JP3838710B2 - 建築工事用シートの補修構造及びその補修方法 - Google Patents
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Description
【本発明の属する技術分野】
本発明は、建築工事現場等で使用される建築工事用ターポリンやメッシュシート等の破損部分を、高周波ウェルダー接着ができないものでも、強固に補修することができる補修構造と、簡便に補修することができる補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築工事用シートの破損部分の補修において、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂を被覆した建築工事用シートでは、熱風融着、ミシン縫製、あるいは高周波ウェルダー接着による補修が行われている。
しかし、熱風融着での補修では接合作業が煩雑で熟練を要する上、接合が不均一になりやすく、また、接合部に熱収縮が生じやすいため外観上見苦しいという欠点があった。
【0003】
また、ミシン縫製での補修では手間がかかり、建築工事用シートが約2〜5mと大きいものであるため、機械的に中央部の接合融着が困難で、また、縫跡が見苦しいという欠点があった。
一方、高周波ウェルダー接着による補修は、上記のような熟練をほとんど要さず、さらに外観上補修部分が目立たない美しい仕上がりになるものであった。しかし、建築工事用シートを被覆する樹脂により、さらには樹脂被覆されていないものは、高周波ウェルダー接着が効かないものがあり、どの建築工事用シートでも有効な補修方法というわけには行かなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みて行われたもので、簡便に作業でき、均一で強固な建築工事用シートの補修構造並びにその補修方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するものであって、次の構成よりなるものである。すなわち、本発明は、建築工事用シートの破損部において、高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂を介して該建築工事用シートと同種のシートが接合されていることを特徴とする建築工事用シートの補修構造を要旨とするものであり、また、シートの破損部分を補修する方法において、該補修部分に高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂をシート状にして積層するか、もしくはホットメルトタイプの接着剤として塗布し、その上に該建築工事用シートと同種のシートを積層した後、該積層部分を高周波ウェルダー接着することを特徴とする建築工事用シートの補修方法を要旨とするものであって、上記ポリエステルポリエーテル系樹脂は、テレフタル酸残基を全酸成分の 75 モル%以上含み、下記の一般式(1)で表されるグリコールを全ジオール成分の 70 モル%以上含み、分子量 500 〜 5000 のポリアルキレンエーテルポリオールをポリエステルポリエーテル樹脂重量の5〜 60 重量%含む、分子量が 10000 〜 80000 のポリエステルポリエーテル樹脂を主体とする樹脂であることを要旨とするものである。
一般式(1):HOCHR−CH 2 OH
ここでRは炭素数10以下の炭化水素基である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、従来、建築工事用シートの破損部を高周波ウェルダー接着により補修する場合に欠点があることに注目し、熟練を要さない簡便な方法で補修が可能で、建築工事用シートを強固で均一に補修できることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明の特徴は、高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂を接合することにより、高周波ウェルダー接着ができなかった建築工事用シートでも高周波ウェルダー接着により補修が可能になるところにある。
本発明の高周波ウェルダー接着可能な樹脂は、樹脂で被覆されている建築工事用シートの場合、被覆している樹脂、例えば塩化ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系樹脂等と、また樹脂被覆されていないシートの場合、ポリエステル系繊維糸条とそれぞれ溶融接着することが不可欠である。かかる樹脂の中でも、特にポリエステルポリエーテル系樹脂が、被覆樹脂或いは構成する糸条との接着性に優れていてよい。
【0007】
本発明で用いられるポリエステルポリエーテル系樹脂は、下記の一般式(1)で表される置換基を有するグリコールとテレフタル酸から得られる成分とポリアルキレンエーテルグリコールを主たる繰り返し単位とするものである。この繰り返し単位は凝集力が高い成分と可撓性に富む成分からなり、高周波ウェルダー性、接着性、耐熱性、耐湿性が得られる。
一般式(1):HOCHR−CH2OH
ここでRは炭素数10以下の炭化水素基である。
【0008】
本発明で使用されるポリエステルポリエーテル系樹脂の二塩基成分としては、テレフタル酸以外にイソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
酸成分の中にテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸をポリマー内部に存在させることにより機械的物性を保持させる。ただし、テレフタル酸の割合が75モル%未満では樹脂の凝集力が低下し、機械的強度耐熱性が悪化するのでテレフタル酸は酸成分中75モル%以上とする。また脂肪族ジカルボン酸を同時に重合させることによりポリマー自体に柔軟性を付与することができ、この柔軟性は脂肪族ジカルボン酸の炭素数により調整が可能となる。
【0009】
グリコール成分としては、上記一般式(1)で表される置換基を有するグリコールを全ジオール成分の70モル%以上、好ましくは75モル%以上である。一般式(1)で現されるグリコールが70モル%未満では、有機溶剤溶解品の保存性が悪くなる。
一般式(1)で現されるグリコールとしては、置換基として炭素数10以下の炭化水素基(脂肪族、芳香族、脂環族を含む)を有するものであり、具体的には、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1−フェニルエチレングリコール、1−ベンジルエチレングリコール等が挙げられ、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオールが好ましい。
一般式(1)以外のグリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールトリシクロデカン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。
また、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のポリオールを全グリコール成分の5モル%以下、好ましくは2モル%以下で共重合してもよい。
上記のグリコール成分をポリマー内に共重合するのは、ポリマー自体の柔軟性をアルコール分の炭素数により調整可能とするからだけでなく、ポリマー内にエーテル結合を多く含むことにより柔軟性がさらに付与され、その上融点が元のポリエステルより低くなるため高周波ウェルダー接着加工がより容易にできる樹脂が得られるからである。
【0010】
分子量 500〜5000のポリアルキレンエーテルポリオールとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルあるいはこれらのポリエーテルの共重合物が挙げられ、ポリプロピレンオキサイド、あるいはポリプロピレンオキサイドの末端に更にエチレンオキサイドを付加したもの、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
分子量 500〜5000のポリアルキレンエーテルポリオールを樹脂分の5〜60重量%含有するポリアルキレンポリオールは、好ましくは分子量が 800〜2000で含有量は15〜40重量%である。
ポリアルキレンエーテルポリオールの分子量は 500〜5000のものを用いる。分子量が 500未満では芳香族ポリエステルセグメントとの相溶性がよくなり、樹脂の凝集力が低下し樹脂の機械的強度が不十分である。また分子量が5000を越えると芳香族ポリエステルセグメントとの相溶性が悪くなり、均一な溶液が得られない。ポリアルキレンエーテルグリコールは樹脂分の5〜60重量%含有する。5重量%以下では可撓性に乏しく、風合いが固く、60重量%を越えると、樹脂の機械的強度が低下する。
【0011】
ポリアルキレンエーテルポリオールをポリマー内に共重合することで、エーテル結合が多くなり、ポリマー自体に柔軟性を付与し、その上融点が元のポリエステルより低くなるため高周波ウェルダー接着加工がより容易にできる樹脂が得られる。
ポリアルキレンエーテルポリオールは、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコールを開始剤としたものだけでなく、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3 官能以上のポリオール化合物を開始剤としたものであってもよい。
【0012】
本発明で用いる共重合ポリエステルポリエーテル系樹脂は、分子量が 10000〜80000 の範囲である。分子量が10000 未満では樹脂の凝集力が弱く、また樹脂の物性が劣り、分子量が 80000を越えると粘度が高くなり、作業性が悪化する。
本発明で用いる樹脂は、共重合ポリエステルポリエーテルと反応する架橋剤を混合して用いることができる。架橋剤としてはポリイソシアネート化合物、ポリエステルの末端イソシアネート変性品、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、酸無水物等があり、特にこれらの中でポリイソシアネート化合物、ポリエステルの末端イソシアネート変性物が好ましい。
【0013】
本発明のポリエステルポリエーテル系樹脂には、必要に応じて炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化クロム、二酸化ケイ素、酸化チタン等の無機顔料、カーボンブラック、酸化スズ、ジオクチルスルホナトリウムサクシネート、エチルナフタレンスルホン酸ソーダ、ジラウリルサクシネート等の帯電防止剤、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系安定剤、その他、難燃剤や紫外線吸収剤等を必要とする物性に応じて添加してもよい。
【0014】
本発明で用いられるポリエステルポリエーテル系樹脂は、該ポリエステルポリエーテル系樹脂をフィルム状、メッシュ状もしくは不織布状に形成して用いるか、あるいはホットメルトタイプの接着剤として用いる。
但し、補修しようとする建築工事用シートがメッシュ状シートのものであれば、該ポリエステルポリエーテル系樹脂をメッシュ状もしくは不織布状に成形して用いる方が好ましい。一般に、メッシュシートをフィルム状の連続膜で溶融接合する場合、メッシュシートの目あきが封鎖され通気性が損なわれるという欠点がある。その場合、該ポリエステルポリエーテル系樹脂を、メッシュ状もしくは不織布状に形成することで、メッシュの目あき部分を封鎖することなく溶融接合することが可能となる。ただし、フィルム状のものであっても、実際の使用上、機械的強力に支障がない範囲で高周波ウェルダー接着性が高く、フィルム膜の厚さが薄い場合には、容易にフィルムが溶融して目あきを封鎖することなく、補修後にメッシュシートの通気性を損なうということはない。
【0015】
上記補修方法で該ポリエステルポリエーテル系樹脂シートを不織布状に成形して用いる場合、該補修シートを長繊維もしくは短繊維の紡績糸からなる不織メッシュもしくは不織ウエブが、高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂で部分的に熱圧接されて安定な形状を保っているメッシュシートもしくは不織シートで、該シートを構成する長繊維が高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂とポリエチレンテレフタレートからなり、該ポリエステルポリエーテル系樹脂が該ポリエチレンテレフタレートの表面に覆っている2成分芯鞘構造を有する構造にすれば、補修後の融着部分には、繊維状のポリエチレンテレフタレートが残り、該補修部分により強固な構造を持たせることができる。
【0016】
また、補修しようとする建築工事用シートがシート状のものである場合でも、該ポリエステルポリエーテル系樹脂シートをメッシュ状もしくは不織布状に成形して用いることで、熱伝導性、流動性の向上により、溶融時間の短縮、十分で均一な溶融が可能となるので、該ポリエステルポリエーテル系樹脂シートをメッシュ状もしくは不織布状に成形して用いる方が好ましい。
上記補修方法、すなわち該ポリエステルポリエーテル系樹脂をシート状にして補修に用いる場合、比較的大きな補修部分を有する場合に有効である。
しかし、上記補修方法を取る場合、小さい補修部分であってもその大きさに合わせて、該樹脂シートを切断したり、シートが有する折りしわ等の平面でない部分の場合、融着作業が困難になるという欠点もある。その場合、該ポリエステルポリエーテル系樹脂を、ホットメルトタイプの接着剤として用いることで、補修部分の大きさや形状に合わせて、任意に該ポリエステルポリエーテル系樹脂を簡便に短時間で塗布し、接着作業を容易にすることが可能となる。この補修方法の場合、比較的小さい補修部分もしくは折りしわ等の平面でない部分を有する場合に有効である。なおこの補修方法を使用する際にはホットメルト接着剤専用のガンを用い、そのノズルとしては、均一に薄く塗布するためにスリットノズルを用いることが望ましい。
当然、ポリエステルポリエーテル系樹脂をシート状にして用いる補修方法と、ホットメルトタイプの接着剤を用いる補修方法を併せて用い、補修することも可能である。
【0017】
本発明の該ポリエステルポリエーテル系樹脂は、シート状にしたとき20g/m2以下の目付では補修しようとするシート同士の接着力が不十分であり、実用に耐えうる補修構造を得られないので好ましくない。また該シート状物の目付が 200g/m2以上では補修部分が非補修部分よりも重くなり、使用時に該補修部分への負担がかかり、再度補修を要するので好ましくない。実用に耐えうる建築工事用シートの補修構造を形成するには該ポリエステルポリエーテル系樹脂シートの目付は、好ましくは20〜200g/m2 である。更に好ましくは70〜150g/m2 である。
本発明の建築工事用シートの基布としては、ポリエステル繊維糸条で製編織された編織物を用いる。ポリエステル繊維糸条は、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートを主たる成分としポリエチレンテレフタレートの特性を保持する程度に第3成分を共重合もしくは混合したポリエステルを溶融紡糸して作られる繊維糸条であり、長繊維糸もしくは短繊維の紡績糸のいずれであってもよい。ポリエステル繊維糸条には帯電防止剤、難燃剤および顔料等が重合時あるいは紡糸時に添加されてもよい。また該ポリエステル繊維糸条は、相対粘度が1.30以上であるのが好ましく、より好ましくは1.35以上である。相対粘度が1.30未満であると建築工事用シートとしての強度および過酷な条件下における耐久性が劣り、求められる基本的な物性が得られなくなる恐れがある。
【0018】
また、基布は織物および編物のどちらでもよく、用途に応じて所望の組織で製編織することができる。また基布に染色、難燃および撥水等の要求される機能に応じた加工を施すことも可能である。特に屋外で使用される用途が多いため撥水加工を施したものは有利である。
【0019】
本発明における建築工事用シートは塩化ビニル系、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等熱可塑性樹脂で被覆したものでも、また樹脂被覆加工していものでも実用上十分な高周波ウェルダー接着強力が得られる。
【0020】
【作用】
本発明のごとく、建築工事用シートの破損部分に高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂シートを積層するか、もしくはホットメルトタイプの該ポリエステルポリエーテル系樹脂接着剤を塗布し、その上に該シートと同種のシートを積層した後、該積層部分を高周波ウェルダー接着する補修方法を用いると、今まで高周波ウェルダー接着ができなかった建築工事用シートでも簡便に補修することが可能になり、該補修方法で得られた補修構造は、外観上美しく、補修部分を均一で強固な、建築工事用シートの補修方法を提供することができる。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例により説明する。実施例においての評価は下記の方法によって行った。
(1)高周波ウェルダー接着強力
ウェルダー接着加工による接合部(3cm長)を含む3cm幅の試料にて、JIS-L-1096 6.12.1A法(ストリップ法)に準じて引張強力を測定した。
(2)剥離強力
JIS-K-6854のT型剥離強力試験法に準じ、高周波ウェルダー接着加工による接着部(3cm長)を含む3cm幅の試料で接着部の剥離強力を測定した。
(3)通気性
JIS-L-1092の低圧法に準じて測定した。
【0022】
実施例1
相対粘度1.58のポリエステル長繊維糸500d/96fを経糸及び緯糸に用いて平組織で経糸密度46本/吋、緯糸密度46本/吋に製織した基布に、下記組成1の塩化ビニル系樹脂組成物をディッピングし、乾燥工程で 110℃×120 秒及びキュア行程で 160℃×30秒間の加熱工程を通過させ、目付が400g/m2 のシートAを得た。
【0023】
〔組成1〕
・ゼオン121 50部
(日本ゼオン株式会社製塩化ビニル樹脂ペースト)
・フタル酸ジオクチル(可塑剤) 15部
・フタル酸ジイソノイル(可塑剤) 15部
・アデカ−0−130P 3部
(アデカ・アーガス化学株式会社製エポキシ系可塑剤)
・KV−62B−4 3部
(共同薬品株式会社製バリウム・亜鉛系安定剤)
・三酸化アンチモン(防炎剤) 7部
・炭酸カルシウム(充填剤) 7部
【0024】
また、接着成分となるポリエステルポリエーテル系樹脂として、ジメチルテレフタレート 388部、1,2−プロピレングリコール 258部、エチレングリコール36部、トリメチロールプロパン2.7部チバガイギー社製酸化防止剤「イルガノックス−1330」 0.5部、テトラブチルチタネート 0.068部をオートクレーブに仕込み 170℃〜 200℃で5時間エステル交換反応を実施し、数平均分子量1200の2官能ポリプロピレングリコールを 160部仕込み次いで反応系を20分かけて5mmHgまで減圧し、この間 250℃まで昇温した。さらに 0.1mmHg、 250℃で重縮合反応を60分間行い、融点が 120℃のポリエステルポリエーテル系樹脂1を得た。得られたポリエステルポリエーテル系樹脂1を目付70g/m2で3cm幅のシートに成形して高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂シートを得た。
シートAを25cm×25cmに裁断し、その中央部に4cm×4cmの大きさの穴を開け、穴の4辺に沿って10cmの長さに切ったポリエステルポリエーテル系樹脂シートを重ね、その上に15cm×15cmに裁断したシートAを重ねて、クイーンライト電子精工株式会社製高周波ウェルダー接着機LW−4000Aを用い、出力4kW 、電流値 0.3アンペア、圧力2kg/m2、高周波発信時間3秒間、融着時間3秒間、冷却時間3秒間の条件で、 3cm×10cmの金属バーがポリエステルポリエーテル系樹脂シートの上にくるように合わせて高周波ウェルダー接着加工を行い、本発明による補修構造のモデルを作製した。
【0025】
実施例2
ジメチルテレフタレート70部、セバシン酸30部、エチレングリコール55部、ネオペンチルグリコール45部をランダム重合させ、極限粘度が 0.7、ガラス転移点が5℃、溶融点が 150℃の透明なポリエステルポリマーとオクチルアルコールのポリエチレンオキサイド付加物(HLB値17.0)8部とを窒素気流中で、 200℃にて攪拌しながら混合溶融し、この混合溶融体を常温のモノエタノールアミンの1%水溶液60部中に攪拌しながら滴下した。この乳化分散液は半透明で粘度は10cps であった。また該分散液に粘度調整剤としてSN−シックナーA−804(アニオン系及び非イオン系特殊界面活性剤、サンノプコ株式会社製)10部を添加し溶液粘度5000cps の共重合ポリエステル乳化分散液を得た。
相対粘度1.38のポリエステル短繊維の紡績糸20番手を2本合撚した糸条を経糸として用い、また10番手を緯糸に用いて平組織で経糸密度49本/吋、緯糸密度46本/吋に製織した基布に、上記の共重合ポリエステル乳化分散液をディッピングし、乾燥工程で 110℃× 120秒及びキュア工程で 160℃×30秒の加熱工程を通過させて、目付が300g/m2 のシートBを得た。
シートBを用い、接着成分として実施例1に用いたポリエステルポリエーテル系樹脂シートを用い、実施例1と同様に高周波ウェルダー接着加工を行い、本発明による補修構造のモデルを作製した。
【0026】
実施例3
実施例2で用いたシートBを25cm×25cmに裁断し、その中央部に4cm×4cmの大きさの穴を開け、ホットメルト専用ガンにスリットノズルを装着して穴の4辺に沿って幅3cmで実施例1で用いたポリエステルポリエーテル系樹脂1を塗布し、15cm×15cmに裁断したシートBを重ねて、クイーンライト電子精工株式会社製高周波ウェルダー接着機LW−4000Aを用い、出力4kW 、電流値 0.3アンペア、圧力2kg/m2、高周波発信時間3秒間、融着時間3秒間、冷却時間3秒間の条件で、 3cm×10cmの金属バーが塗布したポリエステルポリエーテル系樹脂1の上にくるように合わせて高周波ウェルダー接着加工を行い、本発明による補修構造のモデルを作製した。
【0027】
実施例4
テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化して得たβ−ヒドロキシテレフタレート及びその低重合体 100部に、難燃剤として〔2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル〕メチルフォスフィン酸 0.5部と三酸化アンチモン0.03部を添加して0.6mmHg に減圧し、 280℃にて重合反応を行い、固有粘度0.78のポリマーを得た。このポリマーを溶融し、着色剤としてシアニン系ブルーとカーボンを 2.0:0.1重量比の割合で混合し、ポリマーに対して10重量部添加してブルーのマスターチップを得た。
該ブルーポリエステルマスターチップを前記固有粘度0.78のベースポリエステルチップと1:45の割合で混合し、円形の吐出口から押し出して、 300℃で溶融紡糸を行い、紡糸油剤 0.5%を付与し、引き続き延伸して、融点が 255℃の1500d/192fの難燃原着ポリエステルフィラメント糸条を得た。
得られた難燃原着ポリエステルフィラメント糸状を用いて、リング撚糸機にてS−80T/M燃糸をした後、この撚糸を縦糸及び緯糸に用いて、レピア織機で経糸密度、緯糸密度共に33本/インチの模紗組織の織物を製織した。この織物を上記組成1の塩化ビニル系樹脂でディッピング加工し、 100℃で2分間乾燥させ、 150℃で1分間キュアして、メッシュ状シートCを得た。
上記メッシュ状シートCを用いて、実施例1と同様に高周波ウェルダー接着加工を行い、本発明による補修構造のモデルを作製した。
【0028】
実施例5
実施例4のメッシュ状シートCを用いて、実施例3と同様に高周波ウェルダー加工を行い、本発明による補修構造のモデルを作製した。
【0029】
比較例1
ジメチルテレフタレート 388部、エチレングリコール 323部、1,2−プロピレングリコール44部、トリメチロールプロパン 2.7部、チバガイギー社製酸化防止剤「イルガノックス−1330」 0.5部、テトラブチルチタネート 0.068部をオートクレーブに仕込み 170〜 200℃で5時間エステル交換反応を実施し、数平均分子量1200の2交換ポリプロピレングリコールを 160部仕込み、次いで反応系を20分かけて5mmHgまで減圧し、この間 250℃まで昇温した。更に 0.1mmHg、 250℃で重縮合反応を60分間行い、融点 100℃のポリアミド系樹脂を得た。得られたポリアミド系樹脂を目付70g/m2で3cm幅のシートに成形してポリアミド系樹脂シートを作製した。
シートAを用いた高周波ウェルダー接着加工において、接着成分としてポリエステルポリエーテル系樹脂シートを替えて上記のポリアミド系樹脂シートを用いること以外は実施例1の高周波ウェルダー接着加工と同様にして比較例としての補修構造のモデルを作製した。
【0030】
比較例2
シートBを用いた高周波ウェルダー接着加工において、接着成分としてポリエステルポリエーテル系樹脂シートを替えて、融点 180℃のホットメルト型ポリプロピレン系樹脂接着剤EC−3748(住友スリーエム株式会社製)をホットメルト専用ガンにより塗布すること以外は実施例3の高周波ウェルダー接着加工と同様にして比較例としての補修構造のモデルを作製した。
実施例1〜5、比較例1〜2の性能評価結果を併せて表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から明らかなように、実施例1〜5の場合、実用に十分耐えうる接着強力、剥離強力といった機械的強度を有し、さらに高周波ウェルダーにより容易に溶融するので、特に実施例4及び5の用にメッシュシート状のものでも該補修方法をとることで十分な通気性を維持できることが分かった。これに対して、比較例1〜2は、高周波ウェルダー接着性がなく、高周波ウェルダーによる補修には適さないことが分かった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、建築工事用シートのの破損部を、今まで、高周波ウェルダー接着ができなかったものまで、簡便な方法で、強固にかつ均一な融着接合構造に形成することができる。
Claims (4)
- 建築工事用シートの破損部において、高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂を介して該建築工事用シートと同種のシートが接合されており、前記高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂は、テレフタル酸残基を全酸成分の 75 モル%以上含み、下記の一般式(1)で表されるグリコールを全ジオール成分の 70 モル%以上含み、分子量 500 〜 5000 のポリアルキレンエーテルポリオールをポリエステルポリエーテル樹脂重量の5〜 60 重量%含む、分子量が 10000 〜 80000 のポリエステルポリエーテル樹脂を主体とする樹脂であることを特徴とする建築工事用シートの補修構造。
一般式(1):HOCHR−CH2OH
ここでRは炭素数10以下の炭化水素基である。 - 建築工事用シートの破損部分を補修する方法において、該補修部分に、テレフタル酸残基を全酸成分の 75 モル%以上含み、下記の一般式(1)で表されるグリコールを全ジオール成分の 70 モル%以上含み、分子量 500 〜 5000 のポリアルキレンエーテルポリオールをポリエステルポリエーテル樹脂重量の5〜 60 重量%含む、分子量が 10000 〜 80000 のポリエステルポリエーテル樹脂を主体とする、高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂シートを積層し、その上に前記建築工事用シートと同種のシートを積層した後、該積層部分を高周波ウェルダー接着することを特徴とする建築工事用シートの補修方法。
一般式(1):HOCHR−CH2OH
ここでRは炭素数10以下の炭化水素基である。 - 建築工事用シートの破損部分を補修する方法において、該補修部分に、テレフタル酸残基を全酸成分の 75 モル%以上含み、下記の一般式(1)で表されるグリコールを全ジオール成分の 70 モル%以上含み、分子量 500 〜 5000 のポリアルキレンエーテルポリオールをポリエステルポリエーテル樹脂重量の5〜 60 重量%含む、分子量が 10000 〜 80000 のポリエステルポリエーテル樹脂を主体とする、高周波ウェルダー接着可能なホットメルトタイプのポリエステルポリエーテル系樹脂接着剤を塗布し、その上に前記建築工事用シートと同種のシートを積層した後、該積層部分を高周波ウェルダー接着することを特徴とする建築工事用シートの補修方法。
一般式(1):HOCHR−CH2OH
ここでRは炭素数10以下の炭化水素基である。 - 高周波ウェルダー接着可能なポリエステルポリエーテル系樹脂シートが、フィルム状、メッシュシート状もしくは不織布状物である請求項2記載の建築工事用シートの補修方法。
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