JP3836224B2 - 自動2輪車のカウリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの吸気系へ通じる吸気通路を有利に形成した自動2輪車のカウリング装置に関する。ここでエンジンの吸気系とは、エンジン及び気化器並びに必要に応じてエアークリーナを含む経路をいうものとする。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−86463号には、吸気通路前方を覆うアッパーカウルの前部中央にヘッドライト用の開口部を設け、さらにその下方に導風口を別個に開口させ、この導風口から走行風をエアークリーナへ導くようにした自動2輪車のカウリング装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記導風口には、エアークリーナへ向かう吸気通路を形成するための導風部材が必要であり、この導風部材をアッパーカウルと別体に形成し、かつこれをアッパーカウルの内側へ取付けなければならなかった。したがって、構造が複雑化し、かつ部品点数並びに組立工数が増加することになった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る自動2輪車のカウリング装置は、前車輪を操舵自在に枢支するヘッドパイプと、このヘッドパイプから後方へ延出してエンジンを支持するメインフレームと、前記ヘッドパイプの前方を覆うアッパーカウルと、このアッパーカウルの前面に設けた開口部に前面が臨むようにアッパーカウルの内側に配設されたヘッドライトと、を備えた自動2輪車のカウリング装置において、前記アッパーカウルにその開口部下辺からアッパーカウルの内側を後方へ延出する仕切部を一体に設け、この仕切部と前記ヘッドライトの下面とにより、エンジンの吸気系へ通じる吸気通路を形成するとともに、この吸気通路に臨むヘッドライトの下面を上方へ凹となる凹部により形成したことを特徴とする。
【0005】
【発明の効果】
走行風は、アッパーカウルの前面に設けられたヘッドライト用の開口部からアッパーカウル内側へ入り、ヘッドライトの下面とアッパーカウルの仕切部とにより構成され、かつ上方へ凹となる凹部が形成されたヘッドライトの下面が臨む吸気通路を後方のヘッドパイプ方向へ流れて、エンジンの吸気系先端からエンジンへ吸気される。ゆえに、従来のようなアッパーカウルと別体の導風部材が不要になるので、吸気通路の構造を簡略化でき、部品点数並びに組立工数を削減できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1はヘッドライトを取付けた状態で示す本実施例に係るフロントカウル側面図、図2はその正面図、図3は同平面図(ヘッドライト未装着状態)、図4はこのフロントカウルを取付けた自動2輪車の全体側面図、図5はその車体前部側を一部切り欠いて示す図である。
【0007】
図4に示すように、この自動2輪車は、前輪1と後輪2の間に直列多気筒エンジン3が配置され、この直列多気筒エンジン3は、その上方を通る左右一対のメインフレーム4及び上下方向へ延びる左右一対のピボットフレーム5により支持されている。
【0008】
メインフレーム4の前端はヘッドパイプ6へ連結され、ここにフロントフォーク7がハンドル8により回動自在となるように取付けられ、フロントフォーク7は左右一対をなして上下方向へ延びて下端部に前輪1を支持し、これにより前輪1がヘッドパイプ6へ操舵自在に支持されている。
【0009】
車体前部はフロントカウル10により覆われ、このフロントカウル10は、アッパーカウル11、サイドカウル12、アンダーカウル13で構成され、アッパーカウル11はヘッドパイプ6の前方を覆うとともに、その前面上部にはスクリーン14が取付けられ、その下方の前面中央にはヘッドライト15の前部が臨むヘッドライト用開口16が形成されている。
【0010】
サイドカウル12はエンジン3のシリンダ部を含む上部左右、並びにエンジン3の前方に配置されたラジエタ17を覆っており、アンダーカウル13は、前輪1の後方からエンジン3の下部左右並びに排気管18を覆っている。
【0011】
メインフレーム4上には燃料タンク20が支持され、その下面側に上方へ凸に形成された凹部21内にエアークリーナ22が収容され、その上部前面から前方へ延出する吸気ダクト23の先端は、ヘッドパイプ6の後方かつ左右のメインフレーム4に囲まれた空間内へ下向きに突出している(図5)。
【0012】
吸気ダクト23の先端からエアークリーナ22及びその下部のクリーンサイドに接続された気化器24並びにエンジン3の吸気ポート(図示省略)に至る経路は本願における吸気系をなし、吸気ダクト23の先端から取り込まれた走行風はエアークリーナ22から気化器24を介してエンジン3へ供給される。
【0013】
燃料タンク20の後方には、ピボットフレーム5の上部から後方へ延出するシートレール25に支持されたリヤカウル26及びその上に設けられたシート27が配置されている。
【0014】
ピボットフレーム5の上下方向中間部にはリヤスイングアーム28の前端部が回動自在に支持される。リヤスイングアーム28の中間部は緩衝器29を介してピボットフレーム5側へ連結されるとともに、後端部に後輪2が回動自在に支持されている。
【0015】
図5は車体前部をさらに詳細に示す図であり、ヘッドライト15はヘッドパイプ6から前方へ延出するステー30に支持されるとともに左右各上下で後述するようにアッパーカウル11の内側へ連結されている。
【0016】
ステー30の先端部は飾りネジ31によりヘッドライト15の上方位置でアッパーカウル11の前面中央部と共締めされている。また、ヘッドライト用開口16の周囲近傍で前方へ向いている曲面部には複数の空気孔32が形成されている。
【0017】
ステー30の中間部にはステー33を介して薄型の計器盤34が支持されている。アッパーカウル11の上部左右は、メインフレーム4側から左右上方へ延出するステー35の各上端部へバックミラー36と共締めされている。なお、ヘッドライト15の後方かつヘッドパイプ6の前方はアッパーカウル11に囲まれた空間になっている。
【0018】
図1乃至図3に明らかなように、ヘッドライト用開口16の下辺中央部は、下方かつ内側へ湾曲する凹部40になっており、ヘッドライト15の下面41のうち、この凹部40に対応する部分は上方へ凹となる凹部42をなし(図1)、これら凹部40と凹部42により、正面から見たときヘッドライト15の下部中央部に導風口43が開口するようになっている(図2)。
【0019】
この導風口43のうち、ヘッドライト用開口16の下辺である凹部40と連続する部分にはアッパーカウル11の内側を後方に向って板状の仕切部45が一体に延出形成され(図3)、この仕切部45とヘッドライト15の下面41との間に吸気通路46が形成される(図1)。
【0020】
仕切部45はヘッドライト15よりもやや長目に後方へ延出しており、吸気通路46の後方延長上近傍にはヘッドパイプ6さらには吸気ダクト23の先端部が位置するようになっている。
【0021】
図中の符号47はシールであって、ヘッドライト用開口16上側におけるヘッドライト15の上部とアッパーカウル11との重なる部分に介装されている(図1)。また、48はヘッドライト15の左右各上下に形成された取付部49をネジ止めするためのボスであり、50は飾りネジ31の取付穴、51はポジション灯52の収容凹部、53はバックミラー36の取付座である。
【0022】
次に、本実施例の作用を説明する。図1において走行風Wは、ヘッドライト15とアッパーカウル11により形成された導風口43からアッパーカウル11の内側へ入り、ヘッドライト15の下面41と仕切部45により形成された吸気通路46を通って後方へ流れ、やがてヘッドパイプ6の近傍に達するとエアークリーナ22の吸気ダクト23からエンジンの吸気系へ吸気される。
【0023】
したがって、エアークリーナ22に対する吸気通路46を確実に形成できるとともに、吸気通路46をヘッドライト15の下面41及びアッパーカウル11と一体の仕切部45を利用して形成したので、従来のように別体の導風口部材を用意する必要がなくなり、吸気通路46の構造を簡略化でき、かつ部品点数並びに組立工数を削減できる。
【0024】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず、種々に変形可能であり、例えば、仕切部45は吸気通路46を形成するため専用に設けず、ラジエタへの導風路を形成するための壁部など、他の機能をもって構成された部分を利用することもできる。さらに、エンジンの吸気系はエアークリーナを省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のフロントカウル側面図
【図2】 その正面図
【図3】 同平面図
【図4】 このフロントカウルを装着した自動2輪車の全体側面図
【図5】 その車体前部側を一部切り欠いて示す図
【符号の説明】
6:ヘッドパイプ、10:フロントカウル、11:アッパーカウル、15:ヘッドライト、16:ヘッドライト用開口、22:エアークリーナ、23:吸気ダクト、40:凹部、41:ヘッドライトの下面、42:ヘッドライト下面の凹部、43:導風口、45:仕切部、46:吸気通路、
Claims (1)
- 前車輪を操舵自在に枢支するヘッドパイプと、このヘッドパイプから後方へ延出してエンジンを支持するメインフレームと、前記ヘッドパイプの前方を覆うアッパーカウルと、このアッパーカウルの前面に設けた開口部に前面が臨むようにアッパーカウルの内側に配設されたヘッドライトと、を備えた自動2輪車のカウリング装置において、前記アッパーカウルにその開口部下辺からアッパーカウルの内側を後方へ延出する仕切部を一体に設け、この仕切部と前記ヘッドライトの下面とにより、エンジンの吸気系へ通じる吸気通路を形成するとともに、この吸気通路に臨むヘッドライトの下面を上方へ凹となる凹部により形成したことを特徴とする自動2輪車のカウリング装置。
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