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JP3851790B2 - 活性エネルギー線硬化性材料および帯電防止性トップコート剤 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性材料および帯電防止性トップコート剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性材料および帯電防止性トップコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック製品、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、酢酸セルロース等は、その軽量性、易加工性、耐衝撃性などが優れているため、容器、インストルメントパネル、包装材、ハウジング等の種々の用途に使用されている。
【0003】
一般に、プラスチック製品は表面硬度が低いため傷がつき易く、ポリカーボネートの様な透明な樹脂の場合は、その樹脂が持つ本来の透明性あるいは外観が著しく損なわれるという欠点がある。このため、プラスチック製品の表面に活性エネルギー線硬化性材料から成るコート層が設けられる。
【0004】
しかしながら、市販の活性エネルギー線硬化材料は表面固有抵抗値が高く静電気が発生し易いという大きな欠点を有している。すなわち、静電気の発生は埃の製品への付着を促進し、製品の美観、透明性を損なう原因となっている。従って、帯電防止性の活性エネルギー線硬化材料が求められている。
【0005】
ところで、帯電防止性および透明性を具備した活性エネルギー線硬化性材料としては、例えば、四級アンモニウム塩を有する共重合体と多官能(メタ)アクリル酸エステルを含有する被覆組成物(特開平6−73305号公報、特開平6−180859号公報)が既に提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な被覆組成物の帯電防止性(表面固有抵抗)は、1010〜1012Ω/□のレベルであり、自動車のインストルメントパネルや包装材の用途では十分であるが、コンピュータや通信機器のハウジング、IC、LED等の精密部材の搬送容器などの用途において要求される108〜109 Ω/□のレベルを満足し得るものではない。本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、その目的は、高度な帯電防止性を有する活性エネルギー線硬化性材料および帯電防止性トップコート剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の要旨は、1個のカルボキシル基と1個以上のアクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート(A)及びN,N−ジアルキルアミノ基(但しアルキル基は相互に異なっていてもよい)と4級アンモニウム塩基とを有する重合体(B)を含有し、(メタ)アクリレート(A)中のカルボキシル基と重合体(B)中のN,N−ジアルキルアミノ基の当量比が1/10〜10/1の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性材料に存する。
【0008】
そして、本発明の第2の要旨は、上記の活性エネルギー線硬化性材料から成る帯電防止性トップコート剤に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性材料は、活性エネルギー線硬化性(重合性)の単量体としての、1個のカルボキシル基と1個以上のアクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート(A)と、帯電防止性付与剤としての、N,N−ジアルキルアミノ基(但しアルキル基は相互に異なっていてもよい)と4級アンモニウム塩基とを有する重合体(B)とを含有し、更に、必要に応じ、カルボキシル基を有さず且つ2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)を含有する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」の表記は、「アクリル」及び「メタクリル」を総称したものである。また、これに類似する表記(例えば(メタ)アクリレート)も同様である。
【0010】
先ず、本発明の活性エネルギー線硬化性材料の基本となる成分、すなわち、1個のカルボキシル基と1個以上のアクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート(A)について説明する。斯かる(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸の他、水酸基含有多官能アクリレートと酸無水物との反応物が挙げられ、その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。これらの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステルが好適に使用される。
【0011】
次に、帯電防止性付与剤として機能する成分、すなわち、N,N−ジアルキルアミノ基(但しアルキル基は相互に異なっていてもよい)と4級アンモニウム塩基とを有する重合体(B)について説明する。斯かる重合体(B)は、N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体とその4級アンモニウム塩との共重合によって得ることが出来る。N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体としては、例えばアミノアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好適に使用される。そして、4級アンモニウム塩は、上記のアミノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルの4級化反応によって得られる。
【0012】
アミノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルとその4級アンモニウム塩との共重合は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールとの混合液などの溶媒の存在下にアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を使用する公知の重合方法に従って行うことが出来る。本発明においては、上記の共重合の際にオルガノポリシロキサン単位を有する重合性単量体およびその他の重合性単量体を他の共重合成分として使用することが出来る。
【0013】
上記のオルガノポリシロキサン単位を有する重合性単量体としては、1分子中に1個以上のラジカル重合性基または1分子中に2個以上のメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン化合物が挙げられる。ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基などが挙げられるが、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、オルガノポリシロキサン単位は次の一般式で表されるものが好ましい。
【0014】
【化1】
Figure 0003851790
【0015】
上記の一般式中、R1及びR2は、相互に同一でも異なっていてもよい、メチル基またはフェニル基を表し、nは5以上の整数、好ましくは5〜300の整数を表す。上記の様なオルガノポリシロキサン単位を有する重合性単量体は、シリコーンにより、レベリング性、滑り性、剥離性を向上する効果を有する。
【0016】
上記のその他の重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン等が挙げられる。
【0017】
重合体(B)中における前記のN,N−ジアルキルアミノ基含有単量体の割合は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体の割合が5重量%未満の場合は塗膜の透明性が低下し、50重量%を超える場合は帯電防止性が劣る傾向がある。また、重合体(B)中の4級アンモニウム塩基含有単量体の割合は、通常10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%である。4級アンモニウム塩基含有単量体の割合が10重量%未満の場合は帯電防止性が不足し、90重量%を超える場合は塗膜の透明性が劣る傾向がある。重合体(B)中における前記のオルガノポリシロキサン単位を有する重合性単量体の割合は、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.3〜30重量%である。オルガノポリシロキサン単位を有する重合性単量体の割合が0.1重量%未満の場合は滑り性が不十分となる傾向がある。重合体(B)中における前記のその他の重合性単量体(の割合は、通常5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%である。そして、重合体(B)の数平均分子量は、通常400〜60,000、好ましくは1,000〜30,000とされる。
【0018】
次に、任意成分、すなわち、カルボキシル基を有さず且つ2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)について説明する。斯かる(メタ)アクリレート(C)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらの中では、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好適に使用される。
【0019】
本発明の活性エネルギー線硬化性材料は、前記の(メタ)アクリレート(A)と前記の重合体(B)とを必須成分として含有する。この(メタ)アクリレート(A)と重合体(B)の使用割合は、(メタ)アクリレート(A)中のカルボキシル基と重合体(B)中のN,N−ジアルキルアミノ基の当量比で、1/10〜10/1の範囲、好ましくは1/3〜3/1の範囲、更に好ましくは1/1である。活性エネルギー線照射後の硬化塗膜は、(メタ)アクリレート(A)の有するカルボキシル基と重合体(B)の有するN,N−ジアルキルアミノ基とによる相互作用(造塩作用)により、重合体(B)を架橋構造中に取り込み、優れた耐溶剤性、透明性および硬度を発揮する。
【0020】
本発明の活性エネルギー線硬化性材料は、前記の(メタ)アクリレート(C)、すなわち、カルボキシル基を有さず且つ2個以上のアクリロイル基を有するアクリレートとを任意成分として含有する。(メタ)アクリレート(C)は、その多官能性により、硬化塗膜の架橋密度を高め且つ硬度を増加させる効果を有する。(メタ)アクリレート(A)100重量部に対する(メタ)アクリレート(C)の割合は、通常20〜3000重量部、好ましくは40〜2500重量部である。(メタ)アクリレート(C)が配合された場合にも、(メタ)アクリレート(A)と重合体(B)の使用割合を上記の範囲に保つことにより、相溶性が維持されて硬化塗膜の透明性が向上する。
【0021】
通常、本発明の活性エネルギー線硬化性材料は光重合開始剤および溶剤を含有する。
【0022】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、p,p′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−N,N′−ジメチルアセトフェノン類、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−4−ジエチルチオキサントン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、前記の(メタ)アクリレート(A)及び(C)の合計量に対し、通常0.1〜10重量%とされる。
【0023】
溶剤としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶媒などが挙げられる。溶剤の使用量は、本発明の活性エネルギー線硬化性材料を構成する全固形分に対し、通常30〜80重量%とされる。この様にして調製される溶剤を含む本発明の活性エネルギー線硬化性材料の25℃で測定した粘度は、2〜200mPa・sであることが塗布の作業性などの点で好ましい。なお、粘度の測定は、B型粘度計(トキメック社製)を使用して行うことが出来る。
【0024】
本発明の活性エネルギー線硬化性材料は、プラスチックフイルムやシートの他、金属、ガラス等の基材の表面に塗布して使用される。そして、塗布後に乾燥し、得られた乾燥塗膜を活性エネルギー線の照射によって硬化塗膜に変換する。
【0025】
塗布方法としては、基材の形状により、スプレー塗布、浸漬塗布、ロールコーター塗布、フローコーター塗布、スピンコーター塗布などが適宜採用される。塗布厚さは、塗膜物性の観点から、溶媒除去後の乾燥塗膜の厚さとして、通常0.1〜15μm、好ましくは3〜15μmとされる。そして、乾燥塗膜に適用される活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、放射線などが挙げられるが、実用的には紫外線が適用される。紫外線光源としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用される。放射線量は、通常50〜2,000mJ/cm2、好ましくは100〜1,000mJ/cm2とされる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において「部」とあるのは「重量部」を意味する。
【0027】
<重合体(B)の合成>
【0028】
合成例1
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部(全単量体を100部とした場合は17部となり、以下、斯かる表示の単位を「phm」と記す)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(共栄社化学社製「ライトエステルDQ-100」)66部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、アゾビスイソブチロニトリル1部、イソプロピルアルコール200部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換し、80℃に昇温し、8時間反応して共重合体(B1)の溶液を得た。この共重合体の単位重量当たりのアミノ基の当量数は1/912(計算値)である。
【0029】
合成例2
実施例1と同様の反応器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート10部(8phm)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(共栄社化学社製「ライトエステルDQ-100」)79部、n−ブチルメタクリレート30部、イソプロピルアルコール200部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換した。その後、60℃に昇温し、昇温終了時に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部を添加し、更に、60℃で8時間反応して共重合体(B2)の溶液を得た。この共重合体の単位重量当たりのアミノ基の当量数は1/1871(計算値)である。
【0030】
合成例3
実施例1と同様の反応器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部(17phm)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(共栄社化学社製「ライトエステルDQ-100」)66部、ラウリルメタクリレート30部、イソプロピルアルコール200部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換した。その後、60℃に昇温し、昇温終了時に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部を添加し、更に、60℃で8時間反応して共重合体(B3)の溶液を得た。この共重合体の単位重量当たりのアミノ基の当量数は1/912(計算値)である。
【0031】
合成例4
実施例1と同様の反応器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート20部(17phm)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(共栄社化学社製「ライトエステルDQ-100」)66部、2−エチルヘキシルメタクリレート20部、オルガノポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM0725」)10部、アゾビスイソブチロニトリル1部、イソプロピルアルコール200部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換し、80℃に昇温し、8時間反応して共重合体(B4)の溶液を得た。この共重合体の単位重量当たりのアミノ基の当量数は1/912(計算値)である。
【0032】
合成例5
実施例1と同様の反応器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(共栄社化学社製「ライトエステルDQ-100」)93部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、イソプロピルアルコール200部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換した。その後、60℃に昇温し、昇温終了時に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部を添加し、更に、60℃で8時間反応して共重合体(B5)の溶液を得た。この共重合体は、4級アンモニウム塩基を有するがN,N−ジアルキルミノ基を有していない。
【0033】
合成例6
実施例1と同様の反応器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート70部、2エチルヘキシルメタクリレート30部、イソプロピルアルコール200部およびメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換した。その後、60℃に昇温し、昇温終了時に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部を添加し、更に、60℃で8時間反応して共重合体(B6)の溶液を得た。この共重合体は、N,N−ジアルキルアミノ基を有するが4級アンモニウム塩基を有していない。この共重合体の単位重量当たりのアミノ基の当量数は1/225(計算値)である。
【0034】
実施例1〜7及び比較例1〜3
上記の各合成例で得られた共重合体(B1)〜(B6)の溶液、以下の表1に示す、(メタ)アクリレート(A)、(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤を固形分換算で表2に示す割合で配合し、光重合開始剤を除いた固形分が30重量%になる様にイソプロピルアルコールで希釈し、本発明および比較対照用の活性エネルギ−線硬化性材料を調製した。
【0035】
【表1】
<(メタ)アクリレート(A)>
「TO−756」:ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル(東亜合成社製「アロニックス TO−756」)
(上記の化合物の単位重量当たりのカルボキシル基の当量数は1/468(計算値)である。)
<(メタ)アクリレート(C)>
「DPHA」 :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成社製「アロニックス M400」)
「PETA」 :ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製「ビスコート 300」)
<光重合開始剤>
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「Irgacure184」)
【0036】
バーコーターにより、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(三菱化学ポリエステルフイルム社製「T600」)に上記各活性エネルギー線硬化性材料を乾燥後の塗膜が5μmとなる様に塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した。次いで、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、光源下15cmの位置から、上記の各塗膜に600mJ/cm2の紫外線を照射した。そして、以下の(1)及び(2)の測定を行い、結果を表2に示した。
【0037】
(1)透明性:
JIS K−7105に従ってヘイズメーターで測定する。
【0038】
(2)表面抵抗値:
温度23℃で相対湿度60%の恒温室に24時間放置した後、表面抵抗計(タケダリケン製「TR−8601」)を使用し、印加電圧100V、1分値で測定する。
【0039】
【表2】
Figure 0003851790
【0040】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、硬化塗膜の透明性および帯電防止性に優れる活性エネルギー線硬化性材料およびトップコート剤が提供される。

Claims (6)

  1. 1個のカルボキシル基と1個以上のアクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート(A)及びN,N−ジアルキルアミノ基(但しアルキル基は相互に異なっていてもよい)と4級アンモニウム塩基とを有する重合体(B)を含有し、(メタ)アクリレート(A)中のカルボキシル基と重合体(B)中のN,N−ジアルキルアミノ基の当量比が1/10〜10/1の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性材料。
  2. 重合体(B)中のN,N−ジアルキルアミノ基含有単量体の含有量が5〜50重量%である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性材料。
  3. 重合体(B)がオルガノポリシロキサン単位を有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性材料。
  4. カルボキシル基を有さず且つ2個以上のアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性材料。
  5. (メタ)アクリレート(A)100重量部に対する(メタ)アクリレート(C)の割合が20〜3000重量部である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性材料。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の活性エネルギー線硬化性材料から成る帯電防止性トップコート剤。
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