JP3825503B2 - 固体撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置に係り、特に医療における放射線撮像に適した固体撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像処理技術の普及に伴い光電変換機能を有する主要なデバイスとしてCCDやBBDに代表される電荷転送デバイスやMOS型固体撮像デバイスなどが開発されており、これらを利用した種々の固体撮像装置が知られている。
【0003】
ところで、医療の分野では、20世紀初頭に発明されたX線レントゲンフィルムを用いた画像診断は、いまだに最前線で活用されているが、患者数の増大とともに、保管方法や保管場所などが大きな問題となっている。そこで、近年、X線イメージインテンシファイア(Image Intensifier;II)の技術を用いて、電子管によりX線を光学画像に変換し、CCD等により読み込ませることによって直接コンピュータに転送し、磁気ディスクなどの電子メディアに保管することにより、保存場所の節約、検索の容易化、後日でも画像処理が可能等の便利さを使用者に提供できるようにしている。
【0004】
X線を使用しての撮像には、リアルタイムで体内を観測する高速撮像モード(以後、透視モードとも呼ぶ)と、特定の時点での体内観測をする高解像度モードとがあり、撮像画素の単位を同一として、これらの2つのモードでの観察を行っている。
【0005】
また、この方法では、X線IIにより変換する部分で画像の劣化等の問題が生じるため、最近では、第1に、X線をシンチレータ等により可視光等に変換後、テーパ状の光ファイバプレート(テーパファイバ)を用いてフォトダイオードに入力して光電変換する方法、第2に、X線をシンチレータ等により可視光等に変換後、光ファイバプレートを用いることなく、アモルファスシリコン等の大面積イメージセンサに直接入力して画像化する方法が行われている。
【0006】
図8に上記第1の方法で用いる装置を示す。この放射線撮像装置は、CsIにより形成されX線を光信号に変換するシンチレータ板1を備え、このシンチレータ板1と固体撮像部2との間には、3行3列に束ねたテーパファイバ3が介在されている。固体撮像部2は、テーパファイバ3に対応するように正方形板状のチップ4をマトリックス状に配置して構成されている。そして、その一単位のチップ4には、図9に示すように、フォトダイオードとスイッチ素子とを1組の受光要素とし、この受光要素を垂直・水平方向にマトリックス状に配列して受光部5が形成されている。また、受光部5の周囲であるチップ4外周辺近傍には、受光要素を一つずつ順次選択して信号を出力する垂直シフトレジスタ6および選択された各受光要素からの信号を処理するチャージアンプアレイ7が配置されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、X線を使って撮像を行う場合、被曝量を少なくするために線量を低く設定する。しかし、高速撮像モードでは、撮像結果から動画観察をすることから、X線の照射時間が必然的に長くなるので、照射X線の単位時間あたりの線量を非常に小さいものとすることになる。この結果、透過したX線自体にX線量子ノイズと呼ばれる一種の揺らぎが発生するため、シンチレータでX線フォトン1つに対して、非常に多くの可視光子に変換されるとしても、ノイズの多い画像しか得られないという問題点があった。
【0008】
また、従来の放射線撮像装置では、図9に示すように、1チップ4内に受光部5を配置するとともに、受光部5の周辺に垂直シフトレジスタ6やチャージアンプアレイ7の回路部を配置していたため、シンチレータ板1で変換した全ての光信号を取り込むためには必然的にテーパファイバ3を用いて光を絞り込まなければならなかった。
【0009】
ところが、テーパファイバは、その製造上の理由から非常に高額である。X線写真フィルムを用いる例からも判るように、医療の分野における画像診断の対象は人体であり、それも胸部等の大面積の領域であることから、撮像装置も大きなものが必要となる。したがって、高額なテーパファイバを用いて人体に対応する面積の放射線撮像装置を実現しようとすると、1システム当りのコストは膨大なものになるという問題があった。
【0010】
また、テーパファイバは、製造時にファイバの四隅が丸くなることから、ファイバ角部に対応する位置おいて画像が得られなかったり、若干画像が歪むという問題もあった。
【0011】
一方、アモルファスシリコンを用いる上記第2の方法の場合、容易に大面積を達成できるものの、微細加工技術を施せないために、最もノイズの発生の原因となるビデオライン容量を小さくできないという問題があり、特に人体の大きさまでセンサを大きくすると、この問題はより一層深刻となり、II方式に比べ良好なS/N比を得ることは困難であった。
【0012】
これらの問題を解決するために、MOSイメージセンサを用いた例が知られている。例えば、特開平4ー3588号公報に示すように、2次元MOSセンサの1水平受光部単位毎に積分器を配置してビデオラインを分割し、S/N比を稼ぐ方法がある。この方法を用いれば、もともとMOSイメージセンサは1単位当りの画素サイズを200μm×200μm以上にできるので、これを大面積化することが考えられる。
【0013】
ところが、チップ自体の面積を半導体ウェハサイズ以上にはできないという制約があるために、受光部の大きさをウェハサイズぎりぎりまでとして、そのチップを何個も組み合わせて人体の大きさまで構築する方法を採用せざるを得ない。しかし、この方法でも、各受光部の繋ぎめ毎にアンプアレイおよび水平、垂直シフトレジスタ自体の占有面積があるため、その分チップ間に大きな隙間が数mm存在することになり、画像上に大きなブランク領域が発生するので、実用上大きな障害となるという欠点があった。
【0014】
また、このような大面積チップを製造する際、特に問題となるのが、オフセットばらつきである。MOSデバイスについては、そのしきい値電圧Vthは製造工程上どうしてもばらつくが、特に大面積チップを構成する際に、そのVthばらつきはより一層顕著となる。ところが、特開平4ー3588号公報記載の装置では、その工夫がなされておらず、その影響がフィクストパターン画像ノイズとなって現れることは明白であり、その解決手段を持たない限り、実用とはなり得ないものである。
【0015】
また、1単位当りの画素サイズを大きくしたとしても、大面積チップとし、各垂直ラインの受光要素数を増大させると、ビデオライン容量の1つの構成要素である配線容量はチップサイズとともに増大するし、またビデオライン容量の他の構成要素である各ビデオラインに接続された受光要素のスイッチ素子の総容量も増大するので、MOSデバイスといえど、こうした容量の増加を無視することができなくなる。
【0016】
こうしたビデオラインの容量の増大に対して、特開昭63−185281に開示の技術のように、受光要素のスイッチ素子の他に接続経路設定用のスイッチを設けて、動作時のビデオラインにおける接続スイッチ素子の数を低減することも考えられるが、各画素単位の読み出しごとの接続経路設定用のスイッチ素子のON/OFF動作に伴うスイッチングノイズの影響が増大することになる。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、動画観察時にもリアルタイム性を保ちつつ、かつ、量子ノイズによるS/Nの劣化の小さな固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、画像に抜けや歪がなく、S/Nの良い画像が得られる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の固体撮像装置は、入力した2次元光像を撮像する固体撮像装置であって、(a)入力光信号を電流信号に変換する光電変換素子と、光電変換素子の信号出力端子に第1の端子が接続され、行方向走査信号に応じて第2の端子から光電変換素子で発生した電流信号を流出するスイッチ素子とを1組とする受光単位が、第1の数を列数とし、第2の数を行数としてマトリックス状に配列されて受光要素が形成されるとともに、受光要素が、第3の数を列数とし、第4の数を行数としてマトリクス状に配置されて形成され、同一の列の前記スイッチ素子の第2の端子が互いに電気的に接続された受光部と、(b)受光部の列ごとに出力される電流信号を夫々個別に入力し、リセット指示信号に応じて、電流信号に関する電荷を電荷増幅器の入出力端子間に接続された容量素子に積分または非積分の動作をする、第1の数と第3の数との積である第5の数の積分回路と、(c)夫々の積分回路から出力された積分信号を夫々入力して、信号処理する第5の数の信号処理回路と、(d)夫々の受光要素に応じた、第1の数の信号処理回路からの出力信号と、モード指定信号とを入力するとともに、モード指定信号が高解像度モードを指定する場合には、第1の数の信号処理回路からの出力信号をそのまま出力し、モード指定信号が高速撮像モードを指定する場合には、第1の数の信号処理回路からの出力信号の値の和の値の信号を出力する、第3の数の出力信号処理部と、(e)出力信号処理部から出力された信号と、信号出力指示信号を入力し、信号出力指示信号の指示に応じて、出力信号処理部から出力された信号を択一的に出力する出力信号選択部と、(f)モード指定信号を入力し、モード指定信号が高解像度モードを指定する場合には、受光単位ごとにスイッチ素子を選択し、受光単位を単位として順次選択する行方向走査信号を出力し、モード指定信号が高速撮像モードを指定する場合には、受光要素内の第2の数のスイッチ素子を同時に選択するとともに、受光要素を単位として順次選択する行方向走査信号を出力する行方向走査指示部と、(g)モード指示信号を入力し、モード指定信号が高解像度モードを指定する場合には、受光単位に応じて出力信号処理部から出力された信号を順次選択する出力指示信号を出力し、モード指定信号が高速撮像モードを指定する場合には、受光要素に応じて出力信号処理部から出力された信号を順次選択する出力指示信号を出力する出力信号選択指示部と、(h)モード信号を出力するとともに、信号読み出し動作を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0020】
ここで、第1の数を2とし、第2の数を2とすることが可能である。
【0021】
請求項1の固体撮像装置では、受光部の光電変換素子に蓄積された、受光量に応じた撮像データの読み出しに先立って、制御部が、高速撮像モードおよび高解像度モードのいずれかを指定するモード指定信号を、行方向走査指示部、出力信号処理部、および、出力信号選択指示部へ向けて出力する。なお、以後、行方向を垂直方向と、列方向を水平方向とも呼ぶ。
【0022】
まず、高解像度モードを設定した場合について、読み出し動作を説明する。このモードでは、受光単位を単位として、受光量に応じた信号を読み出す。
【0023】
読み出し動作に関する設定を初期化後、各列の行方向における第1番目の受光単位のスイッチ素子のみを「ON」とする行方向走査信号を出力する。スイッチ素子が「ON」となると、それまでの受光によって光電変換素子に蓄積された電荷が電流信号となって受光部から出力される。そして、積分回路によって瞬時にその帰還容量に蓄積され受光量を電圧値に反映した積分信号として出力される。
【0024】
各積分信号は、夫々に応じた信号処理回路に入力し、例えばクランプ処理やサンプリング処理が施されて出力される。信号処理回路から出力された信号は、出力信号処理部に入力する。出力信号処理部には、モード指定信号によって高解像度モード動作が指示されているので、入力信号をそのまま、受光単位ごとに応じた出力信号として、出力信号選択部へ向けて出力する。
【0025】
この状態で、出力信号選択指示部が出力信号選択指示信号を出力する。出力信号選択指示部には、モード指定信号によって高解像度モード動作が指示されているので、受光単位に応じて出力信号処理部から出力された信号を順次選択する出力指示信号を出力信号選択部へ向けて出力する。
【0026】
出力信号選択部は、入力した出力指示信号に従って、受光単位ごとに列方向に順次出力信号を出力する。こうして順次出力される出力信号を順次収集して、各列の第1番目の行に関する撮像結果を得る。
【0027】
引き続き、読み出し動作に関する設定を初期化後、各列の行方向における第2番目の受光単位のスイッチ素子のみを「ON」とする行方向走査信号を出力する。以後、上記と同様にして、各列の第2番目の行に関する撮像結果を得る。
【0028】
この後、読み出し動作に関する設定を初期化をその都度行いながら、各列の行方向における第3番目から最終番目までの受光単位のスイッチ素子のみを「ON」とする行方向走査信号を順次出力し、各列の全ての行に関する撮像結果を得る。
【0029】
次に、高速撮像モードを設定した場合について、読み出し動作を説明する。このモードでは、受光要素を単位として、受光量に応じた信号を読み出す。
【0030】
読み出し動作に関する設定を初期化後、受光要素の各列の行方向における第1番目の受光要素のスイッチ素子の全てを「ON」とする行方向走査信号を出力する。スイッチ素子が「ON」となると、それまでの受光によって光電変換素子に蓄積された電荷が電流信号となって受光部から出力される。そして、夫々、積分回路によって瞬時にその帰還容量に蓄積され受光量を電圧値に反映した積分信号として出力される。すなわち、帰還容量には、同時にスイッチ素子が「ON」となった同一の列の第2の数の光電変換素子に蓄積された電荷の和の電荷が蓄積される。
【0031】
各積分信号は、夫々に応じた信号処理回路に入力し、例えばクランプ処理やサンプリング処理が施されて出力される。信号処理回路から出力された受光要素に応じた1組の信号は、出力信号処理部に入力する。出力信号処理部には、モード指定信号によって高速撮像モード動作が指示されているので、受光要素に応じた1組の入力信号の値の和の値の信号を、受光要素に応じた出力信号として、出力信号選択部へ向けて出力する。
【0032】
この状態で、出力信号選択指示部が出力信号選択指示信号を出力する。出力信号選択指示部には、モード指定信号によって高速撮像モード動作が指示されているので、受光要素に応じて出力信号処理部から出力された信号を順次選択する出力指示信号を出力信号選択部へ向けて出力する。
【0033】
出力信号選択部は、入力した出力指示信号に従って、受光要素ごとに水平方向に順次出力信号を出力する。こうして順次出力される出力信号を順次収集して、受光要素を単位とした第1番目の水平ラインに関する撮像結果を得る。
【0034】
引き続き、読み出し動作に関する設定を初期化後、受光要素の各列の行方向における第2番目の受光要素のスイッチ素子のみを「ON」とする行方向走査信号を出力する。以後、上記と同様にして、受光要素を単位とした第2番目の水平ラインに関する撮像結果を得る。
【0035】
この後、読み出し動作に関する設定を初期化をその都度行いながら、受光要素の各列の行方向における第3番目から最終番目までの受光要素のスイッチ素子のみを「ON」とする垂直走査信号を順次出力し、受光要素を単位とした全ての行に関する撮像結果を得る。
【0036】
請求項3の固体撮像装置は、請求項1の固体撮像装置において、行方向走査指示部および制御部は、受光単位の配列平面とは異なる第1の平面上に配設され、積分回路、出力信号処理回路、出力信号選択部、および、出力信号選択指示部は、受光単位の配列平面とは異なる第2の平面上に配設されるとともに、(i)受光部の外周辺近傍に配設され、受光単位の各行の、第5の数のスイッチ素子のゲート端子に共通接続された、第2の数と第4の数との積である第6の数のゲート用電極パッドと、第5の数の各列のスイッチ素子の出力端子に共通接続された第5の数の出力用電極パッドとが配列された電極パッドと、(ii)第1の平面上に配設された、受光単位を選択する行方向走査信号用の信号出力パッドと、(iii)第2の平面上に配設された、出力用電極パッドからの信号を入力するための信号入力パッドと、(iv)ゲート用電極パッドと信号出力パッドとを電気的に接続し、出力用電極パッドと信号入力パッドとを電気的に接続する接続手段とを更に備えることを特徴とする。
【0037】
請求項3の構成の固体撮像装置において、撮像にあたっての受光に関して無駄なスペースとなる受光部以外の部分は、受光部とは異なる平面上に設けられ、受光要素群である受光部と小さな電極パッド部しか存在しない。したがって、この固体撮像装置では、通常の光ファイバプレートを使用することができる。これにより、固体撮像装置を安価に提供することができる。また、テーパファイバを用いないので、画像の抜けや劣化はなくなる。さらに、アモルファスシリコンを用いたようなS/Nの低下はない。
【0038】
受光部と受光部以外との接続手段は、(i)受光単位の配列平面と垂直に配設されるとともに、複数のゲート用電極パッドに対応するゲート用配線または前記複数の出力用電極パッドに対応する出力用配線が施され、積分回路、出力信号処理回路、出力信号選択部、出力信号選択指示部、行方向走査指示部、および、制御部を搭載する1枚以上の配線板と、(ii)受光部の電極パッドと前記配線板の配線とを電気的に接続する配線手段とを備えて、好適に構成可能である。
【0039】
ここで、配線手段は、(i)ボンディングワイヤや(ii)フレキシブルケーブルを好適に採用可能である。
【0040】
ワイヤボンディングによる接続では、接続に要する領域が小さくなる。
【0041】
また、フレキシブルケーブルとして、最近、液晶パネルなどの実装で一般的になっているTCP(Tape Carrier Package)の方法を好適に用いることができる。フレキシブルケーブルを用いると、小さなスペースにおいても接続が容易となり、また確実となる。
【0042】
また、接続手段は、(i)ゲート用電極パッドと信号出力パッドとに電気的に直接接続される第1のボールグリッドアレイ配線材と、(ii)出力用電極パッドと信号入力パッドとに電気的に直接接続される第2のボールグリッドアレイ配線材とでも構成可能である。
【0043】
この場合も、撮像にあたっての受光に関して無駄なスペースとなる受光部以外の部分は、受光部とは異なる平面上に設けられるとともに、受光部と受光部以外の回路部とは第1、第2のボールグリッドアレイ配線材で電気的に直接接続され、受光面には、受光要素群である受光部と小さな電極パッド部しか存在しない。したがって、この固体撮像装置では、通常の光ファイバプレートを使用することができる。これにより、固体撮像装置を安価に提供することができる。
【0044】
請求項4の固体撮像装置は、請求項3の固体撮像装置において、受光部以外の回路部は、受光部が存在する領域とは反対の領域に位置することを特徴とする。
【0045】
請求項4の固体撮像装置では、放射線をシンチレータ板で光信号に変換し、例えばその光信号を光ファイバで伝送する。このとき、光ファイバ中にPb等の放射線を遮断する成分が存在させることができるので、放射線による弊害は少ないが、回路部を受光部が存在する領域とは反対の領域に位置させることで、撮像領域を狭めることなく、また受光部以外の回路部を放射線から完全に保護することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の固体撮像装置の実施の形態を説明する。なお、図面の説明にあたって同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
図1は、本発明の固体撮像装置の一実施例の回路構成図である。図1に示すように、この装置は、(a)入力光信号を電流信号に変換する光電変換素子140と、光電変換素子140の信号出力端子に端子151が接続され、行方向走査信号に応じて端子152から光電変換素子140で発生した電流信号を流出するスイッチ素子150とを1組とする受光単位130が、2を列数とし、2を行数としてマトリックス状に配列されて受光要素120が形成されるとともに、受光要素120が、Mを列数とし、Nを行数としてマトリクス状に配置されて形成され、同一の列のスイッチ素子150の端子152が互いに電気的に接続された受光部100と、(b)受光部100の列ごとに出力される電流信号を夫々個別に入力し、リセット指示信号KRSに応じて、電流信号に関する電荷を入出力端子間に接続された容量素子212に積分または非積分の動作をする、2M個の数の積分回路210と、(c)夫々の積分回路210から出力された積分信号DSを夫々入力して、信号処理する2M個の信号処理回路220と、(d)夫々の受光要素120に応じた、信号処理回路220からの2つの出力信号と、モード指定信号MDとを入力するとともに、モード指定信号MDが高解像度モードを指定する場合には、信号処理回路220からの2つの出力信号をそのまま出力し、モード指定信号MDが高速撮像モードを指定する場合には、2つの積分信号の値の和の値の信号を出力する、M個の出力信号処理部250と、(e)出力信号処理部250から出力された信号と、信号出力指示信号HSj(j=1〜2M)、HSk(k=1〜M)を入力し、信号出力指示信号HSj、HSkの指示に応じて、出力信号処理部250から出力された信号を択一的に出力する出力信号選択部260と、(f)モード指定信号MDを入力し、モード指定信号MDが高解像度モードを指定する場合には、受光単位130ごとにスイッチ素子150を選択し、受光単位130を単位として順次選択する行方向走査信号VSi(i=1〜2N)を出力し、モード指定信号MDが高速撮像モードを指定する場合には、受光要素120内の2つのスイッチ素子150を同時に選択するとともに、受光要素120を単位として順次選択する行方向走査信号VSiを出力する行方向走査指示部320と、(g)モード指示信号MDを入力し、モード指定信号MDが高解像度モードを指定する場合には、受光単位130に応じて出力信号処理部250から出力された信号を順次選択してする出力指示信号HSjを出力し、モード指定信号MDが高速撮像モードを指定する場合には、受光要素120に応じて出力信号処理部250から出力された信号を順次選択する出力指示信号HSkを出力する出力信号選択指示部330と、(h)モード信号MDを出力するとともに、信号読み出し動作を制御する制御部310とを備える。そして、各受光要素120ごとに対応する、2つの積分回路210と、2つの信号処理回路220と、1つの出力信号処理部250と、1つの出力信号選択部260とで垂直信号処理部200kを構成している。また、(i)垂直信号処理部200kから出力された信号を入力し、装置としての出力データ信号を出力するデータ信号出力回路280を更に備える。
【0048】
積分回路210は、(i)受光部100からの出力信号を入力し、入力した電流信号の電荷を増幅する電荷増幅器211と、(ii)電荷増幅器211の入力端子に一方の端子が接続され、電荷増幅器211の出力端子に他方の端子が接続された容量素子212と、(iii)電荷増幅器211の入力端子に一方の端子が接続され、電荷増幅器211の出力端子に他方の端子が接続され、リセット指示信号KRSが有意の場合には「ON」状態となり、リセット指示信号KRSが非有意の場合には「OFF」状態となるスイッチ素子213と、(iv)一方の端子が接地され、電荷増幅器211の出力端子に他方の端子が接続された容量素子214とを備える。
【0049】
図2は、信号処理回路220の構成図である。図2に示すように、信号処理回路220は、(i)積分回路210から出力された信号DSを入力し、クランプ指示信号CPに応じて入力信号をクランプするクランプ回路221と、(ii)クランプ回路221から出力された信号を入力し、サンプル指示信号SPに応じてサンプルホールド動作を行うサンプルホールド回路226とを備える。
【0050】
クランプ回路221は、(i)積分回路210から出力された信号DSを入力し、交流成分を出力する容量素子222と、(ii)容量素子222を介した信号を入力し、増幅して出力する増幅器223と、(iii)増幅器223の入力端子に一方の端子が接続され、増幅器223の出力端子に他方の端子が接続された容量素子224と、(iv)増幅器223の入力端子に一方の端子が接続され、増幅器223の出力端子に他方の端子が接続され、クランプ指示信号CPが有意の場合には「ON」状態となり、クランプ指示信号CPが非有意の場合には「OFF」状態となるスイッチ素子225とを備える。
【0051】
サンプルホールド回路226は、(i)クランプ回路221から出力された信号を一方の端子に入力するとともに、サンプル指示信号SPが非有意の場合には「OFF」のホールド状態となり、サンプル指示信号SPが有意の場合には「ON」のサンプル状態となるスイッチ素子227と、(ii)スイッチ素子227を介した信号電荷を蓄積する容量素子228とを備える。
【0052】
図3は、出力信号処理部250の構成図である。図3に示すように、出力信号処理部250は、(i)k番目(k=1〜M)の受光要素に応じた、2つの信号処理回路220の出力信号VT1、VT2を夫々入力し、増幅するとともに、インピーダンスを変換して出力するバッファアンプ2511、2512と、(ii)バッファアンプ2511、2512から出力された信号を、夫々、第1の端子に入力するとともに、モード指示信号MDが、高解像度モードを示す場合には「ON」となり、高速撮像モードを示す場合には「OFF」となるスイッチ素子2521、2522と、(iii)バッファアンプ2511、2512から出力された信号を、夫々、第1の端子に入力するとともに、モード指示信号MDが、高解像度モードを示す場合には「OFF」となり、高速撮像モードを示す場合には「ON」となるスイッチ素子2531、2532と、(iv)スイッチ素子2521、2522を介した信号を、夫々、第1の端子から入力し、交流成分である受光単位130に応じた出力信号VO2k-1、VO2kを第2の端子から出力する容量素子2541、2542と、(v)スイッチ素子2531、2532を介した信号を、夫々、第1の端子から入力し、交流成分である、受光要素120内の受光単位130に関する和に応じた出力信号VOkを第2の端子から出力する、第2の端子同士が接続された容量素子2551、2552とを備える。
【0053】
出力信号選択部260は、(i)受光単位130ごとに対応した信号VO2k-1、VO2kを、夫々、第1の端子から入力し、受光単位130ごとの出力信号選択指示信号HS2k-1、HS2kが有意の場合に「ON」となるスイッチ素子261、262と、(ii)受光要素120ごとに対応した信号VOkを第1の端子から入力し、受光要素120ごとの出力信号選択指示信号HSkが有意の場合に「ON」となるスイッチ素子263とを備える。
【0054】
データ信号出力回路280は、(i)出力信号選択部260から出力された信号を入力し、入力した電流信号の電荷を増幅する電荷増幅器281と、(ii)電荷増幅器281の入力端子に一方の端子が接続され、電荷増幅器281の出力端子に他方の端子が接続された容量素子282と、(iii)電荷増幅器281の入力端子に一方の端子が接続され、電荷増幅器281の出力端子に他方の端子が接続され、初期電位設定指示信号GRSが有意の場合には「ON」状態となり、初期電位設定指示信号GRSが非有意の場合には「OFF」状態となるスイッチ素子283とを備える。
【0055】
図4は、本実施形態の幾何学的構成の概要を示す構成図である。本実施形態の固体撮像装置は、図4に示すように、受光要素120をマトリックス状に配置した受光部100を有するフォトダイオードチップ11と、隣り合う受光部100間において板面をフォトダイオードチップ11と垂直にして配設した配線板13a、13bと、図4に示すような、配線板13aに設けられた行方向走査指示部320である垂直シフトレジスタチップ14と、同じく配線板13bに設けられた、積分回路210、信号処理回路220、出力信号処理部250、出力信号選択部260、制御部310、および、出力信号選択指示部(水平シフトレジスタ)300を含むチャージアンプアレイチップ15とから概略構成されている。
【0056】
フォトダイオードアレイチップ11の受光部100の周りには、複数の受光単位130の各水平方向受光列の各スイッチ素子150のゲート端子に共通接続した複数のゲート用電極パッド44aと、各列(垂直方向受光列)のスイッチ素子150の出力端子に共通接続した複数の出力用電極パッド44bとが配列されている。すなわち、フォトダイオードアレイチップ11の受光部100の周りには、ゲート用電極パッド44aと出力用電極パッド44bとで構成される電極パッド部44が形成されている。
【0057】
垂直シフトレジスタチップ14には、光検出結果を読み出す受光単位130の垂直方向の位置を指示する行方向走査信号VSiを出力するための信号出力パッド45aが形成されている。
【0058】
本実施形態の固体撮像装置は、図5に示すように、フォトダイオードアレイチップ11の台座35の四辺を横方向(矢印X方向)の配線板13bおよび縦方向(矢印Y方向)の配線板13aで組み込み支持して構成されている。正方形板状の台座35のX方向の対向辺には、角部を切り欠いてなる中央の第1の凸部36と角部を突き出してなる一対の第2の凸部37が形成され、Y方向の配線板13aの両側辺中間部には、切り欠き38が形成されており、配線板13aの切り欠き38より上部の板厚はそれより下部の板厚より薄くなっていて、図5で配線板13aの裏側となる面には段部が形成されている。
【0059】
台座35は、その第1の凸部36がY方向前方の配線板13aの段部に係合され、対をなす第2の凸部37が後方の配線板13aの切り欠き38に嵌め込まれて、Y方向の配線板13aに支持されている。
【0060】
さらに、Y方向の配線板13aの両側辺上部には、段違いとなる凸部39、凸部40が形成されている。そして、X方向の配線板13bの上辺に形成された切り欠き41に、Y方向の配線板13aの下側の凸部40を嵌め込むとともに、嵌め込んだ凸部40の上に隣の配線板13aの上側の凸部39が重なるようにして嵌め込んでXY方向の配線板13a、13bが縦横立体的に組み立てられる。
【0061】
図5に示すように、台座35に載置されたフォトダイオードアレイチップ11の受光部100の隣り合う二辺の周り、すなわちフォトダイオードアレイチップ11の外周二辺の近傍には、前述のように、受光要素120の各水平方向受光列および垂直方向受光列ごとにそれぞれ対応する数の電極パッド44a、44bが形成されている。一方、Y方向の配線板13aおよびX方向の配線板13bには、図5に示すように、切り欠き38位置の上下方向にわたって、金めっき等の配線により、各ゲート用電極パッド44aおよび出力用電極パッド44bに対応した数のゲート用配線46aおよび出力用配線46bがそれぞれ施されている。
【0062】
そして、図4に示すように、フォトダイオードアレイチップ11を搭載した台座35を配線板13a、13bに組み込んだ状態で、フォトダイオードアレイチップ11のゲート用電極パッド44aとY方向の配線板13aのゲート用配線46a、および出力用電極パッド44bとX方向の配線板13bの出力用配線46bとは、ボンディングワイヤ47によりそれぞれ電気的に接続されている。
【0063】
また、Y方向の配線板13aにおいて、フォトダイオードアレイチップ11が存在する領域とは反対の領域(配線板13aの下部)には、図4および図5に示すように、垂直シフトレジスタチップ14が接着剤によりダイボンドされている。同様にして、X方向の配線板13bにおいて、フォトダイオードアレイチップ11が存在する領域とは反対の領域(配線板13bの下部)には、チャージアンプアレイチップ15が接着剤によりダイボンドされている。
【0064】
そして、垂直シフトレジスタチップ14の信号出力パッド45aとY方向の配線板13aのゲート用配線46a、およびチャージアンプアレイチップ15の信号入力パッド45bとX方向の配線板13bの出力用配線46bとは、ボンディングワイヤ47によりそれぞれ電気的に接続されている。
【0065】
本実施形態の固体撮像装置は、以下のようにして受光部100で受光した光像に応じた撮像データを読み出す。
【0066】
まず、高解像度モードを設定した場合について、読み出し動作を説明する。このモードでは、受光単位130を単位として、受光量に応じた信号を読み出す。図6は、高解像度モードを設定した場合の本実施形態の撮像データの読み出し動作のタンミングチャートである。
【0067】
制御部310がモード指示信号MDで高解像度モードを指定すると、出力信号処理部250のスイッチ素子252は「ON」となり、スイッチ素子253は「OFF」となる。
【0068】
まず、読み出しの実行に先立って、制御部310が全てのクランプ指示信号CPjを有意するとともに、積分回路リセット指示信号KRSを有意とし、クランプ回路220の出力と積分回路210の出力を基準電位Vrefとする。
【0069】
また、読み出しの実行に先立って、全ての水平ラインに応じた水平走査信号HSjおよび初期電位設定指示信号GRSを有意とする。この結果、スイッチ素子261、262の全てがONとなり、容量素子254の全ての出力がデータ出力回路280の初期電位である基準電位Vrefに設定される。
【0070】
次に、制御部310が全てのクランプ指示信号CPjを非有意とし、積分回路リセット指示信号KRSを非有意とするとともに、全ての水平ラインに応じた水平走査信号HSjおよび初期電位設定指示信号GRSを有意としたままで、受光部100の垂直走査における第1番目の受光単位1301,jのスイッチ素子150のみを「ON」とする垂直走査信号VSiを有意とするとともに、全ての水平ラインに応じたサンプル指示信号SPjを有意にする。スイッチ素子150が「ON」となると、それまでの受光によって光電変換素子140に蓄積された電荷が電流信号となって受光部100から出力される。そして、積分回路210によって瞬時にその帰還容量である容量素子212に蓄積され電圧として出力される。積分回路210から出力された信号は、クランプ回路221、サンプルホールド回路226、バッファアンプ251、および、スイッチ素子252を介して容量素子254に入力する。この結果、容量素子254の信号入力端子は光電変換素子140での受光量に応じた電圧が印加される。
【0071】
次いで、全ての水平ラインに応じた水平走査信号HSjおよび初期電位設定指示信号GRSを非有意とした後、水平走査信号HSjの設定により、垂直方向の第1番目の受光単位1301,jに関するデータの読み出しを開始する。
【0072】
タイミング制御部310が、水平選択信号HS1を有意とすることにより水平方向の第1番目の受光単位1301,1に応じたスイッチ素子261のみの「ON」を指示する水平走査信号HS1を有意とし、第1番目の受光単位1301,1に応じたスイッチ素子150のみを「ON」とするとともに、初期電位設定指示信号GRSが一時的に有意となり、データ出力回路280の入力電位が基準電位Vrefに設定される。
【0073】
第1番目の受光単位1301,1に応じたスイッチ素子261が「ON」となることにより、容量素子254の出力端子とデータ出力回路280の入力端子とが接続されるが、容量素子254の出力端子の電位は、前回のスイッチ素子261、262の開放時の電位、すなわち、データ出力回路280の入力端子の初期電位である基準電位Vrefのままなので、データ出力回路280の入力端子の電位は変動せず安定したままである。
【0074】
次に、水平方向の第1番目の受光単位1301,1に応じたクランプ指示信号CP1とサンプル指示信号SP1とを有意とする。この結果、クランプ回路221の出力はクランプ電位である基準電位Vrefに変化し、この変化がサンプルホールド回路226、容量素子254、およびデータ出力回路280を介して、水平方向の第1番目の受光単位1301,1に入射した光量に応じた出力データ信号VOとして出力される。
【0075】
引き続き、水平方向の第1番目の受光単位1301,1に応じたスイッチ素子261のみの選択を指示する水平走査信号HS1、水平方向の第1番目の受光単位1301,1に応じたクランプ指示信号CP1、およびサンプル指示信号SP1を非有意として、水平方向の第1番目の受光単位1301,1に関するデータ読み出しを終了する。
【0076】
次に、水平方向の第1番目の受光単位1301,1と同様にして、水平方向の第2番目以降の受光単位1301,jに関するデータ読み出しを実行する。
【0077】
次いで、制御部310が全てのクランプ指示信号CPjと積分回路リセット指示信号KRSとを有意とし、クランプ回路221の出力と積分回路210との出力を基準電位Vrefに設定しながら、受光部100の垂直走査における第2番目以降の受光単位130i,jに関するデータ読み出しを実行する。
【0078】
こうして、受光部100に入力した光の形成する光像を撮像し、受光単位130ごとに高分解能で撮像データを得る。
【0079】
次に、高速撮像モードを設定した場合について、読み出し動作を説明する。このモードでは、受光要素120を単位として、受光量に応じた信号を読み出す。図7は、高速撮像モードを設定した場合の本実施形態の撮像データの読み出し動作のタンミングチャートである。
【0080】
制御部310がモード指示信号MDで高速撮像モードを指定すると、出力信号処理部250のスイッチ素子252は「OFF」となり、スイッチ素子253は「ON」となる。
【0081】
まず、読み出しの実行に先立って、制御部310が全てのクランプ指示指示信号CPjを有意するとともに、積分回路リセット指示信号KRSを有意とし、クランプ回路221の出力と積分回路210の出力を基準電位Vrefとする。
【0082】
また、読み出しの実行に先立って、全ての水平ラインに応じた水平走査信号HSjおよび初期電位設定指示信号GRSを有意とする。この結果、スイッチ素子263の全てがONとなり、容量素子255の全ての出力がデータ出力回路280の初期電位である基準電位Vrefに設定される。
【0083】
次に、制御部310が全てのクランプ指示信号CPjを非有意とし、積分回路リセット指示信号KRSを非有意とするとともに、全ての水平ラインに応じた水平走査信号HSjおよび初期電位設定指示信号GRSを有意としたままで、受光部100の垂直走査における第1番目の受光要素1201,jの全てのスイッチ素子150を「ON」とする垂直走査信号VS1、VS2を有意とするとともに、全ての水平ラインに応じたサンプル指示信号SPjを有意にする。スイッチ素子150が「ON」となると、それまでの受光によって光電変換素子140に蓄積された電荷が電流信号となって受光部100から出力される。すなわち、受光部100からの各信号には、同一の垂直受光列の2つ光電変換素子140に蓄積された電荷の和の電荷が電流信号となって出力される。そして、積分回路210によって瞬時にその帰還容量である容量素子212に蓄積され電圧として出力される。積分回路210から出力された信号は、クランプ回路221、サンプルホールド回路226、バッファアンプ251、および、スイッチ素子253を介して容量素子255に入力する。この結果、容量素子2551、2552の夫々の信号入力端子は光電変換素子140での受光量に応じた電圧が印加される。
【0084】
次いで、全ての水平ラインに応じた水平走査信号HSkおよび初期電位設定指示信号GRSを非有意とした後、水平走査信号HSkの設定により、垂直方向の第1番目の受光要素1201,jに関するデータの読み出しを開始する。
【0085】
タイミング制御部310が、水平選択信号HS1を有意とすることにより水平方向の第1番目の受光要素1201,1に応じたスイッチ素子263のみの「ON」を指示する水平走査信号HS1を有意とし、第1番目の受光要素1201,1に応じたスイッチ素子263のみを「ON」とするとともに、初期電位設定指示信号GRSが一時的に有意となり、データ出力回路280の入力電位が基準電位Vrefに設定される。
【0086】
第1番目の受光要素1201,1に応じたスイッチ素子263が「ON」となることにより、容量素子255の出力端子とデータ出力回路280の入力端子とが接続されるが、容量素子255の出力端子の電位は、前回のスイッチ素子262の開放時の電位、すなわち、データ出力回路280の入力端子の初期電位である基準電位Vrefのままなので、データ出力回路280の入力端子の電位は変動せず安定したままである。
【0087】
次に、水平方向の第1番目の受光要素1201,1に応じたクランプ指示信号CP1、CP2とサンプル指示信号SP1、SP2とを有意とする。この結果、クランプ回路221の出力はクランプ電位である基準電位Vrefに変化し、この変化がサンプルホールド回路226、容量素子255、およびデータ出力回路280を介して、水平方向の第1番目の受光要素1201,1の4つの光電変換素子140に入射した光量に応じた出力データ信号Voとして出力される。
【0088】
引き続き、水平方向の第1番目の受光要素1201,1に応じたスイッチ素子263のみの選択を指示する水平走査信号HS1、水平方向の第1番目の受光要素1201,1に応じたクランプ指示信号CP1、CP2およびサンプル指示信号SP1、SP2を非有意として、水平方向の第1番目の受光要素1201,1に関するデータ読み出しを終了する。
【0089】
次に、水平方向の第1番目の受光要素1201,1と同様にして、水平方向の第2番目以降の受光要素1201,kに関するデータ読み出しを実行する。
【0090】
次いで、制御部310が全てのクランプ指示信号CPjと積分回路リセット指示信号KRSとを有意とし、クランプ回路221の出力と積分回路210との出力を基準電位Vrefに設定しながら、受光部100の垂直走査における第2番目以降の受光要素120i,kに関するデータ読み出しを実行する。
【0091】
こうして、受光部100に入力した光の形成する光像を撮像し、4つの受光単位130からなる受光要素120ごとに高速に、かつ、撮像平面における撮像に関して無駄なスペースが低減して撮像データを得る。
【0092】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、変形が可能である。例えば、上記の実施形態では、受光要素を2行×2列=4個の受光単位で構成したが、1画面の撮像速度および達成すべき分解能との関係から、他の行数および他の列数の受光単位から受光要素を構成することが可能である。また、上記の実施形態では、電極パッド同士の接続に、配線板およびボンディングワイヤを使用したが、ボンディングワイヤに代えてフレキシブルケーブルを使用することも可能であるし、配線板およびボンディングワイヤに代えてボールグリッド配線を使用することも可能である。
【0093】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、請求項1の固体撮像装置によれば、受光単位ごとに撮像データを収集する高分解能モードでの撮像と、複数の受光単位から成る受光要素ごとに撮像データを収集する高速撮像モードでの撮像とが可能なので、静止画観察時に高分解能モードを使用し、動画観察時に高速撮像モードを使用することにより、動画観察時にもリアルタイム性を保ちつつ、かつ、量子ノイズによるS/Nの劣化の小さな撮像ができる。
【0094】
また、請求項3の固体撮像装置によれば、請求項1の固体撮像装置において、撮像に関して無駄なスペースとなる受光部以外の回路部を、受光部の受光面とはことなる平面上に設けるので、通常の光ファイバプレートを使用することができる。これにより、固体撮像装置を安価に提供することができる。また、テーパファイバを用いないので、画像の抜けや劣化はなくなる。さらに、アモルファスシリコンを用いたようなS/N比の低下はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の固体撮像装置の回路構成図である。
【図2】同実施形態の信号処理回路の回路構成図である。
【図3】同実施形態の出力信号処理部の回路構成図である。
【図4】同実施形態の固体撮像装置の幾何学的配置の説明図である。
【図5】同実施形態の固体撮像装置の幾何学的配置の説明図である。
【図6】同実施形態の固体撮像装置の高解像度モードの動作のタイミングチャートである。
【図7】同実施形態の固体撮像装置の高速撮像モードの動作のタイミングチャートである。
【図8】従来の固体撮像装置を示す斜視図である。
【図9】従来の固体撮像装置の固体撮像部を示す平面図である。
【符号の説明】
10…固体撮像装置、11…フォトダイオードアレイチップ、12…受光ユニット、13a,13b…配線板、14…垂直シフトレジスタチップ、15…チャージアンプアレイチップ、26…垂直シフトレジスタ、35…台座、44…電極パッド部、44a…ゲート用電極パッド、44b…出力用電極パッド、45a…信号出力パッド、45b…信号入力パッド、46a…ゲート用配線、46b…出力用配線、47…ボンディングワイヤ、100…受光部、120…受光要素、130…受光単位、140…光電変換素子、150…スイッチ素子、200…垂直信号処理部、210…積分回路、220…信号処理回路、221…クランプ回路、226…サンプルホールド回路、250…出力信号処理部、260…出力信号選択部、280…データ信号出力回路、310…制御部、320…行方向走査指示部、330…出力信号選択指示部。
Claims (4)
- 入力した2次元光像を撮像する固体撮像装置であって、
入力光信号を電流信号に変換する光電変換素子と、前記光電変換素子の信号出力端子に第1の端子が接続され、行方向走査信号に応じて第2の端子から前記光電変換素子で発生した電流信号を流出するスイッチ素子とを1組とする受光単位が、第1の数を列数とし、第2の数を行数としてマトリックス状に配列されて受光要素が形成されるとともに、前記受光要素が、第3の数を列数とし、第4の数を行数としてマトリクス状に配置されて形成され、同一の列の前記スイッチ素子の前記第2の端子が互いに電気的に接続された受光部と、
前記受光部の列ごとに出力される電流信号を夫々個別に入力し、リセット指示信号に応じて、前記電流信号に関する電荷を電荷増幅器の入出力端子間に接続された容量素子に積分または非積分の動作をする、前記第1の数と前記第3の数との積である第5の数の積分回路と、
夫々の前記積分回路から出力された積分信号を夫々入力して、信号処理する前記第5の数の信号処理回路と、
夫々の前記受光要素に応じた、前記第1の数の信号処理回路からの出力信号と、モード指定信号とを入力するとともに、前記モード指定信号が高解像度モードを指定する場合には、前記第1の数の信号処理回路からの出力信号をそのまま出力し、前記モード指定信号が高速撮像モードを指定する場合には、前記第1の数の信号処理回路からの出力信号の値の和の値を出力する、前記第3の数の出力信号処理部と、
前記出力信号処理部から出力された信号と、信号出力指示信号を入力し、前記信号出力指示信号の指示に応じて、前記出力信号処理部から出力された信号を択一的に出力する出力信号選択部と、
前記モード指定信号を入力し、前記モード指定信号が高解像度モードを指定する場合には、前記受光単位ごとに前記スイッチ素子を選択し、前記受光単位を単位として順次選択する行方向走査信号を出力し、前記モード指定信号が高速撮像モードを指定する場合には、前記受光要素内の前記第2の数のスイッチ素子を同時に選択するとともに、前記受光要素を単位として順次選択する行方向走査信号を出力する行方向走査指示部と、
前記モード指示信号を入力し、前記モード指定信号が高解像度モードを指定する場合には、前記受光単位に応じて前記出力信号処理部から出力された信号を順次選択する出力指示信号を出力し、前記モード指定信号が高速撮像モードを指定する場合には、前記受光要素に応じて前記出力信号処理部から出力された信号を順次選択する出力指示信号を出力する出力信号選択指示部と、
前記モード信号を出力するとともに、信号読み出し動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする固体撮像装置。 - 前記第1の数は2であり、前記第2の数は2である、ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
- 前記行方向走査指示部および制御部は、前記受光単位の配列平面とは異なる第1の平面上に配設され、前記積分回路、前記出力信号処理回路、前記出力信号選択部、および、前記出力信号選択指示部は、前記受光単位の配列平面とは異なる第2の平面上に配設されるとともに、
前記受光部の外周辺近傍に配設され、受光単位の各行の、前記第5の数の前記スイッチ素子のゲート端子に共通接続された、前記第2の数と前記第4の数との積である第6の数のゲート用電極パッドと、前記第5の数の各列の前記スイッチ素子の出力端子に共通接続された前記第5の数の出力用電極パッドと、
前記第1の平面上に配設された、前記受光単位を選択する行方向走査信号用の信号出力パッドと、
前記第2の平面上に配設された、前記出力用電極パッドからの信号を入力するための信号入力パッドと、
前記ゲート用電極パッドと前記信号出力パッドとを電気的に接続し、前記出力用電極パッドと前記信号入力パッドとを電気的に接続する接続手段と、
を更に備える請求項1記載の固体撮像装置。 - 前記積分回路、前記出力信号処理回路、前記出力信号選択部、前記出力信号選択指示部、前記行方向走査指示部、および、前記制御部は、前記受光部の受光面が存在する領域とは反対の領域に位置することを特徴とする請求項3記載の固体撮像装置。
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1996
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