JP3885522B2 - 可変バルブタイミング装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁ブレーキによる摩擦制動により、クランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させてバルブタイミングを可変制御する可変バルブタイミング装置の摩擦材耐久性向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電磁ブレーキによる摩擦制動により、クランク軸に対するカム軸の回転位相(以下単に回転位相という)を変化させる構成のエンジンの可変バルブタイミング装置が知られている(特開平10−153105号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の可変バルブタイミング装置では、エンジン高負荷時等に長時間大きな電磁ブレーキによる摩擦制動力を与え続けると、電磁ブレーキのクラッチ面の摩擦係数が低下し、このような状態が連続すると耐久寿命も短くなってしまう。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、電磁ブレーキ式の可変バルブタイミング装置において、摩擦制動力を適正に調整してクラッチ面の摩擦係数の低下や耐久寿命の低下を抑制することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、
電磁ブレーキによる摩擦制動によりクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、バルブタイミングを可変制御する内燃機関の可変バルブタイミング装置において、
前記電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるようにバルブタイミング制御量を補正することにより、電磁ブレーキの温度上昇を抑制し、該電磁ブレーキのクラッチ面の摩擦係数の温度上昇による低下を抑制するようにしたことを特徴とする。
【0005】
請求項1に係る発明によると、
電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、バルブタイミング制御量を電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるように補正することにより、該電磁ブレーキ温度の過度の上昇を抑制でき、以って電磁ブレーキの摩擦制動力を発生するクラッチ面の摩擦係数の低下を抑制できると共に、電磁ブレーキの耐久性を向上できる。
【0006】
具体的には、電磁ブレーキ非作動時におけるバルブタイミングの初期位置からの変換量(一般的に吸気弁の場合は進角量、排気弁の場合は遅角量)を減少補正することで、電磁ブレーキのクラッチ面の摩擦制動による発熱量を減少させて温度上昇を抑制できる。
また、請求項2に係る発明は、電磁ブレーキによる摩擦制動によりクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、バルブタイミングを可変制御する内燃機関の可変バルブタイミング装置において、
前記電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるようにバルブタイミング制御量を補正すると共に、要求エンジントルクが所定以上高いときは、前記電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるバルブタイミング制御量の補正を禁止することを特徴とする。
請求項2に係る発明によると、電磁ブレーキの耐久性確保とトルク重視とを、切り換えによって行うことにより、制御を単純化できる。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、
電磁ブレーキによる摩擦制動によりクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、バルブタイミングを可変制御する内燃機関の可変バルブタイミング装置において、
前記電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるようにバルブタイミング制御量を補正すると共に、前記所定温度をエンジンオイルの劣化度合いに応じて可変に設定することを特徴とする。
エンジンオイルは使用時間が経過するとともに、オイルシール材として使用される銅材がオイルに溶け出してくる。この成分が電磁ブレーキのクラッチ面上でクラッチの素材と化学反応を起こし、摩擦制動力を低下させてしまう。この化学反応は、高温になるほど強く起こる。
そこで、請求項3に係る発明によると、前記電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させる所定温度を、エンジンオイルの劣化度合いが大きいときは、より低温側に設定することにより、化学反応が進行しにくくし、摩擦材の劣化を効果的に防止することができる。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、
前記電磁ブレーキの温度を、少なくともエンジン温度に基づいて推定することを特徴とする。
請求項4に係る発明によると、
前記電磁ブレーキの温度は、エンジン温度(オイル温度や水温)からの伝熱分が大きく寄与しているので、少なくともエンジン温度に基づいて電磁ブレーキの温度を推定できる。なお、上記バルブタイミング制御量も併用して推定することにより、より精度が向上する。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、
前記電磁ブレーキの温度を、少なくともエンジン回転速度に基づいて推定することを特徴とする。
請求項5に係る発明によると、
前記電磁ブレーキの温度は、エンジン回転速度にも寄与している(エンジン回転速度の増大に応じてカム軸回転速度が増大すると、単位時間あたりのクラッチ面での相対回転滑り量が増大して発熱量が増大する)ので、少なくともエンジン回転速度に基づいて電磁ブレーキの温度を推定できる。
また、請求項6に係る発明は、
前記電磁ブレーキの温度を、バルブタイミング制御量にも基づいて推定することを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明によると、
電磁ブレーキの摩擦による温度上昇分は摩擦制動力を決定するバルブタイミング制御量に基づいて推定することができるので、前記エンジン温度やエンジン回転速度と併用してバルブタイミング制御量にも基づいて電磁ブレーキの温度を推定することにより、より精度が向上する。
また、請求項7に係る発明は、
前記電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるバルブタイミング制御量の補正量を、要求エンジントルクに応じて設定することを特徴とする。
請求項7に係る発明によると、
要求エンジントルクが大きいときは、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるバルブタイミング制御量の補正量を小さくするなどの設定を行うことにより、電磁ブレーキの耐久性を確保しながら、加速等トルクが必要な場合にはトルクを満たすような設定とすることができる。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、
前記要求エンジントルクを、アクセル開度によって算出することを特徴とする。
請求項8に係る発明によると、
簡易に要求エンジントルクを算出することができる。
【0014】
また、請求項9に係る発明は、
前記請求項3における所定温度をエンジンオイルの劣化度合いが大きいときほど低温に設定することを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明によると、
上記化学反応の進行をエンジンオイルの劣化度合いが大きいときほど低温に設定することで、必要かつ十分に電磁ブレーキの摩擦制動力の減少補正制御が行われ、エンジン性能を確保しつつ摩擦材の劣化を効果的に防止することができる。
また、請求項10に係る発明は、
前記エンジンオイルの劣化度合いをエンジンオイル交換時からの走行距離に応じて推定することを特徴とする。
【0016】
エンジンオイルの劣化(既述の銅材の溶け込み)は、新品時からの使用時間の増大すなわちエンジンオイル交換時からの走行距離に応じて増大するため、該走行距離に基づいて、容易かつ精度よくエンジンオイルの劣化度合いを推定できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態における電磁ブレーキを用いる可変バルブタイミング装置の断面と制御系を示し、図2は、該装置の各部の機能を明瞭にした概略構成を示す。ここでは吸気弁のバルブタイミングを可変制御するものについて説明する。排気弁のバルブタイミングを可変制御するものについても構造的には同様であるが、電磁ブレーキの摩擦制動力を効かせたときの進遅角の制御方向が反対となる。
【0018】
図において、図示しないシリンダヘッドに対して回転可能に支持されるカム軸1の端部1aの延長線上には、筒状の伝達部材2が、係合ピン3により周り止め係合された上でボルト4により連結固定されている。
前記伝達部材2の軸周に回転可能にスプロケット5が支承される。該スプロケット5はカム軸1に対して相対回転可能に支承され、エンジンのクランク軸の回転にタイミングチェーンを介して連動して同期回転する。
【0019】
前記スプロケット5の回転が、以下に説明する伝達機構を介して前記伝達部材2に伝えられる。
カム軸1と同軸に、フランジ6aを有する筒状のドラム6が設けられ、このドラム6とスプロケット5との間には、ドラム6の回転位相を進ませる方向(排気弁用の場合は遅角方向)に付勢するリターンスプリングとしてのコイルスプリング7が介装されている。即ち、スプロケット5にはケース部材8が固定され、コイルスプリング7の一端部(図示右端部)は、このケース部材8に固定され、コイルスプリング7の他端部は、ドラム6のフランジ6aに固定されている。
【0020】
前記ドラム6とケース部材8の対向する端部には、それぞれ相互の相対回転量を規制するストッパ6b,8aが設けられる(ケース部材8について図3参照)。
また、伝達部材2の外周面に形成されたギア2aと、筒状のピストン部材9の内周に形成されたギア9aとが、はすばギヤによるヘリカル機構により噛み合っている。
【0021】
一方、ピストン部材9の図示左端部外周面には雄ネジ9b、ドラム6の内周面には雌ネジ6cが、それぞれ3条程度ずつ形成されていて、この両者はねじ作用により噛み合っている。また、ピストン部材9の図示右端部外周面に形成されたギア9cと、ケース部材8の内周面に形成されたギヤ8bとが、はすばギヤによるヘリカル機構により噛み合っている。
【0022】
ドラム軸受部材10は、伝達部材2の外周面とドラム6の内周面との間に介装され、この両者の相対回転を軸受する。なお、ドラム軸受部材10外周部は、ドラム6に嵌合された環状の爪部材11と、伝達部材2の端部外周面にネジ止めされたナット12とに係合して、軸方向の動きが規制されている。
また、ドラム6の外側(図示左側)に位置して、電磁ブレーキ13がエンジン本体に固定して配設される。該電磁ブレーキ13は、ドラム6のフランジ6aと対向する面に摩擦部材13aを貼り付けたクラッチ部材13bを有し、通電時に該クラッチ部材13bが前記フランジ6a方向に伸びて該フランジ6aの端面に押しつけられるようになっている。
【0023】
かかる可変バルブタイミング装置の基本的な動作を説明する。
前記電磁ブレーキ13が通電されていないとき(制御電流=0)は、前記コイルスプリング7の付勢力によってドラム6が、ストッパ6b,8aの一方の突き当たり位置で規制される位置に保持され、このとき、カム軸1はクランク軸に対して最も遅角した位置に保持される。
【0024】
上記、最遅角位置を基準としてカム軸1を、目標角度進角させて目標バルブタイミングに制御するときは、電磁ブレーキ13を通電し、クラッチ部材13bをドラム6のフランジ面6aに押しつけて摩擦制動を作用させる。これにより、ドラム6は、クランク軸に同期するスプロケット5の回転に対して遅れを生じ、その結果、雄ねじ9bと雌ねじ6cとで噛み合っているピストン部材9は、カム軸1の軸方向に(図示左側から右側に)移動する。
【0025】
ピストン部材9は、ケース部材8と伝達部材2とに、互いに逆向きの角で切られた前記のヘリカル機構により噛み合っており、ピストン部材9が前記軸方向に移動すると、上記逆向き角に切ってあるヘリカルの歯スジに沿って、ケース部材8に対して伝達部材2が進角方向に相対回転し、引いてはスプロケット5と同期回転するクランク軸に対してカム軸1が進角方向に相対回転する。ここで、外周側と内周側とに設けた2つのヘリカル機構のうち、1つは真直ぐなスプライン機構で構成することもできるが、逆向き角に切った2つのヘリカル機構を設けることで、より大きく進角させることができる。
【0026】
そして、電磁ブレーキ13への電流値を増大させ、コイルスプリング7の付勢力に対する制動力(滑り摩擦)を増大させるほど、カム軸1の回転位相が進角側(排気弁用では遅角側)に変更されることになる。
上記のように、電磁ブレーキ13による制動力に応じて決まるドラム6の回転遅れ量によってカム軸1の回転位相がスプロケット5(クランク軸)に対して変わるものであり、前記電磁ブレーキ13による制動力は、電磁ブレーキ13に供給される制御電流を、例えばデューティ制御することで回転位相の変化量(進角量、排気弁用では遅角量)を連続的に制御できる。
【0027】
さらに、前記カム軸1若しくはカム軸1に連結された回転部材の回転方向にエンジン気筒数に対応した数の突起(被検出部)1bが等間隔に形成される。例えば、V型6気筒エンジンの場合、左右バンクに対応した左右2本のカム軸1にそれぞれ120°間隔で3個の突起1bが形成される。そして、これらカム軸1の外周に近接して前記突起1bを検出するカムセンサ21が設けられる。
【0028】
前記電磁ブレーキ13への通電を制御して吸・排気弁のバルブタイミングを制御するマイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット22には、前記カムセンサ21の他、エンジンの吸入空気量を検出するエアフローメータ23、クランク回転を検出するクランク角センサ24、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ25、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ26等からの検出信号が入力される。
【0029】
そして、前記コントロールユニット22は、前記センサ類からの検出信号に基づいて検出されたエンジン運転状態(回転速度,負荷,水温等)に基づいて、吸・排気弁の目標バルブタイミングを設定し、該目標バルブタイミングに対応したカム軸の目標回転位相が得られるように、前記クランク角センサ24からの信号と、前記カムセンサ21からの信号とに基づいて回転位相を検出しつつ目標回転位相と一致するように電磁ブレーキ13の制御電流を制御する。
【0030】
そして、本発明に係る構成として、電磁ブレーキクラッチ面の摩擦係数の低下や耐久寿命の低下を抑制する摩擦制動力を適正に調整するVTC制御を行う。以下では、前記検出されるカム軸1とスプロケット5との相対回動位置(回転位相)を可変バルブタイミング制御装置(VTC)の実角度(初期値に対する変換角)、その目標値をVTCの目標角度として説明する。
【0031】
図4は、前記本発明に係るクラッチ面温度による補正制御を含むVTC制御のフローチャートを示すが判りやすくするため、該VTC制御の説明に先立ち、前記補正制御に必要なクラッチ面温度推定演算を、図5のフローチャートに従って説明する。
ステップ21では、VTC目標角度VTCTRGが0(VTC非作動時)でないかを判定する。クラッチ部材13bのクラッチ面の温度は、VTCの作動時(電磁ブレーキON時)と非作動時(電磁ブレーキOFF時)とでは異なるので、前記判定を行う。
【0032】
VTC目標角度VTCTRGが0でない、つまりVTC作動時と判定されたときには、クラッチ面温度推定演算を行うためステップ22以降へ進む。
ステップ22では、クラッチ面温度に寄与するクラッチ面温度油温要素分のゲインである油温感度パラメータGOILを、クラッチ温度を算出するため必要な油温(エンジンオイル温度)であるクラッチ温度算出油温VTTOILと、油温オフセット(基準油温)OFSTOIL♯との偏差に応じて、次式のように算出する。
【0033】
GOIL=DGDT♯×(VTTOIL−OFSTOIL♯)+OFSGRAD♯
DGDT♯:温度−切片変換係数
OFSGRAD♯:切片オフセット(基準油温OFSTOIL♯での感度)
ステップ23では、クラッチ面温度に寄与するクラッチ面温度油温要素分FSKOILを次式のように算出する。
【0034】
FSKOIL=VTTOIL+(FSSTT♯−OILSTT♯)×GOIL
FSSTT♯:基準クラッチ面温度
OILSTT♯:基準油温
ステップ24では、クラッチ面温度に寄与するVTC角度要素分のゲインである前記VTC角度パラメータGNOWを算出する。該VTC角度要素分のゲインは、エンジン回転速度により変化するため、実エンジン回転速度HNRPMとエンジン回転速度オフセット(基準エンジン回転速度)OFSNE♯との偏差に応じて、次式のように算出する。
【0035】
GNOW=DTDNE♯×(HNRPM−OFSNE♯)+OFSDT♯
DTDNE♯:エンジン回転速度−温度上昇率変換係数
OFSDT:温度変換率オフセット(基準エンジン回転速度における温度変換率)
ステップ25では、クラッチ面温度に寄与するVTC角度要素分FSKNOWを、次式のように算出する。
【0036】
FSKNOW=(VTCNOW−NOWST♯)×GNOW
VTCNOW:VTC実角度
NOWST♯:VTC基準角度
ステップ26では、クラッチ面温度に寄与するエンジン回転速度要素分FSKNEを、次式のように算出する。
【0037】
FSKNE=(HNRPM−NEST♯)×GNE♯
NEST♯:基準エンジン回転速度
GNE♯:エンジン回転速度感度パラメータ
ステップ27では、前記油温要素分FSKOIL、VTC角度要素分FSKNOW、エンジン回転速度要素分FSLNEを加算して、VTCクラッチ面平衡温度FSEQTを算出する。
【0038】
FSEQT=FSKOIL+FSKNOW+FSKNE
また、ステップ21でVTC目標角度VTCTRGが0、つまり、VTC非作動時は、クラッチ摺動による熱が発生しないので、クラッチ面温度は油温と同等となり、ステップ28では、クラッチ温度算出油温VTTOILをクラッチ面平衡温度FSEQTとしてセットする。
【0039】
ステップ29では、クラッチ面温度変化は一時遅れとして扱うことができるため、クラッチ面平衡温度FSEQTに対して一時遅れ処理を行い、クラッチ面推定温度FSESTを算出する。
FSEST=(1−TCFS♯)×FSESTz+TCFS♯FSEQT
TCFS♯:クラッチ面温度上昇時定数
FSESTz:FSESTの前回値
ステップ30では、上記のように算出されたクラッチ面推定温度FSESTを用いてクラッチ面温度の高温判定を行う。すなわち、クラッチ面推定温度FSESTが所定温度HITFTS♯以上か否かを判定する。
【0040】
そして、ステップ30でFSEST≧HITFTS♯の条件が成立した場合、及び、一旦該条件が成立した後、ヒステリシスを付けたFSEST≧HITFTS♯−10°Cが成立した場合は、ステップ31へ進み、前記クラッチ面高温判定フラグ♯HIFSTを1にセットする。
ステップ30でFSEST≧HITFTS♯の条件が成立していない場合、または、一旦該条件が成立した後、ヒステリシスを付けたFSEST<HITFTS♯−10°Cが成立した場合は、クラッチ面温度が高温でないと判断してステップ33へ進み、クラッチ面高温判定フラグ♯HIFSTを0にリセットする。
【0041】
次に、前記図4のフローチャートに従ってVTC制御を説明する。
ステップ1では、前記のように設定されたクラッチ面高温判定フラグ♯HIFSTが1、つまりクラッチ面が所定温度以上の高温状態となっているかを判定する。
♯HIFST=1のとき(高温時)はステップ2へ進み、高負荷判定フラグFFULAP0が0となっているかを判定する。該高負荷判定フラグFFULAP0は、例えば、加速時など前記アクセル開度センサ26によって検出されるアクセル開度が全開に近い所定開度以上となったことを検出したときに1にセットされるようになっている。
【0042】
前記高負荷判定フラグFFULAP0が0と判定された場合は、摩擦制動力の減少補正制御を実行するため、ステップ3以降へ進む。
ステップ3では、後述するクラッチ面温度演算ルーチンで算出されたクラッチ面推定温度FSESTの、クラッチ面高温判定温度HITFTS♯に対するクラッチ温度偏差量FSTHT(=FSEST−HITFTS♯)を算出する。
【0043】
ステップ4では、単位VTC角度(変換角)当たりのクラッチ面温度変化量を表すVTC角度感度パラメータGNOWが0でないかを判定する。
VTC角度パラメータGNOWが0でないときは、ステップ5へ進み、クラッチ保護遅角量VTFTHを、次式のように前記クラッチ温度偏差量FSTHTを前記VTC角度感度パラメータGNOWで除算して算出する。
【0044】
VTFTH(degCA)=FSTHT(°C)/GNOW(°C/degCA)
ステップ6では、上記のように算出されたクラッチ保護遅角量VTFTHにP分ゲインKPFTVT♯を乗じて、クラッチ保護遅角量のP分制御量VTFTPを算出する。
VTFTP=VTFTH×KPFTVT♯
ステップ7では、同じくクラッチ保護遅角量VTFTHとIゲインKIFTVT♯とにより、クラッチ保護遅角量VTFTHのI分制御量VTFTIを次式のように算出する。
【0045】
VTFTI=VTFTH×KIFTVT♯+VTFTIz
VTFTIz:VTFTIの前回値
ステップ8では、前記P分制御量VTFTPと、I分制御量VTFTIとを加算して、クラッチ保護遅角量VTFTHのフィードバック制御量VTFFTHを算出する。
【0046】
VTFFTH=VTFTP+VTFTI
ステップ9では、前記フィードバック制御量VTFFTHが0以上に保持されるように、下限リミッター処理を行う。
ステップ10では、VTC基本目標角度BASTRGから上記下限リミッター処理したフィードバック制御量VTFFTHを減算補正して、VTC補正後基本目標角度BSTRGを算出する。
【0047】
BSTRG=BASTRG−VTFFTH
ステップ11では、前記減算補正したVTC補正後基本目標角度BSTRGが、ストッパで規制される最遅角位置より小さくならないように下限リミッター処理を行う。
また、ステップ4で前記VTC角度感度パラメータGNOWが0のときは、ステップ5でのGNOW=0による割り算を回避するため、ステップ12へ進んでクラッチ面保護遅角量のフィードバック制御量VTFFTHを上限値(制御量を1バイトとした場合[FF])とする。
【0048】
一方、ステップ1で♯HIFSTが0のときは、現状のクラッチ面温度が低く、摩擦係数に影響を与えるほど高くならないと判断し、また、ステップ2で高負荷判定フラグFFULAP0が1と判定された場合は、急加速時など摩擦制動力の減少補正制御を禁止しなければならないほど要求エンジントルクが高と判断し、共に前記クラッチ面温度に基づく補正制御を行わないのでステップ13ヘ進み、前記VTC基本目標角度BASTRGを、VTC補正後基本目標角度BSTRGに設定する。
【0049】
このようにすれば、エンジンの出力要求が極めて高いときのみ、該要求を満たすように通常のVTC制御を確保しつつ(クラッチ面が高温になるとしても時間的には短い)、それ以外では、クラッチ面温度を推定しつつ基準温度以下に維持されるようにフィードバック制御することで、クラッチ面摩擦係数の低下を抑制し、クラッチの耐久性を高めることができる。
【0050】
図6、図7は、上記実施形態によるクラッチ面温度に基づくVTC補正制御を行ったときの各種状態の変化の様子を示す。クラッチ面推定温度FSESTが所定温度HITFTS♯以上になると補正制御が開始され、VTC基本目標角度BASTRGをVTC補正後基本目標角度BSTRGに切り換えつつ所定温度HITFTS♯近傍に維持する制御が行われる。
【0051】
また、図7に示すように、クラッチ面推定温度FSESTが所定温度HITFTS♯以上のときでも、高負荷判定フラグFFULAP0がセットされるような所定以上の高負荷時には、前記補正制御が禁止されVTC基本目標角度BASTRGを維持する制御を優先してエンジン出力が確保される。
なお、上記実施形態では、要求エンジントルクが所定以上大きいときに前記補正制御を禁止するようにしたが、要求エンジントルクの大きさに応じて補正制御量を可変に設定する構成としてもよい。
【0052】
また、既述したように、エンジンオイルが劣化するとオイル中に含有する銅分が増大して、該銅成分がクラッチ面の素材と化学反応を起こしてクラッチ面の劣化を進行させ、該化学反応は高温時ほど強く生じるので、前記実施形態で補正制御を禁止する所定温度HITFTS♯をエンジンオイルの劣化度合いが大きいときほど低温側に補正して設定する構成としてもよい。その場合、エンジンオイルの劣化度合いを、エンジンオイル交換時からの走行距離に応じて推定すれば、容易かつ精度よく推定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における可変バルブタイミング装置の断面図及び一部側面図。
【図2】同上可変バルブタイミング装置の機能を明瞭にした概略構成を示す断面図。
【図3】同上可変バルブタイミング装置のストッパ形成部分を示す斜視図。
【図4】実施の形態におけるバルブタイミング制御のメインルーチンを示すフローチャート。
【図5】実施の形態におけるクラッチ面温度推定ルーチンを示すフローチャート。
【図6】実施の形態における第1のパターンを示すタイムチャート。
【図7】実施の形態における第2のパターンを示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…カム軸
13…電磁ブレーキ
21…カムセンサ
22…コントロールユニット
24…クランク角センサ
26…アクセル開度センサ
Claims (10)
- 電磁ブレーキによる摩擦制動によりクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、バルブタイミングを可変制御する内燃機関の可変バルブタイミング装置において、
前記電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるようにバルブタイミング制御量を補正することにより、電磁ブレーキの温度上昇を抑制し、該電磁ブレーキのクラッチ面の摩擦係数の温度上昇による低下を抑制するようにしたことを特徴とする可変バルブタイミング装置の制御装置。 - 電磁ブレーキによる摩擦制動によりクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、バルブタイミングを可変制御する内燃機関の可変バルブタイミング装置において、
前記電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるようにバルブタイミング制御量を補正すると共に、要求エンジントルクが所定以上高いときは、前記電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるバルブタイミング制御量の補正を禁止することを特徴とする可変バルブタイミング装置の制御装置。 - 電磁ブレーキによる摩擦制動によりクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させて、バルブタイミングを可変制御する内燃機関の可変バルブタイミング装置において、
前記電磁ブレーキの温度が所定以上の高温時に、電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるようにバルブタイミング制御量を補正すると共に、前記所定温度をエンジンオイルの劣化度合いに応じて可変に設定することを特徴とする可変バルブタイミング装置の制御装置。 - 前記電磁ブレーキの温度を、少なくともエンジン温度に基づいて推定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
- 前記電磁ブレーキの温度を、少なくともエンジン回転速度に基づいて推定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
- 前記電磁ブレーキの温度を、バルブタイミング制御量にも基づいて推定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
- 前記電磁ブレーキの摩擦制動力を減少させるバルブタイミング制御量の補正量を、要求エンジントルクに応じて設定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
- 前記要求エンジントルクを、アクセル開度によって算出することを特徴とする請求項7に記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
- 前記所定温度をエンジンオイルの劣化度合いが大きいときほど低温に設定することを特徴とする請求項3に記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
- 前記エンジンオイルの劣化度合いをエンジンオイル交換時からの走行距離に応じて推定することを特徴とする請求項3または請求項9に記載の可変バルブタイミング装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001181654A JP3885522B2 (ja) | 2001-06-15 | 2001-06-15 | 可変バルブタイミング装置の制御装置 |
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