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JP2006070181A - 水分硬化型接着剤及びそれを用いた積層体 - Google Patents

水分硬化型接着剤及びそれを用いた積層体 Download PDF

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JP2006070181A JP2004255991A JP2004255991A JP2006070181A JP 2006070181 A JP2006070181 A JP 2006070181A JP 2004255991 A JP2004255991 A JP 2004255991A JP 2004255991 A JP2004255991 A JP 2004255991A JP 2006070181 A JP2006070181 A JP 2006070181A
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Tadashi Yano
忠史 矢野
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Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

【課題】 接着強度を低下させることなく、ポットライフを長くして作業性を向上させることができる水分硬化型接着剤及びそれを用いた積層体を提供する。
【解決手段】 水分硬化型接着剤は、水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤が配合されているものである。接着基材は、水との反応性に優れたポリイソシアネートであることが好ましい。吸水剤は石膏の水和物であることが好ましい。そして、接着基材が加熱によって吸水剤から放出される水と反応して硬化するようになっている。積層体は、ポリウレタン発泡体等の基体上に前記水分硬化型接着剤によって形成された接着層を介して積層材が積層接着されて構成されている。この積層体は、自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として好適に用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱により蒸発した水分で硬化する水分硬化型接着剤及びその水分硬化型接着剤を用いて得られ、例えば自動車のボンネットの内側のフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として使用される積層体に関するものである。
従来、自動車用のフードサイレンサーや天井材として用いられる積層体は、ポリウレタン発泡体よりなる基体上に水分硬化型の接着剤によって積層材としての表皮材を接着することで製造されている。その製造工程について述べると、まず基体表面に接着剤としてのポリイソシアネートをスプレーにて塗布する。次いで、その上に水又は硬化剤を含む水をスプレーにて塗布し、その上に表皮材を載せる。続いて、加熱プレス成形機で一定時間加熱、加圧した後、脱型することにより目的とする積層体が得られる(例えば、特許文献1を参照)。
特開2002−144976号公報(第1頁及び第3頁)
ところで、ポリイソシアネートは水との反応性が高いことから、基体表面に塗布されたポリイソシアネートの上に水が塗布されると、ポリイソシアネートはその水と常温でも反応する。そのため、従来の水分硬化型接着剤においては、その硬化反応が進行する前に次の作業である表皮材を重ね合せる作業、それを加熱プレス成形機にセットする作業等を行う必要がある。すなわち、水分硬化型接着剤のポットライフが短いため、作業性が悪いという問題があった。更には、接着剤としてのポリイソシアネートを基体表面に塗布した後加熱プレス成形機で加熱、加圧するまでの時間によって、基体に対する表皮材の接着強度が低下する場合があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、接着強度を低下させることなく、ポットライフを長くして作業性を向上させることができる水分硬化型接着剤及びそれを用いた積層体を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の水分硬化型接着剤は、水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤を配合し、接着基材が加熱によって吸水剤から放出される水と反応して硬化するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の水分硬化型接着剤は、請求項1に記載の発明において、前記水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は石膏の水和物であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の水分硬化型接着剤は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記接着基材は、ポリイソシアネートであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の積層体は、基体上に接着層を介して積層材が積層接着されている積層体であって、前記接着層は請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水分硬化型接着剤によって形成されたものであることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明の積層体は、請求項4に記載の発明において、自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として用いられることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の水分硬化型接着剤においては、水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤が配合されている。このため、接着基材は、加熱されることにより吸水剤から放出される水と反応して硬化し、基体に対して積層材を接着する。従って、基体表面に接着剤を塗布した後に、その上に水又は硬化剤を含む水を塗布する作業を必要とせず、しかも水又は硬化剤を含む水を塗布した後に直ぐに次の作業を行う必要がない。よって、接着強度を低下させることなく、ポットライフを長くして作業性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明の水分硬化型接着剤においては、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は石膏の水和物であることから、100℃以上の温度で次第に分解して水を生成し、接着基材がその水と反応して硬化する。従って、請求項1に係る発明の効果を向上させることができる。
請求項3に記載の発明の水分硬化型接着剤においては、接着基材がポリイソシアネートであることから、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、水分に対する反応が速やかで接着速度及び接着強度を向上させることができる。
請求項4に記載の発明の積層体においては、基体上に前記水分硬化型接着剤により形成された接着層を介して積層材が積層接着されている。このため、積層体について請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明の効果を発揮させることができる。
請求項5に記載の発明の積層体においては、自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材について、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明の効果を効果的に発揮させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における水分硬化型接着剤は、接着基材と吸水剤とから構成されている。接着基材は、水(水分、湿気)と反応して硬化する化合物である。吸水剤は、水を含み加熱によってその水が放出される化合物である。
接着基材は、水(水分)と反応して硬化する化合物で、例えばポリイソシアネート、ポリイソシアネートとポリオールを付加重合させて得られるイソシアネート末端プレポリマー、変性シリコーン(1液型又は2液型)等が挙げられる。これらのうち、水との反応性が高く、接着性に優れている点からポリイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。
次に、吸水剤は、水を含み加熱によってその水が放出される化合物である。この場合の水は結晶水、遊離水等のいずれであってもよい。水を含む吸水剤としては、例えば二水石膏(硫酸カルシウム・2水和物、CaSO4・2H2O、分解温度128〜163℃)等の石膏の水和物、ゼオライト(結晶アルミノシリケートの含水アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩)、シリカゲル(SiO2・nH2O)、硫酸鉄の1水和物から5水和物(FeSO4・H2OからFeSO4・5H2O、分解温度100〜130℃)等が用いられる。ゼオライトは自重の20質量%まで吸水が可能で、100℃以上に加熱されると、そのうちの10質量%の水が放出され、150℃で全ての水が放出される。シリカゲルは、自重の80質量%まで吸水が可能で、100℃以上に加熱されると水が放出される。上記のような無機化合物の水和物に含まれる水和水は、固体結晶として常温で安定に存在するものであり、結晶水である。
水を含む吸水剤の配合量は、接着基材100質量部に対して30〜100質量部であることが好ましい。吸水剤の配合量が30質量部未満の場合には、水分硬化型接着剤の加熱時に放出される水が不足して接着基材が十分に硬化することができなくなる。一方、100質量部を越える場合には、水分硬化型接着剤の粘度が高くなり過ぎて、塗布性が低下し、基体に対する積層材の接着強度が低下する傾向を示す。
次に、積層体は、基体上に前述の水分硬化型接着剤によって形成された接着層を介して積層材が積層接着されて構成されている。基体としては、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体等が用いられる。これらのうち、例えば自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として用いるために、樹脂発泡体具体的にはポリウレタン発泡体が好ましい。
このポリウレタン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)は以下のようにして製造される。すなわち、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン原料を反応させて発泡及び硬化させることにより製造される。この発泡体は、常温大気圧下に発泡、硬化させて得られるスラブ発泡体及び成形型内にポリウレタン原料(反応混合液)を注入、型締めして型内で発泡、硬化させて得られるモールド発泡体のいずれの方法により製造されるものであってもよい。
ここで、前記ポリウレタン原料について説明する。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。これらのうち、ポリイソシアネートとの反応性に優れているという点と、ポリエステルポリオールのように加水分解をしないという点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、多価アルコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、それらの変性体等が用いられる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオール中のポリエチレンオキシド単位は10〜30モル%程度である。ポリエチレンオキシド単位の含有量が多い場合には、その含有量が少ない場合に比べて親水性が高くなり、極性の高い分子、ポリイソシアネート化合物等との混合性が良くなる。その結果、反応性が高くなる。このポリオールは、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の官能基数や水酸基価を変えることができる。
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが用いられる。
前記ポリオールと反応させるポリイソシアネートはイソシアネート基を複数個有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスは100以下又は100を越えてもよいが、通常90〜130程度の範囲である。ここで、イソシアネートインデックスは、ポリオールの水酸基及び発泡剤としての水に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の比を百分率で表したものである。
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させてポリウレタン発泡体とするためのもので、例えば水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。発泡剤が水の場合には、ポリウレタン発泡体の密度を25〜35kg/m3にするため、その配合量をポリオール100質量部に対して4質量部前後とすることが好ましい。
触媒はポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応を促進するためのものであり、具体的にはトリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。ポリウレタン原料にはその他必要に応じて、整泡剤、架橋剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、可塑剤等が配合される。整泡剤としては、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。
本実施形態の基体としては、積層体を特に自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として用いる場合に、吸音性、剛性等の機能を向上させるために半硬質の連続気泡型発泡体であることが好ましい。このような半硬質の連続気泡型発泡体を得るためには、例えばポリオールとして分子量の小さいもの(水酸基価の大きいもの)と分子量の大きいもの(水酸基価の小さいもの)とを組合せ、整泡剤としてシリコーン化合物を用いる。これにより、発泡硬化時に破泡させて連続気泡型発泡体とすることができる。更に、ポリオールとして4官能ポリオール等の架橋剤となる多官能ポリオールを用い、常温、大気圧下でスラブ発泡体を製造し、それをシート状に切り出すことにより半硬質の連続気泡型発泡体が製造される。
前記のように、ポリウレタン原料を反応させて発泡及び硬化させることによりポリウレタン発泡体を製造するが、その際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオールとポリイソシアネートとの付加重合反応(ウレタン化反応)、ポリイソシアネートと発泡剤としての水との泡化(発泡)反応及びこれらの反応生成物とポリイソシアネートとの架橋(硬化)反応である。ポリウレタン発泡体を製造する場合には、ポリオールとポリイソシアネートとを直接反応させるワンショット法或はポリオールとポリイソシアネートとを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオールを反応させるプレポリマー法のいずれも採用される。
このようにして得られるポリウレタン発泡体は、前述のように密度が25〜35kg/m3の範囲であることが好ましい。この密度が25kg/m3未満の場合にはポリウレタン発泡体の剛性が低下し、35kg/m3を越える場合にはポリウレタン発泡体の吸音性等の物性が低下する。次に、積層材(表皮材)は、目的(用途)に応じて適宜選択されるが、例えば不織布、編み物、樹脂フィルム、塩化ビニル樹脂製のレザー等が用いられる。
積層体を製造する場合には、まず前記基体上に水分硬化型接着剤を塗布し、その上に積層材を重ね合せる。それを例えば加熱プレス成形機にセットし、加熱、加圧を行うことにより水分硬化型接着剤中の吸水剤から水が放出される。そして、接着基材がその水と反応して接着層を形成し、積層材が基体に接着積層され、積層体が得られる。加熱温度は、吸水剤から水を効果的に放出させるために、100℃以上であることが望ましい。
さて、基体としてのポリウレタン発泡体を製造する場合には、例えば分子量(水酸基価)の異なる複数のポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤としての水、アミン触媒及び整泡剤としてシリコーン化合物を混合してポリウレタン原料を調製する。そして、ポリウレタン原料中のポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に、ポリイソシアネートと水とを反応させて発泡させ、更に硬化させることにより半硬質連続気泡型のポリウレタン発泡体が製造される。
次に、ポリウレタン発泡体の厚みが例えば10mmとなるように切断し、その表面に対し、ポリイソシアネート100質量部に二水石膏50質量部を含む水分硬化型接着剤を例えば75g/m2塗布する。更に、その上に積層材として不織布をその目付け量が例えば100g/m2となるものを重ね合せる。そして、加熱プレス成形機で厚みが例えば5mmとなるように、180℃で90秒間プレス成形を行うことにより、基体上に接着層を介して積層材が積層され、接着された積層体が得られる。
この場合、接着層を形成するために、基体上に水分硬化型接着剤を塗布すればよく、従来のように接着剤を塗布した後に水を塗布する二重の操作を必要としない。また、水分硬化型接着剤に含まれる二水石膏は常温では水を放出しないことから、接着基材としてのポリイソシアネートは長時間安定な状態を保持することができる。更には、加熱プレス成形機で180℃に加熱したとき、二水石膏が分解して水を放出し、ポリイソシアネートがその水と速やかに反応して硬化し、接着層が形成され、十分な接着力が発現される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の水分硬化型接着剤においては、水分によって硬化する接着基材に、水を含んだ吸水剤が配合されている。このため、水分硬化型接着剤は、加熱されることにより吸水剤から蒸発して生成した水分で硬化する。従って、基体表面に接着剤を塗布した後に、その上に水又は硬化剤を含む水を塗布する作業を必要とせず、しかも水又は硬化剤を含む水を塗布した後直ちに次の作業を行う必要がない。よって、接着強度を低下させることなく、ポットライフを長くして作業性を向上させることができる。
・ また、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は石膏の水和物であることから、例えばニ水石膏の場合100℃を越えると次第に水が放出され、上記の効果を向上させることができる。
・ 更に、接着基材がポリイソシアネートであることから、水に対する反応が速やかで接着速度及び接着強度を向上させることができる。
・ 本実施形態の積層体においては、基体上に前記水分硬化型接着剤により形成された接着層を介して積層材が積層接着されている。このため、積層体について前記水分硬化型接着剤の効果を発揮させることができる。
・ また、積層体は、特に自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として好適に用いられ、前記水分硬化型接着剤の効果を発揮させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
まず、各実施例及び比較例で用いた原材料について以下に示す。
(基体としての発泡体1)
次の組成を有するポリウレタン原料を調製した。すなわち、ポリウレタン原料は、ポリエーテルポリオール〔G700、旭電化(株)製、3官能、水酸基価240(mgKOH/g)〕40質量部、ポリエーテルポリオール〔FA703、三洋化成工業(株)製、3官能、水酸基価34(mgKOH/g)〕50質量部、ポリエーテルポリオール〔EDP300、旭電化(株)製、4官能、水酸基価760(mgKOH/g)〕10質量部、水4質量部、アミン触媒〔カオライザーNo25、花王(株)製〕0.2質量部、シリコーン界面活性剤〔Y6827、日本ユニカー(株)製〕1質量部、ポリイソシアネート〔MR200、MDIプレポリマー、イソシアネート基31質量%、日本ポリウレタン工業(株)製〕116.4質量部(イソシアネートインデックス110)である。
そして、ポリウレタン原料を縦、横及び深さが各400mmの発泡容器内に注入し、常温、大気圧下で発泡させた後、加熱炉を通過させて加熱反応(硬化)させることによりスラブ発泡体を得た。得られたスラブ発泡体を切り出すことによってシート状のポリウレタン発泡体(発泡体1)を製造した。この発泡体1について、JIS K6400に準拠して得られる密度は、30.3kg/m3であった。
(基体としての発泡体2)
発泡体2としてポリエチレンフォーム〔RP300S、(株)イノアックコーポレーション製、比重0.03〕を切り出して使用した。
(接着剤の組成)
接着剤1:ポリイソシアネート(MR200)のみ。
接着剤2:ポリイソシアネート(MR200)100質量部に二水石膏50質量部を配合したもの。
接着剤3:ポリイソシアネート(MR200)100質量部に二水石膏100質量部を配合したもの。
尚、二水石膏は、平均粒子径40μmのものを用いた。
接着剤4:ポリイソシアネート(MR200)100質量部にシリカゲル20質量部及び水10質量部を配合したもの。この場合、水は予めシリカゲルに含ませた後にそのシリカゲルをポリイソシアネートに配合した。シリカゲルは、富士シリシア化学(株)製のサイシリア470、吸水率80質量%のものを用いた。
(積層体の製造)
基体として発泡体の一辺が300mmで厚みが10mmのものを用い、積層材として不織布の目付け量が100g/m2のものを用いた。そして、発泡体上に接着剤を表1に示す量だけ塗布した後、加熱プレス成形機で厚み5mmのスペーサを用いて180℃で90秒間プレス成形を行い、積層体を得た。但し、比較例1及び2では、接着剤を塗布後に、水:アミン触媒〔LV33、 中京油脂(株)製〕=9:1の混合液を表1に示す量だけエアスプレーにより塗布した。
得られた積層体について剥離強度試験及び接着剤についてポットライフを下記に示す方法で測定した。それらの結果を表1及び表2に示した。
(剥離強度試験)
積層体を幅25mm、長さ150mmに切断し、発泡体と不織布とをそれぞれ剥離強度試験機のチャックに取付け、180度反対方向に200mm/minの剥離速度で引っ張って180度剥離強度試験を実施した。そして、発泡体の材料破壊を○、界面剥離を×として評価した。
(ポットライフ)
接着剤の配合液を発泡体上に塗布した後、不織布を重ね合せた状態で、成形可能な時間(Hr)を測定した。
Figure 2006070181
Figure 2006070181
表1に示したように、実施例1〜4においては、剥離強度試験の結果がいずれも材料破壊を示し、またポットライフも全て5時間を示した。これに対して、表2に示したように、基体としてポリウレタン発泡体を用いた場合(比較例1)及び基体としてポリエチレン発泡体を用いた場合(比較例2)には、接着剤を塗布した後に水及びアミン触媒の混合液を塗布したため、ポットライフが1時間以内であった。また、接着剤を用いない場合(比較例3)には、剥離強度試験の結果が界面剥離であった。
尚、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ 吸水剤として、酸化アルミニウムの1水和物から3水和物(Al23・H2OからAl23・3H2O、分解温度150〜360℃)、硫酸銅の5水和物(CuSO4・5H2O)、炭酸ナトリウム1水和物(Na2CO3・H2O、分解温度100℃)、リン酸二水素カルシウム1水和物(Ca(H2PO42・H2O、分解温度109℃)等を用いることもできる。
・ 吸水剤として、水を吸収して膨潤し、加熱時には吸収された水が蒸発して吸熱する吸水剤、例えば(メタ)アクリル酸単位又は(メタ)アクリル酸塩単位を主構成単位とする水不溶性の(メタ)アクリル系吸水性樹脂を、水を含んだ状態で接着基材に配合することもできる。
・ 吸水剤として、水を吸収する多孔質の無機質材料、例えば半水石膏、珪藻土、活性炭等を、水を含んだ状態で接着基材に配合することもできる。
・ 積層体は、自動車のドアの内張り材等の自動車内装材、その他キルティング材等として使用することができる。また、振動を抑制する制振材等として用いることも可能である。
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は、無機化合物の水和物である請求項1に記載の水分硬化型接着剤。この場合、吸水剤が100℃以上に加熱されると次第に分解して水を生成し、接着基材を硬化させることができる。
・ 前記基体はポリウレタンの半硬質連続気泡型発泡体である請求項5に記載の積層体。このように構成した場合、基体の吸音性、剛性等の特性を向上させることができる。
・ 水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤が配合された水分硬化型接着剤を基体上に塗布し、その上に積層材を重ね合せた後、吸水剤から水が放出される温度以上に加熱し、放出された水分によって接着基材が硬化して接着層を形成し、基体上にその接着層を介して積層材が積層接着されることを特徴とする積層体の製造方法。この製造方法によれば、基体に対する積層材の接着強度を低下させることなく、積層体の製造過程において水分硬化型接着剤のポットライフを長くして作業性を向上させることができる。

Claims (5)

  1. 水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤を配合し、接着基材が加熱によって吸水剤から放出される水と反応して硬化するように構成されていることを特徴とする水分硬化型接着剤。
  2. 前記水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は石膏の水和物であることを特徴とする請求項1に記載の水分硬化型接着剤。
  3. 前記接着基材は、ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水分硬化型接着剤。
  4. 基体上に接着層を介して積層材が積層接着されている積層体であって、前記接着層は請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水分硬化型接着剤によって形成されたものであることを特徴とする積層体。
  5. 自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として用いられることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
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