JP3800446B2 - 熱現像写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料に関するものであって、露光に忠実な画像が得られる熱現像感光材料に関するものである。特に、印刷製版用途に適している熱現像写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年印刷分野における出力機として、レーザーや発光ダイオードにより露光することができるスキャナーやイメージセッターが広く普及し、感度・Dmaxが高く、硬調で画質の良い印刷用感光材料が要求されている。一方、環境保全・省スペースの観点から従来の湿式系ハロゲン化銀写真感光材料の処理廃液の低減が強く望まれており、処理廃液を0にする手段の一つとして、熱現像写真記録材料の利用が挙げられる。
【0003】
熱現像写真感光材料において、露光に忠実な解像性の良い画像を得ることは、汎用の湿式系ハロゲン化銀写真感光材料同様に、イラジエーション防止染料の添加あるいはアンチハレーション層により解決される。イラジエーション防止染料の添加は主に感光層に、アンチハレーション層は支持体と感光層の間に置かれるか、支持体に対し感光層の反対側に置かれる。例えば、近赤外レーザーの出力を記録する場合には赤外領域に吸収のある染料が必要である。赤外染料の例として、特開平4−182640号記載のインドレニンシアニン染料、および米国特許5380635号記載のスクアリック酸がジヒドロペリミジン核のパラ位で結合したジヒドロペリミジンスクアリリウム染料が知られている。
【0004】
一方、Dmaxが高く、階調が硬調である熱現像写真感光材料を得る方法としては、米国特許5496695号に記載されているヒドラジン誘導体を感材に添加する方法がある。これにより、高Dmax、超硬調な熱現像写真感光材料が得ることができる。ところが、実際にレーザー・イメージセッターで露光すると、露光部の画像が太りやすく大点が潰れやすいという欠点を有していた。最近では、レーザー・イメージセッターの進歩により、高精細な露光が可能となったため、より露光に忠実な、画像の再現性のある感光材料が強く望まれていた。
【0005】
米国特許5545515号には、特定構造のヒドラジン誘導体を含有する熱現像写真感光材料が記載されており、アンチハレーション層(バック層)に、インドレニンシアニン染料を添加する方法が開示されている。しかしながら、感光層内部のイラジエーション防止、あるいは感光層と支持体間でのハレーション防止ができる染料は、未だに得られていない。より露光に忠実な超硬調な画像を得るためには、感光層中での画像形成に悪影響のないイラジエーション防止あるいはアンチハレーション染料を必要としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高Dmaxで、超硬調で解像性が良好かつ、処理後の残色の少ない熱現像写真感光材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の構成により達成される。
(1)支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀および還元剤を含有する感光層を有する熱現像写真感光材料において、下記一般式(I)で表されるヒドラジン誘導体を含有し、かつ以下の〔1〕〜〔4〕の内、少なくとも1層に、下記一般式(II)〜(V)で表されるスクアリリウム染料を少なくとも一種含有することを特徴とする熱現像写真感光材料。
〔1〕透明支持体に対して、感光層を有する側と反対面に塗設された層
〔2〕支持体と感光層の間に設けられた層
〔3〕感光層
〔4〕支持体に対し、感光層よりも遠い側に設けられた層
一般式(I)
【0008】
【化7】
【0009】
式中、R2 は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R1 は水素原子またはブロック基を表し、G1 は−CO−,−COCO−,−C=S−,−SO2 −,−SO−,−PO(R3)−基(R3 はR1 に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R1 と異なっていてもよい。),チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表す。A1 、A2 はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。m1 は0または1であり、m1 が0の時、R1 は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。
一般式(II)
【0010】
【化8】
【0011】
式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基またはアラルキル基を表し、R1 とR2 そして、またはR4 とR5 が、互いに結合し5または6員環を形成しても良い。R7 およびR8 は水素原子または1価の基を表す。nは1から3の整数を表す。
一般式(III)
【0012】
【化9】
【0013】
式中、R9 、R12、R13およびR16は各々水素原子またはアルキル基を表し、R10、R11、R14およびR15は各々水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表し、R9 とR10および、またはR11とR12および、またはR13とR14および、またはR15とR16および、またはR10とR11および、またはR14とR15がお互いに結合し5または6員環を形成しても良い。R17およびR18は各々1価の基を表す。ただし、R10、R11、R14またはR15がヘテロ環基である場合には、R17およびR18は水素原子でも良い。nは1から3の整数を表す。
一般式(IV)
【0014】
【化10】
【0015】
式中、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25およびR26は、各々水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表し、R19とR20および、またはR21とR22および、またはR23とR24および、またはR25とR26またはR20とR21および、またはR24とR25がお互いに結合し5または6員環を形成しても良い。R27およびR28は各々水素原子または1価の基を表す。nは1から3の整数を表す。
一般式(V)
【0016】
【化11】
【0017】
式中、R29、R30、R31およびR32は、各々水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を表し、R33とR34は各々水素原子または1価の基を表す。nは1から3の整数を表す。
(2) 前記染料が、感光性ハロゲン化銀を含有する感光層中に含有されることを特徴とする上記(1)に記載の熱現像写真感光材料。
(3) 前記ヒドラジン誘導体が、下記一般式(H−I)〜(H−VIII)で表される化合物群より選ばれる、少なくとも1種のヒドラジン誘導体であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱現像写真感光材料。
一般式(H-I)〜(H-VIII)
【0018】
【化12】
【0019】
一般式(H-I)においてY10 はニトロ基、メトキシ基、アルキル基、またはアセトアミド基を表し、X10 はY10 を除く置換基を表す。m10は0から5の整数を表し、n10は0から4の整数を表す。A1,A2はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。但しm10とn10との和が5を越えることはなく、またm10が0の時、A1かA2のいずれかは水素原子ではない。
【0020】
一般式(H-II)においてAr1 は芳香族基またはヘテロ環基を表し、A3,A4はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表す。R1は、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、アミノ基(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基)、ヒドラジノ基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。
【0021】
一般式(H-III)においてAr2は芳香族基またはヘテロ環基を表し、A5,A6はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表す。R2は水素原子またはブロック基を表す。
【0022】
一般式(H-IV)においてAr3は芳香族基またはヘテロ環基を表し、A7,A8はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表す。R3は水素原子またはブロック基を表し、G3は-C=S-,-SO2-,-SO-,-PO(R33)- 基(R33 はR3に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R3と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。
【0023】
一般式(H-V)においてR10,R11,およびR12は水素原子または置換基を表すが、但しR10,R11,R12が同時に芳香族基を表すことはない。A9,A10はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表し、R4は水素原子またはブロック基を表す。
【0024】
一般式(H-VI)においてR20は脂肪族基を表し、R5は水素原子またはブロック基を表す。G5は-COCO-基または一般式(H-IV)のG3で表される基と同義の基を表す。A11,A12はそれぞれ一般式(H-I)に於けるA1,A2と同義の基を表す。但し、G5が-C=S-基を表すとき、R5が無置換アニリノ基を表すことはない。
【0025】
一般式(H-VII)においてR30は脂肪族基を表し、R6は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。A13,A14はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表す。但し、R30がトリチル基を表すとき、R6が無置換フェニル基を表すことはない。
【0026】
一般式(H-VIII)においてAr4は芳香族基またはヘテロ環基を表し、R7は無置換アミノ基、アルキルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、またはアルキニル基を表す。A15,A16はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表す。
【0027】
従来の湿式系ハロゲン化銀写真感光材料では予想されない、本発明の特定のヒドラジン誘導体と特定スクアリリウム染料の組み合わせを使用した熱現像材料は、露光に忠実な超硬調画像が得られる。このメカニズムについては必ずしも明らかでないが、例えば感材膜中の染料等によりわずかに生じる蛍光を特定のスクアリリウム染料が防いでおり、ヒドラジン誘導体を使用した感光材料における露光部周辺の未露光部に画像が拡大することを防いでいるからではないかと考えられている。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱現像写真感光材料について詳細に述べる。
熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像写真感光材料は、例えば米国特許第3152904号、3457075号及びD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2項、1969年に開示されている。
【0029】
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理を用いて写真画像を形成するものであり、後述する還元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性量のハロゲン化銀及び還元剤を含有し、必要に応じて銀の色調を調整する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有する熱現像感光材料である。本発明の熱現像感光材料は、常温では安定であるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱することで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は、露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は、黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の供給することなしで進行するため、廃液のない環境に対して好ましいものである。
【0030】
次に、一般式(I)で表されるヒドラジン誘導体について説明する。
式中、R2 は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R1は水素原子またはブロック基を表し、G1は−CO−,−COCO−,−C=S−,−SO2 −,−SO−,−PO(R3)−基(R3はR1に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R1 と異なっていてもよい。),チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表す。A1 、A2 はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。m1 は0または1であり、m1 が0の時、R1 は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。
【0031】
一般式(I)において、R2 で表わされる脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(I)において、R2 で表わされる芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R2 で表わされるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環、モルホリノ環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
【0032】
R2として好ましいものはアリール基もしくはアルキル基である。
【0033】
R2は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、Nー置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
【0034】
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0035】
R2が有していてもよい置換基として好ましいものは、R2が芳香族基またはヘテロ環基を表す場合、アルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
またR2が脂肪族基を表す場合は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が好ましい。
【0036】
一般式(I)において、R1は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的には、脂肪族基(具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、芳香族基(単環もしくは縮合環のアリール基)、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0037】
R1で表わされるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2ーカルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−メタンスルホンアミドプロピル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、4ーエチルフェノキシメチル基、フェニルチオメチル基、t-ブチル基、ジシアノメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シアノジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2ーエトキシカルボニルビニル基、2ートリフルオロー2ーメトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2ーメトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、パーフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4,5−ジシアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基、2、6ージクロロー4ーシアノフェニル基、2ークロロー5ーオクチルスルファモイルフェニル基などが挙げられる。
【0038】
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(Nー置換)、イミダゾリル基、インダゾリル基(4ーニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(Nーメチルー3ーピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2ーヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては置換もしくは無置換のフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、及び炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6ーテトラメチルピペリジンー4ーイルアミノ基、プロピルアミノ基、2ーヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,oーヒドロキシアニリノ基、5ーベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。
【0039】
ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4ーベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0040】
R1で表される基は置換されていても良く、その置換基の例としては、R2の置換基として例示したものがあてはまる。
【0041】
一般式(I)においてR1 はG1−R1 の部分を残余分子から分裂させ、−G1−R1 部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号などに記載のものが挙げられる。
【0042】
一般式(I)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号、同4,459,347号、特開昭59−195233号、同59−200231号、同59−201045号、同59−201046号、同59−201047号、同59−201048号、同59−201049号、特開昭61−170733号、同61−270744号、同62−948号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号に記載された基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2ー285344号に記載された基が挙げられる。
【0043】
一般式(I)のR1 またはR2 はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0044】
一般式(I)のR1 またはR2 は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、このとき一般式(I)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64-86134号、特開平4-16938号、特開平5-197091号、WO95−32452号、WO95−32453号、特願平7-351132号、特願平7-351269号、特願平7-351168号、特願平7-351287号、特願平7-351279号等に記載された化合物が挙げられる。
【0045】
一般式(I)のR1 またはR2 は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号、特開平5−333466号、特開平6−19032号、特開平6−19031号、特開平5−45761号、米国特許4994365号、米国特許4988604号、特開平3−259240号、特開平7−5610号、特開平7−244348号、独特許4006032号等に記載の化合物が挙げられる。
【0046】
一般式(I)においてA1、A2は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、又はハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、又はハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、又は環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。
A1 、A2 としては水素原子が最も好ましい。
【0047】
一般式(I)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
次に、一般式(H-I)〜一般式(H-VIII) で表されるヒドラジン誘導体について、さらに詳しく説明する。
【0054】
一般式(H-I)においてA1、A2は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、又はハメットの置換基定数の和が-0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、又はハメットの置換基定数の和が-0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、又は環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))であるが、A1、A2としては水素原子が最も好ましい。
但し一般式(H-I)においてm10が0の時、即ちm10が0でn10が0の時、もしくはm10が0でn10が1〜4の時には、A1かA2のいずれかは水素原子ではない。
一般式(H-I)においては、m10が1または2でn10が0を表す時、あるいはm10が1でn10が1の時が最も好ましい。
一般式(H-I)においてX10として特に好ましくは、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、総炭素数2以上のアルコキシ基、総炭素数3以上のアシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、またはカルボキシ基(その塩を含む)である。
一般式(H-I)においてY10はニトロ基、メトキシ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル)またはアセトアミド基を表す。
【0055】
一般式(H-II)においてAr1は、芳香族基またはヘテロ環基を表す。芳香族基とは単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。ヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環、モルホリノ環、ピロリジン環、インダゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
Ar1として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0056】
Ar1は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
【0057】
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0058】
Ar1が有していてもよい置換基として好ましいものは、アルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
Ar1が置換フェニル基を表す時、その置換基として特に好ましくは、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、またはカルボキシ基(その塩を含む)であり、特に好ましくはスルホンアミド基、ウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、ニトロ基、またはカルボキシ基である。
【0059】
一般式(H-II)においてR1は、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、アミノ基(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基)、ヒドラジノ基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。
ここに電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σmが正の値を取る置換基のことであり、具体的には、アルキル基やピリジニオ基を除く以下の特定の基を表す。即ち、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシルオキシ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキルもしくはアリール)チオ基、ヒドロキシ基、スルホ基、アリール基、ホスホニル基またはイミド基である。
【0060】
R1で表される少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2-カルボキシテトラフルオロエチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3-メタンスルホンアミドプロピル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、4-エチルフェノキシメチル基、フェニルチオメチル基、シアノメチル基、ジフェニルメチル基、ジ(メチルチオ)メチル基、スクシンイミドメチル基、2-ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアリール基として好ましくは、単環のアリール基で、置換フェニル基が特に好ましく、例えばパーフルオロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-メタンスルホンアミドフェニル基、 2-カルバモイルフェニル基、4,5-ジシアノフェニル基、2、6-ジクロロ-4-シアノフェニル基、2-クロロ-5-オクチルスルファモイルフェニル基、3-メトキシフェニル基などが挙げられる。
アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2-エトキシカルボニルビニル基、2-トリフルオロ-2-メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2-メトキシカルボニルエチニル基、2-トリフルオロエチニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、イミダゾリル基、インダゾリル基(4-ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N-メチル-3-ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2-ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては置換もしくは無置換のフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、及び炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ基を含む)が好ましい。アミノ基の具体例としては、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン-4-イルアミノ基、プロピルアミノ基、2-ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o-ヒドロキシアニリノ基、5-ベンゾトリアゾリルアミノ基、N-ベンジル-3-ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4-ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0061】
R1で表される基は置換されていても良く、その置換基の例としては、Ar1の置換基として例示したものがあてはまる。
【0062】
一般式(H-II)においてR1は好ましくは、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基、少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは少なくとも1つの電子吸引性基で置換されたアルキル基であり、ここに電子吸引性基としては、フッ素原子、クロル原子、(アルキルもしくはアリール)スルホニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基が好ましく、特にフッ素原子、クロル原子、アルコキシ基、またはアリールオキシ基が好ましい。
【0063】
一般式(H-II)においてA3およびA4は、それぞれ一般式(H-I)のA1およびA2と同義の基あり、その好ましい範囲もまた同じである。
【0064】
一般式(H-II)で表される化合物のうち、最も好ましいものは、Ar1がスルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、またはカルボキシ基(その塩を含む)で置換された置換フェニル基を表し、R1がフッ素原子、クロル原子、アルコキシ基、またはアリールオキシ基で置換された置換アルキル基を表し、かつA3,A4が水素原子を表す化合物である。
【0065】
一般式(H-III)においてAr2は、一般式(H-II)のAr1と同義の基あり、その好ましい範囲もまた同じである。一般式(H-III)においてA5およびA6は、一般式(H-I)のA1およびA2と同義の基あり、その好ましい範囲もまた同じである。R2は水素原子またはブロック基を表すが、ここにブロック基とは脂肪族基(具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、芳香族基(単環もしくは縮合環のアリール基)、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基)またはヒドラジノ基を表す。
【0066】
これらの基の好ましい例としては、一般式(H-II)のR1について挙げた具体例がそのまま当てはまる他に、アルキル基およびアリール基については、無置換もしくは任意の置換基(一般式(H-II)におけるAr1の置換基として例示したものがあてはまる)を有していてもよく、例えばアルキル基についてはメチル基、エチル基、2-カルボキシエチル基、t-ブチル基、ピリジニオメチル基、アンモニオメチル基等が挙げられ、またアリール基としてはフェニル基、4-メトキシフェニル基、o−ヒドロキシメチルフェニル基等が挙げられる。
【0067】
一般式(H-III)においてR2は好ましくは置換アミノ基であり、詳しくは炭素数1〜10の、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ基を含む)が好ましい。これらの基の具体例は一般式(H-II)のR1にて説明したものが挙げられる。
【0068】
一般式(H-III)で表される化合物のうち、最も好ましいものは、Ar2がスルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、またはカルボキシ基(その塩を含む)で置換された置換フェニル基を表し、R2がアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基を表し、かつA5,A6が水素原子を表す化合物である。
【0069】
一般式(H-IV)においてAr3は、一般式(H-II)のAr1と同義の基あり、その好ましい範囲もまた同じである。A7およびA8は、一般式(H-I)のA1およびA2と同義の基あり、その好ましい範囲もまた同じである。G3は、-C=S-,-SO2-,-SO-,-PO(R33)-基(R33はR3に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R3と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。R3は水素原子またはブロック基を表し、これは一般式(H-III)のR2と同義の基である。
一般式(H-IV)において、G3は好ましくは-C=S-,-SO2-,または-PO(R33)-基を表し、R3はG3が-C=S-基の時、好ましくはアミノ基またはヒドラジノ基を、G3が-SO2-基の時、好ましくはアルキル基、アリール基、またはアミノ基を、G3が-PO(R33)-基の時、好ましくはアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、またはアリール基を表す。G3は特に好ましくは、-SO2-基である。
【0070】
一般式(H-IV)で表される化合物のうち、最も好ましいものは、Ar3がスルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、またはカルボキシ基(その塩を含む)で置換された置換フェニル基を表し、G3が-SO2-基を表し、R3がアルキル基、アリール基、またはアミノ基を表し、かつA7,A8が水素原子を表す化合物である。
【0071】
一般式(H-V)においてA9,A10はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R4は水素原子またはブロック基を表し、これは一般式(H-III)のR2と同義の基である。R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基である。
一般式(H-V)においてR10,R11,およびR12は水素原子または置換基を表す。ここに置換基とは一般式(H-II)のAr1の置換基として例示したものが挙げられる。但しR10,R11,R12が同時に芳香族基(芳香族ヘテロ環基を含む)を表すことはない。
【0072】
R10,R11,およびR12で表される置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基である。
【0073】
R10,R11,およびR12で置換されたメチル基の具体例としては、例えば、t-ブチル基、ジシアノメチル基、シアノジメチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基(トリチル基)、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シアノジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル基、シクロプロピルジフェニルメチル基、ジ(メチルチオ)メチル基、1,3-ジチオラン-2-イルメチル基などが挙げられる。
【0074】
R10,R11,およびR12のうち、少なくとも1つはアリール基であることが好ましく、さらにはR10,R11,およびR12のうちの2つがアリール基であることが特に好ましい。ここにアリール基としては、置換もしくは無置換のフェニル基が最も好ましい。
【0075】
一般式(H-V) で表される化合物のうち最も好ましいものは、R10,R11,およびR12のうちの1つ、もしくは2つがアリール基(中でも、置換もしくは無置換のフェニル基)を表し、R4が水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、またはアルコキシ基を表し、かつA9,A10が水素原子を表す化合物である。
【0076】
一般式(H-VI)においてA11,A12はそれぞれ一般式(H-I)に於けるA1,A2と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R5は水素原子またはブロック基を表し、これは一般式(H-III) のR2と同義の基である。G5は、-COCO-,-C=S-,-SO2-,-SO-,-PO(R55)-基(R55はR5に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R5と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。但し、G5が-C=S-基を表す時、R5が無置換アニリノ基を表すことはない。
【0077】
一般式(H-VI)においてR20は脂肪族基を表す。脂肪族基として好ましくは、炭素数1から30のアルキル基であり、さらに好ましくは置換メチル基である。その置換基としては、一般式(H-V)のR10,R11,およびR12で表される置換基が挙げられ、好ましい範囲もまた同じである。但し、一般式(H-VI)においては、3つの芳香族基もしくは芳香族ヘテロ環基で置換されたメチル基であってもよく、例えばトリフェニルメチル基(トリチル基)、トリ(4−メトキシフェニル)メチル基、9-フェニルキサンテン-9-イル基等が挙げられる。
【0078】
一般式(H-VI)においてR20は、少なくとも2つのアリール基で置換された2置換もしくは3置換メチル基が特に好ましく、トリチル基が最も好ましい。
一般式(H-VI)においてG5は、好ましくは-COCO-,-SO2-,-PO(R55)-基であり、R5はG5が-COCO-基の時、好ましくは置換アミノ基であり、詳しくは炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ基を含む)が好ましい。G5が-SO2-基の時、好ましくはアルキル基、アリール基、またはアミノ基を、G5が-PO(R55)-基の時、好ましくはアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、またはアリール基を表す。
G5は特に好ましくは-COCO-基である。
【0079】
一般式(H-VI)で表される化合物のうち最も好ましいものは、R20が少なくとも2つのアリール基で置換された2置換もしくは3置換メチル基を表し、G5が-COCO-基を表し、R5がアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基を表し、かつA11,A12が水素原子を表す化合物である。
【0080】
一般式(H-VII)においてA13,A14はそれぞれ一般式(H-I)におけるA1,A2と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R30は脂肪族基を表し、これは一般式(H-VI)のR20と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。R6は脂肪族基、芳族族基、またはヘテロ環基を表わすが、但し、R30がトリチル基を表すとき、R6が無置換フェニル基を表すことはない。
【0081】
R6が脂肪族基を表す時、その好ましい範囲は、一般式(H-VI)のR20で表される脂肪族基の好ましい範囲と同じである。R6が芳香族基またはヘテロ環基を表す時、その好ましい範囲は一般式(H-II)のAr1で表される芳香族基またはヘテロ環基の好ましい範囲と同じである。
【0082】
R6は好ましくは芳香族基または脂肪族基であり、さらに好ましくは置換フェニル基または置換メチル基である。置換フェニル基を表す時、その置換基として特に好ましくは、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、シアノ基、またはカルボキシ基(その塩を含む)であり、置換メチル基を表す時、その置換基の好ましい範囲は、一般式(H-VI)のR20で表される脂肪族基が置換メチル基を表す時の好ましい置換基の範囲と同じである。
【0083】
一般式(H-VII)で表される化合物のうち最も好ましいものは、R30およびR6が、少なくとも2つのアリール基で置換された2置換もしくは3置換メチル基を表すか、またはR30が少なくとも2つのアリール基で置換された2置換もしくは3置換メチル基を表し、R6がスルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、シアノ基、またはカルボキシ基(その塩を含む)で置換された置換フェニル基を表すもので、かつ同時にA13,A14が水素原子を表す化合物である。
【0084】
一般式(H-VIII)においてA15,A16はそれぞれ一般式(H-I)に於けるA1,A2と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。Ar4は一般式(H-II)のAr1と同義の基あり、その好ましい範囲もまた同じである。R7は無置換アミノ基、アルキルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、またはアルキニル基を表す。これらの基の具体例は、一般式(H-II)のR1について説明した中で、説明したものが挙げられる。R7は好ましくはアルキルアミノ基またはヘテロ環アミノ基である。
【0085】
一般式(H-VIII)で表される化合物のうち最も好ましいものは、Ar4がスルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルコキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、クロル原子、またはカルボキシ基(その塩を含む)で置換された置換フェニル基を表し、R7がアルキルアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表し、かつA15,A16が水素原子を表す化合物である。
【0086】
一般式(H-IV)または一般式(H-V)に於いてR3またはR4は、それぞれ-G3-R3、または-CO-R4の部分を残余分子から分裂させ、-G3-R3または-CO-R4の部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63-29751号などに記載のものが挙げられる。
【0087】
一般式(H-I)〜(H-VIII)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号、同4,459,347号、特開昭59-195233号、同59-200231号、同59-201045号、同59-201046号、同59-201047号、同59-201048号、同59-201049号、特開昭61-170733号、同61-270744号、同62-948号、同63-234244号、同63-234245号、同63-234246号に記載された基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2-285344号に記載された基が挙げられる。
【0088】
一般式(H-I)〜(H-VIII)で表されるヒドラジン誘導体は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1-100530号に記載のものが挙げられる。
【0089】
一般式(H-I)〜(H-VIII)で表されるヒドラジン誘導体は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時これら化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64-86134号、特開平4-16938号、特開平5-197091号、WO95-32452号、WO95-32453号、特願平7-351132号、特願平7-351269号、特願平7-351168号、特願平7-351287号、特願平7-351279号等に記載された化合物が挙げられる。
【0090】
一般式(H-I)〜(H-VIII)で表されるヒドラジン誘導体は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7-234471号、特開平5-333466号、特開平6-19032号、特開平6-19031号、特開平5-45761号、米国特許4994365号、米国特許4988604号、特開平3-259240号、特開平7-5610号、特開平7-244348号、独特許4006032号等に記載の化合物が挙げられる。
【0091】
一般式(H-I)〜(H-VIII)で表される本発明のヒドラジン誘導体のうち好ましいものは、一般式(H-II)〜一般式(H-VIII)で表される化合物であり、さらに好ましいものは一般式(H-II)、一般式(H-III)、一般式(H-V)、一般式(H-VI)、または一般式(H-VIII)で表される化合物であり、特に好ましいものは一般式(H-II)、一般式(H-III)、または一般式(H-VI)で表される化合物であり、最も好ましいものは一般式(H-II)で表される化合物である。
【0092】
以下に、一般式(H-I)〜一般式(H-VIII)で表される化合物の具体例を示す。但し本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
【表6】
【0094】
【表7】
【0095】
【表8】
【0096】
【表9】
【0097】
【表10】
【0098】
【表11】
【0099】
【表12】
【0100】
【表13】
【0101】
【表14】
【0102】
【表15】
【0103】
【表16】
【0104】
【表17】
【0105】
【表18】
【0106】
【表19】
【0107】
【表20】
【0108】
【表21】
【0109】
【表22】
【0110】
【表23】
【0111】
【表24】
【0112】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、本発明の化合物の他に、下記の特許に記載のヒドラジン誘導体を組み合わせて用いることができる。本発明の化合物はまた、下記の特許に記載された種々の方法を参照することにより、容易に合成することができる。
【0113】
特公平6-77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6-93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4-1〜化合物4-10、28頁〜36頁に記載の化合物5-1〜5-42、および39頁、40頁に記載の化合物6-1〜化合物6-7。特開平6-289520号に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1-1)〜1-17)および2-1)。
特開平6-313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I-1〜I-38。特開平7-77783号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H-1〜H-44。特願平7-191007号に記載の,ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に記載の化合物N-1〜N-30。特願平7-191007号に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D-1〜D-55。
【0114】
さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体。特開昭62-86354号(6頁〜7頁)の化合物D-2およびD-39。
【0115】
本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0116】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0117】
本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対して画像形成層側の該画像形成層あるいは他のバインダー層のどの層に添加してもよいが、該画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加することが好ましい。
【0118】
本発明の造核剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましく、2×10-5〜5×10-3モルが最も好ましい。
【0119】
次に、本発明に使用される下記一般式(II)〜(V)で表される染料を説明する。
【0120】
一般式(II)において、R1 からR6 で表されるアルキル基は、炭素数1〜20、より好ましくは1〜12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ウンデシル)である。また、ハロゲン原子(F,Cl,Br)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、ヒドロキシ、アルコキシ、(例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、イソブトキシ)またはアシルオキシ(例えば、アセチルオキシ、ブチリルオキシ、ヘキシリルオキシ、ベンゾイルオキシ)等で置換されていても良い。
R1 からR6 で表されるシクロアルキル基は、シクロペンチル、シクロヘキシルを挙げることができる。R1 からR6 で表されるアリール基は、炭素数6〜12のものが好ましく、フェニル基またはナフチル基が挙げられる。アリール基は、置換していても良い。置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(F,Cl,Br)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アミノ基(例えば、メチルアミノ、アセチルアミノ、メタンスルホンアミド)、シアノ基、ニトロ基およびカルボキシル基が含まれる。
R1 からR6 で表されるアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく(例えば、ベンジル、フェニルエチル)、置換基(例えば、メチル、メトキシ、クロル原子)を有していても良い。
R1 からR6 で表されるヘテロ環基は、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、インドリル等を、挙げることができる。
R7 およびR8 で表される1価の基としては、上記アリール基で述べた置換基が挙げられる。
R1 とR2 および、またはR4 とR5 がお互いに結合して、シクロペンタンまたはシクロヘキサン環を形成しても良い。
スクアリン環の結合位置は、アミノ基に対して通常オルト位であるが場合によってはパラ位もありうる。オルト位が好ましい。
【0121】
一般式(III)において、R9 からR166で表されるアルキル基は、一般式(II)のアルキル基と同義語である。R10、R11、R14およびR15で表されるシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基は、一般式(II)のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基と同義語である。R9 とR10および、またはR11とR12および、またはR13とR14および、またはR15とR16またはR10とR11および、またはR14とR15がお互いに結合して、シクロペンタンまたはシクロヘキサン環を形成しても良い。R17およびR18で表される1価の基は、一般式(II)の1価の基と同義語である。
スクアリン環の結合位置は、アミノ基に対して通常オルト位であるが場合によってはパラ位もありうる。オルト位が好ましい。
【0122】
一般式(IV)において、R19からR26で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基は、一般式(II)のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基と同義語である。R19とR20および、またはR21とR22および、またはR23とR24および、またはR25とR26またはR20とR21および、またはR24とR25がお互いに結合して、シクロペンタンまたはシクロヘキサン環を形成しても良い。R27およびR28で表される1価の基は、一般式(II)の1価の基と同義語である。
【0123】
一般式(V)において、R29からR32で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基は、一般式(II)のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基と同義語である。R33およびR34で表される1価の基は、一般式(II)の1価の基と同義語である。
スクアリン環の結合位置は、アミノ基に対して通常オルト位であるが場合によってはパラ位もありうる。オルト位が好ましい。
本発明の具体例を以下に示す。
【0124】
【化13】
【0125】
【化14】
【0126】
【化15】
【0127】
【化16】
【0128】
【化17】
【0129】
本発明の染料は、以下の合成例や米国特許5,380,635号および特願平8−189817号を参考にして合成できる。
【0130】
(化合物2の合成)
8−アミノ−1−ナフトール 6.3gおよびエチルアルコール 20mlに、5−ウンデカン 8.1gを入れ9時間乾留した。さらに、5−ウンデカノン15gを加え3時間乾留した。反応物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル=1/5)で精製し、ナフトオキサジニン 2.6gを得た。
上記で得たナフトオキサジニン 2.6g、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン 0.5g、n−ブタノール 30mlおよびトルエン 30mlを外温140℃で生成する水を追い出しながら、3時間反応させた。反応物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム)で精製し、化合物2を 0.6g得た。
λmax 781.3nm(CHCl3 ) ε=1.69x105
m.p. 193〜195℃
その他の化合物も同様にして合成することができる。
【0131】
本発明の染料は、感光材料のどの層に添加させても良い。例えば、本発明の染料はハレーション防止の目的で、乳剤層の下または支持体の裏面の層に添加しても良いし、イラジエーション防止などの目的でハロゲン化銀乳剤層に添加しても良いし、フィルター染料として中間層(例えば異なる感色性乳剤層に挟まれた中間層や実質的に同一の感色性乳剤層に挟まれた中間層)や保護層に添加しても良い。
【0132】
本発明の染料は、記録材料、例えばハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材料におけるアンチハレーションおよびイラジエーション染料として用いるほかに、近赤外光による記録、特に半導体レーザーを用いた記録材料用としてあるいは、近赤外光のフィルター用として、あるいは光/熱変換用色素としても利用することができる。
【0133】
該染料は、例えばケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、ハロゲン化溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒に溶かして添加することが好ましい。好ましい添加量は有機溶媒に対して0.1〜20重量%である。
【0134】
また、染料は感光材料に対して0.1〜1000mg/m2 、好ましくは1〜200mg/m2 となるよう添加すると良い。
【0135】
バインダーを使用するときは、バインダーに対し0.1〜60重量%、好ましくは0.2〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
【0136】
赤外半導体レーザー(780,830nm)用には750nm〜1500nmの範囲で露光波長に少なくとも0.2を越え、好ましくは0.6以上の吸収となるように染料を添加する。さらに、染料は、1種でも数種を組み合わせて使用しても良い。また、該染料は、熱現像処理後の可視領域(300nm〜700nm)においての吸収が0.5未満であることが好ましく、さらに0.1以下であることがより好ましい。
【0137】
次に、本発明の熱現像写真感光材料に使用される、有機銀塩、ハロゲン化銀、還元剤について順に説明する。
【0138】
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜30重量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。有機銀塩の使用量は、塗布銀量として3g/m2 以下が好ましく、2g/m2 以下であることがより好ましい。
【0139】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩及びこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3-メルカプト-4-フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀塩、2-メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2-メルカプト-5-アミノチアジアゾールの銀塩、2-(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5-カルボキシル-1-メチル-2-フェニル-4-チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2-メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例えば3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-チアゾールの銀塩などの1,2,4-メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号に記載の3-(3-カルボキシエチル)-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物を使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩及びそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5-クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に記載のような1,2,4-トリアゾールまたは1-H-テトラゾールの銀塩、イミダゾール及びイミダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4,761,361号及び同第4,775,613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物を使用することもできる。
【0140】
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。感光性ハロゲン化銀感材でよく知られているように銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間の反比例の関係は本発明における熱現像写真感光材料においても成立するため、即ち該熱現像写真感光材料の画像形成部である有機銀塩粒子が大きいと被覆力が小さく画像濃度が低くなることを意味することから有機銀塩のサイズを小さくすることが必要である。本発明においては短軸0.01μm以上0.20μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができる。
【0141】
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調整された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のため小さいことが好ましく具体的には0.25μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.20μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.15μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0142】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良いが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0143】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、オスニウム、コバルトまたは鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-9モルから1×10-3モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。
【0144】
本発明に用いられるロジウム化合物は、水溶性ロジウム化合物が好ましい。たとえば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(III) 錯塩、ヘキサブロモロジウム(III) 錯塩、ヘキサアミンロジウム(III) 錯塩、トリザラトロジウム(III) 錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0145】
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウムが挙げられる。本発明に用いられるルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウムが挙げられる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0146】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0147】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7-128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P-Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0148】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0149】
本発明を実施するために必要ではないが、乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する感光性ハロゲン化銀は、一般に、有機銀塩の0.75〜25モル%、好ましくは2〜20モル%の範囲で使用できる。
【0150】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層の1〜10重量%として存在すべきである。多層構成において、還元剤をエマルジョン層以外の層に加える場合は、わずかに高い割合である約2〜15%がより望ましい傾向がある。
【0151】
有機銀塩を利用した熱現像写真感光材料においては広範囲の還元剤が開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル-α-シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α-シアノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるようなビス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど; 2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール) 、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジオンなどがある。
【0152】
本発明で特に好ましい還元剤として下記一般式(R-I)、一般式(R-II)、一般式(R-III)、一般式(R-IV)で表される化合物が挙げられる。
【0153】
【化18】
【0154】
なお、一般式(R-III)においてZが形成する環構造は下記のものである。
【0155】
【化19】
【0156】
また、一般式(R-IV)においてZが形成する環構造は下記のものである。
【0157】
【化20】
【0158】
式中、 L1、L2は、CH-R6で表される基もしくは硫黄原子である。nは自然数を表す。R(R1〜R10、R1'〜R5'、R11〜R13、R11'〜R13'、R21〜R28を含む)は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜30)、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アミノ基もしくは-O-Aで表される置換基である。ただし、R1〜R5の少なくとも一つ及び R1'〜R5'の少なくとも一つ及びR7〜R10の少なくとも一つは-O-Aで表される基である。また、R同士で環を形成しても良い。A、A'は、水素原子、アルキル基(炭素数1〜30)、アシル基(炭素数1〜30)、アリール基、リン酸基、スルホニル基を表す。 R、A、A'は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばアルキル基(活性メチン基を含む)、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環を含む基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環(例えばピリジニオ基)を含む基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基を含む基、4級のアンモニオ基を含む基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、リン酸アミド基、リン酸エステル構造を含む基、アシルウレア構造を持つ基、セレン原子またはテルル原子を含む基、3級スルホニウム構造または4級スルホニウム構造を持つ基などが挙げられる。 R、A、A'の置換基はさらに置換されていても良く、好ましい例としてはRの置換基として例示したものが挙げられる。さらにその置換基、その置換基の置換基、置換基の置換基の置換基・・・、というように多重に置換されていても良く、好ましい例はやはりR、A、A'の置換基として例示したものがあてはまる。
【0159】
以下に、一般式(R-I)、一般式(R-II)、一般式(R-III)、一般式(R-IV)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0160】
【化21】
【0161】
【化22】
【0162】
【化23】
【0163】
【化24】
【0164】
【化25】
【0165】
【化26】
【0166】
【化27】
【0167】
【化28】
【0168】
【化29】
【0169】
本発明で使用される還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-3〜10モルであり、より好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0170】
以下、本発明の熱現像写真感光材料に使用することのできる、各種添加薬品等について、順次説明する。
【0171】
本発明には、造核促進剤を含有しても良い。造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。以下にその例を列挙する。特開平7-77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A-1)〜A-73)。特開平7-84331号に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物。特開平7-104426号に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa-1〜Na-22の化合物およびNb-1〜Nb-12の化合物。特願平7-37817号に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1-1〜1-19の化合物、2-1〜2-22の化合物、3-1〜3-36の化合物、4-1〜4-5の化合物、5-1〜5-41の化合物、6-1〜6-58の化合物および7-1〜7-38の化合物。
【0172】
本発明の造核促進剤は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0173】
本発明の造核促進剤は、支持体に対して感光層側の該感光層あるいは他の非感光層のどの層に添加してもよいが、該感光層あるいはそれに隣接する非感光層に添加することが好ましい。本発明の造核促進剤添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜2×10-2モルが好ましく、1×10-5〜2×10-2モルがより好ましく、2×10-5〜1×10-2モルが最も好ましい。
【0174】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0175】
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM 、Ar-S-S-Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオール、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2-メルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0176】
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.01〜0.3モルの量である。
【0177】
本発明における増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
【0178】
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0179】
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0180】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許2,161,331号に記載のExample1からExample14の化合物、西独特許936,071号記載の1から7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号に記載の色素1から20、特開昭62−284343号に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号に記載のI−1からI−34の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては特開昭55−45015号に記載の一般式〔I〕で表される(1)から(19)の化合物、特願平7−346193号に記載I−1からI−97の化合物および特開平6−242547号に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物などが有利に選択される。
【0181】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
【0182】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500、同43−4933、特開昭59−19032、同59−192242等に記載されている。
【0183】
これらの増感色素は単独に用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はResearch Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500、同43-4933、特開昭59-19032、同59-192242等に記載されている。
【0184】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0185】
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、同44-27555号、同57-22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0186】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号、同第3,628,960号、同第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭58-184142号、同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58-7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0187】
前述の成分に加えて、画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと有利になることがある。例えば、色調剤材料は全銀保持成分の0.1〜10重量%の量で存在してよい。色調剤は、米国特許第3,080,254号、同第3,847,612号および同第4,123,282号に示されるように、写真技術において周知の材料である。
【0188】
色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5--ジフェニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンおよび6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などがある。
【0189】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号および同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号に記載のリン化合物などがある。
【0190】
本発明に好ましく用いられるかぶり防止剤は米国特許第3874946号及び4756999号に開示されているような化合物、−C(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲン(例えばF、Cl、Br及びI)でX3は水素原子又はハロゲン)で表される置換基を1つ以上持つヘテロ環状化合物である。以下に、ヘテロ環状化合物の具体例を示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0191】
【化30】
【0192】
【化31】
【0193】
更に、より好ましいヘテロ環状化合物は、米国特許第5028523号及び英国特許出願第92221383.4号、9300147.7号、9311790.1号に開示されている。
【0194】
本発明における感光性層には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,960,404号に記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号および同第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0195】
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0196】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62-170950号、米国特許5,382,504号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号、特開昭63-188135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3,885,965号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0197】
本発明における感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0198】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2,992,101号および同第2,701,245号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が1000秒以上10000秒以下がが好ましく、特に2000秒以上10000秒以下が好ましい。
【0199】
本発明における乳剤層のバインダーとしては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエン-スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組合せて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0200】
本発明で使用するスクアリリウム染料以外にも、公知の染料を併用しても良い。この場合所望の波長範囲で目的の吸収を有し、可視領域での吸収が充分少なく、好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でも良い。例えば、特開平7-13295号、米国特許5,380,635号記載の化合物、特開平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物があげられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0201】
該染料は、ハレーション防止、イラジエーション防止、現像銀色調の補正を目的とする場合、感光層、感光層と支持体の間の非感光層、感光層と反対側の非感光層に添加することが好ましい。また、セーフライトかぶり防止を目的とした場合には、保護層、感光層と反対側の非感光層に添加することが好ましい。
【0202】
本発明における熱現像写真感光性材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバッキング層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0203】
本発明において片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット剤は感材のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0204】
本発明においてバッキング層のマット度としてはベック平滑度が250秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180秒以下50秒以上である。
【0205】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0206】
本発明においてバッキング層の好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0207】
米国特許第4,460,681号および同第4,374,921号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0208】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。上記のような金属がラミネートあるいは蒸着された紙やプラスチックフィルムも使用することができる。該支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0209】
一方、プラスチックフィルムを熱現像機に通すとフィルムの寸度が伸縮する。印刷感光材料として使用する場合、この伸縮は精密多色印刷を行うときに、重大な問題となる。よって本発明では、寸法変化の小さいフイルムを用いることが好ましい。例えば、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体や、熱処理したポリエチレンなどがある。ガラス転移点の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート等が使用できる。
【0210】
本発明における感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同第3,206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0211】
本発明における熱現像感材を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7-13295号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,337号および同第4,042,394号に例示されている。
【0212】
本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0213】
本発明における熱現像写真材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の感材はその感材一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感材とならないことが好ましい。
【0214】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0215】
実施例−1
(有機酸銀乳剤Aの調製)
ベヘン酸840g、ステアリン酸95gを12リットルの水に添加し90℃に保ちながら、水酸化ナトリウム48g、炭酸ナトリウム63gを1.5リットルの水に溶解したものを添加した。30分撹拌した後50℃とし、N-ブロモサクシイミド1%水溶液1.1リットルを添加し、次いで硝酸銀17%水溶液2.3リットルを撹拌しながら徐々に添加した。さらに液温を35℃とし、撹拌しながら臭化カリウム2%水溶液1.5リットルを2分間かけて添加した後30分間撹拌し、N-ブロモサクシイミド1%水溶液2.4リットルを添加した。この水系混合物に撹拌しながら1.2重量%ポリ酢酸ビニルの酢酸ブチル溶液3300gを加えた後10分間静置し2層に分離させ水層を取り除き、さらに残されたゲルを水で2回洗浄した。こうして得られたゲル状のベヘン酸/ステアリン酸銀および臭化銀の混合物をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000-K)の2.6% 2−ブタノン溶液1800gで分散し、さらにポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2)600g、2−ブタノン300gと共に分散し有機酸銀塩乳剤(平均短径0.05μm、平均長径1.2μm、変動係数25%の針状粒子)を得た。
【0216】
(乳剤層塗布液Aの調製)
上記で得た有機酸銀乳剤Aに銀1モル当たり以下の量となるように25℃で各薬品を撹拌しながら添加した。
フェニルチオスルホン酸ナトリウム 10mg
増感色素−1 5.5mg
2-メルカプト-5-メチルベンゾイミダゾール 2g
2-メルカプト-5-メチルベンゾチアゾール 1g
4-クロロベンゾフェノン-2-カルボン酸 21.5g
2-ブタノン 580g
ジメチルホルムアミド 220g
3時間放置したのち、以下の各薬品を撹拌しながらさらに添加した。
4,6-ジトリクロロメチル-2-フェニルトリアジン 4.5g
ジスルフィド化合物A 2g
1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)
-3,5,5-トリメチルヘキサン 160g
フタラジン 15g
テトラクロロフタル酸 5 g
ヒドラジン誘導体 H−55 1.1g
メガファックスF-176P
(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g
2-ブタノン 590g
メチルイソブチルケトン 10g
表26に記載の各染料および添加量
(2%のアセトン溶液で添加した。場合によってジメチルホルムアミド併用)
【0217】
【化32】
【0218】
(乳剤面保護層塗布液Aの調製)
以下の各薬品を常温で溶解・混合したものを調製し、乳剤面保護層塗布液Aとした。
【0219】
両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム上の片面に、バック面塗布液を湿潤厚さ80μmとなるように塗布した。
【0220】
【表25】
【0221】
【化33】
【0222】
上記のごとく調製した支持体上に乳剤層塗布液を銀が2g/m2 となるように塗布した後、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ5μmとなるように塗布し、サンプル101〜112を得た。
【0223】
(写真性能の評価)
上記の試料を780nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッジを通して発光時間10-6sec のキセノンフラッシュ光で露光し後、サンプルをヒートドラムを使用して115℃で25秒間処理(現像)し、得られた画像の露光量に対する濃度を濃度計により測定した。
測定の結果は、Dmax、階調γ(特性曲線で濃度0.3と3.0の点を結ぶ直線の傾き)で評価した。結果を表26に示す。
【0224】
(網点のキレの評価)
上記の試料を780nmのレーザー光を使用して、100線にて50%の平網を塗布感材に出力し、前記の処理条件で現像処理を行い、100倍のルーペで網点のキレを目視評価した。評価は、画質(良)5〜1(悪)の5点法で行った。実用的には3点以上が必要である。結果を表26に示す。
【0225】
(最低濃度部の残色の評価)
画像が得られたサンプルの最低濃度部を、3枚重ねて、目視により評価した。実用上問題ないものをものを「可」と評価した。それ以外のもの、例えば青みがかった最低濃度部は、「不可」と評価した。結果を表26に示す。
【0226】
【表26】
【0227】
(結果)
本発明の染料を乳剤層に使用した試料は、残色が少なく、優れた画質の熱現像写真感光材料であることがわかる。
一方、比較のため作成したインドレニン染料を乳剤層に含有した試料106・107は、軟調で、画質が悪く、残色も優れないことが判る。また、染料をバック層のみに添加した場合には、比較のため作成したインドレニン染料を含有した試料102・103は、実用的に良好な画質が得られないことも判る。
【0228】
実施例−2
(ハロゲン化銀粒子Bの調製)
水900mlにイナートゼラチン7.5gおよび臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃にてpHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと臭化カリウムと沃化カリウムとを94:6のモル比で含みK4〔Fe(CN)6〕を含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。〔Fe(CN)6〕-4は銀1モルに対して3×10-5モルになるように添加した。その後4-ヒドロキシ-6-メチル1,3,3a,7-テトラザインデン0.3gを添加し、NaOHでpHを5に調整して平均サイズ0.06μm投影面積変動係数8%、{100}面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調製した。
【0229】
(有機酸銀乳剤Bの調製)
ベヘン酸10.6g、蒸留水300mlを90℃で15分間混合し、激しく撹拌しながら1N-NaOH水溶液31.1mlを15分かけて添加し、そのまま1時間放置した後、30℃に降温した。次に、1N-リン酸水溶液7mlを添加し、より激しく撹拌しながらN-ブロモスクシンイミド0.13gを添加した後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子Bをハロゲン化銀量が2.5mモルとなるように添加した。さらに、1N-硝酸銀水溶液25mlを2分かけて連続添加し、そのまま90分間撹拌し続けた。この水系混合物にポリ酢酸ビニルの1.2重量%の酢酸ブチル溶液37gを添加して分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗と水の除去を行った後、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#3000-K)の2.5wt%の酢酸ブチルと2−ブタノン1:2混合溶液20gを撹拌しながら加えた後、こうして得られたゲル状の有機酸、ハロゲン化銀の混合物にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2)7.8g、2−ブタノン57gを添加しホモジナイザーで分散し、ベヘン酸銀塩乳剤(平均短径0.04μm、平均長径1μm、変動係数30%の針状粒子)を得た。
【0230】
(乳剤層塗布液Bの調製)
上記で得た有機酸銀乳剤Bに銀1モル当たり以下の量となるように25℃で各薬品を撹拌しながら添加した。
フェニルチオスルホン酸ナトリウム 10mg
増感色素−1 5.5mg
2-メルカプト-5-メチルベンゾイミダゾール 2g
2-メルカプト-5-メチルベンゾチアゾール 1g
4-クロロベンゾフェノン-2-カルボン酸 21.5g
2-ブタノン 580g
ジメチルホルムアミド 220g
3時間放置したのち、以下の各薬品を撹拌しながらさらに添加した。
4,6-ジトリクロロメチル-2-フェニルトリアジン4.5g
ジスルフィド化合物A 2g
1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)
-3,5,5-トリメチルヘキサン 160g
フタラジン 15g
テトラクロロフタル酸 5g
ヒドラジン誘導体 H−55 1.1g
メガファックスF-176P
(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g
2-ブタノン 590g
メチルイソブチルケトン 10g
表27に記載の各染料および添加量
(2%のアセトン溶液で添加した。場合によってジメチルホルムアミド併用)
【0231】
【表27】
【0232】
実施例1の、乳剤層塗布液Aに代えて、乳剤層塗布液Bを使用した以外は、実施例1と同様にして、支持体上に乳剤層塗布液を銀が2g/m2 、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ5μmとなるように塗布されたサンプル201〜212を得た。
【0233】
(写真性能の評価)(網点のキレの評価)(最低濃度部の残色の評価)
実施例1と同様に評価した。結果を表28に示す。
【0234】
【表28】
【0235】
(結果)
本発明の染料を乳剤層に使用した試料は、残色が少なく、優れた画質の熱現像写真感光材料であることがわかる。
一方、比較のため作成したインドレニン染料を乳剤層に含有した試料106・107は、軟調で、画質が悪く、残色も優れないことが判る。また、染料をバック層のみに添加した場合には、比較のため作成したインドレニン染料を含有した試料102・103は、実用的に良好な画質が得られないことも判る。
【0236】
実施例−3
実施例−1、2で使用した「両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム」を、「片面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム」に代え、下塗り面上に、バック面塗布液・乳剤層塗布液・乳剤面保護層塗布液を順に塗布した以外は、実施例−1、2と同様にしてサンプルを作成した。
【0237】
(写真性能の評価)(網点のキレの評価)(最低濃度部の残色の評価)
実施例1と同様に評価し、本発明の染料を使用した感光材料は、残色が少なく、優れた画質が得られた。
【0238】
実施例−4
実施例−1の試料No.112で使用したヒドラジン誘導体H−55を、表29記載の各ヒドラジン誘導体を使用し、添加量を写真感度が試料No.112とほぼ同じになるように調整した以外は、実施例−1の試料No.112と同様にしてサンプルを作成して評価した。結果を、表29に示す。
【0239】
【表29】
【0240】
本発明のヒドラジン誘導体を使用した試料401〜407は、硬調で優れた画質が得られた。中でも、試料401・404〜407の画質は非常に良好である。比較のため作成した、ヒドラジン誘導体を含まない試料408は、実用的に良好な画質が得られないことも判る。
【0241】
実施例−5
実施例−2の試料No.212で使用したヒドラジン誘導体H−55を、表30記載の各ヒドラジン誘導体を使用し、添加量を写真感度が試料No.212とほぼ同じになるように調整した以外は、実施例−2の試料No.212と同様にしてサンプルを作成して評価した。結果を、表30に示す。
【0242】
【表30】
【0243】
本発明のヒドラジン誘導体を使用した試料501〜507は、硬調で優れた画質が得られた。中でも、試料501・504〜507の画質は非常に良好である。比較のため作成した、ヒドラジン誘導体を含まない試料508は、実用的に良好な画質が得られないことも判る。
【0244】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、高Dmaxで、超硬調で解像性が良好かつ、処理後の残色の少ない熱現像写真感光材料を提供することができる。
Claims (3)
- 支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、および還元剤を含有する感光層を有する熱現像写真感光材料において、下記一般式(I)で表されるヒドラジン誘導体を含有し、かつ以下の(1)〜(4)の内、少なくとも1層に、下記一般式(II)〜(V)で表されるスクアリリウム染料を少なくとも一種含有することを特徴とする熱現像写真感光材料。
(1)透明支持体に対して、感光層を有する側と反対面に塗設された層
(2)支持体と感光層の間に設けられた層
(3)感光層
(4)支持体に対し、感光層よりも遠い側に設けられた層
一般式(I)
一般式(II)
一般式(III)
一般式(IV)
一般式(V)
- 前記染料が、感光性ハロゲン化銀を含有する感光層中に含有されることを特徴とする請求項1に記載の熱現像写真感光材料。
- 前記ヒドラジン誘導体が、下記一般式(H−I)〜(H−VIII)で表される化合物群より選ばれる、少なくとも1種のヒドラジン誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像写真感光材料。
一般式(H−I)〜(H−VIII)
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