JP3874560B2 - 微細セルロース含有複合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細セルロース含有複合物に関する。さらに詳しくは、特定の微細セルロースと低粘度水溶性食物繊維を含有し、食感、保形性、流動食の流動性などの機能が優れるとともに、食物繊維効果、油脂代替効果にも優れた微細セルロース含有複合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セルロースは、懸濁安定性付与、乳化安定性付与、保形性付与、クラウディー性付与、食物繊維摂取など種々の目的で食品に配合されてきた。しかし、安定剤等として、セルロースを単独で用いると、添加効果が不十分であったり、ややざらつきのある食感が感じられる場合があった。また、腸管内における食物繊維作用は水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とで異なるし、自然界の食物繊維が通常水不溶性と水溶性の食物繊維の複合物であることから、食物繊維素材としては両者の併用が好ましいと言われている。しかし、食品に配合するのに適した低い粘度を有し、低粘度で、食感が良好で、かつ、安定性の良い食物繊維用の素材もしくは素材の組み合わせは見あたらない。
【0003】
特公昭57−14771号公報では、微結晶セルロースと、分散剤(ガム類)と崩壊剤を特定の割合で含有する複合物についての記載があるが、ガム類の種類によっては粘度が高いため、糊状感のある重い食感となる場合があった。例えば結晶セルロース製剤として市販されている「アビセル」(商品名)RC−591(旭化成工業(株)製)は、結晶セルロースとともに分散剤としてカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを含有するが、3%濃度で水に分散させたときの粘度が1200mPa・sと高かった。
【0004】
特公平6−75474号公報では微結晶セルロースとガラクトマンナンガムよりなる組成物が記載されている。しかし、この組成物に使用されるガラクトマンナンガムは分解処理を施していない通常のガムであり、微結晶セルロースのバインダーとして作用するために、組成物を水中で撹拌しても膨潤するのみで、組成物粒子は崩壊せず、もとの状態を維持する。そのためこの組成物は脂肪に似た口当たりを与え、食品用の脂肪代替物として適していると言われている一方で、水中での懸濁安定性は低かった。
【0005】
特開平6−135838号公報には、非水溶性食物繊維として結晶セルロース、および水溶性食物繊維としてグアガム酵素分解物を含有する経口経管栄養組成物に関する発明が記載されている。しかし、この組成物においては、結晶セルロースとグアガム酵素分解物が、複合物を形成しておらず、別々に添加されて組成物を形成しているだけなので、結晶セルロースのざらつき感を抑えることが充分ではなく、また、チューブの流下性は充分ではなかった。
【0006】
特開平7−173332号公報、特開平7−268129号公報には粒径10μm以上の粒子が40%以下であり、かつ、微粒子量のひとつの尺度であるコロイド分画が65%以上であるところの、微細セルロースと親水性物質および/もしくは水溶性ガムとからなる複合物が記載されており、親水性物質としてポリデキストロース、水溶性ガムとしてキサンタンガムが例示されている。しかしながら、これらはコロイド分画が高いために粘度が高く、飲料等の食品に1%以上配合すると、食感が重くなり、また、経管流動食に使用した場合には、充分な速度で流下させることが困難であった。
【0007】
特開平7−70365号公報には粒径10μm以上の粒子が40%以下であり、かつ、コロイド分画が50%以上であるところの、微細セルロースとポリデキストロースとの複合物に関する記載がある。この複合物は低粘度であるが、ジェランガム等の安定化剤を含まないため、長期間の懸濁安定性に欠けていた。また、セルロース粒子が微細であるために乳蛋白等とインタラクションしやすく、ポリデキストロースがそれらを抑える効果に乏しいため、系が凝集する傾向があった。
【0008】
WO98/33394号公報には結晶セルロースとポリデキストロースを水中で混合し、乾燥することによって得られる食感改善剤に関する記載がある。しかしながら、ポリデキストロースに関する記載は請求の範囲にのみ記載されているだけで、実施例等で使用されているのはマルトデキストリンだけである。WO98/33394号公報からでは、ポリデキストロースを配合した組成物の効果が不明瞭であるが、マルトデキストリンを配合した組成物と同等の機能であると考えると、低濃度では粘度が下がるもののそれにつれてセルロースが沈降し、二層分離することが示されており、希薄系での安定性は不充分なものであったと理解される。キサンタンガムとの併用に関する記載もあるが、その配合量は3%以上であり、そのために2%懸濁液で粘度が525mPa・s以上と高い。つまり、WO98/33394号公報には、粘度が低く、かつ、安定性の高い微細セルロース含有複合物に関するデータおよび技術的思想に関する開示はないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水に分散させたときの粘度が低く、懸濁安定性に優れるだけでなく、食感、懸濁安定性、保形性、経管流動食の流動性などの機能が優れるとともに、水不溶性と水溶性の両方の食物繊維の効果を兼ね備えた微細セルロース含有複合物、およびそれを含む食品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の微細セルロースと、ポリデキストロースと、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガムを含有する複合物が、水に分散させたときの粘度が低く、また、微細セルロースの平均粒径が小さいために、食品に使用した場合、重い食感を呈することなく、保形性など食品の安定性にも寄与することを見いだし、本発明をなすに至った。
【0011】
即ち、本発明は以下の通りである。
【0012】
(1)微細セルロース40〜90重量%と、低粘度水溶性食物繊維の一種であるポリデキストロース10〜60重量%と、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満を含む微細セルロース含有複合物であって、該複合物を水に分散させたときの微細セルロースの平均粒径が30μm以下であり、コロイド分画が65%未満である上記複合物。
【0013】
(2)微細セルロース含有複合物の3重量%の懸濁液の粘度が300mPa・s以下である上記(1)の複合物。
【0015】
(3)微細セルロース40〜90重量%と、ポリデキストロース10〜60重量%と、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満を、水分を含有する状態で混合し、次いで、乾燥することを含む微細セルロース含有複合物の製造方法。この方法は上記(1)〜(2)のいずれかの微細セルロース含有複合物の製造方法として適している。
【0016】
(4)解重合処理したセルロース20〜99重量%と、ポリデキストロース1〜80重量%と、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満を、水分の含有する状態で混合と磨砕を同時に施し、次いで、乾燥することを含む微細セルロース含有複合物の製造方法。この方法は上記(1)〜(2)のいずれかの微細セルロース含有複合物の製造方法として適している。
【0017】
(5)上記(1)〜(2)のいずれかの微細セルロース含有複合物を配合してなる食品。
【0018】
(6)上記(1)〜(2)のいずれかの微細セルロース含有複合物を配合してなる食品であって、かつ、該複合物は崩壊して、個々の微細セルロースの粒子の状態で分散している上記食品。
【0019】
(7)食品が経管流動食である上記(6)の食品。
【0020】
以下、本発明につき詳しく説明する。
【0021】
本発明の微細セルロース含有複合物とは、単に微細セルロースの粉末とポリデキストロース等の粉末を混合したものではなく、粒子1個の中に1個以上の微細セルロース粒子とポリデキストロースとその他の成分を含有し、かつ、微細セルロース粒子の周囲にポリデキストロースが存在しているという構造を有する粒子、およびその粒子の群からなる乾燥粉末のことを意味する。
【0022】
本発明の微細セルロース含有複合物は、水中で撹拌すると、複合物の形態のまま水中に分散するのでなく、複合物は崩壊して、個々の微細セルロース粒子の状態で分散するのが特徴である。
【0023】
微細セルロース含有複合物を水中で1%濃度で攪拌して分散させたときの微細セルロースの平均粒径は、30μm以下であることが必要である。このときの粒度分布における粒径10μm以上の粒子の割合は80%以下であることが好ましい。より好ましくは平均粒径が20μm以下であって、粒径10μm以上の粒子の割合が70%以下である。さらに好ましくは平均粒径が3〜10μmであって、粒径10μm以上の粒子の割合が50%以下である。平均粒径が30μmを超えると、喫食した場合、口中でザラツキ感が感じられるとともに、安定性などの機能が低下する。平均粒径が小さいほどザラツキ感は改良される傾向にあるが、3μm未満だとコロイド分画が増え、粘度が上がる場合があり、好ましくない。
【0024】
また、本発明の微細セルロース含有複合物は低粘性であり、それは3%濃度で水に分散させて測定したときの粘度が低いこと、好ましくは300mPa・s以下であることを意味する。粘度が300mPa・sを超えると、食感が重くなる傾向がある。特に、経管流動食に配合する場合には、一定の値以上の流動速度で、具体的には複合物を1.5%程度配合した流動食を、内径1mmφ以下のチューブで流下させたとき、200g/hr以上の流動速度で流下させることが困難となり、また、クランプを絞って流動速度を一定の値、例えば170g/hrに調節したとき、クランプ部で流動食が詰まりやすくなる。粘度は、好ましくは、100mPa・s以下であり、さらに好ましくは、50mPa・s以下である。
【0025】
ポリデキストロースとはランダムに結合し、かつ、高度に分岐したグルコース重合体である。ヒトの消化酵素では大半が消化されないため、いわゆる食物繊維として機能する。比較的分子量が低く、水によく溶解し、しかもその水溶液は低粘度であるため、低粘度水溶性食物繊維として広く食品に使用されている。ポリデキトロースは、例えば、グルコースおよび少量のソルビトールを混合し、さらに少量のクエン酸を加え、減圧下で加熱を行うことによって製造することができる。市販品としては「ライテス」「ライテスII」「ライテスIII」(いずれも商品名)(カルター・フードサイエンス(株)製)などが使用できる。
【0026】
ポリデキストロースは、単独の配合では安定性が劣るので、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガムと併用する必要がある。
【0027】
キサンタンガムは、グルコース残基がβ−1,4−グルコシド結合で直鎖状に連なった、セルロースと同等の分子構造の主鎖を持ち、α−D−マンノース、β−D−グルクロン酸、β−D−マンノースが結合した三糖が側鎖として、主鎖のグルコース残基ひとつおきに結合した構造を持つ。この三糖類にはアセチル基とピルビン酸基が結合している。分子量は約100万以上である。
【0028】
ジェランガムは1,3結合したβ−D−グルコース、1,4結合したβ−D−グルクロン酸、1,4結合したβ−D−グルコース、1,4結合したα−L−ラムノースの4分子の糖を構成単位とする直鎖状の高分子であり、この1,3結合したグルコース残基にグリセリル基1残基とアセチル基が平均1/2残基結合した、ネイティブ型ジェランガムと呼ばれるものである。分子量は60万〜70万程度。市販品としては「ケルコゲル」(商品名)LT−100(三栄源エフ・エフ・アイ社)などが使用できる。
【0029】
キサンタンガムとジェランガムは共に、水に溶解して高い増粘性を示すという特徴を有する。キサンタンガムとジェランガムはそれぞれ単独で使用しても良いし、また、併用しても良い。ポリデキストロースに、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガムを10重量%以下の量で混合した場合、1%の濃度の水溶液に調製したときに350mPa・s以下の粘度、好ましくは100mPa・s以下の粘度、特に好ましくは10mPa・s以下の粘度を有するものが使用される。このとき、ジェランガムとキサンタンガムの合計した配合量は、複合物の0.1重量%以上3重量%以下である必要がある。0.1重量%未満では安定性が損なわれる。3重量%を越えると安定性が増すものの、低粘性が損なわれる。
【0030】
本発明の微細セルロース含有複合物は、微細セルロース20〜99重量%と、ポリデキストロース1〜80重量%と、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満からなる。微細セルロースが20重量%未満では、焼き菓子焙焼時の保形性付与などの安定剤としての効果が十分でない。微細セルロースが99重量%を超えると、ざらつき感を感じたり、もさもさした感じになり、食感的に好ましくない。また、ポリデキストロースが1重量%未満では、複合物を水中で撹拌しても、個々の微細セルロース粒子に分散しにくい。
【0031】
本発明の微細セルロース含有複合物は、好ましくは、微細セルロース40〜90重量%と、ポリデキストロース10〜60重量%を含み、特に好ましくは、微細セルロース50〜85重量%と、ポリデキストロース15〜50重量%を含む。
【0032】
本発明の微細セルロース含有複合物には、微細セルロースとポリデキストロース以外に、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デンプン類、可溶性デンプン、デンプン加水分解物、油脂類、蛋白類、食塩、各種リン酸塩等の塩類、乳化剤、増粘安定剤、酸味料、香料、色素など食品に使用できる成分を適宜配合することは自由である。特に、複合物の分散状態を調整するために、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ジェランガムなど、食品に利用される増粘安定剤や、糖類、可溶性デンプン、デンプン加水分解物などのデンプン類、ガラクトマンナン分解物、ペクチン分解物、難消化性デキストリンなどの低粘度水溶性食物繊維を単独で、あるいは併用して配合することも効果的である。なおこれらの成分は、複合物製造時に添加しても良いし、複合物製造後に添加しても構わない。配合量は安定性等の機能と粘度のバランスで適宜決定されるべきものであるが、増粘安定剤を配合する場合はおおむね3重量%以下が配合される。
【0033】
本発明の微細セルロース含有複合物は、コロイド分画が低い方が好ましい。コロイド分画が高くなると粘度が高くなってしまう。好ましくは85%以下、より好ましくは65%未満、特に好ましくは5〜50%、最も好ましくは10〜40%である。
【0034】
本発明における微細セルロースと、ポリデキストロースと、キサンタンガムおよび/もしくはジェランガムからなる複合物は、微細セルロースとポリデキストロース等を単に粉末状態のまま混合したものではなく、微細セルロースとポリデキストロース等とを水分の含有する状態、つまり、スラリー状、ペースト状、ゲル状、ケーク状で混合した後、乾燥して得られるものである。水分のある状態で混合することによって、微細セルロース粒子の表面をポリデキストロース等とよくなじませることが肝要である。この後、乾燥工程を経ることによって、おそらく微細セルロース粒子とポリデキストロース等との間に相互作用が生じ、水中に攪拌した際に個々に分散した微細セルロース粒子の表面には、ポリデキストロースの一部が付着して残るものと推察され、その結果として複合物の水分散液は単にそれらを混合したものと比べ粘度が低下し、また、チューブを流下する際のクランプ部での詰まりが低減するのである。乾燥する前の混合物の水分含量は、混合物総重量の約30重量%以上であることが好ましい。水分含量が低いと、微細セルロースとポリデキストロース等を充分に混合するのに時間を要するために好ましくない。より好ましい水分含量は約50重量%以上である。
【0035】
本発明の微細セルロース含有複合物の製法について具体的に説明する。
【0036】
本発明の微細セルロース含有複合物は、例えば、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀物もしくは果実由来の植物繊維等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解、亜臨界水あるいは超臨界水による加水分解等、あるいはそれらの組み合わせにより解重合処理して平均重合度30〜375とし、次いで、機械的なシア(剪断力)をかけて磨砕し、微細セルロースとした後、ポリデキストロース等を添加して混合後、乾燥することによって得ることができる。解重合処理したセルロースにポリデキストロース等を添加後、機械的なシアをかけて磨砕と混合を同時に行う、いわゆる湿式共磨砕した後、乾燥し、微細セルロースを含む複合物とすることは特に好ましい。また、本発明の微細セルロース含有複合物はセルロース系素材に化学的処理を施さずに、あるいは弱い化学的な処理を施した後、機械的なシアをかけ湿式磨砕を行うか、あるいは粉砕することによって得ることができる、木材パルプやバクテリアセルロース等を原料とした微小繊維状セルロース、あるいは粉末セルロースをポリデキストロース等と共に水分の存在下で混合および/もしくは磨砕した後、乾燥し、微細セルロースを含む複合物として得られるものであっても良い。
【0037】
湿式磨砕機械は、系に存在する水分量、セルロースの微細化の程度により自由に選択される。
【0038】
例えば、平均粒径が8μm以下の微細セルロースを得るような充分な機械的シアをかける場合は、媒体攪拌ミル類、例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式ビーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモジナイザー等が用いられる。高圧ホモジナイザーとしては、約500kgf/cm2以上の高圧で、スラリーを微細オリフィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的である。これらのミルを使用した場合の最適磨砕濃度は機種により異なるが、概ね3〜25重量%程度の固形分濃度が適している。
【0039】
また、平均粒径が5〜30μmの微細セルロースを得るような機械的シアをかける場合においては、おおむね固形分濃度が3〜30重量%程度であるスラリー様の系を磨砕するには、コロイドミル、連続式ボールミル、ホモジナイザー、ホモミキサー、プロペラ撹拌機などの磨砕機、混合機が使用できる。また、それより固形分濃度が高い、おおむね20〜60重量%程度であるケーク状のものを磨砕するには、ニーダー、ライカイ機、押出機などが使用できる。また、微小繊維状セルロースは、セルロース系素材懸濁液を高圧ホモジナイザーで50kgf/cm2以上の圧力で数回パスして、繊維径を約0.01〜1μmにまで離解にすることにより、あるいは、セルロース系素材の懸濁液を媒体攪拌ミル類で数回処理することにより得られる。本発明の目的のためにはこれらの機種を単独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも出来る。
【0040】
微細セルロースとポリデキストロース等の混合物の乾燥は公知の方法を使用すればよいが、実際的には、乾燥される対象物の水分量、状態によって最適な方法を選ぶべきである。例えばスラリー状であれば、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、アルコール沈澱法等が使用できる。また、泥状物、餅様物には、棚段式乾燥法、ベルト乾燥法、流動床乾燥法、凍結乾燥法、マイクロウエーブ乾燥等が挙げられる。水中での複合物の溶解性、再分散性を向上させる点からは、スラリー状にして噴霧乾燥する方法が好ましい。乾燥コスト低減の点からは、アルコール沈澱法、プレス法、固形分含量の高い状態で乾燥できる棚段乾燥法、流動床乾燥法が好ましい。乾燥後の水分量の上限は、取り扱い性、経時安定性を考慮すれば、15重量%以下が好ましい。特に好ましくは10重量%以下である。さらに好ましくは6重量%以下である。
【0041】
なお、ドラム乾燥法、棚段式乾燥法、ベルト乾燥法などにより得られた乾燥物は、薄片状、塊状で得られるので、衝撃式粉砕機、ジェットミル粉砕機など適切な方法で粉砕し、目開き425μmの篩をほぼ全通する程度に粉末化することが好ましい。
【0042】
本発明の微細セルロース含有複合物は、種々の食品に使用できる。例を挙げると、コーヒー、紅茶、抹茶、ココア、汁粉、ジュース等の嗜好飲料、生乳、加工乳、乳酸菌飲料、豆乳等の乳性飲料、カルシウム強化飲料等の栄養強化飲料並びに食物繊維含有飲料等を含む各種の飲料類、アイスクリーム、アイスミルク、ソフトクリーム、ミルクシェーキ、シャーベット等の氷菓類、バター、チーズ、ヨーグルト、コーヒーホワイトナー、ホイッピングクリーム、カスタードクリーム、プリン等の乳製品類、マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、ショートニング等の油脂加工食品類、各種のスープ、シチュー、ソース、タレ、ドレッシング等の調味料類、練りがらしに代表される各種練りスパイス、ジャム、フラワーペーストに代表される各種フィリング、各種のアン、ゼリーを含むゲル・ペースト状食品類、パン、麺、パスタ、ピザ、各種プレミックスを含むシリアル食品類、キャンディー、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、チョコレート、餅等を含む和・洋菓子類、蒲鉾、ハンペン等に代表される水産練り製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等に代表される畜産製品、クリームコロッケ、中華用アン、グラタン、ギョーザ等の各種の惣菜類、塩辛、カス漬等の珍味類、経管流動食等の流動食類およびペットフード類等である。
【0043】
本発明の微細セルロース含有複合物は、これらの用途において、懸濁安定剤、乳化安定剤、増粘安定剤、泡安定剤、クラウディー剤、組織付与剤、流動性改善剤、保形剤、離水防止剤、生地改質剤、粉末化基剤、食物繊維基剤、油脂代替などの低カロリー化基剤として作用するものである。また、上記の食品がレトルト食品、粉末食品、冷凍食品、電子レンジ用食品等のように、形態または用時調製の加工手法が異なっていても本発明の効果は発揮される。
【0044】
本発明の微細セルロース含有複合物を食品に用いると、低粘性を示すこと、および微細セルロースの粒子が小さいことのため、喫食時さっぱりして喉越しが良く、ざらつき感が低減するため、食感が良好であるという優れた特徴がある。
【0045】
特に本発明の微細セルロース含有複合物は、経管流動食用の食物繊維素材として適している。現在経管流動食においては、水溶性と水不溶性の食物繊維を同時に配合しようとする試みがあり、実際に商品化されているものもあるが、後述のごとく必ずしも充分な物性を有していない。つまり、経管流動食は、チューブを通して人体に投与するものであり、かなり低速に、かつ、長時間、一定流速で流下する性質が必要であるが、水不溶性成分が流速を制御するクランプ部に詰まってしまうケースが見られるのである。現状では時々クランプを開けて、詰まりを解消しつつ投与している。本発明の微細セルロース含有複合物は、低粘度で、かつ、微細セルロース粒子が凝集しにくい性質を有する。そのために経管流動食に配合した場合、クランプ部にほとんど詰まりを生じることがない。しかも、水溶性と水不溶性の食物繊維を含有していることから、経管流動食用の食物繊維素材として、きわめて優れた性質を有している。
【0046】
本発明の微細セルロース含有複合物を食品に使用する場合、各食品の製造で一般に行われている方法と同様の機器を使用して、その食品の主原料の他、必要に応じて、香料、pH調整剤、増粘安定剤、塩類、糖類、油脂類、蛋白類、乳化剤、酸味料、色素等と配合して、混合、混練、撹拌、乳化、加熱等の操作を行えばよい。
【0047】
食品中での本発明の微細セルロース含有複合物の含有量は、食品の種類等により異なるが、食品全体に対して0.01〜15重量%程度が好ましい。安定剤としての機能を主に考える場合は、0.02〜3重量%程度が好ましい。また、食物繊維素材(経管流動食用途を含む)、油脂代替素材としての使用を主に考慮する場合は、0.5〜15重量%程度が好ましい。
【0048】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、測定は以下のとおり行った。
【0049】
<複合物の平均粒径、10μm以上の粒子の割合>
(1)サンプル(固形分)3.0gに蒸留水を入れ、全量を300gとする。
(2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)にて15000rpmで5分間分散する。
(3)レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−910)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体積分布における割合(%)で表す。
【0050】
<複合物の粘度>
(1)サンプル(固形分)9.0gに蒸留水を入れ、全量を300gとする。
(2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)にて15000rpmで5分間分散する。
(3)BL型粘度計(東京計器製)を用いて、液温25℃で、ローター回転数 60rpmで測定する。粘度の単位は、mPa・sである。
【0051】
<複合物のコロイド分画>
(1)サンプル(固形分)0.75gに蒸留水を入れ、全量を300gとする。
(2)エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)にて15000rpmで2分間分散する。
(3)分散液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤する。
(4)残りの分散液40mlを遠沈管に移し、2000rpmで15分間遠心分離する(国産遠心機製H−300型)。その上層液10mlを正確に秤量瓶にとり重量を精秤する。
(5)(3)、(4)の秤量瓶を105℃の乾燥機で10時間加熱し、内容物を蒸発乾固する。
(6)(3)の固形分重量を精秤する。(Ag)
(7)(4)の固形分重量を精秤する。(Bg)
(8)水溶性成分(複合物に含まれる、ポリデキストロースとその他の水溶性物質の合計の比率:S%)の補正を行い、次式によりコロイド分画を算出する。
コロイド分画(%)=(B−A×S/100)/(A×(1−S/100))×100
実施例1
市販DPパルプを、7%塩酸中で105℃、20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、加水分解セルロースのウェットケーク(固形分含量41%)を得た。
【0052】
次にこの加水分解セルロースとポリデキストロース(商品名「ライテス」、カルター・フードサイエンス社製)と、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株))および/もしくはジェランガム(商品名「ケルコゲル」LT−100、三栄源エフ・エフ・アイ(株))をそれぞれ固形分比で表1の配合組成となるようにして、ニーダーを用いて3時間磨砕混練した。次に60℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細セルロース含有複合物A〜Dを得た。複合物A〜Dを水に再分散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の割合、コロイド分画、粘度を表1に示す。粘度を測定した後、その複合物水分散液を室温にて3日間静置したところ、上部に離水が発生することなく、安定な懸濁状態を示した。
【0053】
比較例1
表1の配合組成で、実施例1と同様に操作して、セルロース粒子aおよび複合物b、cを得た。それらを水に再分散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の割合、コロイド分画、粘度を表1に示す。粘度を測定した後、その水分散液を室温にて3日間静置したところ、セルロース粒子aの水分散液においては上部95%に離水が発生した。
【0054】
比較例2
実施例1と同様に操作し、加水分解セルロースのウェットケークを得た後、水を添加して固形分10%のセルロース分散液を得た。
このセルロース分散液を媒体攪拌湿式粉砕装置(コトブキ技研工業(株)製、商品名「アペックスミル」AM−1型)で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、攪拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.4L/minの条件で、2回通過で粉砕処理を行い、微細セルロースのペースト状物を得た。この微細セルロースの平均粒径は3.5μmで、10μm以上の粒子の割合は4.7%、コロイド分画が69%であった。
【0055】
この微細セルロースとポリデキストロース、キサンタンガムを、固形分比で75/20/5となるように撹拌混合し、総固形分濃度が3.5%の分散液を調製した。次に、この分散液を噴霧乾燥することによって複合物dを得た。複合物dを水に再分散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の割合、コロイド分画、粘度を表1に示す。なお、複合物dは特開平7−268129号公報に開示されている技術に含まれるものである。表1を見てわかるように、コロイド分画が95%と非常に高く、そのために粘度が410mPa・sと高いことが特徴である。
【0056】
比較例3
比較例2と同様にして得られた微細セルロースのペースト状物とポリデキストロースと水を混合し、微細セルロース/ポリデキストロースの固形分比が70/30で、かつ、総固形分濃度が12%の分散液を調製した。この分散液をドラムドライヤーで乾燥し、得られたフィルム状物を粉砕し、複合物eを得た。複合物eを水に再分散した時の平均粒径、10μm以上の粒子の割合、コロイド分画、粘度を表1に示す。粘度を測定した後、その複合物水分散液を室温にて3日間静置したところ、上部11%に透明な離水層が発生した。なお、複合物eは特開平7−70635号公報に開示されている技術に含まれるものである。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2
市販DPパルプを、10%塩酸中で105℃、30分間加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄し、重合度185の加水分解セルロースのウェットケーク(固形分含量48%)を得た。
【0059】
次に、この加水分解セルロースと、ポリデキストロース、難消化性デキストリン(商品名「ファイバーソル2」、松谷化学工業(株)製)、キサンタンガム、ジェランガムをそれぞれ固形分比で表2の配合組成となるようにして、ニーダーを用いて3時間磨砕混練した。これを60℃の熱風乾燥機で乾燥した後、粉砕して、微細セルロース含有複合物Eを得た。得られた複合物を水に分散したときの平均粒径、10μm以上の粒子の割合、粘度を表2に示す。粘度を測定した後、その複合物水分散液を室温にて3日間静置したところ、上部に離水が発生することなく、安定な懸濁状態を示した。
【0060】
【表2】
【0061】
実施例3
微細セルロース含有複合物を懸濁安定化、食物繊維強化等の目的で配合し、栄養強化飲料を作成した。
まず、微細セルロース含有複合物A、C、Eを用い、微細セルロース含有複合物1.0重量%、カゼインナトリウム3.3重量%、デンプン加水分解物11.0重量%、砂糖1.4重量%、乳糖0.8重量%、大豆レシチン1.1重量%、中鎖脂肪酸エステル1.0重量%、サラダ油1.0重量%、水79.4重量%をTKホモミキサーを用いて10000rpmで10分間分散した後、高圧ホモジナイザーを用いて、150kgf/cm2の圧力で1パスさせて、均質化した。続いて、耐熱瓶に充填した後、オートクレーブを用いて、121℃で30分間殺菌し、栄養強化飲料を得た。
B型粘度計を用いて、ローター回転数60rpmで測定した粘度、沈降物の有無、および飲んだときのざらつき感について評価した。結果を表3に示す。
【0062】
比較例4
複合物としてa、d、eを用いる以外は、実施例3と同様に操作し、栄養強化飲料を得た。
B型粘度計を用いて、ローター回転数60rpmで測定した粘度、沈降物の有無、および飲んだときのざらつき感について評価した結果を表3に示す。複合物dを配合したものは沈降物は見られず、ざらつき感も感じられなかったが、非常に粘度が高く、糊状感が感じられた。
【0063】
【表3】
【0064】
実施例4
微細セルロース含有複合物を、保形性付与、食物繊維強化等の目的で配合し、ビスケットを作成した。
まず、微細セルロース含有複合物A、C、Eを用い、微細セルロース含有複合物30重量部、小麦粉300重量部、砂糖100重量部、重曹6重量部、食塩3重量部を粉体混合した後、プラネタリーミキサーに投入し、さらにマーガリン150重量部、全卵30重量部、水を投入し、5分間混練した。水は表4に示した量を投入。ここで、混練時における機壁へのドウの付着性を観察した。次に、混練したドウを冷蔵庫に1夜置いた後、室温に戻し、厚み15mm、幅30mm×15mmの大きさに揃えた。続いて、160℃のオーブンで20分間焼成し、ビスケットを得た。ここで、焼成時の保形性(ダレの有無)について観察した。最後に食べたときの食感について評価した。結果を表4に示す。
【0065】
比較例5
複合物としてa、bを用いる以外は、実施例4と同様に操作し、ビスケットを得た。
混練時における機壁へのドウの付着性、焼成時の保形性(ダレの有無)について観察した結果、食べたときの食感についての評価結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
実施例5
微細セルロース含有複合物を、油脂代替物、乳化安定剤等の目的で配合し、低脂肪マヨネーズ風ドレッシングを作成した。
まず、微細セルロース含有複合物C8.0重量%と水37.7重量%をホバートミキサーに投入し、攪拌・分散した。次いで、撹拌しながらキサンタンガム0.3重量%、卵黄10.0重量%を添加した。さらに、撹拌しながらサラダ油33.0重量%を添加し、撹拌を継続した。続いて、食酢7.0重量%、食塩2.6重量%、砂糖0.9重量%、洋辛子粉0.4%、グルタミン酸ソーダ0.1重量%を添加し、約30分間攪拌した。続いて、コロイドミルを通過させて乳化し、ドレッシングを作成した。
ドレッシングの食感(口に含んだときのなめらかさ、ざらつき、ボディー)および耐熱安定性(ドレッシングをガラス瓶に入れ、95℃の熱水中に15分間浸漬したときの乳化の安定性を観察)の評価結果を表5に示す。
【0068】
比較例6
複合物d、eを用いる以外は実施例5と同様に操作し、ドレッシングを得た。
ドレッシングの食感および耐熱安定性の評価結果を表5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】
実施例6
微細セルロース含有複合物を、食物繊維強化等の目的で配合し、経管流動食を作成した。
微細セルロース含有複合物A1.5重量%、デンプン加水分解物14.2重量%、カゼイン3.1重量%、脱脂粉乳2.1重量%、トウモロコシ油1.0重量%、ヤシ油1.0重量%、塩化カリウム0.09重量%、塩化ナトリウム0.05重量%、硫酸マグネシウム0.05重量%、グリセロリン酸カルシウム0.02重量%、大豆レシチン0.02重量%、ビタミンC63ppm、ビタミンE20ppm、ニコチン酸アミド9ppm、ビタミンB1塩酸塩0.7ppmを混合し、次いで、60℃の温水76.87重量%を加え、TKホモミキサーを用いて10000rpmで5分間分散した後、高圧ホモジナイザーを用いて、150kgf/cm2の圧力で1パスさせて、乳化した。次いで、耐熱瓶に充填した後、オートクレーブを用いて121℃で30分間殺菌し、経管流動食を得た。
【0071】
次に、ポリ塩化ビニル製の栄養補給バッグ付属のチューブ(内径3.4mmφ、120cm)の先に、EVA製の栄養補給用チューブ(内径0.88mmφ、120cm)を接続し、次いでその栄養補給バッグに得られた経管流動食1Lを充填し、クランプを絞って170g/hrに流下速度を調節し、1.2mの高さから経管流動食を流下させた。バッグに充填した際の外観、流下時のつまり発生の程度、流速の変動、等について調べた結果を表6に示す。
【0072】
比較例7
複合物eを用いる以外は実施例6と同様に操作し、経管流動食を得た。
得られた経管流動食は実施例6と同様に評価し、その結果を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
【発明の効果】
本発明の微細セルロース含有複合物は、特定の微細セルロースと、ポリデキストロースと、キサンタンガム、ジェランガムなどの安定剤を特定の配合比率で含有するため、水に分散させたときの粘度が低く、かつ、懸濁安定性に優れる。このため、本発明の該複合物を含有する食品は、食感、保形性、経管流動食へ配合した場合のチューブの流下性などの機能が優れるとともに、食物繊維効果、油脂代替効果等にも顕著な効果を有する。
Claims (7)
- (1)微細セルロース40〜90重量%と、(2)ポリデキストロース10〜60重量%と、(3)キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満、を含む微細セルロース含有複合物であって、該複合物を水に分散させたときの微細セルロースの平均粒径が30μm以下であり、コロイド分画が65%未満である上記複合物。
- 微細セルロース含有複合物の3重量%の懸濁液の粘度が300mPa・s以下である請求項1記載の複合物。
- (1)微細セルロース40〜90重量%と、(2)ポリデキストロース10〜60重量%と、(3)キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満を、水分を含有する状態で混合し、次いで、乾燥することを含む微細セルロース含有複合物の製造方法。
- (1)解重合処理したセルロース40〜90重量%と、(2)ポリデキストロース10〜60重量%と、(3)キサンタンガムおよび/もしくはジェランガム0.1重量%以上3重量%未満を、水分の含有する状態で混合と磨砕を同時に施し、次いで、乾燥することを含む微細セルロース含有複合物の製造方法。
- 請求項1〜2のいずれかの一項に記載の微細セルロース含有複合物を配合してなる食品。
- 請求項1〜2のいずれかの微細セルロース含有複合物を配合してなる食品であって、かつ、該複合物は崩壊して、個々の微細セルロースの粒子の状態で分散している上記食品。
- 食品が経管流動食である請求項6に記載の食品。
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