JP3824521B2 - 光半透過反射体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光半透過反射体に関するものである。詳しくは背面方向の光源光を透過、および前面方向の光源光を反射して高輝度を実現させる光半透過反射体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
暗所では内蔵式光源を点灯して、透過光で表示画像を視認し、明所では内蔵式光源を消灯して、外部からの光を反射させて表示画像を視認する液晶表示装置が知られている。典型的な構成は図1に示す通りであり、特に、液晶セル3の背面側に注目すると、液晶セルの背面に、偏光板2、光半透過反射体1をこの順に積層していることが特徴的である。
このような液晶ユニットにおいて、光半透過反射体は暗所では内蔵式光源の光を、明所では外部光源の光を、表示のために効率的に利用できるようにするとともに、それぞれの目的にあった表示を実現するために機能する。一般にギラギラとした透過光や反射光は嫌われる。また、透過光でも反射光でも表示が同じように見える自然な印象を与える必要があり、そのバランスをとることが要求される。
【0003】
従来から、光半透過反射体には、透明、もしくは不透明度を調整したベースフィルム上に、パール顔料、シリカ、アルミナ等のフィラーを含む塗工層を設け、全光線透過率および全光線反射率を調整したものが用いられている。また、偏光フィルムと光半透過反射体との貼合用接着剤中に同様のフィラーを添加して貼合し、全光線透過率および全光線反射率を調整することも知られている。
このような従来から知られている光半透過反射体は、透過光での明るさ、および反射光での明るさのバランスをとったとしても、使用成分の光学的特性により、透過光での表色と反射光での表色が違って見え、不自然な印象を与えてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透過光での明るさ、および反射光での明るさのバランスをとり、透過光での表色と反射光での表色が同じように見え、自然な印象を与える光半透過反射板を得ることを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは透過光および反射光でのバランスの取れた明るさと表色を実現するために鋭意検討した結果、光半透過反射体の光学特性値をある範囲内に制御すればよいことを見出した。
透過光および反射光でのバランスの取れた明るさと表色を実現するため、基層(B)に光半透過反射特性を持たせ、基層(B)の特性を損なわないため表面保護層(A)を持つ構成が良好と考えた。
【0006】
基層(B)は光半透過特性、及びコシを付与する特性を持たせ、表面保護層(A)は基層(B)を保護する構造であることが良好と判断した。また、生産性の面から、基層(B)および表面保護層(A)は2軸方向に延伸成形されることが良好と判断した。また、このような構成であれば、透過光での表色と反射光での表色が極端に違うことがなくなり、自然な印象を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂よりなる樹脂フィルムであって、該樹脂フィルムのJIS−Z8701記載に従って波長380nm〜780nmの範囲で測定した各波長の透過率および反射率の平均値をそれぞれ全光線透過率T%および全光線反射率R%とし、その和(T+R)が80〜100%であり、かつ、その差の絶対値が|(T−R)|<50%であり、透過光における表色値a及び表色値bをそれぞれaT ,bT 、反射光における表色値bをbrとし、透過光においてaT ≦2、bT ≦1.3、透過光及び反射光の表色値bの差の絶対値が|(bT −br )|<10であることを特徴とする光半透過反射体を提供するものである。
【0008】
該光半透過反射体の全光線透過率Tが20〜60%であることが好ましい。該樹脂フィルムは表面保護層(A)、基層(B)の少なくとも2層が積層後に延伸された多層樹脂延伸フィルムであって、2軸延伸されていることが好ましく、表面保護層(A)の肉厚は0.1μm以上であるのが好ましい。
該多層樹脂延伸フィルムの縦方向延伸倍率LMDと横方向延伸倍率LCDの比であるLMD/LCDが0.2〜3であることが好ましい。多層樹脂延伸フィルムの面積延伸倍率(LMD×LCD)が4〜80倍であることが好ましい。空孔率は表面保護層(A)および裏面保護層(C)が1〜70%、基層(B)が3〜15%であることが好ましい。
【0009】
また樹脂フィルムは、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含有するポリオレフィン系樹脂よりなる。表面保護層(A)に含まれるポリオレフィン系樹脂が融点140℃以上のプロピレン系樹脂よりなることが好ましく、表面保護層(A)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量が1〜50重量%、基層(B)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量が1〜30重量%であることが好ましい。
また無機微細粉末の平均粒径が0.1〜5μm、有機フィラーの平均分散粒径が0.1〜5μmであることが好ましい。
また本発明は、上記の光半透過反射体を用いた液晶表示装置も提供する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の光半透過反射体の構成および効果を詳細に説明する。 光学特性
本発明の光半透過反射体は、JIS−Z−8701記載に従って測定した全光線透過率Tおよび全光線反射率Rとも高い範囲でバランスを取ることを特徴とする。全光線透過率Tおよび全光線反射率Rが共に高いことの指標として、その和(T+R)が80〜100%であり、好ましくは85〜100%であり、90〜100%であることが更に好ましい。(T+R)が80%未満の場合、十分な反射率、透過率が得られないため、明所、暗所での表示画面が暗く文字視認性が低下する。
【0011】
全光線透過率Tおよび全光線反射率Rのバランスの指標として、その差の絶対値|(T−R)|<50%であり、さらに|(T−R)|<30%であることが好ましい。|(T−R)|が50%以上の場合、T>Rでは、明所での文字視認性が著しく低下し、T<Rでは、暗所での文字視認性が著しく低下する。
また全光線透過率Tは20〜60%であり、好ましくは30〜55%、より好ましくは40〜50%、特に好ましくは45〜50%である。全光線透過率Tが20%未満では、光透過が不十分であり、60%を超えては光反射が不十分である。
【0012】
本発明の光半透過反射体は透過光および反射光における表色が極端に変化せず、バランスを取ることを特徴とする。JIS−Z−8701記載の方法に従い、C光源2°視野における反射光、及び透過光における三刺激値X、Y及びZを算出し、下記式を用いて、表色値a、および表色値bを算出した。
a=17.5 x(1.02 xX−Y)/Y(1/2)
b=7.0 x(Y−0.847 xZ)/Y(1/2)
【0013】
本発明において、透過光での表色値a、及び表色値bをそれぞれaT 、bT とし、反射光での表色値bをbr とする。透過光および反射光での表色のバランスの指標としては、好ましくは−2≦aT ≦2であり、更に好ましくは−1≦aT ≦1であり、特に好ましくは−0.5≦aT ≦0.5である。また、好ましくは−2≦bT ≦1.3であり、更に好ましくは−1≦bT ≦1である。さらに|(bT −br)|<10であり、好ましくは|(bT −br )|<8であり、更に好ましくは|(bT −br )|<3である。
【0014】
これらの表色値が上記範囲外になると、透過光と反射光の表色のバランスに問題が生ずる。例えばaT >2の場合、透過光下での表色が赤色が強くなり、逆に反射光下での表色が緑色が強くなる傾向がある。またbT >1.3の場合、透過光下での表色が黄色が強くなり、逆に反射光下での表色が青色が強くなる傾向がある。さらに|(bT −br )|≧10の場合、例えば透過光下での表色が黄色
が強くなると、反射光下での表色が青色が強くなり、逆に透過光下での表色が青色が強くなると、反射光下での表色が黄色が強くなり表色バランスが崩れる傾向がある。
【0015】
表面保護層(A)
本発明の表面保護層(A)は、ポリオレフィン系樹脂よりなり、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含んでいる。
使用されるポリオレフィン系樹脂としては、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、プロピレン系樹脂が、耐薬品性、コストの面などから特に好ましい。
【0016】
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。立体規則性は特に制限されず、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すものを用いることができる。また、共重合体は2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0017】
プロピレン系樹脂の中でも、プロピレン単独重合体、融点が140℃以上のプロピレン共重合体が好ましい。融点が140℃未満の樹脂が表面保護層(A)に含まれる場合、本発明の多層樹脂延伸フィルムの押出成形時に溶融シートが冷却ロールで冷却される際に冷却ロールへの貼りつきがおきフィルムの表面に傷や白化ムラが生じ、光透過、反射時の光学特性が損なわれる傾向がある。
このような熱可塑性樹脂は、99〜50重量%で使用することが好ましく、97〜55重量%で使用することがより好ましい。
【0018】
無機微細粉末
無機微細粉末としては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、マイカ、合成マイカ、セリサイト、カオリナイト、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナなどを使用することができる。この中でも炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンは配合量が1重量%以上使用すると、色にくすみが生じ好ましくない。
【0019】
有機フィラーとしては、主成分であるポリオレフィン系樹脂とは非相溶の異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6,ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃を有するものを挙げることができる。
【0020】
上記の無機微細粉末または有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用しても良い。2種以上を組み合わせて使用する場合には、無機微細粉末と有機フィラーを混合して使用しても良い。
表面保護層(A)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量は1〜50重量%、好ましくは3〜45重量%である。配合量が50重量%より多い場合、基層(B)の光半透過反射特性を阻害する傾向、及び表面強度が低下しやすくなる傾向がある。配合量が1%未満の場合、ブロッキングしやすくなる傾向がある。
表面保護層(A)の肉厚は、0.1μm以上、好ましくは0.2〜30μmであり、更に好ましくは0.5〜10μm未満である。肉厚が0.1μm未満では保護機能が不十分である。
【0021】
基層(B)
本発明の基層(B)は、ポリオレフィン系樹脂、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含んでいる。
使用されるポリオレフィン系樹脂、無機微細粉末及び有機フィラーは、表面保護層(A)と同様のものが使用できる。ポリオレフィン系樹脂は、70〜99重量%が好ましく、80〜99重量%がより好ましく、95重量%より大きく99重量%以下が特に好ましい。
基層(B)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量は1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜5重量%未満である。無機微細粉末及び/又は有機フィラーの配合量が30重量%より多い場合、光透過性が低下しすぎる傾向、剛度不足による折れシワが生じやすくなる傾向があり、1%未満の場合は反射率、透過率のバランスが取れなくなる傾向がある。
基層(B)の肉厚は、10〜200μm、好ましくは20〜100μm、更に好ましくは30〜60μmである。
【0022】
裏面保護層(C)
本発明の光半透過反射体は、表面保護層(A)、基層(B)の少なくとも二層の積層構造を有するが、更に基層(B)の裏面(表面保護層(A)と反対面)に裏面保護層(C)を設けても良い。裏面保護層(C)は、ポリオレフィン系樹脂よりなり、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含んでいる。
使用されるポリオレフィン系樹脂、無機微細粉末及び有機フィラーは、表面保護層(A)と同様のものが使用できる。特にプロピレン単独重合体、融点が140℃以上のプロピレン共重合体が好ましい。融点が140℃未満の樹脂が裏面保護層(C)に含まれる場合、本発明の多層樹脂延伸フィルムの押出成形時に溶融シートが冷却ロールで冷却される際に冷却ロールへの貼りつきがおきフィルムの表面に傷や白化ムラが生じ、光透過時、光反射時の光学特性が損なわれる傾向がある。ポリオレフィン系樹脂は、99〜50重量%使用することが好ましく、99〜55重量%で使用することがより好ましい。
【0023】
裏面保護層(C)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量は1〜50重量%、好ましくは1〜45重量%である。フィラーの配合量が50重量%より多い場合、光透過を阻害する傾向、及び表面強度が低下しやすくなる傾向があり、1%未満の場合はブロッキングしやすくなる傾向がある。
裏面保護層(C)の肉厚は、0.1μm以上、好ましく0.2〜30μmである。
本発明の光半透過反射体は、表面保護層(A)、基層(B)、及び裏面保護層(C)を積層後、2軸方向に延伸するのが好ましい。
【0024】
添加剤
本発明の光半透過反射体には、必要により、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤等を配合してもよい。安定剤としては、立体障害フェノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%、光安定剤としては、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量%、無機微細粉末の分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合してもよい。
【0025】
成形
熱可塑性樹脂、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含む配合物の成形方法としては、一般的な2軸延伸方法が使用できる。
具体例としてはスクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出した後、ロール群の周速差を利用した縦延伸とテンターオーブンを使用した横延伸を組み合わせた2軸延伸方法や、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸などが挙げられる。
延伸温度は使用する熱可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度であり、樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)のときは152〜164℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)のときは110〜120℃が好ましい。また、延伸速度は20〜350m/分が好ましい。
【0026】
2軸延伸フィルム中に発生させる空隙の大きさを調整するために、面積延伸倍率〔=(縦方向延伸倍率LMD)×(横方向延伸倍率LCD)〕は4〜80倍、好ましくは10〜70倍、より好ましくは30〜60倍である。
2軸延伸フィルム中に発生させる空隙のアスペクト比を調整するために、縦方向延伸倍率LMD及び横方向延伸倍率LCDの比LMD/LCDは、好ましくは0.2〜3であり、より好ましくは0.3〜1.5である。
面積延伸倍率およびLMD/LCDがこの範囲を逸脱する場合、真円に近い微細な空隙が得られにくくなる傾向がある。
【0027】
2軸延伸フィルム中に発生させる空隙サイズの調整のため、無機微細粉末の平均粒径(比表面積より求めた値)、または有機フィラーの平均分散粒径は好ましくはそれぞれが0.1〜5μmの範囲、より好ましくはそれぞれが0.2〜4μmの範囲のものを使用する。平均粒径、または平均分散粒径が4μmより大きい場合、空隙が不均一となる傾向がある。また、平均粒径、または平均分散粒径が0.1μmより小さい場合、所定の空隙が得られなくなる傾向がある。
ここで記載している無機微細粉末の平均粒子径は、測定装置((株)島津製作所製:SS−100形)で測定した比表面積より、下記計算式により算出したものである。
平均粒子径(μm)= 6 / 真比重×比表面積
(真比重は、空気を含まない状態の無機微細粉末の比重)
【0028】
また、ここで記載している有機フィラーの平均分散粒径は、断面の電子顕微鏡観察により求める。具体的には、多層樹脂延伸フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて、例えば、フィルムの厚さ方向に対して平行且つ面方向に垂直な切断面を作製し、この切断面をメタライジングした後、走査型電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率、例えば、500倍から2000倍に拡大して観察する。
また、好ましい空隙を形成するためには、無機微細粉末の比表面積が11000cm2 /g以上で、かつ粒径15μm以上(レーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」による測定した値)の粒子を含まない無機微細粉末を使用するのが効果的である。特に、このような条件を満たす粒径分布がシャープな炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。
空隙サイズが不均一となると白化ムラ状となり製品外観及び光学特性を損ねる。
【0029】
本発明の光半透過反射体の表面保護層(A)、基層(B)、および裏面保護層(C)中に発生させる空隙の単位体積あたりの量を調整するために、表面保護層(A)、および裏面保護(C)の空孔率は好ましくは1〜70%、より好ましくは3〜65%の範囲とし、基層(B)の空孔率は好ましくは3〜15%、より好ましくは3〜12%の範囲とする。基層(B)の空孔率が15%を超えては、光透過性が低下しすぎる傾向、剛度不足による折れシワが生じやすくなる傾向があり、3%未満では光反射性が低下しすぎる傾向がある。本発明において「空孔率」とは、断面の電子顕微鏡写真観察した領域に空孔が占める面積割合(%)を示す。
【0030】
空孔が示す面積割合は、具体的には樹脂フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて例えばフィルムの厚さ方向に対して平行かつ面方向に垂直な切断面を作製し、この切断面をメタライジングした後、走査型電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率、例えば500倍から2000倍に拡大し観察する。次いで空孔部分をトレーシングフィルムにトレースし塗りつぶした図を画像解析装置(ニレコ(株)製:型式ルーゼックスIID)で画像処理を行い、空孔の面積割合(%)を求めて空孔率とする。
本発明で用いる樹脂フィルムの密度は、空隙が多いほど密度は小さくなり空孔率は大きくなる。空孔率が小さい場合光透過特性が向上し、空孔率が大きい場合光反射特性が向上する。このようなことから、前述のように基層(B)、表面保護層(A)および裏面保護層(C)の空孔率の適正範囲が決定される。
【0031】
【実施例】
以下に実施例、比較例及び試験例を記載して、本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明から免脱しない限り適時変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。使用した原料を表1に、各層の組成を表2に記載した。
基材の製造と評価
〔実施例−1〜7および比較例1〕
PP2(表1に記載)、HDPE(表1に記載)および炭酸カルシウム(表1に記載)からなる組成物(B)、PP1(表1に記載)、HDPEおよび炭酸カルシウムからなる組成物(A)及び(C)とを、それぞれ別々の3台の押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、一台の共押ダイに供給してダイ内で積層後、シート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって積層物(A/B/C)を得た。
この積層物を145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表2に記載の倍率で延伸し、再び約150℃まで再加熱してテンターで横方向に表2に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして多層樹脂延伸フィルムである光半透過反射体を得た。
【0032】
〔実施例−8〕
PP2、および炭酸カルシウムからなる組成物(B)、PP1および炭酸カルシウムからなる組成物(A)とを、それぞれ別々の2台の押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、一台の共押ダイに供給してダイ内で積層後、シート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって二層の積層物(A/B)を得た。
この積層物を145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表2に記載の倍率で延伸し、再び約150℃まで再加熱してテンターで横方向に表2に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして多層樹脂延伸フィルムである光半透過反射体を得た。
なお、比較例−1は特開昭59−204825号公報の実施例1に記載される方法で製造したものである。
製造した実施例1〜8および比較例1の光半透過反射体について、全光線透過率、全光線反射率およびそれら色調について、測定装置((株)日立製作所製:U−3310)を用いて、JIS−Z−8701の試験を行うことによって測定した。
【0033】
空孔率は、多層樹脂延伸フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いてフィルムの厚さ方向に対して平行かつ面方向に垂直な切断面を作製し、この切断面をメタライジングする。次に走査型電子顕微鏡で2000倍に拡大し、観察した領域を写真に撮影する。次に空孔をトレーシングフィルムにトレースし、塗りつぶした図を画像解析装置(ニレコ(株)製:型式ルーゼックスIID)で画像処理を行い、空孔の面積率を求めて空孔率とした。
【0034】
また、図1に示す構成の液晶表示装置をつくり、暗所:夜間外部照明のない状態で内蔵ランプを通して、及び明所:外光(太陽光、蛍光灯等)をあてた状態で、暗所及び明所における液晶表示の色調およびコントラストを次の評価基準で評価した。
◎:液晶表示の色調及びコントラストが非常に明瞭である。
○:液晶表示の色調及びコントラストが明瞭である。
△:液晶表示の色調及びコントラストが赤っぽくなり実用上問題である。
×:液晶表示の色調及びコントラストが全体に黒っぽくなり実用に耐えない。
【0035】
図2に示す光半透過反射体に関して、その地合(白化ムラ)については以下のような評価基準でに評価した。
◎:全体が半透明であり、白化ムラはない。
○:全体が半透明であり、白化ムラはほとんどない。
△:全体が半透明であり、白化ムラが部分的に見られ実用上問題である。
×:全体が半透明であり、白化ムラが多く実用に耐えない。
冷却ロールへのシート貼りつき有無は、溶融混練後のダイから冷却ロールへのシート貼りつきの有無を目視で評価した。
【0036】
表面保護層(A)、裏面保護層(C)のマトリックス樹脂であるプロピレン単独重合体(融点167℃:DSCピーク温度)より低融点(134℃:DSCピーク温度)樹脂で高密度ポリエチレンを含む比較例1は貼りつきがみられ、また貼りつきに由来する白化ムラが部分的に見られた。
実施例、及び比較例の各測定結果を表2、表3に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光半透過反射体によれば、透過光での表色と反射光での表色が同じように見え、従来よりも自然な印象を与える光半透過反射体が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 液晶表示装置の概略断面図である。
【図2】 本発明光半透過反射体の一態様の概略断面図である。
【符号の説明】
1 光半透過反射体
2 偏光板
3 液晶セル
4 外光
5 内蔵式光源
A 表面保護層(A)
B 基層(B)
C 裏面保護層(C)
Claims (11)
- 無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含有するポリオレフィン系樹脂よりなり、内部に空孔を有する樹脂フィルムであって、全光線透過率をT%および全光線反射率をR%とし、その和(T+R)が80〜100%であり、かつ、その差の絶対値が|(T−R)|<50%であり、かつ、透過光における表色値a及び表色値bをそれぞれaT 、bT 、反射光における表色値bをbr とし、透過光において−2≦aT ≦2、−2≦bT ≦1.3であり、透過光及び反射光の表色値bの差の絶対値が|(bT −br )|<10であることを特徴とする光半透過反射体。
- 全光線透過率Tが20〜60%であることを特徴とする請求項1に記載の光半透過反射体。
- 樹脂フィルムが表面保護層(A)、基層(B)の少なくとも2層が積層後に延伸された多層樹脂延伸フィルムであって、延伸が2軸延伸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光半透過反射体。
- 表面保護層(A)の肉厚が0.1μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の光半透過反射体。
- 多層樹脂延伸フィルムの縦方向延伸倍率LMDと横方向延伸倍率LCDの比であるLMD/LCDが0.2〜3である請求項3又は4に記載の光半透過反射体。
- 多層樹脂延伸フィルムの面積延伸倍率(LMD×LCD)が4〜80倍である請求項3〜5のいずれかに記載の光半透過反射体。
- 多層樹脂延伸フィルムの空孔率が1〜70%である表面保護層(A)または裏面保護層(C)、3〜15%である基層(B)からなることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の光半透過反射体。
- 表面保護層(A)に含まれるポリオレフィン系樹脂が融点140℃以上のプロピレン系樹脂よりなる請求項3〜7のいずれかに記載の光半透過反射体。
- 表面保護層(A)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量が1〜50重量%であり、基層(B)に含まれる無機微細粉末及び/又は有機フィラー量が1〜30重量%であることを特徴とする請求3〜8のいずれかに記載の光半透過反射体。
- 無機微細粉末の平均粒径が0.1〜5μm、有機フィラーの平均分散粒径が0.1〜5μmであること特徴とする請求1〜9のいずれかに記載の光半透過反射体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の光半透過反射体を用いた液晶表示装置。
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