JP3840997B2 - Control device for clutch - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関等の動力源と変速機との間のトルク伝達を行なわせる車両用クラッチの制御装置に関するものであり、特に、クラッチフェーシングの摩耗による影響を可及的に少なくする摩耗調整等を行なうクラッチの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種のクラッチの制御装置においては、クラッチフェーシング(クラッチディスク)の摩耗に伴ってダイアフラムスプリングの姿勢が変化するため、クラッチフェーシングが摩耗すると、クラッチを非係合状態とするのに必要な操作力、即ちクラッチカバーにかかる荷重が増大する。このため、例えば特開平5−215150号公報に開示される装置では、クラッチの操作時におけるクラッチカバーにかかる荷重(クラッチカバーに保持されるダイアフラムスプリングに対する荷重)に応じてダイアフラムスプリングの支点の高さを変更し、これによりダイアフラムスプリングの姿勢を修正し、クラッチフェーシングの摩耗に伴うクラッチの荷重特性の変化を補償するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、車両の運転に伴う振動等によりクラッチカバーが共振し、クラッチカバーにかかる荷重が変動することがあるため、クラッチフェーシングの摩耗を精度良く補償できないという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべく、クラッチフェーシングの摩耗を精度良く補償することが可能なクラッチの制御装置を提供することを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、駆動源の出力軸と一体的に回転するフライホイールに対向するクラッチディスクをプレッシャプレートとダイアフラムスプリングとを介して進退させ、クラッチディスクの係合状態を変化させるための力をダイアフラムスプリングに付与するアクチュエータと、フライホイールに固定されてクラッチディスクの係合状態が変化するときのダイアフラムスプリングの作動支点を形成するクラッチカバーと、プレッシャプレートとダイアフラムスプリングとの間に配設されてプレッシャプレートとダイアフラムスプリングの間の力の伝達経路を形成するとともにダイアフラムスプリングとプレッシャプレートの軸方向の距離を変更し得るように構成された調整機構と、アクチュエータの作動を制御する制御手段と、を備えてフライホイールとクラッチディスクとの係合状態を変化させる車両用クラッチの制御装置において、調整機構は、プレッシャプレートに形成されてプレッシャプレートからダイアフラムスプリングに向かうテーパ面を有するテーパ部と、テーパ部に固定され、プレッシャプレートからダイアフラムスプリングに向かって立設するロアラック歯を有するロアラックと、テーパ部とダイアフラムスプリングとの間に相対回転可能に配設され、テーパ面と当接するウェッジ側テーパ面を有するアジャストウェッジ部材と、アジャストウェッジ部材に形成され、ダイアフラムスプリングからプレッシャプレートに向かって立設するピニオン歯を形成するアジャストピニオンと、アジャストピニオンとロアラックとの間でアジャストピニオン及びアジャストウェッジ部材に対して相対回転可能に配設され、ピニオン歯と噛合可能な第1ラック歯とロアラック歯と噛合可能な第2ラック歯とを有するアッパラックと、ロアラック歯の歯面と第2ラック歯の歯面とが摺接しながらアッパラックとロアラックとの噛合を解除する方向にアッパラックを付勢する付勢部材と、プレッシャプレートがクラッチカバーに近づく軸方向への移動を規制するストッパ部と、ダイアフラムスプリングの外周端部の軸方向の作動に追従してアジャストウェッジ部材を軸方向に作動させるべくアジャストウェッジ部材をダイアフラムスプリングの外周端部に保持する保持部材とを備え、制御手段は、所定の条件が成立していない場合には、ストッパ部によりプレッシャプレートの軸方向への移動が規制されない範囲内でダイアフラムスプリングに力を付与して、ピニオン歯と第1ラック歯、及び第2ラック歯とロアラック歯とが噛合した状態でプレッシャプレートを進退させるようにアクチュエータの作動を制御し、所定の条件が成立した場合には、ストッパ部によりプレッシャプレートの軸方向への移動が規制された後もダイアフラムスプリングに力を付与することで、アジャストウェッジ部材がプレッシャプレートに対して軸方向に相対移動する移動量をピニオン歯と第1ラック歯との噛合を完全に解除するのに必要な軸方向変位量以上にすることにより、クラッチを係合状態に戻すときにピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面をずらし、ダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの軸方向の距離を変更するようにアクチュエータの作動を制御することを特徴とするクラッチの制御装置とした。
【0006】
本発明によれば、所定の条件が成立した場合にのみ、調整機構がダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの距離を変更するので、所定の条件を例えばクラッチが共振する可能性の少ない運転条件とすることにより、クラッチの摩耗を精度良く補償することが可能となる。
【0007】
更に本発明によれば、所定の条件が成立した場合には、プレッシャプレートの軸方向への移動が規制された後にダイアフラムスプリングの姿勢が変化し続け、保持部材を介してダイアフラムスプリングに保持されるアジャストウェッジ部材はプレッシャプレートに対して軸方向に相対移動する。調整機構は、アジャストピニオンとロアラックに対して相対回転可能にアッパラックを配設しているので、アジャストウェッジ部材がプレッシャプレートに対して軸方向に相対移動する移動量が、ピニオン歯と第1ラック歯との噛合を完全に解除するのに必要な軸方向変位量とを加えた変位量より大きくなると、ピニオン歯と第1ラック歯との噛合が完全に解除される。このとき、ロアラック歯の歯面と第2ラック歯の歯面とを摺接しながらアッパラックとロアラックとの噛合を解除する方向へのアッパラックの変位が許容される。つまり、ピニオン歯と第1ラック歯との噛合によって規制されていたアッパラックは、軸方向及び周方向の変位が許容される。付勢部材は、第2ラック歯をロアラック歯に摺接させながらアッパラックを付勢しており、第2ラック歯とロアラック歯との歯面の周方向の傾きに沿った周方向変位量だけ、アッパラックが周方向に付勢されることとなる。この状態ではピニオン歯及びロアラック歯に対して第1ラック歯及び第2ラック歯が周方向に変位したことになる。この状態からクラッチを係合状態とする方向にダイアフラムスプリングの姿勢を変化させる、つまりダイアフラアムスプリングの外周端部の作動に追従してアジャストピニオンを軸方向に移動させると、所定の条件が成立する前の状態に対してアッパラックが周方向に変位しているので、ピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面は、所定の条件が成立する前の状態に対して異なる(ずれる)ことになる。この状態からダイアフラムスプリングの姿勢を変化させてクラッチの完全係合状態へと移行すると、先述したように所定の条件が成立した後では、ピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面が異なるので、アジャストピニオンを固定するアジャストウェッジ部材とロアラックを固定するテーパ部とがアッパラックを介して周方向に相対回転する。したがって、アジャストウェッジ部材のウェッジ側テーパ面とテーパ部のテーパ面との当接状態が変化して、クラッチの係合状態でのアジャストウェッジ部材とプレッシャプレートとの軸方向距離が変化する。これにより、ダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの軸方向距離が変化し、クラッチの摩耗を補償する。
【0008】
このように、本発明では、クラッチの摩耗を補償する際に、付勢部材により所定の周方向変位量だけアッパラックを周方向に相対回転させて、再びクラッチを係合するときにアジャストピニオンのピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面をずらしている。これによって、アジャストウェッジ部材とテーパ部とが相対回転する。したがって、各構成が錆付いたり各構成間の摺動抵抗が大きくなる場合であっても、アクチュエータの作動に伴って確実にダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの軸方向距離を変化させることができ、確実にクラッチの摩耗を補償することが可能になる。
【0009】
更に具体的には、請求項2に示すように、アッパラックが、ロアラック歯と第2ラック歯との噛合が完全に解除される前にロアラックに対する軸方向及び周方向の変位量を規制する規制部を備えるようにすると、ピニオン歯と第1ラック歯との噛合が解除されたときに、第2ラック歯とロアラック歯とが噛合する各歯面が変更されることがない。そのため、所定の条件が成立した場合には、ピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面のみが変化する(ずれる)ことになって、精度良くクラッチの摩耗を補償することができ、好適である。
【0010】
また、請求項3に示すように、規制部にて規制されるアッパラックのロアラックに対する周方向の変位量を第1ラック歯の歯面の半ピッチから1ピッチ以下に設定し、所定の条件が成立する前に第1ラック歯と噛合するピニオン歯に対して、所定の条件が成立した後に第1ラック歯と噛合するピニオン歯がダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの軸方向の距離を大きくする方向に1ピッチだけずれて噛合するようにすると、クラッチの摩耗調整時には、第1ラック歯の1ピッチの距離に応じたテーパ面の高さを変更することができ、微少な摩耗の補償が可能になる。
【0011】
更に、請求項4に示すように、所定の条件が成立した場合には、アジャストウェッジ部材がプレッシャプレートに対して軸方向に相対移動する移動量を、規制部にて規制されるアッパラックの軸方向変位量にピニオン歯と第1ラック歯との噛合を完全に解除するのに必要な軸方向変位量とを加えた変位量以上にすると、所定の条件が成立した場合には付勢部材の付勢力によらずにピニオン歯と第1ラック歯との噛合が完全に解除されるので、ピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面が、所定の条件が成立する前の状態に対して確実に異なる(ずれる)。したがって、微少な摩耗の補償ができるとともに確実にクラッチの摩耗を補償することができ、好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクラッチの制御装置の実施の形態について、図を参照して説明する。図1に概略的に示されたクラッチの制御装置は、駆動源であるエンジン10と変速機11との間に配設される摩擦クラッチ20の係合・非係合を制御するものであり、エンジン10の出力軸と一体的に回転するフライホイール21に対向するクラッチディスク23をプレッシャプレート24とダイアフラムスプリング25とを介して進退させ、クラッチディスク23の係合状態を変化させるための力をダイアフラムスプリング25に付与するアクチュエータ30と、フライホイール21に固定されるクラッチカバー22と、アクチュエータ30に駆動指令信号を出力してアクチュエータ30の作動を制御する制御手段であるクラッチ制御回路40と、プレッシャプレート24とダイアフラムスプリング25の間の力の伝達経路を形成するとともにダイアフラムスプリング25とプレッシャプレート24の軸方向の距離を変更し得る調整機構と、を含んで構成されている。
【0013】
摩擦クラッチ20は、図2にその詳細を示したように、フライホイール21、クラッチカバー22、クラッチディスク23、プレッシャプレート24、ダイアフラムスプリング25、レリーズベアリング26、レリーズフォーク27、変速機ケース11aに固定されたピボット支持部材28、及びアジャストウェッジ部材82を主たる構成要素として備えている。尚、プレッシャプレート24及びダイアフラムスプリング25等はクラッチカバー22に一体的に組付けられるため、これらをクラッチカバー組立体と称する。
【0014】
フライホイール21は円板状を呈しており、エンジン10のクランクシャフト(駆動源の出力軸)10aにボルト固定されていて、クランクシャフト10aと一体回転する。
【0015】
クラッチカバー22は、略円筒形状であって、円筒部22aと、円筒部22aの内周側に形成されたフランジ部22bと、円筒部22aの内周縁に周方向に等間隔で形成された複数の支点形成部22cとを含んでなり、円筒部22aの外周部にてフライホイール21にボルト固定されてフライホイール21と一体回転する。
【0016】
クラッチディスク23は、エンジン10の動力を変速機11に伝達する摩擦板であって、フライホイール21とプレッシャプレート24との間に配設され、中央部にて変速機11の入力軸とスプライン結合されることにより軸方向に移動できるようになっている。また、クラッチディスク23の外周部の両面には、摩擦材からなるクラッチフェーシング23a、23bがリベットにて固定されている。
【0017】
プレッシャプレート24は、クラッチディスク23をフライホイール21側に押圧してフライホイール21との間に挟み込み、クラッチディスク23をフライホイール21と摩擦係合させて一体的に回転させるものである。このプレッシャプレート24は、クラッチカバー22の回転に伴って回転するように、ストラップ24aによりクラッチカバー22と連結されている。
【0018】
ストラップ24aは、積層された複数枚の薄い板バネ材から構成されていて、図3に示したように、その一端がリベットR1にてクラッチカバー22の外周部に固定されるとともに、他端がリベットR2にてプレッシャプレート24の外周部に設けられた突起に固定されている。これにより、ストラップ24aは、プレッシャプレート24がフライホイール21から離間し得るように、プレッシャプレート24に対して軸方向の付勢力を付与している。
【0019】
ダイアフラムスプリング25は、図3にも示したように、クラッチカバー22の円筒部22aの内周に沿って放射状に配置された12本の弾発性の板材25a(以下、レバー部材25aと称す)から構成されている。各レバー部材25aは、図2に示したように、クラッチカバー22の支点形成部22cに、各レバー部材25aの軸方向両側に配置された一対のリング状の支点部材25b、25cを介して挟持される。これにより、レバー部材25aは、クラッチカバー22に対し支点部材25b、25cを作動支点としたピボット運動をすることができる。
【0020】
調整機構について説明する。図4は図3の調整機構に係わる構成を側方から見た図である。プレッシャプレート24の外周部にはリング状のテーパ部81が形成されていて、テーパ部81が有する鋸歯状の複数のテーパ面81aがダイアフラムスプリング25に向けて立設される。また、テーパ面81aとダイアフラムスプリング25の外周部との間には、アジャストウェッジ部材82が配設されている。このアジャストウェッジ部材82は、テーパ部81と同一径のリング状の部材であって、テーパ面81aと同一形状のウェッジ側テーパ面82aを有していて、ウェッジ側テーパ面82aとテーパ面81aとは、図4に示すように互いに当接している。尚、アジャストウェッジ部材82のダイアフラムスプリング25側端面は平坦とされている。
【0021】
図7は図3の調整機構に係わる構成を側方から見た断面図であり、図7(A)〜図7(D)はダイアフラムスプリング25の姿勢変化による調整機構の作動を示している。図7に示したように、アジャストウェッジ部材82の内周面には、リベット83cにてアジャストピニオン83が固定されている。このアジャストピニオン83には、ダイアフラムスプリング25からプレッシャプレート24への軸方向に向けて起立するピニオン歯83aが形成されている。ピニオン歯83aは、鋸歯形状(又は等間隔に配置される三角形状)を呈している。
【0022】
図4及び図7に示すように、プレッシャプレート24のアジャストピニオン83と対向する端面には、ロアラック85が取り付けられている。ロアラック85は、プレッシャプレート24の端面からダイアフラムスプリング25側へ向かう軸方向に立設するロアラック歯85aを備えている。また、ロアラック85のロアラック歯85aの両端部にはロアラック歯85aの立設方向に沿って突出する突出部85bが設けられている。このように構成されるロアラック85のプレッシャプレート24への取付けについて説明する。図3に示すように、ロアラック85よりも周方向に長く形成された固定板材88をテーパ部81の外周面に沿って組付けて、テーパ部81の内周側に延出する固定板材88の両端部をロアラック85の両端部を跨ぐようにしてネジ88aにてプレッシャプレート24に固定している。これにより、ロアラック85がプレッシャプレート24に対して固定される。
【0023】
アジャストピニオン83とロアラック85との軸方向間には、アジャストピニオン83及びロアラック85に対して相対回転可能なアッパラック84が配設されている。アッパラック84は、プレッシャプレート24からダイアフラムスプリング25に向かう軸方向に立設するとともにピニオン歯83aと噛合可能な第1ラック歯84aと、ダイアフラムスプリング25からプレッシャプレート24に向かう軸方向に立設するとともにロアラック歯85aと噛合可能な第2ラック歯84bとを有している。そして、アッパラック84の長手方向の両端部には、ロアラック85の突出部85bと係止可能な規制部84cが設けられている。この規制部84cが突出部85bの端部に引っ掛かることで、ロアラック歯85aと第2ラック歯84bとの噛合が完全に解除される前にロアラック85に対する軸方向及び周方向の変位量が規制されるように構成されている。尚、規制部84cにて規制されるアッパラック84のロアラック85に対する周方向の変位量は、第1ラック歯84aの歯面の半ピッチから1ピッチの範囲内となるように予め設定されている。
【0024】
ロアラック85の外周面側の一方の突出部85b1近傍には、アッパラック84とロアラック85との噛合を解除する方向にアッパラック84を付勢する付勢部材87の一端が係止している。付勢部材87は、一端が係止された状態でロアラック85の外周面に沿ってロアラック85の他方の突出部85b2側に延在し、切り欠き85cを介してロアラック85の内周面側に延出している。更に、ロアラック85の内周面では他方の突出部85b2側から一方の突出部85b1側へと延出するとともに、ロアラック歯85aの歯面と第2ラック歯84bの歯面とが摺接しながら噛合を解除する方向(図面C方向)にアッパラック84を付勢するバネ部87aが形成されている。尚、付勢部材87の一端から切り欠き85cまで延在する部分は、バネ部87aによりアッパラック84を付勢する力を受ける受部87bである。この付勢部材87によって、ロアラック歯85aの歯面と第2ラック歯84bの歯面とが摺接しながらアッパラック84とロアラック85との噛合を解除する方向にアッパラック84が付勢される。
【0025】
プレッシャプレート24の外周側のダイアフラムスプリング25側の端面には、プレッシャプレート24からダイアフラムスプリング25へ向かう軸方向にストッパ部24bが立設している。このストッパ部24bとクラッチカバー内周側の上端面との間には、クラッチ20の係合状態において隙間が形成されており、ダイアフラムスプリング25の姿勢に応じてこの隙間の範囲内でプレッシャプレート24が軸方向に移動可能である。ダイアフラムスプリング25の姿勢が変化してストッパ部24bがクラッチカバー22内周側の上端面に当接すると、プレッシャプレート24はこれ以上のクラッチカバー22に近づく軸方向への移動ができなくなる。
【0026】
アジャストウェッジ部材82の外周面側にはリベット86aにて保持部材86が固定されている。保持部材86は、アジャストウェッジ部材82のダイアフラムスプリング25側の端面よりもダイアフラムスプリング25側に延出するとともに、アジャストウェッジ部材82の外周面側から内周面側に向かって屈曲しており、保持部材86とアジャストウェッジ部材82の端面との間でダイアフラムスプリング25の外周端部を保持している。保持部材86によって、ダイアフラムスプリング25の外周端部の軸方向の作動に追従してアジャストウェッジ部材82が軸方向に作動する。
【0027】
図4に示すように、アジャストピニオン83が固定されている箇所に対向するアジャストウェッジ部材82の外周面には、噛合解除部材89が取り付けられている。噛合解除部材89は、一端がアジャストウェッジ部材82の周面に対して回転可能に取付けられ、他端がプレッシャプレート24のダイアフラムスプリング25側の端面と当接可能に形成される。また、一端と他端との間にはプレッシャプレート24からダイアフラムスプリング25に向かう軸方向に立設されて、クラッチ20の係合状態においてクラッチカバー22内周側の上端面と所定の距離をもって突出する突部89aが形成されている。尚、噛合解除部材89の一端は、アジャストピニオン83を固定するリベット83cの1つによってアジャストウェッジ部材82に取り付けられている。また、クラッチ20の係合状態において突部89aとクラッチカバー22内周側の上端面とのなす距離は、ストッパ部24bがクラッチカバー22内周側の上端面と当接すると同時に突部89aがクラッチカバー22内周側の上端面と当接するように設定されている。
【0028】
レリーズベアリング26は、変速機11の入力軸の外周を包囲するように変速機ケース11aに支持された支持スリーブ11bに対して摺動可能に支持されていて、レバー部材25aの内端部(ダイアフラムスプリング25の中央側)をフライホイール21側に押動するための力点部26aを構成している。
【0029】
レリーズフォーク(フォーク部材)27は、アクチュエータ30の作動に応じてレリーズベアリング26を軸方向に摺動させるためのものであって、一端がレリーズベアリング26と当接し、他端がアクチュエータ30のロッド31の先端部と当接部27aにて当接している。また、レリーズフォーク27は、変速機ケース11aに固定されたスプリング27cによりピボット支持部材28に組付けられていて、レリーズフォーク27の略中央部27bにてピボット支持部材28を支点として揺動するように構成されている。
【0030】
アクチュエータ30は、前述したロッド31を進退移動させるためのものであって、直流電動モータ32と、電動モータ32を支持するとともに車両の適宜箇所に固定されたハウジング33とを備えている。ハウジング33内には、電動モータ32により回転駆動される回転軸34と、側面視にて扇形を呈しハウジング33内に揺動可能に支持されたセクタギア35と、アシストスプリング36とが収容されている。
【0031】
回転軸34にはウォームが形成され、セクタギア35の円弧部と噛合している。また、ロッド31の基端部(レリーズフォーク27と当接している先端部と反対側の端部)は、セクタギア35に回動可能に支持されている。これらにより、電動モータ32が回転するとセクタギア35が回転し、ロッド31がハウジング33に対して進退運動するようになっている。
【0032】
アシストスプリング36は、セクタギア35の揺動範囲内において圧縮されている。アシストスプリング36の一端はハウジング33の後端部に係止され、他端はセクタギア35に係止されている。これにより、アイシストスプリング36は、セクタギア35が図2において時計周りに所定角度以上回転すると、セクタギア35を時計周りの方向に付勢し、これにより、ロッド31を図2において右方向へ付勢して電動モータ32によるロッド31の右方向への移動を補助している。
【0033】
再び図1を参照すると、クラッチ制御回路40は、マイクロコンピュータ(CPU)41、インターフェース42〜44、電源回路45、及び駆動回路46等から構成されている。CPU41は、後述するプログラム及びマップ等を記憶したROM及びRAMを内蔵している。
【0034】
インターフェース42は、バスを介してCPU41に接続されるとともに、変速機10のシフトレバー(図示せず)が運転者にて操作されたときに生じる荷重(シフトレバー荷重)を検出するシフトレバー荷重センサ51、車速Vを検出する車速センサ52、変速機10の実際の変速段を検出するギア位置センサ53、変速機11の入力軸11aの回転数を検出する変速機入力軸回転数センサ54、及びアクチュエータ30に固定されセクタギア35の揺動角度を検出することによりロッド31のストロークSTを検出するストロークセンサ37と接続されていて、CPU41に対し各センサの検出信号を供給するようになっている。
【0035】
インターフェース43は、バスを介してCPU41に接続されるとともに、エンジン制御装置60と双方向の通信が可能となるように接続されている。これにより、クラッチ制御回路40のCPU41は、エンジン制御装置60が入力しているスロットル開度センサ55及びエンジン回転数センサ56の情報を取得し得るようになっている。
【0036】
インターフェース44は、バスを介してCPU41に接続されるとともに、電源回路45のOR回路45aの入力端子と駆動回路46とに接続されていて、CPU41からの指令に基づきこれらに所定の信号を送出するようになっている。
【0037】
電源回路45は、OR回路45aと、OR回路45aの出力端がベースに接続されたパワートランジスタTrと、定電圧回路45bとを備えている。パワートランジスタTrのコレクタは車両に搭載されたバッテリ70のプラス端子と接続され、エミッタは定電圧回路45bと駆動回路46とに接続されていて、パワートランジスタTrがオン状態とされたとき、それぞれに電源を供給するようになっている。定電圧回路45bは、バッテリ電圧を所定の一定電圧(5V)に変換するもので、CPU41、及びインターフェース42〜44に接続されていて、各々に電源を供給するようになっている。OR回路45aの他の入力端子には、運転者によりオン状態及びオフ状態に操作されるイグニッションスイッチ71の一端が接続されている。このイグニッションスイッチ71の他端はバッテリ70のプラス端子に接続されている。また、イグニッションスイッチ71の一端はインターフェース42にも接続されていて、CPU41はイグニッションスイッチ71の状態を検出し得るようになっている。
【0038】
駆動回路46は、インターフェース44からの指令信号によりオン又はオフする4個のスイッチング素子(図示省略)を内蔵している。これらのスイッチング素子は、周知のブリッジ回路を構成し、選択的に導通状態とされるとともに導通時間が制御され、電動モータ32に所定方向及び所定方向と逆方向の任意の大きさの電流を供給するようになっている。
【0039】
エンジン制御装置60は、図示しないマイクロコンピュータを主要件として構成され、エンジン10の燃料噴射量及び点火時期等を制御するものであり、前述したようにエンジン10のスロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ55と、エンジン10の回転数NEを検出するエンジン回転数センサ56等と接続され、それぞれのセンサからの信号を入力・処理するようになっている。
【0040】
上記のように構成されたクラッチの制御装置においては、運転者によるクラッチペダル操作に代わり、アクチュエータ30がクラッチの断接操作(係合・非係合の操作)を自動的に行なう。即ち、断接操作は、CPU41が、例えば(1)車両が走行している状態から停止する状態に移行していることを検出した場合(変速機入力軸回転数が所定値以下に低下した場合)、(2)シフトレバー荷重センサ51の検出する荷重が所定値以上となったことを検出した場合(ドライバーの変速意志が確認された場合)、(3)車両が停止している状態において、アクセルペダルが踏込まれたことを検出した場合等において実行される。
【0041】
このクラッチの制御装置において、クラッチ20を係合状態とし、エンジン10の動力を変速機11に伝達する場合の作動について説明すると、先ず、クラッチ制御回路40からの指令信号により駆動回路46が電動モータ32に所定の電流を流し、電動モータ32を回転駆動する。これにより、セクタギア35が図2において反時計周り方向に回転し、ロッド31が左方向に移動する。
【0042】
一方、レリーズベアリング26は、ダイアフラムスプリング25により、フライホイール21から離間する方向(図2の右方向)に力を受けている。この力は、レリーズベアリング26を介してレリーズフォーク27に伝達されるため、レリーズフォーク27は、ピボット支持部材28を支点として図2において反時計周り方向に揺動する力を受けている。従って、ロッド31が図2において左方向に移動すると、レリーズフォーク27は反時計周り方向に揺動するとともにダイアフラムスプリング25の中央部はフライホイール21から離間する方向に変位する。
【0043】
図5はクラッチ20が係合状態のときの調整機構の断面図を、図6はクラッチ20が係合状態のときのダイアフラムスプリング25の保持に係わる断面図をそれぞれ示している。図5及び図6に示す状態では、ダイアフラムスプリング25は支点部材25b、25cを中心として揺動(姿勢変化)し、ダイアフラムスプリング25の外周部と当接するアジャストウェッジ部材82をフライホイール21側に押動する。この結果、プレッシャプレート24はテーパ部81を介してフライホイール21側へ向かう力を受け、クラッチディスク23をフライホイール21との間で挟み込む。これと同時に、プレッシャプレート24はアジャストピニオン83、アッパラック84、及びロアラック85を介してフライホイール21側へ向かう力を受け、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとが噛合状態を維持するとともに第2ラック歯84bとロアラック歯85aとが噛合状態を維持している。したがって、アジャストピニオン83とロアラック85との相対回転が許容されることがないので、アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24に対し相対回転しない。これにより、プレッシャプレート24とダイアフラムスプリング25の外周端部とが一定の距離を保持しながらクラッチディスク23がフライホイール21と摩擦係合して一体的に回転するようになり、変速機11にエンジン10の動力が伝達される。
【0044】
次に、クラッチ20を非係合状態とし、エンジン10の動力を変速機11に伝達しない状態とする場合について説明する。この場合には、電動モータ32を回転駆動してセクタギア35を図2において時計周りに回転させる。これによりロッド31が図2において右方向に移動し、レリーズフォーク27に対して当接部27aにて右方向の力を与えるため、レリーズフォーク27はピボット支持部材28を支点として図2において時計周りに回動し、レリーズベアリング26をフライホイール21側に押動する。
【0045】
このため、ダイアフラムスプリング25は力点部26aにてフライホイール21に向かう力を受け、支点部材25b、25cを中心に揺動(姿勢変化)するため、ダイアフラムスプリング25の外周端部はフライホイール21から離間する方向に移動し、アジャストウェッジ部材82を介してプレッシャプレート24をフライホイール21側に押圧していた力は減少する。一方、プレッシャプレート24は、ストラップ24aによりクラッチカバー22と接続されていて、フライホイール21から離間する方向に常に付勢されているため、この付勢力によりクラッチディスク23から僅かに離れる。この結果、クラッチディスク23はフリー状態となって、エンジン10の動力が変速機11に伝達されない状態となる。
【0046】
この通常運転時のクラッチの非係合状態においては、プレッシャプレート24のストッパ部24bとクラッチカバー22とが当接しない範囲内(噛合解除部材89の突部89aとクラッチカバー22とが当接しない範囲内)でアクチュエータ30のロッド31のストロークSTを制御しておく。これによると、プレッシャプレート24からダイアフラムスプリング25への軸方向の距離は変更されないため、図7(A)に概念的に示したように、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合状態は維持されるとともにロアラック85のロアラック歯85aとアッパラック84の第2ラック歯84bとの噛合状態が維持されて、アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24に対し相対回転しない。換言すれば、アジャストピニオン83の第1ピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合と、ロアラック85のロアラック歯85aとアッパラック84の第2ラック歯84bとの噛合とがともに解除されない程度にロッド31のストロークSTを決定しておく。
【0047】
次に、クラッチフェーシング23a、23bが摩耗した際に、これを補償するための作動について、図9及び図10に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
【0048】
先ず、後述するクラッチディスク23の摩耗補償動作(アジャスト動作)がなされた直後、或いは工場からの出荷時やクラッチディスク23の交換直後等であってクラッチフェーシング23a、23bの摩耗が進行していない場合から説明を開始すると、CPU41は、電源供給がなされている限り、図9に示したアジャスト要否判定ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、CPU41は所定のタイミングにて図9のルーチンをステップ600から開始し、ステップ605に進んでフラグFIGの値が「0」であるか否かを判定する。このフラグFIGは、イグニッションスイッチ71がオフ状態からオン状態へと変更されたときに、CPU41が実行するイニシャルルーチン(図示省略)により「0」に設定され、後述するように、10個のバッファA(1)〜A(10)の内容が更新されたときに「1」に設定されるようになっている。
【0049】
従って、イグニッションスイッチ71がオフ状態からオン状態に変更された以降において、バッファA(1)〜A(10)の内容が更新されていない場合には、フラグFIGの値は「0」であるため、CPU41はステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進む。一方、バッファA(1)〜A(10)の内容の更新が実行された場合には、フラグFIGの値は「1」となっているため、CPU41はステップ605にて「No」と判定してステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0050】
ステップ610に進んだ場合には、CPU41は、ステップ610にてエンジン10が停止しているか否かを判定する。具体的には、CPU41は、検出されるエンジン回転数NEが「0」であると判定される場合、又はイグニッションスイッチ71がオン状態からオフ状態へと変更されてエンジン停止に充分な時間が経過していると判定される場合には、エンジン10が停止していると判断する。そして、CPU41は、エンジン10が停止していると判定される場合にはステップ615に進み、エンジン10が停止していないと判定される場合にはステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0051】
CPU41は、ステップ615に進んだ場合には、ステップ615にてクラッチ20を完全係合状態とするため、電動モータ32に流すべき電流IMに完全係合電流値IMKGOを設定する。これにより、電動モータ32が回転し、ロッド31が図2において左方向に移動するため、クラッチディスク23がフライホイール21と次第に係合する。
【0052】
次いで、CPU41はステップ620に進み、クラッチ20が完全係合状態となったか否かを判定する。具体的には、CPU41は、上記ステップ615にて電動モータ32の電流値IMを変更した後に充分な時間が経過している場合、又は、ストロークセンサ37の検出するストロークSTが所定時間以上に亘り変化していない場合に、クラッチ20が完全係合状態に至ったものと判定する。そして、クラッチ20が未だ完全係合状態となっていない場合には、CPU41はステップ620にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0053】
以降においても、所定時間の経過毎にステップ605、610、及び620が繰り返し実行される。このため、フラグFIGの値が「0」であり、且つエンジン10が停止している状態がクラッチ20の係合に要する時間だけ継続すると、CPU41はステップ620にて「Yes」と判定してステップ625に進む。尚、ステップ620にて「Yes」と判定される前にエンジン10が運転状態となると、図示しないルーチンの実行によって各状態に応じた電流が電動モータ32に流され、適切なクラッチの係合制御が実行される。
【0054】
クラッチ20が完全係合状態となり、CPU41が処理をステップ625に進めた場合には、9個のバッファA(2)、A(3)、・・・A(9)、A(10)の値が更新される。具体的には、「n」を1から9までの自然数とするとき、バッファA(n)の内容をバッファA(n+1)に順次移行(シフト)させる。尚、更新前のバッファA(10)の内容は消去される。
【0055】
次いで、CPU41はステップ630に進み、ステップ630にてストロークセンサ37が検出する現在のストロークSTをバッファA(1)に書込む。その後、CPU41は、ステップ635に進んで10個のバッファA(1)〜A(10)内の単純平均値を求め、その単純平均値を完全係合位置KKIとする。次に、CPU41は、ステップ640に進んでフラグFIGの値を「1」に変更し、続くステップ645にてモータ電流IMを「0」として電動モータ32への通電を停止する。
【0056】
次いで、CPU41は、ステップ650に進み、カウンタNの値が所定値T1(ここでは10)より小さいか否かを判定する。このカウンタNは、後述するように、クラッチディスク23の摩耗補償動作がなされたとき、或いは工場からの出荷時やクラッチディスク23の交換時において「0」に設定されるようになっている。現段階ではこれらの何れかに該当するので、カウンタNの値は「0」となっており、従って、CPU41はステップ650にて「Yes」と判定してステップ655に進み、上記ステップ635にて求めた完全係合位置KKIをアジャスト基準位置AKIとして設定する。そして、CPU41はステップ660に進み、カウンタNの値を「1」だけ増大し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0057】
以降においても、CPU41は本ルーチンを所定時間の経過毎に実行する。一方、イグニッションスイッチ71がオフ状態からオン状態へと変更されない限り、フラグFIGの値は「1」に維持される。このため、CPU41は、ステップ605にて「No」と判定しステップ695に直接進むため、完全係合位置KKIやアジャスト基準位置AKIは更新されない。
【0058】
その後、イグニッションスイッチ71がオン状態からオフ状態へと変更され、更にオフ状態からオン状態へと変更されると、フラグFIGの値は「0」に変更される。これにより、CPU41はステップ605にて「Yes」と判定してステップ610以降に進むようになるため、上述した処理が実行され、エンジン停止且つクラッチ完全係合等の条件が成立すると、ステップ655にてアジャスト基準位置AKIが更新されるとともに、ステップ660にてカウンタNの値が「1」だけ増大する。
【0059】
このような作動が繰り返し実行されることにより、バッファA(1)、A(2)、A(3)・・・が順次更新され、アジャスト基準位置AKIも更新されていく。また、カウンタNの値は次第に増大する。このため、ステップ660にてカウンタNの値が所定値T1(10)とされた後の運転において、再びステップ650が実行されると、CPU41は「No」と判定してステップ665に進み、アジャスト基準位置AKIと完全係合位置KKIとの差(差の絶対値でもよい)が所定のしきい値Lより小さく、従ってCPU41はステップ665にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0060】
その後においては、ステップ610〜635の実行により、完全係合位置KKIがクラッチフェーシング23a、23bの摩耗進行程度に応じた値に更新されていく。一方、カウンタNの値は所定値T1より大きい値に維持されるため、CPU41はステップ650にて「No」と判定してステップ665以降に進む。従って、ステップ655が実行されることはなく、アジャスト基準位置AKIは、アジャスト動作実行直後の値、工場からの出荷直後、又はクラッチディスク23の交換直後の値に維持される。
【0061】
その後、車両が長期間に亘り運転され、クラッチ20の係合・非係合の動作が繰り返し行なわれることでクラッチフェーシング23a、23bが摩耗すると、アジャスト基準位置AKIと完全係合位置KKIとの差が所定のしきい値Lより大きくなる。このようになると、CPU41はステップ665の実行時において「Yes」と判定してステップ670に進み、アジャスト動作要求フラグFADJの値を「1」に設定する。このアジャスト動作要求フラグFADJは、その値「1」により、アジャスト動作を実行すべきことを示すフラグである。
【0062】
次いで、CPU41はステップ675に進み、アジャスト基準位置AKIと完全係合位置KKIとの差をクラッチフェーシング23a、23bの摩耗量X(アジャスト必要量)として設定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。以上のようにして、摩耗の程度が進行した場合に、アジャスト動作要求フラグFADJの値が「1」に設定される。
【0063】
尚、上記において、エンジン10が停止している場合にのみ完全係合位置KKI等の更新をするようにしたのは、エンジン10の停止状態であればクラッチ20にエンジンの振動が及ばず、精度良く完全係合位置KKI等を決定できるからである。また、バッファA(1)〜A(10)を用いて、完全係合位置を10回分のクラッチ完全係合時におけるストロークの平均値としたのは、より精度良く完全係合位置KKI等を決定するためである。
【0064】
次に、図10に示したルーチンを参照しつつ、アジャスト動作を実際に実行するための作動について説明する。先ず、アジャスト動作の実行条件(ステップ715〜730)が全て成立しているものと仮定して説明を開始すると、CPU41は、図10に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、CPU41は、所定のタイミングにてステップ700から処理を開始してステップ715に進み、前述したアジャスト動作要求フラグFADJの値が「1」か否かを判定する。これは、アジャスト動作を実行すべき要求がある場合にのみ、アジャスト動作を実行するように構成するためのステップである。
【0065】
前述の仮定に従えば、アジャスト動作要求フラグFADJの値は「1」になっているので、CPU41はステップ715にて「Yes」と判定してステップ720に進み、クラッチディスク23が非係合状態にあるか否かを判定する。これは、運転状態によりクラッチ20が係合状態に維持されている場合には、アジャスト動作を実行できないからである。
【0066】
前述の仮定に従えば、クラッチディスク23は非係合であるので、CPU41はステップ720にて「Yes」と判定してステップ725に進み、エンジン回転数NEが所定の低速側回転数α(例えば、エンジン作動に最低限必要な400rpm)より大きく、且つ所定の高速側回転数β(例えば、エンジン10の振動が大きくなり始める回転数である2000rpm)より小さいか否かを判定する。
【0067】
これは、できるだけエンジン回転数が小さく、クラッチ20が共振等しない場合にアジャスト動作を行なうことにより、誤調整することがないようにするためである。また、回転数αよりも大きい状態においてのみ、アジャスト動作を行なうこととしたのは、所定の変速ギアが係合されている状態にて車両を駐車する「ギア駐車」時に、クラッチディスク23を非係合状態にするアジャスト動作を行なうのは好ましくないためであり、エンジン回転数NEが所定回転数α以上であれば、ギア駐車時ではないものと判断できるためである。
【0068】
前述の仮定に従えば、エンジン回転数NEが低速側回転数αより大きく、高速側回転数βより小さいので、CPU41はステップ725にて「Yes」と判定してステップ730に進み、車速Vが「0」であるか否かを判定する。これは、車両の走行に伴う振動により誤調整することがないようにするためである。前述の仮定に従えば、車両は停止していて、車速Vは「0」となっているので、CPU41はステップ730にて「Yes」と判定してステップ735に進む。以上のステップ715〜730は、実際にアジャスト動作の実行を開始すべき条件が成立しているか否かを判定するステップである。
【0069】
次いで、CPU41はステップ735に進み、ストロークSTが、摩耗量Xに所定距離Y及び所定距離Zを加えた値となっているか否かを判定する。尚、所定距離Yは、クラッチディスク23のアジャスト動作がなされた直後、或いは工場からの出荷時やクラッチディスク23の交換直後等であってクラッチフェーシング23a、23bの摩耗が進行していない場合においてクラッチ20が係合状態とされている場合に、プレッシャプレート24のストッパ部24bとクラッチカバー22の内周面との軸方向に関する距離(噛合解除部材89の突部89aとクラッチカバー22の内周面との軸方向に関する距離)であって、通常の運転時においてクラッチ20を非係合状態とする際のストロークST0の最大値と略等しい距離である。また、所定距離Zは、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除されるまでにアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24に対して相対的に移動する軸方向の距離(アジャストピニオン83がロアラック85に対して相対的に移動する軸方向の距離)である。
【0070】
現段階においては、クラッチ20が通常の係合状態にあるので、ストロークSTはST0と等しく、従ってCPU41はステップ735にて「No」と判定してステップ740に進み、電動モータ32の電流値IMをアジャスト用電流値IMADJとする。これにより、ストロークSTは、ステップ735の判定値(X+Y+Z)に次第に近づきはじめる。その後、CPU41はステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0071】
以降においても、CPU41は本ルーチンを所定時間の経過毎に実行しているので、ステップ715〜730にてアジャスト実行条件が成立しているかをモニタし、ステップ735にてストロークSTが判定値(X+Y+Z)に達したか否かをモニタすることとなる。
【0072】
その後、所定時間が経過すると、ダイアフラムスプリング25の姿勢変化が進む。即ち、ダイアフラムスプリング25は力点部26aにてその中央部がフライホイール21へ向かう力を受け、支点部材25b、25cを中心に揺動し、ダイアフラムスプリング25の外周端部がプレッシャプレート24から徐々に離間し、プレッシャプレート24のストッパ部24bとクラッチカバー22の内周面とが当接する。これと同時に、噛合解除部材89の突部89aとクラッチカバー22の内周面とが当接する。ストッパ部24bと噛合解除部材89の突部89aとがクラッチカバー22の内周面と当接するまでの範囲内では、プレッシャプレート24がストラップ24aの付勢力を受けているので、ダイアフラムスプリング25の外周端部とともに軸方向に移動するアジャストウェッジ部材82の軸方向への移動に伴ってテーパ部81も軸方向に移動する。したがって、アジャストピニオン83とロアラック85とは軸方向に相対移動することなく、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合、及びロアラック85のロアラック歯85aとアッパラック84の第2ラック歯84bとの噛合はともに維持される。
【0073】
この時点においては、ストロークSTは、判定値よりも小さな値(X+Y)であるので、CPU41はステップ735にて「No」と判定してステップ740を実行する。このため、電動モータ32には電流値IMADJが継続して流れるため、ダイアフラムスプリング25の姿勢は更に変化する。このとき、プレッシャプレート24のストッパ部24bはクラッチカバー22の内周面に当接しているため、プレッシャプレート24は、それ以上の軸方向への移動が規制される。しかしながら、ダイアフラムスプリング25の姿勢の変化が継続することで、ダイアフラムスプリング25は、その外周端部がフライホイール21から離間するように姿勢が変化する。その結果、保持部材86がダイアフラムスプリング25の外周端部が移動する力を直接受けることで、保持部材86に固定されているアジャストウェッジ部材82がダイアフラムスプリング25の外周端部に追従して軸方向へ移動する。これにより、アジャストウェッジ部材82に固定されるアジャストピニオン83がプレッシャプレート24に固定されるロアラック85に対して軸方向へと相対移動する。ここで、アッパラック84は付勢部材87により図面C方向に付勢されているが、アジャストピニオン83は軸方向に移動するために、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除されない限りアッパラック84は周方向へは変位できない。したがって、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除されないストロークSTの範囲内では、アジャストピニオン83がロアラック85に対して軸方向に離間するが、アッパラック84は第2ラック歯84bとロアラック歯85aとの噛合が維持されるためにアッパラック84は軸方向に移動しない。図7(B)は、図7(A)の状態からアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24に対して軸方向に相対移動し、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除される直前の状態を示している。
【0074】
この状態から更にダイアフラムスプリング25の姿勢が変化してアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24から更に離間すると、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除される。即ち、図7(B)の状態から更に電流値IMADJが継続して流れることで、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合を完全に解除するのに必要な軸方向変位量だけストロークSTが増大すると、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除される。このとき、アッパラック84の周方向への変位が許容される。これにより、アッパラック84は、付勢部材87にて付勢されて第2ラック歯84bとロアラック歯85aとが摺接しながら軸方向及び周方向へと変位する。これと同時にダイアフラムスプリング25の姿勢が更に変化することで、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとが離間するが、アッパラック84のロアラック85に対する軸方向変位量は規制部84cにより所定の距離に規制されているため、アッパラック84のロアラック85に対する軸方向の相対移動量が所定の距離に達すると、アッパラック84はこれ以上のロアラック85に対する軸方向への相対移動ができなくなる。このときの状態を図7(C)に示す。ここで、前述したように規制部84cにより規制されるアッパラック84の周方向への変位量は、第1ラック歯84aの歯面の半ピッチに設定されているので、図7(C)の状態では、図7(A)及び図7(B)の状態と比べてピニオン歯83aに対する第1ラック歯84aの位置が、半ピッチだけずれることになる。尚、図7(C)の状態では、アジャストウェッジ部材82のプレッシャプレート24に対する相対回転は行なわれていない。
【0075】
図7(A)から図7(B)、図7(C)への移行時における噛合解除部材89の作用について説明する。噛合解除部材89の突部89aがクラッチカバー22に当接してからも更にアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24から離間する方向へと移動すると、クラッチカバー22によって突部89aが規制されることで、噛合解除部材89は一端側のリベット83cを中心として図4右側のリベット83cを中心として半時計周りに回転する。これによって、噛合解除部材89の他端がプレッシャプレート24のダイアフラムスプリング25側の端面を図4の下方に押付けるので、プレッシャプレート24がアジャストウェッジ部材82から確実に離間する。これによって、例えばテーパ面81aとウェッジ側テーパ面82aとの間に錆付き等がある場合であっても、アジャストウェッジ部材82とテーパ部81とを確実に相対移動させることができる。
【0076】
その後、所定の時間が経過してストロークSTが判定値(X+Y+Z)に達すると、CPU41はステップ735にて「Yes」と判定してステップ745に進んでアジャスト動作要求フラグFADJの値を「0」に設定する。また、この段階で、CPU41は、新たなアジャスト基準位置AKIを更新するように、ステップ755にて前述のカウンタNの値を「0」に設定し、ステップ795にて本ルーチンを一旦終了する。尚、以降においては、各種運転状態に応じた電流が電動モータ32に通電され、適切なクラッチ制御が実行されるようになる。その後、図示しない他のルーチンの実行により、クラッチディスク23が通常の非係合位置(ストロークST<Yの範囲内)へと戻されるときの、アジャストピニオン83、アッパラック84、及びロアラック85の噛合状態について説明する。ダイアフラムスプリング25の姿勢が変化して図7(C)の状態からストロークSTが減少すると、ピニオン歯83aが第1ラック歯84aとの噛合が開始する。ここで、図7(C)では図7(B)の状態に対してアッパラック84が周方向に半ピッチだけ変位しているので、図7(C)においてピニオン歯83aと対向する第1ラック歯84aの歯面は、図7(A)においてピニオン歯83aと噛合する第1ラック歯84aに対して1ピッチずれることになる。したがって、図7(C)の状態からストロークSTがZだけ減少したときにピニオン歯83aと噛合する第1ラック歯84aは、図7(A)の状態に対して1ピッチだけ図7の右方向にずれる。このとき、ダイアフラムスプリング25の押付力によってアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24に向かって押付けられ、ピニオン歯83aと第1ラック歯84a、及びロアラック歯85aと第2ラック歯84bとがともに噛合しようとする。しかしながら、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとが噛合する歯面が1ピッチだけずれるため、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの歯面が摺接しながら噛合するとともに、第2ラック歯84bとロアラック歯85aとの歯面が摺接しながら噛合する。これらの歯面の摺接時に、アジャストピニオン83に対してアッパラック84に回転力が付与されるとともにアッパラック84に対してロアラック85に回転力が付与される。この回転力によってアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24に対して相対回転し、図7(D)の状態となる。これにより、テーパ面81aとウェッジ側テーパ面82aとの当接位置が第1ラック歯84aの1ピッチ分だけ変化して、ダイアフラムスプリング25の外周端部とプレッシャプレート24との軸方向距離が変更される。以上により、通常運転時におけるダイアフラムスプリング25の姿勢が修正される。また、このとき、噛合解除部材89の突部89aはクラッチカバー22に規制されなくなるため、噛合解除部材89の他端を介してプレッシャプレート24を押圧する力がなくなり、噛合解除部材89は初期の位置へと戻される。
【0077】
以上説明したように、クラッチディスク23の摩耗量が所定量以上となって、且つアジャスト動作しても誤調整が発生する可能性の小さい運転状態が検出されたとき、1度のアジャスト動作で第1ラック歯84aの1ピッチ分に応じた量(1ピッチの距離に応じたテーパ面81aの高さ分)だけ摩耗補償がなされる。更に、クラッチの摩耗を補償する際に、付勢部材87により所定の周方向変位量だけアッパラック84を周方向に相対回転させて、再びクラッチを係合するときにアジャストピニオン83のピニオン歯83aと噛合する第1ラック歯84aの歯面をずらしている。このとき、規制部84cにて規制された範囲内で第2ラック歯84bとロアラック歯85aとが摺接しながら完全に噛合状態へと移行することによってアジャストウェッジ部材82とテーパ部81とを相対回転させているので、アジャストウェッジ部材82とテーパ部81との間、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの間、及びロアラック歯85aと第2ラック歯84bとの間に錆付きが生じたり摺動抵抗が大きくなる場合であっても、アクチュエータ30の作動に伴って確実にアジャス動作が実行されるので、精度良くクラッチの摩耗を補償することが可能になる。
【0078】
尚、上記の実施の形態においては、摩耗量Xを、図8(A)に示すように、アジャスト基準位置AKI(図8(A)のA点)と完全係合位置KKI(図8(A)のB点)との差(図8(A)の距離C)として求めていたが、図8(B)に示すように、クラッチディスク23の係合開始点の摩耗に伴う初期位置Dからの摩耗時Eへの変化量Fを直接検出する方法、或いは図8(C)に示すように、初期(摩耗量がない場合又はアジャスト動作直後)の完全係合点Aとクラッチカバー22のストローク上に任意に固定された規定位置Jまでのストローク量Gと、摩耗時完全係合点Bから規定位置Jまでのストローク量Hとの差Kを検出する方法により求めることもできる。
【0079】
尚、本発明の範囲内において種々の変形例が採用可能であり、例えば、上記電動モータ32を使用したアクチュエータ30に代えて、電磁バルブ等を使用して油圧を制御し、この油圧によりロッド31を進退させる油圧式のアクチュエータを採用することもできる。また、上記実施の形態では、車両の振動によりクラッチカバー22が共振する可能性が小さい場合にのみ、アクチュエータ30を作動させ、ダイアフラムスプリング25の姿勢を補正してアジャスト動作を実行するようにしたが、他の任意の条件が成立したときに、必要に応じてダイアフラムスプリング25の姿勢を制御するようにしてもよい。更に、クラッチ制御回路40はアクチュエータ30と一体或いは別体のどちらであってもよい。また、本実施の形態では、ロアラック85のロアラック歯85aとアッパラック84の第2ラック歯84bを鋸歯形状としたが、実施の形態に示すような鋸歯形状以外にも、例えばテーパ面81aとウェッジ側テーパ面82aのように鋸歯よりも周方向への傾きが緩やかな歯面形状でもよく、付勢部材87によって付勢される際にアッパラック84がロアラック85に対して周方向に移動するような歯面形状であればよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明によると、所定の条件が成立した場合にのみ、調整機構がダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの距離を変更するので、所定の条件を例えばクラッチが共振する可能性の少ない運転条件とすることにより、クラッチの摩耗を精度良く補償することが可能となる。
【0081】
更に本発明によると、クラッチの摩耗を補償する際に、付勢部材により所定の周方向変位量だけアッパラックを周方向に相対回転させて、再びクラッチを係合するときにアジャストピニオンのピニオン歯と噛合する第1ラック歯の歯面をずらしている。これによって、アジャストウェッジ部材とテーパ部とが相対回転する。したがって、各構成が錆付いたり各構成間の摺動抵抗が大きくなる場合であっても、アクチュエータの作動に伴って確実にダイアフラムスプリングとプレッシャプレートとの軸方向距離を変化させることができ、確実にクラッチの摩耗を補償することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるクラッチの制御装置の概略を示す全体図である。
【図2】図1に示したクラッチの断面図である。
【図3】図1に示したクラッチの一部切り欠いた正面図である。
【図4】調整機構に係わる構成を図3の側方から見た図である。
【図5】クラッチが係合状態のときの調整機構の断面図である。
【図6】クラッチが係合状態のときのダイアフラムスプリングの保持に係わる断面図である。
【図7】クラッチの調整機構の作動を説明するための図である。
【図8】摩耗量を検出する原理を説明するための図である。
【図9】図1に示したCPUが実行するプログラムを示したフローチャートである。
【図10】図1に示したCPUが実行するプログラムを示したフローチャートである。
【符号の説明】
10・・・エンジン、11・・・変速機、20・・・摩擦クラッチ、21・・・フライホイール、22・・・クラッチカバー、23・・・クラッチディスク、24・・・プレッシャプレート、25・・・ダイアフラムスプリング、26・・・レリーズベアリング、27・・・レリーズフォーク、30・・・アクチュエータ、82・・・アジャストウェッジ部材82a・・・ウェッジ側テーパ面、82c・・・ストッパ部24b、81・・・テーパ部、81a・・・テーパ面、83・・・アジャストピニオン、83a・・・ピニオン歯、84・・・アッパラック、84a・・・第1ラック歯84b・・・第2ラック歯85・・・ロアラック、85a・・・ロアラック歯、86・・・保持部材、87・・・付勢部材、89・・・噛合解除部材[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a vehicular clutch control device that transmits torque between a power source of an internal combustion engine or the like and a transmission, and more particularly, wear adjustment that minimizes the influence caused by wear of a clutch facing. The present invention relates to a control device for a clutch that performs the above.
[0002]
[Prior art]
In general, in this type of clutch control device, the posture of the diaphragm spring changes with wear of the clutch facing (clutch disc). Therefore, when the clutch facing wears, it is necessary to disengage the clutch. The operating force, that is, the load applied to the clutch cover increases. For this reason, in the apparatus disclosed in, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 5-215150, the height of the fulcrum of the diaphragm spring according to the load applied to the clutch cover when the clutch is operated (the load on the diaphragm spring held by the clutch cover). Thus, the posture of the diaphragm spring is corrected, and the change in the load characteristic of the clutch accompanying the wear of the clutch facing is compensated.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above conventional technique, the clutch cover resonates due to vibrations caused by driving the vehicle, and the load applied to the clutch cover may fluctuate. Therefore, there is a problem that the wear of the clutch facing cannot be accurately compensated.
[0004]
Therefore, in order to solve the above-described problems, it is a technical object of the present invention to provide a clutch control device capable of accurately compensating for wear of clutch facing.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-described problems, the present invention changes the engagement state of the clutch disk by moving the clutch disk facing the flywheel rotating integrally with the output shaft of the drive source through the pressure plate and the diaphragm spring. An actuator that applies a force to the diaphragm spring, a clutch cover that is fixed to the flywheel and forms an operating fulcrum of the diaphragm spring when the engagement state of the clutch disk changes, and between the pressure plate and the diaphragm spring And an adjustment mechanism configured to form a force transmission path between the pressure plate and the diaphragm spring and to change an axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate, and to control the operation of the actuator. Control hand And a control unit for the vehicle clutch that changes the engagement state between the flywheel and the clutch disk, and the adjustment mechanism includes a tapered portion that is formed on the pressure plate and has a tapered surface directed from the pressure plate to the diaphragm spring. The lower rack is fixed to the tapered portion and has lower rack teeth standing from the pressure plate toward the diaphragm spring, and the wedge side taper is disposed between the tapered portion and the diaphragm spring so as to be relatively rotatable and abuts the tapered surface. An adjustment wedge member having a surface, an adjustment pinion formed on the adjustment wedge member and forming pinion teeth standing from the diaphragm spring toward the pressure plate, and an adjustment pinion between the adjustment pinion and the lower rack An upper rack having a first rack tooth engageable with the pinion teeth and a second rack tooth engageable with the lower rack teeth, and a tooth surface of the lower rack tooth and a first surface of the lower rack teeth. An urging member that urges the upper rack in a direction to release the engagement between the upper rack and the lower rack while being in sliding contact with the tooth surface of the two rack teeth; and a stopper portion that restricts the movement of the pressure plate in the axial direction approaching the clutch cover; A holding member for holding the adjustment wedge member at the outer peripheral end of the diaphragm spring so as to operate the adjustment wedge member in the axial direction following the axial operation of the outer peripheral end of the diaphragm spring. If the above conditions are not satisfied, the stopper plate restricts the movement of the pressure plate in the axial direction. A force is applied to the diaphragm spring within the range where the pinion teeth and the first rack teeth, and the second rack teeth and the lower rack teeth are engaged, and the operation of the actuator is controlled so that the pressure plate is advanced and retracted. When the predetermined condition is satisfied, the adjustment wedge member is axially relative to the pressure plate by applying a force to the diaphragm spring even after the stopper portion restricts the movement of the pressure plate in the axial direction. By making the amount of movement to be greater than or equal to the amount of axial displacement necessary to completely release the engagement between the pinion teeth and the first rack teeth, the first engagement with the pinion teeth when the clutch is returned to the engaged state. Actuator to shift the tooth surface of the rack teeth and change the axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate It was the clutch control apparatus is characterized in controlling the operation.
[0006]
According to the present invention, the adjustment mechanism changes the distance between the diaphragm spring and the pressure plate only when a predetermined condition is satisfied. Therefore, the predetermined condition is set as an operation condition with a low possibility of resonance of the clutch, for example. Thus, it becomes possible to compensate for wear of the clutch with high accuracy.
[0007]
Further, according to the present invention, when a predetermined condition is satisfied, the posture of the diaphragm spring continues to change after the movement of the pressure plate in the axial direction is restricted, and is held by the diaphragm spring via the holding member. The adjusting wedge member moves relative to the pressure plate in the axial direction. Since the adjustment mechanism has the upper rack disposed so as to be rotatable relative to the adjustment pinion and the lower rack, the amount of movement of the adjustment wedge member relative to the pressure plate in the axial direction is determined by the pinion teeth and the first rack teeth. When the amount of displacement is greater than the amount of displacement in the axial direction necessary for completely releasing the engagement with the pinion teeth, the engagement between the pinion teeth and the first rack teeth is completely released. At this time, the upper rack is allowed to be displaced in a direction in which the engagement between the upper rack and the lower rack is released while the tooth surfaces of the lower rack teeth and the tooth surfaces of the second rack teeth are in sliding contact with each other. In other words, the upper rack that has been regulated by the engagement of the pinion teeth and the first rack teeth is allowed to be displaced in the axial direction and the circumferential direction. The urging member urges the upper rack while sliding the second rack teeth against the lower rack teeth, and the amount of circumferential displacement along the circumferential inclination of the tooth surfaces of the second rack teeth and the lower rack teeth is as follows: The upper rack is biased in the circumferential direction. In this state, the first rack teeth and the second rack teeth are displaced in the circumferential direction with respect to the pinion teeth and the lower rack teeth. If the posture of the diaphragm spring is changed from this state to the direction in which the clutch is engaged, that is, the adjustment pinion is moved in the axial direction following the operation of the outer peripheral end of the diaphragm spring, a predetermined condition is established. Since the upper rack is displaced in the circumferential direction with respect to the state before starting, the tooth surface of the first rack tooth meshing with the pinion teeth is different (shifted) from the state before the predetermined condition is satisfied. Become. When the state of the diaphragm spring is changed from this state to shift to the fully engaged state of the clutch, the tooth surface of the first rack tooth that meshes with the pinion teeth is different after the predetermined condition is satisfied as described above. The adjustment wedge member for fixing the adjustment pinion and the tapered portion for fixing the lower rack relatively rotate in the circumferential direction via the upper rack. Therefore, the contact state between the wedge-side tapered surface of the adjusting wedge member and the tapered surface of the tapered portion changes, and the axial distance between the adjusting wedge member and the pressure plate in the clutch engaged state changes. As a result, the axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate changes to compensate for clutch wear.
[0008]
As described above, according to the present invention, when the clutch wear is compensated, the pinion of the adjustment pinion is rotated when the upper rack is relatively rotated in the circumferential direction by a predetermined circumferential displacement amount by the biasing member and the clutch is engaged again. The tooth surfaces of the first rack teeth that mesh with the teeth are shifted. As a result, the adjustment wedge member and the tapered portion rotate relative to each other. Therefore, the axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate can be reliably changed with the operation of the actuator even if each component is rusted or the sliding resistance between the components increases. It becomes possible to compensate for wear of the clutch.
[0009]
More specifically, as shown in
[0010]
According to a third aspect of the present invention, the amount of displacement in the circumferential direction of the upper rack, which is regulated by the regulating unit, with respect to the lower rack is set to one pitch or less from the half pitch of the tooth surface of the first rack tooth, and a predetermined condition is satisfied. The pinion tooth that meshes with the first rack tooth before the pinion tooth meshes with the first rack tooth after the predetermined condition is satisfied, so that the axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate is increased by one. If the engagement is shifted by the pitch, the height of the taper surface can be changed in accordance with the distance of one pitch of the first rack teeth at the time of adjusting the wear of the clutch, and a minute wear can be compensated.
[0011]
Further, according to a fourth aspect of the present invention, when a predetermined condition is satisfied, the amount of movement of the adjustment wedge member relative to the pressure plate in the axial direction is controlled by the restricting portion in the axial direction of the upper rack. If the displacement amount is equal to or greater than the displacement amount obtained by adding the axial displacement amount necessary to completely release the engagement between the pinion teeth and the first rack teeth, the biasing member is attached when a predetermined condition is satisfied. Since the meshing between the pinion teeth and the first rack teeth is completely released regardless of the force, the tooth surface of the first rack teeth meshing with the pinion teeth is surely in a state before the predetermined condition is satisfied. It is different (shifts). Therefore, it is possible to compensate for minute wear and reliably compensate for clutch wear.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of a clutch control device according to the present invention will be described below with reference to the drawings. The clutch control apparatus schematically shown in FIG. 1 controls engagement / disengagement of a friction clutch 20 disposed between an
[0013]
As shown in detail in FIG. 2, the
[0014]
The
[0015]
The
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
As shown in FIG. 3, the
[0020]
The adjustment mechanism will be described. FIG. 4 is a side view of the configuration related to the adjusting mechanism of FIG. A ring-shaped
[0021]
7 is a cross-sectional view of the configuration relating to the adjustment mechanism of FIG. 3 as viewed from the side, and FIGS. 7A to 7D show the operation of the adjustment mechanism due to the posture change of the
[0022]
As shown in FIGS. 4 and 7, a
[0023]
An
[0024]
In the vicinity of one protrusion 85b1 on the outer peripheral surface side of the
[0025]
A
[0026]
A holding
[0027]
As shown in FIG. 4, a
[0028]
The release bearing 26 is slidably supported with respect to the
[0029]
The release fork (fork member) 27 is for sliding the release bearing 26 in the axial direction in accordance with the operation of the
[0030]
The
[0031]
A worm is formed on the
[0032]
The
[0033]
Referring again to FIG. 1, the
[0034]
The
[0035]
The
[0036]
The interface 44 is connected to the
[0037]
The
[0038]
The
[0039]
The
[0040]
In the clutch control apparatus configured as described above, the
[0041]
In this clutch control device, the operation when the clutch 20 is engaged and the power of the
[0042]
On the other hand, the release bearing 26 receives force from the
[0043]
FIG. 5 is a cross-sectional view of the adjusting mechanism when the clutch 20 is engaged, and FIG. 6 is a cross-sectional view related to holding of the
[0044]
Next, the case where the clutch 20 is disengaged and the power of the
[0045]
For this reason, the
[0046]
In the non-engagement state of the clutch during normal operation, the
[0047]
Next, the operation for compensating the
[0048]
First, when the wear of the
[0049]
Accordingly, since the contents of the buffers A (1) to A (10) have not been updated after the
[0050]
If the process proceeds to step 610, the
[0051]
When the
[0052]
Next, the
[0053]
Thereafter, steps 605, 610, and 620 are repeatedly executed every time the predetermined time elapses. Therefore, when the value of the flag FIG is “0” and the state where the
[0054]
When the clutch 20 is completely engaged and the
[0055]
Next, the
[0056]
Next, the
[0057]
Thereafter, the
[0058]
Thereafter, when the
[0059]
By repeatedly executing such an operation, the buffers A (1), A (2), A (3)... Are sequentially updated, and the adjustment reference position AKI is also updated. Also, the value of the counter N gradually increases. For this reason, in the operation after the value of the counter N is set to the predetermined value T1 (10) in
[0060]
Thereafter, the execution of
[0061]
Thereafter, when the vehicle is operated for a long period of time and the
[0062]
Next, the
[0063]
In the above description, the complete engagement position KKI and the like are updated only when the
[0064]
Next, the operation for actually executing the adjusting operation will be described with reference to the routine shown in FIG. First, assuming that all the adjustment operation execution conditions (
[0065]
According to the above assumption, the value of the adjustment operation request flag FADJ is “1”. Therefore, the
[0066]
According to the above assumption, since the
[0067]
This is to prevent erroneous adjustment by performing an adjusting operation when the engine speed is as small as possible and the clutch 20 does not resonate. Further, the adjustment operation is performed only in a state where the rotational speed α is greater than the rotational speed α because the
[0068]
If the above assumption is followed, the engine speed NE is larger than the low speed side speed α and smaller than the high speed side speed β, the
[0069]
Next, the
[0070]
At this stage, since the clutch 20 is in the normal engagement state, the stroke ST is equal to ST0. Therefore, the
[0071]
Thereafter, since the
[0072]
Thereafter, when a predetermined time elapses, the posture change of the
[0073]
At this time, since the stroke ST is a value (X + Y) smaller than the determination value, the
[0074]
When the posture of the
[0075]
The operation of the
[0076]
Thereafter, when the predetermined time has elapsed and the stroke ST reaches the determination value (X + Y + Z), the
[0077]
As described above, when the amount of wear of the
[0078]
In the above embodiment, as shown in FIG. 8A, the wear amount X is set to the adjustment reference position AKI (point A in FIG. 8A) and the complete engagement position KKI (FIG. 8A). ) And the point B) (the distance C in FIG. 8A), as shown in FIG. 8B, from the initial position D accompanying the wear of the engagement start point of the
[0079]
Various modifications can be employed within the scope of the present invention. For example, instead of the
[0080]
【The invention's effect】
According to the present invention, since the adjustment mechanism changes the distance between the diaphragm spring and the pressure plate only when a predetermined condition is satisfied, by setting the predetermined condition as an operating condition with a low possibility of resonance of the clutch, for example. Thus, it becomes possible to compensate for wear of the clutch with high accuracy.
[0081]
Further, according to the present invention, when the clutch wear is compensated, the biasing member rotates the upper rack relative to the circumferential direction by a predetermined circumferential displacement amount, and when the clutch is engaged again, the pinion teeth of the adjustment pinion The tooth surfaces of the first rack teeth to be meshed are shifted. As a result, the adjustment wedge member and the tapered portion rotate relative to each other. Therefore, the axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate can be reliably changed with the operation of the actuator even if each component is rusted or the sliding resistance between the components increases. It becomes possible to compensate for wear of the clutch.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an overall view showing an outline of a clutch control device according to the present invention;
FIG. 2 is a cross-sectional view of the clutch shown in FIG.
3 is a partially cutaway front view of the clutch shown in FIG. 1. FIG.
4 is a view of a configuration related to an adjustment mechanism as viewed from the side of FIG. 3;
FIG. 5 is a cross-sectional view of the adjustment mechanism when the clutch is in an engaged state.
FIG. 6 is a cross-sectional view relating to holding of a diaphragm spring when the clutch is engaged.
FIG. 7 is a view for explaining the operation of a clutch adjustment mechanism.
FIG. 8 is a diagram for explaining the principle of detecting the amount of wear.
FIG. 9 is a flowchart showing a program executed by the CPU shown in FIG. 1;
10 is a flowchart showing a program executed by the CPU shown in FIG. 1; FIG.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (5)
前記調整機構は、前記プレッシャプレートに形成されて前記プレッシャプレートから前記ダイアフラムスプリングに向かうテーパ面を有するテーパ部と、
前記テーパ部に固定され、前記プレッシャプレートから前記ダイアフラムスプリングに向かって立設するロアラック歯を有するロアラックと、
前記テーパ部と前記ダイアフラムスプリングとの間に相対回転可能に配設され、前記テーパ面と当接するウェッジ側テーパ面を有するアジャストウェッジ部材と、
前記アジャストウェッジ部材に形成され、前記ダイアフラムスプリングから前記プレッシャプレートに向かって立設するピニオン歯を形成するアジャストピニオンと、
前記アジャストピニオンと前記ロアラックとの間で前記アジャストピニオン及び前記アジャストウェッジ部材に対して相対回転可能に配設され、前記ピニオン歯と噛合可能な第1ラック歯と前記ロアラック歯と噛合可能な第2ラック歯とを有するアッパラックと、
前記ロアラック歯の歯面と前記第2ラック歯の歯面とが摺接しながら前記アッパラックと前記ロアラックとの噛合を解除する方向に前記アッパラックを付勢する付勢部材と、
前記プレッシャプレートが前記クラッチカバーに近づく軸方向への移動を規制するストッパ部と、
前記ダイアフラムスプリングの外周端部の軸方向の作動に追従して前記アジャストウェッジ部材を軸方向に作動させるべく前記アジャストウェッジ部材を前記ダイアフラムスプリングの外周端部に保持する保持部材とを備え、
前記制御手段は、所定の条件が成立していない場合には、前記ストッパ部により前記プレッシャプレートの軸方向への移動が規制されない範囲内で前記ダイアフラムスプリングに力を付与して、前記ピニオン歯と前記第1ラック歯、及び前記第2ラック歯と前記ロアラック歯とが噛合した状態で前記プレッシャプレートを進退させるように前記アクチュエータの作動を制御し、
前記所定の条件が成立した場合には、前記ストッパ部により前記プレッシャプレートの軸方向への移動が規制された後も前記ダイアフラムスプリングに力を付与することで、前記アジャストウェッジ部材が前記プレッシャプレートに対して軸方向に相対移動する移動量を前記ピニオン歯と前記第1ラック歯との噛合を完全に解除するのに必要な軸方向変位量以上にすることにより、クラッチを係合状態に戻すときに前記ピニオン歯と噛合する前記第1ラック歯の歯面をずらし、前記ダイアフラムスプリングと前記プレッシャプレートとの軸方向の距離を変更するように前記アクチュエータの作動を制御することを特徴とするクラッチの制御装置。The clutch disk facing the flywheel that rotates integrally with the output shaft of the drive source is advanced and retracted via the pressure plate and the diaphragm spring, and a force for changing the engagement state of the clutch disk is applied to the diaphragm spring. Between the pressure plate and the diaphragm spring, an actuator that is fixed to the flywheel and that forms an operating fulcrum of the diaphragm spring when the engagement state of the clutch disk changes. An adjustment mechanism configured to form a force transmission path between the pressure plate and the diaphragm spring and change an axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate; and an operation of the actuator. The control apparatus for a vehicle clutch to change the state of engagement between the flywheel and the clutch disc provided with a Gosuru control means, and
The adjustment mechanism includes a tapered portion formed on the pressure plate and having a tapered surface from the pressure plate toward the diaphragm spring;
A lower rack having lower rack teeth fixed to the tapered portion and standing from the pressure plate toward the diaphragm spring;
An adjustment wedge member disposed between the tapered portion and the diaphragm spring so as to be relatively rotatable, and having a wedge-side tapered surface that comes into contact with the tapered surface;
An adjustment pinion formed on the adjustment wedge member and forming pinion teeth standing from the diaphragm spring toward the pressure plate;
A first rack tooth that is rotatable relative to the adjustment pinion and the adjustment wedge member between the adjustment pinion and the lower rack and that can mesh with the pinion teeth and a second rack that can mesh with the lower rack teeth. An upper rack having rack teeth;
An urging member that urges the upper rack in a direction in which the upper rack and the lower rack are released from meshing while the tooth surfaces of the lower rack teeth and the tooth surfaces of the second rack teeth are in sliding contact with each other;
A stopper portion for restricting movement in the axial direction in which the pressure plate approaches the clutch cover;
A holding member for holding the adjustment wedge member on the outer peripheral end of the diaphragm spring to operate the adjustment wedge member in the axial direction following the axial operation of the outer peripheral end of the diaphragm spring;
The control means applies a force to the diaphragm spring within a range in which movement of the pressure plate in the axial direction is not restricted by the stopper portion when a predetermined condition is not satisfied, and the pinion teeth Controlling the operation of the actuator so that the pressure plate is advanced and retracted in a state where the first rack teeth and the second rack teeth and the lower rack teeth are engaged with each other;
When the predetermined condition is satisfied, the adjustment wedge member is applied to the pressure plate by applying a force to the diaphragm spring even after the stopper portion restricts the movement of the pressure plate in the axial direction. When returning the clutch to the engaged state by setting the amount of relative movement in the axial direction to be greater than or equal to the amount of axial displacement necessary to completely release the engagement between the pinion teeth and the first rack teeth. The clutch is characterized in that the operation of the actuator is controlled such that the tooth surface of the first rack tooth meshing with the pinion tooth is shifted to change the axial distance between the diaphragm spring and the pressure plate. Control device.
前記所定の条件が成立した場合には、前記突部が前記クラッチカバーに当接することで前記噛合解除部材が一端を回転中心として回転するとともに他端が前記プレッシャプレートの前記ダイアフラムスプリング側の端面と当接して前記アジャストウェッジ部材を前記ロアラックから離間させることを特徴とする、請求項1に記載のクラッチの制御装置。The adjustment mechanism has one end rotatably attached to the peripheral surface of the adjustment wedge member and the other end formed so as to be able to contact the end surface of the pressure plate on the diaphragm spring side. Having a protrusion that stands in the axial direction from the pressure plate toward the diaphragm spring and is restricted by the stopper portion in the axial direction, and at the same time contacts the clutch cover. A release member,
When the predetermined condition is satisfied, the engagement portion is rotated around one end as a result of the protrusion coming into contact with the clutch cover, and the other end is connected to the end face of the pressure plate on the diaphragm spring side. 2. The clutch control device according to claim 1, wherein the adjustment wedge member is brought into contact with and is separated from the lower rack. 3.
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