JP3844554B2 - 面ファスナー雌材用複合不織布及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、止め具として用いる面ファスナーのうち、雌材として用いるのに適した複合不織布及びその製造方法に関し、特に一方向への伸縮性に優れると共に雄材との接合性にも優れた面ファスナー雌材用複合不織布及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
面ファスナーは、ループ或いはアーチ形の係合部を表面に多数有する雌材と、きのこ状或いは鉤状の突起を表面に多数有する雄材とからなり、雄材の突起を雌材の係合部に引っ掛けることによって、止め具として機能するものである。一般的に、雌材としては、ナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン等の合成マルチフィラメント或いはモノフィラメントを製編織して得られる、表面に多数のループ(パイル)を持つパイル織物或いは編物が用いられている。このようなパイル織編物は、伸縮性に乏しいため、使用箇所が限定されるという欠点があった。例えば、カーテンの接続部,ジャケットとフードの接続部,布団カバーの出し入れ口,カバンのふたの先端部等の止め部が固定している箇所には好適に用いられるが、乳幼児用或いは老人用使い捨ておむつの前側のように伸縮性が必要とされる箇所に用いるには不適当であった。
【0003】
即ち、乳幼児用或いは老人用使い捨ておむつの前側に、伸縮性に乏しいパイル織編物を用いると、呼吸や寝返りの際に、おむつの前側に外力が負荷されると、その外力にパイル織編物が追随することができず、人体を圧迫したり、或いは雄材との係合が外れるということがあった。このような欠点を回避するためには、パイル織編物を構成するフィラメントとして、弾性に優れたものを採用し、パイル織編物に伸縮性を与えれば良いと考えられる。しかしながら、パイル織編物に伸縮性を与えると、伸びた状態となっているとき、表面に形成されている係合部であるループ等の密度が低くなるということがあった。係合部の密度が低くなった状態で、雄材と雌材とを接合させると、係合密度が低くなり、十分な接合強度が得られず、雄材と雌材とが外れやすくなるという欠点が生じる。
【0004】
一方、面ファスナー用雌材として、上記したパイル織編物の他に、短繊維を集積してなり、その表面に係合部として機能する皺やループを持つ不織布が知られている(特開平6−33359号公報,特開平7−171011号公報)。また、長繊維を集積してなる繊維ウェブに、エンボス加工して、エンボス面の表面に十分に繊維の出た(この繊維が係合部として機能する)不織布を採用することも提案されている(特開平7−26462号公報)。しかしながら、これらのいずれの不織布も、十分な伸縮性を持つものではなく、単に上記したパイル織編物の安価な代替品にすぎない。また、不織布に十分な伸縮性を与えるには、不織布を構成する短繊維や長繊維として伸縮性繊維を用いることも考えられる。しかし、このような不織布が伸びた状態になると、パイル織編物の場合と同様に、表面に形成された係合部(皺,ループ,表面に出た繊維)の密度が小さくなって、雄材との接合強度が不十分になると考えられる。
【0005】
また、面ファスナー用雌材として、表面に特に皺やループ等を形成させない不織布を用いることも考えられる。この場合、不織布を構成する繊維相互間の間隙に、雄材の突起を埋め込み、不織布と雄材とを接合させようというものである。このような不織布を用いた場合でも、構成繊維として伸縮性繊維を用いると、伸長時において構成繊維相互間の間隙が大きくなって、雄材の突起を埋め込みにくくなり、接合強度が低下すると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、伸縮性を有する不織布であって、伸長時においても繊維密度の低下が少なく、雄材との強固な接合が得られる不織布を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維相互間が固定された区域を多数設けると共に、一方向に伸長したとき、この方向と直交する方向ではその長さが短くなるようにして、伸長時において繊維密度が低下することを防止しようというものである。
即ち、本発明は、面ファスナー雌材用不織布の片面に、補強層が貼合されてなる面ファスナー雌材用複合不織布であって、前記面ファスナー雌材用不織布は、多数の熱可塑性長繊維が集積されてなり、該長繊維相互間は、一定の間隔を置いて配置された多数の熱融着区域において、該長繊維自体の軟化又は溶融による自己融着によって固定されてなり、且つ、幅方向における破断伸度(EC)が80%以上で、50%伸長時の伸長回復率[EEC(50)]が60%以上であり、更に、該幅方向に伸長したとき、該幅方向と直交する方向ではその長さが縮小するものであり、前記補強層の幅方向の破断伸度は、前記不織布のECよりも大きな値を持ち、且つ前記補強層を幅方向に50%伸長した時の伸長回復率は、前記不織布のEEC(50)よりも大きな値を持つことを特徴とする面ファスナー雌材用複合不織布及びその製造方法に関するものである。
【0008】
本発明で用いる面ファスナー雌材用不織布は、多数の熱可塑性長繊維が集積されてなるものである。熱可塑性長繊維が用いられる理由は、その熱可塑性によって、長繊維相互間を自己融着させるためである。また、長繊維が用いられる理由は、短繊維よりなる不織布に比べて、高い破断伸度が得られやすく、また高い伸縮性を発揮させやすいためである。従って、このような機械的特性が大きく低下しない限り、長繊維群中に短繊維を若干量混入させても良い。長繊維の繊度は、1.5〜15.0デニール程度であるのが好ましく、1.5〜10.0デニールであるのがより好ましく、特に2.0〜8.0デニールであるのが最も好ましい。長繊維の繊度が1.5デニール未満であると、溶融紡糸工程において製糸性が低下したり、或いは面ファスナー雌材用不織布の機械的特性が低下する傾向が生じる。一方、長繊維の繊度が15.0デニールを超えると、面ファスナー雌材用不織布の風合が硬くなって、人体になじみにくく、使い捨ておむつ等に適用するのは、不適当になる恐れがある。
【0009】
熱可塑性長繊維は、ポリオレフィン系重合体,ポリエステル系重合体,ポリアミド系重合体,生分解性を有する脂肪族ポリエステル系重合体等の熱可塑性繊維形成性重合体を、単独で又は任意の組み合わせで、溶融紡糸することによって得られるものである。熱可塑性繊維形成性重合体を単独で用いた場合、非複合型の長繊維(単相型長繊維)となる。単相型長繊維の横断面は、任意の形状であって良く、例えば、丸形状,中空形状,偏平形状,或いはその他の異形形状であっても良い。熱可塑性繊維形成性重合体を任意の組み合わせで用いた場合、複合型の長繊維となる。複合型長繊維としては、一般的に、芯鞘型長繊維やサイドバイサイド型長繊維が採用される。複合型長繊維の横断面も任意の形状であって良く、例えば、丸形状,中空形状,偏平形状,或いはその他の異形形状であっても良い。複合型長繊維とした場合、低融点重合体と高融点重合体とを組み合わせて用い、低融点重合体の熱可塑性を利用し、その軟化又は溶融によって長繊維相互間を自己融着させるのが好ましい。また、複合型長繊維の場合、非相溶性の二種以上の重合体を組み合わせて用い、割繊複合型長繊維としても良い。割繊複合型長繊維としては、横断面が楔形状の各重合体が貼り合わされて、横断面が円形のもの、或いは中心部に一種の重合体が配され、その周りに他種の重合体が複数本配されてなるもの等が用いられる。また、割繊複合型長繊維の場合も、非相溶性の二種以上の重合体として、低融点重合体と高融点重合体を用い、低融点重合体によって、長繊維相互間を自己融着させても良い。
【0010】
熱可塑性長繊維は、単相型長繊維であれ複合型長繊維であれ、一般的には一種の熱可塑性長繊維を多数集積して、面ファスナー雌材用不織布とする。しかし、二種以上の熱可塑性長繊維を均一に混繊しながら多数集積して、面ファスナー雌材用不織布としても良いし、各熱可塑性長繊維を層状に集積して、二層或いはそれ以上の層構造を持つ面ファスナー雌材用不織布としても良い。
【0011】
熱可塑性長繊維を製造する際に用いるポリオレフィン系重合体としては、例えば、エチレン,プロピレン,ブテン−1,ペンテン−1,3−メチルブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1,ドデセン−1,オクタデセン−1等の炭素原子数2〜18の脂肪族α−モノオレフィンを単独で重合させたホモポリオレフィン重合体、又は2種以上を混合して重合させたポリオレフィン共重合体を用いることができる。ホモポリオレフィン重合体やポリオレフィン共重合体には、例えば、ブタジエン,イソプレン,ペンタジエン−1・3,スチレン,α−メチルスチレンの如きエチレン系不飽和モノマーが共重合されていてもよい。ポリオレフィン系重合体として、ポリエチレン系重合体を用いる場合、エチレンに対してプロピレン,ブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1又はその他の高級α−オレフィンが10重量%以下共重合されたものを用いるのが好ましい。また、ポリオレフィン系重合体として、ポリプロピレン系重合体を用いる場合、プロピレンに対してエチレン又はその他の高級α−オレフィンが10重量%以下共重合されたものを用いるのが好ましい。なお、前記のポリエチレン系重合体及びポリプロピレン系重合体の場合において、共重合割合が10重量%を超えると、長繊維の融点が低下しすぎて、自己融着区域外の区域でも、長繊維相互間が融着する恐れがあり、良好な伸縮性や柔軟性を持つ面ファスナー雌材用不織布が得られにくくなる恐れがある。
【0012】
ポリエステル系重合体としては、芳香族ポリエステル系重合体や脂肪族ポリエステル系重合体等を用いることができる。芳香族ポリエステル系重合体としては、例えば、テレフタル酸,イソフタル酸,ナフタリン−2・6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル類を酸成分とし、かつエチレングリコール,ジエチレングリコール,1・4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,シクロヘキサン−1・4−ジメタノール等のジオール化合物をグリコール成分とするホモポリエステル重合体又はポリエステル共縮重合体を用いることができる。なお、これらの芳香族ポリエステル系重合体には、パラオキシ安息香酸,5−ソジウムスルホイソフタール酸,ポリアルキレングリコール,ペンタエリスリトール,ビスフェノールA等が添加又は共重合されていてもよい。
【0013】
脂肪族ポリエステル系重合体としては、例えば、α−ヒドロキシ酸や乳酸を重合させてなるポリ(α−ヒドロキシ酸)[代表的にはポリグリコール酸]やポリ乳酸、又はこれらの共重合体を用いることができる。また、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオラクトン)等のポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)も用いることができる。更に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート,ポリ−3−ヒドロキシブチレート,ポリ−3−ヒドロキシカプロレート,ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート,ポリ−3−ヒドロキシオクタノエート等のポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)、又はこれらにポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレート等を構成するモノマー成分を共重合させたものも用いることができる。また、ポリ乳酸或いはポリ乳酸系重合体としては、ポリ(D−乳酸),ポリ(L−乳酸),ポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)との共重合体,ポリ(D−乳酸)とヒドロキシカルボン酸との共重合体,ポリ(L−乳酸)とヒドロキシカルボン酸との共重合体等を用いることができる。
【0014】
更には、アジピン酸やセバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル類を酸成分とし、エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,1・4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,シクロヘキサン−1・4−ジメタノール等のジオール化合物をグリコール成分とする重合体又は共縮重合体を用いることもできる。具体的には、ポリエチレンオキサレート,ポリエチレンサクシネート,ポリエチレンアジペート,ポリエチレンアゼレート,ポリブチレンオキサレート,ポリブチレンサクシネート,ポリブチレンアジペート,ポリブチレンセバケート,ポリヘキサメチレンセバケート,ポリネオペンチルオキサレート又はこれらの共重合体を用いることもできる。以上の脂肪族ポリエステル系重合体は、一般的に生分解性に優れているため、この重合体からなる長繊維を構成繊維とする面ファスナー雌材用不織布は、廃棄処理がしやすいという利点がある。
【0015】
ポリアミド系重合体としては、例えば、ポリイミノ−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4),ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46),ポリカプラミド(ナイロン6),ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66),ポリウンデカナミド(ナイロン11),ポリラウロラクタミド(ナイロン12),ポリメタキシレンアジパミド,ポリパラキシリレンデカナミド,ポリビスシクロヘキシルメタンデカナミドを用いることができる。また、これらのポリアミド系重合体を構成しているモノマーを、2種以上混合して共重合させたポリアミド系共重合体も用いることができる。特に、ポリテトラメチレンアジパミドを用いる場合、ポリカプラミド,ポリヘキサメチレンアジパミド,ポリウンデカメチレンテレフタラミド等を構成するモノマー成分を30モル%以下共重合させたポリテトラメチレンアジパミド系共重合体を用いるのが好ましい。なお、この場合、共重合割合が30モル%を超えると、長繊維の融点が低下しすぎて、自己融着区域外の区域でも、長繊維相互間が融着する恐れがあり、良好な伸縮性や柔軟性を持つ面ファスナー雌材用不織布が得られにくくなる恐れがある。
【0016】
また、ポリオレフィン系重合体,ポリエステル系重合体,ポリアミド系重合体の他に、脂肪族ポリエステルアミド系重合体も用いることができる。脂肪族ポリエステルアミド系共重合体としては、例えば、前記した脂肪族ポリエステル系重合体と、ポリカプラミド(ナイロン6),ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46),ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66),ポリウンデカナミド(ナイロン11),ポリウラロラクタミド(ナイロン12)等の脂肪族系ポリアミド重合体とを共重合したものを用いることができる。この脂肪族ポリエステルアミド系共重合体も、生分解性に優れており、この重合体からなる長繊維を構成繊維とする面ファスナー雌材用不織布は、廃棄処理がしやすいという利点がある。
【0017】
上記した各種繊維形成性重合体中には、必要に応じて、艶消し剤、顔料、防炎剤,消臭剤,光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶化促進剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0018】
低融点重合体と高融点重合体とを組み合わせて、複合型長繊維とする際の好ましい具体例としては、ポリオレフィン系重合体/ポリアミド系重合体,ポリオレフィン系重合体/ポリエステル系重合体,ポリアミド系重合体/ポリエステル系重合体の組み合わせを挙げることができる。特に、最も好ましい具体例としては、芯成分として高融点重合体である芳香族ポリエステルを採用し、鞘成分としてポリオレフィンを用いた、芯鞘型複合長繊維を用いるのが好ましい。このタイプの長繊維は、熱融着区域において、ポリオレフィンのみの軟化又は溶融によって長繊維相互間が自己融着されており、芳香族ポリエステルは当初の繊維形態をそのまま維持している。従って、熱融着区域がフィルム状になってしまったり、或いはその区域に孔が開いてしまったりするのを防止でき、全体として柔軟性に富み、機械的物性の良好な面ファスナー雌材用不織布が得られるからである。なお、割繊複合型長繊維とする際も、ポリオレフィン系重合体/ポリアミド系重合体,ポリオレフィン系重合体/ポリエステル系重合体,ポリアミド系重合体/ポリエステル系重合体の組み合わせを採用するのが好ましい。割繊複合型長繊維を用いた場合、割繊処理によって長繊維を割繊すると、長繊維の繊度が小さくなり、風合が良好で柔軟性に優れた面ファスナー雌材用不織布を得ることができる。割繊処理としては、揉み加工や水流(液流)によって衝撃を与える水流(液流)加工等で容易に行うことができ、また後で行う延伸処理によっても、ある程度の割繊を行うことができる。
【0019】
本発明で用いる面ファスナー雌材用不織布は、熱可塑性長繊維自体の軟化又は溶融による自己融着によって、長繊維相互間が固定されてなる熱融着区域を具備している。熱可塑性長繊維が単相型長繊維である場合には、熱融着区域において、各長繊維が接触している表面同士が自己融着する。また、熱可塑性長繊維が低融点重合体と高融点重合体とよりなる複合型長繊維である場合には、熱融着区域において、低融点重合体が軟化又は溶融して長繊維相互間が自己融着する。
【0020】
熱融着区域は、面ファスナー雌材用不織布中において、一定の間隔を置いて多数配置されている。従って、熱融着区域の面積は任意であって良いが、この区域は多数配置されるため、必然的にその面積は大きすぎてはいけない。何故なら、面積が大きすぎると、熱融着区域を多数配置することが困難になるからである。一般的には、熱融着区域の面積は0.1〜1.0mm2程度であるのが好ましい。熱融着区域の面積が1.0mm2を超えても、熱融着区域を多数配置することはできるが、面ファスナー雌材用不織布の柔軟性が低下する傾向が生じる。一方、熱融着区域の面積を0.1mm2未満にすることは、製造上、現実には困難である。熱融着区域の配置数については、多数であれば良いのであるが、具体的には2〜80個/cm2程度であるのが好ましく、特に4〜60個/cm2程度であるのがより好ましい。熱融着区域の配置数が2個/cm2未満であると、長繊維相互間の固定区域が少なくなり、面ファスナー雌材用不織布の引張強度や寸法安定性等の機械的特性が低下する傾向が生じる。一方、熱融着区域の配置数が80個/cm2を超えると、長繊維相互間の固定区域が多くなりすぎて、面ファスナー雌材用不織布の柔軟性や伸縮性が低下する恐れがある。また、面ファスナー雌材用不織布の表面積に対する熱融着区域の総面積の割合は、2〜30%であるのが好ましく、特に4〜20%であるのがより好ましい。この割合が2%未満であると、全体として長繊維相互間の固定区域が少なくなり、面ファスナー雌材用不織布の引張強度や寸法安定性等の機械的特性が低下する傾向が生じる。一方、この割合が30%を超えると、全体として長繊維相互間の固定区域が多くなりすぎて、面ファスナー雌材用不織布の柔軟性や伸縮性が低下する恐れがある。
【0021】
本発明で用いる面ファスナー雌材用不織布は、長繊維相互間が固定されている熱融着区域を多数持つことにより、一定の引張強度を持っているのであるが、少なくとも以下の二つの物性を具えていなければならない。第一に、面ファスナー雌材用不織布の幅方向の破断伸度(EC)は80%以上でなければならない。この破断伸度が80%未満であると、不織布の幅方向への伸長性が不十分であり、幅方向に良好な伸縮性が発揮できない。ここで、不織布の幅方向とは、不織布の機械方向と直交する方向という意味であり、通常使用される幅という意味ではない。即ち、不織布の生産工程において、機械が配置されている方向(機械方向)と直交する方向という意味であるから、四辺形の不織布の長辺と平行な方向が幅方向となることもあるし、また短辺と平行な方向が幅方向となることもある。また、破断伸度(%)はJIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定されるものである。即ち、試料幅5cmで試料長15cmの短冊状試料片10点を準備し、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用いて、各試料片の掴み間隔を10cmとし、引張速度10cm/分で伸長し、各試料片が破断したときの平均伸度を破断伸度(%)とした。従って、破断伸度(%)={[(破断時のチャック間距離)−(10cm)]/(10cm)}×100で計算されるものである。なお、不織布の幅方向の破断伸度を測定するのであるから、短冊状試料片の長手方向が不織布の幅方向となるようにして、試料片を採取することは言うまでもない。また、不織布の機械方向(縦方向)の破断伸度を測定する場合には、短冊状試料片の長手方向が不織布の機械方向となるようにして、試料片を採取することも付け加えておく。
【0022】
第二に、面ファスナー雌材用不織布を幅方向に50%伸長した時の伸長回復率(EEC(50))が60%以上でなければならず、好ましくは80%以上であるのが良い。この伸長回復率が60%未満であると、外力を加えて不織布を幅方向に伸長した後、この外力を解除したときの収縮が不十分で、良好な伸縮性が発揮できない。ここで、この伸長回復率はJIS−L−10966.13.1Aに記載の方法に準じて、以下の如き方法で測定されるものである。まず、試料幅5cmで試料長15cmの短冊状試料片を5点準備する。この際、短冊状試料片の長手方向が不織布の幅方向となるようにする。そして、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用いて、掴み間隔を10cmとし(測定試料長を10cmとし)、引張速度10cm/分で、各試料片を幅方向に伸長させ、伸長率が50%となった時点(測定試料長が15cmとなった時点)で、引っ張りを停止する。その後、各試料片を引張試験機から外して放置し、各試料片が収縮した後の各試料片の測定試料長の長さLcmを測定する。そして、次の式で各試料片の伸長回復率(%)を計算し、その平均値をEEC(50)とするのである。伸長回復率(%)=[(15−L)/(15−10)]×100。
【0023】
本発明で用いる面ファスナー雌材用不織布は、以上のように幅方向に良好な伸縮性を持つものであるが、幅方向に伸縮性を持ち、幅方向と直交する方向(機械方向のことである。また、機械方向のことは縦方向とも言われる。)には十分な伸縮性を持たないものである。即ち、機械方向に外力を負荷しても、十分に伸長しないものである。ここで、十分に伸長しないという意味は、機械方向の破断伸度が、不織布の幅方向の破断伸度の(1/5)以下であると解釈すれば良い。しかしながら、幅方向に外力を負荷して伸長したときには、機械方向はその長さが収縮するものである。本発明で用いる面ファスナー雌材用不織布は、このような特性を持つために、幅方向に伸長した際にも、繊維密度が低下しにくく、面ファスナー雄材の突起が、良好に繊維相互間の間隙に埋め込まれ、雄材と雌材との強固な接合が可能となるのである。例えば、面ファスナー雌材用複合不織布が幅方向に伸長したときに、その繊維密度が低下して繊維相互間の間隙が大きくなると、雄材の突起が繊維相互間の間隙に埋め込まれにくくなり、雄材と雌材とが強固に係合しにくくなるのである。
【0024】
本発明で用いる面ファスナー雌材用不織布の目付は、任意であって良いが、一般的には10〜60g/m2であるのが好ましく、特に10〜40g/m2であるのがより好ましい。目付が10g/m2未満であると、繊維密度が比較的低くなるため、雄材の突起が埋め込まれにくくなり、面ファスナー雌材としては不適当になることもある。また、引張強度等の機械的物性も低下する傾向がある。一方、目付が60g/m2を超えると、重量が重くなりすぎて、使い捨ておむつ等に用いるには、不適当になることもある。
【0025】
本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布は、この面ファスナー雌材用不織布の伸縮性等の特性を阻害しないようにして補強層を貼合し、面ファスナー雌材用複合不織布とする。一般的に、補強層は面ファスナー雌材用不織布の片面のみに貼合されて、二層構造の複合不織布となるが、補強層の両面に面ファスナー雌材用不織布を貼合して三層構造の複合不織布としても良い。後者の場合、表裏面とも雄材との接合が可能であり、表裏を問わないという利点がある。補強層は、面ファスナー雌材用不織布自体の特性を阻害しないものとする必要性から、面ファスナー雌材用不織布の破断伸度及び伸長回復率よりも、大きな破断伸度及び伸長回復率を持つものを用いる。従って、補強層の幅方向の破断伸度は、上記した面ファスナー雌材用不織布のECよりも大きな値を持つ。また、補強層を幅方向に50%伸長した時の伸長回復率は、上記した面ファスナー雌材用不織布のEEC(50)よりも大きな値を持つ。なお、補強層の破断伸度及び伸長回復率の測定方法は、面ファスナー雌材用不織布の破断伸度及び伸長回復率の測定方法と同一であることは言うまでもない。
【0026】
面ファスナー雌材用不織布に補強層を貼合してなる面ファスナー雌材用複合不織布は、以下のような伸縮特性を持っていることが好ましい。即ち、面ファスナー雌材用複合不織布の幅方向の破断伸度は150%以上であると共に、面ファスナー雌材用複合不織布を幅方向に80%伸長し、この伸長を解除した後において、複合不織布に残留する歪率が20%以下であることが好ましい。このように高い破断伸度及び小さい残留歪率を持っていることにより、非常に伸縮性に優れた面ファスナー雌材用複合不織布となるのである。複合不織布の幅方向の破断伸度は、面ファスナー雌材用不織布の幅方向の破断伸度(EC)と同一の方法で測定される。一方、残留する歪率については、基本的には不織布の伸長回復率[EEC(50)]の測定方法と同様であるが、伸長率及び計算式が次のように異なる。即ち、テンシロンを用いて行う伸長率は80%となった時点(測定試料長が18cmとなった時点)で、引っ張りを停止する。また、計算式については、歪率(%)=[(Lcm−10cm)/10cm]×100なる式で計算する。
【0027】
補強層としては、不織布の伸縮性等の特性を阻害しないものであれば、どのようなものでも用いることができる。具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体,ポリイソプレン,ポリブタジエン,水素添加ポリブタジエン,水素添加ポリイソプレン,ポリスチレン,非結晶性ポリ塩化ビニル,アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等を素材とする伸縮性シート又は伸縮性ネットが好適に用いられる。伸縮性シート又は伸縮性ネットの厚さは任意であり、極薄いものから厚いものまで、採用することができる。厚さの薄い伸縮性シートや伸縮性ネットは、伸縮性フィルム,伸縮性メッシュ等と種々の呼び名で呼ばれることがあるが、どのような厚みのものであっても伸縮性シート又は伸縮性ネットの範疇に属するものである。
【0028】
補強層を貼合した場合、補強層と不織布との剥離強力は150g/5cm幅以上であるのが好ましい。剥離強力が150g/5cm幅未満であると、複合不織布が伸長された際に、補強層と不織布とが剥離しやすくなる傾向が生じる。ここで、剥離強力は以下の如き方法で測定される。まず、試料幅5cmで試料長15cmの試料片を5枚準備する。各試料片の長手方向は、不織布の機械方向と一致するようにする。そして、複合不織布の端部より補強層と不織布とを強制的に5cm剥離し、破断伸度を測定したときに用いた定速伸長型引張試験機を用い、補強層の端部と不織布の端部とを、各チャックで把持し、引張速度10cm/分で引っ張った際の最大値を求める。このような方法で、各試料片の最大値を求め、その平均値を剥離強力とするのである。
【0029】
補強層と不織布とは、どのような方法で貼合されていても良く、例えば、接着剤を用いて貼合することもできる。しかし、接着剤を用いると、接着剤層が形成され、複合不織布の柔軟性や伸縮性が低下する恐れがあるので、以下の如き方法で貼合するのが好ましい。例えば、補強層として伸縮性熱可塑性シートを用いた場合には、多数の熱圧接区域で部分的に接着することによって、貼合するのが好ましい。このようにすると、非接着部分において、十分な伸縮性や柔軟性を確保することができるからである。熱圧接区域は、少なくとも伸縮性熱可塑性シートの軟化又は溶融によって、不織布と伸縮性熱可塑性シートとを接着するものである。ここで、伸縮性熱可塑性シートを軟化又は溶融させる理由は、伸縮性熱可塑性シートの融点は、一般的に、不織布を構成している熱可塑性長繊維よりも低いからである。例えば、伸縮性熱可塑性シートの融点は110℃前後であることが多く、熱可塑性長繊維(具体的には、ポリエステルを芯としてポリエチレンを鞘とする芯鞘型複合長繊維)の融点(低融点重合体であるポリエチレンの融点)は、120〜130℃前後であることが多いのである。しかしながら、両者の融点が近接していたり、或いは逆転している場合もあるので、伸縮性熱可塑性シートと不織布中の熱可塑性長繊維とが共に軟化又は溶融して、両者を接着していても良い。熱圧接区域の面積,配置数(個数密度)及び複合不織布の表面積に対する熱圧接区域の総面積の割合は、前記した熱融着区域の場合と同等程度であれば良い。なお、この熱圧接区域の位置と、不織布中の熱融着区域の位置とは、完全に又は一部重なっていても良いし、完全に分離していても良い。
【0030】
また、補強層として伸縮性熱可塑性ネットを用いた場合には、ネットの骨格部表面と不織布とを接着することによって、貼合するのが好ましい。このようにすると、ネットの非骨格部分(ネットの孔)では不織布と接着されておらず、複合不織布に十分な伸縮性や柔軟性を与えることができるからである。ネットの骨格部表面と不織布との接着は、骨格部表面を軟化又は溶融させることによって行う。この際、不織布中の熱可塑性長繊維が一部軟化又は溶融しても差し支えない。なお、伸縮性ネットの骨格部分の占有割合、孔の大きさや孔数密度等は任意で良く、例えば、通常、包装用の伸縮性ネットを好適に用いることができる。
【0031】
次に、本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布の好適な製造方法について説明する。まず、前記した熱可塑性繊維形成性重合体を準備する。単相型長繊維を得る場合は一種の重合体で良いし、複合型長繊維を得る場合は二種以上の重合体を準備する。そして、公知の溶融紡糸法で熱可塑性長繊維を得る。この際、長繊維の引取速度は3000〜6000m/分程度とするのが好ましい。引取速度が3000m/分未満であると、得られる長繊維の分子配向度が十分に増大せず、長繊維の引張強度が向上せず、機械的特性や寸法安定性に優れた不織布が得られにくくなる。一方、引取速度が6000m/分を超えると、溶融紡糸時の製糸性が低下する傾向が生じる。
【0032】
得られた長繊維は、捕集コンベア上に堆積させて繊維ウェブを形成する。この際、溶融紡糸法によって長繊維をエアーサッカー等で引き取り、直ちに捕集コンベア上に堆積させて繊維ウェブを形成する、いわゆるスパンボンド法を採用するのが好ましい。そして、この繊維ウェブに、一定の間隔を置いて配置された多数の区域で熱を与える。具体的には、繊維ウェブを、加熱された凹凸ロールと平滑ロールとよりなるエンボスロールに通すことによって、凹凸ロールの凸部先端が繊維ウェブと当接する区域に熱を与えるのが好ましい。また、加熱された一対の凹凸ロール間を通して熱を与えても良い。凹凸ロールの凸部先端は、それが繊維ウェブに当接して熱融着区域を形成するものであるから、熱融着区域の面積や配置数(個数密度)等に応じて、所定のものを採用すれば良い。また、超音波発信装置を通して、所定の多数の区域に熱を与えても良い。そして、以上のようにして熱を与えた区域において、繊維ウェブ中の熱可塑性長繊維が軟化又は溶融して、長繊維相互間が自己融着されてなる熱融着区域を形成することができるのである。
【0033】
加熱された凹凸ロールと平滑ロール間に繊維ウェブを通す場合、或いは加熱された一対の凹凸ロール間に繊維ウェブを通す場合には、凹凸ロールは熱可塑性長繊維の融点(熱可塑性長繊維が複合型繊維であるときは、その低融点重合体の融点)よりも10〜50℃程度低い温度に加熱されているのが好ましい。また、ロール間の線圧は5〜50kg/cm程度に設定されているのが好ましい。凹凸ロールの温度が、熱可塑性長繊維の融点近傍或いはそれ以上であったり、或いはロール間の線圧が50kg/cmを超えると、熱融着区域外でも長繊維相互間が融着する恐れがあり、後の熱延伸処理の際に、熱可塑性長繊維が再配列しにくくなる。その結果、幅方向に所定の伸縮性を持つ不織布が得られにくくなる恐れがある。また、凹凸ロールの温度が低すぎたり、或いはロール間の線圧が5kg/cm未満であると、熱融着区域における長繊維相互間の固定が不十分となり、寸法安定性や引張強度等の機械的物性に低下する恐れがある。
【0034】
以上のようにして、一定の間隔を置いて配置された多数の熱融着区域を持つ繊維フリースが得られる。この繊維フリースを、まず、幅方向に拡幅率が0〜50%となるように拡幅する。この拡幅は、加熱下で行うのが好ましく、40〜80℃の熱風を吹き込んだ雰囲気下で行うのが好ましい。加熱下で熱可塑性長繊維を若干可塑化させることにより、所望の拡幅率で拡幅を行いやすくなるからである。繊維フリースの幅方向への拡幅率は、5〜50%程度であるのが好ましい。拡幅率が5%未満になると、後の熱延伸処理後の不織布の目付増加が大きく、低目付不織布が得られにくくなる。しかしながら、延伸率を大きくする必要がないときや不織布の目付が大きくても差し支えないときには、拡幅率が5%未満であっても良く、更には拡幅を施さなくても良いことは言うまでもない。また、拡幅率が50%を超えると、繊維フリースが破断する恐れがある。なお、繊維フリースの拡幅率(%)は、{[(拡幅後の幅)−(拡幅前の幅)]/拡幅前の幅}×100で表されるものである。
【0035】
次いで、拡幅した繊維フリースに、その状態を維持させたまま、繊維フリースの縦方向(機械方向)に熱延伸を施す。延伸は公知の方法が用いられ、例えば、供給ロールと、供給ロールよりも速い周速度で回転する延伸ロール間で行われる。特に、繊維フリースを供給する第一ロール群、延伸を行う第二及び第三ロール群よりなる装置を用いて、複数段による延伸を行うことが効果的である。また、この延伸も加熱下で行われ、熱可塑性長繊維の融点以下の温度で行うのが好ましい。例えば、延伸ロールの表面温度を熱可塑性長繊維の融点以下の温度に設定して行ったり、延伸の際の雰囲気温度を熱可塑性長繊維の融点以下の温度に設定して行うのが好ましい。
【0036】
熱延伸の程度は、繊維フリースの縦方向における破断伸度に対して、10〜80%の延伸比とする必要があり、好ましくは40〜75%程度の延伸比とするのが良い。ここで、延伸比とは、繊維フリースの縦方向における破断伸度に対する延伸時の伸度の割合を百分率で表したものを意味している。従って、繊維フリースの縦方向における破断伸度をB%とすると、(0.1×B〜0.8×B)%、繊維フリースを縦方向に伸ばすということである。延伸比が10%未満の場合には、繊維フリース中の熱可塑性長繊維が、機械方向に十分に再配列しないので、幅方向における伸縮性が不十分となる。一方、延伸比が80%を超えると、延伸が大きすぎて、繊維フリース中の熱可塑性長繊維が破断する恐れがある。なお、繊維フリースの縦方向における破断伸度(%)は、JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて、前述した不織布の破断伸度を測定する場合と同様にして測定した。なお、繊維フリースの縦方向の破断伸度を測定するのであるから、測定に供せられる短冊状試料片の長手方向が、繊維フリースの縦方向となるようにして、試料片を採取することは言うまでもない。
【0037】
以上のようにして、繊維フリースに熱延伸を施すと、繊維フリースを構成している長繊維が、機械方向(縦方向)に再配列し、その結果、幅方向に良好な伸縮性が発現するのである。熱延伸する際、繊維フリースに形成されている熱融着区域は、一部破壊されても良いし、全く破壊されなくても良い。一般的には、長繊維の再配列に伴い、一部破壊されることが多い。しかし、この破壊は一部に留まるから、各長繊維は熱融着区域において固定された状態となっており、これによって、満足のゆく寸法安定性や引張強度等を持つ面ファスナー雌材用不織布となるのである。
【0038】
熱延伸した後、そのまま面ファスナー雌材用不織布としても良いが、好ましくは熱固定を行う。即ち、熱延伸した後、熱可塑性長繊維の融点(複合型熱可塑性長繊維の場合は、低融点重合体の融点)以下の温度雰囲気下に置いて、熱固定する。熱固定の温度は、熱延伸時の熱履歴を消去するために、延伸時に採用した温度よりも高くするのが好ましい。この熱固定は、繊維フリースを弛緩させて行っても良いし、緊張させて又は定長で行っても良い。特に、緊張又は定長で行う方が、得られた面ファスナー雌材用不織布に良好な伸縮性を付与することができるため好ましい。
【0039】
次いで、面ファスナー雌材用不織布に補強層を貼合して、面ファスナー雌材用複合不織布とする。補強層を貼合する方法としては、以下の如き方法を採用するのが好ましい。即ち、得られた面ファスナー雌材用不織布に、予め準備した伸縮性熱可塑性シートを積層する。この積層は、不織布とシートとの二層積層であっても良いし、シートの両面に面ファスナー雌材用不織布を積層する三層積層であっても良い。そして、この積層物を、加熱凹凸ロールと平滑ロールとよりなるエンボスロールを通す。加熱凹凸ロールの温度は、不織布中の熱可塑性長繊維の融点及び伸縮性熱可塑性シートの融点以下の温度となっている。一般的には、伸縮性熱可塑性シートの融点の方が、熱可塑性長繊維の融点よりも低いので、伸縮性熱可塑性シートの融点を基準として、その融点以下の温度に加熱された凹凸ロールを用いれば良い。エンボスロールに積層物を通すと、加熱凹凸ロールの凸部が一定の線圧で積層物に当接し、その当接区域(熱圧接区域)において、少なくとも伸縮性熱可塑性シートが軟化又は溶融する。そして、この軟化又は溶融によって、伸縮性熱可塑性シートと面ファスナー雌材用不織布とが接着するのである。以上の方法で、凹凸ロールの凸部に対応する箇所が熱圧接区域となって面ファスナー雌材用複合不織布が得られる。この複合不織布は、熱圧接区域で伸縮性熱可塑性シートと不織布とが接着しており、熱圧接区域外の区域では、両者が接着することなく、貼合されたものであり、柔軟性及び伸縮性に優れたものである。なお、凹凸ロールとしては、多数の熱圧接区域を形成できればどのようなものでも良いが、例えば、繊維ウェブに熱融着区域を形成する際に使用したのと同様の仕様の凹凸ロールを用いれば便利である。
【0040】
また、伸縮性熱可塑性ネットを予め準備しておき、このネットと面ファスナー雌材用不織布を積層する。この積層も、不織布とネットとの二層積層であっても良いし、ネットの両面に不織布を積層する三層積層であっても良い。そして、この積層物を、加熱平滑ロールと平滑ロールとよりなるカレンダーロールに通す。加熱平滑ロールは、不織布中の熱可塑性長繊維の融点及び伸縮性熱可塑性ネットの融点以下の温度となっている。もう一方の平滑ロールは、室温であっても加熱されていても良い。加熱されている場合は、加熱平滑ロールと同等程度の温度であるのが好ましい。カレンダーロールに積層物を通すと、加熱平滑ロールの熱及びカレンダーロール間の線圧によって、伸縮性熱可塑性ネットの骨格部表面が軟化又は溶融し、不織布と接触している面で接着する。以上の方法で、伸縮性熱可塑性ネットと不織布とが貼合された複合不織布が得られる。この複合不織布は、ネットの骨格部表面と不織布とが接着しており、骨格部外の区域(孔の区域)は、不織布のみからなるものであり、これによって、良好な柔軟性及び伸縮性が得られる。なお、カレンダーロールを構成する平滑ロール、或いはエンボスロールの一方のロールを構成する平滑ロールとしては、金属ロール,ゴムロール,コットンロール,ペーパーロール等を用いることができる。また、ロールとロールに沿わせて移動するフェルト状のベルトを、平滑ロールとして用いても良い。
【0041】
本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布は、所定の大きさに裁断され、使い捨ておむつの前側に縫着されて使用される。また、本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布を素材として用い、前側に不織布素材が位置するようにして使い捨ておむつを製造しても良い。また、使い捨ておむつだけではなく、手術着等の衣料品や包装資材等にも適宜用いられる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、実施例における各種特性値のうち、繊維フリースの縦方向の破断伸度,不織布の幅方向の破断伸度[EC(%)],不織布の縦方向(機械方向)の破断伸度,不織布の伸長回復率[EEC(50)(%)],複合不織布の幅方向の破断伸度[LEC(%)],複合不織布の歪率[LECC(80)(%)]及び複合不織布の剥離強力(kg/5cm)は、前記したとおりであり、その他の特性値は、以下のとおりである。
【0043】
(1)融点(℃):パーキンエルマ社製示差装置型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(2)メルトフローレート(g/10分):ASTM−D−1238(L)に記載の方法に準拠して測定した。
(3)相対粘度:フェノールと四塩化エタンの等重量混合液を溶媒とし、この溶媒10ccに試料0.5gを溶解し、温度20℃の条件で常法により測定した。
(4)メルトインデックス:ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準拠して測定した。
(5)不織布の目付(g/m2):標準状態の試料から、縦10cm×横10cmの試料片を10点準備し、平衡水分率に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積(m2)当りに換算して目付(g/m2)とした。
【0044】
(6)圧縮剛軟度(g):試料長が10cm,試料幅が5cmの試料片計5点を準備し、各試料片毎に、横方向(試料幅の方向)に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合したものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各測定試料毎に、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロン,UTM−4−1−100)を用い、圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重値(g)の平均値を圧縮剛軟度(g)とした。
(7)通気性(cc/cm2・sec):JIS L 1096に記載のフラジール法により測定した。
(8)引張強力(kg/5cm幅):破断伸度(%)の測定方法と同一の方法で測定し、試料片破断時の荷重値の平均値を引張強力とした。なお、不織布の縦方向の引張強力を測定するときは、試料片の長手方向が不織布の縦方向となるようにした。また、複合不織布の縦方向の引張強力を測定するときも、試料片の長手方向が複合不織布中の不織布の縦方向となるようにした。
【0045】
(9)面ファスナー雄材との接合性:市販のフック形状の面ファスナー雄材を用いて、面ファスナー雌材用不織布を接合させ、10人のパネラーにより下記の判定を行い、その平均値を接合性として評価した。なお、市販の面ファスナー雄材は、マッシュルーム状の突起が密度150個/cm2の割合で配されたプラスチックシートよりなるものである。マッシュルーム状の突起の各々は、茎部と頭部とよりなり、茎部の径は0.22mmで茎部の長さ(高さ)は0.16mmであり、頭部の径は0.38mmで頭部の長さ(高さ)は0.17mmである。
記
4級………極めて良好に接合し、外れにくいものであった。
3級………良好に接合し、外れにくいものであった。
2級………ある程度接合するが、外れやすいものであった。
1級………殆ど接合しないものであった。
【0046】
参考例1
融点258℃で相対粘度が1.38のポリエチレンテレフタレート重合体を用い、公知のスパンボンド法を適用して、繊度2.5デニールのポリエチレンテレフタレート長繊維を捕集コンベア上に堆積させて、目付25g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、235℃に加熱された凹凸ロールと235℃に加熱された平滑ロールの間に導入した。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維ウェブの区域のみが加熱され、その区域におけるポリエチレンテレフタレート長繊維が軟化又は溶融し、長繊維相互間が融着された繊維フリースが得られた。長繊維相互間が融着された熱融着区域の各々の面積は0.6mm2であり、繊維フリース中における熱融着区域の密度は20個/cm2であり、また熱融着区域の総面積は繊維フリース表面積に対して12%であった。また、この繊維フリースの縦方向の破断伸度は28.4%であった。なお、この繊維フリースの通気性を測定したところ、526cc/cm2・secであった。
【0047】
次いで、この繊維フリースを公知の延伸機に導入し、表面温度100℃に加熱された供給ロールおよび表面温度170℃に加熱された延伸ロールにより、延伸比60%の条件で、縦方向に熱延伸した。そして、熱延伸後の繊維フリースを、表面温度245℃のヒートドラムに導入し、熱処理(熱固定)を行い、面ファスナー雌材用不織布を得た。この面ファスナー雌材用不織布の幅方向の破断伸度[EC(%)]や伸長回復率[EEC(50)(%)]等を測定した結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の結果からも分かるように、この面ファスナー雌材用不織布は、伸縮性及び柔軟性に優れ、雄材との接合性も良好である。また、この面ファスナー雌材用不織布の縦方向の破断伸度は11.2%であることから、幅方向に良好な伸縮性を持ち、縦方向には十分に伸縮しないものであることも分かる。
【0050】
参考例2
延伸比を20%とする他は、参考例1と同様の方法で面ファスナー雌材用不織布を得た。この不織布の物性を表1に示した。
【0051】
参考例3
延伸比を45%とする他は、参考例1と同様の方法で面ファスナー雌材用不織布を得た。この不織布の物性を表1に示した。
【0052】
参考例4
融点160℃でメルトフローレート値20g/10分のポリプロピレン重合体を用い、公知のスパンボンド法を適用して、繊度3デニールのポリプロピレン長繊維を捕集コンベア上に堆積させて、目付35.5g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、145℃に加熱された凹凸ロールと145℃に加熱された平滑ロールの間に導入した。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維ウェブの区域のみが加熱され、その区域におけるポリプロピレン長繊維が軟化又は溶融し、長繊維相互間が融着された繊維フリースが得られた。長繊維相互間が融着された熱融着区域の各々の面積は0.6mm2であり、繊維フリース中における熱融着区域の密度は20個/cm2であり、また熱融着区域の総面積は繊維フリース表面積に対して12%であった。また、この繊維フリースの縦方向の破断伸度は58.5%であった。なお、この繊維フリースの通気性を測定したところ、387cc/cm2・secであった。
【0053】
次いで、この繊維フリースを公知の延伸機に導入し、表面温度60℃に加熱された供給ロールおよび表面温度80℃に加熱された延伸ロールにより、延伸比75%の条件で、縦方向に熱延伸した。そして、熱延伸処理後の繊維フリースを、表面温度145℃のヒートドラムに導入し、熱処理(熱固定)を行い、面ファスナー雌材用不織布を得、この物性を表1に示した。
【0054】
実施例5
芯成分として融点258℃で相対粘度1.38のポリエチレンテレフタレート重合体を用い、鞘成分として融点128℃でメルトインデックス値25g/10分のポリエチレン重合体を用い、公知のスパンボンド法を適用して、繊度2.2デニールの芯鞘型複合長繊維を捕集コンベア上に堆積させて、目付20g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、125℃に加熱された凹凸ロールと125℃に加熱された平滑ロールの間に導入した。なお、この際、凹凸ロールと平滑ロール間の線圧は10kg/cmとした。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維ウェブの区域のみが加熱され、その区域において鞘成分であるポリエチレン重合体が軟化又は溶融し、長繊維相互間が融着された繊維フリースが得られた。長繊維相互間が融着された熱融着区域の各々の面積は0.8mm2であり、繊維フリース中における熱融着区域の密度は16個/cm2であり、また熱融着区域の総面積は繊維フリース表面積に対して13%であった。また、この繊維フリースの縦方向の破断伸度は56.8%であった。
【0055】
次いで、この繊維フリースを公知の延伸機に導入し、表面温度70℃に加熱された供給ロールおよび表面温度100℃に加熱された延伸ロールにより、延伸比75%の条件で、縦方向に熱延伸した。そして、熱延伸後の繊維フリースを、表面温度125℃のヒートドラムに導入し、熱処理(熱固定)を行い、長繊維不織布を得た。この長繊維不織布の幅方向の破断伸度[EC(%)]や伸長回復率[EEC(50)(%)]等を測定した結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
一方、ポリブタジエンを主成分とする伸縮性熱可塑性シートを準備した。この伸縮性シートは、目付20g/m2、幅方向の破断伸度980%、機械方向(縦方向)の破断伸度720%のものであった。なお、伸縮性シートの幅方向或いは機械方向の意味は、不織布の幅方向或いは機械方向と同様の意味であり、伸縮性シートの生産工程において、機械が配置されている方向を機械方向と言い、この方向と直交する方向を幅方向と言っている。また、伸縮性シートの破断伸度の測定方法も、不織布の破断伸度の測定方法と同一である。
【0058】
次いで、長繊維不織布と伸縮性シートとを積層し、この積層物を80℃に加熱された凹凸ロールと80℃に加熱された平滑ロールの間に導入した。長繊維不織布と伸縮性シートとは、各々の幅方向同士が一致する状態で積層した。また、凹凸ロールと平滑ロール間の線圧は15kg/cmとした。凹凸ロールの凸部は16個/cm2の密度で配されており、凹凸ロール表面における凸部の占有面積の割合は12.6%であった。積層物を凹凸ロールと平滑ロールとの間に通した結果、凹凸ロールの凸部に当接した伸縮性シートの区域が加熱されて軟化し、その熱圧接区域において伸縮性シートと長繊維不織布とが接着され、非熱圧接区域においては伸縮性シートと長繊維不織布とは接着されなかった。以上のようにして、熱圧接区域で伸縮性シートと長繊維不織布とを接着し、両者を貼合して面ファスナー雌材用複合不織布を得た。複合不織布の幅方向の破断伸度[LEC(%)]や複合不織布の歪率[LECC(80)(%)]等の複合不織布の各種物性は、表3に示した通りであった。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例6
伸縮性熱可塑性シートに代えて伸縮性熱可塑性ネットを用い、且つ、凹凸ロールに代えて平滑ロールを用いる他は、実施例5と同様の方法で面ファスナー雌材用複合不織布を得た。この方法により、伸縮性ネットの骨格部表面が軟化又は溶融し、これによって、伸縮性ネットと長繊維不織布とが良好に貼合された。なお、伸縮性ネットは、目付が18g/m2で、ネットの骨格部の幅が2mmであり、6本/25mmの割合で骨格部を有するものを用いた。また、この伸縮性ネットの幅方向の破断伸度は780%であり、機械方向の破断伸度は660%であった。得られた複合不織布の各種物性は、表3に示した通りであった。なお、この面ファスナー雌材用複合不織布は、通気性が460cc/cm2・secであり、良好な通気性を持つものであり、人体に直接接触する箇所に用いても、汗蒸れ等が生じにくいものであった。
【0061】
実施例7
延伸比を25%とする他は、実施例5と同様の方法で面ファスナー雌材用複合不織布を得た。但し、使用する伸縮性熱可塑性シートについては、目付25g/m2、幅方向の破断伸度860%、機械方向(縦方向)の破断伸度680%のものを採用した。得られた長繊維不織布の各種物性は表2に示したとおりであり、得られた複合不織布の各種物性は表3に示したとおりであった。
【0062】
実施例8
延伸比を50%とする他は、実施例5と同様の方法で面ファスナー雌材用複合不織布を得た。但し、使用する伸縮性熱可塑性シートについては、目付25g/m2、幅方向の破断伸度860%、機械方向(縦方向)の破断伸度680%のものを採用した。得られた長繊維不織布の各種物性は表2に示したとおりであり、得られた複合不織布の各種物性は表3に示したとおりであった。
【0063】
比較例1
参考例1で得られた繊維フリースを、そのまま面ファスナー雌材用不織布とした。しかしながら、この面ファスナー雌材用不織布は、満足のゆく伸縮性を持つものではなかった。
【0064】
比較例2
実施例5で得られた繊維フリースと、実施例6で用いた伸縮性熱可塑性ネットとを積層し、この積層物を実施例6の方法で貼合して面ファスナー雌材用複合不織布を得た。しかしながら、この面ファスナー雌材用複合不織布は、満足のゆく伸縮性を持つものではなかった。
【0065】
比較例3
凹凸ロールに代えて平滑ロールを用いる他は、実施例5と同様の方法で面ファスナー雌材用複合不織布を得た。この複合不織布は、伸縮性熱可塑性シートと長繊維不織布とが全面に亙って接着していると共に、伸縮性シートが熱硬化しており、満足のゆく伸縮性を持つものではなかった。また、長繊維不織布の熱融着区域外の区域における長繊維が、伸縮性シートと接着しており、長繊維の自由度が失われ、面ファスナー雄材との接合性も不良であった。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布は、その幅方向に良好な伸縮性を発揮し、幅方向に伸長したときには縦方向の長さが短くなるものである。また、面ファスナー雌材用不織布中には、長繊維が固定されている熱融着区域が、一定の間隔を置いて多数配置されている。従って、幅方向に伸長したときでも、熱融着区域で長繊維が固定されており、且つ、縦方向にその長さが縮小するため、繊維密度の低下が防止でき、繊維間隙が大きくなりすぎるのを防止しうる。依って、面ファスナー雌材用複合不織布が伸長状態であっても、繊維間隙に良好に面ファスナー雄材の突起を埋め込むことができるため、雄材と雌材との強固な接合を得ることができる。
【0067】
また、本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布は、良好な伸縮性を持っているため、伸縮性が必要とされる箇所、例えば、使い捨ておむつの前側に適用するのに適している。このような箇所に適用した場合、呼吸や寝返りによって、使い捨ておむつの前側が伸長しても、この伸長に面ファスナー雌材用複合不織布が、雄材と接合していない箇所において追随することができる。従って、雄材との接合部に大きな外力が負荷されにくく、雄材との接合が外れにくいという効果を奏する。なお、本発明に係る面ファスナー雌材用複合不織布は、伸縮性が必要とされない箇所に用いても差し支えないことは、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維フリース中の繊維形状を示した顕微鏡写真(倍率30倍)である。
【図2】面ファスナー雌材用不織布中の繊維形状を示した顕微鏡写真(倍率30倍)である。
Claims (11)
- 面ファスナー雌材用不織布の片面に、補強層が貼合されてなる面ファスナー雌材用複合不織布であって、
前記面ファスナー雌材用不織布は、多数の熱可塑性長繊維が集積されてなり、該長繊維相互間は、一定の間隔を置いて配置された多数の熱融着区域において、該長繊維自体の軟化又は溶融による自己融着によって固定されてなり、且つ、幅方向において下記式(1)及び(2)を同時に満足し、該幅方向に伸長したとき、該幅方向と直交する方向ではその長さが縮小するものであり、
記
EC≧80% ………(1)
EEC(50)≧60% ………(2)
(但し、ECは不織布の幅方向の破断伸度であり、EEC(50)は不織布を幅方向に50%伸長した時の伸長回復率である。)
前記補強層の幅方向の破断伸度は、前記不織布のECよりも大きな値を持ち、且つ前記補強層を幅方向に50%伸長した時の伸長回復率は、前記不織布のEEC(50)よりも大きな値を持つ
ことを特徴とする面ファスナー雌材用複合不織布。 - 熱可塑性長繊維として、芯成分が芳香族ポリエステルで鞘成分がポリオレフィンである芯鞘型複合長繊維を用い、該複合長繊維相互間は、該鞘成分の軟化又は溶融による自己融着によって固定されている請求項1記載の面ファスナー雌材用複合不織布。
- 下記式(3)及び(4)を同時に満足する請求項1又は2記載の面ファスナー雌材用複合不織布。
記
LEC≧150% ………(3)
LECC(80)≦20% ………(4)
(但し、LECは複合不織布の幅方向の破断伸度であり、LECC(80)は複合不織布を幅方向に80%伸長し、この伸長を解除した後において、複合不織布に残留する歪率である。) - 補強層が伸縮性シート又は伸縮性ネットである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の面ファスナー雌材用複合不織布。
- 補強層と面ファスナー雌材用不織布との剥離強力が150g/5cm幅以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の面ファスナー雌材用複合不織布。
- 補強層が伸縮性熱可塑性シートであり、該伸縮性熱可塑性シートと面ファスナー雌材用不織布とは、多数の熱圧接区域で接着されることにより貼合されており、該熱圧接区域においては、少なくとも該伸縮性熱可塑性シートの軟化又は溶融によって、該面ファスナー雌材用不織布と該伸縮性熱可塑性シートとが接着されている請求項4記載の面ファスナー雌材用複合不織布。
- 補強層が伸縮性熱可塑性ネットであり、該伸縮性熱可塑性ネットと該面ファスナー雌材用不織布とは、該伸縮性熱可塑性ネットの骨格部表面の軟化又は溶融による接着によって貼合されている請求項4記載の面ファスナー雌材用複合不織布。
- 多数の熱可塑性長繊維を、捕集コンベア上に堆積させて繊維ウェブを形成し、該繊維ウェブに、一定の間隔を置いて配置された多数の区域で熱を与え、該区域において該熱可塑性長繊維を軟化又は溶融させることによって、該熱可塑性長繊維相互間が自己融着されてなる熱融着区域を持つ繊維フリースを得た後、該繊維フリースを幅方向に拡幅率0〜50%となるように拡幅した状態で、縦方向に該繊維フリースを10〜80%の延伸比で熱延伸して、面ファスナー雌材用不織布を得た後、
該面ファスナー雌材用不織布の片面に補強層を貼合する
ことを特徴とする請求項1記載の面ファスナー雌材用複合不織布の製造方法。 - 熱延伸した後、熱可塑性長繊維の融点以下の温度で熱固定する請求項8記載の面ファスナー雌材用複合不織布の製造方法。
- 補強層として伸縮性熱可塑性シートを採用し、該伸縮性熱可塑性シートと面ファスナー雌材用不織布との積層物を、加熱凹凸ロールと平滑ロールとの間に通し、該加熱凹凸ロールの凸部が当接した区域を熱圧接区域として、該伸縮性熱可塑性シートと該面ファスナー雌材用不織布とを貼合する請求項8記載の面ファスナー雌材用複合不織布の製造方法。
- 補強層として伸縮性熱可塑性ネットを採用し、該伸縮性熱可塑性ネットと面ファスナー雌材用不織布との積層物を、加熱平滑ロールと平滑ロールとの間を通し、該伸縮性熱可塑性ネットの骨格部表面を軟化又は溶融させて、該伸縮性熱可塑性ネットと該面ファスナー雌材用不織布とを貼合する請求項8記載の面ファスナー雌材用複合不織布の製造方法。
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