JP3800858B2 - ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法 - Google Patents
ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3800858B2 JP3800858B2 JP11856899A JP11856899A JP3800858B2 JP 3800858 B2 JP3800858 B2 JP 3800858B2 JP 11856899 A JP11856899 A JP 11856899A JP 11856899 A JP11856899 A JP 11856899A JP 3800858 B2 JP3800858 B2 JP 3800858B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- formula
- bisoxetane
- oxetane
- carbon atoms
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Epoxy Compounds (AREA)
- Polyethers (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン重合が可能なオキセタン環を有するビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法に関するものである。なお、これらビスオキセタンエーテル化合物類から誘導される光硬化性又は熱硬化性樹脂は、耐熱性、機械特性、平坦性及び密着性に優れ、塗料及びコーティング材料等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
ビスオキセタンエーテル化合物は、光開始カチオン重合又は硬化が可能なモノマーとして、近年注目を浴びている化合物であり、多くの単官能性及び多官能性ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法及び新規なビスオキセタンエーテル化合物が報告されている。
ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法としては、例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,pp.1653(1988)、Pure Appl. Chem.,A29(10),pp915(1992)、Pure Appl. Chem.,A30(2&3),pp189(1993)及び特開平6-16804号公報に、3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンとα,ω-ジブロモアルカンを、水酸化アルカリ金属水溶液及び相関移動触媒の存在下に接触させて、ビスオキセタンエーテル化合物を合成する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、比較的高価なα,ω-ジブロモアルカンが水酸化アルカリ金属によって脱臭化水素分解し易いために、極めて過剰なα,ω-ジブロモアルカンが必要であること、又種々の副生成物が生じるために目的物であるビスオキセタンエーテル化合物の収率が低い等の問題があった。また、DE 1,021,858には、3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンと二価フェノール類のアルカリ金属フェノラートを接触させて、ビスオキセタンエーテル化合物を合成する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンが工業的に合成し難い上に、目的物の収率が低い等の問題があった。
【0003】
また、特開平7-53711号公報、特開平7-173279号公報、特開平8-245783号公報、特開平9-309950号公報及び特開平10-212343号公報において、様々なビスオキセタンエーテル化合物類が開示されているが、いずれの文献においても具体的な合成方法についての記載はなく、更に、本発明のビスオキセタンエーテル化合物については何ら記載はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンから、煩雑な操作をする必要がなく、簡便な方法でビスオキセタンエーテル化合物類を高収率で合成することが出来る、工業的に有利なビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、一般式(1)
【0006】
【化6】
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチル基、フェニル基又はp-トリル基を示す。)
【0007】
で示される3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルと一般式(2)
【0008】
【化7】
(式中、Yは炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基であり、鎖中に二重結合、エーテル結合又は環状構造を有していても良い。)
【0009】
で示されるジオールとを塩基の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0010】
【化8】
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基であり、鎖中に二重結合、エーテル結合又は環状構造を有していても良い。)
【0011】
で示されるビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法によって解決される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の反応において使用する原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(及びその異性体)、ブチル基(及びその異性体)、ペンチル基(及びその異性体)、ヘキシル基(及びその異性体)が挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基である。
【0013】
本発明の反応において使用する原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンオキセタンのスルホン酸エステルとしては、例えば、2-(3-オキセタン)プロピルメシレート、2-(3-オキセタン)プロピルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)プロピルトシレート、2-(3-オキセタン)ブチルメシレート、2-(3-オキセタン)ブチルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ブチルトシレート、2-(3-オキセタン)ペンチルメシレート、2-(3-オキセタン)ペンチルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ペンチルトシレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルメシレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルトシレート等が挙げられる。
【0014】
前記3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルは、例えば、Organic Synthesis, Collective vol.1, 145pp.(1941)に記載の方法に準じて合成することが出来る。
【0015】
本発明において使用するジオールは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、Yは炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基であり、鎖中に二重結合、エーテル結合又は環状構造を有していても良い。
【0016】
前記の炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基等の二価の脂肪族鎖状炭化水素基;2-ブテニレン基、3-ヘキセニレン基等の鎖中に二重結合を有する二価の脂肪族鎖状炭化水素基;3-オキシペンチレン基、3,6-ジオキシオクチレン基等の鎖中にエーテル結合を有する二価の脂肪族鎖状炭化水素基;シクロヘキサン-1,4-ビスメチレン基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-4,8-ビスメチレン基等の鎖中に環状構造を有する二価の脂肪族鎖状炭化水素基が挙げられる。
【0017】
本発明の反応において使用するジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ドデカンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ヘキセン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,8-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等が挙げられる。
【0018】
本発明の反応において使用する塩基としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;水素化リチウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
【0019】
本発明の反応は溶媒中で行われるのが好ましい。使用される溶媒としては、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、好ましくはジメチルスルホキシド、トルエン、又はジメチルスルホキシドとトルエンとの混合溶媒が使用される。
【0020】
前記溶媒の使用量は、原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル1モルに対して、好ましくは300〜5000ml、更に好ましくは500〜2000mlである。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0021】
本発明の反応は、例えば、不活性ガス雰囲気にて、ジオール、塩基及び溶媒を混合して加熱攪拌し、ジオールのアルカリ金属アルコラートを合成した後、それに3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルを添加して、更に加熱攪拌する等の方法によって、常圧又は加圧下で行われる。その際の反応温度は好ましくは20〜180℃、更に好ましくは50〜150℃である。
【0022】
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、水で洗浄して不純物を除去した後に、抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の一般的な方法によって、目的とするビスオキセタンエーテル化合物類を得ることが出来る。なお、これらの化合物は、FD-MS、GC-MS、1H-NMR、13C-NMR、IR等によって構造を確認することが出来る。
【0023】
また、本発明において、一般式(3)
【0024】
【化9】
(式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、Yは
【0025】
【化10】
の中から選ばれる二価の基である。)
【0026】
で示される化合物は、前記の分析方法により構造を同定することが出来る、ビスオキセタンエーテル化合物である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、参考例及び実施例における純度とは、ガスクロマトグラフィー分析による面積百分率によって算出される値である。
【0028】
参考例1
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積1000mlの三つ口フラスコに、p-トルエンスルホニルクロライド95.33g(0.50mol)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド5.69g(0.025mol)及びトルエン500mlを加え、攪拌しながら5℃まで冷却した。これに、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン58.08g(0.50mol)を加えた後、35%水酸化ナトリウム水溶液75mlを滴下漏斗から30分間かけて滴下した。反応液の温度は10℃まで上昇した。滴下後、そのまま同温度で1時間攪拌した後、更に室温で3時間攪拌した。
反応終了後、水200mlを加えて激しく攪拌した後、水相と油相を分離した。この油相を飽和食塩水200mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、硫酸マグネシウムを濾別して、濾液から減圧下でトルエンを留去すると、釜残として無色透明な液体である2-(3-オキセタン)ブチルトシレート123.51gが純度98.5%で得られた(収率90%)。
【0029】
実施例1
参考例1と同様の反応容器に、水素化ナトリウム16.00g(鉱油分散品(含量60〜72%)、含量60%として0.4mol)及びエチレングリコールジエチルエーテル300mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、攪拌しながら5℃まで冷却した。これにエチレングリコール12.42g(0.2mol)をエチレングリコールジエチルエーテル100mlに溶解した液を、滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
滴下終了後、ゆるやかに50℃まで昇温し、同温度で30分間攪拌した。次いで、参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート110.55g(0.4mol)を滴下し、還流させながら6時間攪拌させた。6時間後の2-(3-オキセタン)ブチルトシレートの転化率は99.9%であった。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、少量の水を加えて水素化ナトリウムを完全に消費させた。その後、析出物を濾別し、この濾液と析出物をトルエン300mlで洗浄して得られた洗浄液を一緒にして、5%炭酸ナトリウム水溶液400ml及び食塩水250mlで洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、更に釜残を減圧蒸留(125〜130℃、1.5mmHg)すると、無色透明な液体73.0gが得られた。この化合物の純度は97%であった。
【0030】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:258(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.87(t,J=7.5Hz,6H)、1.74(q,J=7.5Hz,4H)、3.60(s,4H)、3.65(S,4H)、4.37(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
13C-NMR(CDCl3):δ(ppm);7.53、26.18、42.83、70.23、73.32、77.56IR(neat):982、1115cm-1
【0031】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(5)
【0032】
【化11】
【0033】
で表される、1,2-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]エタンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は73%であった。
【0034】
実施例2
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積3000mlの三つ口フラスコに、水素化ナトリウム57.60g(鉱油分散品(含量60〜72%)、含量60%として1.44mol)及びジメチルスルホキシド600mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、攪拌しながら60℃まで加熱した。これに2-ブテン-1,4-ジオール57.60g(0.72mol)をジメチルスルホキシド150mlに溶解した液を、滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
滴下終了後、同温度で30分間攪拌した。次いで、参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート324.00g(1.2mol)を滴下し、60℃で6時間攪拌させた。6時間後、2-(3-オキセタン)ブチルトシレートは完全に消費していた。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン300mlを加えた後、水300ml、10%炭酸カリウム水溶液300ml、更に水300mlで二回洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、更に釜残を減圧蒸留(160〜172℃、1.5mmHg)すると、無色透明な液体263.21gが得られた。この化合物の純度は98%であった。
【0035】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:284(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.88(t,J=7.3Hz,6H)、1.75(q,J=7.3Hz,4H)、3.55(s,4H)、4.02〜4.11(m,4H)、4.36〜4.46(m,8H)、5.71〜5.81(m,2H)
IR(neat):982、1107cm-1
【0036】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(6)
【0037】
【化12】
【0038】
で表される新規化合物、1,4-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]-2-ブテンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は76%であった。
【0039】
実施例3
実施例2と同様の反応容器に、水素化ナトリウム40.00g(鉱油分散品(含量60〜72%)、含量60%として1.0mol)及びトルエン700mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、攪拌しながら5℃まで冷却した。これにジエチレングリコール53.06g(0.5mol)をジメチルスルホキシド700mlに溶解した液を、滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
滴下終了後、ゆるやかに50℃まで昇温し、同温度で30分間攪拌した。次いで、室温まで冷却し、参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート270.35g(1.0mol)を滴下し、ゆるやかに60℃まで昇温して2時間、更に80℃まで昇温して4時間攪拌させた。6時間後、2-(3-オキセタン)ブチルトシレートは完全に消費していた。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、少量の水を加えて水素化ナトリウムを完全に消費させた。その後、析出物を濾別し、この濾液と析出物をトルエン500mlで洗浄して得られた洗浄液を一緒にして、5%炭酸ナトリウム水溶液500ml、食塩水300mlで二回洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、更に釜残を減圧蒸留(154〜171℃、1.5mmHg)すると、無色透明な液体116.55gが得られた。この化合物の純度は96%であった。
【0040】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:302(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.88(t,J=7.3Hz,6H)、1.74(q,J=7.3Hz,4H)、3.59(s,4H)、3.62(t,J=3.7Hz,4H)、3.67(t,J=3.7Hz,4H)、4.37(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
13C-NMR(CDCl3):δ(ppm);7.16、25.94、42.50、70.05、70.24、72.56、77.00
IR(neat):982、1113cm-1
【0041】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(7)
【0042】
【化13】
【0043】
で表される新規な化合物、ジ(2-[2-(3-オキセタン)ブトキシ]エチル)エーテルであると同定された。なお、蒸留による単離収率は74%であった。
【0044】
実施例4
実施例3において、ジエチレングリコールの代わりに、1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス体とトランス体の混合物)71.11g(0.5mol)を原料に用いた以外は、実施例3と同様に反応を行った。その結果、減圧蒸留(175〜190℃、1.5mmHg)によって、半透明でロウ状の固体177.34gが得られた。この化合物の純度は96%であった。
【0045】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:340(分子量)
1H-NMR(CDCl3):シス体δ(ppm);0.87(t,J=7.3Hz,6H)、0.9〜1.0(m,2H)、1.4〜1.6(m,4H)、1.73(q,J=7.3Hz,4H)、1.65〜1.90(m,4H)、3.25(d,J=6.3Hz,4H)、3.50(s,2H)、4.36(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
トランス体δ(ppm);0.87(t,J=7.3Hz,6H)、0.9〜1.0(m,2H)、1.4〜1.6(m,4H)、1.73(q,J=7.3Hz,4H)、1.65〜1.90(m,4H)、3.34(d,J=6.8Hz,4H)、3.51(s,4H)、4.36(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
13C-NMR(CDCl3):δ(ppm);7.85、25.35、26.49、29.02、35.00、37.82、43.12、73.26、74.45、76.91、78.04
IR(neat):981、1101cm-1
【0046】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(8)
【0047】
【化14】
【0048】
で表される新規な化合物、1,4-ビス[2-(3-オキセタン)ブトキシメチル]シクロヘキサンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は66%(シス体とトランス体の混合物。シス体:トランス体=1:1.87)であった。
【0049】
実施例5
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積200mlの三つ口フラスコに、4,8-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン9.81g(50mmol)、93%水酸化ナトリウム水溶液5.16g(120mmol)、メチルスルホキシド40ml及び水2mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、80℃まで加熱して2時間攪拌した。これに参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート32.40g(120mmol)をジメチルスルホキシド20mlに溶解した液を、滴下漏斗から20分間かけて滴下した。その後、140℃まで加熱して4時間攪拌した。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン200ml及び水150mlを加えた後、水100mlで三回洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて乾燥・脱色後、溶媒を減圧下で留去し、その後、硫酸マグネシウム及び活性炭を濾別して、濾液を減圧下(60℃、2mmHg)で濃縮すると、釜残として無色透明な液体18.89gが得られた。この化合物の純度は93%であった。
【0050】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
GC-MS:392(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.88(t,J=7.6Hz,6H)、1.20〜1.80(m,8H)、1.74(q,J=7.6Hz,4H)、1.90〜2.20(m,4H)、2.20〜2.50(m,2H)、3.10〜3.40(m,4H)、3.50(s,4H)、4.36(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
IR(neat):982、1107cm-1
【0051】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(9)
【0052】
【化15】
【0053】
で表される新規化合物、4,8-ビス[2-(3-オキセタン)ブトキシメチル]トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は90%であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンから、煩雑な操作をする必要がなく、簡便な方法でビスオキセタンエーテル化合物類を高収率で合成することが出来る、工業的に有利なビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン重合が可能なオキセタン環を有するビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法に関するものである。なお、これらビスオキセタンエーテル化合物類から誘導される光硬化性又は熱硬化性樹脂は、耐熱性、機械特性、平坦性及び密着性に優れ、塗料及びコーティング材料等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
ビスオキセタンエーテル化合物は、光開始カチオン重合又は硬化が可能なモノマーとして、近年注目を浴びている化合物であり、多くの単官能性及び多官能性ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法及び新規なビスオキセタンエーテル化合物が報告されている。
ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法としては、例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,pp.1653(1988)、Pure Appl. Chem.,A29(10),pp915(1992)、Pure Appl. Chem.,A30(2&3),pp189(1993)及び特開平6-16804号公報に、3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンとα,ω-ジブロモアルカンを、水酸化アルカリ金属水溶液及び相関移動触媒の存在下に接触させて、ビスオキセタンエーテル化合物を合成する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、比較的高価なα,ω-ジブロモアルカンが水酸化アルカリ金属によって脱臭化水素分解し易いために、極めて過剰なα,ω-ジブロモアルカンが必要であること、又種々の副生成物が生じるために目的物であるビスオキセタンエーテル化合物の収率が低い等の問題があった。また、DE 1,021,858には、3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンと二価フェノール類のアルカリ金属フェノラートを接触させて、ビスオキセタンエーテル化合物を合成する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、3-アルキル-3-ハロメチルオキセタンが工業的に合成し難い上に、目的物の収率が低い等の問題があった。
【0003】
また、特開平7-53711号公報、特開平7-173279号公報、特開平8-245783号公報、特開平9-309950号公報及び特開平10-212343号公報において、様々なビスオキセタンエーテル化合物類が開示されているが、いずれの文献においても具体的な合成方法についての記載はなく、更に、本発明のビスオキセタンエーテル化合物については何ら記載はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンから、煩雑な操作をする必要がなく、簡便な方法でビスオキセタンエーテル化合物類を高収率で合成することが出来る、工業的に有利なビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、一般式(1)
【0006】
【化6】
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチル基、フェニル基又はp-トリル基を示す。)
【0007】
で示される3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルと一般式(2)
【0008】
【化7】
(式中、Yは炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基であり、鎖中に二重結合、エーテル結合又は環状構造を有していても良い。)
【0009】
で示されるジオールとを塩基の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0010】
【化8】
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基であり、鎖中に二重結合、エーテル結合又は環状構造を有していても良い。)
【0011】
で示されるビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法によって解決される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の反応において使用する原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(及びその異性体)、ブチル基(及びその異性体)、ペンチル基(及びその異性体)、ヘキシル基(及びその異性体)が挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基である。
【0013】
本発明の反応において使用する原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンオキセタンのスルホン酸エステルとしては、例えば、2-(3-オキセタン)プロピルメシレート、2-(3-オキセタン)プロピルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)プロピルトシレート、2-(3-オキセタン)ブチルメシレート、2-(3-オキセタン)ブチルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ブチルトシレート、2-(3-オキセタン)ペンチルメシレート、2-(3-オキセタン)ペンチルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ペンチルトシレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルメシレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルフェニルスルホニレート、2-(3-オキセタン)ヘキシルトシレート等が挙げられる。
【0014】
前記3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルは、例えば、Organic Synthesis, Collective vol.1, 145pp.(1941)に記載の方法に準じて合成することが出来る。
【0015】
本発明において使用するジオールは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、Yは炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基であり、鎖中に二重結合、エーテル結合又は環状構造を有していても良い。
【0016】
前記の炭素数2〜16の二価の脂肪族鎖状有機基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基等の二価の脂肪族鎖状炭化水素基;2-ブテニレン基、3-ヘキセニレン基等の鎖中に二重結合を有する二価の脂肪族鎖状炭化水素基;3-オキシペンチレン基、3,6-ジオキシオクチレン基等の鎖中にエーテル結合を有する二価の脂肪族鎖状炭化水素基;シクロヘキサン-1,4-ビスメチレン基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-4,8-ビスメチレン基等の鎖中に環状構造を有する二価の脂肪族鎖状炭化水素基が挙げられる。
【0017】
本発明の反応において使用するジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ドデカンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、3-ヘキセン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,8-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等が挙げられる。
【0018】
本発明の反応において使用する塩基としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;水素化リチウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
【0019】
本発明の反応は溶媒中で行われるのが好ましい。使用される溶媒としては、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、好ましくはジメチルスルホキシド、トルエン、又はジメチルスルホキシドとトルエンとの混合溶媒が使用される。
【0020】
前記溶媒の使用量は、原料の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステル1モルに対して、好ましくは300〜5000ml、更に好ましくは500〜2000mlである。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0021】
本発明の反応は、例えば、不活性ガス雰囲気にて、ジオール、塩基及び溶媒を混合して加熱攪拌し、ジオールのアルカリ金属アルコラートを合成した後、それに3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルを添加して、更に加熱攪拌する等の方法によって、常圧又は加圧下で行われる。その際の反応温度は好ましくは20〜180℃、更に好ましくは50〜150℃である。
【0022】
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、水で洗浄して不純物を除去した後に、抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の一般的な方法によって、目的とするビスオキセタンエーテル化合物類を得ることが出来る。なお、これらの化合物は、FD-MS、GC-MS、1H-NMR、13C-NMR、IR等によって構造を確認することが出来る。
【0023】
また、本発明において、一般式(3)
【0024】
【化9】
(式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、Yは
【0025】
【化10】
の中から選ばれる二価の基である。)
【0026】
で示される化合物は、前記の分析方法により構造を同定することが出来る、ビスオキセタンエーテル化合物である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、参考例及び実施例における純度とは、ガスクロマトグラフィー分析による面積百分率によって算出される値である。
【0028】
参考例1
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積1000mlの三つ口フラスコに、p-トルエンスルホニルクロライド95.33g(0.50mol)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド5.69g(0.025mol)及びトルエン500mlを加え、攪拌しながら5℃まで冷却した。これに、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン58.08g(0.50mol)を加えた後、35%水酸化ナトリウム水溶液75mlを滴下漏斗から30分間かけて滴下した。反応液の温度は10℃まで上昇した。滴下後、そのまま同温度で1時間攪拌した後、更に室温で3時間攪拌した。
反応終了後、水200mlを加えて激しく攪拌した後、水相と油相を分離した。この油相を飽和食塩水200mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、硫酸マグネシウムを濾別して、濾液から減圧下でトルエンを留去すると、釜残として無色透明な液体である2-(3-オキセタン)ブチルトシレート123.51gが純度98.5%で得られた(収率90%)。
【0029】
実施例1
参考例1と同様の反応容器に、水素化ナトリウム16.00g(鉱油分散品(含量60〜72%)、含量60%として0.4mol)及びエチレングリコールジエチルエーテル300mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、攪拌しながら5℃まで冷却した。これにエチレングリコール12.42g(0.2mol)をエチレングリコールジエチルエーテル100mlに溶解した液を、滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
滴下終了後、ゆるやかに50℃まで昇温し、同温度で30分間攪拌した。次いで、参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート110.55g(0.4mol)を滴下し、還流させながら6時間攪拌させた。6時間後の2-(3-オキセタン)ブチルトシレートの転化率は99.9%であった。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、少量の水を加えて水素化ナトリウムを完全に消費させた。その後、析出物を濾別し、この濾液と析出物をトルエン300mlで洗浄して得られた洗浄液を一緒にして、5%炭酸ナトリウム水溶液400ml及び食塩水250mlで洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、更に釜残を減圧蒸留(125〜130℃、1.5mmHg)すると、無色透明な液体73.0gが得られた。この化合物の純度は97%であった。
【0030】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:258(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.87(t,J=7.5Hz,6H)、1.74(q,J=7.5Hz,4H)、3.60(s,4H)、3.65(S,4H)、4.37(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
13C-NMR(CDCl3):δ(ppm);7.53、26.18、42.83、70.23、73.32、77.56IR(neat):982、1115cm-1
【0031】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(5)
【0032】
【化11】
【0033】
で表される、1,2-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]エタンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は73%であった。
【0034】
実施例2
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積3000mlの三つ口フラスコに、水素化ナトリウム57.60g(鉱油分散品(含量60〜72%)、含量60%として1.44mol)及びジメチルスルホキシド600mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、攪拌しながら60℃まで加熱した。これに2-ブテン-1,4-ジオール57.60g(0.72mol)をジメチルスルホキシド150mlに溶解した液を、滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
滴下終了後、同温度で30分間攪拌した。次いで、参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート324.00g(1.2mol)を滴下し、60℃で6時間攪拌させた。6時間後、2-(3-オキセタン)ブチルトシレートは完全に消費していた。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン300mlを加えた後、水300ml、10%炭酸カリウム水溶液300ml、更に水300mlで二回洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、更に釜残を減圧蒸留(160〜172℃、1.5mmHg)すると、無色透明な液体263.21gが得られた。この化合物の純度は98%であった。
【0035】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:284(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.88(t,J=7.3Hz,6H)、1.75(q,J=7.3Hz,4H)、3.55(s,4H)、4.02〜4.11(m,4H)、4.36〜4.46(m,8H)、5.71〜5.81(m,2H)
IR(neat):982、1107cm-1
【0036】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(6)
【0037】
【化12】
【0038】
で表される新規化合物、1,4-ジ[2-(3-オキセタン)ブトキシ]-2-ブテンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は76%であった。
【0039】
実施例3
実施例2と同様の反応容器に、水素化ナトリウム40.00g(鉱油分散品(含量60〜72%)、含量60%として1.0mol)及びトルエン700mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、攪拌しながら5℃まで冷却した。これにジエチレングリコール53.06g(0.5mol)をジメチルスルホキシド700mlに溶解した液を、滴下漏斗から30分間かけて滴下した。
滴下終了後、ゆるやかに50℃まで昇温し、同温度で30分間攪拌した。次いで、室温まで冷却し、参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート270.35g(1.0mol)を滴下し、ゆるやかに60℃まで昇温して2時間、更に80℃まで昇温して4時間攪拌させた。6時間後、2-(3-オキセタン)ブチルトシレートは完全に消費していた。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、少量の水を加えて水素化ナトリウムを完全に消費させた。その後、析出物を濾別し、この濾液と析出物をトルエン500mlで洗浄して得られた洗浄液を一緒にして、5%炭酸ナトリウム水溶液500ml、食塩水300mlで二回洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、更に釜残を減圧蒸留(154〜171℃、1.5mmHg)すると、無色透明な液体116.55gが得られた。この化合物の純度は96%であった。
【0040】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:302(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.88(t,J=7.3Hz,6H)、1.74(q,J=7.3Hz,4H)、3.59(s,4H)、3.62(t,J=3.7Hz,4H)、3.67(t,J=3.7Hz,4H)、4.37(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
13C-NMR(CDCl3):δ(ppm);7.16、25.94、42.50、70.05、70.24、72.56、77.00
IR(neat):982、1113cm-1
【0041】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(7)
【0042】
【化13】
【0043】
で表される新規な化合物、ジ(2-[2-(3-オキセタン)ブトキシ]エチル)エーテルであると同定された。なお、蒸留による単離収率は74%であった。
【0044】
実施例4
実施例3において、ジエチレングリコールの代わりに、1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス体とトランス体の混合物)71.11g(0.5mol)を原料に用いた以外は、実施例3と同様に反応を行った。その結果、減圧蒸留(175〜190℃、1.5mmHg)によって、半透明でロウ状の固体177.34gが得られた。この化合物の純度は96%であった。
【0045】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
FD-MS:340(分子量)
1H-NMR(CDCl3):シス体δ(ppm);0.87(t,J=7.3Hz,6H)、0.9〜1.0(m,2H)、1.4〜1.6(m,4H)、1.73(q,J=7.3Hz,4H)、1.65〜1.90(m,4H)、3.25(d,J=6.3Hz,4H)、3.50(s,2H)、4.36(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
トランス体δ(ppm);0.87(t,J=7.3Hz,6H)、0.9〜1.0(m,2H)、1.4〜1.6(m,4H)、1.73(q,J=7.3Hz,4H)、1.65〜1.90(m,4H)、3.34(d,J=6.8Hz,4H)、3.51(s,4H)、4.36(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
13C-NMR(CDCl3):δ(ppm);7.85、25.35、26.49、29.02、35.00、37.82、43.12、73.26、74.45、76.91、78.04
IR(neat):981、1101cm-1
【0046】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(8)
【0047】
【化14】
【0048】
で表される新規な化合物、1,4-ビス[2-(3-オキセタン)ブトキシメチル]シクロヘキサンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は66%(シス体とトランス体の混合物。シス体:トランス体=1:1.87)であった。
【0049】
実施例5
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積200mlの三つ口フラスコに、4,8-ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン9.81g(50mmol)、93%水酸化ナトリウム水溶液5.16g(120mmol)、メチルスルホキシド40ml及び水2mlを加え、反応器内を窒素で置換した後、80℃まで加熱して2時間攪拌した。これに参考例1で合成した純度98.5%の2-(3-オキセタン)ブチルトシレート32.40g(120mmol)をジメチルスルホキシド20mlに溶解した液を、滴下漏斗から20分間かけて滴下した。その後、140℃まで加熱して4時間攪拌した。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエン200ml及び水150mlを加えた後、水100mlで三回洗浄した。その油相を分離し、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて乾燥・脱色後、溶媒を減圧下で留去し、その後、硫酸マグネシウム及び活性炭を濾別して、濾液を減圧下(60℃、2mmHg)で濃縮すると、釜残として無色透明な液体18.89gが得られた。この化合物の純度は93%であった。
【0050】
また、得られた化合物の物性を測定した結果を以下に示した。
GC-MS:392(分子量)
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm);0.88(t,J=7.6Hz,6H)、1.20〜1.80(m,8H)、1.74(q,J=7.6Hz,4H)、1.90〜2.20(m,4H)、2.20〜2.50(m,2H)、3.10〜3.40(m,4H)、3.50(s,4H)、4.36(d,J=5.9Hz,4H)、4.45(d,J=5.9Hz,4H)
IR(neat):982、1107cm-1
【0051】
以上の分析結果により得られた化合物は、式(9)
【0052】
【化15】
【0053】
で表される新規化合物、4,8-ビス[2-(3-オキセタン)ブトキシメチル]トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンであると同定された。なお、蒸留による単離収率は90%であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンから、煩雑な操作をする必要がなく、簡便な方法でビスオキセタンエーテル化合物類を高収率で合成することが出来る、工業的に有利なビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法を提供することが出来る。
Claims (4)
- 一般式(1)
で示される3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルと一般式(2)
で示されるジオールとを塩基の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(3)
で示されるビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法。 - 一般式(1)及び(3)において、Rがメチル基又はエチル基である請求項1記載のビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法。
- 塩基が、アルカリ金属、アルカリ金属水素化物及びアルカリ金属水酸化物の中から選ばれる少なくとも一つの塩基である請求項1記載のビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11856899A JP3800858B2 (ja) | 1999-04-26 | 1999-04-26 | ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11856899A JP3800858B2 (ja) | 1999-04-26 | 1999-04-26 | ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000302774A JP2000302774A (ja) | 2000-10-31 |
JP3800858B2 true JP3800858B2 (ja) | 2006-07-26 |
Family
ID=14739827
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11856899A Expired - Fee Related JP3800858B2 (ja) | 1999-04-26 | 1999-04-26 | ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3800858B2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4655419B2 (ja) * | 2001-06-27 | 2011-03-23 | 宇部興産株式会社 | 3−アルコキシメチルオキセタン化合物の製法 |
US7754903B2 (en) | 2003-06-20 | 2010-07-13 | Tokuyama Corporation | Curable polycyclic compounds and process for the production thereof |
CN100413855C (zh) * | 2003-06-20 | 2008-08-27 | 株式会社德山 | 固化性多环化合物及其制造方法 |
WO2005080364A1 (ja) * | 2004-02-23 | 2005-09-01 | Nippon Steel Chemical Co., Ltd. | 脂環式オキセタン化合物の製造方法 |
WO2006109552A1 (ja) * | 2005-04-12 | 2006-10-19 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | 活性光線硬化型組成物、活性光線硬化型インクジェットインク、画像形成方法及びインクジェット記録装置 |
JP5305580B2 (ja) * | 2005-11-04 | 2013-10-02 | 富士フイルム株式会社 | オキセタン化合物 |
EP2000300A4 (en) | 2006-03-24 | 2009-08-05 | Konica Minolta Med & Graphic | TRANSPARENT BARRIER SHEET AND METHOD FOR PRODUCING SAME |
EP2000299A4 (en) | 2006-03-24 | 2009-08-05 | Konica Minolta Med & Graphic | TRANSPARENT BARRIER SHEET AND METHOD OF PRODUCING SAME |
EP2000296A2 (en) | 2006-03-24 | 2008-12-10 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | Transparent barrier sheet and production method of transparent barrier sheet |
JPWO2007111075A1 (ja) | 2006-03-24 | 2009-08-06 | コニカミノルタエムジー株式会社 | 透明バリア性シート及び透明バリア性シートの製造方法 |
JP5115477B2 (ja) * | 2006-06-06 | 2013-01-09 | 宇部興産株式会社 | 水酸基を有する3−エチルオキセタン化合物及びその製法 |
JP5280615B2 (ja) * | 2006-06-16 | 2013-09-04 | シーメット株式会社 | 光学的立体造形用樹脂組成物 |
TWI464193B (zh) * | 2007-03-15 | 2014-12-11 | Nippon Steel & Sumikin Chem Co | Oxetane resin composition, optical materials and optical semiconductor packaging materials |
EP2177566B1 (en) * | 2007-07-25 | 2017-05-03 | Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. | Method for production of water-absorbable resin, and water-absorbable resin produced by the method |
CN115160555A (zh) | 2021-04-02 | 2022-10-11 | 常州强力先端电子材料有限公司 | 一种氧杂环丁烷类聚合物及其制备方法 |
CN113979972B (zh) * | 2021-11-04 | 2022-09-13 | 烟台东化新材料有限公司 | 一种光固化活性稀释剂及其制备方法及应用 |
-
1999
- 1999-04-26 JP JP11856899A patent/JP3800858B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000302774A (ja) | 2000-10-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3800858B2 (ja) | ビスオキセタンエーテル化合物類の製造方法 | |
JP5409619B2 (ja) | 環状エーテル | |
JP3508502B2 (ja) | オキセタン環を有するビフェニル誘導体 | |
JP5969759B2 (ja) | 有機ホウ素化合物及びその製造方法 | |
JP4186311B2 (ja) | オキセタン環を有するフルオレン誘導体 | |
CN108239102A (zh) | 含水杨醛基的铝配合物及其制备方法和应用 | |
CN108239263A (zh) | 利用含水杨醛基的铝配合物催化己内酯聚合的方法 | |
JP4611287B2 (ja) | 脂環式オキセタン化合物の製造方法 | |
JP4346924B2 (ja) | オキセタン誘導体、その製造方法 | |
JP2008297271A5 (ja) | ||
JP4023097B2 (ja) | オキセタン環を有するブロモフェニル誘導体 | |
JPWO2016002607A1 (ja) | 新規なビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)ジフェニルメタン類 | |
JP4654179B2 (ja) | ナフタレン環を有するオキセタン化合物 | |
CN103183591B (zh) | 4′-二烷氧基甲基双环己烷-4-基甲醇及其制造方法 | |
JP5256498B2 (ja) | 高分子配位子、アルミニウム錯体及びポリラクチドの製造方法 | |
JP4119204B2 (ja) | 新規な芳香族ジアミン及びその製造方法 | |
CN108503812A (zh) | 利用含邻苯二胺基的非对称铝配合物催化己内酯聚合的方法 | |
CN108084218A (zh) | 含水杨醛基的手性非对称铝配合物及其制备方法和应用 | |
JP4388839B2 (ja) | 4,4’’’−ジアルコキシ−p−クォーターフェニル類及びその製造方法 | |
JP5013408B2 (ja) | ビスマス化合物、アンチモン化合物および環状カーボネート製造用触媒 | |
CN108239261A (zh) | 利用含水杨醛基的铝配合物催化乙交酯聚合的方法 | |
JPH02273668A (ja) | α―アルキリデン置換ラクトン類の製法 | |
JP6047884B2 (ja) | 化合物 | |
JP5293651B2 (ja) | ジュロリジン誘導体の製造方法 | |
CN108003335A (zh) | 一种利用含水杨醛基的手性非对称铝配合物催化乙交酯聚合的方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060411 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060424 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |