JP3820042B2 - 光学材料および光学製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学材料の製造方法及びそれを用いた光学製品に関し、さらに詳しくは、高屈折率、低分散で、透明性に優れ、かつ光学歪がない等、光学特性に優れる上、耐溶剤性、耐衝撃性、耐候性も良好な光学材料の製造方法、およびこの光学材料からなるレンズをはじめとする光学レンズ、プリズム、光ファイバー、記録媒体用基板、フィルター、さらにはグラス、花瓶などの光学製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックはガラスに比べると、軽量で割れにくく染色が容易なため、近年各種レンズ等の光学部品に使用されるようになった。実用化されている光学用プラスチック材料としては、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)やポリメチルメタクリレート(PMMA)がある。しかしながら、これらのプラスチック材料は屈折率が1.5以下であるため、例えばレンズ材料に用いた場合、度数が強くなる程レンズが厚くなり、軽量であるというプラスチックの優位性が損なわれてしまうばかりか、審美性の点でも好ましくなかった。また特に凹レンズにおいては、レンズの周囲の厚さ(コバ厚)が厚くなり、複屈折や色収差が生じやすいなどの問題があった。
【0003】
そこで、比重の小さいプラスチックの特徴を生かし、レンズの肉厚を薄くできるようにするため、屈折率の高いプラスチック材料が望まれていた。そのような性能を有する材料としては、例えば(1)イソシアネート基を有する重合性不飽和化合物と特定のチオール化合物を反応させて得られる化合物を10〜90重量%含む組成物(特開平4−80213号公報)、(2)分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の硫黄原子を含有する化合物と多官能イソシアネート化合物と多官能ヒドロキシ又はメルカプト化合物との反応物を主成分とするプラスチックレンズ(特開平8−198932号公報)、(3)分子内にビスフェノールA骨格とカーボネート構造を有するアクリル系単量体からなる光学材料(特開平9−208529号公報)などが開示されている。
【0004】
しかしながら、前記(1)の組成物においては、イソシアネート基を有する重合性不飽和化合物と特定のチオール化合物を反応させて得られる化合物のみではなりたたないため、他の成分を含有しており、したがって、その組成物から得られる重合体は他成分の影響を受け屈折率が大きく低下するか、屈折率を向上させようと芳香環やハロゲン原子を導入することにより、アッベ数や耐候性が低下するという欠点がある。また、前記特開平4−80213号公報8頁左上欄13行〜右上欄8行に具体例が記載されているようにチオウレタンアクリレートの合成に時間を要するという問題もある。
【0005】
一方、前記(2)のプラスチックレンズ及び(3)の光学材料は、屈折率は高められているものの、屈折率を高めるために導入した芳香環の影響により、アッベ数や耐候性に劣るなどの欠点を有しており、さらに該(2)のプラスチックレンズにおいては、異なる重合官能基を同時に反応させるため、重合の制御が困難であって、脈理や光学歪などが生じやすいという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、高屈折率、低分散で、透明性に優れ、かつ光学歪がない等、光学特性に優れる上、耐溶剤性、耐衝撃性、耐候性も良好な光学材料の製造方法、およびこの光学材料からなる光学製品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する光学材料を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリチオール化合物と、分子中に少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をあらかじめウレタン反応させて得られたラジカル重合性化合物を少なくとも含む重合性組成物を、重合させることにより得られる硬化物からなる光学材料が、その目的に適合し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(I)
【化1】
(式中、nおよびmは、それぞれ独立に1〜3の整数を示す。)で表される1,4−ジチアンジチオール化合物と、分子中に少なくとも1個のイソシアネート基および少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、反応温度−10〜50℃および反応時間0.1〜4時間の条件下で、予め反応させて得られたチオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物を含有する重合性組成物を、紫外線照射して重合することにより得られる光学材料の製造方法を提供するものである。本発明はまた、前記光学材料からなる光学製品の製造方法をも提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法により得られる光学材料は、チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物を含有する重合組成物を重合させて得られるものであって、上記チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物は、1,4−ジチアンジチオール化合物と分子中に少なくとも1個のイソシアネート基および少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させることにより得られる。なお、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基とメタクリロイル基の両方を意味する。
【0010】
このようなチオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物は、原料の1つである1,4−ジチアンジチオール化合物に由来する脂環式スルフィドを、基本骨格に含むことにより、屈折率及びアッベ数がより高められているため、これを用いて光学材料を製造した場合、その光学材料の屈折率及びアッベ数も高められる。さらに、チオカーバメイト結合を含むことにより、これを用いて製造した光学材料に、高耐衝撃性をはじめとする優れた機械的物性を与えることができる。またラジカル重合性基を2つもつことから、自己架橋性を有するため、これを用いて光学材料を製造した場合、副成分として架橋剤を加えなくても、その光学材料に高耐溶剤性や高耐熱性を与えることができる。
【0011】
前記チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物の原料の1つである1,4−ジチアンジチオール化合物は、一般式(I)
【化3】
で表される構造を有するものである。
この一般式(I)におけるnおよびmは、それぞれ1〜3の整数を示し、それらはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0012】
このような化合物の例としては、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2−(2−メルカプトエチル)−5−メルカプトメチル−1,4−ジチアン、2−(2−メルカプトエチル)−5−(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアン、2−メルカプトメチル−5−(3−メルカプトプロピル)−1,4−ジチアンを挙げることができるが、これらの中で特に得られる光学材料の性能および入手の容易さなどの点から、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンが好ましい。
【0013】
もう1つの原料である分子中に少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例としては、アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトプロピルアクリレート、2−イソシアナトプロピルメタクリレートなどが挙げられるが、これらの中で、特に得られる光学材料の性能および入手の容易さなどの点から、2−イソシアナトエチルメタクリレートが好ましい。イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基の数はそれぞれ2個以上であってよい。
【0014】
前記チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物は、上記の1,4−ジチアンジチオール化合物と、分子中に少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを、通常−SH基/−NCO基の比率1.0:0.8〜1.0:1.2の割合でウレタン反応させることにより得られる。反応方法については特に制限はなく、一般的なウレタン反応の方法を用いることができる。
【0015】
この反応においては、所望により、触媒を適宜用いてもよい。この触媒としては、アミン化合物、有機金属化合物などが効果的であり、具体的には、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、4,4′−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7−ウンデセン、ジメチルスズジクロライド、ジメチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズマレエートポリマー、ジブチルスズジリシノレート、ジブチルスズビス(ドデシルメルカプチド)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエートポリマー、ジオクチルスズビス(ブチルマレエート)、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジリシノレート、ジオクチルスズジオレエート、ジオクチルスズジ(6−ヒドロキシ)カプロエート、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジドデシルスズジリシノレート、オレイン酸銅、アセチルアセトン酸銅、アセチルアセトン酸鉄、ナフテン酸鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、オクタン酸カリウム、チタン酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、特に好ましくは、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウレートが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
また、反応温度および反応時間は、使用する原料の種類や触媒の使用の有無などにより異なるが、本発明においては、それぞれ−10〜50℃および0.1〜4時間である。すなわち、特開平4−80213号公報記載の方法よりも短時間で合成可能である。
【0017】
該重合性組成物には、光学材料の物性を適宜改良するために、前記チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合基を有し、かつ上記化合物と共重合可能なラジカル重合性化合物を1種もしくは2種以上含んでいてもよい。このラジカル重合性化合物としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、、ネオペンチルクリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールビスグリシジル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス((メタ)アクリロイルチオメチル)−1,4−ジチアンなどが挙げられ、特に好ましくは、2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアンが挙げられる。なお、上記(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味し、(メタ)アクリロキシ基は、アクリロキシ基とメタクリロキシ基の両方を意味する。
【0018】
重合性組成物中のチオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、特に好ましくは50重量%以上である。
【0019】
本発明の光学材料には、吸光特性を改良するために紫外線吸収剤、色素や顔料等を、耐候性を改良するために、酸化防止剤、着色防止剤等を、成形加工性を改良するために、離型剤等を、所望により適宜加えることができる。
ここで、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系等が、色素や顔料としては、例えばアントラキノン系やアゾ系等が挙げられる。酸化防止剤や着色防止剤としては、例えばモノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、リン系等が、離型剤としては、例えばフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、酸性リン酸エステル、高級脂肪酸等が挙げられる。
【0020】
本発明の光学材料の製造方法おける重合性組成物の重合方法としては、得られる光学材料の光学的均一性や製造上の簡便性から、紫外線照射によるラジカル重合方法を用いる。
【0021】
その際、重合反応性向上のために、触媒を適宜使用してもよく、公知の増感剤等が効果的である。具体的には、ベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
前記紫外線照射における条件は、触媒の使用の有無、触媒の種類、使用するラジカル重合性化合物の種類等により異なるが、一般には、照射強度は0.1〜100mW/cm2、照射時間は5秒〜30分である。
【0023】
1例として、本発明の光学材料の製造方法について述べると以下の通りである。前記チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物、該化合物と共重合可能なラジカル重合性化合物及び添加剤や触媒を含有する均一混合物を、公知の注型重合法、すなわち紫外線を透過するガラス製または樹脂製のモールドと樹脂製のガスケットを組み合わせた型の中に注入し、紫外線を照射して硬化させる。この際、成形後の樹脂の取り出しを容易にするためにあらかじめモールドを離型処理したり、チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物等を含む混合物中に離型剤を含有させてもよい。さらに紫外線照射終了後、重合を完結させたり、材料内部に発生する応力を緩和させるために、加熱することも好ましく行われる。加熱温度及び時間は、紫外線照射エネルギー量等により異なるが、一般にはそれぞれ30〜150℃、0.2〜24時間である。このようにして得られた本発明の光学材料は、通常1.55以上の屈折率を有している。また、本発明の光学材料は通常の分散染料を用い、水もしくは有機溶媒中で容易に染色が可能であるが、この際さらに染色を容易にするために、キャリアーを加えたり加熱してもよい。
【0024】
本発明はまた、このようにして得られた光学材料からなる光学製品の製造方法をも提供するものであり、この光学製品としては特に制限はなく、例えば眼鏡レンズをはじめとする光学レンズ、プリズム、光ファイバー、記録媒体用基板、フィルター、さらにはグラス、花瓶などを挙げることができるが、これらの中で、光学レンズ、特に眼鏡レンズが好適である。
【0025】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において得られた光学材料の物性評価は以下のようにして行った。
【0026】
(1)屈折率(nD)とアッベ数(νD)
カルニュー社製精密屈折率計KPR−200型を用いて20℃にて測定した。
【0027】
(2)外観
肉眼により観察した。
【0028】
(3)耐熱性
東洋精機製作所製動的粘弾性測定装置により、静的張力100g、周波数10kHzで動的粘弾性の測定を行い、2℃/minの昇温により得られた弾性率のチャートの降下点の温度により評価した。
【0029】
(4)耐候性
サンシャインカーボンアークランプを装備したウェザーメーターにレンズ(光学材料を用いた光学製品)をセットし200時間経過したところでレンズを取り出し、試験前のレンズと色相を比較し、下記の基準で耐候性を評価した。
○:変化なし
△:わずかに黄変
×:黄変
【0030】
(5)耐溶剤性
アセトンを用いた拭き取りテストを行い、下記の基準で耐溶剤性を評価した。
○:変化がない
×:表面にあれや膨潤がみられる
【0031】
(6)光学歪
シュリーレン法による目視観察を行い、下記の基準で光学歪を評価した。
○:歪が認められない
×:歪が認められる
【0032】
実施例1
(1)チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物の製造
2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン31.8g(0.15mol)と2−イソシアナトエチルメタクリレート46.5g(0.3mol)との混合物に、触媒としてジブチルスズジラウレート0.38gを添加後、38℃で1.5時間攪拌した。放冷後、無色透明でわずかに粘稠なチオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物を78.3g得た。
【0033】
(2)光学製品の製造
上記(1)で得られたチオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物(表1中でTRMと表示)100重量部及び2,2−ジエトキシアセトフェノン(表1中でDEAと表示)0.2重量部の混合物を均一に攪拌し、二枚のレンズ成形用ガラス型に注入し、8mW/cm2の強度の紫外線を10分間照射した後、120℃で3時間加熱することによりプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1から、このプラスチックレンズは無色透明であり、屈折率(nD)は1.59と高く、アッベ数(νD)も44と非常に高い(低分散)ものであり、耐熱性(101℃)、耐候性、耐溶剤性に優れ、光学歪のないものであった。
【0034】
実施例2
実施例1で得られたTRM50重量部、2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアン(表1中でTBDと表示)50重量部及びDEA0.2重量部の混合物を均一に攪拌し、二枚のレンズ成形用ガラス型に注入し、8mW/cm2の強度の紫外線を10分間照射した後、120℃で3時間加熱することによりプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1から、このプラスチックレンズは無色透明であり、屈折率(nD)は1.61と高く、アッベ数(νD)も42と非常に高い(低分散)ものであり、耐熱性(117℃)、耐候性、耐溶剤性に優れ、光学歪のないものであった。
【0035】
実施例3、4
表1に示した重合性組成物を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、プラスチックレンズを得た。これらのプラスチックレンズの諸物性を実施例1、2のプラスチックレンズの諸物性と共に表1に示す。表1から、本実施例3、4のプラスチックレンズは無色透明であり、屈折率(nD)は1.56〜1.59と高く、アッベ数(νD)も44〜46と非常に高い(低分散)ものであり、耐熱性(93〜110℃)、耐候性、耐溶剤性に優れ、光学歪のないものであった。
【0036】
比較例1
2,4,6−トリブロモベンジルチオールと2−イソシアナトエチルメタクリレートを等モル反応させたチオウレタンメタクリレート(表1中でBBMと表示)100重量部及びジイソプロピルパーオキシカーボネート(表1中でIPPCと表示)2重量部の混合物を均一に攪拌し、二枚のレンズ成形用ガラス型に注入し、35℃で6時間、50℃で4時間、70℃で3時間、85℃で5時間、さらに100℃で1時間加熱することによりプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1から、このプラスチックレンズは、屈折率が1.64と高く、耐熱性(105℃)に優れ、光学歪のないものであったが、アッベ数が29と低く、黄色で、耐候性、耐溶剤性に劣っていた。
【0037】
比較例2
ビス(2−メルカプトエチレンチオメチレン)ベンゼンのチオールメタクリレート(表1中でMBMと表示)75重量部、キシリレンジイソシアネート(表1中でXDIと表示)12重量部、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート(表1中でPETGと表示)13重量部及びIPPC 0.1重量部の混合物を均一に攪拌し、二枚のレンズ成形用ガラス型に注入し、80℃で6時間、さらに115℃で10時間加熱することによりプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1から、このプラスチックレンズは、屈折率が1.63と高く、無色透明で、耐熱性(100℃)、耐溶剤性に優れたものであったが、アッベ数が30と低く、耐候性に劣り、光学歪が見られた。
【0038】
【表1】
【0039】
[注]
TRM:実施例1で得られたチオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物TBD:2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアン、
MMA:メチルメタクリレート、
TCDA:トリシクロデカニルメタクリレート、
DEA:2,2−ジエトキシアセトフェノン、
BBM:2,4,6−トリブロモベンジルチオールと2−イソシアナトエチルメタクリレートを等モル反応させたチオウレタンメタクリレート、
MBM:ビス(2−メルカプトエチレンチオメチレン)ベンゼンのチオールメタクリレート、
XDI:キシリレンジイソシアネート、
PETG:ペンタエリストリールテトラチオグリコレート、
IPPC:ジイソプロピルパーオキシカーボネート、
【0040】
【発明の効果】
本発明の製造方法により得られた光学材料は、1,4−ジチアン環とチオカーバメイト結合を基本骨格中に有するため、屈折率、アッベ数が高く、耐熱性、耐候性、透明性に優れ、光学歪が見られないことから、眼鏡レンズ、カメラレンズ等のレンズ、プリズム、光ファイバー、あるいは光ディスクや磁気ディスク等に使用される記録媒体用基板、フィルターなどの光学製品に好ましく用いられる。さらに、高屈折率の特徴を生かしたグラス、花瓶等の装飾品にも用いられる。また、本発明の光学材料の製造方法によると、従来のチオウレタンアクリレートレンズの製造時間と比べ製造時間を短縮させることができる。
Claims (9)
- 1,4−ジチアンジチオール化合物が、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンである請求項1に記載の光学材料の製造方法。
- 分子中に少なくとも1個のイソシアネート基および少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、2−イソシアナトエチルメタクリレートである請求項1または2に記載の光学材料の製造方法。
- 重合性組成物が、チオカーバメイト結合をもつラジカル重合性化合物と共に、これと共重合可能なラジカル重合性化合物を含有する請求項1、2または3に記載の光学材料の製造方法。
- 共重合可能なラジカル重合性化合物が、2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアンである請求項4に記載の光学材料の製造方法。
- 光学的に透明である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学材料の製造方法。
- 屈折率が1.55以上である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学材料の製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光学材料からなる光学製品の製造方法。
- 前記光学製品が眼鏡レンズである請求項8に記載の光学製品の製造方法。
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