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JP2012229303A - プロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体 Download PDF

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JP2012229303A
JP2012229303A JP2011097110A JP2011097110A JP2012229303A JP 2012229303 A JP2012229303 A JP 2012229303A JP 2011097110 A JP2011097110 A JP 2011097110A JP 2011097110 A JP2011097110 A JP 2011097110A JP 2012229303 A JP2012229303 A JP 2012229303A
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Susumu Kanzaki
進 神崎
Akihiro Takahashi
明博 高橋
Takayuki Nagai
隆之 永井
Toshio Watanabe
敏雄 渡邉
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】優れた成形加工性と成形外観、及び、剛性を有し、かつ、寸法安定性に影響する線膨張係数が小さく、とくに線膨張係数の異方性が小さい成形体を製造できるポリプロピレン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】メルトフローレートが60g/10分以上であるプロピレン系重合体(成分A)を35〜54重量%、エチレンと、炭素数が4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、メルトフローレートが1.5〜3.5g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(成分B)を15〜25重量%、及び、平均粒子径が5μm以下であるタルク(成分C)を33〜40重量%含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物(但し、前記(成分A)、(成分B)、及び(成分C)の合計量を100重量%とする。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体に関する。
従来から、プロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、自動車材料や家電材料に用いられている。これらの材料にはプロピレン重合体だけではなく、エチレン−α−オレフィン共重合体や無機充填材等が添加されている。
例えば、特許文献1には、成分(A):メルトフローレートが150〜400g/10分の結晶性ポリプロピレン成分(A−1)70〜90重量%と、エチレン含有量が30〜50重量%のプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)30〜10重量%と、からなるプロピレンエチレンブロック共重合体、成分(B):メルトフローレートが0.3〜7.0g/10分のプロピレン重合体、成分(C):メルトフローレートが0.1〜1.2g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム及び成分(D):分子量が700以上のヒンダードアミン系光安定剤を配合してなるプロピレン樹脂組成物が開示されている。
また特許文献2には、結晶性ポリプロピレン(A):45重量%以上、エチレン−ブテン−1共重合体ゴム(B):10〜20重量%、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(C):10〜20重量%、タルク(D):15〜25重量%、よりなるプロピレン樹脂組成物が開示されている。
さらに特許文献3には、(a)ポリプロピレン30〜60重量%と、(b)エチレン−プロピレン共重合体ゴム及び/又はエチレン−ブテン共重合体ゴム30〜40重量%と、(c)タルク10〜30重量%とを含有し、前記(a)ポリプロピレンと前記(b)エチレン−プロピレン共重合体ゴム及び/又はエチレン−ブテン共重合体ゴムとの重量比(b)/(a)が0.5より大きいことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物が開示されている。
特開2008−101091号公報 特開平05−98094号公報 特開平03−250040号公報
特許文献1〜3に記載されている樹脂組成物は、成形品の厚みを薄くすることで軽量化が望まれる場合において、成形加工性と成形外観、成形体の剛性、線膨張係数には改良の余地があり、とりわけ寸法安定性に影響する線膨張係数の異方性に改良の余地があった。
以上の課題に鑑み、本発明は、優れた成形加工性と成形外観、及び、剛性を有し、かつ、寸法安定性に影響する線膨張係数が小さく、とくに線膨張係数の異方性が小さい成形体を製造できるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
すなわち本発明は、メルトフローレートが60g/10分以上であるプロピレン系重合体(成分A)を35〜54重量%、エチレンと、炭素数が4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、メルトフローレートが1.5〜3.5g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(成分B)を15〜25重量%、及び、平均粒子径が5μm以下であるタルク(成分C)を33〜40重量%含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、及び、これからなる射出成形体(但し、前記(成分A)、(成分B)及び(成分C)の合計量を100重量%とする。)を提供するものである。
本発明によれば、優れた加工性と成形外観、及び、剛性を有し、かつ、線膨張係数が小さく寸法安定性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することが可能となる。
実施例で使用したフローマーク発生状況の評価用平版成形体の概略上面図である。
〔ポリプロピレン系樹脂組成物〕
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)は、メルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)が60g/10分以上であるプロピレン系重合体(成分A)と、エチレンと、炭素数が4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、メルトフローレートが1.5〜3.5g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(成分B)と、平均粒子径が5μm以下であるタルク(成分C)を所定量含有するポリプロピレン系樹脂組成物である。
上記の構成とすることにより、従来のプロピレン系樹脂組成物と同等の優れた成形加工性、成形外観、及び、成形体の剛性を有しながら、線膨張係数が小さく、さらに線膨張係数の異方性が小さく、寸法安定性に優れた成形体を製造できるポリプロピレン系樹脂組成物が提供できる。
なお、以下、前記(成分A)等で示される各成分をそれぞれ、単に「成分A」等ともいう。また、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
以下、各成分について説明する。
[(成分A)プロピレン系重合体]
本発明における(成分A)プロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体又はプロピレンと他のモノマーとの共重合体をいう。これらは単独で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。前記共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。剛性と耐衝撃性のバランスの観点からブロック共重合体が好ましい。
ランダム共重合体としては、プロピレン由来の構成単位とエチレンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体;プロピレン由来の構成単位とプロピレン以外のα−オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体;プロピレン由来の構成単位とエチレンに由来する構成単位と、プロピレン以外のα−オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体が挙げられる。
ブロック共重合体としては、プロピレン単独重合体成分又はプロピレン由来の構成単位からなる重合体成分(以下、重合体成分(I)と称する。)と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンとの共重合体成分(以下、重合体成分(II)と称する。)からなる重合材料が挙げられる。
(成分A)プロピレン系重合体は樹脂組成物の剛性と耐衝撃性のバランスの観点から、13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm]分率と表記されることもある。)が0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。なお、アイソタクチック・ペンタッド分率は、後述する測定方法により求められる値であり、(成分A)プロピレン系重合体のアイソタクチック・ペンタッド分率が1に近いほどその(成分A)プロピレン系重合体は高い立体規則性を示す分子構造を有する高結晶性の重合体であることを表す指標である。
また、(成分A)プロピレン系重合体が上記ランダム共重合体又は上記ブロック共重合体の場合には、共重合体中のプロピレン単位の連鎖について測定される値を用いる。
(成分A)プロピレン系重合体は、230℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)が、60g/10分以上である。(成分A)プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)が60g/10分未満であると、成形加工性に劣る。
得られる成形体の剛性と耐衝撃性のバランスの観点から、好ましくは60〜500g/10分である。プロピレン単独重合体又はランダム共重合体の場合は100〜400g/10分であることがより好ましく、ブロック共重合体の場合は80〜150g/10分であることがより好ましい。
(成分A)プロピレン系重合体は、重合触媒を用いて下記の方法により製造することができる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合又は気相重合が挙げられる。ここでバルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合又はスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
これらの重合方法は、バッチ式、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法又はバルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法による方法が好ましい。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする(成分A)プロピレン系重合体に応じて、適宜決定すればよい。
(成分A)プロピレン系重合体の製造において、(成分A)プロピレン系重合体中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて(成分A)プロピレン系重合体をその(成分A)プロピレン系重合体が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
<ランダム共重合体>
上述のように、本発明におけるランダム共重合体はプロピレン由来の構成単位とエチレンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体;プロピレン由来の構成単位とプロピレン以外のα−オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体;プロピレン由来の構成単位とエチレンに由来する構成単位と、プロピレン以外のα−オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体である。
上記ランダム共重合体を構成するプロピレン以外のα−オレフィンとしては、炭素原子数4〜10個のα−オレフィンであることが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
プロピレン由来の構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン由来の構成単位とエチレンに由来する構成単位と、α−オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体等が挙げられる。
ランダム共重合体中のエチレン及び/又はα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、0.1〜40重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましく、2〜15重量%であることがさらに好ましい。そして、プロピレンに由来する構成単位の含有量は99.9〜60重量%であることが好ましく、99.9〜70重量%であることがより好ましく、98〜85重量%であることがさらに好ましい。
<ブロック共重合体>
上述のように、本発明におけるブロック共重合体は、プロピレン単独重合体成分又はプロピレン由来の構成単位からなる重合体成分(以下、重合体成分(I)と称する。)と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンとの共重合体成分(以下、重合体成分(II)と称する。)からなる重合材料をいう。
重合体成分(I)は、プロピレン単独重合体成分又はプロピレン由来の構成単位からなる重合体成分である。プロピレン由来の構成単位からなる重合体成分とは、エチレン及びα−オレフィン(好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィン)からなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単位と、プロピレン由来の単位とからなるプロピレン共重合体成分が挙げられる。
重合体成分(I)が、プロピレン由来の構成単位からなる重合体成分である場合、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量は、合計して、0.01重量%以上20重量%未満である(但し、重合体成分(I)の重量を100重量%とする)。
α−オレフィンとしては、炭素数4〜10であることが好ましく、より好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、さらに好ましくは1−ブテンである。
プロピレン由来の構成単位からなる重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。
重合体成分(I)としては、好ましくは、プロピレン単独重合体成分、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分が挙げられ、剛性の観点から特に好ましくはプロピレン単独重合体成分である。
重合体成分(II)は、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する構成単位と、プロピレンに由来する構成単位とを有する共重合体成分である。
重合体成分(II)に含有されるエチレン及びα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量は、20〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%である(但し、重合体成分(II)の重量を100重量%とする。)。
重合体成分(II)を構成するα−オレフィンとしては、炭素数4〜10のα−オレフィンであることが好ましく、α−オレフィンとしては、例えば、前記重合体成分(I)を構成するα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられる。
重合体成分(II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−デセン共重合体成分等が挙げられ、好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、より好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体成分である。
重合体成分(I)と重合体成分(II)からなる重合材料の重合体成分(II)の含有量は1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、5〜30重量%であることがさらに好ましく、8〜15重量%であることが最も好ましい(但し、重合体成分(I)及び重合体成分(II)からなるブロック共重合体の重量を100重量%とする。)。
重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン共重合体の重合体成分(I)がプロピレン単独重合体成分の場合、該プロピレン共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−デセン)ブロック共重合体等が挙げられる。
また、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなる重合材料の重合体成分(I)がプロピレン由来の構成単位からなるプロピレン共重合体成分の場合、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン共重合体としては、例えば、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−デセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−デセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−デセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−デセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−デセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−オクテン)−(プロピレン−1−オクテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−オクテン)−(プロピレン−1−デセン)ブロック共重合体等が挙げられる。
重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン共重合体として、好ましくは、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体であり、より好ましくは、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体である。
重合体成分(I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数([η]I)は、0.1〜2dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5dl/gであり、さらに好ましくは0.7〜0.9dl/gである。
重合体成分(II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数([η]II)は1〜10dl/gであることが好ましく、より好ましくは2〜10dl/gであり、さらに好ましくは5〜8dl/gである。
また、重合体成分(I)の極限粘度数([η]I)に対する重合体成分(II)の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜9である。
なお、本発明における極限粘度数(単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1dl/g、0.2dl/g及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度数は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
(成分A)プロピレン系重合体が重合体成分(I)と重合体成分(II)とを多段重合させて得られる重合材料である場合、前段の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーから重合体成分(I)又は重合体成分(II)の極限粘度数を求め、この極限粘度数の値と各成分の含有量を用いて残りの成分の極限粘度数を算出する。
また、重合体成分(I)と重合体成分(II)からなるプロピレン共重合体が、重合体成分(I)が前段の重合工程で得られ、重合体成分(II)が後段の工程で得られる方法によって製造される共重合体である場合、重合体成分(I)及び重合体成分(II)の含有量、極限粘度数([η]Total、[η]I、[η]II)の測定及び算出の手順は、以下のとおりである。なお、極限粘度数([η]Total)は、重合体成分(I)及び重合体成分(II)からなるブロック共重合体の全体の極限粘度数を示す。
前段の重合工程で得た重合体成分(I)の極限粘度数([η]I)、後段の重合工程後の最終重合体(成分(I)と成分(II))の前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有される重合体成分(II)の含有量から、重合体成分(II)の極限粘度数[η]IIを、下記式から計算する。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度数(dl/g)
XI:重合体成分(I)及び重合体成分(II)からなるブロック共重合体全体に対する重合体成分(I)の重量比
XII:重合体成分(I)及び重合体成分(II)からなるブロック共重合体全体に対する重合体成分(II)の重量比
なお、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
前記XII:重合体成分(I)及び重合体成分(II)からなるブロック共重合体全体に対する重合体成分(II)の重量比は、重合体成分(I)と最終重合体(成分(I)と成分(II))の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出してもよい。
XII=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体(成分(I)と成分(II))の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:重合体成分(I)の融解熱量(cal/g)
ブロック共重合体は、重合体成分(I)を第1工程で製造し、重合体成分(II)を第2工程で製造することにより得られる。重合は上述の重合触媒を用いて行われる。
[(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体]
本発明における(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数が4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、230℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠して測定されたメルトフローレートが1.5〜3.5g/10分である。メルトフローレートが1.5g/10分未満であると、成形加工性に劣る。また、3.5g/10分を超えると、成形体の十分な耐衝撃強度が得られない。
成形加工性と成形体の耐衝撃性の向上という観点から、メルトフローレートは1.8〜3.5g/10分であることが好ましく、2.0〜3.5g/10分であることがより好ましく、2.0〜3.0g/10分であることがさらに好ましい。
(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンは、炭素数4〜10のα−オレフィンであり、(成分A)プロピレン系重合体で用いられるα−オレフィンと同様の炭素原子数4〜10個のα−オレフィンが挙げられる。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、環状構造を有するα−オレフィン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体として具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−(3−メチル−1−ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体に含有されるα−オレフィンの含有量は、合計して好ましくは1〜49重量%であり、より好ましくは5〜49重量%であり、さらに好ましくは24〜49重量%である((成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体の重量を100重量%とする。)。
また、成形体の耐衝撃性向上という観点から(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は0.85〜0.89g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.85〜0.88g/cm3、さらに好ましくは0.855〜0.867g/cm3である。
(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体は、重合触媒を用いて製造することができる。重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。
均一系触媒系としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒系が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒系としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体は、市販品を用いてもよい。例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、エスプレンSPO(登録商標)等が挙げられる。
[(成分C)タルク]
本発明における(成分C)タルクとは、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕したものである。含水ケイ酸マグネシウムの分子の結晶構造は、パイロフィライト型三層構造であり、タルクはこの構造が積み重なったものである。タルクとして、より特に好ましくは、含水ケイ酸マグネシウムの分子の結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状のものである。
本発明における(成分C)タルクは平均粒子径が5μm以下である。平均粒子径が5μmを超えると、成形外観に劣る。(成分C)タルクの平均粒子径は、成形外観の観点から4.5〜3.0μmであることが好ましい。
ここで本発明における「平均粒子径」とは、レーザー回析法により測定された粒度分布測定データにおける微粒子側からの微粒子数の累積が50%に達したときの粒子の粒径を意味する(50%相当粒子径D50)。
(成分C)タルクは、無処理のまま使用してもよいが、(成分A)プロピレン系重合体との界面接着性を向上させ、かつ、(成分A)プロピレン系重合体に対する分散性を向上させるために、シランカップリング剤、又はチタンカップリング剤、若しくは界面活性剤で表面を処理して使用してもよい。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
[樹脂組成物]
本発明に係る樹脂組成物は、上記成分A、成分B、及び成分Cを含有する。各成分の含有量は、成分Aが35〜54重量%であり、好ましくは42〜48重量%である。成分Bの含有量は15〜25重量%であり、好ましくは17〜20重量%である。成分Cの含有量は33〜40重量%であり、好ましくは34〜39重量%である。(但し、前記成分A、成分B、及び成分Cの合計量を100重量%とする。)。
成分Aの含有量が35重量%未満であると、成形加工性に劣る場合があり、54重量%を超えると、成形体の耐衝撃性が十分でなかったり、膨張係数とその異方性が大きくなり、寸法安定性が低下する場合がある。
また、成分Bの含有量が15重量%未満であると、成形体の耐衝撃性が十分でなかったり、膨張係数とその異方性が大きくなって、寸法安定性が低下する場合があり、25重量%を超えると成形体の剛性及び成形加工性が低下する場合がある。
さらに、成分Cの含有量が33重量%未満であると、成形体の剛性が十分でなかったり、膨張係数とその異方性が大きくなって、寸法安定性が低下する場合があり、40重量%を超えると、成形外観が劣ったり、成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。
本発明に係る樹脂組成物の比重は、射出成形体にした場合の製品重量の観点から、好ましくは1.2以下であり、より好ましくは、1.1〜1.2である。
本発明に係る樹脂組成物を射出成形体にした場合の23℃における曲げ弾性率は、製品剛性の観点から、好ましくは2,000MPa以上であり、より好ましくは、2,600MPa以上であり、さらに好ましくは、2,600〜3,500MPaである。
本発明に係る樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)は、成形加工性という観点から、好ましくは33g/10分以上であり、より好ましくは、35g/10分以上であり、成形体の耐衝撃性の観点から、45g/10分以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、各原料成分を好ましくは180℃以上、より好ましくは180〜300℃、さらに好ましくは180〜250℃で溶融混練することにより得られる。溶融混練には、例えば、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が使用できる。
樹脂組成物の形状は、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等が挙げられる。本発明の樹脂組成物を成形加工するためには、得られる成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、長さが1〜50mmのペレット状である。
各原料成分の混練順序は特に限定されるものではないが、以下のような方法で配合し、混練することが好ましい。
方法1:(成分A)プロピレン系重合体と(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体と(成分C)タルクを一括に混練する方法。
方法2:(成分A)プロピレン系重合体の一部と(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体と(成分C)タルクを混練した後、(成分A)プロピレン系重合体の一部を添加し、混練する方法。
方法3:(成分A)プロピレン系重合体と(成分C)タルクを事前に混練してペレット化し、(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体を一括に混練する方法。
本発明に係る樹脂組成物は、公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物に着色剤を含有させる場合には、組成物全体の加工性の改良や、着色顔料(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料)の分散性改良の観点から、プロピレン系重合体30〜80重量%と、着色顔料10〜40重量%と、脂肪酸金属塩類5〜30重量%とを含有する着色顔料マスターバッチを添加することが好ましい。この着色顔料マスターバッチとは、前記成分をスーパーミキサーやタンブラー、過熱式ロール、などの混合機を用いて、混合又はバンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等の混練機を用いて混練したものをいう。着色顔料マスターバッチの添加量は成分A、成分B、及び成分Cの合計量100重量部に対して1〜6重量部が好ましい。
前記の着色顔料マスターバッチに含有されるプロピレン系重合体は、230℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)が100g/10分以上であるプロピレン単独重合体であることが好ましく、100〜500g/10分であることがより好ましい。また、前記の着色顔料マスターバッチに含有される脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物を成形して得られる成形体は、射出成形法により製造した射出成形体であることが好ましい。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
この成形体は、例えば、自動車材料、家電材料、コンテナー、等が挙げられる。なかでも自動車外装用として好適である。
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。実施例及び比較例で使用したプロピレン系重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、タルク及び添加剤を下記に示す。
(1)(成分A)プロピレン系重合体
(A−1)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体
特開2004−182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、下記物性のプロピレン系重合体が得られるような条件で液相−気相重合法によって製造した。
(プロピレン)−(プロピレンエチレン)ブロック共重合体のMFR(230℃、2.16kgf荷重):90g/10分
(プロピレン)−(プロピレンエチレン)ブロック共重合体の極限粘度数([η]Ttotal):1.46dl/g
重合体成分(I):プロピレン単独重合体成分
重合体成分(I)の極限粘度数([η]I):0.80dl/g
重合体成分(II):プロピレン−エチレン共重合体成分
重合体成分(II)の含有量:11.0重量%
重合体成分(II)の極限粘度数([η]II):6.8dl/g
アイソタクチック・ペンタッド分率:0.985
(A−2)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):350g/10分
極限粘度数([η]):0.80dl/g
アイソタクチック・ペンタッド分率:0.985
(2)(成分B)エチレン−α−オレフィン共重合体
(B−1)エチレン−オクテンランダム共重合体
密度:0.857(g/cm3
MFR(230℃、2.16kg荷重):2.7g/10分
α−オレフィン:1−オクテン
(B−2)エチレン−ブテンランダム共重合体
密度:0.862(g/cm3
MFR(230℃、2.16kg荷重):2.5g/10分
α−オレフィン:1−ブテン
(3)(成分C)タルク
(C−1)タルク−1
平均粒子径(レーザー回析法、50%相当粒子径D50):4.4μm
(C−2)タルク−2
平均粒子径(レーザー回析法、50%相当粒子径D50):12.2μm
(4)着色顔料マスターバッチ
MFR(230℃、2.16kg荷重)が120g/10分のプロピレン単独重合体を65重量%、カーボンブラックを20重量%及びステアリン酸マグネシウムを15重量%含有する黒色系顔料マスターバッチを使用した。
原料成分及び樹脂組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−7210に規定された方法に従って測定した。
測定温度は230℃で、荷重は2.16kgとした。
(2)比重
JIS−K−7112に規定された方法に従って測定した。
(3)極限粘度数([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度数は還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
重合体成分(I)及び(II)の割合、極限粘度数([η]Total、[η]I、[η]II)の測定及び算出
前段の重合工程で得た重合体成分(I)の極限粘度数([η]I)、後段の重合工程後の最終重合体(成分(I)と成分(II)の合計)の前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有される重合体成分(II)の含有量(重量比)から、後段の工程で重合された重合体成分(II)の極限粘度数[η]IIを、下記式から計算して求めた。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度数(dl/g)
XI:前段の工程で重合された成分の重量比
XII:後段の工程で重合された成分の重量比
前記XII:重合体成分(I)及び重合体成分(II)からなるブロック共重合体全体に対する重合体成分(II)の重量比は、重合体成分(I)と最終重合体(成分(I)と成分(II))の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。結晶融解熱量は示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
XII=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:最終重合体(成分(I)と成分(II))の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:重合体成分(I)の融解熱量(cal/g)
XI=1−XII
(4)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、スパン長さが100mmである試験片を用いて、荷重速度は2.0mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
(5)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃又は−30℃で測定した。
(6)フローマークの発生状況の評価用射出成形体の製造
フローマークの発生状況の評価用試験片である射出成形体は、次の方法に従って作製した。射出成形機として、住友重機械工業株式会社製 SE180D 型締力180トン、金型として、100mm×400mm×3.0mmt、1点ゲートを用いて、成形温度220℃、金型温度50℃で成形を実施した。
(7)フローマークの発生状況
前記(6)の方法で作製した平板成形体を用いて、目視によりフローマークを観察した。図1に示すように、フローマーク2が発生し始めるゲート端面1からの距離(単位:mm)と目立ちの程度を観察した。なお、図中の矢印方向は、金型への射出方向を示している。この場合、フローマーク2が発生し始める発生位置が長いほど、また目立ちにくいほど、外観性能が良好であることを示す。
(8)線膨張係数(単位=1/℃)
SIIナノテクノロジー株式会社製 熱機械分析装置TMA/SS6100を用い次のように測定した。前記(6)と同様な方法で作製した100mm×400mm×2.0mmt平板成形体を用いた。平板成形体を140℃で35分間アニールした後、中央部から10×5(mm)の試験片を切り出し、23℃における寸法を正確に測定した。装置に射出成形時のMD方向(樹脂の流れ方向)又はTD方向(樹脂の幅方向)の寸法変化が測定できるようにセットした。5℃/分の昇温速度で−20〜80℃で昇温し、その間のMD方向及びTD方向の寸法変化を測定した。単位長さ及び単位温度あたりの寸法変化を線膨張係数として求めた。
線膨張係数の異方性は下記式から求め、その値が小さいほど異方性が少なく寸法安定性が良好であることを示す。
線膨張係数の異方性=TD方向の線膨張率−MD方向の線膨張率
〔実施例1〜2、比較例1〜3〕
プロピレン系重合体(A−1)、(A−2)、エチレン−α−オレフィン共重合体(B-1)、(B−2)、及び、タルク(C−1)、(C−2)、の配合割合を、下記の表1に示す(但し、(A−1)、(A−2)、(B-1)、(B−2)、(C−1)、(C−2)の合計量を100重量%とする。)。加えて、この成分(A−1)、(A−2)、(B-1)、(B−2)、(C−1)、(C−2)の合計量100重量部に対し、着色顔料マスターバッチ2.0重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スミライザーGA80、住友化学株式会社製)0.05重量部、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(ウルトラノックスU626、GEスペシャリティーケミカルズ製)0.05重量部、の組成割合で配合し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所株式会社製TEX44αII−49BW−3V型)を用いて、押し出し量70kg/hr、200℃、スクリュー回転数を300rpm、ベント吸引下で混練押出して、樹脂組成物を製造した。
得られた樹脂組成物の物性を下記の表1に示す。
Figure 2012229303
1 ゲート端面、2 フローマーク

Claims (4)

  1. メルトフローレートが60g/10分以上であるプロピレン系重合体(成分A)を35〜54重量%、
    エチレンと、炭素数が4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、メルトフローレートが1.5〜3.5g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体(成分B)を15〜25重量%、及び、
    平均粒子径が5μm以下であるタルク(成分C)を33〜40重量%含有することを特徴とする
    ポリプロピレン系樹脂組成物(但し、前記(成分A)、(成分B)、及び(成分C)の合計量を100重量%とする。)。
  2. (成分A)プロピレン系重合体が、プロピレン単独重合体成分と、エチレン及び/又はα−オレフィンとプロピレンとの共重合体成分とからなり、かつ、メルトフローレートが80g/10分以上であるブロック共重合体と、を含有する、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. ポリプロピレン系樹脂組成物全体としてのメルトフローレートが35〜45g/10分である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
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