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JP3807647B2 - カムシャフト加工機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はカムシャフトを加工するカムシャフト加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来エンジンなどに使用されているカムシャフトは、カムシャフト加工機を使用して、カムの外周面(カム面)などを加工している。
【0003】
また従来のカムシャフト加工機は、例えば図1及び図2に示すように、ベッドa上に接離方向へ移動自在なワークヘッドbが設けられていて、これらワークヘッドbの対向面に設けられたチャックcによりワーク(カムシャフト)dの両端をクランプして、ワークdを回転するように構成されている。
【0004】
また上記ベッドa上には、ワークdの長手方向及びこれと直交する前後方向に移動自在なカッタヘッドeが設けられていて、このカッタヘッドeにカッタ駆動モータfにより回転されるディスク状のカッタgが取付けられており、NC装置により上記カッタヘッドeを前後動制御しながら、回転するカッタgによりワークdのカム面(プロフィル)を切削加工するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし近年では、エンジンの高性能化により、カム面が軸線に対して傾斜する円錐状カムの要求があるが、上記従来のカムシャフト加工機では、このようなカムシャフトの加工は不可能であった。
この発明はかかる事情に鑑みなされたもので、カム面が軸線に対して傾斜するカムシャフトの加工を可能にしたカムシャフト加工機を提供することを目的とするのである。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するため請求項記載の発明は、ワークの両端をチャックによりクランプして、ワークを回転させる一対のワークヘッドと、X軸駆動手段によりワークの軸線と平行するX軸方向へ移動自在なX軸スライドと、Y軸駆動手段によりワークの接離方向と平行するY軸方向へ移動自在なY軸スライドと、上記X軸スライド及びY軸スライドの一方に設けられ、かつ割出し手段により水平方向へ割出し回転自在な割出しテーブルと、上記Y軸スライド及び割出しテーブルの一方に設けられたカッタヘッドとを具備し、上記カッタヘッドには、ワークの軸線と平行なカム面を加工するとき、上記ワークの軸線に対して並行になるように支承された回転自在な主軸と、上記主軸の一端側に取付けられた、ワークを切削加工するディスク状のカッタと、上記カッタを回転駆動させるカッタ駆動手段とを備えたたことを特徴とするカムシャフト加工機である。
【0010】
上記構成により、カッタヘッドの搭載された割出しテーブルを割出し回転させることにより、軸線に対して任意な角度のカム面を持つカムシャフトの加工が可能になる。
また予めカム面の傾斜角などのデータを入力することにより、各駆動源がNC制御されて、カム面の切削加工が自動的に行えるため、生産性が向上すると共に、割出しテーブルを割出し回転することにより発生するカッタの切刃のずれなどを自動補正することができるため、精度の高い加工が可能になる。
【0011】
上記目的を達成するため請求項記載の発明は、割出しテーブルの回転中心をX軸とY軸の交差点上に設けたものである。
【0012】
上記構成により、複雑な演算を必要とせずに、カム面の傾斜角にカッタの傾斜角を一致させることができる。
【0013】
上記目的を達成するため請求項記載の発明は、割出し手段を割出しテーブル側に枢着されたナット部材と、このナット部材に螺挿されたボールねじ軸及びボールねじ軸を正逆回転させる割出しモータより構成したものである。
【0014】
上記構成により、簡単な構成により精度の高い位置の割出しが可能になる。
【0015】
上記目的を達成するため請求項記載の発明は、割出し手段を割出しテーブル側に設けられたウォームホィールと、このウォームホィールに噛合するウォーム及びウォームを正逆回転させる割出しモータより構成したものである。
【0016】
上記構成により、簡単な構成により精度の高い位置の割出しが可能になる。
【0017】
上記目的を達成するため請求項記載の発明は、X軸方向へ移動自在なX軸スライド上に、Y軸方向へ移動自在にY軸スライドを設け、Y軸スライド上に、割出し回転自在に割出しテーブルを設けたものである。
【0018】
上記構成により、X軸スライドとY軸スライド及び割出しテーブルが複層構造となるため、装置全体の小型化が図れるようになる。
【0019】
上記目的を達成するため請求項記載の発明は、X軸方向に移動自在なX軸スライド上に、割出し回転自在に割出しテーブルを設け、割出しテーブル上に、Y軸方向へ移動自在にY軸スライドを設けたものである。
【0020】
上記構成により、X軸テーブル、割出しテーブル及びY軸スライドが複層構造となるため、装置全体の小型化が図れるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図3以下に示す図面を参照して詳述する。
図3はカムシャフト加工機の正面図、図4はカッタユニットの正面図、図5はカッタユニットの平面図、図6は図4のA−A線に沿う断面図、図7及び図8は作用説明図である。
【0022】
これら図において1は加工機本体で、ベッド1a上に一対のワークヘッド2が接離方向に移動自在に設けられており、これらワークヘッド2はハンドルなどのワークヘッド移動手段3で独立して接離方向へ移動できるようなっている。
上記ワークヘッド2の対向面には、ワーク4の両端部をクランプするチャック5が設けられており、これらチャック5は、ベッド1aの一端側に固着されたモータよりなるワーク駆動手段6により同期回転されるようになっている。
7は上記ベッド1a上に設けられたカッタユニットで、ワーク4の長手方向(X軸方向)に移動自在なX軸スライド8を有している。
【0023】
上記X軸スライド8は、下面に固着されたナット部材8aが、X軸駆動手段10のボールねじ軸10bに螺合されている。
上記X軸駆動手段10は、ボールねじ軸10bを正逆回転するサーボモータよりなるX軸モータ10aを有していて、このX軸モータ10aによりX軸スライド8がX軸方向へ移動されると共に、X軸スライド8上には、X軸と直交するY軸方向へ移動自在にY軸スライド11が支承されている。
【0024】
上記Y軸スライド11は下面に固着されたナット部材11aが、X軸スライド8に設けられたY軸駆動手段12のボールねじ軸12bに螺合されている。
上記Y軸駆動手段12は、ボールねじ軸12bを正逆回転するサーボモータよりなるY軸モータ12aを有していて、このY軸モータ12aによりY軸スライド11がY軸方向へ移動されると共に、Y軸スライド11上には、X軸駆動手段10のボールねじ軸10bと、Y軸駆動手段12のボールねじ軸12bの交差点上に回転中心Oを有する割出しテーブル13が設けられている。
【0025】
上記割出しテーブル13は回転中心Oに支承された回転軸14を中心に旋回自在となっていると共に、チャック5側と反対側の端面にブラケット13a及び上記回転中心Oを中心とする円弧状に形成されたガイド部材13bが上下に離間して突設されている。
上記ガイド部材13bは、Y軸スライド11の上面に固着されたガイド受け部材13cに摺動自在に支承されて、ワーク加工時の切削反力を担持すると共に、上記ブラケット13aの先端部には、割出し手段15のピン15aが軸受け15bを介して回転自在に支承されている。
【0026】
上記割出し手段15は、Y軸スライド11上面にY軸方向に布設されたLMガイドよりなるガイドレール16に移動自在に支承されたナット部材15cを有している。
上記ナット部材15cは、上記ガイドレール16の上方にこれと平行するよう設けられたボールねじ軸15dに螺合されていて、Y軸スライド11の端面に取付けられたサーボモータよりなる割出しモータ15eによりボールねじ軸15dを正逆回転することにより、ガイドレール16に沿ってナット部材15cをX軸方向へ移動できるようになっている。
【0027】
上記ナット部材15cの上面には、Y軸方向にLMガイドよりなるガイドレール17が布設されていて、このガイドレール17に上記ピン15aの下端部がY軸方向へ移動自在に支承されており、これによって上記割出しモータ15eにより回転軸14を中心に割出しテーブル13が任意な角度、割出し回転できるようになっている。
【0028】
一方上記割出しテーブル13上には、カッタヘッド20が設けられている。
上記カッタヘッド20内には、ワーク4の軸線と平行する方向に主軸20aが回転自在に支承されていて、この主軸20aの一端側に、ワーク4のカム面4aを切削するディスク状のカッタ21が着脱自在に取付けられていると共に、主軸20aの他端側は、カッタヘッド20上にブラケット20bを介して取付けられたインダクションモータよりなるカッタ駆動手段22にベルトなどの動力伝達手段23を介して接続されていて、このカッタ駆動手段22によりカッタ21が回転駆動されるようになっている。
【0029】
次に上記構成されたカムシャフト加工機の作用を説明すると、図7の(イ)及び(ロ)に示すように、カム面4aがワーク4の軸線と平行する一般的なカムシャフトを加工する場合は、割出しテーブル13を割出し角度0°に固定して、従来と同様にワーク駆動手段6によりワーク4を回転させながらY軸モータ12aをNC制御して、カッタ駆動手段22により回転されるカッタ21により図7の(イ)に示すように切削加工するもので、X軸モータ10aによりX軸スライド8をX軸方向へ移動させて、ワーク4の加工位置を割出すことにより、ワーク4の全てのカム面4aを切削加工することができる。
【0030】
一方図8の(イ)及び(ロ)に示すように、軸線に対してカム面4aが傾斜する円錐形カム面を有するカムシャフトを加工する場合は、割出しモータ15eにより回転軸14を中心に割出しテーブル13を旋回させて、カム面4aの傾斜角θにカッタ21の割出し角が一致するよう割出しテーブル13を割出す。
このときカッタ21の切刃21aの前後及び左右方向に位置ずれが発生するが、予め割出し角度に応じたずれ量に対する補正量がNC装置に記憶されているため、割出しテーブル13を割出すことにより、カッタ21のX軸及びY軸方向の補正が自動的に行われる。
【0031】
以上のようにして割出しテーブル13の割出しが完了したら、カッタ21によりカムシャフトのカム面4aを切削加工すると共に、カッタユニット7をX軸方向へ移動させてワーク4に加工位置を割出し、X軸モータ10a及びY軸モータ12aをNC制御しながら、回転するワーク4を回転するカッタ21を切削加工するもので、カッタユニット7のX軸方向への移動を繰返すことにより、ワーク4の全てのカム面4aを切削加工することができるようになる。
【0032】
なお上記実施の形態では、Y軸スライド11上に回転軸14を介して割出しテーブル13を旋回自在に支承したが、図9ないし図11に示すように、X軸スライド11上に回転軸14を介して割出しテーブル13を旋回自在に支承し、この割出しテーブル13上にY軸方向へ移動自在にY軸スライド11を設けてもよい。
この場合、Y軸駆動手段12はY軸スライド11側へ設置し、またカッタヘッド20はY軸スライド11上へ設置するもので、その他の構成は上記実施の形態同様なので、同一符号を付してその説明は省略する。
【0034】
また上記実施の形態では、何れも割出し手段15にボールねじ軸15d及びこれに螺合されたナット部材15cを使用したが、図12に示すようにウォーム15f及びウォームホィール15gよりなるウォーム減速機を使用して割出しテーブル13を割出し回転させるようになしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のカムシャフト加工機の正面図である。
【図2】従来のカムシャフト加工機の平面図である。
【図3】この発明の実施の形態になるカムシャフト加工機の正面図である。
【図4】この発明の実施の形態になるカムシャフト加工機のカッタユニットの正面図である。
【図5】この発明の実施の形態になるカムシャフト加工機のカッタユニットの平面図である。
【図6】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図7】(イ)及び(ロ)は加工時の作用説明図である。
【図8】(イ)及び(ロ)は加工時の作用説明図である。
【図9】この発明の他の実施の形態になるカムシャフト加工機のカッタユニットの正面図である。
【図10】この発明の他の実施の形態になるカムシャフト加工機のカッタユニットの平面図である。
【図11】図9のB−B線に沿う断面図である。
【図12】この発明の実施の形態になるカムシャフト加工機の割出し手段の別の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
2…ワークヘッド
4…ワーク
4a…カム面
5…チャック
8…X軸スライド
10…X軸駆動手段
11…Y軸スライド
12…Y軸駆動手段
13…割出しテーブル
15…割出し手段
15c…ナット部材
15d…ボールねじ軸
15e…割出しモータ
15f…ウォーム
15g…ウォームホィール
20…カッタヘッド
21…カッタ

Claims (6)

  1. ワーク(4)の両端をチャック(5)によりクランプして、ワーク(4)を回転させる一対のワークヘッド(2)と、
    X軸駆動手段(10)によりワーク(4)の軸線と平行するX軸方向へ移動自在なX軸スライド(8)と、
    Y軸駆動手段(12)によりワーク(4)の接離方向と平行するY軸方向へ移動自在なY軸スライド(11)と、
    上記X軸スライド(8)及びY軸スライド(11)の一方に設けられ、かつ割出し手段(15)により水平方向へ割出し回転自在な割出しテーブル(13)と、
    上記Y軸スライド(11)及び割出しテーブル(13)の一方に設けられたカッタヘッド(20)とを具備し、
    上記カッタヘッド(20)には、
    ワーク(4)の軸線と平行なカム面(4a)を加工するとき、上記ワーク(4)の軸線に対して並行になるように支承された回転自在な主軸(20a)と、
    上記主軸(20a)の一端側に取付けられた、ワーク(4)を切削加工するディスク状のカッタ(21)と、
    上記カッタを回転駆動させるカッタ駆動手段(22)とを備えた
    たことを特徴とするカムシャフト加工機。
  2. 割出しテーブル(13)の回転中心をX軸とY軸の交差点上に設けてなる請求項1記載のカムシャフト加工機。
  3. 割出し手段(15)を割出しテーブル(13)側に枢着されたナット部材(15c)と、このナット部材(15c)に螺挿されたボールねじ軸(15d)及びボールねじ軸(15d)を正逆回転させる割出しモータ(15e)より構成してなる請求項1記載のカムシャフト加工機。
  4. 割出し手段(15)を割出しテーブル(13)側に設けられたウォームホィール(15g)と、このウォームホィール(15g)に噛合するウォーム(15f)及びウォーム(15f)を正逆回転させる割出しモータ(15e)より構成してなる請求項1記載のカムシャフト加工機。
  5. X軸方向へ移動自在なX軸スライド(8)上に、Y軸方向へ移動自在にY軸スライド(11)を設け、Y軸スライド(11)上に、割出し回転自在に割出しテーブル(13)を設けてなる請求項1記載のカムシャフト加工機。
  6. X軸方向に移動自在なX軸スライド(8)上に、割出し回転自在に割出しテーブル(13)を設け、割出しテーブル(13)上に、Y軸方向へ移動自在にY軸スライド(11)を設けてなる請求項1記載のカムシャフト加工機。
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