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JP3815335B2 - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及びその製造方法 Download PDF

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JP3815335B2 JP2002010685A JP2002010685A JP3815335B2 JP 3815335 B2 JP3815335 B2 JP 3815335B2 JP 2002010685 A JP2002010685 A JP 2002010685A JP 2002010685 A JP2002010685 A JP 2002010685A JP 3815335 B2 JP3815335 B2 JP 3815335B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
GaN、AlGaN、GaInNなどの窒化物(ナイトライド)系III−V族化合物半導体は、その禁制帯幅が1.8eVから6.2eVに亘っており、赤色から紫外線の発光が可能な発光素子の実現が理論上可能であるため、近年注目を集めている。
【0003】
この窒化物系III−V族化合物半導体により発光ダイオード(LED)や半導体レーザーを製造する場合には、GaN、AlGaN、GaInNなどを多層に積層し、発光層(活性層)を第1導電型層および2導電型層により挟んだ構造を形成する必要がある。このような発光ダイオードまたは半導体レーザーとして、発光層をGaInN/GaN量子井戸構造またはGaInN/AlGaN量子井戸構造としたものがある。
【0004】
窒化ガリウム系化合物半導体などの窒化物半導体の気相成長技術においては格子整合する基板や低転位密度の基板が存在しないために、従来よりサファイアなどの基板表面上に900℃以下の低温でAlNもしくはAlGa1−XN(Xは0以上1未満)低温バッファ層を堆積し、その後に窒化ガリウム系化合物半導体を成長し格子不整合に起因する転位を低減する技術がある。このような技術は、例えば、特開昭63−188938号公報や特公平8−8217号公報に開示されるものがあり、これらの技術を使用することで窒化ガリウム系化合物半導体層の結晶性およびモフォロジーを改善できる特徴がある。
【0005】
さらに低転位密度の高品質結晶を得る技術としては、一旦第1の窒化ガリウム系化合物半導体層を堆積した後に酸化珪素や窒化珪素などからなる窒化ガリウム系化合物半導体の成長を阻害する材料で保護膜を形成し、その保護膜で覆われていない領域から第2の窒化ガリウム系化合物半導体層を面内方向(横方向)に成長することで、基板界面から垂直に伸びる貫通転位の伝播を妨げる技術がある(例えば、特開平10−312971号公報、特開平11−251253号公報参照。)。また、同様な技術としては一旦第1の窒化ガリウム系化合物半導体を成長した後に、リアクティブイオンエッチング装置(以下、RIE)などを用いてその膜を選択的に除去し、その後成長装置内で残された結晶から第二の窒化ガリウム系化合物半導体選択的に成長することで貫通転位密度を低減する技術がある(例えば、MRS Internet J. Nitride Semicond. Res. 4S1, G3. 38 (1999)、またはJournal of Crystal Growth 189/190 (1998) 83-86)。これらの技術を使用することで10cm−2程度までの転位密度を有する結晶膜が得られ、半導体レーザーの高寿命化などが実現されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような選択成長を用いることで、貫通転位の低減だけではなく、3次元的な構造を有する半導体素子を作製できる。例えば、窒化ガリウム系化合物半導体膜もしくは基板上に成長阻害膜を形成して開口部から選択的に結晶を成長させ、或いは窒化ガリウム系化合物半導体膜もしくは基板を選択的に除去した上で残された結晶から選択的に結晶を成長することで、3次元的な構造を有する半導体素子構造を得ることができる。このような半導体素子はファセットからなる側面と側面の合流する頂部(上面)とからなる立体構造とされ、例えば素子分離の工程でのダメージが少なくなり、レーザーにおける電流狭窄構造を形成でき、更にはファセットとなる結晶面の特性を積極的に利用して結晶性の改善が可能であるなどの利点がある。
【0007】
図53は選択成長により3次元状に形成される窒化物系発光素子の一例の断面図であり、この発光素子はGaN系の発光ダイオードである。その構造については、サファイア基板101上に下地成長層としてのn型GaN層102が形成され、そのn型GaN層102上には開口部103が形成されたシリコン酸化膜104が被覆され、該シリコン酸化膜104の開口部103からの選択成長により六角錐形状のGaN層105が形成されている。
【0008】
このGaN層105は、サファイア基板101の主面をC面とした場合にS面({1−101}面)で覆われたピラミッド型の成長層であり、シリコンをドープさせた領域である。このGaN層105の傾斜したS面の部分はクラッドとして機能する。GaN層105の傾斜したS面を覆うように活性層であるInGaN層106が形成されており、その外側にAlGaN層336とマグネシウムドープのGaN層107が形成される。
【0009】
このような発光ダイオードには、p電極108とn電極109とが形成されている。p電極108は、マグネシウムドープのGaN層107上に形成されるNi/Pt/AuまたはNi(Pd)/Pt/Auなどの金属材料を蒸着して形成される。n電極109は、前述のシリコン酸化膜104を開口した部分でTi/Al/Pt/Auなどの金属材料を蒸着して形成される。
【0010】
しかし、このような選択成長を用いた場合には、基板からの貫通転位が存在し、また、頂部若しくは上面は成長速度の遅いファセットからなる側面に囲まれるために原料の供給が過多になり結晶性が劣化することがある。また、基板面積に比べて頂部若しくは上面の面積が小さい場合に、その部分の膜厚や混晶組成の制御などが困難となる。したがって、選択成長によって3次元構造の半導体素子を形成した場合であっても、上記理由により頂部若しくは上面の結晶性が悪く、非発光再結合による効率の低下、PN接合が正常に形成されないことによる電流のリークなどの諸問題が発生する。
【0011】
図53に示すInGaN層106のように、選択成長による3次元状の半導体素子の側面などに活性層を形成する場合には、所要の電極形成プロセスにより側面にのみ電極を形成することも可能である。しかしながら、立体構造上のフォトリソグラフィーは困難であり、精度良く電極を形成することが容易ではなく歩留まりが悪くなる。また、電極と接する導電型層の抵抗率と厚みによってはその層で電流が広がり、頂部若しくは上面に電流が注入されて素子特性が悪くなる傾向がある。
【0012】
そこで本発明は、選択成長などによって素子構造を3次元化した場合においても、発光効率に優れた半導体素子とその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る半導体発光素子は、基板上に該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を角錐形状に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなることを特徴とする。
【0014】
また、上述した目的を達成する本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、基板上に開口部を有するマスク層若しくは結晶種層を形成し、該マスク層の開口部若しくは上記結晶種層から該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を角錐形状に選択的に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成することを特徴とする。
【0015】
以上のような本発明に係る半導体発光素子では、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面により構成された三次元状構造の頂部近傍、若しくは、上面近傍が除去された形状とされているため、基板から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部近傍若しくは上面近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを用いる構成とされている。これにより、頂部近傍若しくは上面近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することが防止されている。したがって、この半導体発光素子によれば、発光効率に優れた輝度の高い半導体発光素子が実現される。
【0016】
また、本発明においては、上述の半導体発光素子が複数個配列された構造とすることにより、各半導体発光素子が画素を構成する画像形成装置や照明装置を構成することができる。
【0017】
上述した目的を達成する本発明に係る半導体発光素子は、基板上に該基板の主面に対して傾斜したS面または該S面に実質的に等価な面を有する角錐形状の結晶層を形成し、上記S面または上記S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなることを特徴とするものである。
【0018】
また、上述した目的を達成する本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、基板上に開口部を有するマスク層もしくは結晶種層を形成し、該マスク層の開口部もしくは上記結晶種層からS面または該S面に実質的に等価な面を有する角錐形状の結晶層を選択的に形成し、上記S面または上記S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなることを特徴とするものである。
【0019】
以上のような本発明に係る半導体発光素子では、基板の主面に対して傾斜したS面または該S面に実質的に等価な面により構成された三次元状構造の頂部近傍、若しくは、上面近傍が除去された形状とされているため、基板から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部近傍若しくは上面近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを用いる構成とされている。これにより、頂部近傍若しくは上面近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することが防止されている。したがって、この半導体発光素子によれば、発光効率に優れた輝度の高い半導体発光素子が実現される。
【0020】
また、本発明においては、上述の半導体発光素子が複数個配列された構造とすることにより、各半導体発光素子が画素を構成する画像形成装置や照明装置を構成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、実際の縮尺と異なることがある。また、本発明に係る半導体素子は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0022】
本発明に係る半導体素子は、基板上に該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を形成し、傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を結晶層に形成してなり、頂部近傍を除去した形状であることを特徴とする。
【0023】
本発明に用いられる基板は、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を形成し得るものであれば特に限定されず、種々のものを使用できる。例示すると、基板として用いることができるのは、サファイア(Al、A面、R面、C面を含む。)SiC(6H、4H、3Cを含む。)GaN、Si、ZnS、ZnO、AlN、LiMgO、GaAs、MgAl、InAlGaNなどからなる基板であり、好ましくはこれらの材料からなる六方晶系基板または立方晶系基板であり、より好ましくは六方晶系基板である。例えば、サファイア基板を用いる場合では、窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体の材料を成長させる場合に多く利用されているC面を主面としたサファイア基板を用いることができる。この場合の基板主面としてのC面は、5乃至6度の範囲で傾いた面方位を含むものである。基板自体は製品としての発光素子には含まれない構造も可能であり、製造の途中で素子部分を保持させるために使用され、完成前に取り外しされる構造であっても良い。
【0024】
この基板上に形成される結晶層は、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有している。この結晶層は、後述の基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面に平行な面に第1導電型層、活性層、及び第2導電型層からなる発光領域を形成可能な材料層であれば良く、特に限定されるものではないが、その中でもウルツ鉱型の結晶構造を有することが好ましい。このような結晶層としては、例えばIII族系化合物半導体やBeMgZnCdS系化合物半導体、BeMgZnCdO系化合物半導体を用いることができ、更には窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体、窒化アルミニウム(AlN)系化合物半導体、窒化インジウム(InN)系化合物半導体、窒化インジウムガリウム(InGaN)系化合物半導体、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系化合物半導体を好ましくは形成することができ、特に窒化ガリウム系化合物半導体などの窒化物半導体が好ましい。なお、本発明において、InGaN、AlGaN、GaNなどは必ずしも、3元混晶のみ、2元混晶のみの窒化物半導体を指すのではなく、例えばInGaNでは、InGaNの作用を変化させない範囲での微量のAl、その他の不純物を含んでいても本発明の範囲であることはいうまでもない。また、S面や(11−22)面に実質的に等価な面とは、S面や(11−22)面に対してそれぞれ5乃至6度の範囲で傾いた面方位を含むものである。
【0025】
この結晶層の成長方法としては、種々の気相成長法を挙げることができ、例えば有機金属化合物気相成長法(MOCVD(MOVPE)法)や分子線エピタキシー法(MBE法)などの気相成長法や、ハイドライド気相成長法(HVPE法)などを用いることができる。その中でもMOCVD法によると、迅速に結晶性の良いものが得られる。MOCVD法では、GaソースとしてTMG(トリメチルガリウム)、TEG(トリエチルガリウム)、AlソースとしてはTMA(トリメチルアルミニウム)、TEA(トリエチルアルミニウム)、Inソースとしては、TMI(トリメチルインジウム)、TEI(トリエチルインジウム)などのアルキル金属化合物が多く使用され、窒素源としてはアンモニア、ヒドラジンなどのガスが使用される。また、不純物ソースとしてはSiであればシランガス、Geであればゲルマンガス、MgであればCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)、ZnであればDEZ(ジエチルジンク)などのガスが使用される。一般的なMOVPE法では、これらのガスを例えば600°C以上に加熱された基板の表面に供給して、ガスを分解することにより、InAlGaN系化合物半導体をエピタキシャル成長させることができる。
【0026】
結晶層を形成する前に、下地成長層を基板上に形成することが好ましい。この下地成長層は例えば窒化ガリウム層や窒化アルミニウム層からなり、下地成長層は低温バッファ層と高温バッファ層との組合せ、或いはバッファ層と結晶種として機能する結晶種層との組合せからなる構造であっても良い。この下地成長層も結晶層と同様に、種々の気相成長法で形成することができ、例えば有機金属化合物気相成長法(MOVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)、ハイドライド気相成長法(HVPE法)などの気相成長法を用いることができる。結晶層の成長を低温バッファ層から始めるとマスク上にポリ結晶が析出しやすくなって、それが問題となる。そこで、結晶種層を含んでからその上に基板と異なる面を成長することで、さらに結晶性のよい結晶が成長できる。また、選択成長を用いて結晶成長を行うには結晶種層がないとバッファ層から形成する必要があるが、もしバッファ層から選択成長を行うと成長の阻害された成長しなくても良い部分に成長が起こりやすくなる。したがって、結晶種層を用いることで、成長が必要な領域に選択性良く結晶を成長させることができることになる。バッファ層は基板と窒化物半導体の格子不整合を緩和するという目的もある。したがって、窒化物半導体と格子定数の近い基板、格子定数が一致した基板を用いる場合にはバッファ層が形成されない場合もある。たとえば、SiC上にはAlNを低温にしないでバッファ層をつけることもあり、Si基板上にはAlN、GaNをやはり低温にしないでバッファ層として成長することもあり、それでも良質のGaNを形成できる。また、バッファ層を特に設けない構造であっても良く、GaN基板を使用しても良い。
【0027】
そして、本発明においては、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を形成するために、選択成長法を用いることができる。基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面は、その基板主面の選択にも依存するが、ウルツ鉱型の(0001)面[C面]を基板主面とした場合では、(1−100)面[M面]、(1−101)面[S面]、(11−20)面[A面]、(1−102)面[R面]、(1−123)面[N面]、(11−22)面およびこれらに等価な結晶面のうちから選ばれた傾斜結晶面を挙げることができ、特にS面や(11−22)面およびでこれらに等価な結晶面で用いることが好ましい。これらに等価な結晶面とは前述のように、5乃至6度の範囲で傾いた面方位を含むものである。特にS面はC+面の上に選択成長した際に見られる安定面であり、比較的得やすい面であって六方晶系の面指数では(1−101)である。C面にC+面とC−面が存在するのと同様に、S面についてはS+面とS−面が存在するが、本明細書においては、特に断らない場合は、C+面GaN上にS+面を成長しており、これをS面として説明している。なお、S面についてはS+面が安定面である。またC+面の面指数は(0001)である。このS面については、前述のように窒化ガリウム系化合物半導体で結晶層を構成した場合には、S面上、GaからNへのボンド数が2または3とC面の次に多くなる。ここでC−面はC+面の上には事実上得ることができないので、S面でのボンド数は最も多いものとなる。例えば、C面を主面に有するサファイア基板に窒化物を成長した場合、一般にウルツ鉱型の窒化物の表面はC+面になるが、選択成長を利用することでS面を形成することができ、C面に平行な面では脱離しやすい傾向をもつNのボンドがGaから一本のボンドで結合しているのに対し、傾いたS面では少なくとも一本以上のポンドで結合することになる。したがって、実効的にV/III 比が上昇することになり、積層構造の結晶性の向上に有利である。また、基板と異なる方位に成長すると基板から上に伸びた転位が曲がることもあり、欠陥の低減にも有利となる。
【0028】
本発明の半導体発光素子においては、結晶層は基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する構造を有しているが、特に、結晶層はS面または該S面に実質的に等価な面が略六角錐形状の斜面をそれぞれ構成する構造であっても良い。
【0029】
そして、本発明の半導体素子においては、上述した基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層、及びこの結晶層上の傾斜結晶面に平行な面内に形成された第1導電型層、活性層、及び第2導電型層は、頂部近傍を除去した形状とされている。
【0030】
ここで、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面は、S面または当該S面に実質的に等価な面とされてもよく、さらにこのS面または該S面に実質的に等価な面が略六角錐状の斜面をそれぞれ構成するようにされても良い。
【0031】
ここで、略六角錐台形状は、正確に六角錐台形状であることを必要とせず、その中の幾つかの面が消失したようなものも含む。好適な一例においては、傾斜結晶面は六面でほぼ対称となるように配設される。ほぼ対称とは、完全に対称形状になっている場合の他、多少対称形状よりずれている場合も含む。また、結晶層の結晶面間の稜線は必ずしも直線でなくとも良い。また、略六角錐台形状は直線状に延在された形状であっても良い。
【0032】
三次元状の半導体発光素子では、基板から頂部若しくは上面部分にまで貫通転位が延びた場合、これに起因して電流のリークが生じて発光効率が低下する。そして、頂部若しくは上面近傍は成長速度の遅いファセットからなる側面に囲まれるために原料の供給が過多になり結晶性が劣化した部分が発生し、これに起因して電流のリークが生じて発光効率が低下する。
【0033】
しかしながら、本発明に係る半導体発光素子では、三次元状の構造の頂部近傍、若しくは、上面近傍が除去されているため、基板から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部近傍若しくは上面近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを用いる構成とされている。これにより、頂部近傍若しくは上面近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することが防止されている。さらに、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を用いることで、多重反射を防止することもでき、発生した光を効率良く素子外部に導くことができる。したがって、この半導体発光素子によれば、発光効率に優れた輝度の高い半導体発光素子が実現することができる。
【0034】
ここで、本発明においては、三次元状の構造の頂部近傍が除去された部分の形状は、平面でも良く、また、平面以外の形状とされていても良い。頂部近傍が除去された形状が平面である場合には、例えば、基板の主面に平行な面または当該基板の主面に実質的に等価な面において頂部近傍を除去することができる。また、この基板の主面に平行な面または当該基板の主面に実質的に等価な面が、基板上に形成したC面または上記C面に実質的に等価な面であっても良い。すなわち、いわゆる略六角錐台形状とされても良い。
【0035】
このような選択成長は、下地成長層の一部を選択的に除去することを利用したり、あるいは、選択的に前記下地成長層上にまたは前記下地成長層形成前に形成されたマスク層の開口された部分を利用して行われる。例えば、前記下地成長層がバッファ層と結晶種層とからなる場合、バッファ層上の結晶種層を点在する10μm径程度の小領域に細分化し、それぞれの部分からの結晶成長によってS面等を有する結晶層を形成することが可能である。例えば、細分化された結晶種層は、発光素子として分離するためのマージンを見込んで離間するように配列することができ、個々の小領域としては、帯状、格子状、円形状、正方形状、六角形状、三角形状、矩形状、菱形およびこれらの変形形状などの形状にすることができる。下地成長層の上にマスク層を形成し、そのマスク層を選択的に開口して窓領域を形成することでも、選択成長が可能である。マスク層は例えば酸化シリコン層或いは窒化シリコン層によって構成することができる。前述のような略六角錐台形状が直線状に延在された形状である場合、一方向を長手方向とするような角錐台や角錐形状はマスク層の窓領域を帯状にしたり、結晶種層を帯状にすることで可能である。
【0036】
選択成長を用い、マスク層の窓領域を10μm程度の円形(或いは辺が1−100方向の六角形、または辺が11−20方向の六角形など)にすることでその約2倍程度の選択成長領域まで簡単に作製できる。またS面が基板と異なる方向であれば転位を曲げる効果、および転位を遮蔽する効果があるために、転位密度の低減にも役立つ。
【0037】
また、選択成長マスクを用いて選択成長する場合であって、選択マスク開口部の上だけに成長する際には横方向成長が存在しないため、マイクロチャネルエピタキシーを用いて横方向成長させ窓領域より拡大した形状にすることが可能である。このようなマイクロチャネルエピタキシーを用いて横方向成長をした方が貫通転位を避けやすくなり、転位が減ることがわかっている。またこのような横方向成長により発光領域も増大し、さらに電流の均一化、電流集中の回避、および電流密度の低減を図ることができる。
【0038】
本発明の半導体発光素子は、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を結晶層上に形成する。第1導電型はp型またはn型のクラッド層であり、第2導電型はその反対の導電型である。例えばS面を構成する結晶層をシリコンドープの窒化ガリウム系化合物半導体層によって構成した場合では、n型クラッド層をシリコンドープの窒化ガリウム系化合物半導体層によって構成し、その上にInGaN層を活性層として形成し、さらにその上にp型クラッド層としてマグネシウムドープの窒化ガリウム系化合物半導体層を形成してダブルヘテロ構造をとることができる。活性層であるInGaN層をAlGaN層で挟む構造とすることも可能である。また、活性層は単一のバルク活性層で構成することも可能であるが、単一量子井戸(SQW)構造、二重量子井戸(DQW)構造、多重量子井戸(MQW)構造などの量子井戸構造を形成したものであっても良い。量子井戸構造には必要に応じて量子井戸の分離のために障壁層が併用される。活性層をInGaN層とした場合には、特に製造工程上も製造し易い構造となり、素子の発光特性を良くすることができる。さらにこのInGaN層は、窒素原子の脱離しにくい構造であるS面の上での成長では特に結晶化しやすくしかも結晶性も良くなり、発光効率を上げることができる。なお、窒化物半導体はノンドープでも結晶中にできる窒素空孔のためにn型となる性質があるが、通常Si、Ge、Seなどのドナー不純物を結晶成長中にドープすることで、キャリア濃度の好ましいn型とすることができる。また、窒化物半導体をp型とするには、結晶中にMg、Zn、C、Be、Ca、Baなどのアクセプター不純物をドープすることによって得られるが、高キャリア濃度のp層を得るためには、アクセプター不純物のドープ後、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で400℃以上でアニーリングを行うことが好ましく、電子線照射などにより活性化する方法もあり、マイクロ波照射、光照射などで活性化する方法もある。
【0039】
これら第1導電型層、活性層、及び第2導電型層は基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面に平行な面内に形成されるが、このような面内への形成は傾斜結晶面が形成されているところで続けて結晶成長させれば容易に行うことができる。すなわち、第1導電型層、活性層、及び第2導電型層からなる発光領域を、全部または一部の傾斜結晶面上に形成することができる。
【0040】
傾斜結晶面を利用して発光させることで、平行平板では多重反射により光が減衰していくが、傾いた面があると光は多重反射の影響を免れて半導体の外に出ることができるという利点がある。第1導電型層すなわちクラッド層は傾斜結晶面を構成する結晶層と同じ材料で同じ導電型とすることができ、傾斜結晶面を構成する結晶層を形成した後、連続的に濃度を調整しながら形成することもでき、また他の例として、傾斜結晶面の構成する結晶層の一部が第1導電型層として機能する構造であっても良い。
【0041】
本発明の半導体発光素子では、傾斜した傾斜結晶面の結晶性の良さを利用して、発光効率を高めることができる。結晶性が良い傾斜結晶面にのみ電流を注入すると、傾斜結晶面はInの取り込みも良く結晶性も良いので発光効率を高くすることができる。また、活性層の実質的な傾斜結晶面に平行な面内に延在する面積は該活性層を基板または前記下地成長層の主面に投影した場合の面積より大きいものとすることができる。このように活性層の面積を大きなものとすることで、素子の発光する面積が大きくなり、それだけで電流密度を低減することができる。また、活性層の面積を大きくとることで、輝度飽和の低減に役立ち、これにより発光効率を上げることができる。
【0042】
結晶層と第2導電型層には、それぞれ電極が形成される。接触抵抗を下げるために、コンタクト層を形成し、その後で電極をコンタクト層上に形成しても良い。これらの電極を蒸着法により形成する場合、p電極、n電極が結晶層とマスクの下に形成された結晶種層との双方についてしまうと短絡してしまうことがあり、それぞれ精度よく蒸着することが必要となる。
【0043】
本発明の半導体発光素子は複数個を並べて画像表示装置や照明装置を構成することが可能である。各素子を3原色分揃え、走査可能に配列することで、S面を利用して電極面積を抑えることができるため、少ない面積でディスプレーとして利用できる。
【0044】
また、本発明の半導体発光素子は、基板上に該基板の主面に対して傾斜したS面または該S面に実質的に等価な面を有する結晶層を形成し、S面またはS面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を結晶層に形成してなり、頂部近傍を除去した形状であることを特徴とする。
【0045】
ここで、用いられる基板は、後述のS面またはそのS面に等価な面を有する結晶層を形成し得るものであれば特に限定されず、種々のものを使用でき、先の半導体発光素子において例示したものと同様のものを用いることができる。
【0046】
この基板上に形成される結晶層は基板の主面に対して傾斜したS面または該S面に実質的に等価な面を有している。この結晶層は後述のS面または該S面に実質的に等価な面に平行な面に第1導電型層、活性層、及び第2導電型層からなる発光領域を形成可能な材料層であれば良く、やはり先の半導体発光素子において例示したものと同様のものを用いることができる。結晶層の成長方法、結晶層を成長する際に形成する下地成長層も先の半導体発光素子と同様である。なお、S面に実質的に等価な面とは、S面に対して5乃至6度の範囲で傾いた面方位を含むものである。
【0047】
そして、本発明においては、S面またはS面に実質的に等価な面を形成するために、選択成長法を用いることができる。S面はC+面の上に選択成長した際に見られる安定面であり、比較的得やすい面であって六方晶系の面指数では(1−101)である。C面にC+面とC−面が存在するのと同様に、S面についてはS+面とS−面が存在するが、本例においても、特に断らない場合は、C+面GaN上にS+面を成長しており、これをS面として説明している。
【0048】
本発明の半導体発光素子においては、S面またはS面に実質的に等価な面を有する構造を有しているが、特に、結晶層はS面または該S面に実質的に等価な面が略六角錐形状の斜面をそれぞれ構成する構造であっても良く、すなわちいわゆる略六角錐台形状であっても良い。
【0049】
この略六角錐台形状は、正確に六角錐であることを必要とせず、その中の幾つかの面が消失したようなものも含む。また、結晶層の結晶面間の稜線は必ずしも直線でなくとも良い。また、略六角錐形状や略六角錐台形状は直線状に延在された形状であっても良い。具体的な選択成長法は、先の半導体発光素子1の場合と同様である。
【0050】
本発明の半導体発光素子は、S面または該S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を結晶層上に形成する。これら第1導電型層、活性層、及び第2導電型層については、先の半導体発光素子の項において説明した通りである。
【0051】
これら第1導電型層、活性層、及び第2導電型層はS面または該S面に実質的に等価な面に平行な面内に形成されるが、このような面内への形成はS面等が形成されているところで続けて結晶成長させれば容易に行うことができる。すなわち、第1導電型層、活性層、及び第2導電型層からなる発光領域を、全部または一部のS面上に形成することができる。
【0052】
傾斜したS面を利用して発光させることで、平行平板では多重反射により光が減衰していくが、傾いた面があると光は多重反射の影響を免れて半導体の外にでることができるという利点がある。第1導電型層すなわちクラッド層はS面を構成する結晶層と同じ材料で同じ導電型とすることができ、S面を構成する結晶層を形成した後、連続的に濃度を調整しながら形成することもでき、また他の例として、S面の構成する結晶層の一部が第1導電型層として機能する構造であっても良い。
【0053】
本発明の半導体発光素子では、傾斜したS面の結晶性の良さを利用して、発光効率を高めることができる。結晶性が良いS面にのみ電流を注入すると、S面はInの取り込みもよく結晶性も良いので発光効率を高くすることができる。また、活性層の実質的なS面に平行な面内に延在する面積は該活性層を基板または前記下地成長層の主面に投影した場合の面積より大きいものとすることができる。このように活性層の面積を大きなものとすることで、素子の発光する面積が大きくなり、それだけで電流密度を低減することができる。また、活性層の面積を大きくとることで、輝度飽和の低減に役立ち、これにより発光効率を上げることができる。
【0054】
結晶層と第2導電型層には、それぞれ電極が形成される。接触抵抗を下げるために、コンタクト層を形成し、その後で電極をコンタクト層上に形成しても良い。これらの電極を蒸着法により形成する場合、p電極、n電極が結晶層とマスクの下に形成された結晶種層との双方についてしまうと短絡してしまうことがあり、それぞれ精度よく蒸着することが必要となる。
【0055】
本発明の半導体発光素子は複数個を並べて画像表示装置や照明装置を構成することが可能である。各素子を3原色分揃え、走査可能に配列することで、S面を利用して電極面積を抑えることができるため、少ない面積でディスプレーとして利用できる。
【0056】
以下、本発明を各実施の形態を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、本発明に係る半導体素子は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0057】
第1の実施の形態
本実施の形態の半導体発光素子は、図1及び図2に示す素子構造を有している。その主な構成は、C+面を基板主面とするサファイア基板1上にGaN層2と結晶種層となるシリコンドープのGaN層3とを介して成長した結晶層としてのシリコンドープのGaN層4を有している。このシリコンドープのGaN層4は基板主面とは傾斜してなるS面を有しており、このS面に平行に延在してなる形状で活性層であるInGaN層5が形成され、さらにそのInGaN層5上にクラッド層としてマグネシウムドープのGaN層6が形成されている。p電極7はマグネシウムドープのGaN層6の上面に形成されており、n電極8は、これらの側部で開口された領域に形成されており、シリコンドープのGaN層3とを介してシリコンドープのGaN層4に接続している。
【0058】
そして、シリコンドープのGaN層4と、InGaN層5と、マグネシウムドープのGaN層6とは、C面または該C面に実質的に等価な面で略六角錐から頂部近傍を除去された形状とされ、C面または該C面に実質的に等価な面がその上平面部を構成する構造とされている。すなわち、この半導体発光素子は、いわゆる略六角錐台形状とされている。また、これらが、例えばSiOからなる保護膜9により覆われている。
【0059】
このような構造を有する半導体発光素子は、サファイア基板1主面に対して傾斜したS面を利用することから、その窒素原子からガリウム原子へのボンドの数が増大することになり、実効的なV/III比を高くすることが可能であり、形成される半導体発光素子の高性能化を図ることができる。また、基板主面はC+面であり、S面は基板主面と異なる面であるために、基板から上に延びた転位が曲がることがあり、欠陥を低減することも可能となる。
【0060】
また、通常の六角錐形状の半導体発光素子では、基板から頂部近傍若しくは上面近傍にまで貫通転位が延びた場合、これに起因して電流のリークが生じて発光効率が低下する。そして、通常の六角錐形状の半導体発光素子においては、頂部近傍若しくは上面近傍は成長速度の遅いファセットからなる側面に囲まれるために原料の供給が過多になり結晶性が劣化した部分が発生し、これに起因して電流のリークが生じて発光効率が低下する。
【0061】
しかしながら、この半導体発光素子においては、いわゆる略六角錐台形状とされているため、シリコンドープのGaN層4は六角錐から頂部近傍を欠いた形状とされており、このシリコンドープのGaN層4では基板から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部近傍若しくは上面近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを用いる構成とされている。これにより、頂部近傍若しくは上面近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することが防止されている。さらに、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を用いることで、多重反射を防止することもでき、発生した光を効率良く素子外部に導くことができる。したがって、この半導体発光素子によれば、発光効率に優れた輝度の高い半導体発光素子が実現されている。
【0062】
このような構造を有する半導体発光素子は、次のようにして作製することができる。以下では図3乃至図14を参照しながらこの半導体発光素子の製造工程を説明する。
【0063】
上述した半導体発光素子を作製するには、まず、基板主面をC+面とするサファイア基板1上に、500℃程度の低温でバッファ層となるGaN層2を形成する。その後、1000℃に昇温して図3に示すようにシリコンドープのGaN層3を形成する。
【0064】
次に、図4に示すようにSiOまたはSiNを用いたマスク層11をシリコンドープのGaN層3上の全面に厚さ100〜500nmの範囲で形成し、図5に示すように、フォトリソグラフィーとフッ酸系エッチャントを用いて10μm程度の円形状の開口部からなる窓領域12をマスク層11に形成する。このときの一辺の方向は1−100方向に垂直とする。この開口部の大きさは作りたい素子の特性により変える。
【0065】
次に、成長温度1000℃でシリコンドープのGaN層4の結晶成長を行う。当初、シリコンドープのGaN層4は円形の窓領域12から成長するが、しばらく成長を続けると周囲がS面(1−101)よりなる六角錐の形状を露呈してくる。シリコンドープのGaN層4を形成した後しばらく成長を続け、六角錐の大きさが幅20μm程度(一辺が10μm程度)になった際、高さは六角錐としてその一辺の1.6倍程度となる。すると図6に示すように、16μm程度の窓領域12よりも底面が広がったシリコンドープのGaN層4が形成される。なお、六角錐の大きさが幅20μm程度は例示であり、例えば六角錐の大きさを幅10μm程度とすることも可能である。なお、図6においては、シリコンドープのGaN層4を1つのみ記載してあるが、実際の工程においてはサファイア基板1の主面上一面に多数のシリコンドープのGaN層4を形成し、効率的に半導体発光素子を形成することができる。
【0066】
そして、さらにシリコンドープのGaN4の成長を行い、その後成長温度を低減して図7に示すように活性層となるInGaN層5の成長を行う。その後、成長温度を再び上昇させ、図8に示すようにp型クラッド層としてのマグネシウムドープのGaN層6を成長させる。その際のInGaN層5の厚さは0.5nmから3nm程度である。活性層を(Al)GaN/InGaNの量子井戸層や多重量子井戸層などにすることもあり、ガイド層として機能するGaNまたはInGaNを用いて多重構造とすることもある。その際、InGaNのすぐ上の層にはAlGaN層を成長することが好ましい。この段階で、InGaN層5やマグネシウムドープのGaN層6は窓領域12の周囲のマスク層11の上まで延在され、第2成長層であるシリコンドープのGaN層4の全体が被覆され、活性層であるInGaN層5、マグネシウムドープのGaN層6の端部が形成されないことから、活性層の劣化を未然に防止することができる。
【0067】
その後、六角錐上に成長した最表層にNi/Pt/AuまたはNi(Pd)/Pt/Auを蒸着する。この蒸着により、図9に示すようにp電極7が形成される。また、マスク層11の一部を開口してシリコンドープのGaN層3を露出させ、さらにその除去した部分にTi/Al/Pt/Au電極を蒸着する。これにより、図10に示すようにn電極8が形成される。これらの蒸着の際、p電極7、n電極8はそれぞれ精度良く蒸着することが必要である。
【0068】
次に、図11に示すように全体をポリイミド等の樹脂13で埋め込む。樹脂13は特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。このとき、樹脂の埋め込み高さは、シリコンドープのGaN層4の略六角錐の頂部近傍程度とする。そして、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと呼ぶ。)装置14を用いて、図12に示すように略六角錐の頂部近傍から中腹付近までを削り落とし、いわゆる略六角錐台形状とする。ここで、CMP処理後の半導体発光素子の高さは、シリコンドープのGaN層4の頂部近傍が確実に除去される高さとする。これにより、このシリコンドープのGaN層4ではサファイア基板1から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部若しくは頂部近傍部分が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを残すことができる。その結果、頂部若しくは頂部近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することを防止することができる。以下の実施の形態においても同様である。
【0069】
そして、図13に示すように樹脂13を除去した後、図14に示すように全体を例えばSiOなどの保護膜9で覆う。なお、絶縁膜は必要に応じて形成すれば良い。その後、当該発光素子をRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離する。これにより本実施の形態の半導体発光素子が完成する。
【0070】
第2の実施の形態
第2の実施の形態では、図1及び図2に示した半導体発光素子の他の製造方法について説明する。まず、上述した図3乃至図11の手順に従って図15に示すようにp電極7の中腹程度の高さまで樹脂13に埋め込む。そして、図16に示すように集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam、以下、FIBと呼ぶ。)装置21によりイオンビームを略六角錐形状の頂部近傍に照射して、図17に示すように略六角錐の頂部近傍から中腹付近までを削り落とし、いわゆる略六角錐台形状とする。ここで、FIB照射処理後の半導体発光素子の高さは、シリコンドープのGaN層4の頂部近傍が確実に除去される高さとする。これにより、このシリコンドープのGaN層4ではサファイア基板1から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部若しくは頂部近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを残すことができる。その結果、頂部若しくは頂部近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することを防止することができる。
【0071】
そして、図18に示すように樹脂13を除去した後、図19に示すように全体を例えばSiOなどの保護膜9で覆う。その後、当該発光素子をRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離する。これにより図1及び図2に示した半導体発光素子が完成する。
【0072】
第3の実施の形態
第3の実施の形態では、図1及び図2に示した半導体発光素子の他の製造方法について説明する。まず、上述した図3乃至図11の手順に従って図20に示すようにp電極7の中腹程度の高さまで樹脂に埋め込む。そして、図21に示すようにレーザー装置31によりレーザービームを六角錐形状の頂部近傍に照射して、図22に示すように略六角錐の頂部近傍から中腹付近までを削り落とし、いわゆる略六角錐台形状とする。ここで、レーザービーム照射処理後の半導体発光素子の高さは、シリコンドープのGaN層4の頂部近傍が確実に除去される高さとする。これにより、このシリコンドープのGaN層4ではサファイア基板1から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部若しくは頂部近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを残すことができる。その結果、頂部若しくは頂部近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することを防止することができる。なお、使用するレーザービームは特に限定されるものではなく、シリコンドープのGaN層4、InGaN層5及びマグネシウムドープのGaN層6を確実に除去できるものであれば、種々のものを用いることができる。
【0073】
そして、図23に示すように樹脂13を除去した後、図24に示すように全体を例えばSiOなどの保護膜9で覆う。その後、当該発光素子をRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離する。これにより図1及び図2に示した半導体発光素子が完成する。
【0074】
第4の実施の形態
第4の実施の形態では、図1及び図2に示した半導体発光素子の他の製造方法について説明する。まず、上述した図3乃至図11の手順に従って図25に示すようにp電極7の中腹程度の高さまでレジスト41を形成する。そして、図26に示すようにレジスト41をマスクとしてドライエッチングを行い、図27に示すように六角錐の頂部近傍から中腹付近までを削り落とし、いわゆる略六角錐台形状とする。ここで、ドライエッチングに用いるエッチングガスは特に限定されるものではなく、シリコンドープのGaN層4、InGaN層5及びマグネシウムドープのGaN層6を確実に除去できるものであれば、種々のものを用いることができ、例えば塩素系ガスなどを用いることができる。また、ドライエッチング後の半導体発光素子の高さは、シリコンドープのGaN層4の頂部近傍が確実に除去される高さとする。これにより、このシリコンドープのGaN層4ではサファイア基板1から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部若しくは頂部近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを残すことができる。その結果、頂部若しくは頂部近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することを防止することができる。
【0075】
そして、図28に示すようにレジスト41を除去した後、図29に示すように全体を例えばSiOなどの保護膜9で覆う。その後、当該発光素子をRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離する。これにより図1及び図2に示した半導体発光素子が完成する。
【0076】
第5の実施の形態
第5の実施の形態は、n電極を基板裏面に形成する半導体発光素子の例であり、図30乃至図36を参照しながら説明する。
【0077】
n電極が裏面に形成される分だけ、n電極用の領域はサファイア基板1主面より削除されているが、p電極7を形成するところまでは第1の実施の形態と同じ工程を行う。すなわち、上述した図3乃至図9の手順に従って図30に示すようにp電極7を形成する。p電極7の形成後、図31に示すように樹脂13に埋め込む。そして、第1の実施の形態と同様にCMP装置14を用いて、図32に示すように略六角錐の頂部近傍から中腹付近までを削り落とし、いわゆる略六角錐台形状とする。ここで、CMP処理後の半導体発光素子の高さは、シリコンドープのGaN層4の頂部近傍が確実に除去される高さとする。これにより、このシリコンドープのGaN層4ではサファイア基板1から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部若しくは頂部近傍が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを残すことができる。その結果、頂部若しくは頂部近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することを防止することができる。
【0078】
そして、図33に示すように樹脂13を除去した後、図34に示すように全体を例えばSiOなどの保護膜9で覆う。その後、当該発光素子をRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離溝41を形成して分離し、図35に示すようにサファイア基板1上で素子毎に分離する。次に、サファイア基板1の裏面よりエキシマレーザー照射してアブレーションを起こすことにより素子部分となる領域を素子ごとに剥離して転写基板に接着し、素子側の裏面部分にTi/Al/Pt/Au電極を蒸着する。この電極がn電極51として機能することとなり、以上により、図36に示すように素子裏面にn電極51が形成された半導体発光素子を形成することができる。
【0079】
第6の実施の形態
第6の実施の形態は、n電極をシリコンドープのGaN層4に直接形成する半導体発光素子の例であり、図37乃至図45を参照しながら説明する。
【0080】
まず、第1の実施の形態と同様にして図37に示すようにサファイア基板1上に、GaN層2、シリコンドープのGaN層3及びSiOまたはSiNを用いたマスク層11をシリコンドープのGaN層3上の全面に厚さ100〜500nmの範囲で形成し、フォトリソグラフィーとフッ酸系エッチャントを用いて10μm程度の円形状のマスク部61を残し、図38に示すようにサファイア基板1の主面が露呈するまでエッチングする。その結果、マスク部61の形状を反映して円筒状のGaN層2及びシリコンドープのGaN層3が残される。
【0081】
次に、マスク部61を除去し、もう一度結晶成長を行うが、このときは1000℃程度に成長温度を上昇し、シリコンドープのGaN層62の成長を行う。シリコンドープのGaN層62は残っていたGaN層2及びシリコンドープのGaN層3上に成長するが、しばらく成長を続けるとサファイア基板1主面に対して傾斜したS面によって周囲が囲まれた六角錐形状となっていく。成長に時間をかけるだけ、六角錐形状のシリコンドープのGaN層62が大きく成長するが、十分に成長した場合でもGaN層62同士が干渉せず、且つ素子間の分離のためのマージンを確保するようにGaN層62のピッチは十分に離しておく必要がある。
【0082】
六角錐の大きさが実施例1と同様に幅15〜20μm程度(一辺が7.5〜15μm程度)になった際、高さは六角錐としてその一辺の1.6倍程度にすなわち10〜16μm程度になる。なお、六角錐の大きさが幅15〜20μm程度は例示であり、例えば六角錐の大きさを幅10μm程度またはそれ以下とすることも可能である。図39に示すように、成長して傾斜したS面で囲まれた六角錐形状が形成された後、さらにシリコンドープのGaN層を成長し、その後成長温度を低減し図40に示すようにInGaN層63を成長させる。その後、成長温度を上昇し、図41に示すように、マグネシウムドープのGaN層64を成長させる。その際のInGaN層63の厚さは0.5nmから3nm程度である。さらに活性層を(Al)GaN/InGaNの量子井戸層や多重量子井戸層などにすることもでき、ガイド層として機能するGaNまたはInGaNを用いて多重構造とすることもできる。その際、InGaNのすぐ上の層にはAlGaN層を成長することが好ましい。
【0083】
その後、活性層であるInGaN層63およびp型クラッド層であるマグネシウムドープのGaN層64の一部をサファイア基板1に近い側で除去してシリコンドープのGaN層62の一部を露出させる。さらに図42に示すようにその除去したサファイア基板1に近い部分にTi/Al/Pt/Au電極を蒸着する。これがn電極65となる。さらに六角錐上に成長した最表層にNi/Pt/AuまたはNi(Pd)/Pt/Auを蒸着する。この蒸着により図42に示すようにp電極66が形成される。これらの蒸着の際には、電極同士の短絡を防止するために、精度の高い蒸着が必要であることは、実施例1と同様である。
【0084】
次に、図43に示すようにp電極66の中腹程度の高さまで樹脂13に埋め込む。そして、図43に示すようにFIB装置21によりイオンビームを六角錐形状の頂部近傍に照射して、図44に示すように六角錐の頂部近傍から中腹付近までを削り落とし、いわゆる略六角錐台形状とする。ここで、FIB照射処理後の半導体発光素子の高さは、シリコンドープのGaN層62の頂部近傍が確実に除去される高さとする。これにより、このシリコンドープのGaN層62ではサファイア基板1から頂部近傍にまで延びた貫通転位が取り除かれている。そして、結晶性の劣化した頂部若しくは頂部近傍部分が取り除かれている。すなわち、結晶性の良好な部分のみを残すことができる。その結果、頂部若しくは頂部近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じて発光効率が低下することを防止することができる。
【0085】
そして、樹脂13を除去した後、当該発光素子をRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離する。これにより図45示す半導体発光素子が完成する。
【0086】
第7の実施の形態
第7の実施の形態では、図46及び図47に示すように、六角錐形状の底面側も削り込むことにより形成した半導体発光素子について説明する。
【0087】
図46及び図47に示す半導体発光素子は、図1及び図2に示した半導体発光素子において、六角錐形状の底面側も除去された形状とされており、上述した本発明の効果の他に、半導体発光素子の薄厚化が図れるという利点も有している。
【0088】
このような半導体発光素子を形成するには、上述した図30乃至図35の手順に従って半導体発光素子を形成し、さらにRIE(反応性イオンエッチング)またはダイサーなどで分離溝41を形成して分離し、図48に示すようにサファイア基板1上で素子毎に分離する。
【0089】
次に、図49に示すようにサファイア基板1の裏面よりエキシマレーザー照射してアブレーションを起こすことにより素子部分となる領域を素子ごとに剥離して図50に示すように接着層72を形成した転写基板73に接着する。そして、図51に示すように先に形成した六角錐形状の底面側をp電極7に達しない程度に削り込む。底面側の削り込みは、上記において説明した手段のいずれによって行って良い。すなわち、CMP装置、集束イオンビーム装置、レーザー装置のうちいずれの装置を用いても良い。
【0090】
その後、図52に示すように発光素子の裏面部分にTi/Al/Pt/Au電極を蒸着する。この電極がn電極71として機能することとなる。そして、所定の基板に転写することにより、良好な発光効率を有するとともに図46及び図47に示すように薄厚化され、素子裏面にn電極71が形成された半導体発光素子を形成することができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明に係る半導体発光素子は、基板上に該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、頂部近傍を除去した形状とされてなるものである。
【0092】
また、本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、基板上に開口部を有するマスク層もしくは結晶種層を形成し、該マスク層の開口部もしくは上記結晶種層から該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を選択的に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成し、頂部近傍を除去するものである。
【0093】
以上のような本発明によれば基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面により構成された三次元状構造の頂部近傍、若しくは、上面近傍が取り除かれ、結晶性の良好な部分のみを用いる。これにより、頂部若しくは上面近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じ、発光効率が低下することが防止される。したがって、この半導体発光素子によれば、発光効率に優れた輝度の高い半導体発光素子が実現することができる。
【0094】
また、本発明においては、上述の半導体発光素子が複数個配列された構造とすることにより、各半導体発光素子が画素を構成する輝度の高い画像形成装置や照明装置を構成することができる。
【0095】
本発明に係る半導体発光素子は、基板上に該基板の主面に対して傾斜したS面または該S面に実質的に等価な面を有する結晶層を形成し、上記S面または上記S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、頂部近傍を除去した形状とされてなるものである。
【0096】
また、本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、基板上に開口部を有するマスク層もしくは結晶種層を形成し、該マスク層の開口部もしくは上記結晶種層からS面または該S面に実質的に等価な面を有する結晶層を選択的に形成し、上記S面または該S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成し、頂部近傍を除去するものである。
【0097】
以上のような本発明によれば、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面により構成された三次元状構造の頂部近傍、若しくは、上面近傍が取り除かれ、結晶性の良好な部分のみを用いる。これにより、頂部若しくは上面近傍の貫通転位、そして結晶性の劣化に起因して電流のリークが生じ、発光効率が低下することが防止される。したがって、この半導体発光素子によれば、発光効率に優れた輝度の高い半導体発光素子が実現することができる。
【0098】
また、本発明においては、上述の半導体発光素子が複数個配列された構造とすることにより、各半導体発光素子が画素を構成する輝度の高い画像形成装置や照明装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の略六角錐部を上から見た上面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、GaN層とシリコンドープのGaN層とを形成した状態を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、マスク層を形成した状態を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、窓領域を形成した状態を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、シリコンドープのGaN層を形成した状態を示す断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、InGaN層を形成した状態を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、マグネシウムドープのGaN層を形成した状態を示す断面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、p電極を形成した状態を示す断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、n電極を形成した状態を示す断面図である。
【図11】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図12】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、CMPにより、いわゆる略六角錐台形状とした状態を示す断面図である。
【図13】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂を除去した状態を示す断面図である。
【図14】第1の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、絶縁層を形成した状態を示す断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、FIBを照射する状態を示す断面図である。
【図17】第2の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、FIBにより、いわゆる略六角錐台形状とした状態を示す断面図である。
【図18】第2の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂を除去した状態を示す断面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、絶縁層を形成した状態を示す断面図である。
【図20】第3の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図21】第3の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、レーザービームを照射する状態を示す断面図である。
【図22】第3の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、レーザービームにより、いわゆる略六角錐台形状とした状態を示す断面図である。
【図23】第3の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂を除去した状態を示す断面図である。
【図24】第3の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、絶縁層を形成した状態を示す断面図である。
【図25】第4の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図26】第4の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、ドライエッチング工程を示す断面図である。
【図27】第4の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、ドライエッチングにより、いわゆる略六角錐台形状とした状態を示す断面図である。
【図28】第4の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂を除去した状態を示す断面図である。
【図29】第4の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、絶縁層を形成した状態を示す断面図である。
【図30】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、p電極形成工程を示す断面図である。
【図31】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図32】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、CMPにより、いわゆる略六角錐台形状とした状態を示す断面図である。
【図33】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂を除去した状態を示す断面図である。
【図34】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、絶縁層を形成した状態を示す断面図である。
【図35】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、分離溝を形成した状態を示す断面図である。
【図36】第5の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、n電極を形成した状態を示す断面図である。
【図37】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、マスク層を形成した状態を示す断面図である。
【図38】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、エッチング工程を示す断面図である。
【図39】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、シリコンドープのGaN層を形成した状態を示す断面図である。
【図40】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、InGaN層を形成した状態を示す断面図である。
【図41】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、マグネシウムドープのGaN層を形成した状態を示す断面図である。
【図42】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、p電極及びn電極を形成した状態を示す断面図である。
【図43】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、FIBを照射する状態を示す断面図である。
【図44】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、FIBにより、いわゆる略六角錐台形状とした状態を示す断面図である。
【図45】第6の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、樹脂を除去し、半導体発光素子を分離した状態を示す断面図である。
【図46】第7の実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面図である。
【図47】第7の実施の形態に係る半導体発光素子の略六角錐部を上から見た上面図である。
【図48】第7の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、分離溝を形成した状態を示す断面図である。
【図49】第7の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、半導体発光素子の剥離工程を示す断面図である。
【図50】第7の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、半導体発光素子を転写基板に接着した状態を示す断面図である。
【図51】第7の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、半導体発光素子の底面側を削り込んだ状態を示す断面図である。
【図52】第7の実施の形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明する図であって、n電極を形成した状態を示す断面図である。
【図53】従来の半導体発光素子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 サファイア基板
2 GaN層
3 シリコンドープのGaN層
4 シリコンドープのGaN層
5 InGaN層
6 マグネシウムドープのGaN層
7 p電極
8 n電極、

Claims (24)

  1. 基板上に該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を角錐形状に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなること
    を特徴とする半導体発光素子。
  2. 上記角錐形状は略六角錐形状であり、上記電極層は6つの傾斜結晶面上それぞれを巡って構成される環状の形状にされることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 基板上に該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を角錐形状に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなる半導体発光素子を配列し、
    該半導体発光素子が信号に応じて発光するように構成されてなること
    を特徴とする画像表示装置。
  4. 基板上に該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を角錐形状に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなる半導体発光素子を配列し、
    該半導体発光素子が信号に応じて発光するように構成されてなること
    を特徴とする照明装置。
  5. 基板上に開口部を有するマスク層若しくは結晶種層を形成し、該マスク層の開口部若しくは上記結晶種層から該基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有する結晶層を角錐形状に選択的に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成すること
    を特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  6. 上記基板上に複数の半導体発光素子を形成した後、各半導体発光素子毎に分離すること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法。
  7. 分離した各半導体発光素子の裏面に他方の電極層を形成すること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層の除去は、化学機械研磨、集束イオンビーム、レーザービーム、及びドライエッチングから選ばれた方法により行なわれること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法。
  9. 上記結晶層は下地成長層を介して上記基板上に選択成長により設けられること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法
  10. 上記選択成長は上記下地成長層を選択的に除去することを利用して行われること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法
  11. 上記選択成長は選択的に形成されたマスク層の開口部を利用して行われること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法
  12. 上記結晶層は上記マスク層の開口部よりも横方向に広がって選択成長したものであること
    を特徴とする請求項記載の半導体発光素子の製造方法
  13. 基板上に該基板の主面に対して傾斜したS面または該S面に実質的に等価な面を有する角錐形状の結晶層を形成し、上記S面または上記S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成してなり、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなること
    を特徴とする半導体発光素子。
  14. 上記基板の主面に平行な面または上記基板の主面に実質的に等価な面は、上記基板上に形成したC面または上記C面に実質的に等価な面であること
    を特徴とする請求項13記載の半導体発光素子。
  15. 上記基板の主面はC面であること
    を特徴とする請求項13記載の半導体発光素子。
  16. 基板上に開口部を有するマスク層もしくは結晶種層を形成し、該マスク層の開口部もしくは上記結晶種層からS面または該S面に実質的に等価な面を有する角錐形状の結晶層を選択的に形成し、上記S面または上記S面に実質的に等価な面に平行な面内に延在する第1導電型層、活性層、及び第2導電型層を上記結晶層に形成し、上記傾斜結晶面に平行な面内に延在される一方の電極層を上記第2導電型層上に形成し、上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層を除去して上記基板の主面に平行な面を形成してなること
    を特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  17. 上記基板の主面に平行な面または上記基板の主面に実質的に等価な面は、上記基板上に形成したC面または上記C面に実質的に等価な面であること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法。
  18. 上記基板上に複数の半導体発光素子を形成した後、各半導体発光素子毎に分離すること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法。
  19. 分離した各半導体発光素子の裏面に他方の電極層を形成すること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法。
  20. 上記角錐形状の頂点部分における上記電極層と上記結晶層の除去は、化学機械研磨、集束イオンビーム、レーザービーム、及びドライエッチングから選ばれた方法により行なわれること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法。
  21. 上記結晶層は下地成長層を介して上記基板上に選択成長により設けられること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法
  22. 上記下地成長層を選択的に除去することを利用して行われること
    を特徴とする請求項21記載の半導体発光素子の製造方法
  23. 上記選択成長は選択的に形成されたマスク層の開口部を利用して行われること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法
  24. 上記結晶層は上記マスク層の開口部よりも横方向に広がって選択成長したものであること
    を特徴とする請求項16記載の半導体発光素子の製造方法
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