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JP3836671B2 - ネットワーク二重化装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワーク二重化装置および方法に関し、特に1つの伝送路を用いて相互に通信を行う接続機器からなるネットワークを、独立した2つの伝送路からなる二重化伝送路を用いて二重化する場合に用いられるネットワーク二重化装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラントや建物などを監視する監視システムでは、監視対象となる複数の現場設備からの設備データを、所定の伝送路(通信回線)を介して収集することにより、各現場設備の状態を中央監視室で集中管理している。このような監視システムでは、24時間稼働がほとんどであり、通信異常に起因するシステムダウンは、生産や設備運転に対して多大な影響を与える。このため、設備データの欠損の原因となるようなネットワークの障害が発生した場合の対策として、ネットワークの二重化を実施する必要がある。
【0003】
従来、このようなネットワークの二重化を実現する方法として、A系,B系の伝送路を2つ配線し、各伝送路を交互に切り替えてデータ伝送し、この送信応答結果に基づき複数の接続機器に対して通信可能かどうかの情報を得て、通信不可能な伝送路があった場合は、交互切り替えでなく通信可能な一方の伝送路のみでデータ送受信を行うようにしたものが提案されている(例えば、特開平8−251213号公報など参照)。
このほか、2つのコントローラとそれを制御するドライバを設け、かつ同じアドレスを割り付け、先に受信したものを登録し通信を行うようにしたものが提案されている(例えば、特開平10−290242号公報など参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のネットワークの二重化技術では、前者によれば、図9に示すように、既存の各接続機器94A〜94Cを一方の伝送路91へ接続するとともに、各接続機器94A〜94Cごとにそれぞれ二重化のための拡張ボードなどの専用ハードウェア(H/W)や二重化処理のための専用ソフトウェア(S/W)95A〜95Cを追加して他方の伝送路92へ接続する必要がある。したがって、これら追加する専用ハートウェアや専用ソフトウェアの開発工数など多大なコストが必要となるという問題点があった。
【0005】
また、既存の接続機器の構成に依存することになるため、所望の専用ハードウェアや専用ソフトウェアを容易に追加しあるいは修正できないという問題点があった。一方、後者によれば、ネットワークプリンタなどの接続機器では、専用ハードウェアの追加装備が実際には不可能なため、このような接続機器については二重化できないという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、接続機器の構成に依存することなく、また多大なコストを必要とすることなく、容易にネットワークの二重化を実現できるネットワーク二重化装置および方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明にかかるネットワーク二重化装置は、独立して設けられた第1および第2の伝送路を有する二重化伝送路と1つの伝送路を用いて通信を行う1つ以上の接続機器がそれぞれ接続された複数の第3の伝送路との間に個別に設けられ、第1および第2の伝送路のうちのいずれか一方へ第3の伝送路を接続する系切り替え部と、第1および第2の伝送路のうち通信に使用している一方の伝送路に障害が発生した場合は系切り替え部を制御して第3の伝送路を第1および第2の伝送路のうちの他方の伝送路へ切り替え接続する制御部とを備え、1つのマスタ装置がそれ以外のスレーブ装置を管理するマスタ・スレーブ方式のマスタ装置またはスレーブ装置のいずれかの装置としてそれぞれ動作するネットワーク二重化装置であって、制御部は、第1および第2の伝送路のうち監視の対象となる対象伝送路を介して所定のメッセージをやり取りする相互確認手段を有し、マスタ装置として動作するネットワーク二重化装置の相互確認手段は、対象伝送路を介して各スレーブ装置へ所定のチェックメッセージを送信し、このチェックメッセージに応じて各スレーブ装置から対象伝送路を介して返送される確認メッセージの有無に基づき当該伝送路の障害有無を判断し、スレーブ装置として動作するネットワーク二重化装置の相互確認手段は、対象伝送路を介してマスタ装置からのチェックメッセージを受信した場合に対象伝送路を介して確認メッセージをマスタ装置へ返送し、スレーブ装置として動作するネットワーク二重化装置の制御部のマスタ監視手段で、対象伝送路を介してマスタ装置から送信されるチェックメッセージによりマスタ装置を監視し、チェックメッセージが定期的に到達しなかった場合、当該スレーブ装置が他のスレーブ装置より優先順位が高い場合にのみ、当該スレーブ装置をマスタ装置の代理として動作させるようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかるネットワーク二重化方法は、独立して設けられた第1および第2の伝送路を有する二重化伝送路と1つの伝送路を用いて通信を行う1つ以上の接続機器がそれぞれ接続された複数の第3の伝送路との間に個別にネットワーク二重化装置を設け、ネットワーク二重化装置の系切り替え部では、第1および第2の伝送路のうちのいずれか一方へ第3の伝送路を接続するものとし、第1および第2の伝送路のうち通信に使用している一方の伝送路に障害が発生した場合は系切り替え部を制御して第3の伝送路を第1および第2の伝送路のうちの他方の伝送路へ切り替え接続し、各ネットワーク二重化装置が、1つのマスタ装置がそれ以外のスレーブ装置を管理するマスタ・スレーブ方式のマスタ装置またはスレーブ装置のいずれかの装置としてそれぞれ動作するネットワーク二重化方法であって、各ネットワーク二重化装置は、第1および第2の伝送路のうち監視の対象となる対象伝送路を介して所定のメッセージをやり取りすることにより、ネットワーク二重化装置相互間で動作確認し、マスタ装置として動作するネットワーク二重化装置は、対象伝送路を介して各スレーブ装置へ所定のチェックメッセージを送信し、このチェックメッセージに応じて各スレーブ装置から対象伝送路を介して返送される確認メッセージの有無に基づき当該伝送路の障害有無を判断し、スレーブ装置として動作するネットワーク二重化装置は、対象伝送路を介してマスタ装置からのチェックメッセージを受信した場合に対象伝送路を介して確認メッセージをマスタ装置へ返送するとともに、対象伝送路を介してマスタ装置から送信されるチェックメッセージによりマスタ装置を監視し、チェックメッセージが定期的に到達しなかった場合、当該スレーブ装置が他のスレーブ装置より優先順位が高い場合にのみ、当該スレーブ装置をマスタ装置の代理として動作させるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態にかかるネットワーク二重化装置を用いた二重化ネットワークを示す基本構成図である。ここでは、二重化伝送路として、常時、通信に用いられる常時通信系の伝送路(第1の伝送路)1と、常時通信系の伝送路1に障害がある場合に用いられるバックアップ系の伝送路(第2の伝送路)2とが独立して設けられている。1つの伝送路を介して相互に通信を行うネットワーク接続装置(以下、接続装置という)4X,4A,4Bは、それぞれ伝送路(第3の伝送路)3X,3A,3Bを介して、それぞれ個別に設けられたネットワーク二重化装置(以下、二重化装置という)5X,5A,5Bに接続されており、これら二重化装置5X,5A,5Bを介してそれぞれの伝送路3X,3A,3Bが伝送路1または伝送路2のいずれか一方へ切り替え接続される。
【0013】
図2に二重化装置の構成例を示す。この二重化装置5には、接続機器が接続されている伝送路3と接続するための通信I/F部52、この通信I/F部52を介して接続された伝送路3を伝送路1または伝送路2のいずれか一方へ接続する系切り替え部51、およびこれら系切り替え部51および通信I/F部52を制御する制御部53が設けられている。
制御部53には、伝送路1,2を介して他の二重化装置と通信を行うことにより、伝送路を監視する相互確認手段54、および後述のマスタ・スレーブ方式で動作する各二重化装置のうち、スレーブ装置となる1つの二重化装置がマスタ装置となる二重化装置を監視し、その異常検出に応じて代理マスタ装置となるマスタ監視手段が設けられている。
【0014】
系切り替え部51については、常時、伝送路1,2の両方と接続しており、制御部53の相互確認手段54やマスタ監視手段55では、必要に応じて伝送路1,2の一方を任意に選択してメッセージの送受信を行うことができる。
制御部53のこれら機能手段は、特定用途向きの集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Cirtuit:)や内部ゲート回路の構成を変更可能なゲートアレイFPGA(Field Programmable Gate Array:)などからなるハードウェア資源とそれぞれの機能を提供するプログラムからなるソフトウェア資源とが協動することにより実現される。これら構成は本実施の形態にかかる二重化装置5X,5A,5Bで共通である。
【0015】
次に、本実施の形態にかかる二重化装置の動作を説明する。
まず、本実施の形態にかかる二重化装置で適用されるマスタ・スレーブ方式について説明する。このマスタ・スレーブ方式とは、複数の装置を管理する場合に用いられる管理方式であり、各装置のうちの1つをマスタ装置とするとともに、それ以外のすべての装置をスレーブ装置とし、1つのマスタ装置ですべてのスレーブ装置を管理する方式である。図1では、例えば二重化装置5Xがマスタ装置となり、二重化装置5A,5Bを管理する。なお、どの二重化装置もマスタ装置およびスレーブ装置の機能を予め有しており、電源投入された順序などに基づいて、マスタ装置として動作するかスレーブ装置として動作するかがそれぞれの制御部53で決定される。また、マスタ装置では、各スレーブ装置に対してその接続認識時にアドレスを付与し、そのアドレスに基づき各装置間でデータ通信が行われる。
【0016】
次に、図3を参照して、相互確認処理について説明する。図3はマスタ装置における相互確認処理を示すフローチャートである。以下では、図1で示した構成のネットワークを例とし、二重化装置5Xがマスタ装置として動作し、二重化装置5A,5Bがスレーブ装置として動作する場合を例として説明する。
各二重化装置5X,5A,5Bの制御部53では、相互確認手段54を用いて他の二重化装置との相互確認処理を定期的に実行している。
二重化装置のうちマスタ装置として動作する二重化装置5Xの相互確認手段54では、まず、スレーブ装置として動作する二重化装置5A,5Bのうち未処理のスレーブ装置を選択し(ステップ200)、そのスレーブ装置に対して系切り替え部51から常時通信系の伝送路1を介してヘルシィチェックメッセージを送出する(ステップ201)。
【0017】
このヘルシィチェックメッセージは、接続機器間でやり取りされるデータとは別個の管理用のメッセージデータであり、伝送路1を介してその宛先であるスレーブ装置で受信される。スレーブ装置の相互確認手段54では、系切り替え部51を介してマスタ装置からのヘルシィチェックメッセージを受信し、これを確認したことを通知するマスタ装置宛の確認メッセージを、系切り替え部51を介して伝送路1へ送出する。
マスタ装置の相互確認手段54では、送出したヘルシィチェックメッセージに対する確認メッセージが、その送出から所定時間内に返送されてくるかどうか検査する(ステップ202)。ここで、系切り替え部51を介して所定時間内に確認メッセージが到着した場合は(ステップ202:YES)、当該スレーブ装置との間の伝送路1が正常であると判断し、次に未処理のスレーブ装置があれば(ステップ203:YES)、ステップ200へ戻って次のスレーブ装置を選択する。
【0018】
また、すべてのスレーブ装置との間の伝送路1が正常であることが確認された場合は(ステップ203:NO)、現在、バックアップ系の伝送路2で通信中の場合にのみ(ステップ204:YES)、常時通信系の伝送路1への復旧指示メッセージをすべてのスレーブ装置に対して送出し(ステップ205)、一連の処理を終了する。なお、伝送路1で通信中の場合には(ステップ204:NO)、伝送路の切り替えを行わず一連の処理を終了する。
これにより、バックアップ系の伝送路2で通信中の場合には、この復旧指示メッセージの受信に応じて各スレーブ装置の相互確認手段54により系切り替え部51が制御されるとともに、マスタ装置の相互確認手段54により系切り替え部51が制御されて、それぞれの伝送路3が伝送路1側へ切り替え接続され、正常が確認された伝送路1を用いた通信が再開される。
【0019】
一方、ステップ202において、所定期間内に確認メッセージを受信できなかった場合は(ステップ202:NO)、前回と同様にして当該スレーブ装置に対してヘルシィチェック信号を再送する(ステップ206)。そして、再送したヘルシィチェックメッセージの送出から所定時間内に確認メッセージが返送されてくるかどうか検査し(ステップ207)、系切り替え部51を介して所定時間内に確認メッセージが到着した場合は(ステップ207:YES)、正常と判断して、上記のステップ203へ移行する。
【0020】
また、ステップ207において、所定期間内に確認メッセージを受信できなかった場合は(ステップ207:NO)、常時通信系の伝送路1に障害が発生していると判断する。そして、現在、常時通信系の伝送路1で通信中の場合には(ステップ208:YES)、伝送路1または伝送路2、あるいはその両方を用いて、バックアップ系の伝送路2への切り替え指示メッセージをすべてのスレーブ装置に対して送出し、各スレーブ装置からの伝送路切替終了通知を受信確認した後(ステップ209)、一連の処理を終了する。なお、伝送路2で通信中の場合には(ステップ208:NO)、伝送路の切り替えを行わず一連の処理を終了する。
これにより、常時通信系の伝送路1で通信中の場合には、この切り替え指示メッセージの受信に応じて各スレーブ装置の系切り替え部51が制御されるとともに、マスタ装置の系切り替え部51が制御されて、それぞれの伝送路3が伝送路2側へ切り替え接続され、障害発生が確認された伝送路1を用いた通信が中断され、バックアップ系の伝送路2での通信が再開される。
【0021】
図4に相互確認処理の動作例を示す。まず、図1の二重化装置5X,5A,5Bは、常時通信系の伝送路1を用いて相互に通信している(ステップ100)。このとき、二重化装置5Xはマスタ装置として動作し、二重化装置5A,5Bはスレーブ装置A,Bとして動作しているものとする。
二重化装置5Xでは、上記した図3の相互確認処理に基づいて、二重化装置5Aを選択し、伝送路1を介してヘルシィチェックメッセージを送出する(ステップ110)。
二重化装置5Aでは、このヘルシィチェックメッセージを受信した場合は、通信が正常であると判断して(ステップ111)、伝送路1を介して確認メッセージを返送する(ステップ112)。
【0022】
これにより、二重化装置5Xでは、ヘルシィチェックメッセージの送出から所定時間以内に確認メッセージを受信したことから、スレーブ装置Aまでの伝送路1が正常であると判断し(ステップ113)、次に未処理の二重化装置5Bを選択し、伝送路1を介してヘルシィチェックメッセージを送出する(ステップ120)。
ここで、二重化装置5Xと二重化装置5Bとの間の伝送路1に障害があった場合(ステップ121)、ヘルシィチェックメッセージが二重化装置5Bに到達せず、確認メッセージが返送されない。
二重化装置5Xでは、ヘルシィチェックメッセージの送出から所定時間以内に確認メッセージを受信できなかったことから(ステップ122)、二重化装置5Bへヘルシィチェックメッセージを再送する(ステップ123)。
【0023】
ここでも、二重化装置5Xと二重化装置5Bとの間の伝送路1に障害があるため(ステップ124)、ヘルシィチェックメッセージが二重化装置5Bに到達せず、確認メッセージが返送されない。
二重化装置5Xでは、ヘルシィチェックメッセージの再送から所定時間以内に確認メッセージを受信できなかったことから(ステップ125)、二重化装置5Bとの間の伝送路1で障害が発生していると判断し(ステップ125)、伝送路2を介して各スレーブ装置すなわち二重化装置5A,5Bへ系切り替え指示メッセージを送出する(ステップ130)。これにより、各二重化装置5A,5Bでバックアップ系の伝送路2への切り替え接続が行われる。また、二重化装置5Xでもバックアップ系の伝送路2への切り替え接続が行われ、伝送路2を用いた通信が開始される(ステップ131)。
【0024】
このように、二重化伝送路を構成する伝送路1,2と接続機器4が接続される伝送路3との間に、各接続機器4ごとにそれぞれ二重化装置5を設け、伝送路1,2のうち通信に使用している一方の伝送路に障害が発生した場合は、制御部53の相互確認手段54から系切り替え部51を制御して、伝送路3を伝送路1,2のうちの他方の伝送路へ切り替え接続するようにしたので、それぞれの接続機器の構成に依存する二重化のための専用ハードウェアや専用ソフトウェアを開発し追加する必要がなくなり、接続機器の構成に依存することなく、また多大なコストを必要とすることなく、容易にネットワークの二重化を実現できる。
また、マスタ装置から各スレーブ装置に対して個別にヘルシィチェックメッセージを送出し、当該スレーブ装置から返送される確認メッセージの有無に応じて伝送路の障害有無を検査するようにしたので、接続機器に対して余分な負荷を与えることなく効率よく、かつ正確に伝送路の障害有無を確認できる。
【0025】
以上では、ヘルシィチェックメッセージを2回送信した後、伝送路1での障害発生有無を判断する場合について説明したが、ヘルシィメッセージを送信する回数について限定されるものではなく、1回以上であれば何回でもよい。
また、伝送路1,2のうち伝送路1に関する障害有無を判断する場合について説明したが、伝送路2においても同様にして障害有無を判断できる。さらに、伝送路1で障害発生が確認された場合は、可聴表示あるいは可視表示により障害発生の旨のアラームを管理作業者に対して報知するようにしてもよい。
また、常時通信系の伝送路1で正常が確認された場合は、バックアップ系の伝送路2から直ちに復旧する場合を例として説明したが、伝送路2が正常であれば復旧せずにそのまま伝送路2での通信を継続し、伝送路2の異常発生に応じて伝送路1へ復旧するようにしてもよい。
【0026】
次に、図5を参照して、マスタ監視処理について説明する。図5はスレーブ装置におけるマスタ監視処理を示すフローチャートである。スレーブ装置として動作する二重化装置5A,5Bの制御部53では、マスタ監視手段55を用いてマスタ装置として動作する二重化装置5Xの監視を行っている。
マスタ監視手段55は、まず、伝送路1を介してマスタ装置からヘルシィチェックメッセージが定期的に送信されているかどうか確認する(ステップ210)。ここで、伝送路1に障害が発生してヘルシィチェックメッセージが停止し、所定時間以上にわたりヘルシィチェックメッセージが確認できなかった場合(ステップ210:YES)、他のスレーブ装置のうち自装置がマスタ候補であるかどうか判断する(ステップ211)。
【0027】
マスタ候補かどうかの判断は、例えば各スレーブ装置のうち、最も早期にマスタ候補として宣言した装置がマスタ候補となってもよく、他のスレーブ装置のアドレスと自装置のアドレスとを比較し、最も若いアドレスを有する場合にマスタ候補と判断してもよく、さらに他の方法を用いてもよい。
ここで、自装置がマスタ候補であった場合、それ以降は本来のマスタ装置を代理する代理マスタ装置として動作するものとし(ステップ212)、一連の処理を終了する。これにより、この代理マスタ装置において前述した図3の相互確認処理が行われる。
また、自装置がマスタ候補でなかった場合、それ以降もスレーブ装置として動作するものとし(ステップ213)、一連の処理を終了する。
【0028】
このように、スレーブ装置として動作する二重化装置で、マスタ装置の動作を監視するとともに、その異常に応じてマスタ候補であるスレーブ装置がマスタ装置の代理を行うようにしたので、マスタ装置への伝送路に障害が発生した場合でも、通信を継続することができ、高い信頼性が得られる。
【0029】
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる二重化装置を用いた二重化ネットワークの構成例について説明する。図6に二重化装置を用いた二重化ネットワークの構成例を示す。ここでは、ビル監視システムに適用したものが示されている。中央監視室10には、接続装置として、フロア20に設けられている現場設備を監視するための監視装置14X,14Zおよびネットワークプリンタ14Yが配置されている。また、二重化伝送路として常時通信系の伝送路11およびバックアップ系の伝送路12が配線されている。監視装置14X,14Zおよびネットワークプリンタ14Yは、それぞれ伝送路13X,13Zおよび伝送路13Yを介して二重化装置15X,15Zおよび二重化装置15Yに接続されている。また、これら二重化装置15X,15Y,15Zは、それぞれ伝送路11,12へ接続されている。
【0030】
これら伝送路11,12は、中央監視室10のスイッチ16,17およびフロア20のスイッチ26,27を介して、各フロア20の伝送路21,22と接続されている。フロア20には、現場設備として空調などのコントローラ24A,24Bが配置されており、伝送路23A,23Bを介して二重化装置25A,25Bへ接続されている。そして、この二重化装置25A,25Bは、それぞれ伝送路21,22へ接続されている。
このように、個々の接続機器ごとに二重化装置を設けたので、広い範囲にわたって容易にネットワークの二重化を実現でき、高い信頼性が得られる。
【0031】
図7に、二重化装置を用いた二重化ネットワークの構成例を示す。ここでは、図6と比較して、中央監視室10内の接続機器、すなわち監視装置14X,14Zおよびネットワークプリンタ14Yが、伝送路11へ共通して接続されており、この伝送路11が二重化装置15に接続されている。そして、この二重化装置15がフロア20の二重化伝送路すなわち伝送路21,22と接続されている。これにより、中央監視室10から先の伝送路においてネットワークの二重化を実現でき、二重化装置15の配置場所を選択することにより、必要な範囲だけを容易に二重化することができ、例えば図8に示すように、フロア20側に二重化装置25を配置すれば、例えば障害が発生しやすいフロア20内だけを二重化することもでき、ネットワークの二重化に要する設備コストを大幅に削減できる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、独立して設けられた第1および第2の伝送路を有する二重化伝送路と1つの伝送路を用いて通信を行う1つ以上の接続機器がそれぞれ接続された複数の第3の伝送路との間にネットワーク二重化装置を個別に設け、そのネットワーク二重化装置に、第1および第2の伝送路のうちのいずれか一方へ第3の伝送路を接続する系切り替え部と、この系切り替え部を制御する制御部とを設け、この制御部により、第1および第2の伝送路のうち通信に使用している一方の伝送路に障害が発生した場合は系切り替え部を制御して第3の伝送路を第1および第2の伝送路のうちの他方の伝送路へ切り替え接続するようにしたので、それぞれの接続機器の構成に依存する二重化のための専用ハードウェアや専用ソフトウェアを開発し追加する必要がなくなり、接続機器の構成に依存することなく、また多大なコストを必要とすることなく、容易にネットワークの二重化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態にかかるネットワーク二重化装置を用いた二重化ネットワークを示す基本構成図である。
【図2】 ネットワーク二重化装置を示すブロック図である。
【図3】 相互確認処理を示すフローチャートである。
【図4】 相互確認動作を示すシーケンス図である。
【図5】 マスタ監視処理を示すフローチャートである。
【図6】 ネットワーク二重化装置を用いた二重化ネットワークの構成例である。
【図7】 ネットワーク二重化装置を用いた二重化ネットワークの他の構成例である。
【図8】 ネットワーク二重化装置を用いた二重化ネットワークの他の構成例である。
【図9】 従来の二重化ネットワークを示す説明図である。
【符号の説明】
1…伝送路(常時通信系)、2…伝送路(バックアップ系)、3A,3B,3X…伝送路、4A,4B,4X…ネットワーク接続装置、5,5A,5B,5X…ネットワーク二重化装置、51…系切り替え部、52…通信I/F部、53…制御部、54…相互確認手段、55…マスタ監視手段、11…伝送路(常時通信系)、12…伝送路(バックアップ系)、13X,13Y,13Z,23A,23B…伝送路、14X,14Z…監視装置,14Y…ネットワークプリンタ、15X,15Y,15Z,25A,25B…二重化装置、16,17,26,27…スイッチ、24A,24B…コントローラ。

Claims (2)

  1. 独立して設けられた第1および第2の伝送路を有する二重化伝送路と1つの伝送路を用いて通信を行う1つ以上の接続機器がそれぞれ接続された複数の第3の伝送路との間に個別に設けられ、前記第1および第2の伝送路のうちのいずれか一方へ前記第3の伝送路を接続する系切り替え部と、前記第1および第2の伝送路のうち通信に使用している一方の伝送路に障害が発生した場合は前記系切り替え部を制御して前記第3の伝送路を前記第1および第2の伝送路のうちの他方の伝送路へ切り替え接続する制御部とを備え、1つのマスタ装置がそれ以外のスレーブ装置を管理するマスタ・スレーブ方式のマスタ装置またはスレーブ装置のいずれかの装置としてそれぞれ動作するネットワーク二重化装置であって、
    前記制御部は、前記第1および第2の伝送路のうち監視の対象となる対象伝送路を介して所定のメッセージをやり取りする相互確認手段を有し、
    前記マスタ装置として動作するネットワーク二重化装置の相互確認手段は、前記対象伝送路を介して各スレーブ装置へ所定のチェックメッセージを送信し、このチェックメッセージに応じて各スレーブ装置から前記対象伝送路を介して返送される確認メッセージの有無に基づき当該伝送路の障害有無を判断し、前記スレーブ装置として動作するネットワーク二重化装置の相互確認手段は、前記対象伝送路を介して前記マスタ装置からの前記チェックメッセージを受信した場合に前記対象伝送路を介して前記確認メッセージを前記マスタ装置へ返送し、
    前記スレーブ装置として動作するネットワーク二重化装置の制御部は、前記対象伝送路を介して前記マスタ装置から送信される前記チェックメッセージにより前記マスタ装置を監視し、前記チェックメッセージが定期的に到達しなかった場合、当該スレーブ装置が他のスレーブ装置より優先順位が高い場合にのみ、当該スレーブ装置を前記マスタ装置の代理として動作させるマスタ監視手段を有する
    ことを特徴とするネットワーク二重化装置。
  2. 独立して設けられた第1および第2の伝送路を有する二重化伝送路と1つの伝送路を用いて通信を行う1つ以上の接続機器がそれぞれ接続された複数の第3の伝送路との間に個別にネットワーク二重化装置を設け、前記ネットワーク二重化装置の系切り替え部では、前記第1および第2の伝送路のうちのいずれか一方へ前記第3の伝送路を接続するものとし、前記第1および第2の伝送路のうち通信に使用している一方の伝送路に障害が発生した場合は前記系切り替え部を制御して前記第3の伝送路を前記第1および第2の伝送路のうちの他方の伝送路へ切り替え接続し、前記各ネットワーク二重化装置が、1つのマスタ装置がそれ以外のスレーブ装置を管理するマスタ・スレーブ方式のマスタ装置またはスレーブ装置のいずれかの装置としてそれぞれ動作するネットワーク二重化方法であって、
    前記各ネットワーク二重化装置は、前記第1および第2の伝送路のうち監視の対象となる対象伝送路を介して所定のメッセージをやり取りすることにより、当該ネットワーク二重化装置相互間で動作確認し、
    前記マスタ装置として動作するネットワーク二重化装置は、前記対象伝送路を介して各スレーブ装置へ所定のチェックメッセージを送信し、このチェックメッセージに応じて各スレーブ装置から前記対象伝送路を介して返送される確認メッセージの有無に基づき当該伝送路の障害有無を判断し、
    前記スレーブ装置として動作するネットワーク二重化装置は、前記対象伝送路を介して前記マスタ装置からの前記チェックメッセージを受信した場合に前記対象伝送路を介して前記確認メッセージを前記マスタ装置へ返送するとともに、前記対象伝送路を介して前記マスタ装置から送信される前記チェックメッセージにより前記マスタ装置を監視し、前記チェックメッセージが定期的に到達しなかった場合、当該スレーブ装置が他のスレーブ装置より優先順位が高い場合にのみ、当該スレーブ装置を前記マスタ装置の代理として動作させる
    ことを特徴とするネットワーク二重化方法。
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