JP3868372B2 - 絶縁シート、金属箔付き絶縁シートおよび多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁シート、金属箔付き絶縁シートおよび多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品は、高密度集積化、さらには高密度実装化が進んでいる。そのため、これらの電子機器に使用される多層プリント配線板等は、より小型化、かつ高密度化が要求されている。
【0003】
多層プリント配線板等を高密度化するには、従来のドリル加工で形成される貫通孔の形成による多層化技術では限界であり、最近ではビルドアップ工法が多く採用されている。
ビルドアップ工法により得られる多層プリント配線板は、主に樹脂のみで構成される絶縁層と導体層とを順次積層して成形して層間接続を行うことにより回路配線の高密度化を図っている。
【0004】
特に、多層プリント配線板の中でも半導体チップ搭載用基板(インターポーザ)は、上記ビルドアップ工法による回路配線の高密度化が行われている。
また、半導体チップ搭載用基板は、さらなる小型化、高速化を図るために半導体チップとの接続に微細なバンプを使用したFC(Flip・Chip)を搭載する構造が採用されている。
近年、FCにおいては、微細バンプ形成の容易さや、環境に対して有害な鉛の使用を抑える目的等から、高温半田(pb95等)による液相−固相拡散接続に替わり、金スタッドバンプによる固相−固相拡散接続が採用される場合が多い。このため、半導体チップ搭載用基板には、高温、高圧下での半導体チップの実装性および半導体チップ搭載後の実装信頼性が要求される。
しかし、従来のビルドアップ配線板からなる半導体チップ搭載用基板は、金スタッドバンプによる固相−固相拡散接続時にバンプ接続用のパッドが沈み込むことにより接続不良を引き起こしたりして実装性が不十分であった。
さらに従来の半導体チップ搭載用基板は、絶縁層の厚さが変化することにより絶縁不良を引き起こしたりして実装信頼性が不十分であった。
このような問題は、多層プリント配線板の他の分野においても生じていた。
【0005】
【特許文献】
特開2001−189536号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多層プリント配線板に用いた場合に半導体チップの実装性に優れる絶縁シートおよび金属箔付き絶縁シートを提供することである。
また、本発明の目的は、半導体チップの実装性に優れる多層プリント配線板を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(9)に記載の本発明により達成される。
(1)2以上の異種の硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、前記2以上の異種の硬化性樹脂は、a:シアネート樹脂とエポキシ樹脂、b:シアネート樹脂とノボラック樹脂、c:エポキシ樹脂とフェノール樹脂またはd:シアネート樹脂とエポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであり、該絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上であることを特徴とする絶縁シート。
(2)2以上の異種の硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、前記2以上の異種の硬化性樹脂は、a:シアネート樹脂とエポキシ樹脂、b:シアネート樹脂とノボラック樹脂、c:エポキシ樹脂とフェノール樹脂またはd:シアネート樹脂とエポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであり、該絶縁シートの250℃での弾性率をA[MPa]とし、200℃での弾性率をB[MPa]としたとき、(A−B)/50≧−60[MPa/℃]なる関係を満足することを特徴とする絶縁シート。
(3)前記絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上である上記(2)に記載の絶縁シート。
(4)重量平均分子量が異なる2以上のエポキシ樹脂同士またはシアネート樹脂同士と無機充填剤とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、該絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上であることを特徴とする絶縁シート。
(5)重量平均分子量が異なる2以上のエポキシ樹脂同士またはシアネート樹脂同士と無機充填剤とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、該絶縁シートの250℃での弾性率をA[MPa]とし、200℃での弾性率をB[MPa]としたとき、(A−B)/50≧−60[MPa/℃]なる関係を満足することを特徴とする絶縁シート。
(6)前記無機充填材は、球状シリカである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の絶縁シート。
(7)前記無機充填材の含有量は、前記樹脂組成物全体の20〜70重量%である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の絶縁シート。
(8)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の絶縁シートと、金属箔とが積層されていることを特徴とする金属箔付き絶縁シート。
(9)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の絶縁シートを用いることを特徴とする多層プリント配線板。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の絶縁シート、金属箔付き絶縁シートおよび多層プリント配線板について説明する。
本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、該絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、該絶縁シートの250℃での弾性率をA[MPa]とし、200℃での弾性率をB[MPa]としたとき(A−B)/50≧−60[MPa/℃]であることを特徴とするものである。
また、本発明の金属箔付き絶縁シートは、上記絶縁シートと、金属箔とが積層されていることを特徴とするものである。
また、本発明の多層プリント配線板は、上記絶縁シートを用いることを特徴とするものである。
【0009】
以下、本発明の絶縁シートについて説明する。
本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであり、該絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上である。これにより、本発明の絶縁シートを用いて多層プリント配線板(特に半導体チップ搭載用基盤)の半導体チップの実装性を向上することができる。すなわち、絶縁シートが250℃という高温においても高い弾性率を有しているため、金スタッドバンプ接続時に生じるパッドの沈み込みを改善することができる。したがって、絶縁不良が生じることなく半導体チップの実装性を向上することができる。
さらに、絶縁シートが半導体チップを搭載するような高温においても高い弾性率を有しているため、金スタッドバンプによるバンプ接続時に用いる超音波がバンプ接続部へ有効に伝達されるため、バンプ接続部の強度を向上することもできる。したがって、半導体チップ搭載後の実装信頼性も向上することができる。
なお、前記絶縁シートの弾性率(貯蔵弾性率)は、例えば動的粘弾性測定装置(DMA)で測定することができる。測定条件としては、例えば引っ張りモードで5℃/分の昇温速度が挙げられる。
【0010】
従来、バンプは半田により接続されていた。しかし、近年のバンプの微細化、環境問題に伴う鉛フリー化の要請により、金スタッドバンプを用いる方法が行われてきている。本発明の絶縁シートは、金スタッドバンプに対しても十分な半導体チップの実装性および半導体チップ搭載後の実装信頼性を有する多層プリント配線板(特に半導体チップ搭載用基板)の提供を可能とするものである。
【0011】
また、前記絶縁シートの250℃での弾性率は、100[MPa]以上が好ましく、特に150[MPa]〜2.0[GPa]が好ましい。弾性率が前記下限値未満であると実装性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えても実装性に何ら問題はないが、半導体チップ搭載用基板の構造によっては、バンプ接続部への応力が増大し、実装信頼性が低下する場合がある。
【0012】
また、前記絶縁シートの260℃での弾性率は、特に限定されないが、100[MPa]以上であることが好ましく、特に150[MPa]〜2.0[GPa]であることが好ましい。260℃での弾性率が前記範囲内であると特に高温での半導体チップを実装する際の半田実装性を特に向上することができる。
【0013】
なお、半導体チップの搭載温度は、特に限定されることはなく250℃とは限らない。例えば250℃よりも低い200℃で半導体チップを搭載しても構わない。そこで、実際には、前記絶縁シートの半導体チップを搭載する温度での弾性率が、100[MPa]以上であることが好ましく、特に150[MPa]〜2.0[GPa]であることが好ましい。弾性率が前記範囲内であると半導体チップの実装性および実装信頼性を特に向上することができる。
前記弾性率は、半導体チップ搭載時に、1つのバンプ当たりにかかる圧力が約100[MPa]であることから見積もられたものである。すなわち、絶縁シートの弾性率が1つのバンプにかかる圧力以上であれば、圧縮変形に耐え得るものとなる。
絶縁シートの弾性率は、実装性の点では高ければ高いほど好ましい。しかし、250℃での弾性率が高く、後述する熱膨張率が大きい場合にはバンプへの応力が大きくなり実装信頼性が低下する場合がある。すなわち、実装信頼性が低下する理由は、高弾性率を有する絶縁シートの熱膨張率と、半導体チップの熱膨張率との差が大きい場合、バンプに加わる応力歪が大きくなる場合があるからである。
また、半導体チップ搭載時の絶縁シートの圧縮変形量は、特に限定されないが、10μm以下が好ましく、特に5μm以下が好ましく、最も2μm以下が好ましい。圧縮変形量が前記範囲内であると、実装性に特に優れる。
【0014】
前記硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等のシアネート樹脂等が挙げられる。これらの中でもシアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)が好ましい。これにより、絶縁シートの弾性率を容易に向上させることができる。また、シアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)は、ガラス転移温度以上においても弾性率の低下が小さく、高温で高弾性率を維持することが可能となる。
前記シアネート樹脂のシアネート基は、加熱により3量化し、高い架橋密度を有するトリアジン環を形成する。そのため、シアネート樹脂を用いると、特に高温領域における高弾性率化が図れる。特にガラス転移温度以上の温度における弾性率が低下するのを改善することができる。
【0015】
前記シアネート樹脂は、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させて得られるようなものを挙げることができる。前記シアネート樹脂をプレポリマー化したものも、本発明のシアネート樹脂に含むものである。
前記シアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)の重量平均分子量は、特に限定されないが、500〜4,500が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると架橋密度が小さく半導体チップの実装信頼性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応が完結できない場合がある。
前記重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算で測定することができる。
【0016】
前記硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の20〜70重量%が好ましく、特に30〜60重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると半導体チップの実装性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると架橋密度が高くなり自由体積が増えるため耐湿性が低下する場合がある。
また、硬化性樹脂として、特にシアネート樹脂を用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の10〜60重量%が好ましく、特に25〜40重量%が好ましい。
【0017】
前記硬化性樹脂は、特に限定されないが、2以上の同種のまたは異種の硬化性樹脂を含むことが好ましい。これにより、半導体チップの実装性と絶縁シートの耐湿性等の両立を図ることができる。
前記2以上の同種の硬化性樹脂とは、例えばノボラック型シアネート樹脂とビスフェノール型シアネート樹脂との組み合わせ、ノボラック型エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂等との組み合わせを挙げることができる。
また、前記2以上の異種の硬化性樹脂とは、例えばシアネート樹脂とエポキシ樹脂、シアネート樹脂とノボラック樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂、シアネート樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂等との組み合わせを挙げることができる。これらの中でもシアネート樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の組み合わせが好ましい。フェノール樹脂は、シアネート樹脂の架橋反応を促進するのに有効であり、シアネート樹脂の触媒として作用した後、エポキシ樹脂の硬化剤として作用することができるからである。そのため、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との硬化物が、シアネート樹脂の架橋反応により生じる自由体積をより低減し、それによって耐湿性を向上することができる。
【0018】
また、前記硬化性樹脂は、特に限定されないが、重量平均分子量が異なる2以上の硬化性樹脂を含むものであることが好ましい。これにより、絶縁シートの成形性を向上することができる。また、プレス成形時の回路埋め込み性とフロー制御との両立を図ることができる。
具体的には、例えば第1のエポキシ樹脂と、前記第1のエポキシ樹脂よりも重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂との混合物を含むことが好ましい。これにより、プレス成形時の回路埋め込み性とフロー制御との両立を図ることができる。
【0019】
前記第1のエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、難燃性、吸湿半田耐熱性を向上することができる。ここで、アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0020】
前記第1のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4,000以下が好ましく、特に重量平均分子量500〜3,500が好ましく、最も800〜3,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると絶縁シートにタックが生じる場合があり、前記上限値を超えると半田耐熱性、回路埋め込み性が低下する場合がある。
【0021】
前記第1のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると特に吸湿半田耐熱性を向上することができる。
【0022】
前記第2のエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、銅箔等との密着性を向上することができる。
【0023】
前記第2のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5,000以上が好ましく、特に5,500〜100,000が好ましく、最も8,000〜80,000が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると絶縁シートの成形性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えるとエポキシ樹脂の溶解性が低下する場合があり、それによって作業性が低下する場合がある。
【0024】
前記第2のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると特に絶縁シートの成形性、多層プリント配線板製造時の内層回路密着性を向上することができる。
【0025】
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。これらの中でもシリカ、特に球状シリカが好ましく、球状溶融シリカが最も好ましい。これにより、無機充填材の充填性を向上することができ、それによって絶縁シートを特に低膨張化できる。また、球状シリカを用いることにより樹脂組成物の溶融粘度を低く維持することができる。
【0026】
前記無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、特に0.2〜2μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、絶縁シートを作製する際の作業性が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填材の沈降等の現象が起こる場合がある。
【0027】
前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜70重量%が好ましく、特に35〜60重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると高弾性率化、低熱膨脹率化する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると流動性の低下により成形性が低下する場合がある。
【0028】
前記樹脂組成物では、特に限定されないが、更にカップリング剤を含有することが好ましい。前記カップリング剤は、樹脂と無機充填剤の界面の濡れ性を向上させることにより、基材に対して樹脂および充填剤を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。
【0029】
前記カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、これらの中でもエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、無機充填剤の界面との濡れ性が良くなり、耐熱性をより向上することができる。
【0030】
前記カップリング剤の含有量は、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量部好ましく、特に0.1〜2重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると無機充填材を十分に被覆できず耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると絶縁シートの曲げ強度が低下する場合がある。
【0031】
また、前記樹脂組成物の硬化を促進するため、公知の硬化触媒を用いても良い。
前記硬化触媒としては、例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトオクチル酸錫、オクチル酸コバルト等に代表される有機金属塩、銅アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート等に代表される有機金属錯体、トリエチルアミン、トリブチルアミン、キノリン、イソキノリン等の三級アミン類、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、フェノール、ノニルフェノール、カテコール、ピロガール、ジヒドロキシナフタレンに代表される芳香族ヒドロキシ化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、ビス(2−エチル−4−メチル−イミダゾール)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ビス(シアノエトキシメチルイミダゾール)あるいはトリアジン付加型イミダゾール等に代表されるイミダゾール類等がある。これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
【0032】
更に、前記樹脂組成物にはボイドを防止するための消泡剤、難燃性を向上するための液状または粉末の難燃剤、靭性、密着性を向上させるためにフェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱可塑性樹脂等を添加することもできる。
【0033】
また、本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、該絶縁シートの250℃での弾性率をA[MPa]とし、200℃での弾性率をB[MPa]としたとき(A−B)/50≧−60[MPa/℃]なる関係を満足するものである。これにより、半導体チップの搭載温度の変化に対する順応性の高い多層プリント配線板(特に半導体チップ搭載用基板)を提供することができる。すなわち、半導体チップの搭載温度の変化に対しても影響の少ない多層プリント配線板を得ることができる。
前記絶縁シートの250℃での弾性率A[MPa]と、200℃での弾性率B[MPa]との関係(A−B)/50は、−50[MPa/℃]以上を満足することが好ましく、特に−30〜0[MPa/℃]を満足することが好ましい。前記範囲内で特に半導体チップの実装性を向上することができる。
また、前記関係を満足する絶縁シートの250℃の弾性率は、特に限定されないが、100[MPa]以上であることが好ましい。これにより、特に高温での半導体チップの実装性に優れる。
【0034】
次に、本発明の金属箔付き絶縁シートについて説明する。
本発明の金属箔付きシートは、前記絶縁シートと、金属箔とが積層されているものである。
すなわち、金属箔の少なくとも片面に前記絶縁シートが形成されているものである。
前記金属箔付き絶縁シートを製造する方法としては、例えば予め作製した絶縁シートと金属箔とを加熱加圧する方法、金属箔に絶縁シートを構成する樹脂組成物のワニスを塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中でも金属箔に絶縁シートを構成する樹脂組成物のワニスを塗布して乾燥する方法が好ましい。これにより、効率良く金属箔付き絶縁シートを製造することができる。
【0035】
金属箔に絶縁シートを構成する樹脂組成物のワニスを塗布して乾燥する方法を用いる場合、前記樹脂組成物をアルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類やエステルエーテル類等の有機溶媒に溶解して、絶縁シート製造用のワニスを作製する。次に、前記ワニスを金属箔上に塗工、乾燥して得ることができる。
【0036】
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅または銅系合金、鉄または鉄系合金、アルミまたはアルミ系合金等が挙げられる。
また、前記金属箔付き絶縁シートの絶縁層の厚さは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、特に20〜80μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると特に絶縁層の割れ等を防止する効果を向上することができる。
【0037】
次に、本発明の多層プリント配線板について説明する。
本発明の多層プリント配線板は、前記絶縁シートを用いるものである。
例えば、内層回路の片面または両面に前記絶縁シートを重ね合わせて、さらに導体層を形成して得られる。また、内層回路の片面または両面に上記の金属箔付き絶縁シートを重ね合わせて加熱、加圧して得られる。
前記加熱温度は、特に限定されないが、140〜240℃が好ましい。前記加圧圧力は、特に限定されないが、10〜40kg/cm2が好ましい。
前記内層回路板は、例えば銅張積層板の両面に回路を形成し、黒化処理したもの等を挙げることができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
▲1▼樹脂ワニスの調製
硬化性樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(PT−30、ロンザ株式会社製、重量平均分子量1,300)20重量%と、ノボラック型シアネート樹脂(PT−60、ロンザ株式会社製、重量平均分子量2,300)10重量%と、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275、JER製、重量平均分子量57,000)10重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P、日本化薬株式会社製、エポキシ当量275)19.5重量%と、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製)0.5重量%とをメチルエチルケトンに溶解、分散させた。
更に、エポキシシランカップリング剤(A−187、日本ユニカー株式会社製)を無機充填材100重量部に対して0.5重量部添加して表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H、アドマテックス株式会社製)40重量%を無機充填材として配合し、高速攪拌機を用いて10分間攪拌してR.C.65%の樹脂ワニスを得た。
【0040】
▲2▼銅箔付き絶縁シートの作製
上記樹脂ワニスを厚さ18μmの銅箔のアンカー面に、乾燥後の樹脂厚さが60μmとなるようコンマコーターにて塗工して銅箔付き絶縁シートを得た。
【0041】
▲3▼樹脂板の作製
上記銅箔付き絶縁シートの絶縁シート面を重ね合わせて、圧力2MPa、温度200℃で90分加熱加圧成形し、両面の銅箔をエッチング除去して、厚さ120μmの樹脂板を作製した。絶縁シートの250℃の弾性率は、1,500MPaであった。
【0042】
▲4▼ビルドアップ配線板の作製
上記銅箔付き絶縁シートを、所定の内層回路が形成されたプリント配線板に重ねて、圧力3.5MPa、温度200℃で90分加熱加圧成形した。内外層の接続は、CO2レーザによるウインドー法にて行い、所定の導体パターンを有する4層ビルドアップ配線板を作製した。
【0043】
(実施例2)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(PT−30)20重量%と、ノボラック型シアネート樹脂(PT−60)5重量%と、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275)15重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)9.5重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.5重量%と、無機充填材として表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H)50重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、1,600MPaであった。
【0044】
(実施例3)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(PT−30)20重量%と、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275)20重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)19.5重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.5重量%と、無機充填材として表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H)40重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、300MPaであった。
【0045】
(実施例4)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(上述のPT−30)を20重量%と、ノボラック型シアネート樹脂(上述のPT−60)40重量%と、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275)5重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)4.8重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.2重量%と、無機充填材として表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H)30重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、1,000MPaであった。
【0046】
(実施例5)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(PT−30)20重量%と、ノボラック型シアネート樹脂(PT−60)15重量%と、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275)15重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)19.5重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.5重量%と、無機充填材として表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H)30重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、700MPaであった。
【0047】
(実施例6)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、ノボラック型シアネート樹脂(PT−30)を10重量%と、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275)10重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000)9.5重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.5重量%と、無機充填材として表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H)70重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、2,100MPaであった。
【0048】
(実施例7)
無機充填材として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
無機充填材として、破砕状シリカ(SQ−PL2 株式会社イズミテック社製)40重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、1,700MPaであった。
【0049】
(実施例8)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、多官能エポキシ樹脂(エピコートE1031S)25重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000)4.5重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.5重量%と、無機充填材として球状溶融シリカ(SO−25H)の配合量を70重量%とした。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、1,000MPaであった。
【0050】
(比較例1)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
硬化性樹脂として、ビスフェノールA型、F型混合エポキシ樹脂(エピコート4275)40重量%と、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)19.5重量%とを用い、硬化剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール0.5重量%と、無機充填材として表面処理した球状溶融シリカ(SO−25H)40重量%を用いた。なお、絶縁シートの250℃の弾性率は、測定不能であった。
【0051】
各実施例および比較例で得られた絶縁シートおよび多層プリント配線板について、下記の評価を以下の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
▲1▼熱時弾性率
熱時弾性率は、厚さ120μmの樹脂板で、DMA(TAインスツルメンツ製)を用いて5℃/分で昇温し、250℃の貯蔵弾性率および200℃での貯蔵弾性率をそれぞれ測定した。
【0052】
▲2▼熱膨張率
熱膨張率は、厚さ120μmの樹脂板で、TMA(TAインスツルメンツ製)を用いて10℃/分で昇温し、50〜150℃の熱膨張率を測定した。
【0053】
▲3▼実装性
実装性は、ツールボンディングしたときのパッド沈み込み量で評価した。具体的には、絶縁層厚さ60μm、パッド仕様60μm径の多層プリント配線板に、ボールボンダー(K&S社製4524A)を用い、ツール径;50μmφ、加重;120g、温度;250℃で、超音波を印加しながら1秒間ツールボンディングした。
【0054】
▲4▼TC(温度サイクル)試験
300個のバンプを介して半導体素子と多層プリント配線板を接続するデイジーチェーン型の評価用半導体パッケージを10個作製した。
上述の評価用半導体パッケージの導通を確認後、−50℃で10分、125℃で10分を1サイクルとする温度サイクル(TC)試験を実施した。TC試験1,000サイクル後の断線不良個数を評価した。
【0055】
▲5▼PCT
上記の評価用半導体パッケージを121℃/100%(2気圧)で196時間処理した後の不良個数を評価した。
【0056】
▲6▼絶縁信頼性試験
内外層に導体間隔50μmのくし形パターンを有する、絶縁信頼性試験用の4層プリント配線板を作製し、これらの絶縁抵抗を自動超絶縁抵抗計(ADVANTEST社製)で測定した後、85℃/85%の雰囲気中で、直流電圧50Vを印加、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。測定時の印加電圧は100Vで1分とし、絶縁抵抗(Ω)を評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から明らかなように、実施例1〜8は、パッドの沈み込み量が小さく実装性が向上していた。
また、実施例1〜8は、温度サイクル試験において不良個数が無く、耐熱性にも優れていた。
また、実施例1〜8は、PCT試験においても不良個数が無く、耐湿性にも優れていた。
また、実施例2、6および8は、特に熱膨張率が低くなっていた。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、多層プリント配線板に用いた場合に半導体チップの実装性に優れる絶縁シートおよび金属箔付き絶縁シートを提供することができる。
また、本発明によれば、半導体チップの実装性に優れる多層プリント配線板を提供することができる。
また、硬化性樹脂としてシアネート樹脂を用い、特定粒径を有する無機充填材と組み合わせた場合、特に実装性を向上することができる。
Claims (9)
- 2以上の異種の硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、
前記2以上の異種の硬化性樹脂は、a:シアネート樹脂とエポキシ樹脂、
b:シアネート樹脂とノボラック樹脂、
c:エポキシ樹脂とフェノール樹脂または
d:シアネート樹脂とエポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであり、
該絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上であることを特徴とする絶縁シート。 - 2以上の異種の硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、
前記2以上の異種の硬化性樹脂は、a:シアネート樹脂とエポキシ樹脂、
b:シアネート樹脂とノボラック樹脂、
c:エポキシ樹脂とフェノール樹脂または
d:シアネート樹脂とエポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであり、
該絶縁シートの250℃での弾性率をA[MPa]とし、200℃での弾性率をB[MPa]としたとき、
(A−B)/50≧−60[MPa/℃]なる関係を満足することを特徴とする絶縁シート。 - 前記絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上である請求項2に記載の絶縁シート。
- 重量平均分子量が異なる2以上のエポキシ樹脂同士またはシアネート樹脂同士と無機充填剤とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、
該絶縁シートの250℃での弾性率が100[MPa]以上であることを特徴とする絶縁シート。 - 重量平均分子量が異なる2以上のエポキシ樹脂同士またはシアネート樹脂同士と無機充填剤とを含む樹脂組成物で構成される絶縁シートであって、
該絶縁シートの250℃での弾性率をA[MPa]とし、200℃での弾性率をB[MPa]としたとき、
(A−B)/50≧−60[MPa/℃]なる関係を満足することを特徴とする絶縁シート。 - 前記無機充填材は、球状シリカである請求項1ないし5のいずれかに記載の絶縁シート。
- 前記無機充填材の含有量は、前記樹脂組成物全体の20〜70重量%である請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁シート。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の絶縁シートと、金属箔とが積層されていることを特徴とする金属箔付き絶縁シート。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の絶縁シートを用いることを特徴とする多層プリント配線板。
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