JP3879500B2 - 無機微粒子を含有する樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、無機微粒子の濃度が高く、無機微粒子の分散性に優れる樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱可塑性樹脂を用いて得られるフィルムやシートは、食品をはじめとする種々の製品の包装用材料として広く用いられている。熱可塑性樹脂を用いて得られるフィルム自体の欠点としては包装適正の悪化が挙げられ、この欠点はフィルムを重ねたときにフィルム同士が密着すること、いわゆるフィルムのブロッキングが原因と考えらており、この欠点を解消するために、フィルム中に無機微粒子を配合することが広く行われている。
【0003】
フィルム中に無機微粒子を配合する方法として広く用いられているのは、粒子状の熱可塑性樹脂を無機微粒子と混合し、次いで溶融混練してペレット状の樹脂組成物を製造し、ついでこれを成形してフィルムを得る方法である。
【0004】
例えば、特開昭57−3840号公報には、ポリオレフィン100重量部、二酸化ケイ素粉末0.01〜1重量部および有機酸アマイド0.01〜2重量部からなるポリオレフィン組成物の製造方法において、ポリオレフィンと二酸化ケイ素粉末とを50℃以上ポリオレフィンの溶融温度以下の温度で混合した後、次いで該混合物に有機酸アマイドを混合して得られ、フィルムに用いた場合、アンチブロッキング性に富み、外観および透明性が良好であるフィルムを製造することができるポリオレフィン組成物の製造方法が記載されている。
【0005】
また、熱可塑性樹脂中の無機微粒子の濃度が高濃度になるように熱可塑性樹脂に無機微粒子を混合し、次いで溶融混練を行って、マスターバッチを製造し、これを別に用意された熱可塑性樹脂に添加することも広く行われている。
例えば特開昭56−61444号公報には、第1段階として微粉シリカ0.5〜4重量部および結晶性ポリプロピレン100重量部を溶融混練し、第2段階として、第1段階で得られた組成物と結晶性ポリプロピレンとを溶融混練してペレットを得、第3段階として得られたペレットを溶融押出製膜する耐ブロッキング性ポリプロピレンフィルムの製造方法が記載されている。
【0006】
しかし、上記特開昭57−3840号公報に記載されているようにポリオレフィンに二酸化ケイ素(シリカ)粉末を混合した場合、一般的に無機微粒子は混合中に凝集しやすいので、無機微粒子の凝集体が生成することがある。特に、上記特開昭56−61444号公報に記載されているように高濃度のマスターバッチを製造する時には凝集体が生成しやすい。そして、凝集体が製品であるフィルムやシートに混入すると、フィルムやシートの外観を損ない、製品の価値が低下することがある。
【0007】
凝集体の生成を防ぐ方法としては、従来から熱可塑性樹脂中の微粒子の量を増加させる方法、特定の添加剤を用いる方法、特定の性状を示す無機微粒子を用いる方法などが知られている。しかし、熱可塑性樹脂中の微粒子の量を増加させる方法は飛散などが起こり、微粒子の取り扱いが困難になり、粉塵爆発の危険性が増加する。また、特定の添加剤を用いる方法や特定の性状を示す無機微粒子を用いる方法は適用できる用途が限られている。
このような状況において、幅広い用途に適用できる樹脂組成物の製造方法であって、無機微粒子の濃度を高くすることができ、無機微粒子が凝集することなく、その分散性に優れる樹脂組成物の製造方法が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、無機微粒子の分散性に優れる樹脂組成物を用いて、製造時の取り扱いに問題がなく、外観にも優れたフィルムの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、混合割合が特定の範囲である熱可塑性樹脂と混合割合が特定の範囲である無機微粒子を、混合温度が特定の範囲である温度で混合した後、溶融混練する樹脂組成物の製造方法が上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
混合割合が下記(1)である熱可塑性樹脂と混合割合が下記(2)である無機微粒子を、混合温度が下記(3)である温度で混合した後、溶融混練して得た樹脂組成物を、他の熱可塑性樹脂と混合して、そのまま成形することを特徴とする、フィルムの製造方法に係るものである。
(1)80≦熱可塑性樹脂の配合割合(重量%)≦98
(2)2≦無機微粒子の配合割合(重量%)≦20
(但し、熱可塑性樹脂の配合割合と無機微粒子の配合割合の合計を100重量%とする。)
(3)熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、エチレン、プロピレン、スチレン、エステル類から選ばれた少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体であり、例えば、エチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体、プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体、スチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体、エステル類を主成分とする単量体を重合して得られる重合体等が挙げられ、好ましくはプロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体である。これらの重合体は単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用しても良い。
【0012】
エチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体としては、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体等が挙げられる。
【0013】
エチレン−プロピレン共重合体のプロピレン含量は、エチレン−プロピレン共重合体の全重量に対して0.1重量%〜10重量%のものが挙げられる。
【0014】
炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、α−オレフィン含量は、エチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体の全重量に対して0.1重量%〜50重量%のものが挙げられる。エチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等が挙げられる。
【0015】
エチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体として好ましくは、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体である。
【0016】
エチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の重合触媒を用いる公知の重合方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、高圧重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が挙げられ、これらの重合方法は回分式であっても良く、連続式であっても良い。
【0017】
プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの三元共重合体等が挙げられる。
【0018】
プロピレン−エチレン共重合体におけるエチレン含量は、プロピレン−エチレン共重合体の全重量に対して0.1重量%〜10重量%のものを用いることができる。
【0019】
プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体において、炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、前記のエチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体において用いられる炭素原子数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、α−オレフィン含量は、プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体の全重量に対して0.1重量%〜30重量%が挙げられる。プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体としては、例えば、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられる。
【0020】
プロピレンとエチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの三元共重合体において、エチレン含量は、三元共重合体の全重量に対して0.1重量%〜10重量%のものを用いることができる。炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、前記のエチレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体において用いられる炭素原子数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、α−オレフィン含量は、三元共重合体の全重量に対して0.1重量%〜30重量%が挙げられる。プロピレンとエチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンの三元共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられる。
【0021】
プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体として好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体である。
【0022】
プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体の融点は、通常、100℃〜170℃である。特に融点が145℃以下である場合に本発明の効果は大きいものとなる。
【0023】
プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の重合触媒を用いる公知の重合方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が挙げられ、これらの重合方法は回分式であっても良く、連続式であっても良い。
【0024】
本発明で用いられる無機微粒子は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が1〜10μmであり、見掛け比重が0.1〜1g/ccであるものが、フィルムの外観や耐ブロッキング性、耐傷つき性の面から好ましく用いられる。
【0025】
本発明で用いられる無機微粒子として、具体的には、二酸化ケイ素、アルミノシリケート、タルク等のケイ酸マグネシウム、カオリン等のケイ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。この中でも、特に二酸化ケイ素については本発明の効果が大きいので好ましく用いられる。
【0026】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂と無機微粒子の混合割合は、熱可塑性樹脂の混合割合と無機微粒子の混合割合の合計を100重量%として、熱可塑性樹脂の混合割合が80重量%以上、99重量%未満(即ち、無機微粒子の混合割合は1重量%を超え、20重量%以下)であり、好ましくは熱可塑性樹脂の混合割合が90重量%〜98重量%(即ち、無機微粒子の混合割合が2重量%〜10重量%)である。
【0027】
微粒子である熱可塑性樹脂の混合量が80重量部未満の場合(即ち、無機微粒子の混合量が20重量部を超えた場合)、無機微粒子の分散性が不充分なことがある。また、微粒子である熱可塑性樹脂の混合量が99重量部以上の場合(即ち、無機微粒子の混合量が1重量部以下の場合)、フィルムなどの製品に用いる場合に大量に添加しなければ耐ブロッキング性が改良されず、製品としての価値が低いものとなることがある。
【0028】
本発明で用いられる混合方法は、熱可塑性樹脂と無機微粒子を、混合温度が熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20の範囲である温度で混合する方法である。混合温度が、熱可塑性樹脂の融点(℃)−80(℃)以下の場合、無機微粒子の分散性が不充分なことがあり、熱可塑性樹脂の融点(℃)−20(℃)以上の場合、熱可塑性樹脂の融解が起こり、混合後の取り扱いに支障をきたすことがある。
【0029】
本発明で用いられる混合方法は、熱可塑性樹脂と無機微粒子を、混合温度が熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20の範囲である温度で混合すること以外は、特に制限されるものではなく、公知の混合方法と同様であり、公知の混合装置を用いる方法である。
混合に用いられる装置としては、例えば、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリューブレンダー、リボンブレンダー等が挙げられる。
【0030】
本発明において溶融混練は、熱可塑性樹脂と無機微粒子を混合温度が熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20の範囲である温度で混合した後に行われる。溶融混練を、熱可塑性樹脂と無機微粒子を混合温度が熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20の範囲である温度で混合した後に行わなかった場合、無機微粒子の分散性が不充分なことがある。
【0031】
本発明で用いられる溶融混練方法としては、熱可塑性樹脂と無機微粒子を混合温度が熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20の範囲である温度で混合した後に行われること以外は、特に制限されるものではなく、公知の方法と同様であり、例えば、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練に用いられる装置としては、特に制限されるものではなく、公知の装置が用いられる。例えば、一軸の溶融押出機、二軸の溶融押出機、バンバリーミキサー等が挙げられ、好ましくは二軸の溶融押出機である。
【0032】
本発明で得られる樹脂組成物には、必要な場合には金属石けん、塩素補足剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、核剤、顔料などの添加剤を本発明の効果を維持できる程度において加えてもよい。
【0033】
本発明により得られた樹脂組成物は、押出成形、射出成形、発泡成形、中空成形など幅広い用途に好適に用いることができる。中でも押出成形には好適に用いられる。
【0034】
本発明により得られた樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂の混合物も押出成形、射出成形、発泡成形、中空成形など幅広い用途に好適に用いることができる。特に押出成形には好適に用いられ、無機微粒子の分散が良好なフィルムが得られる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
(1)融点:示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7型)を用いて次の方法で測定した。試料10mg程度を秤量し、220℃で融解させた後に5℃/分の速度で50℃まで降温させて結晶化させた。次に5℃/分の速度で180℃まで昇温させた、そのときの吸熱曲線のピークの温度を融点とした。
(2)MFR:JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
(3)エチレン含量およびブテン−1含量:高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により、赤外分光法で測定を行い求めた。
(4)平均粒径:SYMPATEC社製流下式レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS & GRADIS)を用い、重量粒度分布の積分曲線を用いて重量平均粒子径を求めた。
(5)フィルム外観:フィルム100cm2あたり、目視により確認できるフィッシュアイの個数を計測し、300個以上のものを「不良」、300個以下の物を「良好」とした。
【0037】
(実施例1)
熱可塑性樹脂として融点が139℃、MFRが8g/10分の粉末状(平均粒径=1mm)のプロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量=4重量%)を、無機微粒子としてサイリシア350(富士シリシア化学製、レーザー法による平均粒子径3.9μm、見かけ比重0.15g/cc)を用いた。熱可塑性樹脂98重量部を20Lヘンシェルミキサー(川田製作所製)内で80℃まで予熱し、無機微粒子2重量部と酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部、イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.10重量部を加え、535rpm、80℃で1分間混合した。
この混合物をΦ30mm二軸混練機(TEX30:日鋼製作所製)で230℃で混練した。
上記で混練して得られた組成物5重量部に、無機微粒子を含まないプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体(MFR=7g/10分)95重量部を加え、250℃でTダイを用いて厚さ30μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムの外観は良好であった。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、熱可塑性樹脂と無機微粒子の混合温度を110℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られたフィルムの外観は良好であった。
【0039】
(実施例3)
実施例1において、熱可塑性樹脂を融点が127℃、MFRが6g/10分の粉末状(平均粒径1=μm)のプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(エチレン含有量=4重量%、1−ブテン含量=4重量%)に変更し、熱可塑性樹脂と無機微粒子との混合温度を70℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られたフィルムの外観は良好であった。
【0040】
(実施例4)
熱可塑性樹脂として融点が139℃、MFRが8g/10分の粉末状(平均粒径=1mm)のプロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量=4重量%)を、無機微粒子として、サイリシア550(富士シリシア化学製、レーザー法による平均粒子径3.9μm、見かけ比重0.30g/cc)を用いた。熱可塑性樹脂90重量部を20Lヘンシェルミキサー(川田製作所製)内で80℃まで予熱し、無機微粒子10重量部と酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部、イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.10重量部を加え、535rpm、80℃で1分間混合した。
この混合物をΦ30mm二軸混練機(日鋼製作所製)で230℃で混練した。上記で混練して得られた組成物1重量部に無機微粒子を含まないプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体(MFR=7g/10分)99重量部を加え、250℃でTダイを用いて厚さ30μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムの外観は良好であった。
【0041】
(比較例1)
実施例1において、熱可塑性樹脂を無機微粒子の混合温度を40℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。このフィルムの外観は無機微粒子の凝集物が多く、不良であった。
【0042】
(比較例2)
実施例1において、熱可塑性樹脂を融点が163℃、MFRが7g/10分の粉末状(平均粒径=1mm)のプロピレン単独重合体に変更した以外は実施例1と同様に行なった。このフィルムの外観は無機微粒子の凝集物が多く、不良であった。
【0043】
(比較例3)
熱可塑性樹脂として融点が139℃、MFRが8g/10分の粉末状(平均粒径=1mm)のプロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量=4重量%)を用いた。熱可塑性樹脂を20Lヘンシェルミキサー(川田製作所製)内で130℃まで予熱したところ、ミキサー内で塊が発生し、取り扱いが困難となり、無機微粒子を加えて混練するまでには至らなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例の製造方法によって得られた樹脂組成物を用いて得られたフィルムの外観が優れているのに対し、比較例1および2の製造方法によって得られた樹脂組成物を用いて得られたフィルムの外観は不充分なものであり、比較例3の製造方法によって得られた樹脂組成物については、その取り扱いが困難であることがわかる。
【0046】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明の製造方法により、無機微粒子の分散性に優れる樹脂組成物を用いて、製造時の取り扱いに問題がなく、外観にも優れたフィルムを得ることができる。
Claims (5)
- 混合割合が下記(1)である熱可塑性樹脂と混合割合が下記(2)である無機微粒子を、混合温度が下記(3)である温度で混合した後、溶融混練して得た樹脂組成物を、他の熱可塑性樹脂と混合して、成形することを特徴とする、フィルムの製造方法。
(1)80≦熱可塑性樹脂の配合割合(重量%)≦98
(2)2≦無機微粒子の配合割合(重量%)≦20
(但し、熱可塑性樹脂の配合割合と無機微粒子の配合割合の合計を100重量%とする。)
(3)熱可塑性樹脂の融点(℃)−80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)−20 - 溶融混練が二軸の溶融押出機を用いる溶融混練であることを特徴とする請求項1記載のフィルムの製造方法。
- 無機微粒子が二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1記載のフィルムの製造方法。
- 熱可塑性樹脂がプロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体であることを特徴とする請求項1記載のフィルムの製造方法。
- プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体の融点が145℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のフィルムの製造方法。
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