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JP3885757B2 - 乗員保護装置の起動制御装置 - Google Patents

乗員保護装置の起動制御装置 Download PDF

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JP3885757B2
JP3885757B2 JP2003105666A JP2003105666A JP3885757B2 JP 3885757 B2 JP3885757 B2 JP 3885757B2 JP 2003105666 A JP2003105666 A JP 2003105666A JP 2003105666 A JP2003105666 A JP 2003105666A JP 3885757 B2 JP3885757 B2 JP 3885757B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両衝突時に乗員を保護する乗員保護装置の起動を制御する乗員保護装置の起動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両には車両衝突時に乗員を保護するためのエアバッグ装置が搭載されている。このエアバッグ装置は、車両衝突時の衝撃を検出するセンサを有し、このセンサにより検出した衝撃に基づいて起動される。
【0003】
ところで車両の衝突形態には、正突、オフセット衝突等種々の衝突形態があるが、いかなる衝突形態の場合においても車両が衝突したことを検出することができるように、車両の複数の位置にセンサを配置して、この複数のセンサにより車両の衝突を検出してエアバッグ装置を起動させるエアバッグ装置が存在している(特開平5−38998号公報参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−38998号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のエアバッグ装置においては、いかなる衝突形態の場合においても車両の衝突を検出することができるが、衝突形態の判別を行っていないことから衝突形態に応じて的確にエアバッグ装置を起動させることが困難であった。
【0006】
この発明の課題は、車両の衝突形態を的確に判定し衝突形態に応じて的確に乗員保護装置を起動する乗員保護装置の起動制御装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置は、車両が衝突対象物に衝突した際に、この車両に搭載された乗員保護装置の起動を制御する乗員保護装置の起動制御装置であって、車両の左前部に設けられた第1の衝撃検出手段と、車両の右前部に設けられた第2の衝撃検出手段と、第1の衝撃検出手段及び第2の衝撃検出手段の検出値に基づいて、車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類すると共に、第1の衝撃検出手段の検出値と第2の衝撃検出手段の検出値とが異なるほど斜突である確度が高いとし、第1の衝撃検出手段の検出値と第2の衝撃検出手段の検出値とが近づくほど正突である確度が高いとする確度を求める確度演算手段と、確度演算手段により求められた確度に基づいて乗員保護装置の起動を制御する起動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の衝撃検出手段の検出値に基づいて、車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類すると共に、分類された衝突形態の確からしさを求める。従って、車両の衝突形態を精度良く判断することができ乗員保護装置を的確に起動することができる。
【0009】
また、請求項2記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段により衝突形態が斜突と分類され、かつ斜突の確度が求められた場合には、前記起動制御手段は、前記斜突の確度に対応した斜突閾値を参照して前記乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段により衝突形態がオフセット衝突と分類され、かつオフセット衝突の確度が求められた場合には、前記起動制御手段は、前記オフセット衝突の確度に対応したオフセット衝突閾値を参照して前記乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置において、確度演算手段は、第1の衝撃検出手段及び第2の衝撃検出手段の検出値に基づいて、車両の衝突形態を、衝突対象物が固い場合の不規則衝突であるODB衝突か、衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突であるORB衝突かに分類し、確度演算手段により衝突形態がODB衝突と分類され、かつODB衝突の確度が求められた場合には、起動制御手段は、ODB衝突の確度に対応したODB衝突閾値を参照して乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項4記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記ODB衝突閾値は、衝突発生からの減速速度が小さい領域においては、確度が高いODB衝突に対応する閾値が確度が低いODB衝突に対応する閾値に対して低く規定されており、衝突発生からの減速速度が大きい領域においては、確度が高いODB衝突に対応する閾値が確度が低いODB衝突に対応する閾値に対して高く規定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の乗員保護装置の起動制御装置は、確度演算手段は、車両に加わる衝撃を測定する衝撃測定手段の検出値に基づいて、衝突形態が車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きいソフトクラッシュの確度を求め、衝突形態がソフトクラッシュであると分類され、かつソフトクラッシュの確度が求められた場合には、起動制御手段は、ソフトクラッシュの確度に対応したソフトクラッシュ閾値を参照して乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項6記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記ソフトクラッシュ閾値は、衝突発生からの減速速度が小さい領域においては、確度が高いソフトクラッシュに対応する閾値が確度が低いソフトクラッシュに対応する閾値に対して低く規定されており、衝突発生からの減速速度が大きい領域においては、確度が高いソフトクラッシュに対応する閾値が確度が低いソフトクラッシュに対応する閾値に対して高く規定されていることを特徴とする。
【0015】
この請求項2〜請求項7記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、確度演算手段により、衝突形態が斜突、オフセット衝突、ODB衝突及びソフトクラッシュの中の何れかに分類され、分類された衝突形態の確度が求められる。起動制御手段は、分類された衝突形態の確度に対応する閾値を参照して乗員保護装置の起動を制御する。従って、的確なタイミングで乗員保護装置の起動を行うことができる。
【0016】
また、請求項8記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段が前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の検出手段の検出値比に基づいて、前記車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類すると共に、分類された衝突形態の確度を求めることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項8記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段が前記検出値比が大きい場合には前記車両の衝突形態を正突に分類し、前記検出値比が小さい場合には前記車両の衝突形態を斜突に分類し、前記検出値比が中間の場合には前記車両の衝突形態をオフセット衝突に分類することを特徴とする。
【0018】
この請求項8及び請求項9記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の検出手段の検出値比に基づいて、車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類するため、衝突形態を的確に分類することができる。
【0019】
また、請求項10記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置において、確度演算手段は、第1の衝撃検出手段及び第2の衝撃検出手段の検出値の初期偏重に基づいて、車両の衝突形態を、衝突対象物が固い場合の不規則衝突であるODB衝突、衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突であるORB衝突かに分類すると共に、車両の衝突形態をODB衝突に分類した場合に、初期偏重に基づいてODB衝突の確度を求めることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項10記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段が前記初期偏差が大きい場合には前記ODB衝突の確度が高いと判断し、前記初期偏差が小さい場合には前記ODB衝突の確度が低いと判断することを特徴とする。
【0021】
この請求項10及び請求項11記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の検出手段の検出値の初期偏差に基づいて、車両の衝突形態をODB衝突か又はORB衝突に分類すると共に、ODB衝突の確度を求めるため、衝突形態を的確に分類することができると共に的確な確度を求めることができる。
【0022】
また、請求項12記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段が前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の検出手段の検出値の差の大きさに基づいて、前記車両の衝突形態がODB衝突であることの判断をすると共に、前記車両の衝突形態がODB衝突と判断された場合に、前記検出値の差の大きさに基づいて前記ODB衝突の確度を求めることを特徴とする。
【0023】
また、請求項13記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項12記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段が前記検出値の差の大きさが大きい場合には前記ODB衝突の確度が高いと判断し、前記初期偏差が小さい場合には前記ODB衝突の確度が低いと判断することを特徴とする。
【0024】
この請求項12及び請求項13記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の検出手段の検出値の差の大きさに基づいて、車両の衝突形態がODB衝突であることの判断をすると共にODB衝突の確度を求めるため、衝突形態を的確に分類することができると共に的確な確度を求めることができる。
【0025】
請求項14記載の乗員保護装置の起動制御装置は、車両に配置された衝撃測定手段を更に備え、確度演算手段は、衝撃測定手段により測定された測定値のピークホールド値の積分値に対する衝撃測定手段の測定値の積分値の比で示される時間的変化波形の凹凸率に基づいて車両の衝突形態が衝突形態が車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きいソフトクラッシュか否かを判定し、車両の衝突形態がソフトクラッシュと判定された場合に、測定値の時間的変化波形の凹凸率に基づいてソフトクラッシュの確度を求めることを特徴とする。
【0026】
また、請求項15記載の乗員保護装置の起動制御装置は、請求項14記載の乗員保護装置の起動制御装置の前記確度演算手段が前記測定値の時間的変化波形の凹凸が大きい場合には前記ソフトクラッシュの確度が高いと判断し、前記測定値の時間的変化波形の凹凸が小さい場合には前記ソフトクラッシュの確度が低いと判断することを特徴とする。
【0027】
この請求項14及び請求項15記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、確度演算手段により、衝撃測定手段により測定された測定値の時間的変化波形の凹凸の状態に基づいて車両の衝突形態がソフトクラッシュか否かを判定し、ソフトクラッシュの確度を求めるため、衝突形態を的確に判断することができると共に的確な確度を求めることができる。
【0028】
また、請求項16記載の乗員保護装置の起動制御装置は、車両が衝突対象物に衝突した際に、この車両に搭載された乗員保護装置の起動を制御する乗員保護装置の起動制御装置であって、車両に配置された衝撃測定手段と、衝撃測定手段により測定された測定値のピークホールド値の積分値に対する衝撃測定手段の測定値の積分値の比で示される時間的変化波形凹凸率に基づいて車両の衝突形態が、車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きいソフトクラッシュか否かを判定するソフトクラッシュ判定手段と、ソフトクラッシュ判定手段により衝突形態がソフトクラッシュと判定された場合にソフトクラッシュ起動判定マップに基づいて乗員保護装置の起動を制御する起動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
この請求項16記載の乗員保護装置の起動制御装置によれば、ソフトクラッシュ判定手段により衝撃測定手段により測定された測定値の時間的変化波形の凹凸の状態に基づいて車両の衝突形態がソフトクラッシュか否かを判定する。従って、衝突形態がソフトクラッシュか否かの判断を精度良く行うことができ乗員保護装置を的確に起動することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明に関連する乗員保護装置の動制御装置について説明する。
【0031】
図1に示すように、エアバッグ装置の起動制御装置2は、エアバッグ装置36の起動を制御する装置であって、主として、制御回路20、フロントセンサ(第2の衝撃検出手段)30A,フロントセンサ(第1の衝撃検出手段)30B、フロアセンサ32、駆動回路34を備えている。
【0032】
このうち、フロントセンサ30A,30Bは、車両の前部に設けられているものであり車両に加わる衝撃の大きさを検出するための電子式のセンサであって、具体的には、車両に加わる減速度を検出して減速度に対応する時系列の減速度信号G'(t)を出力する。また、フロアセンサ32は、車両に加わり車体を介して伝達する衝撃を測定するためのいわゆる加速度センサであって、具体的には、車両に対して前後方向に加わる減速度を随時測定して、その測定値(減速度)を時系列の減速度信号G(t)として出力する。
【0033】
制御回路20は、中央処理装置(CPU)22、入出力回路(I/O回路)24、リード・オンリ・メモリ(ROM)26及びランダム・アクセス・メモリ28等を備えており各構成要素はバスで接続されている。このうち、CPU22はROM26に記憶されたプログラム等にしたがってエアバッグ装置36の起動制御を行なう。また、RAM28はフロントセンサ30A,30B,フロアセンサ32からの信号により得られたデータや、それに基づいてCPU22が演算した結果等を格納しておくためのメモリである。更に、I/O回路24はフロントセンサ30A,30B,フロアセンサ32からの信号の入力、駆動回路34に対する起動信号の出力等を行うための回路である。
【0034】
CPU22は、フロアセンサ32の検出値を基にして得られる値と所定の閾値とを比較し、その比較結果に基づいてエアバッグ装置36の起動を制御する起動制御部40と、フロントセンサ30A,30Bの検出値等に基づいて、車両46の衝突形態を特定する衝突形態特定部42として機能する。
【0035】
駆動回路34は、制御回路20からの起動信号によってエアバッグ装置36内のインフレータのスクイブ38に通電し点火させる回路である。更に、エアバッグ装置36は、点火装置であるスクイブ38の他、スクイブ38により点火されるガス発生剤(図示せず)や、発生したガスによって膨張するバッグ(図示せず)等を備えている。
【0036】
これら構成要素のうち、制御回路20、フロアセンサ32及び駆動回路34は、図2に示すECU(電子制御装置)44に収納されて、車両46内のほぼ中央にあるフロアトンネル上に取り付けられている。また、フロントセンサ30Aは、ECU44内のフロアセンサ32に対して右斜め前方の車両46の右フロントサイドメンバ上に配設され、フロントセンサ30Bは、フロアセンサ32に対して左斜め前方の車両46の左フロントサイドメンバ上に配設されている。
【0037】
次に、図3、図4及び図5を参照してCPU22において行われるエアバッグ装置の起動制御について説明する。図3に示すようにCPU22内の起動制御部40は、演算部58と起動判定部60とを備えている。フロアセンサ32は、車両46に対して前後方向に加わる減速度を随時測定して、その減速度を示す信号G(t)を出力する。起動制御部40の演算部58は、フロアセンサ32から出力された減速度G(t)を取得すると(図4のステップS10)、この減速度G(t)に所定の演算、即ち数式1、数式2による演算を施して演算値V10,Vnを求める(図4のステップS11)。ここでV10は衝突発生から衝突終了までの期間を10ms毎の区間に分割した、減速度G(t)の区間積分値であり、Vnは衝突発生から終了までに要する時間(nは、100ms程度の時間)の減速度G(t)の積分値、即ち、衝突発生からの速度変化(減速速度)である。
【0038】
【数1】
Figure 0003885757
【0039】
【数2】
Figure 0003885757
【0040】
次に、衝突形態特定部42は、各フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)をカルマンフィルタにより整形し、この整形した減速度信号及びフロアセンサ32から出力される減速度信号G(t)に基づいて図5のフローチャートに示す処理により衝突形態の特定を行う(図4のステップS12)。
【0041】
まず、衝突形態特定部42は、衝突形態が斜突か否かの判断を行う(ステップS20)。即ち、フロントセンサ30Aから出力される減速度信号G’(t)(右フロントG)及びフロントセンサ30Bから出力される減速度信号G’(t)(左フロントG)の立ち上がりの時間差が大きい場合((VS:衝突側フロントGに基づく積分値)×(TS:非衝突側フロントGの立ち上がり遅延時間)>(閾値))に、衝突形態を斜突と特定する。
【0042】
図6は、中速走行中に車両46の左前部に斜突が発生した場合の左フロントG及び右フロントGの変化の状態を示すグラフである。このグラフに示すように右フロントGの立ち上がりが左フロントGの立ち上がりに比較して遅延時間TSだけ遅れており、(VS)×(TS)>(閾値)の条件を満たすことから衝突形態を斜突と特定する。なお、この条件を満たさない場合には、斜突以外の衝突として更に衝突形態の特定が行われる。
【0043】
次に、衝突形態特定部42は、衝突形態がオフセット衝突か否かの判断を行う(ステップS21)。即ち、右フロントG及び左フロントGの立ち上がりに時間差がなく最大値の差が大きい場合(rR=VR1(衝突側フロントGの積分値)/VR2(非衝突側フロントGの積分値)>>1の条件を満たす場合)に、衝突形態をオフセット衝突と判定する。
【0044】
図7は、中速走行中に車両46の左前部にオフセット衝突が発生した場合の左フロントG及び右フロントGの変化の状態を示すグラフである。このグラフに示すように左フロントGと右フロントGは略同時期に立ち上がっているが最大値の差が大きくrR=VR1/VR2>>1の条件を満たすことから衝突形態をオフセット衝突と特定する。
【0045】
次に、衝突形態特定部42は、衝突形態をオフセット衝突と特定した場合には、オフセット衝突がORB衝突(衝突対象物が固い場合の不規則衝突)なのかODB衝突(衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突)なのかを特定する(ステップS22)。即ち、数式3に基づいて右フロントG、左フロントGから右フロントP、左フロントPを求め、(衝突側フロントPのピーク値)/(非衝突側フロントPのピーク値)>閾値、の場合に衝突形態をODB衝突と特定する。また、この条件を満たさない場合には衝突形態をORB衝突と特定する。
【0046】
【数3】
Figure 0003885757
【0047】
図8は、中速走行中に車両46の右前部にODB衝突が発生した場合の右フロントP及び左フロントPの変化の状態を示すグラフである。この場合には、グラフに示すように左フロントPと右フロントPの最初のピーク値の差が大きく(衝突側フロントPの最初のピーク値)/(非衝突側フロントPの最初のピーク値)>閾値、の条件を満たすことから衝突形態をODB衝突と特定する。
【0048】
また、図9は、低速走行中に車両46の右前部にORB衝突が発生した場合の右フロントP及び左フロントPの変化の状態を示すグラフである。この場合には、グラフに示すように左フロントPと右フロントPの最初のピーク値の差が小さく(衝突側フロントPのピーク値)/(非衝突側フロントPのピーク値)>閾値、の条件を満たさないことから衝突形態をORB衝突と特定する。
【0049】
次に、衝突形態特定部42は、衝突形態をオフセット衝突以外の衝突と特定した場合には、衝突形態がポール・アンダーライド衝突か否かの判断を行う(ステップS23)。即ち、車両46にポール衝突が発生した場合のフロアセンサ32の減速度信号G(t)に基づいて数式4によりP(t)を求め、P(t)の最初のピークの前後のG(t)の波形に基づいて衝突形態がポール・アンダーライド衝突か否かの判断を行う。
【0050】
【数4】
Figure 0003885757
【0051】
図10は、車両46にポール衝突が発生した場合のP(t)の波形及びG(t)の波形を示すものである。このグラフに示すように区間▲1▼(P(t)の極大値までの区間)のG(t)の時間平均G1と区間▲2▼(P(t)の極大値から極小値までの区間までの区間)のG(t)の時間平均G2とを比較した場合にG1>G2の関係があることから衝突形態をポール衝突と特定する。
【0052】
また、図11は、車両46に正突が発生した場合のP(t)の波形及びG(t)の波形を示すものである。このグラフに示すように区間▲1▼(P(t)の極大値までの区間)のG(t)の時間平均G1と区間▲2▼(P(t)の極大値から極小値までの区間までの区間)のG(t)の時間平均G2とを比較した場合にG1<G2の関係があることから衝突形態をポール・アンダーライド衝突以外の正突と特定する。即ち、衝突形態が斜突、ORB衝突、ODB衝突又はポール・アンダーライド衝突として特定されなかった場合には正突と特定される。
【0053】
起動判定部60においては、演算値V10,Vnにより定められる値が起動判定部60により記憶されている起動判定マップの何れかと比較される。即ち、起動判定部60には、衝突形態を斜突と特定した場合に選択される斜突マップ(図5のステップS24)、衝突形態をポール・アンダーライド衝突以外の正突と特定した場合に選択される正突(ハイ)マップ(図5のステップS25)、衝突形態をポール・アンダーライド衝突と特定した場合に選択されるポール・アンダーライドマップ(図5のステップS26)、衝突形態をODB衝突と特定した場合に選択されるODBマップ(図5のステップS27)及び衝突形態をORB衝突と特定した場合に選択されるORBマップ(図5のステップS28)が記憶されており、衝突形態特定部42において特定された衝突形態に応じて選択された、何れかの起動判定マップと比較される。
【0054】
なお、斜突マップ(図12(a)参照)は、車両46に中速の斜突が生じた場合においてもエアバッグ装置36が起動しない位置に閾値72が設けられている。正突(ハイ)マップ(図12(b)参照)は、車両46に低速の正突が生じた場合においてもエアバッグ装置36が起動しない位置に閾値74が設けられている。
【0055】
また、ポール・アンダーライドマップ(図13(a)参照)は、車両46に低速のポール衝突が生じた場合においてもエアバッグ装置36が起動しない位置に閾値76が設けられている。ODBマップ(図13(b)参照)は、車両46に低速のODB衝突が生じた場合においてもエアバッグ装置36が起動しない位置に閾値78が設けられている。ORBマップ(図13(c)参照)は、車両46に低速のORB衝突が生じた場合においてもエアバッグ装置36が起動しない位置に閾値80が設けられている。また、この判定マップはそれぞれ、横軸に演算値Vnを採ると共に縦軸に演算値V10を採ったものである。
【0056】
従って、起動判定部60は、起動判定マップの何れかと演算部58で求められた演算値V10,Vnにより定められる値とを比較して(図4のステップS13)、演算値V10,Vnにより定められる値が閾値を超えた時に、起動判定部60は駆動回路34(図1参照)に対して起動信号Aを出力する(図4のステップS14)。駆動回路34は、スクイブ38に通電し、スクイブ38でガス発生剤(図示せず)を点火させる。
【0057】
この乗員保護装置の起動制御装置によれば、衝突の形態をフロントセンサ30A,30Bにより検出された検出値に基づいて判断することから衝突の形態を早期にかつ的確に判断することがき、衝突の形態に応じて精度よくエアバッグ装置36を起動させることができる。
【0058】
なお、上記の乗員保護置の起動制御装置において、更に衝撃の激しさを判断してエアバッグ装置のインフレータの出力を変えるようにしてもよい。即ち、エアバッグ装置に2つのインフレータを設け衝突の激しさによりエアバッグ装置を1つ(低出力)又は2つ(高出力)のインフレータにより起動する。この場合に、衝突の激しさの判定は、図14に示すマップの閾値82を数式2により求めたVn及び数式5により求めたV5により定められる値が超えるか否かにより、超えた場合には衝突が激しいとしてインフレータを高出力にしてエアバッグ装置を起動し、超えない場合には衝突が激しくないとしてインフレータを低出力にしてエアバッグ装置を起動する。ここでV5は衝突発生から衝突終了までの期間を5ms毎の区間に分割した、フロントセンサで検出した減速度G'(t)の区間積分値である。
【0059】
【数5】
Figure 0003885757
【0060】
従って、衝突の形態に応じて精度よくエアバッグ装置を起動させることができると共に、衝突の激しさに応じて適切な出力でエアバッグ装置を起動させることができる。
【0061】
また、上述の乗員保護装置の起動制御装置においては、2つのフロントセンサ30A,30Bを設置しているが、2つに限らず3つのフロントセンサを設置するようにしてもよい。この場合には、3つめフロントセンサを車両中央部に設置することによりポール衝突を正確に検出することができる。
【0062】
また、上述の乗員保護装置の起動制御装置においては、2つのフロントセンサ30A,30Bを右フロントサイドメンバ上、左フロントサイドメンバ上に設置しているが、フロントセンサを車両前方のバンパの左右端部付近、左右フロントサイドメンバ前方付近、ダッシュパネル左右端部付近等のフロアセンサよりも車両前方の位置に適宜設置するようにしてもよい。
【0063】
次に、この発明の実施の形態にかかる乗員保護装置の起動制御装置について説明する。この実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置は、上記した本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置2と同一の構成を有する(図1〜図3参照)。
【0064】
図15は、エアバッグ装置の起動制御を説明するためのフローチャートである。起動制御部40の演算部58は、フロアセンサ32から出力された減速度G(t)を取得すると(ステップS30)、この減速度G(t)に所定の演算、即ち数式1、数式2による演算を施して演算値V10,Vnを求める(ステップS31)。
【0065】
次に、起動判定部60は、衝突形態特定部42から衝突形態に関する情報を取得し(ステップS32)演算値V10,Vnにより定められる値が起動判定部60により記憶されている起動判定マップの何れかと比較される(ステップS33)。
【0066】
即ち、起動判定部60には、起動判定マップとして正突・斜突マップ(図16)、正突・オフセット衝突マップ(図17)、オフセット衝突・ODB衝突マップ(図18)及び正突・ソフトクラッシュマップ(図19)が記憶されており、衝突形態特定部42から取得した衝突形態に関する情報に応じて選択された何れかの起動判定マップと比較される。ここでソフトクラッシュとは、車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きい衝突内の一形態であり、衝突初期には衝突による衝撃を左右のサイドメンバが比較的受けないことから車両前部の変形により衝撃が吸収され、衝突後期には衝突対象物がエンジン等の剛体まで達することから車両が受ける衝撃が大きくなるような衝突をいう。
【0067】
なお、衝突形態特定部42による衝突形態の判定が行われる前、即ち衝突発生直後は正突マップが選択されており、この正突マップと演算値V10,Vnにより定められる値が比較される。
【0068】
従って、起動判定部60は、起動判定マップの何れかと演算部58で求められた演算値V10,Vnにより定められる値とを比較して演算値V10,Vnにより定められる値が閾値を超えた時に、起動判定部60は駆動回路34(図1参照)に対して起動信号Aを出力する(ステップS34)。これにより駆動回路34は、スクイブ38に通電し、スクイブ38でガス発生剤(図示せず)を点火させる。
【0069】
衝突形態特定部42においては、各フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)をカルマンフィルタにより整形し、この整形した減速度信号及びフロアセンサ(衝撃測定手段)32から出力される減速度信号G(t)に基づいて衝突形態の特定を行う。この衝突形態の特定は、車両衝突を衝突初期と衝突中期とに分けて行う。即ち、図20にフロアセンサ32から出力される減速度信号G(t)の波形のグラフを示す。このグラフにおいて0〜T1までを衝突初期、T1〜T2までを衝突中期とする。
【0070】
まず、衝突初期においては、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の左右比に基づいて車両の衝突を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類する。即ち、図21に示すように、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の内、衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)がしきい値を超えた時点からフロントセンサ30A,30Bのそれぞれから出力される減速度信号G'(t)について数式6による演算を開始する。この演算は、衝突側のフロントセンサから出力された減速度信号G'(t)に基づく演算値VAが定数(車両ごとに設定される値)に達した時点で終了する。
【0071】
【数6】
Figure 0003885757
【0072】
次に、衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)に基づく演算値VAと非衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)に基づく演算値VBとの比、即ちVA/VBを求め、VA/VBの値に基づいて、衝突を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類する。即ち、図22に示すように、VA/VBの値が0〜0.3の場合には、VA/VBの値に基づいて斜突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類される。また、VA/VBの値が0.3〜0.6の場合には、VA/VBの値に基づいてオフセット衝突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類される。更に、VA/VBの値が0.6〜1.0の場合には、VA/VBの値に基づいて正突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類される。
【0073】
なお、確度とは、確からしさのことであり斜突の確度1は、衝突が斜突であることの確からしさが最も高いことを意味しており、斜突の確度3は、衝突が斜突であることの確からしさが最も低いことを意味している。同様に、正突の確度1は、衝突が正突であることの確からしさが最も高いことを意味しており、正突の確度3は、衝突が正突であることの確からしさが最も低いことを意味している。これに対してオフセット衝突の確度1は、衝突が斜突である可能性をも有する曖昧な場合でありオフセット衝突の確度3は、衝突が正突である可能性をも有する曖昧な場合である。
【0074】
ここで衝突が斜突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類された場合には、衝突形態特定部42から起動判定部60に対して、斜突の確度1、確度2,確度3の何れかが衝突情報として出力される。従って、この場合には、起動判定部60において、衝突情報に対応した斜突確度1マップ、斜突確度2マップ,斜突確度3マップの何れかのマップが選択される(図16参照)。また、衝突がオフセット衝突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類された場合には、衝突形態特定部42から起動判定部60に対して、オフセット衝突の確度1、確度2,確度3の何れかが衝突情報として出力される。従って、この場合には、起動判定部60において、衝突情報に対応したオフセット確度1マップ、オフセット確度2マップ,オフセット確度3マップの何れかのマップが選択される(図17参照)。
【0075】
一方、衝突が正突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類された場合には、衝突形態特定部42から起動判定部60に対して衝突情報の出力が行われないことから、起動判定部60において、起動判定マップとして正突マップが選択される(図16,図17参照)。
【0076】
また、衝突初期においては、上述の衝突形態の分類において衝突がオフセット衝突の確度1、確度2,確度3、正突の確度3に分類された場合に、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の初期偏重に基づいて、車両の衝突がORB衝突(衝突対象物が固い場合の不規則衝突)なのかODB衝突(衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突)なのかを特定する。
【0077】
即ち、図23に示すように、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の内、衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)がしきい値を超えた時点から衝突側の減速度信号G'(t)について数式6による演算を開始する。また、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の内、非衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)がしきい値を超えた時点から非衝突側の減速度信号G'(t)について数式6による演算を開始する。
【0078】
衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)に基づく演算は、演算値VAが定数(車両ごとに設定される値)に達した時点で終了し、非衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)に基づく演算は、演算値VBが定数(車両ごとに設定される値)に達した時点で終了する。
【0079】
次に、演算値VA及び演算値VBに基づいて、数式7を用いて平均加速度GAa,GBaの演算を行い、数式8を用いて演算値Rを演算する。
【0080】
【数7】
Figure 0003885757
【0081】
【数8】
Figure 0003885757
【0082】
次に、演算値Rの値に基づいて、衝突をORB衝突とODB衝突とに分類する。即ち、演算値Rの値が1〜1.1の場合には、衝突をORB衝突に分類し、演算値Rの値が1.1〜1.5の場合には、演算値Rの値に基づいてODB衝突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類される。即ち、衝突側の演算値VAと非衝突側の演算値VBとの初期偏重が大きいほどODB衝突である確率が高いとして分類される。
【0083】
ここでODB衝突の確度1は、衝突がODB衝突であることの確からしさが最も高いことを意味しており、ODB衝突の確度3は、衝突がODB衝突であることの確からしさが最も低いことを意味している。なお、ここで衝突がODB衝突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類された場合においても、この分類は仮の分類であり衝突形態特定部42から起動判定部60に対して衝突情報の出力は行われない。従って、この場合には起動判定マップとして正突マップ、オフセット衝突マップ又は斜突マップが用いられる。
【0084】
次に、衝突中期(図20参照)においては、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の左右差に基づいて車両の衝突をODB衝突の確度1、確度2、確度3の何れかに分類して衝突形態の確定を行う。なお、ODB衝突の確度1、確度2又は確度3への分類は、衝突初期においてODB衝突の確度1、確度2又は確度3の何れかに分類されている場合にのみ行われ、ORB衝突に分類されている場合には行われない。
【0085】
即ち、図25に示すように、フロントセンサ30A,30Bから出力される減速度信号G'(t)の内、衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)と非衝突側のフロントセンサから出力されたの減速度信号G'(t)との差を演算し、この値G''(t)がしきい値を超えた程度をGGapとする。
【0086】
次に、GGapの値に基づいて、衝突をODB衝突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類する(図26参照)。ここで衝突がODB衝突の確度1、確度2,確度3の何れかに分類された場合には、衝突形態特定部42から起動判定部60に対して、ODB衝突の確度1、確度2,確度3の何れかが衝突情報として出力される。従って、この場合には、起動判定部60において、衝突情報に対応したODB確度1マップ、ODB確度2マップ,ODB確度3マップの何れかのマップが選択される(図18参照)。
【0087】
また、衝突中期においては、フロアセンサ32から出力される減速度信号G(t)に基づいて車両の衝突がソフトクラッシュか否かの判断を行う。なお、このソフトクラッシュか否かの判定は、衝突初期において車両の衝突が正突の確度1、確度2、確度3又はオフセット衝突の確度3に分類された場合にのみ行われる。
【0088】
即ち、図27に示すように、フロアセンサ32から出力される減速度信号G(t)がしきい値1を超えた時点をT10、しきい値2を超えた時点をT11として、T10T11の範囲を横軸(0〜1)と縦軸(0〜1)とからなる正規化GT平面上に展開する。ここで減速度信号G(t)又は減速度信号G(t)のピークホールド波形G(t)PHが正規化GT平面内に設けられているしきい値を超えている場合には、車両の衝突がソフトクラッシュで有ることの確からしさ、即ち確度の判断は行わない。一方、減速度信号G(t)及び減速度信号G(t)のピークホールド波形G(t)PHが正規化GT平面内に設けられているしきい値を超えていない場合に車両の衝突がソフトクラッシュで有ることの確度の判断を行う。
【0089】
即ち、数式9に基づいてVA1及びVB1を求めると共に、数式10に基づいて凹凸率rを求める。
【0090】
【数9】
Figure 0003885757
【0091】
【数10】
Figure 0003885757
【0092】
そして、この凹凸率rに基づいて車両の衝突がソフトクラッシュで有ることの確度の判断を行う。即ち、車両の衝突がソフトクラッシュで有る確からしさが大きい場合には、凹凸率rが小さくなる(凹凸が大きい)ことから確度1に分類され、車両の衝突がソフトクラッシュで有る確からしさが小さい場合には、凹凸率rが大きくなる(凹凸が小さい)ことから確度3に分類される(図28参照)。
【0093】
ここで衝突がソフトクラッシュの確度1、確度2,確度3の何れかに分類された場合には、衝突形態特定部42から起動判定部60に対して、ソフトクラッシュの確度1、確度2,確度3の何れかが衝突情報として出力される。従って、この場合には、起動判定部60において、衝突情報に対応したソフトクラッシュ確度1マップ、ソフトクラッシュ確度2マップ、ソフトクラッシュ確度3マップの何れかのマップが選択される(図19参照)。
【0094】
なお、衝突後期(図20参照)において、衝突形態が中間的な場合には、図29に示すテーブルを参照して起動判定マップの選択を行う。例えば、正突の確度が1でソフトクラッシュの確度が1の場合には、ソフトクラッシュマップ1の選択を行い、正突の確度が2でソフトクラッシュの確度が2の場合には、ソフトクラッシュマップ2の選択を行う。また、正突の確度が3、ソフトクラッシュの確度が3、ODB衝突の確度が1の場合には、ODB衝突マップ2の選択を行う。
【0095】
従って、起動判定部60は、各時点において選択されている起動判定マップと演算部58で求められた演算値V10,Vnにより定められる値とを比較して、演算値V10,Vnにより定められる値が各時点において選択されている起動判定マップの閾値を超えた時に、起動判定部60は駆動回路34(図1参照)に対して起動信号Aを出力する。
【0096】
この実施の形態にかかる乗員保護装置の起動制御装置によれば、各衝突形態の確度を求め、この確度に基づいて起動判定マップを選択して起動判定を行うことから衝突の形態を的確に判断することがき、衝突の形態に応じて精度よくエアバッグ装置36を起動させることができる。
【0097】
なお、この実施の形態において、更に衝撃の激しさを判断してエアバッグ装置のインフレータの出力を変えるようにしてもよい。即ち、エアバッグ装置に2つのインフレータを設け衝突の激しさによりエアバッグ装置を1つ(低出力)又は2つ(高出力)のインフレータにより起動する。この場合に、衝突の激しさの判定は、図30に示すように、フロアセンサ32の測定値G(t)の初期(衝突開始からt0まで)の積分値を求め、この初期積分値から図31に示すグラフを参照して衝突速度を推定する。この推定された衝突速度を衝撃の激しさ(クラッシュシビアリティ)と考えて、衝突速度が各衝突形態ごとに定められる閾値を超えた場合には衝突が激しいとしてインフレータを高出力にしてエアバッグ装置を起動し、超えない場合には衝突が激しくないとしてインフレータを低出力にしてエアバッグ装置を起動する。
【0098】
また、この実施の形態におけるソフトクラッシュの判定に判定打ち切りのための条件を設定するようにしても良い。なおソフトクラッシュの判定は、フロントセンサ30A,30Bの出力に基づいて対称衝突であることが確定した場合に行われる。即ち、図32において、T12>Tc2の条件を満たす場合には、ソフトクラッシュの判定を行わないことによりODB衝突がソフトクラッシュと判定されるのを防止する。なお、図33に示すようにTc2の値は、ピークホールド値に基づいて決定される値である。
【0099】
また、この実施の形態において、ソフトクラッシュと判定された場合の起動判定マップとして図34に示す起動判定マップを用いても良い。この起動判定マップは、太実線で表示されている部分がハイ出力マップとしての性格を有し、鎖線で表示されている部分がロー出力マップとしての性格を有する。即ち、ソフトクラッシュの場合のフロアセンサ32の出力波形G(t)が太実線で表示されている部分と干渉した場合には、インフレータを高出力にしてエアバッグ装置を起動し、鎖線で表示されている部分と干渉した場合にはインフレータを低出力にしてエアバッグ装置を起動する。
【0100】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の衝撃検出手段の検出値に基づいて、車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類すると共に、分類された衝突形態の確からしさを求める。従って、車両の衝突形態を精度良く判断することができ乗員保護装置を的確に起動することができる。
【0101】
また、請求項2〜請求項7記載の発明によれば、確度演算手段により、衝突形態が斜突、オフセット衝突、ODB衝突及びソフトクラッシュの中の何れかに分類され、分類された衝突形態の確度が求められる。起動制御手段は、分類された衝突形態の確度に対応する閾値を参照して乗員保護装置の起動を制御する。従って、的確なタイミングで乗員保護装置の起動を行うことができる。
【0102】
また、請求項8及び請求項9記載の発明によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の検出手段の検出値比に基づいて、車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類するため、衝突形態を的確に分類することができる。
【0103】
また、請求項10及び請求項11記載の発明によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の検出手段の検出値の初期偏差に基づいて、車両の衝突形態をODB衝突か又はORB衝突に分類すると共にODB衝突の確度を求めるため、衝突形態を的確に分類することができると共に的確な確度を求めることができる。
【0104】
また、請求項12及び請求項13記載の発明によれば、確度演算手段により第1の衝撃検出手段及び第2の検出手段の検出値の差の大きさに基づいて、車両の衝突形態がODB衝突であることの判断をすると共にODB衝突の確度を求めるため、衝突形態を的確に分類することができると共に的確な確度を求めることができる。
【0105】
また、請求項14及び請求項15記載の発明によれば、確度演算手段により、衝撃測定手段により測定された測定値の時間的変化波形の凹凸の状態に基づいて車両の衝突形態がソフトクラッシュか否かを判定し、ソフトクラッシュの確度を求めるため、衝突形態を的確に判断することができると共に的確な確度を求めることができる。
【0106】
また、請求項16記載の発明によれば、ソフトクラッシュ判定手段により衝撃測定手段により測定された測定値の時間的変化波形の凹凸の状態に基づいて車両の衝突形態がソフトクラッシュか否かを判定する。従って、衝突形態がソフトクラッシュか否かの判断を精度良く行うことができ乗員保護装置を的確に起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置のブロック構成図である。
【図2】本発明に関連するエアバッグ装置のフロントセンサ等の車両搭載状態を説明するための図である。
【図3】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置の起動制御部等の詳細なブロック図である。
【図4】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置における起動制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置における衝突形態特定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において斜突が発生した場合の右フロントG及び左フロントGの変化の状態を示すグラフである。
【図7】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置においてオフセット衝突が発生した場合の右フロントG及び左フロントGの変化の状態を示すグラフである。
【図8】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において中速のODB衝突が発生した場合の右フロントG及び左フロントGの変化の状態を示すグラフである。
【図9】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において低速のORB衝突が発生した場合の右フロントG及び左フロントGの変化の状態を示すグラフである。
【図10】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置においてソフトクラッシュが発生した場合の減速度及び減速度に基づく値の変化の状態を示すグラフである。
【図11】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において正突が発生した場合の減速度及び減速度に基づく値の変化の状態を示すグラフである。
【図12】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において用いられる起動判定マップを示す図である。
【図13】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において用いられる起動判定マップを示す図である。
【図14】本発明に関連するエアバッグ装置の起動制御装置において用いられる衝突の激しさを判定するマップを示す図である。
【図15】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置における起動制御処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で用いられる起動判定マップを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で用いられる起動判定マップを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で用いられる起動判定マップを示す図である。
【図19】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で用いられる起動判定マップを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝突形態の判定手順を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置における衝突形態の判定に用いられるフロントセンサの出力波形を示すグラフである。
【図22】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝突形態の判定を説明するための図である。
【図23】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置における衝突形態の判定に用いられるフロントセンサの出力波形を示すグラフである。
【図24】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝突形態の判定を説明するための図である。
【図25】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置における衝突形態の判定に用いられるフロントセンサの出力波形を示すグラフである。
【図26】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝突形態の判定を説明するための図である。
【図27】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置における衝突形態の判定に用いられるフロントセンサの出力波形を示すグラフである。
【図28】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝突形態の判定を説明するための図である。
【図29】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝突形態の判定で用いるテーブルである。
【図30】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝撃の激しさの判定を説明するための図である。
【図31】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われる衝撃の激しさの判定を説明するための図である。
【図32】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われるソフトクラッシュ判定を説明するための図である。
【図33】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置で行われるソフトクラッシュ判定を説明するための図である。
【図34】本発明の実施の形態にかかるエアバッグ装置の起動制御装置でソフトクラッシュの場合に用いられる起動判定マップである。
【符号の説明】
2…エアバッグ装置の起動制御装置、20…制御回路、22…中央処理装置、24…入出力回路、26…ROM、28…RAM、30A,30B…フロントセンサ、32…フロアセンサ、34…駆動回路、36…エアバッグ装置、40…起動制御部、42…衝突形態特定部、44…ECU、46…車両。

Claims (16)

  1. 車両が衝突対象物に衝突した際に、この車両に搭載された乗員保護装置の起動を制御する乗員保護装置の起動制御装置であって、
    前記車両の左前部に設けられた第1の衝撃検出手段と、
    前記車両の右前部に設けられた第2の衝撃検出手段と、
    前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の衝撃検出手段の検出値に基づいて、前記車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類すると共に、前記第1の衝撃検出手段の検出値と前記第2の衝撃検出手段の検出値とが異なるほど斜突である確度が高いとし、前記第1の衝撃検出手段の検出値と前記第2の衝撃検出手段の検出値とが近づくほど正突である確度が高いとする確度を求める確度演算手段と、
    前記確度演算手段により求められた前記確度に基づいて前記乗員保護装置の起動を制御する起動制御手段と、
    を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装置。
  2. 前記確度演算手段により衝突形態が斜突と分類され、かつ斜突の確度が求められた場合には、前記起動制御手段は、前記斜突の確度に対応した斜突閾値を参照して前記乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  3. 前記確度演算手段により衝突形態がオフセット衝突と分類され、かつオフセット衝突の確度が求められた場合には、前記起動制御手段は、前記オフセット衝突の確度に対応したオフセット衝突閾値を参照して前記乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  4. 前記確度演算手段は、前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の衝撃検出手段の検出値に基づいて、前記車両の衝突形態を、衝突対象物が固い場合の不規則衝突であるODB衝突か、衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突であるORB衝突かに分類し、前記確度演算手段により衝突形態がODB衝突と分類され、かつODB衝突の確度が求められた場合には、前記起動制御手段は、前記ODB衝突の確度に対応したODB衝突閾値を参照して前記乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  5. 前記ODB衝突閾値は、衝突発生からの減速速度が小さい領域においては、確度が高いODB衝突に対応する閾値が確度が低いODB衝突に対応する閾値に対して低く規定されており、衝突発生からの減速速度が大きい領域においては、確度が高いODB衝突に対応する閾値が確度が低いODB衝突に対応する閾値に対して高く規定されていることを特徴とする請求項4記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  6. 前記確度演算手段は、車両に加わる衝撃を測定する衝撃測定手段の検出値に基づいて、衝突形態が車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きいソフトクラッシュの確度を求め、衝突形態がソフトクラッシュであると分類され、かつソフトクラッシュの確度が求められた場合には、前記起動制御手段は、前記ソフトクラッシュの確度に対応したソフトクラッシュ閾値を参照して前記乗員保護装置の起動を制御することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  7. 前記ソフトクラッシュ閾値は、衝突発生からの減速速度が小さい領域においては、確度が高いソフトクラッシュに対応する閾値が確度が低いソフトクラッシュに対応する閾値に対して低く規定されており、衝突発生からの減速速度が大きい領域においては、確度が高いソフトクラッシュに対応する閾値が確度が低いソフトクラッシュに対応する閾値に対して高く規定されていることを特徴とする請求項6記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  8. 前記確度演算手段は、前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の衝撃検出手段の検出値比に基づいて、前記車両の衝突形態を正突、オフセット衝突及び斜突の何れかに分類すると共に、分類された衝突形態の確度を求めることを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  9. 前記確度演算手段は、前記検出値比が大きい場合には前記車両の衝突形態を正突に分類し、前記検出値比が小さい場合には前記車両の衝突形態を斜突に分類し、前記検出値比が中間の場合には前記車両の衝突形態をオフセット衝突に分類することを特徴とする請求項8記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  10. 前記確度演算手段は、前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の衝撃検出手段の検出値の初期偏重に基づいて、前記車両の衝突形態を、衝突対象物が固い場合の不規則衝突であるODB衝突か、衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突であるORB衝突かに分類すると共に、前記車両の衝突形態をODB衝突に分類した場合に、前記初期偏重に基づいて前記ODB衝突の確度を求めることを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  11. 前記確度演算手段は、前記初期偏差が大きい場合には前記ODB衝突の確度が高いと判断し、前記初期偏差が小さい場合には前記ODB衝突の確度が低いと判断することを特徴とする請求項10記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  12. 前記確度演算手段は、前記第1の衝撃検出手段及び前記第2の衝撃検出手段の検出値の差の大きさに基づいて、前記車両の衝突形態が、衝突対象物が固い場合の不規則衝突であるODB衝突であることの判断をすると共に、前記車両の衝突形態がODB衝突と判断された場合に、前記検出値の差の大きさに基づいて前記ODB衝突の確度を求めることを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  13. 前記確度演算手段は、前記検出値の差の大きさが大きい場合には前記ODB衝突の確度が高いと判断し、前記初期偏差が小さい場合には前記ODB衝突の確度が低いと判断することを特徴とする請求項12記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  14. 前記車両に配置された衝撃測定手段を更に備え、前記確度演算手段は、前記衝撃測定手段により測定された測定値のピークホールド値の積分値に対する前記衝撃測定手段の測定値の積分値の比で示される時間的変化波形の凹凸率に基づいて前記車両の衝突形態が衝突形態が車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きいソフトクラッシュか否かを判定し、前記車両の衝突形態がソフトクラッシュと判定された場合に、前記測定値の時間的変化波形の凹凸率に基づいてソフトクラッシュの確度を求めることを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  15. 前記確度演算手段は、前記測定値の時間的変化波形の凹凸率が大きい場合には前記ソフトクラッシュの確度が高いと判断し、前記測定値の時間的変化波形の凹凸率が小さい場合には前記ソフトクラッシュの確度が低いと判断することを特徴とする請求項14記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  16. 車両が衝突対象物に衝突した際に、この車両に搭載された乗員保護装置の起動を制御する乗員保護装置の起動制御装置であって、
    前記車両に配置された衝撃測定手段と、前記衝撃測定手段により測定された測定値のピークホールド値の積分値に対する前記衝撃測定手段の測定値の積分値の比で示される時間的変化波形凹凸率に基づいて前記車両の衝突形態が、車両に及ぼされる衝撃が衝突初期よりも衝突後期の方が大きいソフトクラッシュか否かを判定するソフトクラッシュ判定手段と、前記ソフトクラッシュ判定手段により衝突形態がソフトクラッシュと判定された場合にソフトクラッシュ起動判定マップに基づいて前記乗員保護装置の起動を制御する起動制御手段と、
    を備えることを特徴とする乗員保護装置の起動制御装置。
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