JP3836720B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側にそれぞれ電極を設けた電解質膜・電極構造体と、前記電解質膜・電極構造体を挟持する一対の金属板製セパレータとを備える燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜を採用している。この燃料電池は、電解質膜の両側に、それぞれ触媒電極(電極層)と多孔質カーボン(拡散層)からなるアノード側電極およびカソード側電極を対設して構成される電解質膜・電極構造体を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより構成される単位セルを備えている。通常、この単位セルを所定数だけ積層した燃料電池スタックが使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、触媒電極上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
上記の燃料電池に使用されるセパレータは、通常、カーボン系材料で構成されている。ところが、最近、この種のカーボン系セパレータよりも耐応力破損性に優れる金属材製のセパレータ(以下、金属系セパレータともいう)を用いることにより、板厚の減少と最適なガス分配レイアウト設計とを図り、燃料電池を小型化かつ軽量化する工夫がなされている。
【0005】
しかしながら、カーボン系セパレータに代えて金属系セパレータを使用すると、電子の導電原理の相違から接触抵抗が上昇し、抵抗過電圧として燃料電池の発電性能に影響を及ぼすおそれがある。すなわち、燃料電池の性能維持因子の一つとして、発電時の抵抗過電圧を低減することが挙げられており、この抵抗過電圧を構成する要素として、電子の導電性とプロトンの伝導性とがある。
【0006】
電子の導電性は、燃料電池の構成部材中で電子が導電する部品自体と、部品同士が接触する接触抵抗とで表される一方、プロトンの伝導性は、電解質膜・電極構造体中の電解質膜および電極部を伝導するプロトンの抵抗で表される。そこで、燃料電池が積層された燃料電池スタックにおいて、セパレータから電解質膜・電極構造体は、圧縮積層により面接触状態に維持されている。
【0007】
その際、電解質膜・電極構造体内部の電極層および拡散層には、カーボン系材料が一般的に適用されており、電子の導電原理としては、カーボンの場合に、縮合芳香族環のπ電子の波動により伝わる一方、金属系セパレータの場合に、自由電子の移動により伝わる。従って、電子導電原理の異なる異材間(カーボン系材料と金属系材料)の接触部では、同材同士間の接触部の抵抗よりも大きくなってしまう。
【0008】
これにより、カーボン系材料で構成された電解質膜・電極構造体と金属系材料で構成されたセパレータとの接触抵抗は、抵抗過電圧として燃料電池の発電性能に大きな影響を及ぼすため、接触部の抵抗低減を図ることが望まれている。
【0009】
ところが、図12に示すように、金属系セパレータ1は、小型軽量化のために薄板を立体加工して構成されており、成形に必要な倒れ範囲cが存在している。このため、この金属系セパレータ1では、電解質膜・電極構造体2に接触する接触面b′の面積が小さなものとなってしまう。
【0010】
これを、図13に示すカーボン系セパレータ3と比較して説明すると、このカーボン系セパレータ3では、金属系セパレータ1と同様の流路断面積aを確保した場合、電解質膜・電極構造体2との接触面bの面積が、前記金属系セパレータ1の接触面b′の面積よりも大きくなる。すなわち、b=b′+cとなり、金属系セパレータ1と電解質膜・電極構造体2との接触面積を十分に確保することができず、接触抵抗の低減を図ることが困難なものとなっている。
【0011】
このため、倒れ範囲cの成形角度を90°に近似させることにより、接触抵抗の低減を図ることが考えられるが、特に薄板状のSUS材では、加工時の伸び性が他の金属薄板よりも低く、成形限界の観点からも成形角度を90°に近似させることは難しい。
【0012】
また、金属系セパレータ1と電解質膜・電極構造体2との接触面積を増大させようとすると、接触面b′の平坦面積を大きくする必要がある。しかしながら、接触面b′の寸法が大きくなると、流路断面積aが小さくなって反応ガス供給時の圧損が大きくなってしまう。従って、ガス供給装置の大型化と消費電力の増大を招き、燃料電池の小型化および効率の向上を図ることができないという不具合がある。
【0013】
そこで、例えば、特開平7−22042号公報(以下、従来技術1という)に開示された燃料電池が知られている。この従来技術では、陽極材と、陰極材と、該両極材の間に配置した電解質材からなる発電層を少なくとも2以上積層してなる燃料電池であって、前記発電層間に、通電材であるセパレータを配置し、前記両極材の中、少なくとも一方と前記セパレータとの接触部にカーボン粒子を介在(塗布)している。これにより、極材とセパレータとの通電面積を大きくし、接触部での接触面圧に係わらず接触抵抗を小さくすることができる、としている。
【0014】
また、特開2000−48833号公報(以下、従来技術2という)には、電解質層と、該電解質層の表面に設けられ、表面に触媒を担持する触媒粒子が集合してなる触媒層と、該触媒層に隣接して設けられ、ガス透過性を有するガス拡散層と、前記ガス拡散層に隣接して設けられ、ガス不透過であるガスセパレータとを、少なくとも積層してなる燃料電池であって、前記ガスセパレータと前記ガス拡散層は、少なくとも互いに接触する部分が、予め同一の被覆物質で被覆されている燃料電池が開示されている。このため、ガスセパレータとガス拡散層とが接触する際に、接触抵抗が小さくなって燃料電池全体の内部抵抗を削減することができる、としている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術1では、少なくとも一方の極材とガス流路構造体であるセパレータとの接触部に、前記極材と同一のカーボン粒子を塗布しているが、前記カーボン粒子を密に塗布した部分が閉塞され易い。これにより、ガス拡散性および排水性が低下するという問題がある。しかも、金属系セパレータが使用される場合、金属とカーボン粒子の接触面積を大幅に増加させることができず、接触抵抗を有効に低減することが困難となってしまう。
【0016】
また、上記の従来技術2では、ガス拡散層のメッシュが織物であるため、少なくともセパレータの凸部と接触する面積が小さく、接触抵抗の低減を図ることができないという問題がある。さらに、ガスセパレータとガス拡散層との両方にチタンによる特殊な被膜処理が施されるため、この被膜処理が煩雑なものとなるとともに、コストの高騰が惹起されてしまう。
【0017】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単かつ経済的な構成で、圧損の削減を図ることができ、セパレータと電解質膜・電極構造体との接触抵抗を有効に低減することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、固体高分子電解質膜の両側にそれぞれカーボン不織布からなるガス拡散層を有する電極を設けた電解質膜・電極構造体と、前記電解質膜・電極構造体を挟持する一対の金属板製セパレータとを備えるとともに、少なくとも一方の電極と、該一方の電極に対向するセパレータとの間には、前記セパレータが離間する部位にのみ多数の貫通孔を形成した金属板体が介装されている。
【0019】
このため、例えば、凹凸形状のセパレータは、金属板体を介して電極に接触することができ、実質的な接触面積を有効に確保することが可能になる。しかも、金属板製のセパレータと金属板体との接触抵抗が十分に低いため、前記セパレータの流路断面積を大きく設定しても、該セパレータと電極との接触抵抗を低減させることができ、反応ガスの低圧損化を図ることが可能になる。これにより、金属板製のセパレータを使用して、発電時の抵抗過電圧の低減と、反応ガス供給装置の消費電力の低減および小型化を図ることができ、燃料電池の発電性能を有効に向上させることが可能になる。
【0020】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池では、電極と金属板体の接触面積率が、前記金属板体を用いずに前記電極とセパレータを直接接触させた際の接触面積率よりも大きく設定されている。この場合、セパレータと金属板体との接触抵抗が極めて小さいため、前記セパレータと電極との実質的な接触面積が増加する。従って、発電時の抵抗過電圧の低減を確実に図るとともに、反応ガス供給装置の消費電力の低減が遂行可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の要部分解斜視図であり、図2は、前記燃料電池10の一部断面説明図である。通常、複数の燃料電池(単位セル)10が矢印A方向に積層されることにより、燃料電池スタックが構成されている。
【0023】
燃料電池10は、電解質膜・電極構造体14と、前記電解質膜・電極構造体14を挟持する第1および第2セパレータ16、18とを備える。第1および第2セパレータ16、18は、金属製薄板、例えば、鋼材(SUS材)製の薄板により構成されている。
【0024】
図1に示すように、電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の長辺(矢印B方向)側の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口20b、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口22a、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口24bが設けられる。
【0025】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の長辺側の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口24a、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口22b、および冷却媒体を供給するための冷却媒体入口20aが設けられる。
【0026】
電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜26と、該固体高分子電解質膜26を挟持するアノード側電極28およびカソード側電極30とを備える。
【0027】
アノード側電極28およびカソード側電極30は、図2に示すように、カーボン不織布等からなるガス拡散層32a、32bと、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層32a、32bの表面に一様に塗布されてなる電極触媒層34a、34bとをそれぞれ有する。電極触媒層34a、34bは、互いに固体高分子電解質膜26を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜26の両面に接合されている。
【0028】
図1に示すように、第1セパレータ16の電解質膜・電極構造体14側の面16aには、燃料ガス流路36が設けられるとともに、この燃料ガス流路36は、燃料ガス入口24aと燃料ガス出口24bとに連通する。燃料ガス流路36は、図2に示すように、ガス拡散層32a側に突出する接触平坦面36aを介して水平方向に延在する複数本の溝部により構成されている。
【0029】
図1に示すように、第2セパレータ18の電解質膜・電極構造体14側の面18aには、酸化剤ガス入口22aと酸化剤ガス出口22bとを連通する酸化剤ガス流路38が形成される。酸化剤ガス流路38は、図2に示すように、ガス拡散層32b側に突出する接触平坦面38aを介して水平方向に延在する複数本の溝部により構成されている。第2セパレータ18の面18bには、冷却媒体入口20aと冷却媒体出口20bとを連通する冷却媒体流路40が形成される。冷却媒体流路40は、酸化剤ガス流路38と表裏の関係であり、この酸化剤ガス流路38と同様に構成されている。
【0030】
図1および図2に示すように、第1セパレータ16と電解質膜・電極構造体14のガス拡散層32aとの間、および(/または)第2セパレータ18と前記電解質膜・電極接合体14のガス拡散層32bとの間には、金属板体42、44が介装される。
【0031】
金属板体42、44は、第1および第2セパレータ16、18と電解質膜・電極構造体14との間で、燃料ガスおよび酸化剤ガスの透過と電子導電の両機能を備えている。金属板体42、44は、第1および第2セパレータ16、18と同様に、鋼材(SUS材)製の薄板により構成されており、多数の貫通孔46a、46bが形成される。貫通孔46a、46bは、例えば、塩化第二鉄や塩化第二銅等による化学エッチングあるいはプレス打ち抜き等によって形成される。
【0032】
金属板体42の貫通孔46aは、第1セパレータ16の燃料ガス流路36に対応して設けられており、この第1セパレータ16の接触平坦面36aに対応する部分には、前記貫通孔46aが設けられていない平坦面42aが形成される。この平坦面42aは、実質的に第1セパレータ16の接触平坦面36aの幅寸法と同等の範囲にわたって設けられている。
【0033】
金属板体44の貫通孔46bは、第2セパレータ18の酸化剤ガス流路38に対応して設けられており、この第2セパレータ18の接触平坦面38aに対応する部分には、前記貫通孔46bが設けられていない平坦面44aが形成される。この平坦面44aは、接触平坦面38aの幅寸法と同等の範囲にわたって設けられている。
【0034】
金属板体42、44とガス拡散層32a、32bの接触面積率は、前記金属板体42、44を用いずに前記ガス拡散層32a、32bと第1および第2セパレータ16、18の接触平坦面36a、38aとを直接接触させた際の接触面積率よりも大きく設定される。さらに、後述するように、ガス拡散層32a、32bと金属板体42、44の接触面積S1および目標接触抵抗R1と、前記金属板体42、44を用いずに前記ガス拡散層32a、32bと第1および第2セパレータ16、18の接触平坦面36a、38aを直接接触させた際の接触面積S2および接触抵抗R2とが、S1≧S2・R2/R1の関係に設定される。
【0035】
このように構成される第1の実施形態に係る燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0036】
図1に示すように、燃料電池10内には、水素含有ガス等の燃料ガスと、酸素含有ガスである空気等の酸化剤ガスと、純水やエチレングリコールやオイル等の冷却媒体とが供給される。
【0037】
このため、矢印A方向に連通している酸化剤ガス入口22aに供給された酸化剤ガスは、第2セパレータ18に設けられている酸化剤ガス流路38に導入され、金属板体44の貫通孔46bを通過して電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極30に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口24aから第1セパレータ16の燃料ガス流路36に導入され、金属板体42の貫通孔46aを通過して電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極28に沿って移動する。
【0038】
従って、電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極30に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極28に供給される燃料ガスとが、電極触媒層34b、34a内で電気化学反応により消費され、発電が行われる(図2参照)。
【0039】
次いで、アノード側電極28に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口24bに排出される(図1参照)。同様に、カソード側電極30に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口22bに排出される。
【0040】
また、冷却媒体入口20aに供給された冷却媒体は、第2セパレータ18の冷却媒体流路40に導入される。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、冷却媒体出口20bに排出される。
【0041】
この場合、第1の実施形態では、第1および第2セパレータ16、18と電解質膜・電極構造体14との間に、この第1および第2セパレータ16、18と同一材質の、例えば、鋼材製の金属板体42、44が介装されている。この金属板体42、44は、燃料ガス流路36および酸化剤ガス流路38に対応して複数の貫通孔46a、46bを設けており、前記第1および第2セパレータ16、18と電解質膜・電極構造体14との間で、燃料ガスおよび酸化剤ガスの透過と電子導電の両機能を備えている。
【0042】
このため、第1および第2セパレータ16、18と、ガス拡散層32a、32bとの直接接触では不十分であった接触面積を、金属板体42、44を介在させることによって有効に確保することができる。しかも、第1および第2セパレータ16、18と金属板体42、44とが同一の金属材料で形成されているため、前記第1および第2セパレータ16、18と前記金属板体42、44との接触抵抗が十分に低くなる。
【0043】
従って、第1および第2セパレータ16、18の燃料ガス流路36および酸化剤ガス流路38の流路断面積を大きく設定することにより、接触平坦面36a、38aの面積が小さくなっても、前記第1および第2セパレータ16、18とガス拡散層32a、32bとの接触抵抗を低減させることができ、燃料ガスおよび酸化剤ガスの低圧損化を図ることが可能になる。
【0044】
これにより、金属板製の第1および第2セパレータ16、18を使用して、発電時の抵抗過電圧の低減と、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給装置における消費電力の低減および小型化が図られ、燃料電池10の発電性能を有効に向上させるという効果が得られる。
【0045】
図3は、第1の参考例に係る燃料電池60の一部断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細の説明は省略する。また、以下に説明する第1乃至第3の参考例と第2および第3の実施形態とにおいても同様である。
【0046】
燃料電池60では、第1および第2セパレータ16、18と電解質膜・電極構造体14との間に、金属板体62、64が介装されている。金属板体62、64は、金属製の、例えば、鋼材製の薄板により構成されており、全面にわたって複数の貫通孔66a、66bが所定の間隔ずつ離間して形成されている。
【0047】
この貫通孔66a、66bは、第1および第2セパレータ16、18の接触平坦面36a、38aに対応する位置にも設けられている点で、第1の実施形態に係る燃料電池10と相違する。これにより、接触平坦面36a、38aに対応する位置においても、燃料ガスおよび酸化剤ガスが円滑に供給され、発電性能の向上を図ることができる。
【0048】
ガス拡散層32a、32bと金属板体62、64の接触面積率は、この金属板体62、64を用いずに前記ガス拡散層32a、32bと前記第1および第2セパレータ16、18を直接接触させた際の接触面積率よりも大きく設定されている。
【0049】
図4は、第2の参考例に係る燃料電池80の一部断面説明図である。この燃料電池80を構成する電解質膜・電極構造体82は、固体高分子電解質膜26と、この固体高分子電解質膜26を挟持するアノード側電極28およびカソード側電極30とを備えるとともに、前記アノード側電極28および前記カソード側電極30は、電極触媒層34a、34bを設けている。電解質膜・電極構造体82は、ガス拡散層を設けていない。
【0050】
電極触媒層34a、34bには、金属板体42、44が配置されており、前記金属板体42、44に第1および第2セパレータ16、18が配置されて燃料電池80が構成されている。
【0051】
図5は、第3の参考例に係る燃料電池100の一部断面説明図である。この燃料電池100は、電解質膜・電極構造体82と、前記電解質膜・電極構造体82を挟持する第1および第2セパレータ16、18と、前記第1および第2セパレータ16、18と前記電解質膜・電極構造体82の間に介装される金属板体62、64とを備えている。
【0052】
そこで、第1の実施形態および第1乃至第3の参考例に係る燃料電池10、60、80および100と、図12に示す従来技術に係る燃料電池とを用いて、接触抵抗値を検出する実験を行った。その結果が図6に示されている。
【0053】
図6中には、比較例1と第1の実施形態および第1乃至第3の参考例に用いられるそれぞれの構成要素の寸法や組成等が記載されている。例えば、第1の実施形態に使用される金属板体42、44は、接触平坦面36a、38aの幅寸法が1.0mmで、各貫通孔46a、46b同士の間隔が0.2mmに設定される一方、第1の参考例に使用される金属板体62、64は、各貫通孔66a、66bが0.2mm間隔ずつ離間して配置されている。
【0054】
運転条件としては、カソード側電極30において、電流密度が1.0A/cm2、電極面積が100cm2、酸化剤ガスの温度が75℃、露点65℃、さらに、酸化剤ガスの利用率が50%である。また、金属(鋼材)同士の接触抵抗が、5mΩ・cm2であり、金属(鋼材)とカーボンとの接触抵抗が30mΩ・cm2である。
【0055】
この場合、図6に示すように、比較例1では、金属系セパレータ1と電解質膜・電極構造体2との接触面積が小さくて接触抵抗値が増大しているのに対し、第1の実施形態では、金属板体42、44とガス拡散層32a、32bとの異種部材間の接触面積を増加させることにより、大幅な接触抵抗値の低下を図ることができた。
【0056】
ここで、金属板体42、44が介在されることにより、この金属板体42、44と第1および第2セパレータ16、18との接触抵抗が発生するが、同一金属同士間の抵抗が極めて小さく、全体としての接触抵抗値を削減するという効果が得られた。
【0057】
次いで、第1の参考例では、燃料ガスおよび酸化剤ガスの拡散性をさらに向上させるために、金属板体62、64の全面に複数の貫通孔66a、66bが設けられている。このため、金属板体62、64とガス拡散層32a、32bとの接触面積および前記金属板体62、64と第1および第2セパレータ16、18との接触面積が、第1の実施形態に比べて減少した。
【0060】
図7は、本発明の第2および第3の実施形態に係る燃料電池120、140の一部断面説明図である。
【0061】
第2の実施形態に係る燃料電池120は、第1および第2セパレータ16、18の燃料ガス流路36および酸化剤ガス流路38の溝深さiが0.30mmに設定されることにより、前記第1および第2セパレータ16、18の倒れ角度gと金属板体42、44の平坦面42a、44aの接触長さhとが決定される。
【0062】
第3の実施形態に係る燃料電池140を構成する第1および第2セパレータ16、18は、燃料ガス流路36および酸化剤ガス流路38の溝深さjが0.45mmに設定されることにより、前記第1および第2セパレータ16、18の倒れ角度gおよび金属板体42、44の平坦面42a、44aの接触長さhが決定される。
【0063】
そこで、第2の実施形態に係る燃料電池120と同一寸法の第1および第2セパレータ16、18を備え、かつ金属板体42、44を用いない構成を比較例2とする。一方、第3の実施形態に係る燃料電池140を構成する第1および第2セパレータ16、18と同一寸法の第1および第2セパレータ16、18を備え、かつ金属板体42、44を用いない構成を比較例3とする。
【0064】
次に、第2の実施形態と比較例2および第3の実施形態と比較例3を用い、接触抵抗と流路断面積の関係および接触抵抗と圧損の関係を検出する実験を行った。図8は、第2の実施形態および比較例2における接触抵抗と流路断面積の関係説明図であり、図9は、第3の実施形態および比較例2における接触抵抗と圧損の関係説明図である。
【0065】
これにより、第2の実施形態では、比較例2に比べて流路断面積を大きくすることができるとともに、圧損の低減を図ることが可能になった。さらに、接触抵抗および圧損を、比較例2よりも低くできる範囲を設定することが可能になった。
【0066】
また、図10は、第3の実施形態および比較例3における接触抵抗と流路断面積の関係説明図であり、図11は、第3の実施形態および比較例3における接触抵抗と圧損の関係説明図である。
【0067】
このため、第3の実施形態では、比較例3に比べて流路断面積を大きくするとともに、圧損を小さくすることができ、さらに接触抵抗も圧損も比較例3よりも低くできる範囲が設定可能になった。従って、第2および第3の実施形態では、従来構成に比べて、抵抗過電圧の低減による発電性能の向上と、圧損の低減による小型化とを有効に図るという効果が得られる。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、例えば、凹凸形状のセパレータが、金属板体を介して電極との実質的な接触面積を有効に確保することができ、前記セパレータと前記電極との接触抵抗を低減するとともに、反応ガスの低圧損化を図ることが可能になる。これにより、金属板製セパレータを使用して、発電時の抵抗過電圧の低減と、反応ガス供給装置の消費電力の低減および小型化を図ることができ、燃料電池の発電性能を有効に向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図2】 前記燃料電池の一部断面説明図である。
【図3】 第1の参考例に係る燃料電池の一部断面説明図である。
【図4】 第2の参考例に係る燃料電池の一部断面説明図である。
【図5】 第3の参考例に係る燃料電池の一部断面説明図である。
【図6】 第1の実施形態と第1乃至第3の参考例および比較例1において、接触抵抗値を検出する際の説明図である。
【図7】 本発明の第2および第3の実施形態に係る燃料電池の一部断面説明図である。
【図8】 第2の実施形態および比較例2における接触抵抗と流路断面積の関係説明図である。
【図9】 第2の実施形態および比較例2における接触抵抗と圧損の関係説明図である。
【図10】 第3の実施形態および比較例3における接触抵抗と流路断面積の関係説明図である。
【図11】 第3の実施形態および比較例3における接触抵抗と圧損の関係説明図である。
【図12】 従来技術に係る金属系セパレータを組み込む燃料電池の一部断面説明図である。
【図13】 従来技術に係るカーボン系セパレータを組み込む燃料電池の一部断面説明図である。
【符号の説明】
10、60、80、100、120、140…燃料電池
14、82…電解質膜・電極構造体 16、18…セパレータ
26…固体高分子電解質膜 28…アノード側電極
30…カソード側電極 32a、32b…ガス拡散層
34a、34b…電極触媒層 36…燃料ガス流路
36a、38a…接触平坦面 38…酸化剤ガス流路
40…冷却媒体流路 42、44、62、64…金属板体
42a、44a…平坦面
46a、46b、66a、66b…貫通孔
Claims (2)
- 固体高分子電解質膜の両側にそれぞれカーボン不織布からなるガス拡散層を有する電極を設けた電解質膜・電極構造体と、前記電解質膜・電極構造体を挟持する一対の金属板製セパレータとを備える燃料電池であって、
少なくとも一方の電極と、該一方の電極に対向するセパレータとの間に介装される金属板体を備えるとともに、
前記金属板体は、前記セパレータに接触する部位に設けられる平坦面と、
前記セパレータが離間する部位にのみ形成される多数の貫通孔と、
を設けることを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記電極と前記金属板体の接触面積率は、前記金属板体を用いずに前記電極と前記セパレータを直接接触させた際の接触面積率よりも大きく設定されることを特徴とする燃料電池。
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