆動軸13の回転中心Yの近傍に配置されている等の関係で、合力F12のベクトル方向は、駆動軸13の中心Yと制御軸16の回転中心P2を結ぶ直線L0とほぼ平行となる。また、回転中心P2から合力F12のベクトル線までの腕長さをL12とすると、ロッカーアーム18側から制御軸16へ加わる回転トルクの大きさは、F12とL12とを乗じた値F12×L12となる。従って、所定の小バルブリフト特性における偏心中心P1がほぼ直線L0に位置するように設定することにより、腕長さL12を十分に小さくして、制御軸16へ作用する回転トルクを有効に抑制することができる。この結果、精度が要求される小バルブリフト特性のときに、バルブ反力等に起因する制御軸16の振れを有効に抑制することができる。
【0032】
次に、吸気弁の作動角と吸入空気量(空気流量)との関係について、図10を参照して説明する。一般的に作動角が大きくなるに従って吸入空気量は増加する。ここで、アイドル制御範囲(アイドル状態)に対応する所定の小作動角領域(小バルブリフト特性)E0〜E2の中でも、作動角が極めて小さい領域E0〜E1ではバルブリフト量も非常に小さいため、作動角の変化に対する吸入空気流量の変化の傾き(割合)が比較的小さいが、作動角が大きくなるに従って、上記傾きが徐々に大きくなり、小作動角領域E0〜E2の中で作動角が最も大きくなる状態E2のときに、上記傾きが最も大きくなる。そして、この小作動角領域E0〜E2を越えて更に作動角が増加すると、吸気弁の閉時期が下死点に近づく等の関係で、上記傾きは再び小さくなるという傾向がある。
【0033】
従って、アイドル制御範囲における吸入空気量のきめ細かい微調整を行うためには、アイドル制御範囲E0〜E2の中で、作動角の変化に対する吸入空気量の変化の傾き(割合)が最も大きい作動角(バルブリフト特性)の設定状態E2のときに、出力軸34から制御軸16への増幅率を最も大きくすれば良い。この設定例を図11に示す。なお、符号の意味等は図6と同様である。この図11に示すように、作動角の変化に対する吸入空気流量の変化が最も大きい作動角の設定状態で、連結中心P03が点E2に位置し、駆動部30のギア比すなわち増幅率が最も高くなるように設定している。
【0034】
また、制御軸16が小作動角方向(点E0へ向かう方向、図の時計回り方向)へ回転するに従って、連結中心P03が出力軸34の回転中心P01へ近づくように設定されている。これにより、作動角が小さくなるに従って、ねじ軸36の実質的になリンク長さ(P01,P03間の長さ)が短くなって、その剛性が高くなり、バルブ反力等に対する制御軸16の振れを有効に抑制できる。
【0035】
また、クランクシャフトや駆動軸13の回転位相に対する吸気弁の作動角の中心位相を変化させる位相変更機構を、上記のバルブリフト特性変更機構11と併用しても良い。この場合、吸気弁の開時期及び閉時期を互いに独立して調整でき、より高精度な吸入空気量の調整を実現できる。例えば、作動角及びバルブリフト量が大きい大バルブリフト特性の状況では、筒内圧が吸気ポート内の圧力とほぼ等しくなるため、吸入空気流量は吸気弁閉時期に大きく依存する。従って、主に吸気弁閉時期をパラメータとすることにより吸入空気量を容易かつ正確に調整できる。これに対し、作動角及びバルブリフト量が小さい小バルブリフト特性で、吸気弁開時期を上死点後に設定すると、吸気弁開時期の筒内圧が吸気ポート内の圧力よりも低くなり、吸気弁の開口部が一種の絞り部として機能し、筒内へ吸い込まれる吸入空気の流速が略一定となるため、吸入空気量は主に作動角に依存する。従って、主に作動角をパラメータとすることにより、吸入空気量を容易かつ正確に調整できる。
【0036】
以上のように本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形,変更を含むものである。例えば、上記の実施形態では、第2のセンサとしてモータ31の出力軸34の回転角度を検出する出力軸角度センサ46が用いられているが、これに代えて、傘歯車38,39やねじ軸36等の伝達機構32の変位を検出するセンサを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変動弁装置のバルブリフト特性変更機構を示す概略斜視図。
【図2】図1のバルブリフト特性変更機構の正面対応図。
【図3】図1のバルブリフト特性変更機構の側面対応図。
【図4】図1のバルブリフト特性変更機構の制御軸を回転駆動する駆動部を示す断面対応図。
【図5】図4の駆動部の正面対応図。
【図6】駆動部から制御軸への駆動力の増幅率(ギア比)の一設定例を示す特性図。
【図7】制御軸のフィードバック制御の流れを示すフローチャート。
【図8】ロッカーアームへ作用する合力を示す説明図。
【図9】制御軸へ作用する回転トルクを示す説明図。
【図10】作動角と吸入空気流量の関係を示すグラフ。
【図11】駆動部から制御軸への駆動力の増幅率(ギア比)の他の設定例を示す特性図。
【符号の説明】
11…バルブリフト特性変更機構
16…制御軸
30…駆動部
31…モータ(駆動源)
32…伝達機構
34…出力軸
35…ボールねじ部
36…ねじ軸
37…ナット
38,39…傘歯車(回転動力伝達部)
40…制御プレート
41…支持ブラケット(支持部)
45…制御軸角度センサ(第1のセンサ)
46…出力軸角度センサ(第2のセンサ)

Claims (7)

  1. 吸気弁の作動角及びバルブリフト量の少なくとも一方に相当するバルブリフト特性を連続的に変更可能なバルブリフト特性変更機構と、上記バルブリフト特性の変更時に、上記バルブリフト特性変更機構の制御軸を回転駆動することにより上記バルブリフト特性を変化させる駆動部と、を有し、
    この駆動部が、
    駆動源と、
    この駆動源から制御軸へ駆動力を増幅して伝達する伝達機構と、
    所定の小バルブリフト特性の設定状態のときに、上記駆動源から制御軸への駆動力の増幅率が大きくなるように、上記制御軸の角度に応じて上記伝達機構の減速比を変化させることによって上記増幅率を変化させる増幅率変更機構と、を有し、
    更に、上記制御軸の角度を検知する第1のセンサと、上記駆動源の出力軸の変化量を検知する第2のセンサと、を有し、これら第1のセンサ及び第2のセンサの一方のセンサ出力に基づいて、上記制御軸の角度がフィードバック制御され、
    少なくとも上記小バルブリフト特性の設定状態のときには、上記第2のセンサのセンサ出力に基づいてフィードバック制御が行われることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 上記伝達機構が、上記制御軸の直交方向に延びるねじ軸及びこのねじ軸にスライド可能に噛合するナットを有するボールねじ部と、上記駆動源の出力軸からねじ軸の一端へ回転動力を伝達する回転動力伝達部と、一端が制御軸に固定されるとともに他端がナットに回転可能に連結される制御プレートと、により構成され、
    上記増幅率変更機構が、上記制御プレート及びナットの変位を許容するように、上記ねじ軸を上記駆動源の出力軸まわりに回転可能に支持する支持部を有していることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 上記増幅率変更機構は、制御軸の回転範囲の中間位置で増幅率を最も大きくすることが可能な機構であることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 上記バルブリフト特性変更機構は、クランクシャフトと連動して回転する駆動軸に揺動可能に支持される揺動カムと、上記駆動軸に偏心して設けられる駆動偏心部と、この駆動偏心部に回転可能に支持される第1のリンクと、上記制御軸に偏心して設けられる制御偏心部と、この制御偏心部に回転可能に支持されるとともに、一端で上記第1のリンクと連結するロッカーアームと、このロッカーアームの他端と上記揺動カムとを連携する第2のリンクと、を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 上記所定の小バルブリフト特性時における制御偏心部の中心が、ほぼ駆動軸の回転中心と制御軸の回転中心を結んだ直線上に配置されることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  6. 吸気弁の作動角の中心位相を変更可能な位相変更機構を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
  7. 上記小バルブリフト特性に設定される機関のアイドル制御範囲の中で、吸気弁の作動角の変化に対する吸入空気量の変化が最も大きくなるときに、上記増幅率が最も高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
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