JP2006070181A - 水分硬化型接着剤及びそれを用いた積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水分硬化型接着剤は、水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤が配合されているものである。接着基材は、水との反応性に優れたポリイソシアネートであることが好ましい。吸水剤は石膏の水和物であることが好ましい。そして、接着基材が加熱によって吸水剤から放出される水と反応して硬化するようになっている。積層体は、ポリウレタン発泡体等の基体上に前記水分硬化型接着剤によって形成された接着層を介して積層材が積層接着されて構成されている。この積層体は、自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として好適に用いられる。
【選択図】 なし
Description
請求項4に記載の発明の積層体は、基体上に接着層を介して積層材が積層接着されている積層体であって、前記接着層は請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水分硬化型接着剤によって形成されたものであることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明の水分硬化型接着剤においては、水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤が配合されている。このため、接着基材は、加熱されることにより吸水剤から放出される水と反応して硬化し、基体に対して積層材を接着する。従って、基体表面に接着剤を塗布した後に、その上に水又は硬化剤を含む水を塗布する作業を必要とせず、しかも水又は硬化剤を含む水を塗布した後に直ぐに次の作業を行う必要がない。よって、接着強度を低下させることなく、ポットライフを長くして作業性を向上させることができる。
本実施形態における水分硬化型接着剤は、接着基材と吸水剤とから構成されている。接着基材は、水(水分、湿気)と反応して硬化する化合物である。吸水剤は、水を含み加熱によってその水が放出される化合物である。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。これらのうち、ポリイソシアネートとの反応性に優れているという点と、ポリエステルポリオールのように加水分解をしないという点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、多価アルコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、それらの変性体等が用いられる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
・ 本実施形態の水分硬化型接着剤においては、水分によって硬化する接着基材に、水を含んだ吸水剤が配合されている。このため、水分硬化型接着剤は、加熱されることにより吸水剤から蒸発して生成した水分で硬化する。従って、基体表面に接着剤を塗布した後に、その上に水又は硬化剤を含む水を塗布する作業を必要とせず、しかも水又は硬化剤を含む水を塗布した後直ちに次の作業を行う必要がない。よって、接着強度を低下させることなく、ポットライフを長くして作業性を向上させることができる。
・ 本実施形態の積層体においては、基体上に前記水分硬化型接着剤により形成された接着層を介して積層材が積層接着されている。このため、積層体について前記水分硬化型接着剤の効果を発揮させることができる。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
まず、各実施例及び比較例で用いた原材料について以下に示す。
(基体としての発泡体1)
次の組成を有するポリウレタン原料を調製した。すなわち、ポリウレタン原料は、ポリエーテルポリオール〔G700、旭電化(株)製、3官能、水酸基価240(mgKOH/g)〕40質量部、ポリエーテルポリオール〔FA703、三洋化成工業(株)製、3官能、水酸基価34(mgKOH/g)〕50質量部、ポリエーテルポリオール〔EDP300、旭電化(株)製、4官能、水酸基価760(mgKOH/g)〕10質量部、水4質量部、アミン触媒〔カオライザーNo25、花王(株)製〕0.2質量部、シリコーン界面活性剤〔Y6827、日本ユニカー(株)製〕1質量部、ポリイソシアネート〔MR200、MDIプレポリマー、イソシアネート基31質量%、日本ポリウレタン工業(株)製〕116.4質量部(イソシアネートインデックス110)である。
(基体としての発泡体2)
発泡体2としてポリエチレンフォーム〔RP300S、(株)イノアックコーポレーション製、比重0.03〕を切り出して使用した。
(接着剤の組成)
接着剤1:ポリイソシアネート(MR200)のみ。
接着剤3:ポリイソシアネート(MR200)100質量部に二水石膏100質量部を配合したもの。
接着剤4:ポリイソシアネート(MR200)100質量部にシリカゲル20質量部及び水10質量部を配合したもの。この場合、水は予めシリカゲルに含ませた後にそのシリカゲルをポリイソシアネートに配合した。シリカゲルは、富士シリシア化学(株)製のサイシリア470、吸水率80質量%のものを用いた。
(積層体の製造)
基体として発泡体の一辺が300mmで厚みが10mmのものを用い、積層材として不織布の目付け量が100g/m2のものを用いた。そして、発泡体上に接着剤を表1に示す量だけ塗布した後、加熱プレス成形機で厚み5mmのスペーサを用いて180℃で90秒間プレス成形を行い、積層体を得た。但し、比較例1及び2では、接着剤を塗布後に、水:アミン触媒〔LV33、 中京油脂(株)製〕=9:1の混合液を表1に示す量だけエアスプレーにより塗布した。
(剥離強度試験)
積層体を幅25mm、長さ150mmに切断し、発泡体と不織布とをそれぞれ剥離強度試験機のチャックに取付け、180度反対方向に200mm/minの剥離速度で引っ張って180度剥離強度試験を実施した。そして、発泡体の材料破壊を○、界面剥離を×として評価した。
(ポットライフ)
接着剤の配合液を発泡体上に塗布した後、不織布を重ね合せた状態で、成形可能な時間(Hr)を測定した。
・ 吸水剤として、酸化アルミニウムの1水和物から3水和物(Al2O3・H2OからAl2O3・3H2O、分解温度150〜360℃)、硫酸銅の5水和物(CuSO4・5H2O)、炭酸ナトリウム1水和物(Na2CO3・H2O、分解温度100℃)、リン酸二水素カルシウム1水和物(Ca(H2PO4)2・H2O、分解温度109℃)等を用いることもできる。
・ 積層体は、自動車のドアの内張り材等の自動車内装材、その他キルティング材等として使用することができる。また、振動を抑制する制振材等として用いることも可能である。
・ 前記水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は、無機化合物の水和物である請求項1に記載の水分硬化型接着剤。この場合、吸水剤が100℃以上に加熱されると次第に分解して水を生成し、接着基材を硬化させることができる。
・ 水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤が配合された水分硬化型接着剤を基体上に塗布し、その上に積層材を重ね合せた後、吸水剤から水が放出される温度以上に加熱し、放出された水分によって接着基材が硬化して接着層を形成し、基体上にその接着層を介して積層材が積層接着されることを特徴とする積層体の製造方法。この製造方法によれば、基体に対する積層材の接着強度を低下させることなく、積層体の製造過程において水分硬化型接着剤のポットライフを長くして作業性を向上させることができる。
Claims (5)
- 水と反応して硬化する接着基材に、水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤を配合し、接着基材が加熱によって吸水剤から放出される水と反応して硬化するように構成されていることを特徴とする水分硬化型接着剤。
- 前記水を含み加熱によってその水が放出される吸水剤は石膏の水和物であることを特徴とする請求項1に記載の水分硬化型接着剤。
- 前記接着基材は、ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水分硬化型接着剤。
- 基体上に接着層を介して積層材が積層接着されている積層体であって、前記接着層は請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水分硬化型接着剤によって形成されたものであることを特徴とする積層体。
- 自動車のボンネットの内側に設けられるフードサイレンサー又は自動車の室内の天井材として用いられることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
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