JP3580626B2 - 面ファスナ用不織布およびその製造方法 - Google Patents
面ファスナ用不織布およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3580626B2 JP3580626B2 JP443096A JP443096A JP3580626B2 JP 3580626 B2 JP3580626 B2 JP 3580626B2 JP 443096 A JP443096 A JP 443096A JP 443096 A JP443096 A JP 443096A JP 3580626 B2 JP3580626 B2 JP 3580626B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- web layer
- nonwoven web
- hook
- long
- fiber nonwoven
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Slide Fasteners, Snap Fasteners, And Hook Fasteners (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フック部を有する雄材に対して着脱自在に接合できる面ファスナ用不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、面ファスナは、突起部分が屈曲してなるフック部を有する雄材とループが形成された雌材とを、それぞれ、接合させようとする二つの面にあらかじめ接着あるいは縫製により固定させておき、この雄材のフック部を雌材のループに引っ掛けることにより脱着自在に接合させるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の面ファスナでは、例えばカーテンの接続やジャケットへのフードカバーの取り付けのように対で用いる場合、または、例えば布団カバーの出し入れ口やカバンのふたの止め具のように雄材および雌材を固定する箇所が限定される場合には便利であったが、例えば電車や飛行機の座席にヘッドレストカバーを取り付ける場合のように接合する一方の箇所が不特定である場合や、ベルトの止め具のように接合する箇所を任意に変化させ得る自由度が要求される場合の用途には対応できないという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題を解決するもので、面ファスナの雌材を不織布で構成するとともにこの不織布表面の任意の箇所に面ファスナ雄材を接合させることができ、したがって、この雄材を取り付けるべき接合対象の特定箇所にこの雄材を固定するだけで面ファスナとしての機能をなし、使用目的に適宜対応できる面ファスナ用不織布を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の面ファスナ用不織布は、長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが積層されてなる面ファスナ用不織布であって、長繊維不織ウエブ層が分割型複合長繊維により形成されており、かつ長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡するとともに短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が三次元的に交絡しており、かつ面積0.5〜3.0mm2 の孔が配設密度15〜60個/cm2 で少なくとも長繊維不織ウエブ層の表面に配設されてなることを要旨とする。
【0006】
さらに、本発明の面ファスナ用不織布は、分割型複合長繊維が、互いに非相溶性を示す二成分の熱可塑性重合体からなることを要旨とする。
【0007】
また、本発明の面ファスナ用不織布の製造方法は、分割型複合長繊維により長繊維不織ウエブ層を形成し、この長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とを積層して積層不織ウエブを形成し、次いでこの積層不織ウエブを移動する10〜20メッシュの多孔性支持板上に載置して加圧液体流処理を施し、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡させるとともに短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させ、同時に、積層不織ウエブに面積0.5〜3.0mm2 の孔を配設密度15〜60個/cm2 で設けることを要旨とする。
【0008】
以上のように、本発明の面ファスナ用不織布は、10〜20メッシュ(10〜20本/1インチ)のネットからなる多孔性支持板を用いて加圧液体流処理を施すことによって、面積0.5〜3.0mm2 の孔が配設密度15〜60個/cm2 で配設されてなることから、面ファスナとして用いた際にこの孔が雌材のループの働きをなし、雄材のフック部がこの孔に引っ掛かることによって、着脱自在に接合させることができるものである。
【0009】
また、本発明の面ファスナ用不織布は、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡するとともに短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が三次元的に交絡することにより全体として一体化された不織布であるので、面ファスナ用の布帛として好適な柔軟性を具備し得るものである。
【0010】
さらに、本発明の面ファスナ用不織布は分割型複合長繊維から形成されてなることから、加圧液体流処理の際に構成繊維が細い割繊糸に分割され、多数本の極細繊維となるため、特に柔軟性、機械的特性に優れ、面ファスナ用不織布として好適なものとなる。
【0011】
本発明によれば、不織布の表面全体にわたりループに代わる孔を備えて面ファスナの雌材として機能し得ることから、不織布の任意の箇所に面ファスナ雄材を接合させることができ、したがって、この雄材を取り付けるべき接合対象の特定箇所にこの雄材を固定するだけで面ファスナとしての機能をなし、使用目的に適宜対応できる面ファスナ用不織布を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の面ファスナ用不織布について詳細に説明する。
本発明に適用される長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は、繊維形成性を有するポリオレフィン系重合体、ポリエステル系重合体、またはポリアミド系重合体から選択される2種以上の重合体からなるものである。
【0013】
ポリオレフィン系重合体としては、炭素原子数2〜18の脂肪族α−モノオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ドデセン、1−オクタデセンからなるホモポリオレフィン重合体が挙げられる。この脂肪族α−モノオレフィンは、他のエチレン系不飽和モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、スチレン、α−メチルスチレンのような類似のエチレン系不飽和モノマーが共重合されたポリオレフィン系共重合体であっても良い。また、ポリエチレン系重合体の場合には、エチレンに対してプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたは類似の高級α−オレフィンが10重量%以下の範囲で共重合されたものであっても良く、ポリプロピレン系重合体の場合には、プロピレンに対してエチレンまたは類似の高級α−オレフィンが10重量%以下の範囲で共重合されたものであっても良い。但し、このとき、これらの共重合物の共重合率が前記の範囲を超えると、共重合体の融点が低下し、これら共重合体からなる不織布を高温条件下で使用したときに、機械的特性や寸法安定性が低下するので好ましくない。
【0014】
ポリエステル系重合体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、あるいはアジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類を酸成分とし、かつ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどのジオール化合物をアルコール成分とするホモポリエステル重合体あるいはこれらの共重合体が挙げられる。なお、これらのポリエステル系重合体には、パラオキシ安息香酸、5−ソジウムスルホイソフタール酸、ポリアルキレングリコール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAなどが添加あるいは共重合されていても良い。
【0015】
ポリアミド系重合体としては、ポリイミノ−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカナミド,ポリビスシクロヘキシルメタンデカナミドまたはこれらのモノマーを構成単位とするポリアミド系共重合体が挙げられる。特に、ポリテトラメチレンアジパミドを適用する場合、ポリカプラミドやポリヘキサメチレンアジパミド、ポリウンデカメチレンテレフタラミドなどの他のポリアミド成分が30モル%以下の範囲で共重合されたポリテトラメチレンアジパミド系共重合体であっても良い。但し、このとき、他のポリアミド成分の共重合率が30モル%を超えると、共重合体の融点が低下し、これら共重合体からなる不織布を高温条件下で使用したときに、機械的特性や寸法安定性が低下するので好ましくない。
【0016】
なお、本発明において、長繊維不織ウエブ層を構成する前記重合体には、必要に応じて、例えば艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加することができる。
【0017】
本発明に適用される長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は分割型複合断面でなければならない。長繊維を分割型複合断面とすることにより、加圧液体流処理の際に構成繊維が細い割繊糸に分割されて多数本の極細繊維となるため、得られる不織布の柔軟性が特に向上し、また効率良く三次元的交絡が形成し得ることから機械的特性にも優れ、面ファスナ用不織布として好適なものとなる。ここで、分割型複合断面とは、相異なる二成分が隣接して存在するよう配置した断面をいい、例えば、一つの芯部の周囲にこれよりも小さい複数の葉部が配された多葉型複合断面や、二成分が互いに細かく分断されるように交互に配された交互配列型複合断面等が挙げられる。
【0018】
このような分割型複合断面の糸は、加圧液体流のような外力を受けると、二成分の隣接部分が割れることにより各成分毎に分割されて細繊度の割繊糸となる。これは、相異なる二成分は基本的に混じり合わず、それぞれに異なるフィラメントを形成していると考えられるためであり、従って、本発明のごとく分割型複合断面とする場合には、前記の熱可塑性重合体のうち、互いに非相溶性を示す二成分を選択することが好ましい。
【0019】
本発明において、長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は、単繊維繊度が1.5〜10.0デニールであることが好ましい。単繊維繊度が1.5デニール未満であると、得られた面ファスナ用不織布の機械的特性が低下したり、溶融紡糸工程において製糸性が低下したりし、しかも、面ファスナ雄材との剥離を繰り返すことによって毛羽が生じ易くなり、雄材との接合力が劣る傾向にあるので好ましくない。一方、単繊維繊度が10.0デニールを超えると、得られた面ファスナ用不織布の風合いが硬くなって、柔軟性が低下する傾向にあるので好ましくない。したがって、本発明では、この単繊維繊度が1.5〜10.0デニール、好ましくは2.0〜8.0デニールであるのが良い。
【0020】
本発明において、長繊維不織ウエブ層は、その目付けが10〜60g/m2 であるのが好ましい。目付けが10g/m2 未満であると、長繊維同士の緻密な重なりの程度が低く、この長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層を積層して得られる不織布の地合いが低下するので好ましくない。一方、目付けが60g/m2 を超えると、この長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層を積層して加圧液体流処理を施すに際して、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが三次元的に十分に交絡せず、このため全体としての一体化がなされないため、得られた面ファスナ用不織布から面ファスナ雄材を剥離する際に層間剥離を起こしやすくなるので好ましくない。したがって、長繊維不織ウエブ層の目付けは10〜40g/m2 であるのが特に好ましい。
【0021】
本発明に適用される短繊維不織ウエブ層を構成する短繊維としては、木綿に代表される天然繊維、パルプから得られる再生繊維のほか熱可塑性重合体から得られる短繊維等が挙げられる。
【0022】
本発明において、木綿繊維としては、晒しの施されていないコーマ糸、晒し加工の施された晒し綿等のほか、木綿の糸、織物または編物等から得られた反毛を用いることができる。ここで、反毛を効果的に得ることができる反毛機としては、ラッグ・マシン、ノット・ブレイカー、ガーネット・マシン、廻切機などがある。用いる反毛機の種類や組合せは、反毛される布帛の形状や、構成する糸の太さや撚りの強さなどにもよるが、同一の反毛機を複数台直列に連結させたり、2種以上の反毛機の組合を用いたりすると効果的である。この反毛機による解繊率は50〜95%の範囲が好ましい。解繊率が50%未満であると、カードウエブ中に未解繊繊維が存在し、不織布表面にザラツキが生じるばかりか、交絡処理の際の加圧液体流がウエブを十分に貫通せずに、短繊維不織ウエブ層の構成繊維相互の交絡が不十分となったり、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維との相互の交絡が不十分となって、長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが簡単に剥離し易くなり好ましくない。一方、解繊率が95%を超えると、十分な不織布摩擦強度が得られないので、好ましくない。なお、反毛の解繊率は下記の式により求められる。
解繊率(%)=(反毛重量−未解繊物重量)×100/反毛重量
【0023】
木綿より得られる反毛の素材としては、晒し綿よりなる織・編物や布帛のほか、染色・プリントの施されたもの、また蛍光処理の施された織・編物等も用いることができる。
【0024】
本発明において、パルプより得られる再生繊維としては、ビスコースレーヨン、酢酸セルロースレーヨンのほか、溶剤紡出されたレーヨンであるリヨセル等が用いられる。
【0025】
本発明において、熱可塑性重合体からなる短繊維とは、長繊維不織ウエブ層を形成する長繊維を構成する熱可塑性合成重合体と同様の前記重合体からなるものである。
【0026】
本発明における短繊維不織ウエブ層としては、前記短繊維素材からなるパラレルカードウエブやランダムカードウエブやクロスレイドウエブ等を挙げることができる。ここで、短繊維素材としては、前記の中から選択された単一素材からなるもののほかに、複数種の素材が混合されてなるものであっても良い。また、この短繊維不織ウエブ層は長繊維不織ウエブ層と同一素材からなるものを採用することもできる。
【0027】
この短繊維不織ウエブ層は、その目付けが10〜60g/m2 であるのが好ましい。目付けが10g/m2 未満であると、積層不織ウエブとしたときの形態保持性が低下するので好ましくない。一方、目付けが60g/m2 を超えると、長繊維不織ウエブ層の構成繊維とこの短繊維不織ウエブ層の構成繊維との三次元的交絡およびこの短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士の三次元的交絡がいずれも十分に形成されず、面ファスナ雄材との剥離を繰り返すことにより、長繊維不織ウエブ層表面の構成繊維が剥離して毛羽立ったものとなり、雄材との接合力が劣ることとなり好ましくない。
【0028】
本発明の不織布は、前記長繊維不織ウエブ層に前記短繊維不織ウエブ層が積層され、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡し、かつ短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が三次元的に交絡してなるものである。このような構成において、短繊維不織ウエブ層は主として基布として機能し、長繊維不織ウエブ層は主として雄材のフック部を引っ掛けるための引っ掛かり部として機能する。例えば、短繊維不織ウエブ層を引っ掛かり部としてフック部と引っ掛けた場合、短繊維に毛羽立ちが生じ、得られる不織布は繰り返しの脱着に耐えないものとなる。
【0029】
本発明においては、このような面ファスナ用布帛として好適な不織布に、面積0.5〜3.0mm2 の孔を配設密度15〜60個/cm2 で少なくとも長繊維不織ウエブ層の表面に配設されていることが重要である。この孔は、後述する加圧液体流処理によって、構成繊維間を三次元的に交絡させるのと同時に、形成されるものである。このような孔が多数存在することにより、本発明の不織布を面ファスナとして用いた際にこの孔が雄材のフック部を引っ掛ける対象として機能し、雄材のフック部がこの孔に引っ掛かることによって、着脱自在に接合させることができるのである。また、この孔は少なくとも長繊維不織ウエブ層の表面に設けられ、長繊維不織ウエブ層側にフック部が引っ掛かることから、前述のように、引っ掛かり部としてフック部と引っ掛けた場合に毛羽立ちを生じることもない。
【0030】
ここで、一つの孔の面積は0.5〜3.0mm2 でなければならない。この面積が0.5mm2 未満であると、孔が小さすぎるために雄材のフック部がこの孔に引っ掛かりにくく、一方、この面積が3.0mm2 を超えると、孔が大きくなりすぎるために雄材のフック部は引っ掛かるものの接合力が弱く、いずれも面ファスナとしての十分な接合力を具備し得ないこととなる。
【0031】
また、孔の配設密度は、15〜60個/cm2 でなければならない。孔の配設密度が15個/cm2 未満であると、雄材のフック部がこの孔に引っ掛かる確率が低くなるため、面ファスナとして接合し難くなり、一方、孔の配設密度が60個/cm2 を超えると、不織布としての形態安定性を損なうこととなり、いずれも好ましくない。
【0032】
なお、孔が不織布を完全に貫通しているか否か、あるいは貫通していない場合の孔の深さについては、雄材のフック部の引っ掛かりが可能である限り特に制限はない。
【0033】
次に、本発明の面ファスナ用不織布の製造方法について説明する。
本発明の不織布は、例えばスパンボンド法により形成した分割型複合長繊維からなる長繊維不織ウエブ層に、常法により得られる短繊維不織ウエブ層を積層して積層不織ウエブを構成し、この積層不織ウエブを移動する10〜20メッシュのネットからなる多孔性支持板上に載置して加圧液体流処理を施し、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡させ、かつ短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて全体として一体化させると同時に、積層不織ウエブに面積0.5〜3.0mm2 の孔を配設密度15〜60個/cm2 で設けることにより、効率良く製造することができる。
【0034】
詳しくは、まず、長繊維不織ウエブ層をスパンボンド法で製造する。すなわち、前述の繊維形成性を有するポリオレフイン系重合体、ポリエステル系重合体またはポリアミド系重合体から選択される2種以上の重合体を溶融し、これを複合紡糸口金を通して紡出し、紡出されたポリマー流を冷却した後、エアサッカー等の引取り手段を用いて牽引し、開繊し、移動する捕集面上に捕集・堆積させて、単繊維繊度が1.5〜8.0デニールの分割型複合断面を有する単繊維からなる長繊維不織ウエブ層とする。
【0035】
引取り手段を用いて牽引するに際しては、引取り速度を3000〜6000m/分とするのが好ましい。引取り速度が3000m/分未満であると、長繊維の分子配向度が十分に増大しないため得られたウエブの機械的特性や寸法安定性が向上せず、一方、引取り速度が6000m/分を超えると、溶融紡糸時の製糸性が低下するため、いずれも好ましくない。
【0036】
本発明においては、長繊維不織ウエブ層に、積層前にあらかじめ部分的な熱圧接を施しておくことが好ましい。これにより、この長繊維不織ウエブ層を短繊維不織ウエブ層に積層して加圧液体流処理を施す際に、長繊維不織ウエブ層の形態を良好に保持させることができ、また得られる不織布の機械的強度にも優れることとなる。また、長繊維不織ウエブ層に形成された熱接着点のうち少なくとも一部は、後に施される加圧液体流処理によって剥離されることから、得られる不織布の柔軟性を損なうこともない。
【0037】
ここで、部分的な熱圧接とは、表面に彫刻模様が刻印された加熱状態のロールすなわちエンボスロールと、表面が平滑な加熱状態の金属ロールとの間にウエブを通すことにより、前記彫刻模様に該当する部分のウエブ構成繊維同士を熱的に接着させることをいう。
【0038】
さらに詳しくは、この部分的な熱圧接が行われた箇所は、長繊維不織ウエブ層の全表面積に対して特定の領域を有する。すなわち、個々の熱圧接領域は、必ずしも円形の形状である必要はないが、0.1〜1.0mm2 の面積を有し、その密度すなわち圧接点密度が2〜80点/cm2 、好ましくは4〜60点/cm2のものであるのが良い。この圧接点密度が2点/cm2 未満であると、熱圧接後のウエブの機械的特性や形態保持性が向上せず、一方、圧接点密度が80点/cm2 を超えると、長繊維不織ウエブ層の大半が熱融着されるため柔軟性を損ない、また三次元交絡を形成する際に加圧液体流がウエブを貫通しないため短繊維不織ウエブ層との交絡性に劣り、面ファスナ雄材から剥離する際に層間剥離を起こしやすくなるので好ましくない。また、長繊維不織ウエブ層の全表面積に対する全熱圧接領域の面積の比すなわち圧接面積率は2〜30%、好ましくは4〜20%とするのが良い。この圧接面積率が2%未満であると、熱圧接後のウエブの寸法安定性が向上せず、ひいては、得られた面ファスナ用不織布の寸法安定性が劣り好ましくない。一方、圧接面積率が30%を超えると、構成繊維の大半が熱融着され、長繊維不織ウエブ層の柔軟性を損ない、また三次元交絡を形成する際に加圧液体流がウエブを貫通しないため短繊維不織ウエブ層との交絡性に劣るので好ましくない。
【0039】
長繊維不織ウエブに部分的な熱圧接処理を施すに際し、エンボスロールの条件は、この長繊維を構成する重合体の種類により適宜選択すれば良いのであるが、特に、エンボスロールの表面温度を長繊維不織ウエブ層を形成する複合長繊維を構成する成分のうち最も融点の低い成分の融点をTm℃としたときに、(Tm−30)℃〜(Tm+10)℃の範囲とし、かつエンボスロールの線圧を5〜50kg/cmとするのが好ましい。エンボスロールの表面温度と線圧の条件は特に重要である。エンボスロールの表面温度が(Tm+10)℃を超えるか、または線圧が50kg/cmを超えると、熱圧接処理を施す際に長繊維不織ウエブ層の大半が熱融着してしまうため柔軟性を損ない、また三次元交絡を形成する際に加圧液体流がウエブを貫通しないため短繊維不織ウエブ層との交絡性に劣るので好ましくない。一方、エンボスロールの表面温度が(Tm−30)℃未満か、または線圧が5kg/cm未満であると、長繊維不織ウエブの構成繊維間が殆ど接着されず、加圧液体流処理の際の形態保持性が十分でないため好ましくない。
【0040】
次に、得られた長繊維不織ウエブ層の片面に前記短繊維から常法により得られる短繊維不織ウエブ層を積層した後、この積層不織ウエブの短繊維不織ウエブ層側より加圧液体流処理を施して、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡させ、かつ短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて全体として一体化させると同時に、積層不織ウエブに面積0.5〜3.0mm2 の孔を配設密度15〜60個/cm2 で設ける。
【0041】
加圧液体流処理を施すに際しては、例えば孔径が0.05〜2.0mm特に0.1〜0.4mmの噴射孔を孔間隔を0.3〜10mmとして1列あるいは複数列に多数配列したオリフィス・ヘッドを用い、噴射圧力が5〜150kg/cm2 Gの加圧液体流を前記噴射孔から噴射する方法を採用する。噴射孔は、積層不織ウエブの進行方向と直交する方向に列状に配列する。加圧液体としては、水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴射孔と積層不織ウエブとの間の距離は、1〜15cmとするのが良い。この距離が1cm未満であるとこの処理により得られる不織布の地合いが乱れ、一方、この距離が15cmを超えると液体流が積層不織ウエブに衝突したときの衝撃力が低下して三次元的な交絡が十分に施されないため、いずれも好ましくない。
【0042】
加圧液体流処理は、加圧液体流を噴出して衝突させたときに生じる短繊維不織ウエブ層の地合いの乱れや目付け斑を防止する点から、少なくとも2段階に分けて施すことが好ましい。まず、第1段階の処理として、圧力が5〜40kg/cm2 Gの加圧液体流を噴出して積層不織ウエブの短繊維不織ウエブ層側に衝突させ、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させる。この第1段階の処理において、液体流の圧力が5kg/cm2 G未満であると、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させることができず、一方、液体流の圧力が40kg/cm2 Gを超えると、積層不織ウエブに加圧液体流を噴出して衝突させたときに短繊維不織ウエブ層の構成繊維が液体流の作用によって乱れ、この短繊維不織ウエブ層に地合いの乱れや目付け斑が生じるため、いずれも好ましくない。
【0043】
次いで、第2段階の処理として圧力が40〜150kg/cm2 Gの加圧液体流を噴出して積層不織ウエブに衝突させ、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡させるとともに、短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させ、この積層物を全体として一体化させる。この第2段階の処理において、液体流の圧力が40kg/cm2 G未満であると、上述したような繊維間の三次元的交絡を十分に形成することができず、一方、液体流の圧力が150kg/cm2 Gを超えると、得られた不織布に形成される孔が大きくなり過ぎるため、雌材として雄材のフック部との引っ掛かりが不十分となり、面ファスナとしての接合力に劣ることとなるので、いずれも好ましくない。このように第2段階の処理として圧力が40〜150kg/cm2 Gの加圧液体流を用いるが、その際には上述の第1段階の処理によりあらかじめ短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を予備的に交絡させてあるため、この短繊維不織ウエブ層の構成繊維が第2段階の高圧の液体流の作用によって乱れることでそのウエブ層に地合いの乱れや目付け斑が生じたりすることはない。
【0044】
加圧液体流処理を施すに際し、積層物を担持する支持材は、10〜20メッシュのネットからなる多孔性のものであることが重要である。このような支持体を用いることにより初めて、前記のような面積および配設密度を満足する孔を形成することができるのである。支持材のメッシュが10メッシュ未満であると、加圧液体流処理で形成される孔が大きくなり過ぎ、雄材のフック部と引っ掛かるものの接合力が弱くなり、形態保持性にも劣ることとなるため、面ファスナとして適さない。一方、支持材のメッシュが20メッシュを超えると、加圧液体流処理で形成される孔の配設密度が大きくなり過ぎ、孔の面積が小さくなるので、雄材のフック部と引っ掛かり難くなり、面ファスナとして適さない。なお、支持材の材質は、特に限定されない。
【0045】
加圧液体流処理を施した後、処理後の積層物から過剰水分を除去する必要があるが、この過剰水分の除去には、公知の方法を採用することができる。例えばマングルロール等の絞り装置を用いて過剰水分をある程度機械的に除去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾燥装置を用いて残余の水分を除去すれば良い。
【0046】
なお、本発明の不織布には、必要に応じて、染色、プリント等の加工を行うことができる。
【0047】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例における各種特性値の測定は、次の方法により実施した。
【0048】
(1)融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点(℃)とした。
【0049】
(2)メルトインデックス(g/10分):ASTM−D−1238(L)に記載の方法で測定した。
【0050】
(3)相対粘度(イ):フェノールと四塩化エタンの等重量混合液を溶媒とし、この溶媒100ccに試料0.5gを溶解し、温度20℃の条件で常法により測定した。
【0051】
(4)相対粘度(ロ):96%硫酸、温度25℃の条件で測定した。
【0052】
(5)不織布の目付け(g/m2 ):標準状態の試料から縦10cm×横10cmの試料片計10点を作成し、平衡水分に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積(m2 )当たりに換算して目付け(g/m2 )とした。
【0053】
(6)孔の面積(mm2 ):日本光学(株)製万能投影機(PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、不織布に形成された任意の孔50個の縦・横の長さを小数点以下3桁までmm単位で測定して孔面積を算出し、その平均値を孔面積(mm2 )とした。
【0054】
(7)孔の配設密度(個/cm2 ):日本光学(株)製万能投影機(PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、各々1cm2 中の孔数を10箇所に亘り数え、その平均値を各々の孔の配設密度(個/cm2 )とした。
【0055】
(8)不織布の引張強力(kg/5cm幅)及び引張伸度(%):JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。すなわち、試料長が15cm、試料幅が5cmの試料片を不織布の機械方向(MD)およびそれに直交する方向(CD)にそれぞれ10点ずつ作成し、各試料片毎に、不織布のMD方向およびCD方向について、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、試料の掴み間隔10cmとし、引張速度10cm/分で伸長した。そして、得られた切断時荷重値(kg/5cm)の平均値を引張強力(kg/5cm幅)とするとともに、切断時伸長率(%)の平均値を引張伸度(%)とした。
【0056】
(9)圧縮剛軟度(g):試料長が10cm、試料幅が5cmの試料片計5点を作成し、各試料片毎に横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合したものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各測定試料毎にその軸方向について、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重値(g)の平均値を圧縮剛軟度(g)とした。
【0057】
(10)面ファスナ雄材との接合力:面ファスナ雄材として、YKK(株)製面ファスナ(1QEFN−N25)を用い、不織布との接合力および20回着脱を繰り返し行い、下記の5段階評価を行った。
【0058】
5:接合力が極めて良好である。
4:接合力が良好である。
3:接合力がやや良好である。
2:接合力が弱い。
1:全く接合しない。
【0059】
(実施例1)
融点が259℃、相対粘度が1.38のポリエチレンテレフタレート重合体チップと融点が128℃、メルトインデックス値が25g/10分のポリエチレン重合体チップとを用い、スパンボンド法により分割型複合長繊維不織ウエブ層を製造した。すなわち、前記2種の重合体チップを紡糸温度285℃で溶融し、これを分割複合型紡糸口金を通して紡出し、溶融紡出されたポリマー流を冷却した後、エアーサッカを用いて引き取り速度3500m/分で引き取った後、コロナ放電手段を用いて開繊し、移動する捕集面上に捕集・堆積させて単繊維繊度が2.5デニールの長繊維からなるウエブとし、次いで得られたウエブに熱圧接処理を施して目付けが30g/m2 の長繊維不織ウエブ層を得た。熱圧接処理に際しては、面積が、0.6mm2 の彫刻模様が圧接点密度20点/cm2 かつ圧接面積率15%で配設されたエンボスロールと表面が平滑な金属ロールとを用い、このエンボスロールと表面が平滑な金属ロールの表面温度を115℃、かつ両ロール間の線圧を30kg/cmとして行った。
【0060】
短繊維不織ウエブ層として、平均繊度1.6デニール、平均繊維長22mmのコットンの晒綿を用いて、目付けが25g/m2 のパラレルカードウエブを作成した。そして、これを前述の長繊維不織ウエブ層の片面に積層し、短繊維不織ウエブ層を上側にして移動する20メッシュの金属製ネット上に載置して、三次元的交絡処理を2段階で施した。すなわち、まず予備交絡処理として、孔径0.1mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで一列に配されたオリフィス・ヘッドを用い、この短繊維不織ウエブ層の上方50mmの位置より、噴射圧40kg/cm2 Gの加圧液体流により第1段階の予備交絡を施した。そして、引続き前記オリフィス・ヘッドを用い、噴射圧70kg/cm2 Gで4回の処理を施して、第2段階の交絡処理とした。次いで、この交絡処理の施された積層不織ウエブから、既知の水分除去装置であるマングルを用いて余剰の水分を除去し、引続きサクションバンド方式の乾燥機を用いて90℃で乾燥処理を行った。得られた不織布は、短繊維不織ウエブ層を構成する繊維同士に交絡が施されるとともに、短繊維不織ウエブ層および長繊維不織ウエブ層の構成繊維相互に三次元的交絡が施されて緻密に一体化したものであった。得られた不織布の性能を以下に示す。
【0061】
目付け :55.4g/m2
孔の面積 :0.72mm2
孔の配設密度 :59.4個/cm2
強力(MD) :8.5kg/5cm幅
伸度(MD) :45.4%
強力(CD) :4.6kg/5cm幅
伸度(CD) :59.6%
剛軟度 :20g
面ファスナ雄材との接合力 : 5
得られた不織布は、面ファスナ雄材と接合させた場合にも十分な接合力を保持し、また機械的特性、柔軟性に優れ、面ファスナ用不織布として実用に耐え得るものであった。
【0062】
(実施例2)
融点が259℃、相対粘度(イ)が1.38のポリエチレンテレフタレート重合体チップと融点が225℃、相対粘度(ロ)が2.56のナイロン6とを用い、紡糸温度290℃で溶融し、これを分割型複合紡糸口金を通して紡出し、溶融紡出されたポリマー流を冷却した後、エアーサッカを用いて引き取り速度3200m/分で引き取った後、コロナ放電手段を用いて開繊し、移動する捕集面上に捕集・堆積させて単繊維繊度が3.0デニールの長繊維からなるウエブとし、次いで得られたウエブに熱圧接処理を施して目付けが25g/m2 の長繊維不織ウエブ層を得た。熱圧接処理に際しては、面積が、0.25mm2 の彫刻模様が圧接点密度16点/cm2 かつ圧接面積率15%で配設されたエンボスロールと表面が平滑な金属ロールとを用い、このエンボスロールと表面が平滑な金属ロールの表面温度を200℃、かつ両ロール間の線圧を50kg/cmとして行った。得られた長繊維不織ウエブは、ポリマー成分が長繊維の糸条方向にわたって並列に配されたものであった。
【0063】
短繊維不織ウエブ層として、平均繊度2.0デニール、平均繊維長51mmであるポリエステル短繊維(日本エステル社製 タイプ101)からなる目付けが25g/m2 のパラレルカードウエブを作成した。そして、これを前述の長繊維不織ウエブ層の片面に積層し、10メッシュのポリエステル製ネットを使用する以外は、実施例1と同一条件で交絡処理を施した後、乾燥処理を行って不織布を得た。得られた不織布の性能を以下に示す。
【0064】
目付け :50.6g/m2
孔の面積 :2.86mm2
孔の配設密度 :15.6個/cm2
強力(MD) :8.4kg/5cm幅
伸度(MD) :53.5%
強力(CD) :5.5kg/5cm幅
伸度(CD) :69.5%
剛軟度 :20g
面ファスナ雄材との接合力 : 5
得られた不織布は、面ファスナ雄材と接合させた場合にも十分な接合力を保持し、また機械的特性、柔軟性に優れ、面ファスナ用不織布として実用に耐え得るものであった。
【0065】
(比較例1)
長繊維不織ウエブ層としては、実施例1と同一条件にて得られた目付け25g/m2 の長繊維不織ウエブ層を用い、短繊維不織ウエブ層としては、コットン晒し綿(平均繊度1.8デニール、平均繊維長26mm)からなる目付け30g/m2 パラレルカードウエブを用いた。
【0066】
長繊維不織ウエブ層に短繊維不織ウエブ層を積層し、30メッシュのポリエステル製ネットを支持体として用い、短繊維不織ウエブ層を上側にしてにネット上に載置して、短繊維不織ウエブ層の上方20mmの位置にある孔径0.12mmの噴射孔より第1回目の予備交絡処理としては35kg/cm2 Gの加圧液体流を作用させて交絡を施し、引続き、第2回目の交絡処理を70kg/cm2 Gの加圧液体流を作用させて交絡を施した。得られた不織布の性能を以下に示す。
【0067】
目付け :54.8g/m2
孔の面積 :0.29mm2
孔の配設密度 :138.3個/cm2
強力(MD) :7.3kg/5cm幅
伸度(MD) :60.5%
強力(CD) :5.2kg/5cm幅
伸度(CD) :74.6%
剛軟度 :31g
面ファスナ雄材との接合力 : 2
得られた不織布は、機械的特性、柔軟性には優れているが、30メッシュの支持体を用いたので形成された孔が小さくなりすぎて雄材のフック部との引っ掛かりが不十分となり、このため面ファスナ雄材との接合力に劣り、面ファスナ雌材に適さないものであった。
【0068】
(比較例2)
8メッシュのポリエステル製ネットを支持体として用いること以外は、比較例1と同一条件にて不織布を得た。得られた不織布の性能を以下に示す。
【0069】
目付け :52.8g/m2
孔の面積 :3.84mm2
孔の配設密度 :9.7個/cm2
強力(MD) :3.3kg/5cm幅
伸度(MD) :50.5%
強力(CD) :1.2kg/5cm幅
伸度(CD) :58.6%
剛軟度 :35g
面ファスナ雄材との接合力 : 2
得られた不織布は、8メッシュの支持体を用いたので形成された孔が大きくなりすぎ、雄材のフック部と引っ掛かるものの接合力が弱く、面ファスナ雌材に適さないものであった。
【0070】
【発明の効果】
本発明の面ファスナ用不織布は、10〜20メッシュのネットからなる多孔性支持板を用いて加圧液体流処理を施すことによって、面積0.5〜3.0mm2の孔が配設密度15〜60個/cm2 で配設されてなることから、面ファスナとして用いた際にこの孔が雌材のループの働きをなし、雄材のフック部がこの孔に引っ掛かることによって、着脱自在に接合させることができるものである。
【0071】
また、本発明の面ファスナ用不織布は、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡するとともに短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が三次元的に交絡することにより全体として一体化された不織布であるので、面ファスナ用の布帛として好適な柔軟性を具備し得るものである。
【0072】
さらに、本発明の面ファスナ用不織布は分割型複合長繊維から形成されてなることから、加圧液体流処理の際に構成繊維が細い割繊糸に分割され、多数本の極細繊維となるため、特に柔軟性、機械的特性に優れ、面ファスナ用不織布として好適なものとなる。
【0073】
したがって、本発明によれば、不織布の表面全体にわたりループに代わる孔を備えて面ファスナの雌材として機能し得ることから、任意の箇所に面ファスナ雄材を接合させることができ、したがって、この雄材を取り付けるべき接合対象の特定箇所にこの雄材を固定するだけで面ファスナとしての機能をなし、使用目的に適宜対応できる面ファスナ用不織布を提供することができる。
Claims (3)
- 長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とが積層されてなる面ファスナ用不織布であって、長繊維不織ウエブ層が分割型複合長繊維により形成されており、かつ長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡するとともに短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士が三次元的に交絡しており、かつ面積0.5〜3.0mm2 の孔が配設密度15〜60個/cm2 で少なくとも長繊維不織ウエブ層の表面に配設されてなることを特徴とする面ファスナ用不織布。
- 分割型複合長繊維が、互いに非相溶性を示す二成分の熱可塑性重合体からなることを特徴とする請求項1記載の面ファスナ用不織布。
- 分割型複合長繊維により長繊維不織ウエブ層を形成し、この長繊維不織ウエブ層と短繊維不織ウエブ層とを積層して積層不織ウエブを形成し、次いでこの積層不織ウエブを移動する10〜20メッシュの多孔性支持板上に載置して加圧液体流処理を施し、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と短繊維不織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡させるとともに短繊維不織ウエブ層の構成繊維同士を三次元的に交絡させ、同時に、積層不織ウエブに面積0.5〜3.0mm2 の孔を配設密度15〜60個/cm2 で設けることを特徴とする面ファスナ用不織布の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP443096A JP3580626B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | 面ファスナ用不織布およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP443096A JP3580626B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | 面ファスナ用不織布およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09195155A JPH09195155A (ja) | 1997-07-29 |
JP3580626B2 true JP3580626B2 (ja) | 2004-10-27 |
Family
ID=11584038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP443096A Expired - Fee Related JP3580626B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | 面ファスナ用不織布およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3580626B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103889261B (zh) | 2011-08-25 | 2017-05-10 | 维尔克有限公司 | 可接合环的紧固件及相关的系统和方法 |
EP2747726B1 (en) | 2011-08-25 | 2015-10-28 | Velcro Industries B.V. | Hook-engageable loop fasteners and related systems and methods |
PL3311688T3 (pl) * | 2015-06-19 | 2021-12-27 | Nitto Denko Corporation | Człon żeński dla zapięcia rzepowego |
JP6735156B2 (ja) * | 2015-06-19 | 2020-08-05 | 日東電工株式会社 | 面ファスナー雌部材 |
-
1996
- 1996-01-16 JP JP443096A patent/JP3580626B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09195155A (ja) | 1997-07-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20060030230A1 (en) | Staple fiber non-woven fabric and process for producing the same | |
JPH10219555A (ja) | 積層不織布およびその製造方法 | |
JP3580626B2 (ja) | 面ファスナ用不織布およびその製造方法 | |
JPH10331063A (ja) | 複合不織布およびその製造方法 | |
JP3201671B2 (ja) | 複合不織布の製造方法 | |
JPH10280259A (ja) | 短繊維不織布及びその製造方法 | |
JP3305453B2 (ja) | 積層不織構造体 | |
JP3145067B2 (ja) | 不織布およびその製造方法 | |
JPH10280262A (ja) | 不織布およびその製造方法 | |
JP3905916B2 (ja) | 極細繊維を含む複合不織布の製造方法 | |
JP4026279B2 (ja) | 分割型複合繊維及びこれを用いた繊維成形体 | |
JP3259936B2 (ja) | 積層不織布及びその製造方法 | |
JP2000136477A (ja) | 積層不織布およびその製造方法 | |
JPH07227338A (ja) | ヘッドレストカバー | |
JPH08109567A (ja) | 積層不織構造体及びその製造方法 | |
JP3784093B2 (ja) | 使い捨てカイロ用袋 | |
JPH10195750A (ja) | 複合不織布およびその製造方法 | |
JPH09195153A (ja) | 面ファスナ雌材用不織布およびその製造方法 | |
JPH10158968A (ja) | 不織布およびその製造方法 | |
JPH10195749A (ja) | 積層不織布およびその製造方法 | |
JPH0768686A (ja) | 積層不織構造体 | |
JPH1121752A (ja) | 複合不織布およびその製造方法 | |
JPH07316968A (ja) | 複合不織布及びその製造方法 | |
JPH07238403A (ja) | エプロン | |
JP2002088580A (ja) | 分割繊維及びこれを用いた繊維成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040615 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040622 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040720 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090730 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090730 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100730 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110730 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110730 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120730 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |