JP3807459B2 - 非水電解液電池用電解液およびこれを用いた非水電解液電池 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、不燃性で、他の電解液との相溶性の高い非水電解液電池用電解液、例えばリチウム2次電池用電解液に関する。本発明の電解液を含む非水電解液電池、例えばリチウム2次電池は、電気自動車、携帯電話、携帯パソコンなどの移動体通信用電源、電気自動車、深夜電力の貯蔵、太陽電池などと組み合わせて用いられる電力貯蔵用電源として用いることができる。
【0002】
【背景技術】
非水電解液電池、例えばリチウム2次電池用の電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状エステル、ジメチルカーボネート、プロピオン酸エチルなどの直鎖状エステル、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなどが用いられている。しかし安全性や充放電サイクルにおいて、満足しうるものではない。
【0003】
また、リチウム2次電池の長期の充・放電サイクル寿命を実現させるものとして、酸化分解に対する安定性の高い有機フッ素化エーテル化合物が提案されている(特開平7−249432号公報)。
【0004】
有機フッ素化エーテル化合物は、フッ素含量が高いと酸化分解に対する安定性が高くなるが、リチウム2次電池用の他の電解液との相溶性が低くなる問題がある。一方、フッ素含量が低いと他の電解液との相溶性は改善されるが、可燃性になりやすく、酸化分解に対する安定性も低下する等の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、他の電解液との相溶性、酸化分解に対する安定性、不燃性等の電解液としての総合的な性質に優れた非水電解液電池用電解液、例えばリチウム2次電池用の電解液に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の項1〜項5の非水電解液電池用電解液、及び該電解液を使用したリチウム2次電池を提供する。
【0007】
項1.H -( CF 2 - CF 2 ) n - CH 2 O - CF 2 - CF 2 - H(式中、nは1または2を示す。)で表される非水電解液電池用電解液。
項2.式中nが1である、項1に記載の電解液。
項3.電解液全体に対して、H -( CF 2 - CF 2 ) n - CH 2 O - CF 2 - CF 2 - H(式中、nは1または2を示す。)で表される化合物を0.5〜50体積%の割合で含有する非水電解液電池用電解液。
項4.式中nが1である、項3に記載の電解液。
項5.項1〜4のいずれかに記載の電解液を含む非水電解液電池。
【0008】
【発明の実施の形態】
非水電解液電池としては、例えばリチウム2次電池、リチウム1次電池等が挙げられ、本発明の非水電解液電池用電解液は、例えばこれらの電池に用いられる。
【0009】
本発明の非水電解液電池用電解液において、式中のnは1または2である。
【0010】
より具体的には、以下の非水電解液電池用電解液が挙げられる。
・HCF 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、
・H ( CF 2 CF 2 ) 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、
【0011】
本発明のリチウム2次電池用含フッ素電解液は、公知化合物であり、例えばWO94/17023号に記載の方法に従い製造される。
【0012】
本発明の含フッ素電解液は、不燃性である。しかも、フッ素原子の割合が多いにもかかわらず他の電解質との相溶性が大きい。
【0013】
本発明の含フッ素電解液は、電解質とともに電導性の大きい他の電解液を併用するのが好ましい。併用可能な電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンテンカーボネート、2,3−ペンテンカーボネート、1,3−ジオキサ−2−シクロヘキサノン、4−メチル−1,3−ジオキサ−2−シクロヘキサノン、4−イソプロピル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサ−2−シクロヘキサノン、シクロヘキシルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ブチルメチルカーボネートなどの鎖状又は環状のカーボネート類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどの鎖状又は環状のエステル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、ペンチルエーテル、ヘキシルエーテル、フェニルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジエトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの鎖状または環状のモノ又はジエーテル類;12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6などのクラウンエーテル類が挙げられる。
【0014】
電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CHFCF2SO3、LiCF2HCF2SO3、LiCF2HSO3、LiBF4、LiPF6、Li(CF3SO2)2N、Li(CF3SO2)3C等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。これらの電解質は、本発明の含フッ素電解質及び該電解質と併用される電解質に溶解して用いることができる。本発明の含フッ素電解液は、電解液全体に対して0.1〜70体積%、好ましくは0.5〜50体積%の割合で添加される。
【0015】
本発明の非水電解液電池の正極及び負極には、公知の電極材料が用いられ、正極材料としてはTiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの金属硫化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などの金属含有複合酸化物、V2O5、V6O13、MoO3などの金属酸化物が挙げられる。負極材料としては、リチウム合金、炭素質材料(石油系コークス、グラファイトなど)、導電性高分子などが挙げられる。
【0016】
セパレータとしては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系微孔膜セパレータを用いることができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の非水電解液電池用電解液及びそれを用いた電池は、下記のような特性を有しており、電解液として優れている。
(1)他の電解液との相溶性が高く、電解質の溶解性も高い。
(2)フッ素原子数が、水素原子数より多く、不燃性であるので特に使用時に高温になった場合にも安全性が高い。
(3)リチウム2次電池などの2次電池に使用した場合、サイクル特性が良好である。
(4)耐酸化性に優れるので、高い電圧での充電が可能であり、容量を大きくすることができる。
(5)本発明の電解液は、低温においても低粘度なので、これを用いた電池は低温放電特性が良好である。
(6)負極活物質との反応性が低いので、電池の保存特性が良好である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0019】
実施例1
非水電解液としてHCF2CF2CH2OCF2CF2H(50重量%)と、プロピレンカーボネートまたはエチレンカーボネート(50重量%)からなる混合電解液に、電解質としてLiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CHFCF2SO3、LiCF2HCF2SO3、LiCF2HSO3、LiBF4、LiPF6、Li(CF3SO2)2N、Li(CF3SO2)3Cを各々1モル/リットルの濃度で溶解させたところ、いずれも完全に溶解した。
【0020】
実施例2
(1)正極
LiCoO2100重量部に対し、グラファイト2.5重量部、アセチレンブラック2.5重量部、ポリフッ化ビニリデン(結合剤)5重量部を加え、N−メチルピロリドン溶媒を用いて混練し、アルミ箔の片面に塗布して正極を作製した。
【0021】
(2)負極
コークス粉末(平均粒径10μm)100重量部に、ポリフッ化ビニリデン(結合剤)5重量部を加え、N−メチルピロリドン溶媒を用いて混練し銅箔の片面に塗布して正極を作製した。
【0022】
(3)リチウム2次電池
上記正極と負極の間に微孔性ポリプロピレンシートからなるセパレータを介在させ、該電極体を電池容器に収納した。電解質としてLiBF4、非水電解液としてHCF2CF2CH2OCF2CF2H(20重量%)、プロピレンカーボネート(50重量%)、ジエチレンカーボネート(30重量%)の3元混合電解液を用い、電解質濃度が1.0モル/リットルになるように溶解させた溶液を前記電池溶液に注入しリチウム2次電池を作製した。
【0023】
比較例1
非水電解液としてプロピレンカーボネート(50重量%)及びジエチレンカーボネート(50重量%)の2元混合電解液を用いた他は実施例2と同様にしてリチウム2次電池を作製した。
【0024】
試験例
(1)充放電特性
実施例2及び比較例1で得たリチウム2次電池について、充放電を3回繰り返した後の容量を100%とし、100サイクル後の容量を測定した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
(2)低温放電特性
実施例3及び比較例1で得たリチウム2次電池について、25℃での放電容量を100としたときの、−20℃での容量(低温放電容量)を測定した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
表1、表2の結果から、本発明の非水電解液電池用電解液を用いた非水電解液電池、例えばリチウム2次電池は、充放電特性及び低温放電特性のいずれにおいても優れていることが明らかになった。
Claims (5)
- H-(CF2-CF2)n-CH2O-CF2-CF2-H(式中、nは1または2を示す。)で表される非水電解液電池用電解液。
- 式中nが1である、請求項1に記載の電解液。
- 電解液全体に対して、H-(CF2-CF2)n-CH2O-CF2-CF2-H(式中、nは1または2を示す。)で表される化合物を0.5〜50体積%の割合で含有する非水電解液電池用電解液。
- 式中nが1である、請求項3に記載の電解液。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電解液を含む非水電解液電池。
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