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JP3842266B2 - 農作物の成育保護シートおよび栽培方法 - Google Patents

農作物の成育保護シートおよび栽培方法 Download PDF

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JP3842266B2 JP2003425703A JP2003425703A JP3842266B2 JP 3842266 B2 JP3842266 B2 JP 3842266B2 JP 2003425703 A JP2003425703 A JP 2003425703A JP 2003425703 A JP2003425703 A JP 2003425703A JP 3842266 B2 JP3842266 B2 JP 3842266B2
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Description

本発明は、農作物の栽培方法とこの方法に使用する成育保護シートに関し、詳しくは、さつま芋の芋苗のように、土壌に形成された畝に植え付けて成育させる栽培方法とこの方法に使用される農作物の成育保護シートとを対象にしている。
さつま芋の栽培は、畑地の土壌を盛り上げて構築された畝に、さつま芋の蔓から葉の一部までがつながった芋苗を植え付ける。蔓を、畝の長さ方向に沿って斜め下向きあるいは水平方向に延ばした姿勢で、土壌に埋め込んでおく。葉の部分は、畝の表面に出しておく。芋苗のうち土壌に埋められた蔓の一部から新しい芽が出て上方へと成育していく。土壌内の蔓からは根が出て芋が成育する。蔓から根が出て土壌に根付くことを活着と呼ぶ。芋苗に最初からあった葉などは枯れたり脱落したりする。
畝を、黒色の樹脂フィルムなどからなるマルチフィルム(mulch:根覆い)で覆うことで、農作物の病気予防を図ったり、畝の土壌を保湿および保温したり、雑草の繁殖を抑制したり、雨で土壌が崩れるのを防いだりすることが行われている。通常は、畝を構築する作業と同時、あるいは、畝が構築されたあとで、ロール状のマルチフィルムを畝に沿って広げて畝の全体を覆う。畝の両側でマルチフィルムの上に土壌を盛って押さえ付け、マルチフィルムが畝の立体形状にぴったりと沿うようにする。
マルチフィルムで覆われた畝に芋苗を植え付けるには、畝の頂上でマルチフィルムに切り込みを入れて植え付け孔を形成し、植え付け孔に露出した土壌を掘って、芋苗の一部を土壌に埋め込む。また、植え付けた芋苗から出てくる新たな芽が良好に成育するには、芽が伸びる個所が日射を受ける必要がある。通気や通水も良好であることが望まれる。黒色の樹脂フィルムであるマルチフィルムが覆っている個所には、芋苗の蔓から芽が出る可能性がある個所よりも広い範囲で、マルチフィルムに植え付け孔をあけておくことが望ましい。
ところが、植え付け孔をあけたままであると、その部分の土壌が乾燥し過ぎたり、保温が悪くなったり、雑草が生えたりする心配がある。
そこで、従来の伝統的な栽培方法では、植え付け孔を覆い、植え付けた芋苗の蔓を覆うようにして藁を敷くとともに、敷いた藁で芋苗の蔓が良好に活着するように、藁の上に土饅頭を盛って重石にすることが行われている。芋苗の蔓から新たな芽が伸びてきたときには、藁同士の隙間を通って、新芽が容易に伸びていくことができる。
このような伝統的な栽培方法を改良した栽培技術も提案されている。
特許文献1には、マルチフィルムの幅方向の一部に黒色の光遮断領域を設け、光遮断領域内に断続的に円形状などの透明フィルムを設け、透明フィルムには破れ易い切れ目を形成しておく技術が開示されている。芋苗を植え付けたあとの畝をマルチフィルムで覆うと、マルチフィルムの光遮断領域が、土壌の保温や雑草抑制を果たすとともに、日射が通過する透明フィルムの部分から、種芋の発芽および新芽の成育が行われ、新芽は透明フィルムの切れ目を通過して上方に伸びていく。
このようなマルチフィルムを使用すれば、マルチフィルムに植え付け孔をあける作業が不要になるため、農作業者の負担が軽減できるとされている。
特開平8−9770号公報
前記した従来の栽培方法では、さつま芋などの農作物の成育が不十分になったり、栽培コストが高くついたりする問題がある。
マルチフィルムに開けた植え付け孔を藁で覆い土饅頭を盛る方法では、芋苗の植え付け個所毎に、手作業で藁を敷き、土饅頭を作って盛るという、大変に面倒な作業を行う必要がある。畑地に座り込んだり腰を屈めたりして行う作業は、非常な重労働であるとともに、作業能率が極めて低いものである。
特許文献1に記載されたマルチフィルムは、1枚のフィルムに部分的に、黒色の光遮断領域および透明部分を形成しなければならず、その製造はかなり難しい。透明フィルムや黒色シートをいちいち貼り合せるのでは、マルチフィルムの製造コストが高騰してしまう。マルチフィルムは、毎年、張り替えるものであるから、マルチフィルムのコストは、農作物の生産コストにも大きく跳ね返ってくる。
断続的に配置された円形の透明フィルムが、正確に芋苗の上方に配置されないと、芋苗からの新芽の成育が十分に行えない。マルチフィルムの全ての透明フィルム部分が、正確に芋苗の埋め込み個所に一致するように、畝の全体にマルチフィルムを敷設するのは、かなりの技術を要する。マルチフィルムの敷設作業が難しくなるのでは、農作業全体の作業能率は低下してしまう。
透明フィルムの面積を広くすれば、芋苗の埋め込み個所に透明フィルムが配置される可能性は増えるが、広い透明フィルムの部分では強い日射が土壌に当たるので、雑草が生え易くなったり、土壌からの熱が放散し易くなって保温性が低下したりする問題が起きる。マルチフィルムを使用する本来の目的が達成できなくなる。
さらに、上記方法では、畝に芋苗を植え付けたあとで、マルチフィルムを敷設する必要がある。マルチフィルムの敷設作業を大型の機械装置を使用して効率的に実施しようとすると、畝あるいは植え付けた芋苗を傷める可能性がある。特に、芋苗の蔓や葉の部分がマルチフィルムの下に完全に抑えつけられてしまうと、芋苗の蔓からの新芽の成育が悪くなってしまう。
本発明の課題は、マルチフィルムを使用する農作物の栽培方法において、さつま芋などの農作物の成育を損なうことなく、農作業者の負担を軽減できるようにすることである。
本発明にかかる農作物の栽培方法は、
土壌に形成された畝に農作物の苗類を植え付けて成育させる栽培方法であって、前記土壌の畝をマルチフィルムで覆う工程(a)と、前記マルチフィルムに植え付け孔をあける工程(b)と、前記マルチフィルムの植え付け孔から畝に前記農作物の苗類を植え付ける工程(c)と、成育保護シートを、これで前記植え付け孔を塞ぐようにしてマルチフィルムの表面に配置し、成育保護シートの粘着面をマルチフィルムの表面に当接させて成育保護シートをマルチフィルムに接合する工程(d)と、を含み、
前記成育保護シートとして、通気性、通水性および光透過性を有し、前記マルチフィルムの植え付け孔の幅よりも広い帯状をなすシート材料からなり、このシート材料には、幅方向の直線状をなし前記苗類の新芽がその生長力により容易に通過できる易通過部が、両側辺を残して全幅に対し10〜80%の範囲で、かつ、長さ方向に3〜10cmの間隔をあけて平行に設けられている、成育保護シートを用いる、
ことを特徴とする
そして、上記本発明にかかる農作物の栽培方法に用いる、本発明の成育保護シートは、
通気性、通水性および光透過性を有し、前記マルチフィルムの植え付け孔の幅よりも広い帯状をなすシート材料からなり、
このシート材料には、幅方向の直線状をなし前記苗類がその新芽の生長力により容易に通過できる易通過部が、両側辺を残して全幅に対し10〜80%の範囲で、かつ、長さ方向に3〜10cmの間隔をあけて平行に設けられているとともに、両側辺の裏面側に配置された粘着面と、両側辺の表面側で前記粘着面に対応する箇所に配置された易剥離面とを備える、
ことを特徴とする
〔農作物〕
土壌に形成された畝に苗類を植え付けて成育させる農作物である。
具体的には、前記したさつま芋のほか、里芋、小芋などの芋類、苺や西瓜などの果実類、玉葱などの野菜類などが挙げられる。農作物の苗類には、根、蔓、茎、葉、種芋などが含まれる。さつま芋の場合、一定の長さを有する蔓の一部に葉がついた状態の芋苗を植え付ける。本発明は、さつま芋のように、蔓の部分を苗として植え付ける農作物に有効である。蔓を、畝の土壌に斜め下向きあるいは水平方向に長く延ばして植え付ける場合に有効である。
〔マルチフィルム〕
通常の農業用マルチフィルムが使用できる。
一般的には、ポリエチレンなどの合成樹脂フィルムからなり、保温性を高める黒色や灰白色、銀色、白色などに着色されている。生物分解性樹脂フィルムも使用される。
マルチフィルムは、帯状をなし、1本の畝または複数本の畝を覆うだけの幅を有している。
マルチフィルムは、畝を覆って施工されたあと、農作物の苗類を植え付けるための植え付け孔を貫通形成する。そのため、植え付け孔の形成が可能な程度の加工性あるいは易通過性を有している必要がある。
〔成育保護シート〕
畝を覆って配置されたマルチフィルムの上に配置され、農作物の苗類の活着を良好にしたり、農作物の成育を促進したり、農作物を保護したりする機能を果たす。
マルチフィルムに形成される植え付け孔の幅よりも広い帯状をなし、施工状態で、植え付け孔を塞ぐことができる。成育保護シートの幅としては、使用条件によっても異なるが、通常は、10〜50cmの範囲に設定される。成育保護シートの幅が、植え付け孔の幅に比べて広過ぎても無駄であり、製造コストが高くつく。成育保護シートの長さは、畝あるいはマルチフィルムの長さに合わせて設定できる。少なくとも、1本の畝の全長に相当する長さを有していることが望ましい。長尺のロール状シートであれば、必要な長さに切って使用することができる。一定長さの成育保護シートを継ぎ足して、畝の全長に設置することも可能である。
成育保護シートは、シート材料からなるとともに、易通過部、粘着面および易剥離面を備える。
〔シート材料〕
成育保護シートの本体部分を構成するシート材料は、通気性、通水性および光透過性を有している必要がある。
屋外環境で使用したときに、少なくとも農作物の成育保護を果たす必要のある期間は崩壊したり損傷したりし難い程度の耐候性があることが望ましい。施工や取扱いに耐える機械的強度を有するものが好ましい。光透過性は、透明材料ほどの光透過性は必要なく、苗類の成育を阻害しない程度の光を通すもので十分である。通気性や通水性についても同様である。
具体的な材料として、紙、不織布、編織布、合成樹脂シートが使用できる。生物分解性を有する材料や焼却時に有害ガスを発生しない材料であれば、使用後の廃棄処理が容易である。この点、紙材料は好適である。紙材料として、クレープ紙、エンボス加工紙などが使用できる。複数の材料を組み合わせた複合シート材料も使用できる。ペーパータオル洋紙が使用できる。
シート材料は、材料そのものの色を呈する無着色のものであってもよいし、着色されたものでもよい。マルチフィルムと同様の色に着色しておくこともできる。
シート材料の厚さは、材料の種類によっても異なるが、通常、0.05〜1.0mmの範囲に設定できる。紙材料などの場合は、目付量で20〜100g/mの範囲に設定できる。
シート材料の幅は、成育保護シートの全幅と同じか少し狭く設定される。後述する粘着テープをシート材料の両側辺にはみ出して配置する場合は、粘着テープのはみ出し量を考慮してシート材料の幅を設定することができる。
〔易通過部〕
成育保護シートの本体部分であるシート材料に対して、幅方向の中央に断続的に配置され線状をなす。易通過部は、苗類から伸びる新芽や蔓、茎などの自然の生長力によって、容易に通過できる特性や構造を備えている。
具体的には、シート材料を貫通する線状の切れ目が採用できる。線状の切れ目であれば、切れ目の隙間を苗類の茎や蔓が押し拡げるようにして通過できる。一定以上の長さがある連続線状の切れ目は、通過の抵抗が少なくなる。線状の切れ目が長過ぎると、成育保護シートの施工時や施工後に自然に切れ目が開いて、畝の土壌が露出することがある。切れ目が短いと、切れ目が予期せず開くことは少ないが、苗類の通過抵抗が大きくなる。線状の切れ目部分で、両側のシート材料が重なるようにしておけば、切れ目が開いてしまうことが少なくなる。
点線状の切れ目であれば、切れ目が開いてしまうことが少ないとともに、苗類の生長力で点線のうちの貫通部分を通過するだけでなく、貫通部分をつなぐ連結部を突き破ることも可能である。点線状の切れ目は、短く貫通した切れ目と連結部とが交互に線状に並ぶことになる。連結部を短くすることで、切れ易くできる。
シート材料を貫通する切れ目ではなく、シート材料の厚みを部分的に弱くした弱め線を採用することもできる。弱め線は、自然に開いてしまうことが少ない。但し、苗類が通過するのに、ある程度の力が必要になる。弱め線と切れ目とを組み合わせることもできる。
線状の易通過部は、成育保護シートの長さ方向、幅方向あるいは傾斜方向に延びるように設けることができる。線状の易通過部が延びる方向では任意の位置で苗類が伸び出ることができる。但し、線状の易通過部と直交する方向の力が加わると、易通過部が開いてしまったり易通過部の両端からシート材料が裂けてしまったりし易い。農作物の特性や栽培条件に合わせて、線状の易通過部が延びる方向を設定することができる。成育保護シートを連続生産したり、ロール状に巻回したりする場合は、線状の易通過部が成育保護シートの幅方向に延びているほうが取扱い易い。
易通過部は、1本の直線で構成されていても良いし、十字線や放射線など、複数の直線を組み合わせて構成することもできる。円弧線などの曲線も採用できる。
易通過部を構成する1本の線の全長は、易通過部を構成する線の組み合わせ構造によっても異なるが、通常は、1〜20cmの範囲に設定できる。
成育保護シートの幅方向で、易通過部を配置する範囲は、苗類が伸びてくる範囲に設定できる。成育保護シートの両側辺に近い位置まで易通過部が存在すると、成育保護シートが切れたり引き裂かれたりし易くなる。具体的には、易通過部の配置範囲を、成育保護シートの全幅に対して10〜80%の範囲に設定できる。
成育保護シートの長さ方向では、易通過部を断続的に配置する。易通過部の設置間隔は、苗類の植え付け間隔に合わせたり、苗類から成長する新芽の発生間隔に合わせたりすることができる。例えば、易通過部が、成育保護シートの幅方向に延びる直線の場合、成育保護シートの長さ方向に3〜10cmの間隔をあけて平行に配置することができる。
〔粘着面と易剥離面〕
<粘着面>
成育保護シートの裏面側に配置され、成育保護シートをマルチフィルムの表面に接合する機能を果たす。
成育保護シートに、粘着剤を塗布したり、両面粘着テープを貼着したりすれば、粘着面が形成できる。後述する粘着テープを利用してもよい。
粘着面を構成する粘着剤などの材料は、農作物や環境を損なうおそれが少ないものであれば、通常の粘着面構成用の材料が採用できる。焼却処理が可能であったり、生物分解性を有したりする材料であれば好ましい。雨ざらしになったり強い日射を受けたりしても、粘着性能が大きく低下しない材料が好ましい。
粘着面は、成育保護シートの裏面のうち、少なくとも両側辺を含む一定の幅があればよい。成育保護シートの裏面全体を粘着面とすることもできるが、通常は、マルチフィルムに対する接合が十分に達成できる程度の幅があれば十分である。具体的には、成育保護シートの寸法によっても異なるが、通常、1〜5cmの範囲に設定できる。
粘着面は、成育保護シートの両側辺に沿って連続的に配置しておくこともできるし、成育保護シートの剥がれや脱落が防止できれば、断続的に配置しておくだけでもよい。マルチフィルムの表面に苗類の蔓や葉が存在する上に成育保護シートを接合する場合は、苗類の蔓や葉に対応する個所には、粘着面が存在しなくてもよい。また、粘着面のないところで、通水性や通気生を良好にできる場合もある。
<易剥離面>
成育保護シートの表面側で粘着面に対応する個所に配置される。成育保護シート同士を重ねたときに、隣接する成育保護シートの粘着面と接触しても、粘着してしまわず、容易に剥離できる機能を有する。
成育保護シートの表面に、通常の粘着材料に対する易剥離処理を施しておいたり、易剥離コーティング層を形成したり、易剥離フィルムを貼着したりすればよい。成育保護シートを構成するシート材料自体が、粘着面に対して剥離容易な材料であれば、特別な易剥離処理などを追加しなくても、シート材料の表面全体が易剥離面となる。
<粘着テープ>
粘着面および易剥離面を同時に構成できる手段として、粘着テープが使用できる。
粘着テープは、各種の産業技術分野で、包装、梱包、部材の固定接合などに利用されている。このような粘着テープは、片面には粘着剤を塗布して形成された粘着層を有するとともに、反対面には、樹脂コーティングなどの手段で、粘着層に対して接合しない易剥離面となっている。その結果、粘着テープをロール状に巻回しておき、必要に応じて引き出して使用することが可能になっている。
このような粘着テープを、帯状をなすシート材料の表面の両側辺に、粘着テープの幅の一部がシート材料の外側にはみ出すように貼り付けることで、得られた成育保護シートの裏面側には粘着テープの粘着層が露出し、粘着層に対応する表面側には易剥離層が配置される。
粘着テープとしては、市販製品などの通常の材料や構造を有するものが使用できる。テープ基材として、クラフト紙などの紙材料を使用すれば、使用後の廃棄処理などが行い易い。布基材や樹脂フィルム基材も使用できる。
粘着テープの幅は、成育保護シートの形成すべき粘着面の幅に合わせて設定できる。例えば、粘着面の幅に対して2倍の幅を有する粘着テープであれば、粘着テープの幅の半分でシート材料と粘着接合し、粘着テープの幅の半分でマルチフィルムに接合するための粘着面を構成できる。粘着テープとシート材料との接着幅を狭くすれば、マルチフィルムへの接合用の粘着面の割合を増やすことができる。
粘着テープを利用して成育保護シートを製造すると、製造工程が簡略化されて生産効率が向上する。また、成育保護シートの両側辺に、比較的に強度や耐久性のある粘着テープが存在するので、成育保護シートの強度および耐久性が向上する。マルチフィルムへの接合部分が強化されるので、接合作業が行い易くなる。施工後に強風や強い雨にうたれたりしても、成育保護シートがマルチフィルムから剥がれたり浮き上がったりすることが防止できる。
〔成育保護シートの製造と取扱い〕
成育保護シートは、予め、帯状のシート材料に易通過部を加工したり、粘着面および易剥離面を形成したりして製造しておくことができる。
製造された成育保護シートは、取扱い中に粘着面が他物に接合してしまわないように、粘着面に、剥離フィルムを貼り付けておくことができる。農作物の栽培に使用するときに、剥離フィルムを剥がせば、粘着面を露出できる。
成育保護シートを重ねておくこともできる。成育保護シートの粘着面を隣接する成育保護シートの易剥離面に当接させておけば、使用時に容易に剥がすことができる。
成育保護シートを、通常の粘着テープや粘着シートと同じように、粘着面を内側に易剥離面を外側に向けてロール状に巻回しておくことができる。このような巻回ロール状の成育保護シートは、輸送保管や流通販売における取扱いが容易である。農作物の栽培に使用する際にも、巻回ロールの端部から成育保護シートを順次引き出すようにして、マルチフィルムの上に貼り付けていけば、施工作業も容易である。
なお、粘着面を有しないシート材料を準備しておき、農作物の栽培に使用する段階で、シート材料に粘着面を形成する粘着剤を塗布し、得られた成育保護シートをマルチフィルムに接合することもできる。易通過部を有しない成育保護シートを準備しておき、苗類の植え付け状態に合わせて、成育保護シートにナイフなどで易通過部を形成することもできる。
〔農作物の栽培方法〕
基本的には、通常の土壌に形成された畝に農作物の苗類を植え付けて成育させる栽培方法と共通する装置や手法、作業工程、作業条件などが適用できる。
具体的には、以下の工程を組み合わせることができる。
<マルチフィルムの施工工程(a)>
通常は、マルチフィルムを施工するまでに、畝を構築しておく。畝の構築とマルチフィルムの施工を同時に行う自動化装置を利用することもできる。
畝の大きさや間隔は、農作物の種類や栽培条件などによって異なる。通常は、畝の高さを30〜50cm、幅を40〜60cm、畝の間隔ピッチを30〜50cmの範囲に設定する。
畝には、予め肥料を施したり、予防薬を施したりして、土壌の環境を整えておくこともできる。
マルチフィルムで畝を覆う際には、手作業あるいは自動化装置を使用することができる。畝の全体にマルチフィルムを密着させて覆うことが望ましい。畝の1本毎にマルチフィルムを施工してもよいし、複数本の畝に同時にマルチフィルムを施工することもできる。畝と畝の谷間には、マルチフィルムを押さえ付けるために土を被せることができる。
<植え付け孔の形成工程(b)>
畝を覆うマルチフィルムに、農作物を栽培するための植え付け孔をあける。この作業も、手作業で行う場合もあるし、自動化装置を使用することもできる。
マルチフィルムは、ナイフなどの簡単な工具あるいは手だけでも、孔をあけたり切れ目を入れたりすることができる。
植え付け孔の形状および寸法は、農作物の種類などの条件で変わる。
例えば、農作物の苗類が、蔓と葉とを有する芋苗の場合、芋苗の蔓を畝に沿って延ばした姿勢で植え付けられる長さの細長い植え付け孔をあける。
植え付け孔は、成育保護シートで覆って塞ぐので、比較的に大きな植え付け孔をあけておいても、農作物の栽培に悪い影響を与えることは少ない。次の植え付け作業が行い易く、新しい根の活着や、新芽の生育、生長に好ましい十分な大きさの植え付け孔をあけておけばよい。
<苗類の植え付け工程(c)>
マルチフィルムの植え付け孔から畝に、農作物の苗類を植え付ける。
それぞれの農作物あるいは苗類によって、植え付けの作業手順や条件は違う。
例えば、農作物がさつま芋の場合、芋苗の蔓を植え付け孔から畝に沿って延ばした姿勢で土壌に埋め込み、芋苗の葉の部分を植え付け孔からマルチフィルムの上方に延ばした姿勢で配置する。
苗類を収容した苗箱から、順次、苗類を取り出して植え付けていく自動化装置を利用することもできる。
<成育保護シートの施工工程(d)>
成育保護シートを、植え付け孔を覆ってマルチフィルムの表面に配置し、成育保護シートの粘着面をマルチフィルムの表面に当接させて成育保護シートをマルチフィルムに接合する。
成育保護シートが、巻回ロールの形態で供給される場合は、巻回ロールをマルチフィルムの上方に配置して、巻回ロールから成育保護シートを引き出しながら、マルチフィルムの表面の湾曲形状に沿って成育保護シートを湾曲させ、成育保護シートの両側辺をマルチフィルムの表面に貼り付けていくことができる。
上記作業は、手作業でも可能であるが、自動化装置を利用することもできる。成育保護シートの施工装置には、巻回ロールの保持機構、成育保護シートの引き出し機構、成育保護シートをマルチフィルムの湾曲形状に沿わせて変形させる押さえ付け機構などを備えておくことができる。
苗類の一部が、植え付け孔から外部に露出している場合、成育保護シートで覆ってしまうこともできるし、苗類の一部が成育保護シートの側方から外に露出して状態にしておくこともできる。
例えば、農作物がさつま芋の場合、成育保護シートを、植え付け孔およびマルチフィルムの上方に延ばした芋苗の葉や蔓の一部までを覆ってマルチフィルムの表面に配置し、成育保護シートの粘着面を芋苗の葉や蔓を挟んでマルチフィルムの表面に当接させて成育保護シートをマルチフィルムに接合することができる。この場合、芋苗の葉や蔓は、途中を成育保護シートの粘着面で押さえられた状態になるが、芋苗の栽培や新芽の生長には大きな問題は生じない。粘着面が葉や蔓に当たる個所では、粘着面をマルチフィルムに押さえ付けなかったり押さえ付ける力を弱くしたりすることもできる。
このようにして、マルチフィルムの植え付け孔が成育保護シートで覆われた状態で、農作物の栽培を行う。
その後の、手入れや施肥、水遣りなどの農作業は、通常の栽培方法と同様に行えばよい。
<苗類の生長>
苗類の蔓から新しい根が出て良好に活着し、さらに新芽が出て生長すると、新芽は成育保護シートの易通過部を、すり抜けたり突き破ったりして、成育保護シートの上方に伸びる。
成育保護シートは光透過性があり、特に、貫通する切れ目などで構成された易通過部は光が入り易いので、苗類の新芽は、成育保護シートの易通過部に伸びてきやすい。
苗類の蔓や茎が太くなれば、易通過部を押し拡げたり引き裂いたりして、より大きな隙間をあけて、成育していく。苗類の生長を促進するために、手作業で、易通過部の苗類が伸びている個所をより拡げるなどの世話をすることもできる。
苗類が十分に生長して、成育保護シートによる保護が必要なくなれば、成育保護シートを大きく切り裂いたり、引き剥がしたりすることもできる。
<成育保護シートの機能>
成育保護シートは、マルチフィルムの植え付け孔を覆うことで、土壌が露出することを防ぐ。風雨の力で芋苗が揺すられるのを防止する機能もある。芋苗の活着を促進させる。土壌の乾燥を防ぐ。良好な保温機能や雑草の抑制機能も発揮することができる。
成育保護シートは、通水性があるので、成育保護シートの上から水遣りや施肥を行っても、畝の土壌や苗類に水分や肥料分を到達させることができる。通気性のある成育保護シートは、土壌への通気を良好にして、土壌環境を良好に保つ。土壌の過剰な水分は、蒸発し成育保護シートを通過して放出される。適度な光透過性がある成育保護シートは、日射のエネルギーを土壌および苗類に到達させる。しかも、過度の日射は、成育保護シートによって遮られる。苗類を植え付けた土壌は、適度な湿度および温度に維持される。
<成育保護シートの廃棄>
農作物の収穫が終わるまで、成育保護シートは設置したままで構わない。
農作物の収穫の際には、成育保護シートをマルチフィルムから引き剥がしたり、成育保護シートのうち、収穫作業を行う部分を切り開いたりすることができる。
自動化された収穫装置を使用する場合、収穫具で成育保護シートを突き破って収穫を行うこともできる。
農作物の収穫が終われば、マルチフィルムとともに成育保護シートを撤去する。マルチフィルムの撤去装置を使用して、成育保護シートを同時に撤去することもできる。
撤去された成育保護シートは、マルチフィルムと同様の廃棄処理が行える。例えば、焼却処理や埋め立て処理が行われる。生物分解性を有する材料の場合は、土壌に埋め込んで、生物による分解作用を行わせることもできる。
本発明にかかる農作物の成育保護シートは、畝を覆ったマルチフィルムに形成された植え付け孔を塞いだ状態でマルチフィルムに接合しておくことで、植え付けられた苗類の活着を促進し、新芽の良好な成育、保護、あるいは、農作物の収穫の向上を図ることができる。
植え付け孔を塞いでいても、生長した苗類は易通過部を通過して成育保護シートの上方へと自由に成育していくことができる。成育保護シートの両側辺の裏面側に粘着面が配置されているので、マルチフィルムに被せるだけで、簡単かつ確実に取り付けることができる。粘着面の反対の表面側には易剥離面を有するので、成育保護シートを重ねたり巻回ロールの状態にしたりすることができ、取扱いが容易である。
その結果、農作物の苗類および土壌を良好に保護して、農作物の成育を良好に促進し、しかも、農作業者の負担を大幅に軽減することができる。
図1〜3に示す実施形態は、農作物として、さつま芋を栽培する場合を示す。
〔畝〕
図1に示すように、畑地には、断面が半円形状をなす畝10が構築される。畝10の幅は約45cm、高さは約35cm、長さは約100mである。図1では、1本の畝10部分だけを表示しているが、畑地の全体には、同じ構造の畝10が間隔をあけて平行に何本も並んでいる。
〔マルチフィルム〕
畝10の表面は、薄い黒色のポリエチレンフィルムからなるマルチフィルム20で覆われる。マルチフィルム20は、畝10の湾曲形状にぴったりと沿わせて張り付けられている。マルチフィルム20は、複数本の畝10をまとめて覆っている。各畝10の両側の谷間では、マルチフィルム20の上に土を盛って、マルチフィルム20を固定している。
〔植え付け孔〕
図4に示すように、畝10の中心線に沿って、断続的に植え付け孔22が設けられている。植え付け孔22は、マルチフィルム20を部分的に切り欠くようにして形成される。植え付け孔22の形状は、畝10の長さ方向に沿って長く延びる細長い溝状をなしている。
〔植え付け作業〕
植え付け孔22から畝10の土壌に、さつま芋の芋苗30を植え付ける。芋苗30は、一定の長さを有する蔓部32と、蔓部32から延びる葉部34とを有する。この芋苗30の蔓部32を土壌に埋め込む。蔓部32が、畝10の長さ方向と平行で、水平から斜め下向きに傾斜した姿勢になるように埋められる。蔓部32を埋める穴を掘るために、植え付け孔22は、蔓部32の長さに対応する細長い形状および大きさを有している必要がある。蔓部32の一部および葉部34は、土壌の中から上方に延ばし、植え付け孔22の外に出て、マルチフィルム20の上に載せる状態になる。
ここまでの作業は、通常の栽培方法と共通している。
次の作業として、マルチフィルム20の上に成育保護シート40を施工する。
〔成育保護シート〕
図5に示すように、成育保護シート40は、薄葉紙などのシート材料からなり長尺の帯状をなすシート基材42と粘着テープ46とを備える。シート基材42の目付け量は、例えば、53g/mに設定される。
図5(b)に示すように、粘着テープ46は、クラフト紙などからなり、比較的に細い幅の帯状をなしている。粘着テープ46の裏面には、粘着剤が塗布された粘着層47を有する。粘着テープ46のうち、粘着層47の反対側の表面は、離型剤をコーティングするなどして、粘着層47に対して粘着性がない易剥離面48になっている。このような粘着テープ46の構造自体は、通常の梱包用などに使用されている粘着テープと共通している。粘着テープ46の幅は、例えば、38mmに設定される。粘着テープ46の厚みは、例えば、150μmである。
シート基材42の両側辺に粘着テープ46が貼り付けられる。粘着テープ46の全幅のうち、約半分がシート基材42の表面に重ねて貼り付けられている。残りの半分の幅は、シート基材42の側端よりも外側に突き出しており、粘着層47が露出している。
シート基材42の全幅を、例えば、16cmに設定し、粘着テープ46を貼り付けて得られた成育保護シート40の全幅を、例えば、21cmに設定することができる。
図5(a)に全体構造を示すように、成育保護シート40は、両側辺の裏側面に、細い幅の粘着層47が露出した粘着面を有する。粘着面の幅は、例えば、0.25cmに設定される。粘着面の反対側になる成育保護シート40の表面には、粘着テープ46の易剥離面48が配置されている。
成育保護シート40の幅方向の中央では、シート基材42に対して、幅方向に横断する点線状切れ目44が設けられている。点線状切れ目44の両端は、粘着テープ46の内側辺よりも少し中央側に設定されている。点線状切れ目44の長さは、例えば、10cmに設定される。点線状切れ目44は、シート基材42の長さ方向に等間隔で平行に多数が配置されている。点線状切れ目44の配置間隔は、例えば、8cmに設定される。
図5(a)に示すように、長尺帯状の成育保護シート40は、ロール状に巻回して、巻回ロールRの形態で、輸送保管あるいは流通販売に供される。このとき、成育保護シート40の粘着層47が、巻回ロールRの外側になり、易剥離面48が内側になるようにして、巻回される。内外で重なる成育保護シート40は、粘着層47に易剥離面48が当接しているので、成育保護シート40同士が粘着してしまうことがない。
なお、巻回ロールRの最外周では、粘着層47の表面に離型フィルムや離型紙を貼り付けておくことで、取扱い中に最外周の粘着層47に他物が粘着したり汚れが付着したりすることを防止できる。
成育保護シート40の使用時には、巻回ロールRの外周端部から成育保護シート40を引き出していけばよい。成育保護シート40の両側辺に、比較的に厚みがあって強度もある粘着テープ46が存在していると、巻回ロールRから成育保護シート40を引き出したり、後述する施工作業を行ったりする際の取扱いが行い易い。シート基材42だけであると、強く引っ張ったりしたときに、破れたり引き裂かれたりする心配があるが、粘着テープ46が存在していれば、このような問題が起き難い。
〔成育保護シートの施工〕
図1、2に示すように、芋苗30が植え付けられたマルチフィルム20の植え付け孔422を、成育保護シート40で覆う。
成育保護シート40が、植え付け孔22を完全に覆って塞ぐように配置される。成育保護シート40を、マルチフィルム20の円弧状に湾曲した形状にぴったりと沿わせて、同様の円弧状に湾曲した状態にする。芋苗30のうち、植え付け孔22から外に出た蔓部32の一部や葉部34は、成育保護シート40とマルチフィルム20の間に挟まれた状態になる。
成育保護シート40の粘着層47を、マルチフィルム20の表面に押さえつければ、成育保護シート40がマルチフィルム20に接合されて固定される(図3参照)。
図1、2に示すように、芋苗30の蔓部32および葉部34がマルチフィルム20の上に載っている個所では、成育保護シート40の粘着層47が蔓部32および葉部34を乗り越える状態になる。蔓部32および葉部34を傷めないように、成育保護シート40をあまり無理に押さえつけないようにしておくほうがよい。葉部34の先端は、成育保護シート40の外側にはみだして、マルチフィルム20の上で露出した状態になる。
畝10の全長にわたって、成育保護シート40を取り付ければ、成育保護シート40の施工は完了する。
成育保護シート40の施工は、農作業者が、前記した巻回ロールRを、畝10の上で転がしながら、成育保護シート40を引き出していけば、個々の植え付け孔22毎に、藁を敷いたり土饅頭を盛ったりするような面倒な重労働は必要としない。
成育保護シート40の配置および貼り付け作業を自動化する機械装置を利用することもできる。シートの敷設という点では共通するマルチフィルムの敷設装置やその機構を利用して、成育保護シート40の敷設装置を構成することができる。
〔農作物の栽培〕
植え付け孔22が成育保護シート40で覆われた状態で、さつま芋の栽培が行われる。
<新芽の生育>
土壌内で芋苗30の蔓部32からは、新芽が出て伸びていく。図2、3に示すように、新芽36は、土壌からマルチフィルム20の植え付け孔22を通過し、成育保護シート40の点線状切れ目44の貫通している切れ目を通過したり、点線の連結点を突き破って通過したりして、成育保護シート40の上方へと伸びていく。蔓部32から新芽36が発生する位置は決まっていないが、成育保護シート40に到達した新芽36は、最も抵抗の弱い個所を探して上方に伸びていくので、自然に、点線状切れ目44の位置を通過することになる。シート基材42自体も紙材料など比較的に破れ易い材料であれば、点線状切れ目44以外の場所を新芽36が突き破って伸びることもある。
成育保護シート40の上方に伸びた新芽36は、日射を十分に受けて、光合成などの作用を十分に生じ、土壌内で新たな、さつま芋を成育させることになる。新芽36が太くなったり蔓になったりするときは、成育保護シート40の点線状切れ目44を押し拡げたり、さらに、突き破ったりすることができるので、成育の邪魔をすることはない。
なお、新芽が出る前あるいは新芽の生育とともに、蔓部32からは新しい根が伸びて土壌に活着する。
<成育保護機能>
成育保護シート40は保温性があるので、植え付け孔22から土壌の熱が逃げることはない。紙材料からなるシート基材42は、マルチフィルム20よりも保温性に優れている場合もある。
太陽の日射は、成育保護シート40のシート基材42をある程度まで透過するので、土壌および芋苗30に日射エネルギーが到達して、温度が高まり、蔓部32の活着および成育を促進する。成育保護シート40の内側に溜まった熱エネルギーは、成育保護シート40の外に逃げ難い。その結果、土壌あるいは芋苗30の周辺における霜の発生や付着も阻止できる。
降雨や散水を行ったときには、通水性があるシート基材42を通じて、植え付け孔22から土壌および芋苗30に水分が良好に補給される。点線状切れ目44のような易通過部では、水分の通過がより良好に行われる。
日射が強過ぎる場合は、成育保護シート40が日射を和らげるので、土壌や芋苗30に悪影響を及ぼすことが防止される。土壌が過剰に乾燥することも防止できる。
風が強かったり大量の降雨があったりしても、成育保護シート40で覆われた土壌や芋苗30は、風で吹き飛ばされたり雨で流されたりすることが防がれる。
シート基材42には通気性があるので、土壌と大気との間で空気の循環が良好に行われ、土壌菌などの活動も良好に行われる。土壌が過剰な湿度状態になった場合は、湿気を蒸発させて湿度を下げることができる。土壌内に芋苗30を腐敗させたり病害を招したりするような微生物や虫が発生することを防ぐ。
これらの作用によって、温度および湿度、日射、通風などの成育環境を、芋苗30の成育にとって好ましい適切な状態に維持することができる。
<収穫および廃棄>
さつま芋の収穫時には、成育保護シート40のシート基材42を破り取ったり、マルチフィルム20の植え付け孔22を破り拡げたりして、土壌を掘り返して、成育したさつま芋を収穫することができる。畝10を覆うマルチフィルム20の全体を成育保護シート40とともに撤去してから、畝10を掘って、さつま芋を収穫しても良い。自動収穫装置を使って、マルチフィルム20および成育保護シート40の撤去と、さつま芋の収穫とを機械的に自動化することもできる。
撤去された成育保護シート40は、シート基材42および粘着テープ46の何れもが、比較的に廃棄処理が容易な材料からなるので、成育保護シート40の廃棄処理も容易である。主に紙材料からなる成育保護シート40は、焼却処理も容易であるし、埋め立て処理をすれば土中での分解も早い。
〔別の使用形態〕
成育保護シート40を、敷設する前のマルチフィルム20に対して、所定の位置に貼り付けておくことができる。
この成育保護シート40が一体化されたマルチフィルム20を、畝10を覆うようにして敷設すれば、マルチフィルム20の敷設作業と成育保護シート40の取付作業とが一度で完了する。
但し、この場合は、畝10を覆うマルチフィルム20とともに成育保護シート40を切り開いて、苗類の植え付け作業を行うことになる。苗類を植え付けたあとで、成育保護シート40の切り開いた部分を閉じておく。閉じた部分が自然に開かないように、粘着テープなどで接合しておくことができる。
その後の、栽培および収穫、撤去作業などは前記した実施形態と同様に行える。
例えば、さつま芋の栽培など、従来から、畝をマルチフィルムで覆ったり、敷き藁を用いたりしていた農作物の栽培に利用できる。
本発明の実施形態を表す農作物の栽培状態を示す断面図 上面図 新芽の成育状態を示す断面図 芋苗の植え付け状態を示す断面図 成育保護シートの斜視図(a)および要部拡大断面図(b)
符号の説明
10 畝
20 マルチフィルム
22 植え付け孔
30 芋苗
32 蔓部
34 葉部
36 新芽
40 成育保護シート
42 シート材料部
44 易通過部
46 粘着テープ
47 粘着層
48 易剥離面
R 巻回ロール

Claims (6)

  1. 土壌に形成された畝に農作物の苗類を植え付けて成育させる栽培方法であって、
    前記土壌の畝をマルチフィルムで覆う工程(a)と、
    前記マルチフィルムに植え付け孔をあける工程(b)と、
    前記マルチフィルムの植え付け孔から畝に前記農作物の苗類を植え付ける工程(c)と、
    育保護シートを、これで前記植え付け孔を塞ぐようにしてマルチフィルムの表面に配置し、成育保護シートの粘着面をマルチフィルムの表面に当接させて成育保護シートをマルチフィルムに接合する工程(d)と
    を含み
    前記成育保護シートとして、通気性、通水性および光透過性を有し、前記マルチフィルムの植え付け孔の幅よりも広い帯状をなすシート材料からなり、このシート材料には、幅方向の直線状をなし前記苗類の新芽がその生長力により容易に通過できる易通過部が、両側辺を残して全幅に対し10〜80%の範囲で、かつ、長さ方向に3〜10cmの間隔をあけて平行に設けられている、成育保護シートを用いる、
    ことを特徴とする、農作物の栽培方法。
  2. 前記農作物の苗類が芋苗であり、前記工程(b)では、前記芋苗を前記畝に沿って延ばした姿勢で植え付けられる長さの植え付け孔をあけ、前記工程(c)では、前記芋苗の一部を前記植え付け孔から畝に沿って延ばした姿勢で土壌に埋め込み、前記芋苗の残りの部分を前記植え付け孔からマルチフィルムの上方に延ばした姿勢で配置し、前記工程(d)では、前記成育保護シートを、前記植え付け孔およびマルチフィルムの上方に延ばした前記芋苗を覆ってマルチフィルムの表面に配置し、成育保護シートの前記粘着面を前記芋苗の一部を挟んでマルチフィルムの表面に当接させて成育保護シートをマルチフィルムに接合する請求項に記載の農作物の栽培方法。
  3. 請求項1または2に記載の栽培方法に使用される農作物の成育保護シートであって、
    通気性、通水性および光透過性を有し、前記マルチフィルムの植え付け孔の幅よりも広い帯状をなすシート材料からなり、
    このシート材料には、幅方向の直線状をなし前記苗類がその新芽の生長力により容易に通過できる易通過部が、両側辺を残して全幅に対し10〜80%の範囲で、かつ、長さ方向に3〜10cmの間隔をあけて平行に設けられているとともに、
    両側辺の裏面側に配置された粘着面と、両側辺の表面側で前記粘着面に対応する箇所に配置された易剥離面とを備える、
    ことを特徴とする、成育保護シート。
  4. 前記シート材料が、紙、不織布、生物分解性合成樹脂シートからなる群から選ばれる請求項に記載の成育保護シート。
  5. 前記粘着面および易剥離面片面に粘着層が形成され粘着層の反対面が易剥離性を有する粘着テープによって構成され、前記粘着テープが、前記帯状をなすシート材料の表面の両側辺に、粘着テープの幅の一部がシート材料の外側にはみ出すようにして貼り付けられてなる請求項またはに記載の成育保護シート。
  6. 記粘着面を内側に前記易剥離面を外側に向けてロール状に巻回されてなる、請求項3から5までのいずれかに記載の成育保護シート。
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