JP3878231B2 - オプトエレクトロニクスデバイス及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光送信器としてのレーザチップと、このレーザチップ内に作られた光の規定された放射を行うためのレンズ結合光学素子とを備えたオプトエレクトロニクスデバイス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ結合光学素子を備えたオプトエレクトロニクスデバイスは公知であり、例えばヨーロッパ特許出願公開第0412184号公報に記載されている。
【0003】
この種の光半導体デバイスは特に光導波路に結合するための光送信デバイスとして使用される。半導体レーザと光導波路、例えばガラスファイバーとの間の光結合のために特に光データ技術や光通信技術において使用されている公知のデバイスは、レーザチップのエッジから、即ちその取付面でレーザチップのコヒーレント光が放射されるために、高価な個別素子及び労力の掛かる取付工程を必要とするという欠点を一般に有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、レーザチップの直ぐ前に配置されたレンズ結合光学素子を簡単に調整しかつ安定に固定することができるような冒頭で述べた種類のオプトエレクトロニクスデバイス、及び、ウェハアレイへのレーザチップ並びに機械的結合素子及び光結像素子の簡単な取付けを可能にするオプトエレクトロニクスデバイスの特に経済的な製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題は本発明によれば、オプトエレクトロニクスデバイスに関しては、レーザチップが、このレーザチップの共振器面に隣接する側面がミラー膜を備えかつ共振器面に対して45°の角度で傾斜する2つの支持体部材間で共通支持体上に配置され、それによりレーザチップ内に作られた光が共通支持体の上面に対してほぼ垂直に上方へ向けられ、少なくとも一方の支持体部材上にはレンズ結合光学素子がレーザチップ内に作られた光がこのレンズ結合光学素子にほぼ垂直に当たるように配置されて固定されることによって解決される。
【0006】
オプトエレクトロニクスデバイスに関する本発明による有利な実施態様は請求項2乃至8に記載されている。
【0007】
さらに上記の課題は本発明によれば、オプトエレクトロニクスデバイスの製造方法に関しては、レーザチップをボンディングするために適当な金属パターンを備えた共通支持体としてのシリコンウェハに互いに離間した平行な窪みがエッチング形成され、この窪みに支持体部材として台形状断面を有して隣接する側面にミラー膜を備えたプリズム条体が嵌め込まれて陽極として又はろう付け技術によりボンディングされ、レーザチップが支持体部材の前に所定の間隔で配置されて固定され、その後シリコンウェハが支持体部材の領域で個々のデバイスに分割されることによって解決される。
【0008】
オプトエレクトロニクスデバイスの製造方法に関する本発明による有利な実施態様は請求項10乃至12に記載されている。
【0009】
【作用効果】
本発明によって得られる利点は、特に、オプトエレクトロニクスデバイスがマイクロメカニクス及びマイクロオプティクスの素子及び技術を使用して、サブ支持体(サブマウント)上へレーザチップを簡単に取付けることと、ウェハアレイで多数のこの種のデバイスを特に経済的に製造することを可能にした構成を有する点にある。その場合、全ての機械的結合素子及び光結像素子並びにレーザチップは同時に取付けられてその後個別化することができる。本発明によるオプトエレクトロニクスデバイスは省スペース構成、機械的に安定なレンズ結合光学素子及び規定された放射特性の点で優れている。
【0010】
【実施例】
次に本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1に個別デバイスとして示され図2にウェハアレイ内に示されたオプトエレクトロニクスデバイスは、主要構成要素として光送信器としてのレーザチップ1と、このレーザチップ内に作られた光の規定された放射を行うためのレンズ結合光学素子6とを有する。レーザチップ1は共通支持体2上に配置されている。この共通支持体2は特にシリコンから成り、サブマウントとして例えばTOケースの底板上に取付けることができる。レーザチップ1は2つの支持体部材3、4間で共通支持体2上に配置されている。支持体部材3、4のレーザチップ1の光共振器面に隣接する側面はミラー膜5を備え、共振器面に対して45°の角度で傾斜しており、それゆえレーザチップ1内に作られたコヒーレント光は共通支持体2の上面に対してほぼ垂直に上方へ方向転換される。両支持体部材3、4は特にガラスから成り、台形状断面を有している。これらの両支持体部材3、4の調整及び固定を特に簡単にするために、共通支持体2に両支持体部材3、4に合う窪み又は溝を設け、この窪み又は溝内に支持体部材3、4を嵌め込んでそこに固定すると有利である。ミラー膜5として支持体部材3、4の隣接する側面上に誘電体物質から成る膜を設けると好適である。少なくとも一方の支持体部材上に、この実施例では支持体部材3上に、レンズ結合光学素子6が、レーザチップ1内に作られた光がこのレンズ結合光学素子6にほぼ垂直に当たるように配置されて固定されている。
【0012】
レンズ結合光学素子6は特に屈折形及び/又は回折形レンズを集成したレンズチップである。このレンズチップ即ちレンズ結合光学素子6は同様にレーザチップ1上に位置するように両支持体部材3、4上に調整して固定することもできる。レンズチップはレーザチップ1から放出された波長に応じて透過させるガラス又はシリコン、炭化シリコン、リン化ガリウムのような半導体材料から構成される。レンズ結合光学素子6として片側の一方の支持体部材上だけに配置されるか又は両側の両方の支持体部材3、4上に配置することのできるレンズチップはそのパターン化及び/又は湾曲した面が下方へ向けて、即ちこのレーザチップ1側の面が一方の支持体部材又は両方の支持体部材3、4上に取付けられて固定される。このような装置は外部の湾曲部もしくはパターン部を有する装置に比べて特に公差に関して好都合である。レンズ結合光学素子6としては、レンズが集成されているレンズチップの他に、例えばシリコンから成るレンズ支持体の開口部内に固定された例えば球レンズ又は円筒レンズを使用することもできる。
【0013】
オプトエレクトロニクスデバイスの特定の用途のために、両支持体部材3、4の一方の上に、又はレンズチップが両支持体部材3、4上に取付けられている場合それらのレンズチップ上に、モニタ用チップ特にダイオード7がレーザチップ1によって作られた光の一部分を受信可能であるように配置されて固定される。この例ではモニターチップ7は支持体部材4上に固定され、そしてレーザチップ1から放出されてミラー膜5によって反射されたレーザ背面光を受信する。
【0014】
ウェハアレイで同時に大量に製作することのできる本発明によるオプトエレクトロニクスデバイスの特に優れた実施例によれば、図1及び図2に示されているように、共通支持体2即ちサブマウントとして特にシリコンから成るウェハは、レーザチップ1のボンディングのために適当な金属化パターン8を備えている。この支持体2には例えば数百μmの幅と間隔とを有する平行な複数の窪みもしくは溝がエッチング形成される。溝の深さは数百μmまでの大きさにすることができる。この溝内又は共通支持体上に直接支持体部材3、4が、両側面の延長線が直角に交差する台形状断面を有するプリズム条体の形で入れられて陽極として又はろう付け技術によりボンディングされる。支持体部材3、4の隣接する側面はミラー膜5を備えている。SiO2 −TiO2 、SiO2 −Si、Al2 O3 −Siのような膜列又はこれらの膜列の組合わせ又は他の誘電体膜から成る誘電体ミラーを設けると有利である。プリズム状支持体部材3、4の狭い上面は、例えばTi−Pt−Au、Cr−Pt−Au、Ti−Ni−Au、Ti−Pt−AuSn、Ni−Auから成るろう付け可能な金属膜パターン9、又は他のろう付け可能な膜を備えることができる。
【0015】
レーザユニット即ちオプトエレクトロニクスデバイスを構成するために、共通支持体(Siサブマウント)上に設けられた金属パッドもしくは金属化パターン8上には、支持体2側の下面に必要に応じて約1μm〜10μmの厚みのAuSn、AuGe、AuSi、PbSnから成るろう膜又は他のろう付け可能な膜を備えたレーザチップ1が支持体部材3、4の前に所定の間隔でろう付け固定される。ろう付けのために必要なエネルギーはHF加熱、WIG加熱、ヒートパイプ加熱のような種々異なった方法又はレーザ光によってレーザチップ1の固定すべき下面へ与えることができる。ろう付け工程のために必要な温度が僅かな追加エネルギーで十分となるように、共通支持体2(特にシリコンウェハ)を予熱すると有利である。この追加エネルギーを特に低く保つために、所定の措置を講ずることにより、例えば、個々のレーザチップ1間にその下面から支持体部材3、4に至る切込みを入れることにより、供給されたエネルギーが隣接チップへ流出するのを大きく減少させることができる。レーザチップ1の上側は共通支持体2上にこのために設けられたパッドに接続されている。
【0016】
光方向転換を行うための反射形プリズム状支持体部材3、4を有するレーザサブマウント即ち共通支持体2の特別な実施例によれば、半導体技術では一般的に行われているが公知のエッジ放射形レーザでは従来適用可能ではなかったテストをオプトエレクトロニクス量を検出するために補助の光測定ヘッドだけを用いて標準ウェハサンプラ上で行うことが可能である。
【0017】
測定後、ウェハは個々のサブマウント(支持体2)へ選択的に分割され、その場合各サブマウント(支持体2)は1つのレーザチップ1とこのレーザチップ1の正面前及び背面前にそれぞれ位置するそれぞれ1つのプリズム状支持体部材3、4とを含む。ウェハの分割もしくはデバイスの個別化もしくはそのサブマウントの個別化は図2に示されているように分離路10に沿って行われる。ウェハ、特にシリコンウェハ(支持体2)を個々のサブマウントへ分割することは同様にレーザチップ1の取付前に既に行うことができる。サブマウントはその後個々に継続加工することができる。
【0018】
サブマウントを個別化する前又は後に、この実施例ではレンズが屈折形又は回折形であるレンズチップの形のレンズ結合光学素子6は、能動的又は受動的に、即ち補助手段としてレーザを駆動するか又は駆動せずに、レーザチップ1の正面前に位置する支持体部材3のミラー膜5の上方でx方向及びy方向へ調整されてろう付け又は接着により支持体部材3の上面上に有利に固定される。ろう付けのために必要なエネルギーは例えばレンズチップの電流直接加熱又はレーザ(半導体パワーレーザ、固体レーザ、CO2 レーザ等)によるレーザ光加熱によってレンズチップ内へ与えることができる。必要なろうは例えばレンズチップ上への蒸着によって設けることができ、このろうは固定のために台板(支持体部材3)への圧力接触にて溶かされる。支持体部材3、例えばガラスプリズムの熱抵抗は、ろう付け工程の際支持体2、例えばSi基板の材料が僅かしか加熱されないように設定される。
【0019】
レーザチップ1の正面−支持体部材3間の距離と、この支持体部材3−レンズチップ6間の距離と、レンズチップ6内のレンズの光学的厚みとの総和は光結像の物体距離となる。この物体距離は支持体部材3−レンズチップ6間の距離が一定でかつレンズチップ6内のレンズの光学的厚みが一定の際には横方向移動だけによって、即ちレーザチップ1の正面を支持体部材3へ近づけるか又は支持体部材3から遠ざけることによりレーザチップ1の正面と支持体部材3との距離を変えることによって調整もしくは変更することができる。z方向への調整はそのようにして簡単な横方向調整に変換される。それによって、レーザ点の結像はレンズチップ6のレンズ前に予め定められた距離で位置する光ファイバーのコアに非常に簡単に合わせることができる。
【0020】
使用されたレンズチップはウェハ工程において特別なホトリソグラフ法及びエッチング法により製造することができる。レンズ材料は技術的な要求に応じて選択される。1.1μm以上の波長に対してはシリコンを使用するのが有利であり、短波長に対しては特殊ガラス、又は例えばリン化ガリウム又は炭化シリコンのような半導体材料を使用するのが有利である。シリコンはしかしながら同様にレンズ支持体でもあり得る。シリコンを使用すると温度変化に対して特に安定した構成が得られる。というのは、共通支持体2(サブマウント)、支持体部材3、4(例えばガラスプリズム)及びレンズ結合光学素子6(レンズチップ)は問題となる温度区間ではほぼ同じ膨張係数を有するからである。
【0021】
必要な場合、レンズ結合光学素子6を支持する支持体部材3とは反対側に位置する一方の支持体部材4の上側に適当なモニタ用ダイオード7を、このダイオードの一部分が支持体部材4上に設けられたミラー膜5を越えて突出するように設けることができる。それによって、レーザチップ1の後方ミラー(後方共振器側)から出射して隣接ミラー膜5のところで上方へ反射される光子(背面光)がモニタ用ダイオード7の透明基板を通ってモニタ用ダイオードのpn接合に到達することができる。不透明基板を有するモニタ用ダイオードの場合、ダイオードはpn接合を下にして支持体部材4上に設けられる。しかしながら、モニタ用ダイオード7は例えばレンズチップが両支持体部材3、4にわたって延在する場合にはレンズ結合光学素子6の上方に配置するか又はレンズ結合光学素子6内に集成することもできる。
【0022】
オプトエレクトロニクス試験の後、レーザチップ1、支持体部材3,4、レンズ結合光学素子6及びモニタ用ダイオード7が設けられている共通支持体2(サブマウント)即ちマイクロモジュールは、通常の半導体チップと同じようにダイボンディング技術及びワイヤボンディング技術にて予め備えられた共通支持体、例えばTOケースの底板上に取付けることができる。
【0023】
モニタ用ダイオード7の光入射面とレンズ結合光学素子6、特にレンズとに反射損失を少なくするために光学的コーティング処理を施すと有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオプトエレクトロニクスデバイスの一実施例を示す断面図。
【図2】本発明によるオプトエレクトロニクスデバイスの一実施例をウェハアレイにて製造する際の製造方法について説明するための概略図。
【符号の説明】
1 レーザチップ
2 共通支持体
3、4 支持体部材
5 ミラー膜
6 レンズ結合光学素子
7 モニタ用ダイオード
8 金属パッド
9 金属膜パターン
10 分割路
Claims (3)
- レーザチップ(1)をボンディングするために適当な金属パターンを備えた共通支持体(2)としてのシリコンウェハに互いに離間した平行な窪みがエッチング形成され、この窪みに支持体部材(3、4)として台形状断面を有して隣接する側面にミラー膜(5)を備えたプリズム条体が嵌め込まれてボンディングされ、レーザチップ(1)が支持体部材(3、4)の前に所定の間隔で配置されて固定され、シリコンウェハが支持体部材(3、4)の領域で個々のデバイスに分割され、更にこの分割工程の前又は後にレンズ結合光学素子(6)としてレンズチップがレーザチップ(1)の正面前に位置する一方の支持体部材(3)のミラー膜(5)上でx方向及びy方向に調整されてろう付け又は接着により支持体部材(3)の上面に固定されることを特徴とするオプトエレクトロニクスデバイスの製造方法。
- シリコンウェハの個別化はレーザチップ(1)を設ける前に行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
- レーザチップ(1)の背面前に位置する第2の支持体部材(4)のミラー膜(5)の上方にモニタ用チップ(7)が調整されて固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
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