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JP3865159B2 - 熱式質量流量計 - Google Patents

熱式質量流量計 Download PDF

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JP3865159B2
JP3865159B2 JP20562397A JP20562397A JP3865159B2 JP 3865159 B2 JP3865159 B2 JP 3865159B2 JP 20562397 A JP20562397 A JP 20562397A JP 20562397 A JP20562397 A JP 20562397A JP 3865159 B2 JP3865159 B2 JP 3865159B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスフローコントローラ等に使用される熱式質量流量計に関し、センサーパイプをその取付基台に固定する構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、腐食性が非常に強いハロゲン系ガスに対しても耐食性に優れ、かつ計測できる最大流量レンジも大きく取れるようにした熱式質量流量計が特開平3−295418号に開示されている。このものは、センサーパイプをステンレス鋼よりも耐食性に富むと共にステンレス鋼よりも熱伝導率の高い金属材料、例えばニッケル材から構成するという手段をとったものであった。通常センサーパイプは略U字状に曲げられ、その両端は取付基台を貫通して固定する必要があるから、ここでは図4に示すようにステンレス材(SUS316L)の取付基台2とニッケル材のセンサーパイプ1の間にステンレス材(SUS316L)のパイプ9を嵌装し、これらニッケルセンサーパイプ1とステンレスパイプ9を電子ビーム溶接Yをした上でステンレスパイプ9とステンレス取付基台2をニッケルろう付けZをして固定するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようにセンサーパイプをニッケル材にすると耐食性の向上と使用流量範囲の拡大は望めるが、取付基台とセンサーパイプの固定が面倒でコスト的にも高いものとなっていた。すなわち、両者の固定構造としては耐食性と作業性及びコストの面から通常ニッケルろう材が使用されている。しかしこの場合ニッケルセンサーパイプと取付基台を直接ニッケルろう材を用いてろう付けしようとすると、ろう材中の不純物がセンサーパイプに溶け込んでその融点を下げセンサーパイプが溶けてしまう。よって仲介材としてステンレスパイプ9を必要とし、さらにこのステンレスパイプとセンサーパイプを電子ビーム溶接するようにしていた。以上のことから従来は、電子ビーム溶接Yとニッケルろう付けZの両方を必要としていた。
【0004】
本発明は上記問題を解決するもので、ニッケルセンサーパイプと取付基台の固定構造に関し、構造簡単でかつコスト的にも安価にできる熱式質量流量計を提供することを目的とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】
本発明は、被測定流体が流れるセンサーパイプと、このセンサーパイプの上流側と下流側の外周にそれぞれ感熱抵抗線からなる上流側コイルと下流側コイルを巻いて設け、この上流側コイルと下流側コイルと他の抵抗とによって構成したセンサー回路と、前記センサーパイプを貫通させてこれを固定する取付基台とを備えた熱式質量流量計において、前記センサーパイプをニッケル材から形成すると共に、前記取付基台は、前記センサーパイプに比べ大きな熱容量を持つ取付基台であって、前記取付基台の前記センサーパイプを貫通させる貫通孔の周囲に環状凹溝を設け、前記取付基台の貫通孔下端に突出部を形成し、前記突出部端からセンサーパイプの先端部を突出させることなく同一面となすとともに、この突出部先端内周前記センサーパイプの先端部の外周とが、それぞれ溶融するようにバランスよく熱を伝え、溶接して固定した熱式質量流量計である。

【0006】
ここで取付基台はステンレス材から形成し、突出部の幅(厚さ)は電子ビーム溶接の溶接部の大きさにもよるがおよそセンサーパイプの肉厚の10倍までが望ましく、高さ(深さ)は溶接時の熱を適度に保留できる程の熱容量に設定することが好ましく、およそ0.2〜1.0mm程度が望ましい。
【0007】
ここで例えば、従来構造のままでニッケルセンサーパイプと取付基台を直接電子ビーム溶接しようとすると、先ず大きな平面の一部にセンサーパイプと取付基台の接合部があるだけなのでビームの狙いが定まらず溶接がしにくい。また、取付基台側はセンサーパイプに比べて非常に大きな熱容量を持つことになるので溶接時の熱バランスが取れずに良好な溶接ができない。という不都合が生じる。この点で突出部を設けたことによって、この突出部とセンサパイプの端面は電子ビーム溶接のいわば開先部となるが、これらが同一平面内にあるので溶接部のビーム位置が容易に定められ溶接が容易に且つきれいに仕上がる。また、溶接時の熱は熱伝導の良いセンサパイプ側に積極的に逃げるのであるが、突出部自体の熱容量は小さく伝導しやすいので突出部にもバランスよく熱が伝わり効率的に良好な溶接部を得ることができる。以上によってニッケルセンサーパイプと取付基台を直接固定することが出来るようになった。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例を示す熱式質量流量計のケースを取り除いた正面図である。図2はセンサーパイプと取付基台の固定部拡大断面図である。
【0009】
図1においてケース4はアルミ材からなり対称に形成されたケース4´(図示せず)と一対となっている。図1はケース4´を外した正面図であるが、ケース4,4´の合せ面3に形成した溝5内には、セラミック繊維をペーパ状に成形したセラミックペーパからなる断熱材6を装填して、センサーパイプ1を抱くように組立てられている。センサーパイプ1はここでは略U字状に折曲した細管で、センサーパイプの両端1a,1bが取付基台2を貫通して固定される。センサーパイプ1は、例えば外径0.6mm、内径0.52mmの細管をほぼ全量ニッケルによって構成したものを用いている。因みにその熱伝導率κはκ=94W/m/Kであり(理科年表60年度版による)、ステンレス鋼のκ=24.5W/m/K(同前)と比べて約3.8倍大きい。例えばマスフローコントローラでは、このセンサーパイプ1の両端1a,1bは図示しないメイン流路に連絡されており、このメイン流路にはセンサーパイプ1と並列にバイパス流路が形成されている。そしてセンサーパイプ1の流量Qsとバイパス流路の流量の比が一定になるように設定されており、こうしてセンサーパイプ1の流量Qsを検出することによりメイン流路の全流量が求められるようになっている。
【0010】
さて、センサーパイプ1の外周には一対のコイル7,8が巻回されており、ケース4,4´内の溝5に収納されている。コイル7,8は加熱要素であると同時に感温要素でもあり、白金、鉄−ニッケルなどを芯線とする極細のエナメル被覆金属線によって形成されている。センサーパイプ1の外面には、ポリイミド樹脂をトルエンで希釈した絶縁材が薄く塗布され、その上から上記ヒータ兼センサーコイル7,8をセンサーパイプ1の長さ方向に100〜200回程巻回し、更に上記絶縁材を塗布して絶縁被膜を形成して、コイル間及びコイルとセンサーパイプとの間の絶縁を図っている。そして、センサー回路については他の抵抗体と共にブリッジ回路を構成して定電流センサ(特公昭56-23094号)、定温度センサ(特公平4-49893号)あるいは定温度差センサ(特開平1-150817号)等の質量流量センサを適宜構成する。
【0011】
センサーパイプ1内に流す流体が例えば半導体製造分野に用いられるClF3の場合、高温になるほど腐食速度が増し、ステンレス鋼では120°C以下の温度でしか使用に耐えず、それ以上の温度では短時間で腐食が発生する。この点本実施例のセンサーパイプ1はステンレス鋼よりも耐食性に富むニッケル材で構成されているため、600°Cの高温状態まで十分使用に耐えることができる。このため特に腐食性の強い上記ハロゲンガス等の流体を高温域状態で多く流すときにも、長期寿命を確保することが出来るようになった。またニッケルセンサーパイプとしたことによって熱伝導が良いので検出できる比例流量域が拡大されて結果的に大流量まで制御ができるようになった。
【0012】
次に、図2に示す取付基台2はステンレス材(SUS316L)によって形成しており、上記したセンサーパイプ1はこの取付基台2に少なくとも固定する必要がある。そこで本実施例では取付基台2の貫通孔21の下端に突出部20を形成し、貫通孔下端面22にセンサーパイプ1の端面12を面一に合わせるようにした。そしてこの突出部20とセンサーパイプの端面12を直接電子ビーム溶接Xして両者を固定している。この例では取付基台2の下部に環状凹溝23を形成して突出部20を形成したが、これに限定されることはなく例えば図3のように取付基台の下面22から直接突出部20を形成するようにしてもよい。
【0013】
さて、図2の例の場合センサーパイプの肉厚は0.04mm、突出部の厚さWは0.3mm、深さhは0.5mmとした。また電子ビーム溶接の溶接部Xはおよそ0.3mm程度の幅に仕上がっている。このように突出部20を形成することによって電子ビーム溶接のビームの狙いが集中して行えミスのないきれいな溶接が出来る。また溶接時の熱はセンサーパイプ側から積極的に逃げるのであるが、このような突出部を部分的に設けたことによって適度な熱が突出部20にも伝導して結果として効率的な溶接が行える。またセンサーパイプの端面を突出部の端面に合わせる構造であるのでセンサーパイプの固定や位置合わせが容易となる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ニッケルセンサーパイプと取付基台の固定が構造的に簡単でかつ直接的に行える。従って、耐食性と適用流量範囲が広く優れていると共に安価に製造できる熱式質量流量計となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す熱式質量流量計の正面図である。
【図2】 センサーパイプと取付基台の固定部を示す拡大断面図である。
【図3】 センサーパイプと取付基台の固定部の他の実施例の拡大断面図である。
【図4】 従来のセンサーパイプと取付基台の固定部を示す断面図である。
【符号の説明】
1:センサーパイプ 2:取付基台
3:合わせ面 4:ケース
5:溝 6:断熱材
7:上流側コイル 8:下流側コイル
9:ステンレスパイプ 12:センサーパイプの下端面
20:突出部 21:貫通孔
22:貫通孔下端面 23:環状凹溝
X、Y:電子ビーム溶接 Z:ニッケルろう付け

Claims (2)

  1. 被測定流体が流れるセンサーパイプと、このセンサーパイプの上流側と下流側の外周にそれぞれ感熱抵抗線からなる上流側コイルと下流側コイルを巻いて設け、この上流側コイルと下流側コイルと他の抵抗とによって構成したセンサー回路と、前記センサーパイプを貫通させてこれを固定する取付基台とを備えた熱式質量流量計において、前記センサーパイプをニッケル材から形成すると共に、前記取付基台は、前記センサーパイプに比べ大きな熱容量を持つ取付基台であって、前記取付基台の前記センサーパイプを貫通させる貫通孔の周囲に環状凹溝を設け、前記取付基台の貫通孔下端に突出部を形成し、前記突出部端からセンサーパイプの先端部を突出させることなく同一面となすとともに、この突出部先端内周前記センサーパイプの先端部の外周とが、それぞれ溶融するようにバランスよく熱を伝え、溶接して固定したことを特徴とする熱式質量流量計。
  2. 前記突出部と前記センサーパイプの先端部を電子ビーム溶接して固定したことを特徴とする請求項1記載の熱式質量流量計。
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