JP3832554B2 - 塗装物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材に、下塗り剤及び上塗り剤を順次塗布してなる塗装物品に関し、特に上塗り層と下塗り層との密着性に優れ、長期間の屋外暴露にも耐え得る高度な耐候性、耐水性を有する塗装物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、環境汚染、安全な作業環境の確保の観点から、塗料或いはコーティング剤の分野では有機溶剤から水系へと分散媒の変更が求められている。
【0003】
この要求に基づき、アクリル樹脂系に代表されるラジカル重合性ビニルモノマーを乳化重合したエマルジョン系塗料が、被膜形成性、耐薬品性の良さからコーティング剤の基本材料として幅広く採用されている。
【0004】
しかしながら、この種のコーティング剤は本質的に耐水性及び耐候性が不足するという欠点を有している。
【0005】
一方、シラン化合物を加水分解・縮合して得られるシリコーン樹脂(レジン)は、高硬度であり、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、及び撥水性に優れた被膜を形成する能力があるため、コーティング剤として注目されている。その反面、被膜形成性、耐アルカリ性、被膜の可撓性に劣り、縮合活性に富むシラノール基に起因して貯蔵安定性も劣るという欠点がある。また、シリコーン樹脂は、一般的に有機溶剤に溶解した形態で使用されるため、火災・爆発の危険性、人体への有毒性、環境汚染等の問題があり、エマルジョン型の開発が求められている。
【0006】
これらの欠点を改良する目的で、アクリル樹脂にシリコーン樹脂を導入した複合エマルジョンを主成分としたコーティング組成物が提案されている(特開平11−49984号公報、特開平11−130962号公報)。これらの組成物は、シリコーン樹脂とアクリル樹脂の長所を兼ね備えた、耐候性に極めて優れた塗膜を形成する。従って、これらの塗膜は、長期の耐久性が求められる、太陽光、及び風雨に曝される屋外建築物、構造物、物品のトップコートに好適なものである。
【0007】
しかしながら、このような長期間屋外曝露される用途に使用する場合、塗膜自体の耐候性だけでは不十分であり、基材及び下塗り層との密着性が必須であるが、上述したシリコーン・アクリル複合樹脂エマルジョン塗膜は、シリコーン樹脂中に極性基であるシラノール基を含んでいるため、ガラス、金属等に対しては優れた密着性を有するが、プラスチック等の有機樹脂、及びスレート板のような多孔質無機基材上では、必ずしも密着性が十分であるとは言えない。
【0008】
このため、従来から、塗膜の基材への密着性を向上させるため、エポキシ系下塗り剤が使用されているが、基材としてALC(軽量気泡コンクリート)板のような多孔質で脆弱な表面に適用した場合、塗膜にワレが生じやすいなどの欠点を有する。
【0009】
また、上塗り剤であるシロキサン成分を豊富に含むシリコーン・アクリル複合樹脂は、従来公知のトップコート用樹脂、例えば側鎖に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(ケイ素含有量10%以下)とは、その塗膜物性が大きく異なり、本質的に下地との密着性が得られにくいという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、下塗り層と上塗り層との密着性が向上し、長期間の屋外暴露にも耐え得る高度な耐候性、耐水性を有する塗装物品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記〔I〕成分の下塗り剤及び下記〔II〕成分の上塗り剤を順次塗布することにより、下塗り層の加水分解性シリル基が加水分解して生成したシラノール基が、上塗り層中に豊富に含まれるシラノール基との間でシロキサン結合を生成し、これにより下塗り層と上塗り層との密着性が飛躍的に向上し、長期間の屋外暴露にも耐え得る高度な耐候性、耐水性を有すると共に、耐熱性、撥水性、被膜形成性、耐擦傷性、及び耐薬品性などの優れた被膜特性を有する塗装物品が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0012】
即ち、本発明は、基材に、下記〔I〕の下塗り剤及び下記〔II〕の上塗り剤を順次塗布してなることを特徴とする塗装物品を提供する。
〔I〕1級及び/又は2級アミノ基を有するオルガノオキシシランとエポキシ基を有するオルガノオキシシランとの反応物からなる下塗り剤。
〔II〕下記(A)成分を含むシリコーン樹脂含有エマルジョンを含有してなるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物を主成分として含む上塗り剤。
(A)(A−1)一般式R1−SiZ3で表される構造単位(T単位)を30〜100モル%含有し、全T単位のうち、一般式R1−Si(OH)Z’2で表されるシラノール基を1個だけ含有する構造単位(T−2単位)を30〜80モル%含有し(式中、R1は置換又は非置換の1価炭化水素基、Zは水酸基、加水分解性基又はシロキサン残基を示し、少なくとも1個はシロキサン残基であり、Z’はシロキサン残基を示す。)、数平均分子量500以上であるシラノール基含有シリコーン樹脂 100重量部、
(A−2)ラジカル重合性ビニルモノマー 10〜1000重量部
を含有する混合溶液を乳化重合して得られるシリコーン樹脂含有エマルジョン
【0013】
この場合、本発明の塗装物品は、第1に、以下の利点を有するシリコーンアクリルエマルジョン組成物からなる最外層(上塗り層)を有することを特徴とするものである。
(i)エマルジョン粒子中で、シリコーン樹脂とアクリル樹脂が相互貫入網目構造(IPN)を形成するため、両樹脂の不足点が補完され、造膜性に優れ、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性などの特性が良好で、均一な硬化塗膜が得られる。
(ii)エマルジョン粒子中では、ポリマー同士が無溶剤状態で絡み合うため、縮合活性に富むシラノール基の自由度が制限を受ける。その結果、シラノール基の含有量が高い系でもシラノール基の縮合が抑制され、良好な保存安定性が得られる。また、水に不溶性のシリコーン樹脂を使用するため、シリコーン樹脂は完全に粒子中に取り込まれ、このため安定性は良好な水準に維持される。
(iii)エマルジョン粒子中でシラノール基が拘束される結果、硬化時のシラノール基の架橋性はその高い硬化活性が温存され、比較的低温でも優れた硬化性を示す。
(iv)実質的に溶剤を含有しないので、乾燥・硬化の良好な被膜が得られ、また有害な溶剤の揮発もないので、良好な作業環境が確保される。また、エマルジョンの破壊を促進するアルコール成分を含有しないため、エマルジョンの安定性も良好な状態に保持される。
【0014】
第2に、上記シリコーンアクリルエマルジョン組成物から形成される塗膜の下塗りとして、本発明に従った下塗り剤を使用することにより、以下の利点を有する。
(v)SUS、プラスチック等のような、表面の接着に寄与するような活性基が少ない基材、或いはスレート板のように、水が浸透し得る多孔質基材の場合、加水分解性シリル基を含有した下塗り層を挟むことにより、温水に浸した時に発生する膨れを防止し得、基材との密着性が格段に向上する。
【0015】
以上の点から、本発明の塗装物品は、上記下塗り剤及び上塗り剤の作用効果が相俟って、下塗り層と上塗り層との密着性が飛躍的に向上し、長期間の屋外暴露にも耐え得る高度な耐候性、耐水性を有すると共に、耐熱性、撥水性、被膜形成性、耐擦傷性、及び耐薬品性などの優れた被膜特性を有するので金属、セラミック系無機材料、ガラス、木材、紙又はプラスチックなどを基材とする各種構造物、建築物として好適なものであり、従来アクリル・シリコーン樹脂が応用されていた分野にも幅広く適用することができるものである。
【0016】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の塗装物品は、基材に、上記〔I〕の下塗り剤及び上記〔II〕の上塗り剤を順次塗布してなることを特徴とするものであり、基材としては、特に制限されないが、金属、セラミック系無機材料、ガラス、木材、紙又はプラスチックなどが好ましい。
【0017】
まず、〔I〕の下塗り剤について説明する。本発明の下塗り剤は、SiX3-a(式中、Xは加水分解性基を示し、aは0,1又は2である。)で表される加水分解性基を有するシリル基を含む化合物及び/又はその部分加水分解物を含むものである。
【0018】
式中Xは、加水分解性基を表わし、これは炭素数1〜8のオルガノオキシ基であることが好ましく、例えば炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アリール基等の一価炭化水素基を含むアルコキシ基、アルケノキシ基、アリーロキシ基が挙げられる。加水分解性基Xの具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソプロペノキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。これらの中でも、加水分解性、縮合反応性、保存安定性の点から炭素数1〜3のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基を用いることが好ましい。aは、0,1,又は2であり、特に密着性の点から0又は1が好ましい。
【0019】
上記〔I〕の下塗り剤を構成する化合物は、上記条件を満たしていれば形態は問わず、密着性を付与するため使用できる。これは、加水分解性シリル基が加水分解して生成したシラノール基が、上塗り層中に豊富に含まれるシラノール基との間でシロキサン結合を生成し、これが密着性の向上に寄与していると推定される。
【0020】
このような化合物としては、各種オルガノオキシシラン、特にアミノ基含有アルコキシシラン及びその部分加水分解物、ケイ素原子に結合したオルガノオキシ基、特にアルコキシ基が結合したシロキサンなどを挙げることができるが、1級及び/又は2級アミノ基を有する化合物とエポキシ基を有する化合物(但し、少なくともいずれか一方の化合物がSiX3-a基を1個以上含有する)との反応物、好ましくは1級及び/又は2級アミノ基を有するオルガノオキシシランとエポキシ基を有する化合物、特にオルガノオキシシランとの反応物、1分子中に1個以上の窒素原子を有し、かつSiX3-a基を2個以上含有する化合物、1分子中に1個以上のSiX3-a基を有するビニル系重合体などが好適である。また、下塗り剤は、ケイ素原子に結合した有機基として少なくとも1個の2級及び/又は3級アミノ基を含有することが好ましい。
【0021】
ここで、上記1級及び/又は2級アミノ基含有化合物とエポキシ基含有化合物の反応物の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有オルガノシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有オルガノシランもしくは非シリコーン系のビスフェノールA、エポキシ基含有アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のエポキシ化合物などとの反応物を使用し得る。
【0022】
なお、通常1級アミノ基1個は2個のエポキシ基と反応可能であるので、アミノ基とエポキシ基の置換基比Nは以下の式で与えられる。
【数1】
上記置換基比Nの範囲は0.1≦N≦10、特に0.2≦N≦5であることが好ましい。置換基比Nがこの範囲外となると、特に密着性の向上に寄与するβ−ヒドロキシアミノ基が少なくなってしまう場合がある。
【0023】
また、アミノ基含有化合物、エポキシ基含有化合物の少なくともどちらか一方が、加水分解性基を有するオルガノオキシシランである場合、アミノ基とエポキシ基とを反応させる前に、予め、水及び酸性又は塩基性加水分解触媒を加え、部分的に加水分解・縮合させてもよい。即ち、このように加水分解性オルガノオキシシランを使用する場合、予め一定量の水、及び酸性、或いは塩基性の加水分解触媒存在下、加水分解性基を加水分解・縮合させ、高分子量化させてもよい。
【0024】
上記1分子中に1個以上の窒素原子を有し、かつSiX3-a基を2個以上含有する化合物としては、アミノ基含有オルガノオキシシランと他のオルガノオキシシランとの反応物などが挙げられ、上記アミノ基含有オルガノオキシシランと上記エポキシ基含有オルガノオキシシランとの反応物のほか、アミノ基含有オルガノオキシシランとハロゲン化アルキル基含有オルガノオキシシランの脱ハロゲン反応物、アミノ基含有オルガノオキシシランと(メタ)アクリル基含有オルガノオキシシランのマイケル付加反応物等を例示することができる。
【0025】
なお、ケイ素原子に結合した有機基として2級及び/又は3級アミノ基を含有する化合物としては、上記アミノ基含有オルガノオキシシランと他のオルガノオキシシランとの反応物のほか、更にアミノ基含有オルガノオキシシランとジカルボン酸クロライドの脱塩酸反応物などを例示することができる。
【0026】
上記1分子中に1個以上の加水分解性シリル基を有するビニル系重合体としては、特に下記一般式で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランを0.1〜20重量%含有するビニル重合性単量体混合物を共重合することにより得られるビニル系共重合体が好適である。
CH2=C(R2)−R3−Si(R1)r(Y)3-r
【0027】
式中、R1は置換又は非置換の1価炭化水素基を表わし、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基、水酸基などで置換したものが挙げられる。
【0028】
R2は水素原子又はメチル基を示し、R3は2価の有機基を表わし、炭素数1〜10の酸素原子、−COO−基などを介在してもよいアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基等が挙げられる。Yの加水分解性基としては、先に述べたものと同様なものを挙げることができる。rは0,1又は2である。
【0029】
このようなビニル重合性官能基含有加水分解性シランの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリメトキシシラン等のラジカル重合性官能基を含有するシラン化合物などを例示することができる。
【0030】
これらと共重合する際に使用される他のビニル重合性単量体としてはラジカル重合が可能なものであれば、特に制限されず、以下の(a)〜(m)に示す従来公知の単量体を使用することができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
(a)アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル又はシクロヘキシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(b)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又はその無水物含有ビニルモノマー、
(c)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ビニルモノマー、
(d)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、
(e)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニルモノマー、
(f)メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有ビニルモノマー、
(g)グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有ビニルモノマー、
(h)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、
(i)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、
(j)(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、
(k)塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニルモノマー、
(l)ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上含有するビニルモノマー、
(m)エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシエチレン鎖含有ビニルモノマー。
【0031】
なお、本発明の〔I〕の下塗り剤は、上述した化合物を含んでいれば、その形態は間わず、有機溶剤に溶解した溶液、水分散エマルジョン、水溶性の場合は水溶液でも適用可能である。
【0032】
次に、〔II〕の上塗り剤について説明する。本発明の上塗り剤は、上述したように、下記(A)成分を含むシリコーン樹脂含有エマルジョンを含有してなるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物を主成分として含むものである。
(A)(A−1)一般式R1−SiZ3で表される構造単位(T単位)を30〜100モル%含有し、全T単位のうち、一般式R1−Si(OH)Z’2で表されるシラノール基を1個だけ含有する構造単位(T−2単位)を30〜80モル%含有し(式中、R1は置換又は非置換の1価炭化水素基、Zは水酸基、加水分解性基又はシロキサン残基を示し、少なくとも1個はシロキサン残基であり、Z’はシロキサン残基を示す。)、数平均分子量500以上であるシラノール基含有シリコーン樹脂 100重量部、
(A−2)ラジカル重合性ビニルモノマー 10〜1000重量部
を含有する混合溶液を乳化重合して得られるシリコーン樹脂含有エマルジョン
【0033】
ここで、上記(A)成分のシリコーン樹脂含有エマルジョンは、(A−1)成分と(A−2)成分とを含有する混合溶液を乳化重合して得られるものである。
【0034】
上記(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂は、一般式R1−SiZ3で表される構造単位(T単位)と、一般式R1−Si(OH)Z’2で表されるシラノール基を1個だけ含有する構造単位(T−2単位)とを含有するものである。
【0035】
上記式中、R1は上記と同様の置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、これらの中でも、メチル基、プロピル基、ヘキシル基、フェニル基が好ましい。特に耐候性を要求される場合にはメチル基が好ましい。撥水剤が求められる場合には長鎖アルキル基を使用するのが好ましく、被膜に可撓性を付与する場合にはフェニル基を適用するのがよい。この場合特に、全有機置換基中のメチル基の含有率が50モル%以上、特に80モル%以上であることが好ましい。
【0036】
また、置換一価炭化水素基は、上記炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換したもので、置換基としては、▲1▼フッ素、塩素等のハロゲン原子、▲2▼グリシジロキシ基、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ官能基、▲3▼メタクリル基、アクリル基等の(メタ)アクリル官能基、▲4▼アミノ基、アミノエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアミノ官能基、▲5▼メルカプト基、テトラスルフィド基等の含硫黄官能基、▲6▼(ポリオキシアルキレン)アルキルエーテル基等のアルキルエーテル官能基、▲7▼カルボキシル基、スルフォニル基等のアニオン性基、▲8▼第4級アンモニウム塩構造含有基などが適用可能である。
【0037】
この置換された一価炭化水素基の具体例としては、トリフルオロプロピル基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオクチルエチル基、3−クロロプロピル基、2−(クロロメチルフェニル)エチル基、3−グリシジロキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、5,6−エポキシヘキシル基、9,10−エポキシデシル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシメチル基、11−(メタ)アクリロキシウンデシル基、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(N−フェニルアミノ)プロピル基、3−ジブチルアミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチル基、ポリオキシエチレンオキシプロピル基、3−ヒドロキシカルボニルプロピル基、3−トリブチルアンモニウムプロピル基などを挙げることができる。
【0038】
基材との密着性を向上させる場合には、エポキシ、アミノ、メルカプト官能性基などを適用するのがよい。ビニル重合体との緊密なブロック化を目指す場合、ラジカル共重合が可能な(メタ)アクリル官能性基、或いは連鎖移動剤としての機能を有するメルカプト官能性基を使用することが好ましい。また、ビニル重合体とシロキサン結合以外の結合で架橋を試みる場合、ビニル重合体中に含有されている有機官能基と反応可能な官能基を導入しておけばよく、例えばエポキシ基(ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基等との反応)、アミノ基(エポキシ基、酸無水物基等との反応)などを挙げることができる。
【0039】
また、上記式において、ZはOH基、加水分解性基、又はシロキサン残基を表し、Z’はシロキサン残基を表す。加水分解性基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ブタノキシム基等のオキシム基、アミノ基などを挙げることができる。これらの中ではアルコキシ基が好ましく、特に加水分解・縮合時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基を用いることが好ましい。
【0040】
本発明において、式R1−SiZ3で表されるT単位は、シリコーン樹脂の架橋度、硬化性に大きく影響を与える構造単位であり、30〜100モル%含有される。T単位の含有量が少なすぎると、形成される被膜が低硬度となり、また硬化性も劣る。エマルジョン粒子内でビニル重合ポリマーと均一に絡まりあって、活性なシラノール基の自由度を制御するためにはシリコーン樹脂により構造性を付与する必要がある。T単位の含有量が50〜100モル%の範囲を満たしていれば、シリコーン樹脂は剛直となり、保存安定性も良好となるためより好ましい。
【0041】
上記式R1−Si(OH)Z’2で表されるシラノール基を1個だけ含有するT−2単位は、Z’で示されるシロキサン残基と、酸素原子を介して隣接する珪素原子に結合してシロキサン結合を形成している置換基のことを意味しており、−O−Si≡となっているが、酸素原子は隣接するケイ素原子と共有するためO1/2と表わす。従って、T−2単位は、O1/2が2個あるためR1−Si(OH)O2/2と表すことができる。
【0042】
本発明においては、硬化被膜に一定の硬度を確保するためには、一定量のT単位を含有している必要があるが、良好な硬化性と、粒子中で形成されるビニルポリマーと良好な相互溶解性を確保しながら、しかも硬化被膜に可撓性を付与するためには、全T単位中T−2単位を30〜80モル%含有する必要があり、より好ましくは35〜70モル%含有する。T−2単位の含有量が少なすぎると、シリコーンレジンの硬化に寄与するシラノール基の絶対量が不足し、硬化被膜の硬度が不十分となる。一方、T−2単位の含有量が多すぎると、重合度を低く抑える必要があるが、低重合度では鎖状或いは環状構造の形成が難しく、硬化被膜は結晶性が高くなる結果、可撓性が不足し、また粒子中での自由度が高くなるため保存安定性が低下する。
【0043】
なお、その他の構成単位としては、R1 3SiZで表わされるM単位0〜10モル%(但し、M単位におけるZはシロキサン残基を表わす。)、R1 2SiZ2で表わされるD単位0〜50モル%、又はSiZ4で表わされるQ単位0〜30モル%を併用することもできる。
【0044】
次に、本発明の(A−1)成分であるシラノール基含有シリコーン樹脂の数平均分子量について述べると、前述した各種特性を得るためには、シリコーン樹脂に一定の構造性を付与することが必要である。その構造性を確保するためには、シリコーン樹脂をある程度高分子化しておかなければならない。従って、本発明においては数平均分子量が500以上のシリコーン樹脂を使用する。特に数平均分子量は1000以上であることが好ましい。この場合、上限値は特に制限されないが通常50000程度である。数平均分子量が小さすぎると、適度な構造性が確保できないため良好な可撓性が得られず、また保存安定性も低下する。
【0045】
本発明に適用可能なシリコーン樹脂は、上記条件を満たしていると同時に、シラノール基を一定量以上含有していることが好ましく、シリコーン樹脂中にシラノール基を5重量%以上、特に6〜20重量%以上含有していることが好ましい。シラノール基の含有量が少なすぎると、架橋に寄与するシラノール基の絶対量が不足するため、硬化被膜の硬度が低下することがある。
【0046】
本発明の(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂は、上記条件を満たしていれば、いかなる方法で製造してもよい。具体的な製造方法を以下に述べる。
【0047】
製造するための原料としては、加水分解性基の種類がアルコキシ、アシルオキシ、クロル、アミノ、オキシム基である各種加水分解性シラン化合物、或いはその部分加水分解・縮合物を用いることができる。加水分解反応の制御のし易さ、或いは加水分解副生成物の処理のし易さ、及び経済的観点から、加水分解性基としてはアルコキシ基又はクロル基を採用することが好ましい。また、加水分解性基の数は、珪素原子1個当たり1個、2個、3個、4個含有し、上記条件を満たす有機置換基を有するシラン化合物であればいかなるものも使用可能である。
【0048】
具体的には、テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロペノキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリクロルシラン、ブチルトリクロルシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリクロルシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、プロピルメチルジクロルシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジクロルシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルフェニルクロルシラン、及び有機官能基を有する所謂シランカップリング剤、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、及びこれらの部分加水分解物などが使用可能なシラン化合物の例として挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。操作性、副生物の留去のし易さから、メトキシシラン又はエトキシシランを使用することがより好ましい。なお、使用可能な有機珪素化合物はこれに限定されるものではない。
【0049】
なお、加水分解性シラン化合物を加水分解して、本発明に使用可能なシリコーン樹脂を得る方法も、本発明に含まれる。即ち、本発明に適用可能なシラノール基含有シリコーン樹脂は、加水分解性シラン化合物を水溶液中で加水分解することにより得られる点に最大の特徴がある。このように実質的に有機溶剤をほとんど含有しない親水性条件で加水分解を実施すると、本発明を特徴付けるT−2単位を多量に含有する構造性に富む特異な(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂が得られる。このシリコーン樹脂は、以下の各工程を経て調製することが好ましい。
【0050】
まず、第1段階では、前述した各種加水分解性有機シラン化合物を、pH1〜7の水溶液中で加水分解・縮合する過程である。加水分解に使用する水の量は、上記諸条件を満足する組成に配合したシラン化合物或いはその混合物100重量部に対して50〜5000重量部使用するのがよい。50重量部未満では反応系内の水量が少ないため、前述したシラノール基の反応性の制御が難しく、構造性の付与が不可能な場合が生じることがある。一方、5000重量部を超過すると、原料のシラン濃度が低過ぎ、縮合反応が遅くなってしまう場合がある。
【0051】
加水分解は、水溶液にシラン化合物を加え、攪拌することにより行う。加水分解、特に初期の加水分解を促進させるために、加水分解用触媒を添加してもよい。加水分解触媒は、シラン化合物を添加する前に水溶液に添加してもよいし、シラン化合物を分散させた後の分散液に添加してもよい。加水分解用触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、添加した水溶液がpH1〜7の酸性を示すものを適用するのがよい。特に、酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルフォン酸、酸性或いは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸などが好ましい。具体例としては、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸に代表される有機酸、メチルスルフォン酸、表面にスルフォン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン樹脂等が挙げられる。
【0052】
加水分解用触媒を使用する場合、その添加量は珪素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範囲であることが好ましい。pH1未満の強酸性条件下、或いはpH7を超えるアルカリ性条件下では、シラノール基が極めて不安定になりやすい。より好ましくは、使用する水溶液のpHが2〜6である。水量は加水分解基の量に対して大過剰であるため、加水分解は完全に進行する。この条件下で室温乃至加熱下において攪拌することにより、容易にシラノール基同士の縮合が進行する。この段階では、系内には加水分解副生成物が存在するため、シラノール基含有シリコーン樹脂の前駆体であるシラン反応混合物は、溶液中に溶解して存在する。
【0053】
第2段階は、この反応混合物を含む溶液から加水分解副生成物を系外に除去し、主としてシラノール基含有シリコーン樹脂と水を含有する系にする過程である。第1の段階で得られたシラン反応混合物を含有する溶液を、常圧下80℃以下、好ましくは30〜70℃の温度条件下で加熱するか、或いは室温〜80℃の温度下、20mmHg〜常圧に減圧することにより、アルコール等の加水分解副生成物を留去し、実質的にシラノール基含有シリコーン樹脂と水からなる系に変換する。この過程において、シリコーン樹脂の縮合度は更に進むが、同時に高い構造性も付与される。第1段階である程度直鎖状に成長したシリコーン樹脂は、縮合の進行に伴い更に高分子化し、徐々に親水性を失ってくる。また、シリコーン樹脂が溶存する外部環境も大部分が水となってくる。シリコーン樹脂は、水溶解性或いは分散性を維持した方がエネルギー的に有利なので、親水性に富むシラノール基を外側の水層に配向した状態で存在しようとする。その結果、シラノール基を多量に含有し、そのシラノール基も可撓性をもたらす直鎖状構造を形成するT−2単位であり、また可撓性を付与するのに十分なレベルまで成長したシリコーン樹脂となる。80℃以上に加熱すると、生成したT−2単位の縮合も進行し、架橋不可能なT−3単位(R1−SiO3/2)になるため好ましくない。従って、縮合活性に富むT−2単位を温存するためには、できる限り低温で加熱・留去を実施するのがよい。加水分解副生成物を、その生成量の30〜100%を除くと、シラノール基含有シリコーン樹脂は溶液中に溶解できなくなり、溶液は微濁乃至白濁となる。30%以下ではシリコーン樹脂の成長が不十分となることがある。より好ましくは50〜100%除くのがよい。水層に不溶となったこのシリコーン樹脂は、静置すると沈降する。
【0054】
次いで、このようにして得たシリコーン樹脂を、第3段階では重合性ビニルモノマーに溶解させ、その溶液として水層から分離し取り出すことが好ましい。その際、水溶性に富む加水分解性副生成物は、大部分水層に溶解しており分離・除去される。アルコール等の加水分解副生成物の存在量は、目的のエマルジョンの安定性を確保するためには、溶液中の10重量%以下に止めるのがよく、更に好ましくは5重量%以下とするのがよい。除去が不十分であれば、更に水洗することにより除去される。かくして有機溶剤をほとんど含まない、実質的に溶剤不含のシリコーン樹脂を溶解させた重合性ビニルモノマー溶液が得られる。
【0055】
次に、(A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマーについて述べる。このラジカル重合性ビニルモノマーとしては、ラジカル重合が可能なものであれば特に制限されず、以下の(a)〜(o)に示す従来公知のモノマーを使用することができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a)アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル又はシクロヘキシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(b)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又はその無水物含有ビニルモノマー、
(c)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ビニルモノマー、
(d)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、
(e)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニルモノマー、
(f)メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有ビニルモノマー、
(g)グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有ビニルモノマー、
(h)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、
(i)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、
(j)(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、
(k)塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニルモノマー、
(l)ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上含有するビニルモノマー、
(m)エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシエチレン鎖含有ビニルモノマー、
(n)片末端に(メタ)アクリロキシプロピル基を含有するジメチルポリシロキサン、片末端にスチリル基或いはα−メチルスチリル基を含有するジメチルポリシロキサン等の片末端にラジカル重合性官能基を有し、シロキサン単位が1〜200個のジオルガノポリシロキサン、
(o)下記一般式で表されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン、
CH2=C(R2)−R3−Si(R1)r(Y)3-r
(式中、R1、R2、R3、Y、rは上記と同じ意味を示す。)
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリメトキシシラン等のラジカル重合性官能基を含有するシラン化合物。
【0056】
これらの中でも、アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記一般式で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランが好適である。アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、(A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマー全体の1〜100モル%、より好ましくは30〜99モル%の範囲であることが好ましい。アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が少なすぎると、耐薬品性などの特性が得られなくなる場合がある。また、ビニル重合性官能基含有加水分解性シランの含有量は、(A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマー全体の0.01〜10モル%の範囲であることが好ましい。0.01モル%以下では、シリコーン樹脂との架橋が不十分な場合があり、一方、10モル%を超えると、硬化被膜が硬く成り過ぎて良好な可撓性が得られなくなる場合がある。
【0057】
硬化被膜に耐溶剤性又は耐薬品性などの特性を付与する場合には、架橋可能な官能基を含有するラジカル重合性ビニルモノマーを共重合させるのが好ましく、特に縮合反応によりシロキサン結合を形成できる上記(o)に示されるラジカル重合性官能基を含有するシラン化合物、及びカルボン酸/エポキシ基の開環反応による架橋が期待できるエポキシ官能基を有する上記(g)に分類されるグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有ビニルモノマーが好適であり、本発明では他方に使用する樹脂がシラノール基を含有するシリコーン樹脂であるので、シラン化合物の方がより一層適している。また、表面に潤滑性を付与したい場合には、上記(n)に例示されている片末端にラジカル重合性官能基を有するジオルガノポリシロキサンを共重合するのがよい。
【0058】
上記(A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマーは、(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂100重量部に対して10〜1000重量部の範囲で使用する。ラジカル重合性ビニルモノマーが少なすぎると造膜性、及び耐薬品性が不十分となり、一方、多すぎると、耐候性、及び耐水性が不足する。更に好ましくは、このラジカル重合性ビニルモノマーを30〜500重量部の範囲で使用するのがよい。
【0059】
本発明の(A)成分のシリコーン樹脂含有エマルジョンは、上記(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂と(A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマーを含有する混合溶液を乳化重合して得られるものであるが、この乳化重合の方法としては、
(i)加水分解性シラン化合物をpH1〜7の水溶液中で加水分解し、シラノール基含有シリコーン樹脂を含む反応混合物を得る工程、
(ii)この反応混合物から加水分解副生成物を系外に除去し、主としてシラノール基含有シリコーン樹脂と水を含有する系にする工程、
(iii)上記主としてシラノール基含有シリコーン樹脂と水からなる系に、ラジカル重合性ビニルモノマーを添加、溶解し、残存する加水分解副生成物及び水からなる層を除去する工程、
(iv)得られたシリコーン樹脂含有ラジカル重合性ビニルモノマー溶液を、界面活性剤の存在下で乳化重合する工程
からなる調製方法が好適である。
【0060】
この場合、上記(i),(ii),(iii)工程は先に説明した通りであり、上記(iii)工程で加水分解副生成物及び水を除去して得たシリコーン樹脂含有ラジカル重合性ビニルモノマー溶液を(iv)工程において界面活性剤の存在下で乳化重合するものである。
【0061】
乳化重合にあたって使用する界面活性剤としては、従来公知のノニオン系、カチオン系、アニオン系各種界面活性剤、及びラジカル重合可能な官能基を含有する反応性乳化剤が適用可能である。
【0062】
具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル等のノニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩等のアニオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性イオン型界面活性剤。特開平8−27347号公報中に記載されている、分子中にスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン鎖、第4級アンモニウム塩などの親水性基を含有するラジカル重合可能な(メタ)アクリレート、スチレン、マレイン酸エステル化合物などの誘導体を含む各種反応性界面活性剤を用いることができる。このような界面活性剤を例示すると、下記の通りである。
【0063】
【化1】
【0064】
【化2】
【0065】
【化3】
【0066】
これらの界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を併用して使用してもよい。界面活性剤は、上記(A−1)成分及び(A−2)成分(有効成分)の合計量に対して0.5〜15重量%使用するのが好ましく、特に1〜10重量%使用するのがよい。中でもエマルジョンの安定性を確保する観点からは、使用する界面活性剤の一部又は全部に、上記反応性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0067】
上記乳化重合には、ラジカル重合開始剤が使用される。このラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、2,2’−アゾビス−[2−N−ベンジルアミジノ]プロパン塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾイソブチロニトリル等の油溶性タイプ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系などを使用することができる。この重合開始剤の使用量は、(A−1)成分のラジカル重合性ビニルモノマーに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0068】
次に、前述した方法により得たシラノール基含有シリコーン樹脂を溶解した重合性ビニルモノマー溶液を、前述した界面活性剤並びに重合開始剤を使用して、乳化重合する場合、乳化重合する方式としては、一括して乳化した後、重合する一括仕込法、ラジカル重合性ビニルモノマー含有溶液或いはその乳化液を連続追加しながら重合する単量体添加法など、従来公知の種々の方法が適用可能である。また、乳化液の一部を予め重合した後、残りの乳化液を追加しながら重合するシード重合法、更にはコアとシェルのモノマー組成を変えたコア/シェル重合法も適用できる。いずれの方法を採用しても、反応活性に富むシラノール基の縮合を抑制することが可能である。
【0069】
このようにして得られる本発明の(A)成分のシリコーン樹脂含有エマルジョンは、実質的に引火性の高い沸点100℃未満の有機溶剤や、人体に有害な芳香族系有機溶剤、水に非分散(非水溶性)の有機溶剤を実質的に含有しないものである。
【0070】
本発明で使用する〔II〕の上塗り剤には、(B)成分として被膜形成助剤を使用することが好ましい。
【0071】
この(B)成分の被膜形成助剤は水に可溶で、大部分の水分が気化した後も被膜中に残存し、完全硬化するまで被膜に流動性を付与することにより高いレベリング性を維持するように機能するものである。これは、特に形成されるアクリル系ポリマーのガラス転移点が高い場合に有効である。従って、水に可溶で沸点が100℃以上のものは全て含まれ、1−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール類、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のポリオール類、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート等のエチレングリコール誘導体、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−メチルエチルアセタート、1−エトキシ−2−メチルエチルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のプロピレングリコール誘導体、3−メトキシブチルアセタート等のブチレングリコール誘導体、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジブチルフタレート等のエステル類などを例示することができる。特に2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、1−エトキシ−2−メチルエチルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等がレベリング性の点から好ましい。これらの有機溶剤は、メタノールやエタノール等の低沸点アルコール類と比較して水溶性に劣るため、エマルジョンの安定性を損なわず、均一な被膜の形成にのみ寄与する。
【0072】
上記(B)成分の被膜形成助剤は、乳化重合前のビニルモノマー溶液に添加してもよいし、乳化重合後のエマルジョンに添加してもその作用は変わらない。添加量は(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂+(A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマーの合計量100重量部に対して0〜20重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部である。被膜形成助剤の添加量が多すぎると、硬化終了後も被膜中に残存する被膜形成助剤の量が多くなるため、被膜の特性が不十分なものとなることがある。
【0073】
また、本発明の上塗り剤には、シラノール縮合触媒として(C)成分のIA族及び/又はIIA族元素を含有する化合物を含有することが好ましい。
【0074】
この(C)成分のIA族及び/又はIIA族元素を含有する化合物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等のIA族或いはIIA族元素を含有する無機塩、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、蟻酸セシウム、蟻酸マグネシウム、蟻酸カルシウム、蟻酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム等のIA族或いはIIA族元素を含有する有機酸塩、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムエチラート等のIA族或いはIIA族元素を含有するアルコキシド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等の含フッ素化合物などが挙げられる。なお、水分散性を良くするために、乳化したものも適用することができる。これらの中でも操作性及び入手のし易さから無機系化合物が好ましい。更に、硬化触媒の活性の強さから、Li,Na,K,Csから選ばれた元素を含有する化合物を使用するのが好ましく、特に、NaHCO3、Na2CO3又はこれらに酢酸ナトリウム、酢酸カリウムを加えて調整した緩衝溶液が適している。これらの縮合触媒をエマルジョン中に添加する場合、単独で添加してもよいし、水等の溶剤で稀釈した状態で添加してもよい。
【0075】
上記(C)成分のIA族及び/又はIIA族元素を含有する化合物の添加量は、(A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂+(A−2)成分の重合性ビニルモノマーの合計量100重量部に対して0〜20重量部、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。IA族及び/又はIIA族元素を含有する化合物が少なすぎると縮合促進効果が不十分となることがあり、一方、多すぎると、耐候性、耐水性、塗膜外観が悪くなることがある。
【0076】
本発明の〔II〕の上塗り剤は、上記(A)成分のシリコーン樹脂含有エマルジョンを含有してなるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物を主成分として含むものであるが、この(A)成分以外にも、好ましくは(B)成分の沸点が100℃以上の被膜形成剤と(C)成分のIA族及び/又はIIA族元素を含有する化合物とを含有するものである。
【0077】
本発明の組成物の製造方法としては、特に制限されず、(B)成分を系に添加する場合、重合前のシリコーン樹脂含有重合性ビニルモノマー溶液に添加してもよいし、重合終了後エマルジョン中に添加してもよい、また、このシリコーン樹脂含有エマルジョンの安定性を向上させるために、鉱酸や有機酸等の酸性化合物、或いはアンモニアや無機塩基等の塩基性化合物を添加して、系内をpH3〜9に調整することが好ましい。この場合、pHを調節するための緩衝剤となる酸、或いは塩基性化合物の組み合わせ、例えば酢酸と酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムとクエン酸などを添加してもよい。pH領域がpH3未満、或いはpH9を超過した場合、乳化重合に使用する界面活性剤が不安定になったり、またシラノール基の縮合が進行し易くなることがある。更に好ましいpH領域は、pH4〜8に制御するのがよい。
【0078】
また、(C)成分を系に添加する場合、重合前のシリコーン樹脂含有重合性ビニルモノマー溶液に添加してもよいし、重合終了後エマルジョン中に添加してもよい。この場合、(C)成分のIA族及び/又はIIA族元素を含有する化合物(縮合触媒)を最も活性に機能させるには、配合したエマルジョン組成物のpHを8〜12に保持することが好ましい。このpH領域で、シラノール基はIA族或いはIIA族元素の塩となり触媒活性を示すので、このpH領域を満たすことが特に好ましい。
【0079】
更に、本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物には、上記(A)〜(C)成分以外にも硬化被膜の硬度、耐擦傷性の向上、高屈折率化、帯電防止性、UV吸収による高耐光性付与などの光学機能性を付与するために、金属酸化物微粒子を添加することができる。
【0080】
金属酸化物の例としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アンチモン(Sb2O5)、酸化鉄(Fe2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、銀、或いは酸化ジルコニウムをドープした酸化チタン、希土類酸化物、或いはこれらの混合物が挙げられる。これらの例に限定されるものではないが、耐擦傷性を目的としたコーティング剤にはシリカが適する。
【0081】
また、本発明の組成物には、主として無機粒子からなる体質顔料、着色顔料、或いは防食顔料を配合すると、更に耐候性、耐熱性、耐薬品性などの諸機能が向上するので好ましい。この顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミニウム、クレー、シリカ/珪石粉、珪藻土、タルク、マイカ、カオリン、バライト、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、リン酸アルミニウム、水又はアルコール等の有機溶剤分散型シリカゾル、アルミナゾル、マグネシアゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等の体質或いは防食顔料、及びこれらの表面をシランカップリング剤で処理したもの、カーボンブラック、グラファイト、セラミックブラック、酸化亜鉛、酸化鉄、カドミウムレッド、酸化クロム、コバルトグリーン、ギネグリーン、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、紺青、カドミウムイエロー、チタンイエロー等の着色顔料、及びこれらの表面をシランカップリング剤で処理したもの、アゾ系、アゾレーキ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系の有機顔料を具体例として例示することができる。また、これら併用する顔料は、エマルジョンの安定性に悪影響を与えない酸性或いは中性のものを使用する必要がある。塩基性の顔料を使用すると、エマルジョン液のpHが、不安定領域まで変化する可能性がある。
【0082】
これらの顔料の添加量は、本発明のエマルジョンの固形分100重量部に対して900重量部以下、より好ましくは500重量部以下配合するのが好ましい。顔料の添加量が多すぎると、造膜性に欠け、また均一な被膜が形成されにくい場合がある。
【0083】
更に、本発明の組成物には、水溶性或いは水分散型有機樹脂を配合することができる。有機樹脂を使用する目的は、硬化被膜に可撓性、柔軟性、接着性、耐薬品性等を付与する点にある。ポリビニルアルコール、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性或いは水分散性エポキシ樹脂、水溶性或いは水分散性アクリル樹脂、水溶性或いは水分散性シリコーン・アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの水溶性或いは水分散型有機樹脂を、本発明のアクリル・シリコーン樹脂エマルジョンに添加してもよい。また、架橋剤としてイソシアナート樹脂を添加してもよい。これらの有機樹脂の添加量は、本発明エマルジョンの固形分100重量部に対して50重量部以下、より好ましくは30重量部以下配合するのが好ましい。有機樹脂の添加量が多すぎると、耐熱性、耐候性等が低下する場合がある。
【0084】
なお、優れた被膜性能を付与する目的で、特性に影響を与えない範囲で、以下に例示する各種従来公知の物質を添加してもよい。例えば硬化剤(既述)、分散剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、防腐剤、防カビ剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、トリアゾール系、フェニルサリシレート系、ジフェニルアクリレート系、アセトフェノン系等)、ヒンダードアミン系光安定剤や増量剤(アルミペースト、ガラスフリット等)を例示することができる。
【0085】
このようにして得られる本発明の下塗り剤及び上塗り剤の塗布方法及び硬化方法については特に制限されず、従来公知の各種塗装方法及び硬化方法を採用することができ、下塗り剤及び上塗り剤の塗布方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、はけ塗り法等が挙げられる。
【0086】
具体的には、下塗り剤は、塗工後、室温下に放置し、水分を揮発するだけでもよいし、加熱して乾燥を速めてもよい。塗布量は塗装される基材表面の緻密性、吸水性などや下塗り剤組成によっても異なり一概に規定できないが、一般に固形分で0.05〜500g/m2、好ましくは0.1〜300g/m2程度である。
【0087】
上塗り剤は、未硬化のまま保護被膜的に使用する場合、塗装後の基材を室温下に放置し、水分を揮発させるだけでよい。室温硬化で架橋を進め高硬度被膜とする場合には、縮合触媒を添加したエマルジョン組成物を塗装した基材を、室温下に0.1〜30日放置すれば、良好な硬化被膜が得られる。加熱硬化で架橋を進め高硬度被膜とする場合には、無触媒或いは縮合触媒を添加したエマルジョン組成物を塗装し、50〜300℃の温度範囲に0.5分〜200時間維持することにより達成される。この時の被膜厚さは、適宜選択されるが、通常0.01〜100μm、特に0.05〜80μmである。
【0088】
本発明の塗装物品は、金属、セラミック、ガラス、木材製品、紙製品、プラスチック等の透明、又は不透明の基材の保護すべき表面に、下塗り剤、及び上塗り剤を順次塗布し、乾燥することにより硬化被膜を形成したものであり、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性などの優れた特性を備えたものである。特に、基材が無機材料の場合には、長期の耐久性が求められる、太陽光、及び風雨に曝されるモルタル、コンクリート、或いはセメント製の外装用壁材又は窯業パネル〔ALC(軽量気泡コンクリート)板、サイジングボード、石膏ボード〕、レンガ、ガラス、陶磁器、人工大理石などに幅広く適用することができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の利点を有するシリコーンアクリルエマルジョン組成物からなる最外層(上塗り層)が得られる。
(i)エマルジョン粒子中で、シリコーン樹脂とアクリル樹脂が相互貫入網目構造(IPN)を形成するため、両樹脂の不足点が補完され、造膜性に優れ、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性などの特性が良好で、均一な硬化塗膜が得られる。
(ii)エマルジョン粒子中では、ポリマー同士が無溶剤状態で絡み合うため、縮合活性に富むシラノール基の自由度が制限を受ける。その結果、シラノール基の含有量が高い系でもシラノール基の縮合が抑制され、良好な保存安定性が得られる。また、水に不溶性のシリコーン樹脂を使用するため、シリコーン樹脂は完全に粒子中に取り込まれ、このため安定性は良好な水準に維持される。
(iii)エマルジョン粒子中でシラノール基が拘束される結果、硬化時のシラノール基の架橋性はその高い硬化活性が温存され、比較的低温でも優れた硬化性を示す。
(iv)実質的に溶剤を含有しないので、乾燥・硬化の良好な被膜が得られ、また有害な溶剤の揮発もないので、良好な作業環境が確保される。また、エマルジョンの破壊を促進するアルコール成分を含有しないため、エマルジョンの安定性も良好な状態に保持される。
【0090】
第2に、上記シリコーンアクリルエマルジョン組成物から形成される塗膜の下塗りとして、本発明の下塗り剤を使用することにより、以下の利点を有する。
(v)SUS、プラスチック等のような、表面の接着に寄与するような活性基が少ない基材、或いはスレート板のように、水が浸透し得る多孔質基材の場合、加水分解性シリル基を含有した下塗り層を挟むことにより、温水に浸した時に発生する膨れを防止し得、基材との密着性が格段に向上する。
【0091】
以上の点から、本発明の下塗り剤及び上塗り剤を順次塗布してなる塗装物品は、長期の耐久性が求められる各種構造物、建築物に好適なものであり、従来アクリル・シリコーン樹脂が応用されていた分野にも幅広く適用することができるものである。
【0092】
【実施例】
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は重量%、部は重量部を示す。
【0093】
〔調製例1〕
2リットルのフラスコに、トルエン400g、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン177g(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン472g(2.0モル)を30分で滴下し反応させた。室温で30分混合した後、110℃/2時間加熱還流し反応を完結させた。得られた溶液を更にトルエンにて希釈し、不揮発分20%の下塗り剤Aを得た。
【0094】
〔調製例2〕
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを用いる代わりにN−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン146g(0.67モル)を用いる以外は調製例1と同様の手順で、不揮発分20%の下塗り剤Bを得た。
【0095】
〔調製例3〕
1リットルのフラスコに調製例1で得た下塗り剤Aを800gを仕込み、減圧下、トルエンを留去した。得られた不揮発分96%の淡褐色液体に乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、水を加え、高速攪拌機で攪拌しながらエマルジョン化し、不揮発分30%の下塗り剤Cを得た。
【0096】
〔調製例4〕
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、攪拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時にメタクリル酸メチル250部、アクリル酸ブチル400部、メタクリル酸グリシジル50部、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン7部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬株式会社製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬株式会社製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら、2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。ここに、2−ブトキシエチルアセタート40部を添加し、十分攪拌混合し、エマルジョンを得た。
【0097】
得られたエマルジョンの固形分濃度は51.6%であり、アンモニア水を添加してpHを7.0に調整した。これを不揮発分30%となるよう水希釈した液300gに対し、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン17.8g(0.082モル)を添加し、室温で1時間攪拌した液を下塗り剤Dとした。
【0098】
〔調製例5〕
市販のエポキシ樹脂1667g(60%キシレン溶液、エポキシ当量460)にγ−アミノプロピルトリメトキシシラン177g(1.0モル)を加え、不揮発分30%となるように酢酸イソブチルで希釈した。室温で2時間攪拌することにより、下塗り剤Eを得た。
【0099】
〔調製例6〕
1リットルのフラスコにテトラメトキシシラン760g(5.0モル)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン236g(1.0モル)、メタノール300gを仕込み、0.05N塩酸90g(5.0モル)を滴下し、メトキシ基を部分的に加水分解した。その後、70℃で2時間加熱し、縮合させたのち、メタノール、及び残存アルコキシシランモノマーを減圧留去し、平均重合度6程度のオリゴマーを得た。エポキシ当量は790であった。このオリゴマー460g対し、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン44g(0.20モル)を添加し、室温で2時間攪拌することにより、下塗り剤Fを得た。
【0100】
〔調製例7〕
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、攪拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時にメタクリル酸メチル300部、アクリル酸ブチル400部、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン7部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬株式会社製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬株式会社製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら、2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。ここに、2−ブトキシエチルアセタート40部を添加し、十分攪拌混合し、エマルジョンを得た。
【0101】
得られたエマルジョンの固形分濃度は49.7%であり、アンモニア水を添加してpHを7.0に調整した。これを不揮発分30%となるよう水希釈した液を下塗り剤Gとした。
【0102】
〔調製例8〕
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランを使用しない点以外は調製例7と同様の処方により、固形分濃度48.3%のエマルジョンを得た。これを不揮発分30%となるよう水希釈した液を下塗り剤Hとした。
【0103】
〔調製例9〕
市販のエポキシ樹脂系プライマーをキシレンにて希釈し、不揮発分20%の下塗り剤Iとした、元素分析、NMR等の分析により、この市販品には加水分解性シリル基が含まれていないことを確認した。
【0104】
〔調製例10〕
2リットルのフラスコにメチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、0℃で水800gを加えてよく混合した。ここに、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液216gを40分間かけて滴下し加水分解反応を行った。滴下終了後、10℃以下で1時間攪拌した後、室温で3時間攪拌して加水分解反応を完結させた。
【0105】
次いで、加水分解で生成したメタノール及び水を70℃×60Torrの条件下で1時間減圧留去し、1136gの溶液を得た。溶液は白濁しており、1昼夜静置すると2層に分離した。水に不溶となったシリコーン樹脂は沈降した。
【0106】
この白濁溶液から一部サンプリングし、水不溶となったシリコーン樹脂をメチルイソブチルケトンを用いて溶解させ、水層から分離した。脱水処理後、溶媒変換しメチルグリニャールを反応させシラノール基を定量したところ、シラノール基の含有量は11.0重量%(対シリコーン樹脂)であった。また、GPC測定の結果、このシリコーン樹脂の数平均分子量は1.8×103であった。
【0107】
得られたシラノール基含有シリコーン樹脂の構造は、赤外吸収スペクトル(IR)分析、及び核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)分析により決定した。風乾により溶剤を除去した被膜の赤外吸収スペクトル(IR)分析により、3200cm-1を中心にシラノール基に由来する幅広い吸収が観測される一方、メトキシ基の炭素−水素結合の伸縮振動に由来する2840cm-1付近に吸収は観測されなかった。別法として、残存メトキシ基をアルカリクラッキング法で留去し定量することを試みたが、メタノールは検出されず、赤外吸収スペクトル分析の結果が裏付けられた。この結果から、メトキシ基は完全に加水分解されていると判断された。
【0108】
また、29Si−NMR分析では、下記に示したT単位の各構造は、出現する化学シフトの位置違いから判別可能である。
T−1単位:CH3−Si−O1/2−(OH)2 −46〜48ppm
T−2単位:CH3−Si−O2/2−(OH)1 −54〜58ppm
T−3単位:CH3−Si−O3/2 −62〜68ppm
【0109】
このシラノール基含有シリコーン樹脂の29Si−NMR分析を行ったところ、T−1単位を2モル%、T−2単位を42モル%、T−3単位を56モル%含んでいることが解った。
【0110】
以上の分析結果から、得られたシリコーン樹脂は以下の平均組成式で表わすことができる。
(CH3)1.0Si(OH)0.44O1.28
この組成式から算出されるシラノール基含有量は10.5重量%であり、実測値とも良く一致している。
【0111】
次に、この水溶液にメタクリル酸メチル(MMA)210g及びアクリル酸ブチル(BA)90gを加え、沈降したシリコーン樹脂を溶解し、シリコーン樹脂含有MMA/BA溶液として水層から分離した。分離後の溶液に、水を500g加え、10分間十分攪拌混合した後、静置し、水層を分離した。有機層中に含有されるメタノールをGCで定量したところ、水溶液中に0.2重量%検出された。最終的に不揮発分40.2重量%(105℃×3時間)のMMA/BA溶液(A)が505g得られた。ここで測定した不揮発分は、溶液中のシロキサン含有量と等しい。
【0112】
〔調製例11〕
調製例10において、メチルトリメトキシシランの代わりに、メチルトリメトキシシラン388g(2.85モル)及びジメチルジメトキシシラン18g(0.15モル)を使用し、水400gと1N酢酸水4gを用いて加水分解し、MMA210g、及びBA90gの代わりにMMA110g,BA110gを使用して水層から分離するように変更する以外は、調製例10と同様にして調製した。
【0113】
得られたシラノール基含有シリコーン樹脂を同様に分析したところ、T−2単位を38モル%含有し、数平均分子量は1.5×103であった。また平均組成式は以下のように表される。
(CH3)1.05Si(OH)0.40O1.28
また、シラノール基量は9.6重量%であった。
最終的に、不揮発分49.7%(105℃×3時間)のMMA/BA混合溶液(B)411gを得た。
【0114】
〔調製例12〕
5リットルフラスコに、水1300g、アセトン200g、トルエン800gを仕込み、室温で攪拌しながら、メチルトリクロルシラン89,7g(0.6モル)とフェニルトリクロルシラン507.6g(2.4モル)の混合物を1時間かけて滴下し、加水分解した。更に、30℃で9時間攪拌することによって加水分解を完結させた。その後、静置して塩酸を含む水層を分離除去した。次いで残った有機層に、1リットルの水を加え10分間攪拌し、静置した後、水層を分離除去するという水洗操作を2回繰り返した。得られたシリコーン樹脂溶液を、50℃×50Torrの条件下で有機溶剤を減圧留去し、粉体化したシリコーン樹脂を329g得た。
【0115】
得られたシラノール基含有シリコーン樹脂を同様に分析したところ、T−1単位を1モル%、T−2単位を62モル%含有し、数平均分子量は1.9×103であった。シラノール基量は2.6重量%であった。以上より、平均組成式は以下のように表された。
(C6H5)0.80(CH3)0.2Si(OCH3)0.07(OH)0.40O1.27
【0116】
このシリコーン樹脂をメタクリル酸メチル(MMA)200g及びアクリル酸ブチル(BA)23gを加え、最終的に不揮発分59.0%(105℃×3時間)のMMA/BA溶液(C)が552g得られた。
【0117】
〔調製例13〕
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を730部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、攪拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、調製例10で得たシリコーン樹脂含有MMA/BA溶液(A)700部、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン7部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬株式会社製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬株式会社製/商品名)7.0部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら、2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。ここに、2−ブトキシエチルアセタート40部を添加し、十分攪拌混合し、エマルジョン(Em−1)を得た。
【0118】
得られたエマルジョン(Em−1)の固形分濃度は50.1%であり、アンモニア水を添加してpHを7.0に調整した。
【0119】
〔調製例14〕
ガラス製ビーカーに調製例11で得られたシリコーン樹脂含有MMA/BA混合溶液(B)を700部、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン7部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬株式会社製/商品名)14.0部、アクアロンHS−10(第一工業製薬株式会社製/商品名)7.0部、2−ブトキシエチルアセタート70部を仕込み、高速攪拌機で攪拌しながら、脱イオン水430gをゆっくり加えながらエマルジョン化した。
【0120】
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を230部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47部、ホウ酸を4.70部仕込み、攪拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加すると同時に、上記で調製したエマルジョンを、重合容器内の温度を60℃に保持しながら、2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。
【0121】
得られたエマルジョン(Em−2)の固形分濃度は49.9%であり、アンモニア水を添加してpHを8.0に調節した。
【0122】
〔調製例15〕
シリコーン樹脂含有MMA/BA混合溶液(B)の代わりに、シリコーン樹脂含有MMA/BA溶液(C)を用いる以外は、調製例14と同様に乳化重合することにより、エマルジョン(Em−3)を合成した。このエマルジョンの固形分濃度は49.2%であり、アンモニア水を添加してpHを8.0に調節した。
【0123】
〔調製例16〕
調製例10と同様な処方にて得たMMA/BA溶液(A)505gに対し、更にMMA1212g,BA808gを加え、最終的に不揮発分8.1重量%(105℃×3時間)のMMA/BA溶液(D)2525gを得た。
【0124】
〔調製例17〕
調製例12と同様にして調製した粉体シリコーン樹脂300gに対し、BA25g、及び被膜形成助剤2−ブトキシエチルアセタート32gを加え、シリコーンのBA溶液(E)357gを得た。
【0125】
〔調製例18,19〕
シリコーン樹脂含有MMA/BA混合溶液(B)の代わりに、シリコーン樹脂含有MMA/BA溶液(D)、又はBA溶液(E)を用いる以外は、調製例14と同様に乳化重合することにより、エマルジョン(Em−4,5)を得た。エマルジョン(Em−4)の固形分濃度は48.8%、エマルジョン(Em−5)の固形分濃度は50.2%であり、両方ともアンモニア水を添加してpHを8.0に調節した。
【0126】
〔調製例20〕
2リットルのフラスコに、メチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)、トルエン155g、メタンスルホン酸10gを仕込み、窒素雰囲気下、25℃でよく混合した。ここに、水97gを40分間かけて滴下し加水分解反応を行った。滴下終了後、25℃で3時間攪拌して加水分解反応を完結させた。中和後、静置して水層を分離除去した。次いで残った有機層に、1リットルの水を加えて10分間攪拌し、静置した後水層を分離除去するという水洗操作を2回繰返した。得られたシリコーン樹脂溶液を、50℃×50Torrの条件下で有機溶剤を減圧留去し、粉体化したシリコーン樹脂を195g得た。
【0127】
得られたシラノール基含有シリコーン樹脂を同様に分析したところ、T−1単位を1モル%、T−2単位を27モル%、T−3単位を72モル%含有し、数平均分子量は3.4×103であった。シラノール基量は3.6重量%であった。これらの結果から、平均組成式は以下のように表わされた。
CH3Si(OCH3)0.15(OH)0.15O1.36
【0128】
このシリコーン樹脂を、メタクリル酸メチル(MMA)127g、及びアクリル酸ブチル(BA)68gを加え、最終的に不揮発分50.0%(105℃×3時間)のMMA/BA溶液(F)が390g得られた。
【0129】
〔調製例21〕
シリコーン樹脂含有MMA/BA混合溶液(B)の代わりに、シリコーン樹脂含有MMA/BA溶液(F)を用いる以外は、調製例14と同様に乳化重合することにより、エマルジョン(Em−6)を合成した。このエマルジョンの固形分濃度は48.2%であり、アンモニア水を添加してpHを8.0に調節した。
【0130】
〔実施例1〜4、参考例1〜3、比較例1〜6〕
表1記載の上塗り剤を調製後、表2,3記載の組み合わせで下塗り剤、上塗り剤を基材に塗布し、表2,3に示した条件で乾燥、硬化させて実施例1〜4、参考例1〜3、比較例1〜6の塗装物品を形成した。なお、表1中、白顔料ペーストは、顔料用酸化チタン710g、水217g、分散剤22g、プロピレングリコール48g、消泡剤3gを混合し、ペイントシェイカーにてペースト化したものを用いた。
【0131】
得られた実施例1〜4、参考例1〜3、比較例1〜6の塗装物品の塗膜について、下記方法により耐温水密着性を評価した。結果を表2,3に併記する。
耐温水密着性
60℃温水に2時間浸した後、2時間乾燥後の密着性をセロテープ剥離試験にて評価することを1サイクルとして、剥離が発生までのサイクル回数(耐久回数)を調べた。この場合、1サイクル後(初期)の塗膜外観を下記基準で判定した。
初期の塗膜外観
○:クラック、剥離が全く無い
×:クラックの発生あり
【0132】
また、アルミ板上に実施例1〜4、参考例1〜3、比較例1〜6の塗膜を形成し、スガ試験機製メタリングウエザーメーターにて耐候性試験(500時間)を実施した。試験前後での塗膜外観、光沢保持率を下記方法により評価した。結果を表2,3に併記する。
塗膜外観
試験後の塗膜の状態を試験前と対比して下記基準により評価した。
○:クラック、剥離が全く無い
×:クラックの発生あり
光沢保持率
日本電色工業株式会社製光沢計VG−2000を使用して試験前後での光沢を測定し、下記式から光沢保持率を算出した。
【数1】
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
Claims (8)
- 基材に、下記〔I〕の下塗り剤及び下記〔II〕の上塗り剤を順次塗布してなることを特徴とする塗装物品。
〔I〕1級及び/又は2級アミノ基を有するオルガノオキシシランとエポキシ基を有するオルガノオキシシランとの反応物からなる下塗り剤。
〔II〕下記(A)成分を含むシリコーン樹脂含有エマルジョンを含有してなるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物を主成分として含む上塗り剤。
(A)(A−1)一般式R1−SiZ3で表される構造単位(T単位)を30〜100モル%含有し、全T単位のうち、一般式R1−Si(OH)Z’2で表されるシラノール基を1個だけ含有する構造単位(T−2単位)を30〜80モル%含有し(式中、R1は置換又は非置換の1価炭化水素基、Zは水酸基、加水分解性基又はシロキサン残基を示し、少なくとも1個はシロキサン残基であり、Z’はシロキサン残基を示す。)、数平均分子量500以上であるシラノール基含有シリコーン樹脂 100重量部、
(A−2)ラジカル重合性ビニルモノマー 10〜1000重量部
を含有する混合溶液を乳化重合して得られるシリコーン樹脂含有エマルジョン - 〔I〕の下塗り剤の加水分解性基が、炭素数1〜3のアルコキシ基である請求項1記載の塗装物品。
- (A−1)成分のシラノール基含有シリコーン樹脂において、ケイ素原子に結合する全有機置換基中のメチル基の含有率が50モル%以上である請求項1又は2記載の塗装物品。
- (A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマーが、アルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを1〜100モル%含有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の塗装物品。
- (A−2)成分のラジカル重合性ビニルモノマーが、下記一般式で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランを0.01〜10モル%含有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の塗装物品。
CH2=C(R2)−R3−Si(R1)r(Y)3-r
(式中、R 1 は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R 2 は水素原子又はメチル基、R 3 は2価の有機基、Yは加水分解性基を示す。rは0,1又は2である。) - (A)成分のシリコーン樹脂含有エマルジョンを下記(i)〜(iv)の工程により調製する請求項1乃至5のいずれか1項記載の塗装物品。
(i)加水分解性シラン化合物をpH1〜7の水溶液中で加水分解し、シラノール基含有シリコーン樹脂を含む反応混合物を得る工程。
(ii)この反応混合物から加水分解副生成物を系外に除去し、主としてシラノール基含有シリコーン樹脂と水を含有する系にする工程。
(iii)上記主としてシラノール基含有シリコーン樹脂と水からなる系に、ラジカル重合性ビニルモノマーを添加、溶解し、残存する加水分解副生成物及び水からなる層を除去する工程。
(iv)得られたシリコーン樹脂含有ラジカル重合性ビニルモノマー溶液を、界面活性剤の存在下で乳化重合する工程。 - 基材が金属、セラミック系無機材料、ガラス、木材、紙又はプラスチックである請求項1乃至6のいずれか1項記載の塗装物品。
- 基材がモルタル、コンクリート、セメント製外装用壁材、窯業パネル、レンガ、ガラス、陶磁器、人工大理石、ステンレススチール、プラスチックから選ばれる請求項1乃至6のいずれか1項記載の塗装物品。
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