JP3814862B2 - 内燃機関の始動時燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の始動時燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関の始動時燃料噴射制御装置としては、例えば、第1従来例−特開平3−54337号公報、第2従来例−特開平6−117298号公報、第3従来例−特開平5−332177号公報に記載されたような始動時燃料噴射制御装置がある。これらは何れもスタートスイッチ等により始動時を判定する手段と、クランク角センサから気筒判別を行う手段と、始動時噴射パターンによりインジェクタに燃料噴射パルス幅をセットする手段と、冷却水温やエンジン回転数や負荷に応して燃料噴射パルス幅を演算する手段とからなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の内燃機関の始動時燃料噴射制御にあっては、第1従来例ではその燃料噴射モードはスタートスイッチ:オンと同時に1回全気筒同時噴射とし、その後直ちに気筒判別ができ気筒判別後は気筒毎に1サイクル1回のシーケンシャル噴射となっている。また、第2従来例においても、初回は全気筒同時噴射であるがスタートスイッチ:オンと同時に気筒判別が行え吸入行程までの時間により気筒別に燃料噴射量設定を行ってとなっていたため、クランキング時に精度良く気筒判別が行えるシステムが必要になるという問題点があった。また、第3の従来例では、気筒判別のシステムを安価に抑えるため、特定気筒のみ判別可能な信号とし、始動時の気筒判別遅れに対応するため機関停止時に停止位置を記憶し次の始動時には前の停止位置記憶値に基づいて燃料噴射を行う気筒を推測していたため、停止後にエンジンが回転した場合には全く各気筒の吸気行程と燃料噴射時期のタイミングが合わなくなるという問題点があった。
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、上記問題点を解決することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、運転条件を検出する主な手段として、吸入空気量を検出するエアフローメータと、回転数を検出するクランク角センサと、冷却水温を検出する水温センサと、スロットル開度を検出するスロットルセンサと、排気系には排気ガス中の酸素有無を検出するO2センサと、排気ガスを浄化する触媒と、が有り、これらのセンサ信号に基づいて燃料噴射量と点火時期を演算するコントロールユニットと、この内部にセンサからの信号を読み込む入力部と、予め演算方法がプログラムされているROMと、演算中に必要なRAMの各メモリ部と、各センサ信号とプログラムを基に実際に演算するCPU部と、演算された結果を各アクチュエータに出力する出力部と、が有り、アクチュエータとしては、燃料を噴射するインジェクタと、点火のための高電圧を形成するイグニッションコイルと、実際に火花を飛ばす点火プラグと、を持つ内燃機関において、スタートスイッチ等からの始動に伴い発生する信号を基に始動時を判定する手段と、クランク角度に同期して各気筒の一定角度時に基準信号を出力する手段と、該基準信号を基に気筒を判別する手段と、始動時に初回基準信号から初回気筒判別可能な基準信号までの基準信号数を計測する手段と、計測された基準信号数に応じて、初回気筒判別基準信号に関連させて燃料を噴射する気筒及びタイミングを設定する手段とを持ち、この気筒及びタイミングを設定する手段は、計測された基準信号数が大きいときほど、前記噴射気筒の数を増加させる構成とした。
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の内燃機関の始動時燃料噴射装置において、始動時気筒判別できない場合に、初回基準信号後に全気筒同時に燃料噴射を行うタイミングを設定する手段と、冷却水温度を基に全気筒同時に噴射する際の燃料噴射パルス幅を演算する手段と、設定されたタイミングで、かつ演算された燃料噴射パルス幅により全気筒同時に燃料を噴射する手段とを持つ構成とした。
また、請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の内燃機関の始動時燃料噴射装置において、初回気筒判別基準信号が入力された場合に、冷却水温度を基に初回気筒判別可能基準信号に関連させて噴射する際の燃料噴射パルス幅を演算する手段と、設定された気筒、タイミング及び演算された燃料噴射パルス幅を基に初回気筒判別基準信号に関連させて燃料を噴射する手段とを持つ構成とした。
また、請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の始動時燃料噴射装置において、始動時気筒判別後の通常シーケンシャル噴射として燃料を噴射する気筒とタイミングを設定する手段と、吸入空気量と回転数を基に通常シーケンシャル噴射のための通常噴射パルス幅を演算する手段と、設定された気筒、タイミング及び演算された通常噴射パルス幅を基に燃料を噴射する手段とを持つ構成とした。
【0005】
【作用】
通常クランク角度に同期して各気筒の一定角度時に出力する基準信号のうち1つだけ他の基準信号と長さを変えたりして特定気筒を判別できるようにしており、この気筒判別信号を基に燃料噴射や点火を行う気筒を決めたり、基準信号からのクランク経過角度により燃料噴射時期や点火時期を決めている。
一方、始動時には初回の上記基準信号がどの位置となっているか分からず特定気筒の判別信号が入力されるまで気筒判別が行われないため、気筒判別が行われてから燃料噴射したのでは初爆までに時間が掛かり過ぎ、始動性能としては良くない。
【0006】
そこで、始動時の基準信号の入力によって燃料噴射パターンを変え吸気行程となる気筒に燃料を噴射し初爆をなるべく早く起こすようにする。即ち、始動時の初回基準信号で気筒判別が行われない場合には、全気筒同時に燃料噴射を行うようにし、その後気筒判別が出来る基準信号が入力された場合に通常シーケンシャル噴射へ移行すると共に、初回基準信号からの基準信号数に応じて移行措置として燃料を噴射する気筒を決定することにより、各気筒共吸気量に対して過不足なく燃料を噴射でき初爆が早く発生し始動性能が向上すると共に空燃比の制御性が向上し燃費や排気エミッションも向上する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図8は、この発明の一実施の形態を示す図である。
まず図2に従って構成を説明すると、燃料噴射装置1は、エンジンの運転条件を検出する主な手段として、吸入空気量を検出するエアーフローメータ2と、回転数を検出するクランク角センサ(図示せず)と、冷却水温を検出する水温センサ3と、スロットル開度を検出するスロットルセンサ4とが有る。排気系には排気ガス中の酸素有無を検出するO2 センサ5と排気ガスを浄化する触媒が有る。これらのセンサ信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算するコントロールユニットCには、各センサからの信号を読み込む入力部C1と、予め演算方法がプログラムされているROMC2と、演算中に必要な読み書き可能なメモリを有したRAMC3と、各センサ信号とプログラムを基に実際に演算するCPU部C4と、演算された結果を各アクチュエータに出力する出力部C5と、から成る。アクチュエータとしては、燃料を噴射するインジェクタ6と、点火のための高電圧を形成するイグニッションコイル7と、実際に火花を飛ばす点火プラグ8と、等が有る。
【0008】
そして、図1に本発明の制御ブロックの一実施の形態を示す。
スタートスイッチ等の信号を基に始動時を判定する始動時判定手段101と、クランク角度に同期して各気筒の一定角度時に出力するREF信号を基に気筒判別する気筒判別手段102と、始動時に初回REF信号から初回気筒判別可能REF信号までのREF数を計測する気筒判別REF数カウント手段103と、始動時気筒判別できない場合の初回REF信号後に全気筒同時に燃料噴射を行うタイミングを設定する始動初回同時噴射時期設定手段104と、初回気筒判別REF信号入力時に初回REF信号からのREF数に応じて燃料を噴射する気筒とタイミングを設定する始動時2回目噴射気筒・時期設定手段105と、気筒判別後は通常シーケンシャル噴射に移行し燃料を噴射する気筒とタイミングを設定する通常シーケンシャル噴射気筒・時期設定手段106と、前述の始動と判定されている間は燃料噴射パルス幅として冷却水温で決まる値を演算する始動時噴射パルス幅演算手段107と、始動後には吸入空気量や回転数で決まる通常噴射パルス幅を演算する噴射パルス幅演算手段108と、以上の噴射気筒、タイミング・噴射パルス幅を基に燃料を噴射する燃料噴射手段109とから成る。
【0009】
次に作用を説明する。
図3は本発明の実施の形態による燃料噴射パターン決定のための噴射時期演算フローであり、直4エンジンの場合の一例で、各気筒のタイミング基準であるREF信号毎に実行される。ステップ1では始動時をスタートスイッチがOnであるかで判断し、始動時にはステップ2に進み、始動時以外にはステップ14に進む。ステップ2では今回のREF信号が1回目かを判断し、1回目ならばステップ3へ進み、1回目以外ならばステップ7へ進む。ステップ3では気筒判別ができているかを判断し、気筒判別ができていない場合にはステップ4へ進み、気筒判別ができている場合にはステップ5へ進む。ステップ4ではREF信号1回目で気筒判別できなかった場合であり、全気筒同時に噴射するためのタイミングを設定する。これはREF信号同期でも良いし、点火時期同期でも良い。ステップ5ではREF信号1回目で気筒判別できた場合であり、通常噴射時期が設定できるためその気筒に通常噴射時期を設定する。通常噴射時期は噴射修了時期がある設定クランク角度にな、るように、現回転数と噴射パルス幅を基に演算される。ステップ6では上記通常噴射気筒以外に吸気行程を向かえる全気筒に対して例えば点火時期同期のような噴射時期を設定する。一方、ステップ7では2回目以降のREF信号で気筒判別ができているかを判断し、気筒判別ができていない場合にはステップ8へ進み、気筒判別ができている場合にはステップ9へ進む。ステップ8ではREF信号2回目以降で未だ気筒判別できなかった場合であり、全ての気筒共燃料噴射しないようにする。ステップ9では気筒判別が初回のものであるかを判断し、初回の気筒判別時にはステップ10へ進み、初回以降であればステップ14へ進む。ステップ10では、気筒判別できたREF信号が2回目のものであるかを判断し、2回目のものである場合にはステップ8へ進み、全ての気筒共噴射しない。ステップ11では気筒判別できたREF信号が3回目のものであるかを判断し、3回目のものである場合にはステップ12へ進み特定気筒のみ燃料噴射する。図5に示す直4エンジンの例では第1気筒に噴射する。ステップ13では気筒判別できたREF信号が4回目のものである場合で、ステップ12とは異なる特定気筒に噴射する。図5の直4エンジンの例では第1、第2気筒に噴射する。ステップ14ではすでに気筒判別できた場合であり、ステップ6と同様に通常噴射時期が設定できるためその気筒に通常噴射時期を設定する。通常噴射時期は噴射修了時期がある設定クランク角度になるように、現回転数と噴射パルス幅を基に演算される。最後にステップ15では以上のフローで演算された燃料噴射時期に、噴射すべき気筒のインジェクタへ別に演算される噴射パルス幅を設定する。
尚、ここには示さないが直4エンジン以外の直6、V6、V8等の機種でも同様に、最初に全気筒同時噴射を行い、REF信号により気筒判別された後にはその時のタイミングにより燃料噴射する気筒を特定し順次通常シーケンシャル噴射へ移行する。
【0010】
図4には燃料噴射パルス幅の演算フローを示す。
ステップ21では通常シーケンシャル噴射であるかを判断し、通常シーケンシャル噴射の場合にはステップ22へ進み、別に示すフローに従って燃料噴射パルス幅TIを演算する。ステップ23では始動時の燃料噴射パルス幅TIstを演算する。このTIstはクランキング中の噴射パルス幅であり、この時エンジンの吸入空気量は全開相当であるため、全開相当の基本パルス幅に対してポートやシリンダ内付着燃料による応答性や混合性を考慮した補正を行えば良い。これらは通常冷却水温によって決まり、低水温程付着燃料が多くなり応答性や混合性が悪化し多量の燃料量が必要となるため、図6のように水温によるテーブルでパルス幅を設定するだけでも良い。
【0011】
図5は本発明の実施の形態による始動時燃料噴射パルス幅設定のタイミングチャートを示す。この形態では、直4エンジンにおいて180度毎のREF信号のうち1種のみが他と異なり(720度信号…第1気筒の圧縮上死点前一定角度で出力)、気筒判別ができるようになっている。
【0012】
クランキングを開始してから最初のREF信号が720度信号で気筒判別ができた場合には、始動時噴射として第1、4、2気筒に噴射するように噴射時期を設定する。この噴射時期は第4気筒の吸気行程に間に合わせるように最初のREF入力後なるべく早く噴射できるようにし、例えば点火時期同期等に設定すれば良い。第3気筒については、通常シーケンシャル噴射設定とする。
【0013】
クランキングを開始してから最初のREF信号で気筒判別できない場合には、始動時噴射として全気筒同時に燃料噴射を行うようにする(図5中720度信号2〜4発目として記載)。この噴射時期も前述と同様に最初のREF入力後なるべく早く噴射できるようにし、例えば点火時期同期等に設定すれば良い。この場合にはREF信号により気筒判別できるまで次の燃料噴射は行われず、気筒判別された時のREF信号が最初のREF信号から数えて幾つ目かによって以下のように噴射気筒を定める。気筒判別REF信号が2回目REFの場合には次の燃料噴射は通常シーケンシャル噴射とし、第3気筒に噴射する。3回目REF信号が気筒判別の場合には次の噴射は第1気筒にのみ行うこととし、そのREF入カ後なるべく早く噴射できるようにし、例えば点火時期等に同期して噴射する。4回目REF信号が気筒判別の場合には次の噴射は第1と第2気筒にのみ行うこととし、気筒判別REFの次のREF信号入力後第2気筒の吸気行程に間に合うように噴射できるようにし、例えば点火時期等に同期して噴射する。3回目、4回目REF信号気筒判別の場合には何れも第3気筒から通常シーケンシャル噴射とする。
【0014】
これらの噴射により各気筒の吸気行程に対して1回ずつ燃料噴射が行われ、各サイクルに対して最適な噴射パルス幅が設定できるため、空燃比の制御精度が向上し、燃料量が不足して始動不良になったり、過剰に噴射してエミッションや燃費を悪化させることがなくなる。
【0015】
ここでは省くが、各REF信号の何れでも気筒判別ができるような仕様の場合や、直6−V6のような異なる型のエンジンにおいても、前述と同様に、気筒判別できない場合には全気筒同時噴射とし、気筒判別できた時点で次の燃料噴射を行う気筒を定め、順次通常シーケンシャル噴射に移行すれば良い。
【0016】
また、燃料噴射パルス幅については先の演算フローで説明したように、ス夕ー卜スイッチがオンの時には始動時パルス幅TIstを用い、同スイッチがオフになってから通常噴射パルス幅TIを用いる。
【0017】
図7には通常噴射パルス幅TI演算のフローを示す。ステップ31ではエンジン吸入空気量と回転数から基本噴射パルス幅TPを演算する。ステップ32では過渡時の燃料応答遅れに伴うエラーを補正する過渡補正量KATHOSを演算する。ステップ33はエンジンの設定空燃比を決める目標空燃比設定補正係数TFBYAを演算する。ステップ34では触媒の転換効率を高めるための理論空燃比になるようにエンジン排気側に設置したO2 センサ信号を基にフィードバック制御を行うための補正係数ALPHAを演算する。ステップ35では前述の空燃比フィードバック補正係数ALPHAを基に空燃比補正学習値KBLRCを演算する。ステップ36では電圧低下に伴うインジェクタの開弁遅れを補正するための無効噴射パルス幅TSを演算する。ステップ37では前述の各値から下式によってインジェクタの噴射パルス幅TIを演算する。
【0018】
TI=(TP+KATHOS)×TFBYA ×(ALPHA+KBLRC-1)+TS
図8には本発明による燃料噴射制御仕様の始動時の空燃比と回転数の様子を現行制御仕様と比較して示す。現行の始動時燃料噴射制御仕様においては、空燃比の制御性より始動性重視のため市場のばらつき等を考慮してRich側に適合されており、この結果回転の立ち上がりが急になり過ぎてその後の回転変動が大になったり、場合によってはアンダーシュートによりエンストに至ることもあり、また過剰な燃料のうちの液体で存在する燃料によってプラグが濡れて絶縁抵抗の低下により点火不能になることもある。これを避けるため始動時燃料量を減量させると、Leanになり過ぎて回転立ち上がりに充分なトルクが得られない場合もある。これらRichとLeanの間の最適な値設定するのが難しかった。これに対し、本発明による始動時燃料噴射制御仕様では空燃比の制御性に優れ、燃料量の過不足なく供給することができ回転の立ち上がりもスムースとなり、エミッションや燃費も向上できる。
【0019】
以上説明してきたように、この実施の形態によれば、その構成をスタートスイッチ等の信号を基に始動時を判定する始動判定手段101と、クランク角度に同期して各気筒の一定角度時に出力するREF信号を基に気筒判別する気筒判別手段102と、始動時に初回REF信号から初回気筒判別可能REF信号までのREF数を計測する気筒判別REF数カウント手段103と、始動時気筒判別できないの初回REF信号後に全気筒同時に燃料噴射を行うタイミングを設定する始動初回同時噴射時期設定手段104と、初回気筒判別REF信号入力時に初回REF信号からのREF数に応じて燃料を噴射する気筒とタイミングを設定する始動時2回目噴射気筒・時期設定手段105と、気筒判別後は通常シーケンシャル噴射に移行し燃料を噴射する気筒とタイミングを設定する通常シーケンシャル噴射気筒・時期設定手段105と、前述の始動と判定されている間は燃料噴射パルス幅として冷却水温で決まる値を演算する始動時噴射パルス幅演算手段107と、始動後には吸入空気量や回転数で決まる通常噴射パルス幅を演算する噴射パルス幅演算手段108と、以上の噴射気筒・タイミング・噴射パルス幅を基に燃料を噴射する燃料噴射手段109と、から成るとしたため、始動時にも各気筒の吸気行程に対して1回ずつ燃料噴射が行われ、各サイクルに対して最適な噴射パルス幅が設定できるため、空燃比の制御精度が向上し、燃料量が不足して始動不良になったり、過剰に噴射してエミッションや燃費を悪化させることがなくなると言う効果が得られる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更等があっても、本発明に含まれる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、始動時に特定気筒が判別できない基準信号入力と同時に全気筒同時に燃料を噴射するため、その後気筒判別が可能となる基準信号が入力するまでは燃料噴射を行わなくても各気筒共1サイクル分の燃料が供給され、気筒判別が終了してから燃料噴射を行う仕様に比べて初爆が早期に発生し始動性能が向上する。更に気筒判別が終了した後は通常シーケンシャル噴射へ移行するが、気筒判別基準信号から通常シーケンシャル噴射を設定するのに2回転(3回基準信号分)の時間が必要なため、その間は初回基準信号から初回気筒判別基準信号までの基準信号入力回数に応して、通常シーケンシャル噴射までに吸気行程を向かえる気筒のうち初回全気筒同時噴射で燃料を供給した次のサイクルに対して燃料を噴射するようにしたため、各サイクル共燃料供給量の過不足なく燃焼が行え、空燃比の制御性が向上し燃費や排気ガスエミッションが向上すると言う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の制御ブロック図である。
【図2】実施の形態の構成図である。
【図3】実施の形態の燃料噴射パターンの演算フローチャートである。
【図4】実施の形態の燃料噴射パルス幅の演算フローチャートである。
【図5】実施の形態の始動時燃料噴射パルスのタイミングチャートである。
【図6】実施の形態の始動時燃料噴射パルス幅設定の一例を示す図である。
【図7】実施の形態の通常噴射パルス幅の演算フローチャートである。
【図8】実施の形態による始動直後の空燃比と回転立ち上がりの様子を示す図である。
【符号の説明】
101 始動時判定手段
102 気筒判別手段
103 気筒判別REF数カウント手段
104 始動初回同時噴射時期設定手段
105 始動時2回目噴射気筒・時期設定手段
106 通常シーケンシャル噴射気筒・時期設定手段
107 始動時噴射パルス幅演算手段
108 噴射パルス幅演算手段
109 燃料噴射手段
Claims (4)
- 運転条件を検出する主な手段として、吸入空気量を検出するエアフローメータと、回転数を検出するクランク角センサと、冷却水温を検出する水温センサと、スロットル開度を検出するスロットルセンサと、排気系には排気ガス中の酸素有無を検出するO2センサと、排気ガスを浄化する触媒と、が有り、
これらのセンサ信号に基づいて燃料噴射量と点火時期を演算するコントロールユニットと、この内部にセンサからの信号を読み込む入力部と、予め演算方法がプログラムされているROMと、演算中に必要なRAMの各メモリ部と、各センサ信号とプログラムを基に実際に演算するCPU部と、演算された結果を各アクチュエータに出力する出力部と、が有り、
前記アクチュエータとしては、燃料を噴射するインジェクタと、点火のための高電圧を形成するイグニッションコイルと、実際に火花を飛ばす点火プラグと、を持つ内燃機関において、
スタートスイッチ等からの始動に伴い発生する信号を基に始動時を判定する手段と、クランク角度に同期して各気筒の一定角度時に基準信号を出力する手段と、該基準信号を基に気筒を判別する手段と、始動時に初回基準信号から初回気筒判別可能な基準信号までの基準信号数を計測する手段と、計測された基準信号数に応じて、初回気筒判別基準信号に関連させて燃料を噴射する気筒及びタイミングを設定する手段とを持ち、
前記気筒及びタイミングを設定する手段は、計測された基準信号数が大きいときほど、前記噴射気筒の数を増加させる内燃機関の始動時燃料噴射装置。 - 請求項1記載の内燃機関の始動時燃料噴射装置において、始動時気筒判別できない場合に、初回基準信号後に全気筒同時に燃料噴射を行うタイミングを設定する手段と、冷却水温度を基に全気筒同時に噴射する際の燃料噴射パルス幅を演算する手段と、設定されたタイミングで、かつ演算された燃料噴射パルス幅により全気筒同時に燃料を噴射する手段とを持つことを特徴とする内燃機関の始動時燃料噴射装置。
- 請求項1又は2記載の内燃機関の始動時燃料噴射装置において、初回気筒判別基準信号が入力された場合に、冷却水温度を基に初回気筒判別基準信号に関連させて噴射する際の燃料噴射パルス幅を演算する手段と、設定された気筒、タイミング及び演算された燃料噴射パルス幅を基に初回気筒判別基準信号に関連させて燃料を噴射する手段とを持つことを特徴とする内燃機関の始動時燃料噴射装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の始動時燃料噴射装置において、始動時気筒判別後の通常シーケンシャル噴射として燃料を噴射する気筒とタイミングを設定する手段と、吸入空気量と回転数を基に通常シーケンシャル噴射のための通常噴射パルス幅を演算する手段と、設定された気筒、タイミング及び演算された通常噴射パルス幅を基に燃料を噴射する手段とを持つことを特徴とする内燃機関の始動時燃料噴射装置。
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