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JP3894650B2 - 耐久性のある装飾体 - Google Patents

耐久性のある装飾体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱基材表面に着色図柄層を形成してなる耐久性ある装飾体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、セラミックの表面を加飾して食器や置物、住宅材等の多種多様な装飾セラミック体(製品)が生産されている。このような製品を作製する技術として、従来から無機顔料を水転写した後、焼結する方法や画像処理と昇華染料を用いた乾式転写を組み合わせた方法がある。
【0003】
しかしながら、水転写法は、無機顔料をシルクスクリーンで印刷するため、版下を作製する工程や焼成工程を必要とし、簡単かつ安価に製品を作製することは困難であった。また、画像処理と昇華染料による乾式転写とを組み合わせた方法も知られているが、この方法は、セラミック基板の表面に昇華染料が吸着できる樹脂層を予め固着させて転写下地を準備する必要があり、また、製品の形状や大きさに限度があるなど、作業性及び経済性に問題があった。更に、耐候性の高い製品を得ることも困難であった。なお、かかる従来の方法では、染料か転写下地のごく表面にしか浸透しないため、意匠の深みや表情に乏しく、暖かみのある製品を作成することも困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、意匠性が高く、深みや暖かみがあり、耐候性も耐久性も十分ある装飾体、特に装飾セラミック体を、簡便かつ安価に作製する技術を提供しようとして、種々検討を重ねた結果、離型シートの離型面にカバーコートとなる樹脂をコートした転写シートに電子トナーで画像を形成した後、セラミック体の表面に画像とカバーコート樹脂とを同時に熱転写する方法を見い出した。
【0005】
しかし、この熱転写シートは、カバーコートとして、熱可塑性の樹脂を主体とした樹脂層を離型紙に薄く塗布するものであり、しかも、図柄の鮮明さを得るために、アクリル系樹脂を選定すると、画像の鮮明さは優れているが、カバーコートでの紫外線透過が大きく、このため図柄の耐紫外線が弱いという欠点があった。そこで、樹脂層に紫外線吸収剤を混入する方法を採用したが、実際の屋外使用では1カ月も経たずに脱色が目立ってしまう場合があった。そこで、その原因を鋭意調査した結果、紫外線吸収剤が予想を越えるスピードで揮発していること、さらに、複雑な光反応によって色素が脱色することを見出した。
【0006】
更に、カバーコート樹脂は傷付きやすく、また、カバーコート樹脂上の汚れが取れにくいといった問題点を解決のため、熱転写した後に、表面に熱硬化性樹脂をコーティングする方法を本発明者らは提案していたが、この方法では、スプレー装置や塗布装置を必要とし、均一に塗膜を形成するに熟練を必要とするなどの問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決して、意匠性が高く、深みや暖かみがあり、耐候性も耐久性も十分ある装飾体、特に装飾セラミック体を、簡便かつ安価に、確実に提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック体等の耐熱基材表面に着色図柄層を形成してなる装飾体を、図柄層の表面を紫外線吸収能力の高い分子団を側鎖に有するアクリレートを含む樹脂からなるカバーコート層で覆われたものとすることにより上記課題を解決した。
【0009】
この製品は、離型シートの離型面に、紫外線吸収能力の高いアクリレートを含む樹脂を溶媒で希釈して塗布し、厚みが20〜50μmの樹脂層を形成し、溶媒を蒸発させて転写シートとし、この転写シートの樹脂層上に着色図柄を形成し、図柄を有する転写材となし、しかる後、耐熱基材の上に前記転写材の図柄面を載せ、加熱・加圧し、その後に離型シートを剥離し、前記図柄とカバーコート層を転写した基材を、130℃以上で30秒ないし5分程度の熱処理するという方法で、容易に得ることができる。
【0010】
例えば、パルプからなる紙に離型剤を塗布した離型紙またはポリオレフィンフィルム等の離型シートの離型面に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂を塗布、または必要に応じて密度の高い樹脂を中間に塗布し、しかる後、実質的に熱可塑性を有する樹脂をその上に塗布して、厚みが20〜50μm塗布の樹脂層で、紫外線吸収能の耐久性の高く、しかも、可視光線による光反応による退色を防ぐ樹脂層を形成して転写シートを製造し、この転写シートの樹脂面に、電子コピーやシルクスクリーン印刷等で所望の図柄を形成し、図柄を有する転写シートとし、しかる後、所望の基材上に前記図柄を有する転写シートの図柄面を載せ、加熱・加圧してその後に離型シートを剥離することによって図柄とカバーコートを転写して耐久性の高い、また、美観を備えた装飾体とするのである。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、基材として、130℃以上の加熱30秒で大きく変形したり、変質しない程度の耐熱性ある製品、例えばセラミック、ガラス、金属、フイルム、プラスチック、布、紙、木、コンクリート、セメント2次製品などがいずれも使用できる。しかし、基材は熱転写および熱硬化樹脂の熱処理温度に耐えて、温度、湿度の変化にも寸法が安定であることが、図柄を安定に転写する上から必要であり、また、製品(装飾体)の屋外における耐久性をも良好に保つためには、基材としてセラミック、ガラスを使用するのが好ましい。
【0012】
さらに、転写し易さの点から、表面の光沢率が20%以下の微細な凹凸のあるセラミックが好ましく用いられ、特に積層成形した薄型大判セラミック板は、5mm以下の薄板でも、強度が高く、軽量で扱い易く、しかも、表面の平面性、熱転写での樹脂膜保持性が良好であるので好適である。なお、かかる積層セラミック板は、大画面の製作に適すだけでなく、密度が2.0以上であり、下地の酸素透過性や湿度透過性が少なく、図柄の層の色素の光酸化が少ない点でも、使用し易い。また、自立性があるので、額縁や他の基材によるバッキング補強が必ずしも必要でなく、シンプルな装飾体として活用できる利点もある。
【0013】
なお、本発明において、離型シートとしては図柄を転写するために使用される通常の離型シート(離型紙や離型性を有するプラスチックフィルム等)がいずれも使用できるものであり、離型シートの離型面上に図柄層を形成するためには、前述した如く種々の方法が適用できる。電子トナーやインクジェットによる、いわゆるカラーコピーが手軽に、かつ安価に画像層を形成できるが、静電プロッターは大画面作製に適しており、またスクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷、平版印刷などは染料及び有機・無機顔料又は無機微粒子と定着樹脂に耐紫外線の強いものを選択使用でき、屋外用途に適用し易く、コスト面からも大量生産に向いている。また、手書きなどで図柄を作製してもよい。また装飾体を構成する図柄は、いわゆる絵画や写真など鑑賞的なものだけでなく、電子回路図などのように物理的機能(例えば電磁気機能)を有するものであってもよい。
【0014】
なお、図柄中の着色成分は、有機・無機の微粒子であって、着色しているものであればよく、電導性や蓄光性を持つものであってもよい。図柄が鑑賞用の場合には、光吸収能力の大きい有機系の染料又は顔料が、図柄の鮮明さの点から好ましく用いられるが、耐候性の点から、非水性のものを使用するのが好ましく、また、これらを固定するための定着樹脂としては、アクリル系、スチレン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリオレフィン系などの樹脂が使用できる。
【0015】
離型シート上には、転写後図柄のカバーコート層となる樹脂層を形成し、その上に転写する図柄を形成するのが一般的であるが、このカバーコート層としては、少なくとも図柄を形成する面を主として熱可塑性樹脂からなるものとするのが、熱転写による基材への図柄の固着性という点で好ましい。
【0016】
図柄作製方法は電子トナーやインクジェットによる、いわゆるカラーコピーやコンピューター駆動のカラープリンターが手軽に、かつ安価に画像層を形成できるが、静電プロッターは大画面作製に適しており、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版、平版などは顔料・染料およびその定着樹脂は耐紫外線の強いものが使え、屋外用途に好ましく、コスト面から大量生産に向いている。また、手書きなどで図柄を作製してもよい。
【0017】
前述のカバーコート層は図柄の鮮明度を保ち、かつ市販のカラコピー機にでも図柄を印刷できるように、樹脂の乾燥厚さを20〜40μmとするのが好ましいが、耐久性を重視してカバーコート層を2回重ねることも可能である。
【0018】
このような樹脂層の耐候性を高めるために、樹脂中に紫外線吸収剤を添加することは通常行われているが、熱転写時の高温処理と、またカバーコート層内の溶媒の揮発時に、添加された紫外線吸収剤は多量に揮発してしまい、また、屋外に置いておくと、短期間に紫外線吸収剤が揮発してしまうため、この方法は実用性がないことが判明した。
【0019】
なお、分子量が600位の紫外線吸収剤では長期屋外使用には耐えることができず、蒸気圧の少ない酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機質の紫外線吸収剤を用いると、カバーコート層が白濁する傾向があり、多量に使うことにも限界があった。
【0020】
本発明では、このような白濁を起こさず、熱転写でも性能が低下しない樹脂層を、紫外線吸収能力の高い分子団(例えばベンゾトリアゾール基)を側鎖に有するアクリレートを含む樹脂の使用により可能とした。
【0021】
カバーコート層の耐久性は紫外線に対するだけでなく、耐溶媒性、耐磨耗性も必要であり、このためにはカバーコート層の表面熱硬化性で架橋構造をもつ架橋型樹脂ものとすることにより、達成することができる。しかし、一方で、架橋剤成分と図柄層の色素が反応して光性を著しく低下させることがあるため、本発明では、カバーコート層を多層に形成し、図柄層に接する層反応性架橋剤を含まない熱可塑性樹脂で形成することによって、この問題が解決し、一層耐久性の高い装飾体の製造を可能とした。
【0022】
カバーコート層の架橋型樹脂は、水酸基を有する反応型アクリレートからなる樹脂で、樹脂中の水酸基価が1〜0.01mgモル/g樹脂であるアクリル系樹脂を使用するのが好ましく、架橋成分としてメラミン、イソシアネート、エポキシ、ウレタン、アルキッド、ポリエーテル、ポリエステル、シロキサン、オキサゾリン、多価アルコール及び酸無水物などを併用するのがよい。転写後の表面層は耐久性のみでなく、光沢など意匠性も必要であるので、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を好ましい比率で混合使用してもよい。
【0023】
カバーコート層は熱転写前はタックがなく、柔軟であってカラーコピー機にスムーズに通り、熱転写の130〜200℃で架橋反応が進み、常温では反応がほとんど進まないことが熱転写の操作安定から好ましい。このために高温で反応するメラミン、高温で反応するブロックイソシアネートによるウレタン、高温で反応するエポキシなどが好ましく使用される。
【0024】
カバーコート層は溶媒をほとんど含まないようにするのが好ましい。溶媒が多いと粘着性があるばかりでなく、熱転写時に高温にさらされたとき、トナーの樹脂層を溶解して反応性の高い架橋剤が色素と何らかの反応を起こして、光に敏感な色素との複合体を形成して太陽光の可視光によってもすぐに退色してしまうという問題がある。
【0025】
このような光退色には、酸素が関与する部分も確認でき、カバーコート層の樹脂の中に酸化防止剤を入れると、退色がかなり抑制されることが判明した。しかし、通常の酸化防止剤は、紫外線吸収剤と同じく、熱転写時およびその後の大気中への暴露で揮発しやすい。従って、カバーコート層を形成するアクリル系樹脂として、ヒンダードアミンを側鎖に有するハルスハイブリッド型アクリレートを使用するのが好ましい。
【0026】
また、カバーコート樹脂によって顔料への酸素移動を押さえるため、即ち酸素の拡散を防止するために、カバーコート層を3層以上の樹脂層とし、その中の一層にポリビニルアルコール、塩化ビニリデン系樹脂、紫外線硬化型樹脂等の緻密な樹脂層を設けることによって退色速度はさらに改善できる。また、基材に予めポリビニルアルコール、塩化ビニリデン系ラテックス、紫外線硬化樹脂等を固着してからカバーコート層を転写すると一層耐久性を高めることができる。
【0027】
光褪色には紫外線だけでなく、可視光線も作用する部分があるため、反応性の架橋剤を減らしたり、酸素移動を遅くしたりしても、光褪色を完全に防ぐことが難しい。このため、光で励起した色素のエネルギーをできるだけ取り除く工夫が必要となる。図柄層に接する樹脂層にはβ−カロチン、α−トコフェノール、トリプトファンなどの1重項酸素の消光剤およびNKX−113〔株式会社日本感光色素研究所製のビス(ジチオベンジル)ニッケル〕などの近赤外吸色素であって図柄層内色素の励起3重項の消光剤となる成分を0.1〜5%添加すると、さらに褪色速度が改善できる。なお、該消光剤は、図柄層を形成するトナー中に予め所定量を添加されてもよい。
【0028】
また、本発明の装飾体を得るには、離型シートの離型面に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂を塗布、または必要に応じて架橋密度の高い樹脂を中間に塗布し、しかる後、熱可塑性樹脂をその上に塗布して厚みが20〜50μmの樹脂層を形成して転写シートを形成し、該転写シートの樹脂面に電子コピーやシルクスクリーン印刷等の適当な手段で図柄を形成し、所望の図柄を有する転写シートとし、しかる後に、基材上に前記転写シートの図柄面を載せ、加熱・加圧し、その後に離型シートを剥離して、基材上にカバーコート層で覆われた図柄を転写すればよい。更に、必要に応じて、転写されたカバーコート層の上に、図柄を有する又は図柄のない転写シートを重ねて転写して、最初に転写された図柄の上にカバーコート層を2層に重ねたもの、または更に同一又は他の図柄を重ねて転写して本発明の装飾体を得てもよい。
【0029】
本発明の技術は、図柄とカバーコート層を一度に基材に熱転写するものであるが、すでに図柄が他の方法で基材に形成されているときには、その図柄の上にカバーコート層のみを熱転写することにより、図柄の耐久性を大幅に延ばすことができる。
【0030】
本発明の技術は、1回の熱転写に限定するものではなく、2回3回と重ねて転写することもできることも特徴の一つであって、耐久性の更なる向上のためだけではなく、違った図柄を重ねることによって立体的な奥行きがある図柄を作り出すことができる。
【0031】
基材はセラミック以外に、紙、キャンパス、フイルムなどに転写することも可能である。磁気シートを基材とした場合には、金属面に取り付け取り外しが自由な装飾体を得ることができ、用途が広がる。
【0032】
基材が金属やガラスのような平滑な場合には、カバーコート層との固着性を高めるために、図柄層に接するカバーコート層の樹脂層の固着性を改善するためにエポキシ樹脂やウレタン樹脂を混合するのが好ましい。
【0033】
本発明では、基材に直接転写シートを加熱、加圧して固着して図柄を熱転写するのが好ましいが、コンクリートやアスファルト等の路面や床あるいは壁面を直接基材とする場合には、基材に予め接着剤性を有する反応性樹脂または接着性樹脂を敷衍してから、本発明に従った図柄を有する転写シートの図柄面を密着させ、しかる後、離型シートを剥離して、装飾体としてもよい。この場合、耐磨耗性を高めるためにカバーコート層の上にさらに透明なアクリル系樹脂層等を敷衍してもよい。
【0034】
【実施例】
比較例1
比較例では、基材として5層の積層セラミック(東レ株式会社製の大型磁器板、厚み=3.5mm、表面反射率=1%、密度=2.1)をA3サイズにカットしたものを使用し、また、離型シートとしてパルプからなる紙にシリコーン系離型剤を塗布したものを使用した。まず、離型シートのその離型剤上に、反応性アクリレートからなるアクリル系樹脂〔日本触媒社製のユーダブルUV6010:ベンゾトリアゾール環を側鎖にもつ、水酸基価58(固形物基準)の反応性、ハルスハイブリッド型アクリレートからなる樹脂〕と高分子量のアクリル系樹脂〔日本触媒社製のユーダブルS5140:ラッカータイプのアクリル系樹脂〕を、固形分で2:1の割合で混合したものに、架橋剤としてメラミン(三井サイテック社製のサイメル303)をUV6010に対し固形分で10%混合し、得られた樹脂液をトルエン/キシレン溶媒で希釈して得たコーティング液を、基材に塗布し、乾燥後の厚みが30μmの樹脂層(カバーコート層となる)を形成して転写シートとする。この転写シートを、富士ゼロックス社製のカラーコピー機を通し、転写シートの樹脂層上に、浜田泰介画伯による赤富士の絵の写真を、電子コピーして、図柄を有する転写シートとした。前記基材上に、この転写シートの図柄面を載せ、130℃加熱・加圧し、その後に、離型シートを剥離し、さらに160℃で2分加熱養生することによって、カバーコート層に覆われた図柄を、基材上に安定して転写できた。転写された図柄は、光沢及び色調共に申し分ないできばえであった。この製品の図柄面(赤富士の絵)を西日の当たる屋外に放置したが、3カ月後も微妙な色調に全く変化なかった。
【0035】
比較例
基材および離型シートは、比較例1と同じものを用意し、離型シートに塗布する樹脂を高分子量のアクリル系樹脂(日本触媒社製のユーダブルS5140)のみとし、これに紫外線吸収剤チヌビン400(チバガイギー社製の分子量約600のベンゾトリアゾール系分子)を5%添加したものを、乾燥厚で30μmとなるように塗布した。得られた転写シートを、比較例1と同じ条件で基材に転写して屋外に放置したところ、約2週間後に図柄の赤み成分が少し褪色した。
【0036】
比較例
比較例と全く同じ条件で樹脂層に酸化防止剤としてチヌビン123〔チバガイギー社製のHALS(Hindard Amine Light Stabilizer)〕を1%添加した。図柄を転写した基材を屋外に放置したところ、約4週間後に図柄の赤みが少し退色していることが認められた。
【0037】
実施例
基材及び離型シート共に比較例1と同じものを準備し、離型シートの離型剤の上に、反応性アクリル系樹脂〔日本触媒社製のユーダブルUV6010〕に、架橋剤としてメラミン(三井サイテック社製のサイメル303)を固形分比率で25%となる割合で添加し、トルエン/キシレン溶媒で希釈したコーティング液を塗布し、乾燥後、さらにアクリル系樹脂〔日本触媒社製のユーダブルUV6540:非架橋型で、ベンゼントリアゾール環を側鎖に有し、かつハルスハイブリッド型であるアクリル系樹脂〕をトルエン溶媒で希釈したものを塗布し、乾燥して、全厚が30μmの樹脂層を形成し、転写シートとした。なお、ユーダブルUV6540には、NKZ−113を消光剤として0.2%添加した。
この転写シートに、比較例1と同様の方法で、案内地図をカラーコピーし、案内地図の図柄を有する転写シートとした。
この転写シートの図柄を比較例1と同様の方法で基材に熱転写し、その製品を屋外に放置したが、半年後も、図柄に実質的な変色は認められなかった。
【0038】
実施例
実施例と全く同じ条件で基材に図柄を転写した後、ポリビニルアルコールの水溶液を、転写した製品の表面に塗布、乾燥して厚さ約2〜3μmのポリビニルアルコール皮膜を形成した後、再度実施例と同じ転写シートのカバーコート樹脂(ただし、図柄を設けていないもの)を重ねて熱転写した。得られた製品を屋外に設置したが、1年後も図柄に変色は認められなかった。
【0039】
実施例
比較例1と同じ基材と離型シートを用意して、離型シートにまず紫外線硬化型のアクリル系樹脂を塗布し、紫外線を照射して少し硬化させ、その上に実施例と同じ樹脂層を塗布形成し、乾燥して全厚40μmの樹脂層を形成させた。この熱転写シートを用いて比較例1と同じ条件で装飾体を得て、これを屋外に設置したが、1年後も図柄に変色は認められなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明では、種々の図柄を有し、屋外でも安定して使用できる耐久性のある装飾体を容易に提供できる。

Claims (1)

  1. 耐熱基材表面に着色図柄層を形成してなるものであり、該図柄層が、紫外線吸収能力の高い分子団を側鎖に有するアクリレートを含む樹脂からなるカバーコート層で覆われており、前記カバーコート層が多層からなるものであり、前記図柄層に接する層が実質的に熱可塑性樹脂からなること、及び前記カバーコート層の表面側の層が架橋型樹脂からなることを特徴とする耐久性のある装飾体。
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