JP3873659B2 - 鉄道車両用台車枠及びその組立て方法並びに鉄道車両用台車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用台車枠及びその台車枠の組立て方法並びにその台車枠を備えた鉄道車両用台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すように、対をなす側梁1a,1bと、これら側梁1a,1bを連結する横梁2と、この横梁2に取付けられた主電動機受座3を備えた鉄道車両の台車枠4にあって、主電動機受座3は主電動機より発生するトルクを受け、駆動の反力を常に受けることから、台車枠の最重要部であり、強度的に信頼性の高い構造が要求される。
【0003】
特に主電動機受座3と横梁2の溶接接合部は、有限要素法(FEM)による強度解析では、他の部位の0〜20MPaという応力に比べて、75〜46MPaといった高い応力が発生することから、外面、内面共に信頼性の高い溶接継手が要求される。
【0004】
ところで、この主電動機受座3は、従来は図5に示したように、主電動機取付用のキー3aをその上面に取付けた上板3bを、一体的に形成された前面及び側面板3cの上端に溶接すると共に、この前面及び側面板3c及びこの内側中央部に溶接した中間板3dを、裏板3eに溶接して、図4に示したように一体となした構造であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような予め完成させた主電動機受座3の横梁2への取付は、外側については通常の開先溶接が可能であるが、内面側については、図6に示したように、前面及び側面板3cの前面に設けた開口3caより溶接棒5を掴んだ溶接電極6を挿入して溶接する必要があった。
【0006】
このような溶接では、溶接に際し、溶接部が見づらく、また、溶接棒の運棒が思うように行えないので、この最も重要な溶接部の溶接継手品質を確保することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、最も重要な主電動機受座の横梁への溶接部の溶接継手品質を向上可能な鉄道車両用台車枠及びその台車枠の組立て方法並びにその台車枠を備えた鉄道車両用台車を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る鉄道車両用台車枠は、主電動機受座を構成する前面板が、当該主電動機受座を構成する他の部材とは別部材となされ、横梁に主電動機受座を溶接するに際し、前面板を除く主電動機受座を構成する他の部材を表裏面側から横梁に溶接した後、前面板を、前記主電動機受座を構成する他の部材と最後に外側のみから溶接することとしている。そして、このようにすることで、主電動機受座の横梁への溶接に際し、溶接部が見づらく、また、溶接棒の運棒が思うように行えないという問題がなくなる。
【0009】
そして、上記したような本発明に係る鉄道車両用台車枠を備えた本発明に係る鉄道車両用台車にあっては、最も重要な主電動機受座の横梁への溶接部の溶接継手品質が向上し、安全性が高くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る鉄道車両用台車枠は、対をなす側梁と、これら側梁を連結する横梁と、この横梁に溶接により取付けられた主電動機受座を備えた鉄道車両用台車枠において、
前記主電動機受座を構成する前面板が、当該主電動機受座を構成する他の部材とは別部材となされ、
前記横梁と前記主電動機受座を構成する前記前面板を除いた他の部材との溶接が、これらそれぞれの部材の表裏両側から行なわれ、前記前面板と前記他の部材との溶接が最後に外側のみから行われたものである。
【0011】
そして、上記した本発明に係る鉄道車両用台車枠を組立てるに際しては、横梁に主電動機受座を溶接するに際し、前面板を除く主電動機受座を構成する他の部材を横梁に溶接した後、前面板を、前記主電動機受座を構成する他の部材と最後に溶接することにより行う。これが本発明に係る鉄道車両用台車枠の組立て方法である。
【0012】
かかる本発明によれば、主電動機受座の横梁への取付に際し、溶接部が見づらく、また、溶接棒の運棒が思うように行えないという問題がなくなり、主電動機受座の横梁への溶接が円滑かつ確実に行えるようになって、溶接継手品質が向上する。
【0013】
そして、上記したような本発明に係る鉄道車両用台車枠を備えた本発明に係る鉄道車両用台車にあっては、最も重要な主電動機受座の横梁への溶接部の溶接継手品質が向上して信頼性が増し、安全性が高くなる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を図1及び図2に示す実施例に基づいて説明する。
図1は本発明に係る鉄道車両用台車枠の要部説明図で、(a)は正面から見た図、(b)は平面から見た図、(c)は側面からみた図、(d)は主電動機を取付けた状態を側面から見た図、図2(a)〜(d)は本発明に係る鉄道車両用台車枠の組立て方法を説明する図である。
【0015】
図1及び図2において、11は本発明に係る鉄道車両用台車枠及びこの台車枠を備えた本発明に係る鉄道車両用台車を構成する主電動機受座であり、従来の主電動機受座と異なり、側板11aと前面板11bを別部材として構成している。
【0016】
そして、本発明に係る鉄道車両用台車枠を組立てるに際しては、例えば、図2(a)(b)に示したように、横梁2に、主電動機取付用のキー11cをその上面に予め取付けた上板11dと、その下側に底板11eを予め取付けた裏板11fを夫々の表裏面側から溶接して取り付ける。そして、その後、横梁2に2枚の側板11a,11aと中間板11fを夫々の両側面側から溶接して取り付ける。
【0017】
これらの溶接に際し、本発明に係る台車枠を構成する主電動機受座11にあっては、側板11aと前面板11bを別部材として構成し、前面板11bが取付けられていない状態であるので、主電動機受座11の内面側の溶接が、図2(a)(b)に示したように、溶接継手側が開放された状態で実施できることになり、溶接作業スペースが十分に確保できて信頼性の高い溶接継手が実現でき、溶接品質も安定するようになる。
【0018】
上記したように、前面板11bを除いた部材11a,11c〜11gを横梁2に溶接した後、図2(d)に示したように、2枚の側板11aの前端に前面板11bを当接させた状態で、2枚の側板11aの外面側と、中間板11gの外面側両側と、図2(c)に示したように、上板11dと底板11eの夫々の外面側から前面板11bを溶接する。すなわち、横梁2に対して前面板11bを最後に取付ける。
【0019】
この前面板11bの溶接は、外側のみからの片側開先溶接となり、上記した横梁2との溶接のように両側からの信頼性の高い溶接とはならないが、先に説明したFEMによる強度解析では、発生応力は横梁2との溶接部に比べて小さいことから、主電動機受座11全体としては、均質な信頼性の台車枠とすることができる。
【0020】
以上が本発明方法によって組立てた本発明に係る鉄道車両用台車枠であり、この鉄道車両用台車枠を備えた本発明に係る鉄道車両用台車にあっては、上記したように最も重要な主電動機受座11の横梁2への溶接部の溶接継手品質が向上して信頼性が増すことになって、安全性が高くなる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、主電動機受座の横梁への取付に際し、溶接部が見づらく、また、溶接棒の運棒が思うように行えないという問題がなくなり、主電動機受座の横梁への溶接が円滑かつ確実に行えるようになって、溶接継手品質が向上し、信頼性が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両用台車枠の要部説明図で、(a)は正面から見た図、(b)は平面から見た図、(c)は側面からみた図、(d)は主電動機を取付けた状態を側面から見た図である。
【図2】(a)、(c)は本発明に係る鉄道車両用台車枠の組立て方法を説明する図で、(b)は(a)のA−A断面図、(d)は(c)のB−B断面図である。
【図3】従来の鉄道車両用台車枠を平面から見た全体図である。
【図4】従来の鉄道車両用台車枠の要部説明図で、(a)は正面から見た図、(b)は平面から見た図、(c)は側面からみた図である。
【図5】従来の主電動機受座の組立て手順を説明する図である。
【図6】(a)は従来の鉄道車両用台車枠の組立て方法を説明する図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】
1a 側梁
1b 側梁
2 横梁
4 台車枠
11 主電動機受座
11a 側板
11b 前面板
Claims (3)
- 対をなす側梁と、これら側梁を連結する横梁と、この横梁に溶接により取付けられた主電動機受座を備えた鉄道車両用台車枠において、
前記主電動機受座を構成する前面板が、当該主電動機受座を構成する他の部材とは別部材となされ、
前記横梁と前記主電動機受座を構成する前記前面板を除いた他の部材との溶接が、これらそれぞれの部材の表裏両側から行なわれ、前記前面板と前記他の部材との溶接が最後に外側のみから行われたものであることを特徴とする鉄道車両用台車枠。 - 横梁に主電動機受座を溶接するに際し、
前面板を除く主電動機受座を構成する他の部材を横梁に溶接した後、
前面板を、前記主電動機受座を構成する他の部材と最後に溶接することを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用台車枠の組立て方法。 - 請求項1記載の鉄道車両用台車枠を備えたことを特徴とする鉄道車両用台車。
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