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JP3802396B2 - 断熱ボード - Google Patents

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治 脇坂
孝行 志水
毅郎 長谷川
重雄 廣瀬
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量で取扱い性にすぐれるとともに、天然資源有効利用型のボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築に使用される断熱ボード(パネル)としては各種のものが知られているが、軽量性のものとしては、発泡プラスチックが用いられている。しかし、この発泡プラスチックの場合、その強度や透湿性の点で未だ不十分であり、また、燃焼したときにその発熱量が大きい等の問題を含む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量性にすぐれるとともに、強度、透湿性にすぐれ、さらに燃焼したときの発熱量の小さい断熱ボードを提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ね結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す断熱ボードが提供される。
(1)無機ボードの片面又は両面に、ポリオールに対して可溶性のリグニン系物質を溶解状態で含むポリオール溶液に水の存在下ポリイソシアネートを重縮合反応させて形成したポリウレタンフォーム層を積層させたものであって、該リグニン系物質の含有量が、全ポリウレタンフォーム中2〜40重量%2〜40重量%であり、該ポリウレタンフォーム層の圧縮強度が1〜2MPa、曲げ強度が1〜5MPaであり、且つその密度が0.1〜0.2g/cmであり、更に該無機ボードが0.1〜0.4g/cmの密度及び0.1Kcal/mhr℃(25℃)以下の熱伝導率を有し、更に0.5〜20Mpaの圧縮強度と3MPa以上の曲げ強度を有する多孔質構造のものであることを特徴とする断熱ボード。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる無機ボードは、多孔質構造である。多孔質構造の無機ボードの場合、その厚さは、5〜50mm、好ましくは10〜25mm、その密度は、0.1〜0.4g/cmであり、その圧縮強度は、0.5〜20Mpa、好ましくは0.5〜10MPaであり、その曲げ強度は、3MPa以上、好ましくは7MPa以上であり、その透湿抵抗は0.1msPa/ng以下、好ましくは10−2sPa/ng以下である。また、その熱伝導率は0.1Kcal/mhr℃(25℃)以下、好ましくは0.05Kcal/mhr℃以下である。多孔質無機ボードは、微細空隙(細孔)を有し、通気性を有するものであるが、その平均細孔直径は30〜500μm、好ましくは30〜200μmである。
【0006】
前記のような多孔質無機ボードは、従来公知のものであり、無機粉末を多孔質構造のボード状(板状)に形成することにより得ることができる。
前記無機粉末としては、従来公知の各種のものを用いることができる。このようなものには、例えば、発泡性粘土(貢岩粉末等)、シリカ、アルミナ、ゼオライト、クレー、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0007】
前記無機ボードの具体例としては、例えば、軽量気泡コンクリートボード、ケイ酸カルシウムボード(ゾノトライト系)等が挙げられる。
【0008】
本発明では、前記無機ボードの片面又は両面に対してポリウレタンフォーム層を積層固定化して断熱ボードとする。
本発明で用いるポリウレタンフォーム層は、(i)リグニン系物質を溶解状で含むポリオール、(ii)ポリイソシアネート、(iii)水(発泡剤)、(iv)充填剤及び(v)触媒を含有する。反応原料混合物をウレタン化反応さえることによって形成することができる。
【0009】
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、ソルビトール等の低分子量ポリオール:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体等のポリエーテルポリオール:ポリカプロラクトン、ポリ−β−メチル−δ−プチロラクトン、ジオールと二塩基酸からのポリエステル等が挙げられる。その他、水酸基含有液状ポリブタジエン、ポリカーボネートジオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
【0010】
前記ポリイソシアネートとしては、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび芳香族系ポリイソシアネートの他、それらの変性体が包含される。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられ、脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。ポリイソシアネート変性体としては、例えば、ウレタンプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリマー、イソホロンジイソシアネートトリマー等が挙げられる。
【0011】
前記触媒としては、従来公知のウレタン化反応用触媒、通常、スズ系やアミン系の触媒が用いられる。
前記ポリオールに対して溶解性のリグニン系物質としては、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸部分中和塩等が挙げられる。
前記リグニンスルホン酸部分中和塩は、リグニンスルホン酸塩を酸を用いて部分的に加水分解するか又はイオン交換方でイオン交換することにより得ることができる。この場合、そのリグニンスルホン酸塩には、ナトリウム塩やカリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が包含される。その部分加水分解の程度は、通常その5%水溶液のpHが1〜8、好ましくは2.5〜8、より好ましくは3〜7を示す程度であり、ポリオールに溶解する程度であればよい。
前記リグニン系物質の割合は、反応混合物中、1〜50重量%、好ましくは2〜25重量%である。
前記補助成分の割合は、反応混合物中、20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0012】
本発明の断熱ボードは、無機ボードの片面又は両面に前記反応原料混合物をウレタン化反応させて形成したポリウレタンフォーム層を積層固定化したものであるが、このポリウレタンフォーム層の積層固定化は、その無機ボード面上に所要のポリウレタンフォーム層に対応する成分組成の反応原料混合物の層を形成し、反応させればよい。無機ボードの両面に対して、前記ポリウレタンフォーム層固定化させるには、その片面に所要のポリウレタンフォーム層を形成した無機ボードの他方の面上に、所要のポリウレタンフォーム層の成分組成に対応する反応原料混合物の層を形成し、反応させればよい。
前記のようにして無機ボード状に形成されるポリウレタンフォーム層は、そのボード上に強固に固着したものである。
【0013】
また、無機ボード上にポリウレタンフォーム層を積層固定化する他の方法は、あらかじめ作製したポリウレタンフォームボード(板体)を無機ボードの片面又は両面に積層し、固定化する方法である。この場合のポリウレタンフォームボードの固定化は、例えば、無機ボードとポリウレタンフォームボードの積層体を、あらかじめ金具やネジ(ビス)等を用いて固定化する方法や、接着剤を介して固定化する方法等があり、特に制約されない。
【0014】
ポリウレタンフォームの形成は、その原料反応混合物をウレタン化反応させることによって実施されるが、この場合、その反応温度は、10〜300℃、好ましくは20〜220℃である。反応圧力としては常圧又は加圧が採用される。
【0015】
無機ボード上にポリウレタンフォーム層積層固定化した本発明の断熱ボードにおいて、そのポリウレタンフォーム層の密度は、0.1〜0.2g/cmであり、その熱伝導率は、0.01〜0.08Kcal/mhr℃(25℃)、好ましくは0.02〜0.05Kcal/mhr℃であり、その透湿抵抗は、0.1msPa/ng以下、好ましくは10−2sPa/ng以下であり、その発熱量は、8MJ/m以下である。また、その厚さは5〜50mm、好ましくは10〜30mmであり、その圧縮強度は1〜2MPaであり、その曲げ強度は1〜5MPaである。本発明の断熱ボードは、熱伝導率は小さく、良好な断熱性を有する上、その発熱量も8MJ/m以下と小さい。
【0016】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0017】
なお、以下の実施例において用いた多孔質無機軽量ボートYは、日本インシュレーション社製、製品名「ダンネットライトII」であり、その性状は以下の通りである。
(1)厚さ:25mm
(2)密度:0.24g/cm3
(3)曲げ強度:2.5MPa
(4)熱伝導率:0.04Kcal/mhr℃
【0018】
実施例1
リグニンスルホン酸(LS)15部をジエチレングリコール35部に溶解してリグニンスルホン酸ポリオール(LSP)を調製した。
このLSP50部をトリエチレングリコール30部とショ糖ベースのポリプロピレングリコール(PPG)20部と混合してポリオール混合物を作った。
次に、このポリオール混合物100部に3級アミン触媒、水1.5部及びシリコン整泡剤を適量加えてよく攪拌し、さらに、NCO/OHモル比が1.2になるように秤量したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて室温で攪拌して混合物を得た。
この混合物を前記多孔質無機軽量ボートAの片面に厚さが25mmとなるように塗布し、この状態で一夜放置した。
【0019】
このようにして、多孔質無機軽量ボートYの片面にポリウレタンフォーム層が固定化された断熱ボードを得た。この場合のポリウレタンフォーム層の性状は以下の通りである。
【0020】
(i)厚さ:25mm
(ii)密度:0.135g/cm3
(iii)圧縮強度:1.0MPa
(iv)曲げ強度:2.2MPa
(v)透湿抵抗:10-22sPa/ng
(vi)熱伝導率:0.033Kcal/mhr℃
【0021】
実施例2
廃糖蜜1部をポリエチレングリコール200(分子量200)2部に溶解して糖蜜ポリオール(MP)を調製した。
実施例1で示したLSP90部とこのMP10部とを混合して混合ポリオールを作った。
この混合ポリオール100部に、3級アミン触媒、水1.5部およびシリコン整泡剤を加えてよく攪拌し、さらに、NCO/OH比が1.2になるように秤量したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて攪拌して混合物を得た。
この混合物を用いた以外は実施例1と同様にして断熱ボードを得た。
【0022】
実施例3
実施例1において、リグノスルホン酸の代わりに、リグノスルホン酸部分中和塩を用いた以外は同様にして断熱ボードを得た。
なお、前記リグノスルホン酸部分中和塩は、リグノスルホン酸のスルホン酸基の一部がナトリウム塩に変換された構造のものであり、水溶性及びポリオール溶解性を示し、その5%水溶液のpHが3.5であるものである。
【0023】
実施例4
実施例1において、ジエチレングリコールの代わりにPEG200を用いた以外は同様にして実験を行って、断熱ボードを得た。
【0024】
実施例5
クラフトリグニン(KL)10部をトリエチレングリコール80部に溶解し、さらに、グルコースベースPPGポリオール10部を加えて、ポリオール混合物を作った。
次に、このポリオール混合物100部に、トリメチルクロロプロピルフォスフェート(TMCPP)10部、水2部及びシリコン整泡剤を適量加えて、よく攪拌しさらに、NCO/OHモル比が1.25になるように坪量したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて室温で攪拌して混合物を得た。
この混合物を前記無機ボード上に塗布し、反応させて断熱ボードを得た。
前記無機ボード上に形成されたポリウレタンフォーム層の性状は、以下の通りである。
厚さ:20mm
密度:0.1g/cm3
圧縮強度:1MPa
透湿抵抗:0.05m2sPa/ng
熱伝導率:0.035Kcal/mhr℃
【0025】
実施例6
実施例5において、TMCP20部を用いた以外は同様にして断熱ボードを得た。
前記無機ボード上に形成されたポリウレタンフォーム層の性状は、以下の通りである。
厚さ:20mm
密度:0.2g/cm3
圧縮強度:2MPa
透湿抵抗:0.05m2sPa/ng
熱伝導率:0.045Kcal/mhr℃
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量でかつ断熱性、機械的強度及び透湿性にすぐれるとともに、燃焼したときの発熱量の小さい断熱ボードが提供される。
この断熱ボードは、建築分野における外断熱部材や内断熱部材等として有利に用いられる。

Claims (1)

  1. 無機ボードの片面又は両面に、ポリオールに対して可溶性のリグニン系物質を溶解状態で含むポリオール溶液に水の存在下ポリイソシアネートを重縮合反応させて形成したポリウレタンフォーム層を積層させたものであって、該リグニン系物質の含有量が、全ポリウレタンフォーム中2〜40重量%であり、該ポリウレタンフォーム層の圧縮強度が1〜2MPa、曲げ強度が1〜5MPaであり、且つその密度が0.1〜0.2g/cmであり、更に該無機ボードが0.1〜0.4g/cmの密度及び0.1Kcal/mhr℃(25℃)以下の熱伝導率を有し、更に0.5〜20Mpaの圧縮強度と3MPa以上の曲げ強度を有する多孔質構造のものであることを特徴とする断熱ボード。
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