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JP3873118B2 - アリールスルホンの製造方法 - Google Patents

アリールスルホンの製造方法 Download PDF

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JP3873118B2
JP3873118B2 JP2001385640A JP2001385640A JP3873118B2 JP 3873118 B2 JP3873118 B2 JP 3873118B2 JP 2001385640 A JP2001385640 A JP 2001385640A JP 2001385640 A JP2001385640 A JP 2001385640A JP 3873118 B2 JP3873118 B2 JP 3873118B2
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group
arylsulfone
producing
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alcohol
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悌一 村上
清孝 古澤
和宏 田口
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医農薬等の生理活性物質をはじめとする種々のファインケミカル製品の合成中間体として有用なアリールスルホン類の改良された製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アリールスルホン類は、医農薬等の生理活性物質をはじめとする種々のファインケミカル製品の合成中間体として有用なものであり(B. M. Trost, Bull. Chem. Soc. Jpn., 61, 107 (1988); G. Solladie, Comprehensive Organic Synthesis, Vol. 6, p.157 (1991); M. Yus, Tetrahedron, 55, 10547 (1999))、たとえば、シクロゲラニルフェニルスルホンは、医薬、飼料添加物、食品添加物として使用されているビタミンAの合成中間体として有用であり(特開昭63−250364、大寺ら, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 779 (1997))、また、染料の合成中間体(特開昭63−39854号公報)や植物ホルモンであるブラシノライド類の側鎖合成等(特開平5−221955号公報)にも用いられている。
【0003】
従来、このようなアリールスルホン類は、▲1▼ハロゲン化アルキルとアリールスルフィン酸アルカリ金属塩との置換反応(B. M. Trostら, J. Am. Chem. Soc., 107, 396 (1985))、▲2▼アルキルアリールスルフィド類の酸化反応(野依ら, Tetrahedron, 57, 2469(2001))、▲3▼アルキル基がアリル型の場合はパラジウム触媒を用いるアリルアルコール類の低級脂肪酸エステルとアリールスルフィン酸塩との置換反応(猪俣ら, Chem. Lett., 1357 (1981))等により製造されている。
【0004】
一方、以下のような文献には、アリールスルホン類をアルコール類から直接製造する方法が記載されている。
▲4▼P. S. Manchandら, Helv. Chim. Acta, 59, 387 (1976)
▲5▼土屋ら, 特開昭57−40457号公報
▲6▼石井ら, J. Org. Chem., 55, 3274 (1990)
【0005】
これらの方法は、アルコール類から一段階でアリールスルホン類を製造することができ、上記▲1▼〜▲3▼の方法のように、まず、アルコール類からその誘導体であるハロゲン化物、スルフィド類、エステル類などを単離精製し、ついでこのものを置換反応に付するという工程が省かれることから、工業的な面においても環境適合性の観点からも有利な製造方法ということができる。
【0006】
しかしながら、▲4▼と▲5▼の方法は、ビタミンA類の製造工程に必要な特定のアルコールのみを対象としており、広範囲なアルコールに適用する方法ではないことから、出発原料であるアルコールの選択自由度が制限されるという難点があった。
また、▲6▼の方法は、アルコール類のヨウ素化に際して塩化トリメチルシラン、ヨウ化ナトリウム、及び水を用いるため、反応系内にヨウ化水素が生成するので酸に不安定な基質には適用し難いという問題があった。
更に、▲4▼〜▲6▼のいずれの方法も基質が反応性の高いアリルアルコール類に限られており、一般の飽和炭化水素系アルコールや官能基をもつ非活性型アルコールについての試みは何らされておらず、また温和な条件下で進行し、幅広いアルコールにも適用できる方法ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、入手容易で化学的に安定なアルコール類を用いて中間体を単離せずにアリールスルホンを簡便に得ることができ、しかも温和な条件下で進行し、幅広いアルコールにも適用可能な、工業的に有利なアリーリスルホンの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定な触媒を用いるとアルコール類からスルホン類を一段階で穏和な条件で簡便に製造できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)下記一般式( I )で表されるアルコールに三価のリン化合物の存在下でハロゲン化剤を作用させてハロゲン化物を含む反応液を調製し、ついで該反応液を単離精製することなく、ヨウ素化合物触媒の存在下で、下記一般式(II)で示されるアリールスルフィン酸塩と反応させることを特徴とする下記一般式( III )で表されるアリールスルホンの製造方法。
【化4】
RCH2OH (I)
(式中、Rは炭素数1以上の直鎖状または分岐鎖を含むアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、もしくは環状脂肪族基、アリール基、複素環式基を示し、これらの基には、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、シアノ基、ニトロ基、アルケニルハロゲン原子またはアリールハロゲン原子が含まれていてもよい。)
【化5】
ArSO2 M (II)
(式中Arは置換基を有していてもよいアリール基、Mはアルカリ金属を示す)
【化6】
RCH2SO2Ar (III)
(R及びArは前記と同じ)
(2)三価のリン化合物がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする上記(1)に記載のアリールスルホンの製造方法。
(3)ハロゲン化剤がN−ブロモコハク酸イミドであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のアリールスルホンの製造方法。
(4)ヨウ素化合物がアルカリ金属ヨウ化物、アリカリ土類金属ヨウ化物又はヨウ素を含むカチオニウム塩であることを特徴とする上記(1)乃至(3)何れかに記載のアリールスルホンの製造方法。
(5)一般式(I)で表されるアルコール化合物がゲラニオールであることを特徴とする上記(1)乃至(4)何れかに記載のアリールスルホンの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアリールスルホンの製造方法は、まず、(A)上記アルコール類(I)に、三価のリン化合物触媒下でハロゲン化剤(A-X)を作用させてハロゲン化物を含む反応液を合成し(ハロゲン化工程)、(B)ついで該反応液を単離精製することなく、ヨウ素化合物触媒の存在下で、アリールスルフィン酸と反応させる(置換工程)ことからなる。
【0010】
この合成工程は、以下の反応式に従って進行するものと推定される。
【化7】
Figure 0003873118
【0011】
上記ハロゲン化工程は、三価のリン化合物の存在下で行なわれる。
三価のリン化合物としてはトリアルキルホスフィン類、トリアリールホスフィン類、亜リン酸トリアルキル類、亜リン酸トリアリール類、亜リン酸トリアミド類等があげられる。それらの中でトリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0012】
また、出発物質として用いられる上記一般式(I)で表されるアルコール類としては、従来公知のアルコールが全て使用できる。
このようなアルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノールのような飽和炭化水素系アルコール類、アリルアルコール、メタリルアルコール、2-ヘキセン-1-オール、2-ドデセン-1-オール、ゲラニオールのようなアリル型アルコール類、ベンジルアルコール、1-ナフタレンメタノールのようなベンジル型アルコール類、プロパルギルアルコール、4-ペンテン-1-オール、フェネチルアルコールのような不飽和炭化水素系アルコール類など、多様な1級アルコールを用いることができる。さらに、分子内にエーテル基、エステル基、アセタール基、アミド基、ウレタン基、芳香族ハロゲン原子、ヘテロ環等の官能基を有する一級アルコールも用いることができる。具体的には、2-メトキシエタノール、2-ベンゾイルオキシエタノール、2-シアノエタノール、4-クロロベンジルアルコール、フルフリルアルコール等である。
【0013】
ハロゲン化剤(A-X)としては臭素、ヨウ素のようなハロゲン類、N-クロロコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド、N-ブロモフタルイミド、N-ブロモ酢酸アミドのようなN-ハロゲノ酸イミド類、四塩化炭素、四臭化炭素のような四ハロゲン化炭素類等を用いることができる。反応性、経済性等の点で特に好ましいのはN-ブロモコハク酸イミド(NBS)である。
【0014】
溶媒は反応に関与しない非プロトン性有機溶媒ならば特に制限はないが、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)等が好ましい。特に、低温(−20℃以下)においてもトリフェニルホスフィンを溶かすことができ、また次の工程における置換反応を円滑に進められるという点でTHF及びDMFが好ましい。
【0015】
また、次の置換反応における反応性を考慮して、反応性の高いアリルアルコール類やベンジルアルコール類(以後、活性型アルコ−ルと略記)の場合はTHF、反応性の低い非活性型アルコールの場合はDMFがより好ましい。
反応温度は−50〜30℃が好ましい。反応時間は数分から1時間程度で十分である。
【0016】
次に、本発明においては、上記ハロゲン化工程で得られる反応液を単離精製することなく、そのまま置換反応に供し、前記一般式(III)で表されるアリールスルホンを製造する。
【0017】
この置換反応は、ヨウ素化合物の存在下、アリールスルフィン酸を添加することにより行われる。
【0018】
アリールスルフィン酸としては、前記一般式(II)で表される化合物が用いられる。
一般式(II)におけるArは、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子などで置換されていてもよいアリール基を表し、例えばフェニル基、p-トリル基、1-ナフチル基等があげられる。Mのアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウム等があげられる。
【0019】
本発明で好ましく使用されるアリールスルフィン酸は、具体的には入手容易なベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウムなどであり、特にこれらの無水物が好ましいが、容易に得られる水和結晶、すなわちベンゼンスルフィン酸ナトリウム2水和物、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム4水和物等を用いても無水物使用時と同等の収率でアリールスルホンが得られる。
アリールスルフィン酸の使用量は原料のアルコールに対して1〜3当量、特に2当量程度が好ましい。
【0020】
アリールスルフィン酸アルカリ金属塩は一般の有機溶媒に難溶であり、また求核性が比較的弱いため、反応を円滑に進行させるためには触媒を用いることが必要である。
【0021】
触媒としては、ヨウ素化合物が使用され、特にヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルホスホニウム等のアルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ化物婦及びヨウ素を含むカチオニウム塩が好ましく使用される。
溶媒がアセトニトリルまたはDMFの場合はヨウ化ナトリウム、それら以外の有機溶媒使用時にはヨウ化テトラブチルアンモニウムが特に好ましい。
ヨウ素化合物の使用量はアルコールに対して0.1当量程度で十分である。反応温度及び時間は基質の反応性に依存するが、活性型アルコールの場合は室温〜70℃、非活性型アルコールの場合は50〜100℃が好ましく、1時間から20数時間で行うことができる。
【0022】
こうして生成したアリールスルホン類は有機合成の一般的な方法で簡単に単離精製することができ、例えば、反応終了後、抽出操作を行い、有機層抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製される。溶出溶媒としてはヘキサン−酢酸エチルの混合溶媒等が挙げられる。
【0023】
また、ハロゲン化反応において触媒としてトリフェニルホスフィンを用いた場合に副生するトリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)は、生成物であるアリールスルホンが油状物質の場合には有機溶媒に対する溶解度の差を利用することにより効率良く分離することができる。このような有機溶媒としては、例えば、少量の極性有機溶媒(酢酸エチル等)を含むヘキサンが挙げられる。
なお、本発明方法においては、スルホンの異性体であるアリールスルフィン酸エステル類は多くの場合生成せず、生成しても5%以下であり、所望とするアリールスルホンを高収率で得ることができる。
【0024】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これは本発明の技術範囲を限定するものではない。以下の実施例に示したスルホン類はすべて文献記載の公知物質であり、それらの構造は各種スペクトル分析及び元素分析、さらに文献値との比較により同定確認した。なお、1H及び13C-NMRスペクトルはすべてCDCl3中で測定した。
【0025】
実施例1 (E)-2-ドデセニルフェニルスルホン[化8]の合成
【化8】
Figure 0003873118
アルゴン雰囲気下、(E)-2-ドデセン-1-オール185 mg(1.0 mmol)とトリフェニルホスフィン370 mg(1.4 mmol)をTHF5mlに溶かし、−20℃に冷却した。そこへNBS240 mg(1.33 mmol)を数回に分け約15分間かけて加えた。30分間攪拌した後、0℃でベンゼンスルフィン酸ナトリウム330 mg(2.0 mmol)とヨウ化テトラブチルアンモニウム38 mg(0.10 mmol)の混合物を数回に分けて加え、その後50℃で2時間攪拌した。室温において酢酸エチル10mlと3%チオ硫酸ナトリウム水溶液10mlを加えてしばらく攪拌した。層を分離し、有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄した後、水層をまとめて酢酸エチルで2回抽出した。有機層をまとめて無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、濾過・濃縮乾固を行うと淡黄色固体と油状物が780 mg残った。これにヘキサン/酢酸エチル=9:1混合溶液を加え不溶物(TPPO)を濾過し、十分に洗浄した。濾液洗浄液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→7:1→5:1)で精製することにより化合物[化8]260 mg(収率84%)を無色油状物質として得た。
TLC: Rf 0.33 (hexane-AcOEt, 6:1)
1H-NMR: d (ppm) 0.88 (3H, t, J = 6.6 Hz), 1.25 (14H, br s), 1.98 (2H, q, J = 6.5 Hz), 3.75 (2H, d, J = 6.9 Hz), 5.38 (1H, dt, J = 6.9, 15.5 Hz), 5.50 (1H, dt, J = 6.2, 15.5 Hz), 7.54 (2H, m), 7.64 (1H, m), 7.85 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 14.1, 22.6, 28.6, 29.0, 29.3, 29.4, 29.5, 31.8, 32.5, 60.1, 115.8, 128.5, 128.9, 133.5, 138.3, 141.9
IR (neat): n 2956, 2925, 2854, 1466, 1447, 1320, 1308, 1146, 1087, 971, 733, 689 cm-1
m/z (CI): C18H29O2S (M + H)+としての計算値:309.1888, 実測値:309.1871
【0026】
実施例2 (Z)-2-ヘキセニルフェニルスルホン[化9]の合成
【化9】
Figure 0003873118
実施例1におけるアルコールを(Z)-2-ヘキセン-1-オールに代えた以外は実施例1と同様にして[化9]を合成した。無色油状物。収率90%
1H-NMR: d (ppm) 0.72 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.12 (2H, q, J = 7.4 Hz), 1.69 (2H, dq, J = 1.5, 7.3 Hz), 3.84 (2H, d, J = 8.1 Hz), 5.40 (1H, dtt, J = 1.6, 7.8, 10.7 Hz), 5.70 (1H, dt, J = 7.4, 11.0 Hz), 7.53 (2H, m), 7.63 (1H, m), 7.87 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 13.5, 19.7, 28.6, 69.7, 123.5, 128.7, 129.1, 130.3, 133.5, 137.3
m/z (CI): C12H17O2S (M + H)+としての計算値:225.0879, 実測値:225.0931
【0027】
実施例3 1-フェニルスルホニル-2-メチル-2-プロペン[化10]の合成
【化10】
Figure 0003873118
実施例1におけるアルコールをメタリルアルコールに代えた以外は実施例1と同様にして[化10]を合成した。無色油状物。収率79%
1H-NMR: d (ppm) 1.85 (3H, s), 3.75 (2H, t, J = 0.7 Hz), 4.67 (1H, s), 5.01 (1H, quint, J = 1.5 Hz), 7.53 (2H, m), 7.63 (1H, m), 7.87 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 22.6, 64.4, 120.7, 128.4 (2C), 128.9 (2C), 133.3, 133.6, 138.3
m/z (CI): C10H13O2S (M + H)+としての計算値:197.0566, 実測値:197.0637
【0028】
実施例4 ゲラニルフェニルスルホン[化11]の合成
【化11】
Figure 0003873118
実施例1におけるアルコールをゲラニオールに代え、スルホン化を室温で4時間攪拌とした以外は実施例1と同様にして[化11]を合成した。無色油状物質。(収率93%)
1H-NMR: d (ppm) 1.31 (3H, s), 1.58 (3H, s), 1.68 (3H, s), 1.99 (4H, s), 3.80 (2H, d, J = 8.1 Hz), 5.02 (1H, m), 5.18 (1H, dt, J = 1.2, 8.1 Hz), 7.52 (2H, m), 7.63 (1H, m), 7.86 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 16.1, 17.6, 25.6, 26.2, 39.6, 56.1, 110.3, 123.4, 128.5 (2C), 128.9 (2C), 132.0, 133.5, 138.7, 146.3
m/z (CI): C16H22O2S (M+)としての計算値:278.1341, 実測値:278.1367
【0029】
実施例5 (4S)-2,2-ジメチル-4-[(E)-3-フェニルスルホニル-1-プロペニル]-1,3-ジオキソラン[化12]の合成
【化12】
Figure 0003873118
(E)-3-[(4S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2-プロペン-1-オール78 mg(0.5 mmol)、トリフェニルホスフィン190 mg(0.72 mmol)をTHF 3mlに溶かし、−40℃に冷却した。そこへNBS120 mg(0.67 mmol)を数回に分け約15分間かけて加えた。−20℃で30分間攪拌した後、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム160 mg(1.0 mmol)とヨウ化テトラブチルアンモニウム19 mg(0.05 mmol)の混合物を数回に分けて加え、その後室温で20時間攪拌した。反応後は実施例1と同様に抽出を行い、祖生成物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1→1:1)で精製することにより化合物[化12]130 mg(収率92%)を無色油状物質として得た。
[a]D 24 +33.7°(c 1.30, CHCl3)
1H-NMR: d (ppm) 1.33 (3H, s), 1.34 (3H, s), 3.37 (1H, dd, J = 7.1, 8.3 Hz), 3.75 (1H, dd, J = 7.8, 13.9 Hz), 3.81 (1H, ddd, J = 1.0, 7.1, 13.7 Hz), 4.00 (1H, dd, J = 6.3, 8.1 Hz), 4.44 (1H, q, J = 6.5Hz), 5.49 (1H, ddt, J = 1.0, 6.6, 15.4 Hz), 5.74 (1H, ddt, J = 1.0, 7.7, 15.4 Hz), 7.54 (2H, m), 7.64 (1H, m), 7.84 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 25.6, 26.5, 59.5, 68.9, 75.6, 109.7, 119.3, 128.5, 129.1, 133.8, 138.3
m/z (CI): C14H19O4S (M + H)+としての計算値:283.0934, 実測値:283.0978
【0030】
実施例6 ベンジルフェニルスルホン[化13]の合成
【化13】
Figure 0003873118
実施例1におけるアルコールをベンジルアルコール108 mg(1.0 mmol)に代えた以外は実施例1と同様に反応させた。反応後、抽出を行い、有機層を濃縮乾固させると淡黄色固体が800 mg残った。これを塩化メチレンに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:塩化メチレン=4:1:1)で精製することにより化合物[化13]225 mg(収率97%)を無色針状晶として得た。
融点 148〜150℃
1H-NMR: d (ppm) 4.32 (2H, s), 7.09 (2H, m), 7.28 (3H, m), 7.45 (2H, m), 7.62 (3H, m)
13C-NMR: d (ppm) 62.9, 128.1, 128.6, 128.7, 128.8, 130.8, 133.7, 137.8
元素分析値(C13H12O2Sとして)
実測値(%):C 67.14, H 5.13, S 13.90
計算値(%):C 67.21, H 5.21, S 13.80
【0031】
実施例7 p-クロロベンジルp-トリルスルホン[化14]の合成
【化14】
Figure 0003873118
実施例1において、アルコールをp-クロロベンジルアルコール71 mg(0.5 mmol)に代え、スルホン化剤としてトルエンスルフィン酸4水和物を使用した以外は実施例1と同様に反応させた。反応終了後は実施例6とほぼ同様に処理、精製することにより化合物[化14]122 mg(収率86%)を無色針状晶として得た。
融点 168〜170℃
1H-NMR: d (ppm) 2.42 (s, 3H), 4.25 (2H, s), 7.03 (2H, m), 7.24 (2H, m), 7.26 (2H, m), 7.52 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 21.6, 62.1, 126.8, 128.5 (2C), 128.7 (2C), 129.6 (2C), 132.0 (2C), 134.7, 134.9, 144.9
元素分析値(C14H13ClO2Sとして)
実測値(%):C 59.72, H 4.70, S 11.40
計算値(%):C 59.89, H 4.67, S 11.42
【0032】
実施例8 フルフリルフェニルスルホン[化15]の合成
【化15】
Figure 0003873118
実施例1において、アルコールをフルフリルアルコールに代え、スルホン化を室温で20時間攪拌とした以外は実施例1と同様にして[化15]を合成した。無色固体(空気中で徐々に着色)。収率80%
融点 56〜58℃
1H-NMR: d (ppm) 4.41 (2H, s), 6.26 (1H, dd, J = 0.6, 3.3 Hz), 6.32 (1H, dd, J =2.0, 3.2 Hz), 7.30 (1H, dd, J = 0.7, 2.0 Hz), 7.49 (2H, m), 7.63 (1H, m), 7.72 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 55.9, 111.1, 112.1, 128.4(2C), 129.0(2C), 133.8, 138.1, 142.3, 143.7
m/z (CI): C11H10O3S (M + H)+としての計算値:223.0359, 実測値:223.0371
【0033】
実施例9 ドデシルフェニルスルホン[化16]の合成
【化16】
Figure 0003873118
1-ドデカノール94 mg(0.5 mmol)とトリフェニルホスフィン210 mg(0.80 mmol)をDMF2mlに溶かし、0℃に冷却した。そこへNBS140 mg(0.78 mmol)を数回に分け約15分間かけて加えた。室温で30分間攪拌した後、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム166 mg(1.0 mmol)とヨウ化ナトリウム9 mg(0.06 mmol)の混合物を一度に加え、その後70℃で4時間攪拌した。室温において酢酸エチル10mlと3%チオ硫酸ナトリウム水溶液10mlを加えてしばらく攪拌した。層を分離し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄した後、水層をまとめて酢酸エチルで2回抽出した。有機層をまとめて無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、濾過・濃縮乾固を行うと淡黄色固体と油状物が390 mg残った。これにヘキサン:酢酸エチル=9:1混合溶液を加え不溶物(TPPO)を濾過し、十分に洗浄した。濾液洗浄液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:1→5:1)で精製することにより化合物[化16]118 mg(収率76%)を無色油状物として得た。[化16]は室温で徐々に固化した。
1H-NMR: d (ppm) 0.87 (3H, t, J = 6.7 Hz), 1.22 (16H, s), 1.29 (2H, m), 1.69 (2H, m), 3.07 (2H, m), 7.57 (2H, m), 7.66 (1H, m), 7.91 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 14.0, 22.49, 22.52, 28.1, 28.8, 29.1, 29.2, 29.3, 29.40, 29.42, 31.7, 56.2, 127.9, 129.1, 133.5, 139.2
m/z (CI): C18H31O2S (M + H)+としての計算値:311.1904, 実測値:311.1891
【0034】
実施例10 フェネチルp-トリルスルホン[化17]の合成
【化17】
Figure 0003873118
実施例9において、アルコールをフェネチルアルコールに代え、スルホン化剤をトルエンスルフィン酸4水和物に代えた以外は実施例9と同様にして[化17]を合成した。無色固体。収率77%
融点 75〜76℃
1H-NMR: d (ppm) 2.36 (s, 3H), 2.93 (2H, m), 3.25 (2H, m), 7.01 (2H, m), 7.14 (3H, m), 7.27 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.72 (2H, d, J = 8.1 Hz)
13C-NMR: d (ppm)21.5, 28.7, 57.5, 126.7, 128.0 (2C), 128.2 (2C), 128.7 (2C), 129.9 (2C), 135.9, 137.4, 144.7
m/z (CI): C15H17O2S (M + H)+としての計算値:261.0879, 実測値:261.0891
【0035】
実施例11 2-メトキシエチルフェニルスルホン[化18]の合成
【化18】
Figure 0003873118
実施例9において、アルコールを2-メトキシエタノールに代え、スルホン化を80℃で5時間攪拌とした以外は実施例9と同様にして[化18]を合成した。無色油状物。収率78%
1H-NMR: d (ppm) 3.23 (3H, s), 3.39 (2H, t, J = 6.2 Hz), 3.74 (2H, t, J = 6.3 Hz), 7.57 (2H, m), 7.66 (1H, m), 7.91 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 55.9, 58.5, 65.5, 127.8, 129.0, 133.6, 139.6
m/z (CI): C19H12O3S (M+)としての計算値:200.0507, 実測値:200.0534
【0036】
実施例12 安息香酸2-(フェニルスルホニル)エチル[化19]の合成
【化19】
Figure 0003873118
実施例9において、アルコールを2-ベンゾイルオキシエタノール84 mg(0.5 mmol)に代えた以外は実施例9と同様に反応させた。抽出操作後得られた橙黄色オイル430 mgをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:塩化メチレン=3:1:1)で精製することにより化合物[化19]91 mg(収率63%)を無色固体として得た。また原料の2-ベンゾキシエタノールを18 mg(21%)回収した。
融点 127〜129℃
1H-NMR: d (ppm) 3.61 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.67 (2H, t, J = 6.0 Hz), 7.35 (2H, m), 7.51 (3H, m), 7.58 (1H, m), 7.72 (2H, m), 7.94 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 55.2, 58.2, 128.0 (2C), 128.3 (2C), 128.9, 129.4 (2C), 129.6 (2C), 133.3, 133.8, 139.4, 165.7
元素分析値(C15H14O4Sとして)
実測値(%):C 62.04, H 4.77, S 11.11
計算値(%):C 62.05, H 4.86, S 11.04
【0037】
実施例13 3-(フェニルスルホニル)プロピオニトリル[化20]の合成
【化20】
Figure 0003873118
実施例9において、アルコールを2-シアノエタノール72 mg(1.0 mmol)に代え、スルホン化を70℃で7時間攪拌とした以外は実施例9と同様に反応させた。抽出操作後得られた橙色オイルをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2→1:1)で精製することにより化合物[化20]132 mg(収率68%)を無色固体として得た。
融点 95〜97℃
1H-NMR: d (ppm) 2.82 (2H, t, J = 7.6 Hz), 3.40 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.63 (2H, m), 7.74 (1H, m), 7.93(2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 11.9, 51.0, 116.0, 128.2 (2C), 129.7 (2C), 134.6, 137.4
元素分析値(C9H9NO2Sとして)
実測値(%):C 55.36, H 4.44, N 7.21, S 16.58
計算値(%):C 55.37, H 4.65, N 7.17, S 16.42
【0038】
実施例14 3-フェニルスルホニル-1-プロピン[化21]の合成
【化21】
Figure 0003873118
実施例9において、アルコールを2-プロピン-1-オール57 mg(1.0 mmol)とした以外は実施例9と同様に反応させた。抽出操作後得られた黄色固体をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1)で精製することにより化合物[化21]137 mg(収率76%)を無色固体として得た。
融点 93〜94℃
1H-NMR: d (ppm) 2.36 (1H, t, J = 2.7 Hz), 3.96 (2H, d, J = 2.7 Hz), 7.59 (2H, m), 7.70 (1H, m), 7.99 (2H, m)
13C-NMR: d (ppm) 48.3, 71.5, 76.2, 128.8(2C), 129.1(2C), 134.3, 137.6
元素分析値(C9H8O2Sとして)
実測値(%):C 59.80, H 4.27, S 17.63
計算値(%):C 59.98, H 4.47, S 17.79
【0039】
【発明の効果】
本発明により医農薬等の合成中間体として有用なアリールスルホン類をアルコール類から単一反応容器内(ワンポット)で簡便に製造することができる。本製造法は多様な1級アルコール類に適用することができ、比較的安価な試薬を用いるため経済的である。また、特に実施例4に示すゲラニルフェニルスルホンはビタミンA(レチノール)の合成中間体として重要なものであり(大寺ら, J. Org. Chem., 51, 3834 (1986)、特開昭63−250363号公報、特開2001−316356号公報等を参照)、更には、実施例5に示すような酸に不安定な官能基(アセタール基)を有するアルコールを用いても対応するフェニルスルホンを高収率で得ることができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式( I )で表されるアルコールに三価のリン化合物の存在下でハロゲン化剤を作用させてハロゲン化物を含む反応液を調製し、ついで該反応液を単離精製することなく、ヨウ素化合物触媒の存在下で、下記一般式(II)で示されるアリールスルフィン酸塩と反応させることを特徴とする下記一般式( III )で表されるアリールスルホンの製造方法。
    【化1】
    RCH2OH (I)
    (式中、Rは炭素数1以上の直鎖状または分岐鎖を含むアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、もしくは環状脂肪族基、アリール基、複素環式基を示し、これらの基には、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、シアノ基、ニトロ基、アルケニルハロゲン原子またはアリールハロゲン原子が含まれていてもよい。)
    【化2】
    ArSO2 M (II)
    (式中Arは置換基を有していてもよいアリール基、Mはアルカリ金属を示す)
    【化3】
    RCH2SO2Ar (III)
    (R及びArは前記と同じ)
  2. 三価のリン化合物がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載のアリールスルホンの製造方法。
  3. ハロゲン化剤がN−ブロモコハク酸イミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアリールスルホンの製造方法。
  4. ヨウ素化合物がアルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ化物又はヨウ素を含むカチオニウム塩であることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載のアリールスルホンの製造方法。
  5. 一般式(I)で表されるアルコールがゲラニオールであることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載のアリールスルホンの製造方法。
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