JP3732528B2 - 光吸収化合物及びそれを含有してなる光記録媒体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、情報記録、表示センサー、保護眼鏡等のオプトエレクトロニクス関連に重要な役割を果たす光線吸収剤として有用な化合物、それを記録層に含有してなる光ディスク及び光カード等の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザー光は光ディスク、光カード装置等における書き込み及び読み取りのために利用されている。特にこれらの装置で用いられる光記録媒体の記録方式は、実用レベルとしては通常、光・熱変換を経たヒートモード記録(熱記録)が採用されており、そのために記録層として低融点金属、有機高分子、更には融解、蒸発、分解、あるいは昇華等の物理変化または化学変化を起こす有機色素が種々提案されている。中でも、融解、分解等の温度が低い有機色素系は記録感度上好ましいことから、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、アゾ系色素などを中心に記録層として開発されてきている。
【0003】
例えば、特開平2−147286号公報において、記録層にシアニン系色素を含む光記録媒体が提案されている。しかしながら、この媒体系は長期保存性及び耐光性に劣り、さらには記録特性も不十分であった。
【0004】
アントラキノン色素(例えば、特開昭58ー224448号公報)、ナフトキノン色素(例えば、特開昭58−224793号公報)を記録層に含む光記録媒体も提案されているが、いずれもシアニン系色素と同様に長期保存性及び耐光性に劣り、記録特性も不十分であった。
【0005】
特開昭61−25886号公報、特開平2−43269号公報(USP 4,960,538)、特開平2−296885号公報等においては、記録層にナフタロシアニン色素を含む光記録媒体が提案されている。この媒体系では、耐光性は優れるが、記録層の反射率が低く、記録特性も不十分であった。
【0006】
また、光記録媒体の記録層にフタロシアニン色素、特にアルコキシ置換フタロシアニンを利用する技術は、特開昭61−154888号公報(EP 186404)、同61−197280号公報、同61−246091号公報、同62−39286号公報(USP 4,769,307)、同63−37991号公報、同63−39388号公報等により広く知られている。これらの特許に開示されているフタ口シアニン色素を用いた光記録媒体においては、感度、記録特性において十分な性能を有しているとは言い難かった。それを改良したのが特開平3−62878号公報(USP 5,124,067)であるが、その改良化合物においても、レーザー光による記録時の誤差が大きく未だ実用上十分ではなかった。
【0007】
特開平2−43269号公報(USP 4,960,538)及び特開平2−296885号公報においてアルコキシ置換ナフタロシアニン、特開昭63−37991号公報において脂肪族炭化水素オキシ置換フタロシアニン、特開昭63−39388号公報においてはアルケニルチオ置換フタロシアニンの光記録媒体への利用を提案しているが、発明の詳細な説明及び実施例において、二重結合を含む不飽和炭化水素オキシまたはチオ基の記述はなく、無論、本発明における特に炭素間三重結合または二重結合を含む不飽和炭化水素オキシ基が光記録媒体の感度、記録特性に効果があると言うことは記載されていない。
【0008】
尚、その他の公知の色素を用いた光記録媒体の記録特性においても十分な性能を有しているものは見出されていない。
【0009】
光記録媒体への書き込み及び読み出しは400〜900nmのレーザー光を利用するので、記録材料の使用レーザー発振波長近傍における吸収係数、屈折率等の制御及び書き込み時における精度の良いピット形成が重要である。このことは、最近願望されている高速記録、高密度記録においては特に重要である。そのため、構造安定性が高く、レーザー発振波長近傍の光に対して屈折率が高く、分解特性が良好で、かつ感度の高い光記録媒体用色素の開発が必要となる。ところが従来開発された光記録媒体用色素は、記録媒体に用いた時、特に高速記録、高密度記録時の感度(C/N比、最適記録パワー)、記録特性(ジッター、デビエイション)について欠点を有するという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記欠点を改善し、高速記録、高密度記録時においても感度が高く、記録特性の良好な光記録媒体を提供し得る色素を供給することである。
【0011】
本発明の他の目的は、それらの色素を用いた、感度が高く、記録特性の良好な光記録媒体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前項の問題点を解決すべく鋭意検討の結果、上述の目的に合う新規な光吸収化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、下記一般式(II)
【0016】
【化5】
〔式(II)中、L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立したOR基を0〜2個有するベンゼン環またはナフタレン環骨格を表わし、かつL1、L2、L3及びL4のうち少なくとも1つはOR置換基を1個以上含有する。OR置換基は(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素オキシ基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素オキシ基を表わす。但し、L1、L2、L3及びL4に有する全てのOR置換基のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素オキシ基である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で表される光吸収化合物である。
【0017】
特に、一般式(II)において、L1、L2、L3及びL4に有するOR置換基が分岐した飽和または不飽和炭化水素オキシ基であること、及びL1、L2、L3及びL4に有するOR置換基が不飽和炭化水素オキシ基であり、かつ1個以上の二重結合を有し、該二重結合が芳香環結合酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に存在することが好ましい。
【0018】
更に上記一般式(II)で表わされる化合物のより好ましい実施態様として次の一般式(III)〜(V)で表わされる化合物が挙げられる。
【0019】
【化6】
〔式(III)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素基を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素基である。k,l,m及びnはORの数を表わすもので、0または1である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で示されるナフタロシアニン化合物、特に、一般式(III)においてOR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が各々1または6、7または12、13または18、及び19または24のα位であることが好ましい。
【0020】
【化7】
〔式(IV)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素基を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素基である。k,l,m及びnはORの数を表わすもので、0または1である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で示されるナフタロシアニン化合物、特に、一般式(IV)においてOR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が各々6、12、18、及び24のα位であることが好ましい。
【0021】
【化8】
〔式(V)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素基を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素基である。k,l,m及びnはORの数を表わすもので、0または1である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で示されるフタロシアニン化合物、特に、一般式(V)においてOR1、OR2、OR3、OR4、OR5、OR6、OR7及びOR8の置換位置が各々1、4、5、8、9、12、13及び16のα位であることが好ましい。
【0022】
本発明において、二重結合とは芳香環でない炭素間二重結合を意味する。
【0023】
一般式(II)〜(V)において、置換の飽和または不飽和の炭化水素オキシ基の置換基としては、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基が挙げられる。
【0024】
一般式(II)〜(V)において、不飽和炭化水素オキシ基あるいは不飽和炭化水素基は、不飽和結合である炭素間三重結合及び/または二重結合を1〜4個含み、炭素間三重結合と二重結合は混在していても良い。一般式(II)で示される光吸収化合物とは、400〜900nmの波長の光を吸収する化合物を示す。さらに一般式(II)〜(V)中、OR基の炭素数は、2〜20、好ましくは3〜12で、さらに好ましくは5〜10であり、また光吸収化合物全体として有するOR基の半分以上が炭素数3〜12または5〜10であっても良い。
【0025】
本発明の光吸収化合物は、OR基に炭素間三重結合または炭素間二重結合が存在することにより、従来の記録法のみならず、従来に比較して高速である記録、あるいは高密度の記録法においても光記録媒体の感度、記録特性の向上に効果を上げた。機構は未だ明らかでなく現在検討中であるが、炭素間三重結合及び二重結合の存在により、記録時に色素の分解・溶融が制御され精度の高いピット形成が行われたこと、分解発熱量の減少により記録媒体の樹脂基板へのダメージが減少したこと、反射層を有する記録媒体の場合は記録層と反射層である金属層との密着性が向上したことなどが挙げられる。特にOR基が、二重結合を酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に有する不飽和炭化水素オキシ基である場合、光記録媒体の感度及び記録特性の向上に著しい効果があった。この効果は、不飽和炭化水素基のクライゼン転位及び脱離によるものと考えられる。即ち、低パワーのレーザー光で生じるクライゼン転位及び脱離の前後の吸光度・反射率の差を利用して、記録・再生を行うことにより、感度が良好で、樹脂基板へのダメージが小さく、精度の高いピット形成が行われたと考えられる。
【0026】
本発明の光吸収化合物のうち、例えばフタロシアニン及びナフタロシアニン系化合物において、OR基の少なくとも1個が、その芳香環結合酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基である場合、約200℃の加熱によりナフタロシアニンまたはフタロシアニン骨格を維持したまま不飽和炭化水素基のクライゼン転位および僅かな脱離を生じることは、1H−NMRおよびマススペクトル測定及び熱分析(熱重量法:TG、示差熱分析:DTA、示差走査熱量測定:DSC)等により明かになった。例えば、1H−NMRにおける加熱経時変化では、アリル基領域(δ=3.0〜5.8ppm)で酸素原子に結合したアリル基に由来したシグナルが減少し、高磁場領域に新たに芳香族環に結合したアリル基に由来すると考えられるシグナルが出現した。マススペクトルにおいては、加熱して転位反応を生じたと思われるものには、加熱前に存在していた不飽和炭化水素基部分の欠如したフラグメントピークが小さくなるかまたは観測されなくなる。TGにおいては、200℃前後からわずかに重量減少が観測され、DSCでは200℃前後で発熱が観測された。TG及びDSCでのこれらの現象は、対応する飽和炭化水素オキシ基のみを有するフタロシアニンまたはナフタロシアニン系化合物では観測されなかった。さらに、不飽和炭化水素基のクライゼン転位及び脱離反応を生じたナフタロシアニンまたはフタロシアニン系化合物の780nm近傍の溶液中での吸光度は、反応前のものに比較して2〜20倍に増大した。これらの化合物をガラス基板上に塗布して形成した光記録媒体において、780nm近傍の反射率は、反応前のものに比較して2/3〜1/10に減少する。従って、ピット部分とピット以外の部分とのレーザー光の反射光量に大きな違いが生じ、再生信号の変調度を大きくとることが可能である。上記の効果、特にクライゼン転移による効果は、他の光吸収化合物においても同様の傾向が見られた。
【0027】
本発明の光吸収化合物のうち、特にフタロシアニン及びナフタロシアニン系化合物は、650〜900nmにシャープな吸収を有し、分子吸光係数は150,000以上と高く、長期安定性及び耐光性にも優れるため、半導体レーザーを用いる光記録媒体(光ディスク、光カード等)の記録材料に好適である。
【0028】
以下に本発明の好ましい態様を詳述する。
【0029】
一般式(II)〜(V)中、OR基で示される置換基の具体例としては、置換または未置換の炭素数1〜20の飽和炭化水素オキシ基または炭素数2〜20の不飽和炭化水素オキシ基であるが、入手の容易さや溶解度を考慮して好ましくは炭素数3〜12である置換または未置換の飽和炭化水素オキシ基または不飽和炭化水素オキシ基である。
【0030】
例えば、未置換の飽和炭化水素オキシ基の例としては、n-プロピルオキシ基、iso-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、iso-ペンチルオキシ基、neo-ペンチルオキシ基、2-メチルブチル-3-オキシ基、n-ヘキシルオキシ基、cyclo-ヘキシルオキシ基、2-メチルペンチル-4-オキシ基、2-メチルペンチル-3-オキシ基、3-メチルペンチル-4-オキシ基、n-ヘプチルオキシ基、2-メチルヘキシル-5-オキシ基、2,4-ジメチルペンチル-3-オキシ基、2-メチルヘキシル-3-オキシ基、ヘプチル-4-オキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシル-1-オキシ基、2,5-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,2,4-トリメチルペンチル-3-オキシ基、n-ノニルオキシ基、3,5-ジメチルヘプチル-4-オキシ基、2,6-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、n-ドデシルオキシ基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル-3-オキシ基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル-1-オキシ基、1-cyclo-ヘキシル-2,2-ジメチルプロピル-1-オキシ基等が挙げられる。
【0031】
置換飽和炭化水素オキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、γ−メトキシプロピルオキシ基、γ−エトキシプロピルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基、エトキシエトキシエトキ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基、ジメチルアミノエトキシ基、2-アミノ-2-メチルヘキシル-3-オキシ基等のアミノアルコキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、ナフチルオキシ基、3-ベンジル-3-メチルブチル-2-オキシ基等のアラルキルオキシ基、2-ヒドロキシエチル-1-オキシ基、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル-1-オキシ基等のヒドロキシアルコキシ基、アセトキシエチルオキシ基、アセトキシエトキシエチルオキシ基等のアシルオキシアルコキシ基、等が挙げられる。
【0032】
置換または未置換の不飽和炭化水素オキシ基において、オキシ酸素原子の隣の炭素原子から数えて二、三番目の炭素原子間に二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基の例として、2-プロペニル-1-オキシ基、1-ブテニル-3-オキシ基、2-ブテニル-1-オキシ基、3-ブテニル-2-オキシ基、1-ヒドロキシ-2-ブテニル-4-オキシ基、2-ペンテニル-1-オキシ墓、3-ペンテニル-2-オキシ基、1-ペンテニル-3-オキシ基、1,4-ペンタジエニル-3-オキシ基、1-ヘキセニル-3-オキシ基、2-ヘキセニル-1-オキシ基、2-ヘキセニル-4-オキシ基、3-ヘキセニル-2-オキシ基、4-ヘキセニル-3-オキシ基、2,4-ヘキサジエニル-1-オキシ基、1,4-ヘキサジエニル-3-オキシ基、1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、1-ヒドロキシ-2,4-ヘキサジエニル-6-オキシ基、2,5-ヘキサジエニル-1-オキシ基、1,3-ヘキサジエニル-5-オキシ基、1-ヘプテニル-3-オキシ基、2-ヘプテニル-4-オキシ基、3-ヘプテニル-5-オキシ基、1,4-ヘプタジエニル-3-オキシ基、1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、1,5-ヘプタジエニル-3-オキシ基、2,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、1-オクテニル-3-オキシ基、2-オクテニル-4-オキシ基、1-ノネニル-3-オキシ基、4-ジメチルアミノ-1-ブテニル-3-オキシ基、4-メチルチオ-1-ブテニル-3-オキシ基、1-シクロペンチル-2-メチル-2-プロペニル-1-オキシ基、1-シクロヘキシル-2-メチル-2-プロペニル-1-オキシ基、2-メチル-2-ブテニル-1-オキシ基、3-メチル-2-ブテニル-1-オキシ基、2-メチル-3-ブテニル-2-オキシ基、3-メチル-3-ブテニル-2-オキシ基、3-メチル-2-ブテニル-1-オキシ基、2,3-ジメチル-3-ブテニル-2-オキシ基、2-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、3-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、4-メチル-3-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、3-メチル-4-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ペンテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2,3-ジメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-1,4-ペンタジエニル-3-オキシ基、2,4,4-トリメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、3-メチル‐3-ヘキセニル-2-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセ二ル-4-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-4-オキシ基、5-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2,2-ジメチル-5-ヘキセニル-4-オキシ基、2,3,4-トリメチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、5-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘプテニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-2,6-ヘプタジエニル-1-オキシ基、2,6-ジメチル-2,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、3,5-ジメチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2-メチル-4-ジメチルアミノ-1-ブテニル-3-オキシ基、2-メチル-4-メチルチオ-1-ブテニル-3-オキシ基、3-メチル-2-ペンテニル-4-イン-1-オキシ基等が挙げられる。
【0033】
上記以外の置換または未置換の不飽和炭化水素オキシ基の例としては、エテニルオキシ基、3-ブテニル-1-オキシ基、5-ヘキセニル-2-オキシ基、5-ヘキセニル-1-オキシ基、3-ヘキセニル-1-オキシ基、4-ヘキセニル-1-オキシ基、1-オクテニル-4-オキシ基、2-メチル-3-ブテニル-1-オキシ基、3-メチル-3-ブテニル-1-オキシ基、3-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、2-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-4-ヘキセニル-2-オキシ基、5-メチル-5-ヘキセニル-2-オキシ基、5-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、6-メチル-5-ヘプテニル-2-オキシ基、2,2-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、5-メチル-1-ヘプテニル-4-オキシ基、6-メチル-6-ヘプテニル-3-オキシ基、3,5-ジメチル-1,6-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,6-ジメチル-1-ノネニル-3-イン-5-オキシ基、1-フェニル-4-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、4-エチル-1-ヘキシニル-3-オキシ基、2,6-ジメチル-6-ヘプテニル-4-イン-3-オキシ基、4-メチル-1-ペンチニル-3-オキシ基等が挙げられる。
【0034】
特に好ましい例としては、色素の融点を考慮して炭素数5〜10で、分岐して立体障害が大きく、芳香環の垂直方向に張り出し易く、かつ単位重量当たりの吸光係数が大きくできる基、また、光記録媒体とした時感度向上に有効な基であり、具体的には、2-メチルペンチル-4-オキシ基、2-メチルペンチル-3-オキシ基、3-メチルペンチル-4-オキシ基、2-メチルヘキシル-5-オキシ基、2,4-ジメチルペンチル-3-オキシ基、2-メチルヘキシル-3-オキシ基、2,5-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,2,4-トリメチルペンチル-3-オキシ基、3,5-ジメチルヘプチル-4-オキシ基、2,6-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル-3-オキシ基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル-1-オキシ基、3-メチル-3-ブテニル-1-オキシ基、4-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ペンテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2,4,4-トリメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-4-オキシ基、5-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2,2-ジメチル-5-ヘキセニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエニル-4-オキシ基、2-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘプテニル-3-オキシ基、5-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、3,5-ジメチル-1,6-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、3,5-ジメチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、4-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-1-ペンチニル-3-オキシ基、5-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基等である。
【0035】
また、式(II)〜(V)中、Metで示される2価金属原子の例としては、Cu,Zn,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Pt,Mn,Sn,Mg,Pb,Hg,Cd,Ba,Ti,Be,Ca等が挙げられ、1置換の3価金属原子の例としては、Al−F,Al−Cl,Al−Br,Al−I,Ga−F,Ga−Cl,Ga−Br,Ga−I,In−F,In−Cl,In−Br,In−I,Tl−F,Tl−Cl,Tl−Br,Tl−I,Al−C6H5,Al−C6H4(CH3),In−C6H5,In−C6H4(CH3),Mn(OH),Mn(OC6H5),Mn〔OSi(CH3)3〕,Fe−Cl,Ru−Cl等が挙げられ、2置換の4価金属原子の例としては、CrCl2,SiF2,SiCl2,SiBr2,SiI2,SnF2,SnCl2,SnBr2,ZrCl2,GeF2,GeCl2,GeBr2,GeI2,TiF2,TiCl2,TiBr2,Si(OH)2,Sn(OH)2,Ge(OH)2,Zr(OH)2,Mn(OH)2,TiA2,CrA2,SiA2,SnA2,GeA2〔Aはアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す〕,Si(OA’)2,Sn(OA’)2,Ge(OA’)2,Ti(OA’)2,Cr(OA’)2〔A’はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す〕,Si(SA”)2,Sn(SA”)2,Ge(SA”)2〔A”はアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す〕等が挙げられ、オキシ金属原子の例としては、VO,MnO,TiO等が挙げられる。特に好ましい例としては、Cu,Ni,Co,Mg,Zn,Pd,Pt,SiCl2,Si(OH)2,Si(OA’)2,VO等である。
【0036】
例えば、一般式(V)で示されるフタロシアニン化合物の合成法としては、下式(VI)
【0037】
【化9】
〔式(VI)におけるベンゼン環は、一般式(V)で述べたような置換基を有していて良い。〕で表される化合物の1〜4種を混合して、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)存在下に、金属誘導体とアルコール中で加熱反応する。あるいは、金属誘導体とクロルナフタレン、ブロムナフタレン、トリクロルベンゼン等の高沸点溶媒中で加熱反応する方法が挙げられる。また、式(VI)で表される化合物を、アルコール中、ナトリウムメチラートを触媒にアンモニアと反応して式(VII)で表されるジイミノイソインドリンを中間体として同様に反応する方法等が挙げられる。
【0038】
【化10】
また、式(VI)で表される化合物の合成は、特開昭61−186384(USP4769307)号公報、NOUVEAU JOURNAL DE CHIMIE, VOL.6, NO.12, PP653〜658 (1982)に記載の方法等にて行った。
【0039】
一般式(III)及び(IV)で示されるナフタロシアニン化合物の合成法としては、例えば、J. Am. Chem. Soc., 106, 740(1984); J. Org. Chem., 28, 3379(1963); J. Chem. Soc., 1744(1936)に記載の方法等が挙げられる。
【0040】
即ち、一般式(III)で示される化合物は、下式(VIII)または(IX)
【0041】
【化11】
〔式(VIII)及び(IX)におけるナフタレン環は、一般式(III)で述べたような置換基を有していて良い。〕で表される化合物の1〜4種を混合して、上述したフタロシアニン化合物と同様の方法で合成される。
【0042】
同様に一般式(IV)で示される化合物は、下式(X)または(XI)
【0043】
【化12】
〔式(X)及び(XI)におけるナフタレン環は、一般式(IV)で述べたような置換基を有していて良い。〕から合成される。
【0044】
また、式(VI)、(VIII)及び(X)または(VII)、(IX)及び(XI)を混合して金属誘導体と加熱反応させることにより、ベンゼン骨格とナフタレン骨格とが混在する一般式(II)に包含される化合物も合成することができる。
【0045】
本発明の光吸収化合物を用いて光記録媒体を製造する方法には、透明基板上に本発明の光吸収化合物を含む1〜3種の化合物を1層または2層に塗布、あるいは蒸着する方法があり、塗布法としては、バインダー樹脂20重量%以下、好ましくは0%と、本発明の光吸収化合物0.05〜20重量%、好ましくは0.5〜20重量%となるように溶媒に溶解し、スピンコーターで塗布する方法等がある。また蒸着方法としては10-5〜10-7torr、100〜300℃にて基板上に堆積させる方法等がある。
【0046】
基板としては、光学的に透明な樹脂であれば良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン共重合樹脂等が挙げられる。また基板は熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂により表面処理がなされていても良い。
【0047】
光記録媒体(光ディスク、光カード等)を作製する場合、コストの面、ユーザーの取り扱いの面より、基板はポリアクリレート基板またはポリカーボネート基板を用い、かつスピンコート法により塗布されるのが好ましい。
【0048】
基板の耐溶剤性より、スピンコートに用いる溶剤は、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、ジクロロジフルオロエタン等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、あるいはそれらの混合溶媒が好適に用いられる。
【0049】
記録媒体として加工するには、上記の様に基板で覆う、あるいは2枚の記録層を設けた基板に、エアーギャップを設けて対向させて張り合わせる、または、記録層上に反射層(アルミニウムまたは金)を設け、熱硬化性または光硬化性樹脂の保護層を積層する方法などがある。保護層として、Al2O3,SiO2,SiO,SnO2等の無機化合物を利用しても良い。
【0050】
本発明で得られる光記録媒体は、各種レーザー光によって記録・再生が可能である。但し、レーザー波長により記録層に含有させる本発明の光吸収化合物を選択することで、より感度・記録特性の良い光記録媒体を得ることができる。例えば、780nm前後の波長のレーザー光の時は一般にフタロシアニン系化合物が好ましく、830nm前後のレーザー光の時は一般にフタロシアニン系化合物よりも光吸収が長波長側にシフトするナフタロシアニン系化合物が好ましい。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれにより限定されるものではない。
【0052】
実施例1
撹拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に、60%水素化ナトリウム9.6g(0.24モル)及びジメチルホルムアミド150mlを装入し、窒素通気下撹拌する。これに2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5g(0.25モル)を温度20〜30℃1時間で滴下する。同温度で3時間撹拌しナトリウムアルコラート溶液を調製する。
【0053】
次に、撹拌器、還流冷却器を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル34.6g(0.2モル)およびジメチルホルムアミド150mlを装入し溶解させる。これに、予め調製したナトリウムアルコラート溶液を、0〜10℃で3時間で滴下し、滴下終了後、温度を20〜30℃に昇温し3時聞撹拌して、反応を終了する。終了後、3lの水に排出し30分撹拌する。これにトルエン500mlを加え30分撹拌後、静置し、トルエン層を分離する。トルエンを減圧留去後、n−ヘキサン600mlで再結晶して3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル39.4g(収率82.0%)を得た。液体クロマトグラフィーでの純度分析では純度は99.2%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0054】
【0055】
次に、撹拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)、及びn−アミルアルコール125gを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化パラジウム5.3g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で20時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物の濃緑色結晶を得た。収量は16.8g(収率63%)であった。高速液体クロトグラフィーによる純度測定の結果は99.0%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0056】
可視吸収:λmax=692nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0057】
上記フタロシアニン化合物のn−オクタン溶液(10g/l)をスパイラルグルーブ(ピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深0.18μm)付きの外形120mm、厚さ1.2mmのCD−R用ポリカーボネート基板上に500〜1000rpmでスピンコート成膜した。その上に30nmの金をスパッタ蒸着して反射層を形成し、続いて光硬化型ポリアクリル樹脂によりオーバーコートした後、光硬化させ保護層を形成してCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、カーボンアーク灯63℃、200時間の耐久試験においても変化はなかった。
【0058】
実施例2
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装入し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物の濃緑色結晶を得た。収量は19.8g(収率77.1%)であった。高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.6%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0059】
可視吸収λmax=708nm
εg=2.4×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0060】
上記フタロシアニン化合物のジブチルエーテル溶液(10g/l)を実施例1と同様にスピンコーターによりCD−R用ポリカーボネート基板上に塗布し、その上に金をスパッタ蒸着し、続いてUV硬化樹脂を用いて保護層を形成し、CD−R型媒体を作製した。この媒体に780nmの半導体レーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、0.5mWの再生光で百万回再生を行っても変化がなかった。また80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0061】
実施例3
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装人し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で三塩化バナジウム4.7g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンオキシバナジウム化合物の濃緑色結晶を得た。収量は11.6g(収率45.3%)であった。液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0062】
可視吸収:λmax=733nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0063】
上記フタロシアニン化合物10gをジブチルエーテルとジイソプロピルエーテル3:1(体積比)混合溶媒500mlに溶解し、スピンコーターによりポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は61dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらにこの光カードは保存安定性も良好なものであった。
【0064】
実施例4
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチルー1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装入し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化マグネシウム2.8g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で15時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン:酢酸エチル=8:2体積比)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンマグネシウム化合物の濃緑色結晶を得た。収量は13.8g(収率56.2%)であった。液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は98.9%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0065】
可視吸収λmax=704nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0066】
上記フタロシアニン化合物のエチルシクロヘキサン溶液(20g/l)を実施例1と同様にスピンコーターによりCD−R用ポリカーボネート基板上に塗布し、その上に金をスパッタ蒸着し、続いてUV硬化樹脂を用いて保護層を形成し、CD−R型媒体を作製した。この媒体に780nmの半導体レーザーを用いて、線速2.8m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、0.5mWの再生光で百万回再生を行っても変化がなかった。また80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0067】
実施例5
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装入し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化亜鉛4.1g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で25時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン:酢酸エチル=8:2体積比)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン亜鉛化合物の濃緑色結晶を得た。収量は16.9g(収率65.8%)であった。液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0068】
可視吸収λmax=706nm
εg=2.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0069】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0070】
実施例6
3−ニトロフタロニトリルの代わりに4−ニトロフタロニトリルを用いる以外は実施例1と同様の操作を行い4−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、β位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物を得た。
【0071】
4−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリルの収量は41.0g(収率85.3%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は98.9%であった。元素分析の結果は以下の通りである。
【0072】
【0073】
フタロシアニンパラジウム化合物の収量は18.7g(収率70.2%)であり、液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0074】
可視吸収λmax=688nm
εg=1.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0075】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレ一トは、0.2%未満であった。
【0076】
実施例7〜9
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに4−メチル−4−ヘプテン−3−オール32.1gを用いる以外は実施例1〜3と同様な操作を行い、3−(4−メチル−4−ヘプテニル−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム,銅及びオキシバナジウム化合物を得た。
【0077】
3−(4−メチル−4−ヘプテニル−3−オキシ)フタロニトリルの収量は41.2g(収率81.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0078】
【0079】
フタロシアニンパラジウム、銅及びオキシバナジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0080】
フタロシアニンパラジウム化合物(実施例7)
収量17.4g(収率62.0%)、純度99.1%
可視吸収:λmax=691nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0081】
フタロシアニン銅化合物(実施例8)
収量20.6g(収率76.2%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=707nm
εg=2.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0082】
フタロシアニンオキシバナジウム化合物(実施例9)
収量12.0g(収率44.1%)、純度98.8%
可視吸収:λmax=730nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0083】
上記各フタロシアニン化合物において、ジメチルシクロヘキサン溶液(10g/l)をスピンコーターによりPMMA製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を形成し、光カードを作製した。これらの光カードは、780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)、線速2m/s,4mWの半導体レーザー光により記録することが可能で、その際のCN比は58〜61dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調べたところ105回の再生が可能であった。さらに、上記各フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)のレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0084】
実施例10
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2−メチル−4−ヘキセン−3−オール28.5gを用いる、及び塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化ニッケル3.9gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2−メチル−4−ヘキセニル−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンニッケル化合物を得た。
【0085】
3−(2−メチル−4−ヘキセニル−3−オキシ)フタロニトリルの収量は40.0g(収率83.2%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0086】
【0087】
フタロシアニンニッケル化合物の収量は17.1g(収率64.1%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度測定の結果は98.8%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0088】
可視吸収:λmax=700nm
εg=2.0×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0089】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0090】
実施例11
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2−メチル−1,5−ヘプタジエン−4−オール31.6gを用いること、及び塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化コバルト3.9gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2−メチル−1,5−ヘプタジエニル−4−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンコバルト化合物を得た。
【0091】
3−(2−メチル−1,5−ヘプタジエニル−4−オキシ)フタロニトリルの収量は42.1g(収率83.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は98.8%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0092】
【0093】
フタロシアニンコバルト化合物の収量は13.5g(収率50.3%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度測定の結果は98.8%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0094】
可視吸収:λmax=695nm
εg=2.1×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0095】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0096】
実施例12〜14
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン−4−オール35gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン−4−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム,銅及びオキシバナジウム化合物を得た。
【0097】
3−(3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン−4−オキシ)フタロニトリルの収量は44.7g(収率84.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0098】
【0099】
フタロシアニンパラジウム、銅及びオキシバナジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0100】
フタロシアニンパラジウム化合物(実施例12)
収量19.0g(収率65.0%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=690nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0101】
フタロシアニン銅化合物(実施例13)
収量21.4g(収率76%)、純度99.6%
可視吸収:λmax=706nm
εg=1.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0102】
フタロシアニンオキシバナジウム化合物(実施例14)
収量15.5g(収率54.8%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=733.5nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0103】
上記各フタロシアニン化合物において、ジメチルシクロヘキサン溶液(10g/l)を実施例3と同様にポリカーボネート製光カード基板上に塗布し、塗布面に保護層を形成し、光カードを作製した。これらの光カードは、780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)、線速2m/s,4mWの半導体レーザー光により記録することが可能で、その際のCN比は58〜61dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調べたところ105回の再生が可能であった。さらに、上記各フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)のレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0104】
実施例15、16
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2,5−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール32gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2,5−ジメチル−5−ヘキセン−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム及び銅化合物を得た。
【0105】
3−(2,5−ジメチル−5−ヘキセン−3−オキシ)フタロニトリルの収量は43.7g(収率86.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0106】
【0107】
フタロシアニンパラジウム及び銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0108】
フタロシアニンパラジウム化合物(実施例15)
収量17.4g(収率62.1%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=688.5nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0109】
フタロシアニン銅化合物(実施例16)
収量22.0g(収率81.5%)、純度99.2%
可視吸収:λmax=705nm
εg=2.1×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0110】
上記各フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。また、これらの媒体にキセノンランプ50℃による耐光性試験を行ったところ、200時間経過しても変化がなかった。
【0111】
実施例17
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2,4−ジメチル−3ペンタノール29.1gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2,4−ジメチルペンチル−3−オキシ)フタロニトリルを合成した。収量は38.7g(収率80%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0112】
【0113】
得られた3−(2,4−ジメチルペンチル−3−オキシ)フタロニトリルと実施例7〜9で合成した3−(4−メチル−4−ヘプテニル−3−オキシ)フタロニトリルとを1:1モル比で混合し、実施例1と同様にα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物を得た。
【0114】
フタロシアニンパラジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0115】
収量17.4g(収率62.1%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=691.0nm
εg=2.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0116】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m
/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0117】
実施例18
下記構造式(A)
【0118】
【化13】
で示されるフタロニトリル誘導体29.6g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gの混合溶液中に塩化パラジウム5.3g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で20時間反応させた。反応混合物をメタノール1400g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物を得た。
【0119】
フタロシアニンパラジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0120】
収量14.6g(収率45.3%)、純度99.3%
可視吸収:λmax=724.0nm
εg=1.7×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0121】
上記フタロシアニン化合物のジブチルエーテル溶液(10g/l)をポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、780nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は60dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらにこの光カードは保存安定性も良好なものであった。
【0122】
実施例19
塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化第一銅3.0gを添加する以外は実施例18と同様の操作を行い、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物を得た。
【0123】
フタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0124】
収量17.9g(収率57.2%)、純度99.4%
可視吸収:λmax=740.0nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0125】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0126】
実施例20
塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化第一鉄3.8gを添加する以外は実施例18と同様の操作を行い、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン鉄化合物を得た。
【0127】
フタロシアニン鉄化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0128】
収量13.4g(収率43.2%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=730.0nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0129】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。また80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0130】
実施例21
下記構造式(B)
【0131】
【化14】
で示されるフタロニトリル誘導体29.8g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gの混合溶液中に塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応混合物をメタノール1400g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に飽和または不飽和の炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物を得た。
【0132】
フタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0133】
収量17.3g(収率55.1%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=739.5nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0134】
上記フタロシアニン化合物のジメチルシクロヘキサン溶液(10g/l)をスピンコーターによりポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は59dBであった。また、実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0135】
実施例22
下記構造式(C)
【0136】
【化15】
で示されるフタロニトリル誘導体32.4g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gの混合溶液中に塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応混合物をメタノール1400g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物を得た。
【0137】
フタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0138】
収量24.5g(収率72.4%)、純度99.2%
可視吸収:λmax=736.5nm
εg=1.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0139】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例21と同様にして光カ一ド型媒体を作製した。この媒体に800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は57dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらに保存安定性も良好なものであった。
【0140】
実施例23
下記構造式(D)
【0141】
【化16】
で示されるジイミノイソインドリン誘導体31.3g(0.1モル)及びキノリン200gの混合溶液中に四塩化珪素34.0g(0.2モル)を添加し、185〜195℃で5時間反応させた。反応混合物をメタノール2000g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン:酢酸エチル=8:2(体積比))することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン珪素化合物(中心金属はSiCl2)を得た。
【0142】
フタロシアニン珪素化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0143】
収量12.5g(収率39.0%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=743.0nm
εg=2.2×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0144】
上記フタロシアニン化合物のジブチルエーテル溶液(10g/l)をポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は59dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。
【0145】
実施例24
下記構造式(E)
【0146】
【化17】
で示されるナフタロニトリル誘導体29.0g(0.1モル)、モリブデン酸アンモニウム0.03g、尿素1500g、塩化第一銅3.0g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、200〜260℃で1時間反応させた。次に反応溶液にクロロホルムを加え、不溶物を濾過後、濾液を濃縮し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、α位に不飽和炭化水素オキシ基を有するナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0147】
ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0148】
収量3.1g(収率10.0%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=825.0nm
εg=2.2×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0149】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長830nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0150】
実施例25
下記構造式(F)
【0151】
【化18】
で示されるナフタロニトリル誘導体34.6g(0.1モル)、モリブデン酸アンモニウム0.03g、尿素1500g、塩化第一銅3.0g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、200〜260℃で2時間反応させた。次に反応溶液にクロロホルムを加え、不溶物を濾過後、濾液を濃縮し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0152】
ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0153】
収量2.9g(収率8.1%)、純度99.1%
可視吸収:λmax=853.0nm
εg=2.1×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0154】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例23と同様にして光カ一ドを作製した。このカードは、830nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は58dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらに保存安定性も良好なものであった。
【0155】
実施例26
前記構造式(E)及び構造式(F)で示されるナフタロニトリル誘導体を1:1のモル比で混合したものを、実施例24において、塩化第一銅の代わりに塩化ニッケルと加熱反応させることによりナフタロシアニンニッケル化合物を得た。
【0156】
ナフタロシアニンニッケル化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0157】
収量3.3g(収率9.8%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=815.0nm
εg=2.2×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0158】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長830nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、カーボンアーク灯63℃、200時間の耐久試験においても変化はなかった。
【0159】
実施例27
下記構造式(G)
【0160】
【化19】
で示されるナフタロニトリル誘導体27.4g(0.1モル)、1−クロロナフタレン150g及び三塩化バナジウム4.7g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、230℃で4時間反応させた。反応溶液を75%メタノール水に排出し、析出した固体を瀘別し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、α位に不飽和炭化水素オキシ基を有する1,2−ナフタロシアニンオキシバナジウム化合物を得た。
【0161】
1,2−ナフタロシアニンオキシバナジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0162】
収量5.9g(収率20.2%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=750.0nm
εg=2.0×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0163】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例23と同様にして光カ一ドを作製した。この媒体に波長830nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は58dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらに保存安定性も良好なものであった。
【0164】
実施例28
下記構造式(H)
【0165】
【化20】
で示されるナフタロニトリル誘導体40.3g(0.1モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール320g、DBU15.2g(0.1モル)及び塩化第一銅3.0g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、還流下6時間反応させた。反応溶液を5%塩酸水に排出した。析出した結晶を濾別し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、不飽和炭化水素オキシ基を有する1,2−ナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0166】
1,2−ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0167】
収量7.9g(収率18.9%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=727.0nm
εg=1.8×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0168】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0169】
実施例29
前記構造式(H)の代わりに下記構造式(J)
【0170】
【化21】
で示されるナフタロニトリル誘導体40.3g(0.1モル)を用いた以外は実施例28と同様にして不飽和炭化水素オキシ基を有する1,2−ナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0171】
1,2−ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0172】
収量12.1g(収率28.9%)、純度99.5%
可視吸収:λmax=715.0nm
εg=1.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0173】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0174】
比較試験
以上得られた光吸収化合物を用いた光記録媒体と、公知の光吸収化合物を用いた光記録媒体についてその性能を比較した。本発明の媒体として、実施例1、2、10、11、13、17、18、24及び27の化合物を用いて実施例1と同様にして作製した媒体を使用し、比較例として下記3種の公知アルコキシフタロシアニンまたはアルコキシナフタロシアニンを用いて実施例1と同様にして作製した媒体を使用した。
【0175】
比較例1:下記構造式で示される特開平3−62878号公報(USP 5,124,067)の例示化合物
【0176】
【化22】
【0177】
比較例2:下記構造式で示される特開平2−296885号公報の例示化合物
【0178】
【化23】
【0179】
比較例3:下記構造式で示される特開平2−43269号公報(USP 4,960,538)の例示化合物
【0180】
【化24】
【0181】
光吸収化合物の吸収波長に合わせて適切なレーザー波長での記録・再生を行った。具体的には、フタロシアニン系化合物を用いた媒体は780nmのレーザー、フタロシアニン系化合物より吸収波長が高波長側にずれるナフタロシアニン系化合物を用いた媒体は波長830nmのレーザーを使用し、下記3種の方法で記録した。
通常記録:線速度1.4m/s(1倍速)で63分の情報を記録する。
高速記録:線速度5.6m/s(4倍速)で63分の情報を記録する。
高密度記録:線速度1.2m/sで74分の情報を記録する。
【0182】
尚、通常記録の時のみ6.0と3.6mWの2つのレーザーパワーで記録し、他の記録方法による時は6.0mWで記録した。
【0183】
さらに記録感度(C/N比)、ジッター及びデビエイションをそれぞれCDデコーダー(DR3552、ケンウッド社製)、LJM−1851ジッターメーター(リーダー電子製)、TIA−175タイムインターバルアナライザー(ADC社製)を用いてそれぞれ計測した。これらの評価結果を表1に示す。
【0184】
【表1】
【0185】
評価基準
感度(C/N比)
A:≧55dB
B:<55dB
ジッター
A:3Tピットジッター及び3Tランドジッターが <35ns
B:3Tピットジッター及び3Tランドジッターが ≧35ns
デビエイション
A: −50ns< 3T及び11Tデビエイション <50ns
B: 3T及び11Tデビエイション ≧50ns
又は3T及び11Tデビエイション ≦−50ns
【0186】
表1から分かるように、本発明の光吸収化合物、特に芳香環に結合している置換基ORが、その芳香環結合酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基である化合物、を用いた光記録媒体は、通常記録の6.0mWレーザーパワー及び3.6mW低レーザーパワー、高速記録及び高密度記録において良好な感度、記録特性を示した。それに対して比較例1〜3の公知化合物を用いた光記録媒体では、通常記録で6.0mW以上のレーザーパワーの場合は良好な感度、記録特性を示すが、低レーザーパワー、高速記録及び高密度記録の場合の感度、記録特性は不十分であった。
【0187】
【発明の効果】
本発明の光吸収化合物は、分子内にある芳香環に炭素間三重結合または炭素間二重結合を含有する不飽和炭化水素オキシ基の導入したものであり、この化合物を用いた光記録媒体においては、反射層である金属層との密着性が増し、書き込み時の分解を制御できたことから通常記録時のみならず高速記録、高密度記録時における感度及び記録特性が向上した。さらに、特定の位置に炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基のクライゼン転位を利用して、低レーザーパワーでの、感度、記録特性の良好な光記録媒体への書き込みを可能にした。
【産業上の利用分野】
本発明は、情報記録、表示センサー、保護眼鏡等のオプトエレクトロニクス関連に重要な役割を果たす光線吸収剤として有用な化合物、それを記録層に含有してなる光ディスク及び光カード等の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザー光は光ディスク、光カード装置等における書き込み及び読み取りのために利用されている。特にこれらの装置で用いられる光記録媒体の記録方式は、実用レベルとしては通常、光・熱変換を経たヒートモード記録(熱記録)が採用されており、そのために記録層として低融点金属、有機高分子、更には融解、蒸発、分解、あるいは昇華等の物理変化または化学変化を起こす有機色素が種々提案されている。中でも、融解、分解等の温度が低い有機色素系は記録感度上好ましいことから、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、アゾ系色素などを中心に記録層として開発されてきている。
【0003】
例えば、特開平2−147286号公報において、記録層にシアニン系色素を含む光記録媒体が提案されている。しかしながら、この媒体系は長期保存性及び耐光性に劣り、さらには記録特性も不十分であった。
【0004】
アントラキノン色素(例えば、特開昭58ー224448号公報)、ナフトキノン色素(例えば、特開昭58−224793号公報)を記録層に含む光記録媒体も提案されているが、いずれもシアニン系色素と同様に長期保存性及び耐光性に劣り、記録特性も不十分であった。
【0005】
特開昭61−25886号公報、特開平2−43269号公報(USP 4,960,538)、特開平2−296885号公報等においては、記録層にナフタロシアニン色素を含む光記録媒体が提案されている。この媒体系では、耐光性は優れるが、記録層の反射率が低く、記録特性も不十分であった。
【0006】
また、光記録媒体の記録層にフタロシアニン色素、特にアルコキシ置換フタロシアニンを利用する技術は、特開昭61−154888号公報(EP 186404)、同61−197280号公報、同61−246091号公報、同62−39286号公報(USP 4,769,307)、同63−37991号公報、同63−39388号公報等により広く知られている。これらの特許に開示されているフタ口シアニン色素を用いた光記録媒体においては、感度、記録特性において十分な性能を有しているとは言い難かった。それを改良したのが特開平3−62878号公報(USP 5,124,067)であるが、その改良化合物においても、レーザー光による記録時の誤差が大きく未だ実用上十分ではなかった。
【0007】
特開平2−43269号公報(USP 4,960,538)及び特開平2−296885号公報においてアルコキシ置換ナフタロシアニン、特開昭63−37991号公報において脂肪族炭化水素オキシ置換フタロシアニン、特開昭63−39388号公報においてはアルケニルチオ置換フタロシアニンの光記録媒体への利用を提案しているが、発明の詳細な説明及び実施例において、二重結合を含む不飽和炭化水素オキシまたはチオ基の記述はなく、無論、本発明における特に炭素間三重結合または二重結合を含む不飽和炭化水素オキシ基が光記録媒体の感度、記録特性に効果があると言うことは記載されていない。
【0008】
尚、その他の公知の色素を用いた光記録媒体の記録特性においても十分な性能を有しているものは見出されていない。
【0009】
光記録媒体への書き込み及び読み出しは400〜900nmのレーザー光を利用するので、記録材料の使用レーザー発振波長近傍における吸収係数、屈折率等の制御及び書き込み時における精度の良いピット形成が重要である。このことは、最近願望されている高速記録、高密度記録においては特に重要である。そのため、構造安定性が高く、レーザー発振波長近傍の光に対して屈折率が高く、分解特性が良好で、かつ感度の高い光記録媒体用色素の開発が必要となる。ところが従来開発された光記録媒体用色素は、記録媒体に用いた時、特に高速記録、高密度記録時の感度(C/N比、最適記録パワー)、記録特性(ジッター、デビエイション)について欠点を有するという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記欠点を改善し、高速記録、高密度記録時においても感度が高く、記録特性の良好な光記録媒体を提供し得る色素を供給することである。
【0011】
本発明の他の目的は、それらの色素を用いた、感度が高く、記録特性の良好な光記録媒体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前項の問題点を解決すべく鋭意検討の結果、上述の目的に合う新規な光吸収化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、下記一般式(II)
【0016】
【化5】
〔式(II)中、L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立したOR基を0〜2個有するベンゼン環またはナフタレン環骨格を表わし、かつL1、L2、L3及びL4のうち少なくとも1つはOR置換基を1個以上含有する。OR置換基は(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素オキシ基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素オキシ基を表わす。但し、L1、L2、L3及びL4に有する全てのOR置換基のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素オキシ基である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で表される光吸収化合物である。
【0017】
特に、一般式(II)において、L1、L2、L3及びL4に有するOR置換基が分岐した飽和または不飽和炭化水素オキシ基であること、及びL1、L2、L3及びL4に有するOR置換基が不飽和炭化水素オキシ基であり、かつ1個以上の二重結合を有し、該二重結合が芳香環結合酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に存在することが好ましい。
【0018】
更に上記一般式(II)で表わされる化合物のより好ましい実施態様として次の一般式(III)〜(V)で表わされる化合物が挙げられる。
【0019】
【化6】
〔式(III)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素基を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素基である。k,l,m及びnはORの数を表わすもので、0または1である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で示されるナフタロシアニン化合物、特に、一般式(III)においてOR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が各々1または6、7または12、13または18、及び19または24のα位であることが好ましい。
【0020】
【化7】
〔式(IV)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素基を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素基である。k,l,m及びnはORの数を表わすもので、0または1である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で示されるナフタロシアニン化合物、特に、一般式(IV)においてOR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が各々6、12、18、及び24のα位であることが好ましい。
【0021】
【化8】
〔式(V)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(a)炭素数1〜20の置換または未置換の飽和炭化水素基または、(b)炭素数5〜10の分岐した不飽和炭化水素基を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つは前記(b)の不飽和炭化水素基である。k,l,m及びnはORの数を表わすもので、0または1である。Metは2個の水素原子、2価金属原子、3価1置換金属原子、4価2置換金属原子、オキシ金属原子を表す。〕で示されるフタロシアニン化合物、特に、一般式(V)においてOR1、OR2、OR3、OR4、OR5、OR6、OR7及びOR8の置換位置が各々1、4、5、8、9、12、13及び16のα位であることが好ましい。
【0022】
本発明において、二重結合とは芳香環でない炭素間二重結合を意味する。
【0023】
一般式(II)〜(V)において、置換の飽和または不飽和の炭化水素オキシ基の置換基としては、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基が挙げられる。
【0024】
一般式(II)〜(V)において、不飽和炭化水素オキシ基あるいは不飽和炭化水素基は、不飽和結合である炭素間三重結合及び/または二重結合を1〜4個含み、炭素間三重結合と二重結合は混在していても良い。一般式(II)で示される光吸収化合物とは、400〜900nmの波長の光を吸収する化合物を示す。さらに一般式(II)〜(V)中、OR基の炭素数は、2〜20、好ましくは3〜12で、さらに好ましくは5〜10であり、また光吸収化合物全体として有するOR基の半分以上が炭素数3〜12または5〜10であっても良い。
【0025】
本発明の光吸収化合物は、OR基に炭素間三重結合または炭素間二重結合が存在することにより、従来の記録法のみならず、従来に比較して高速である記録、あるいは高密度の記録法においても光記録媒体の感度、記録特性の向上に効果を上げた。機構は未だ明らかでなく現在検討中であるが、炭素間三重結合及び二重結合の存在により、記録時に色素の分解・溶融が制御され精度の高いピット形成が行われたこと、分解発熱量の減少により記録媒体の樹脂基板へのダメージが減少したこと、反射層を有する記録媒体の場合は記録層と反射層である金属層との密着性が向上したことなどが挙げられる。特にOR基が、二重結合を酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に有する不飽和炭化水素オキシ基である場合、光記録媒体の感度及び記録特性の向上に著しい効果があった。この効果は、不飽和炭化水素基のクライゼン転位及び脱離によるものと考えられる。即ち、低パワーのレーザー光で生じるクライゼン転位及び脱離の前後の吸光度・反射率の差を利用して、記録・再生を行うことにより、感度が良好で、樹脂基板へのダメージが小さく、精度の高いピット形成が行われたと考えられる。
【0026】
本発明の光吸収化合物のうち、例えばフタロシアニン及びナフタロシアニン系化合物において、OR基の少なくとも1個が、その芳香環結合酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基である場合、約200℃の加熱によりナフタロシアニンまたはフタロシアニン骨格を維持したまま不飽和炭化水素基のクライゼン転位および僅かな脱離を生じることは、1H−NMRおよびマススペクトル測定及び熱分析(熱重量法:TG、示差熱分析:DTA、示差走査熱量測定:DSC)等により明かになった。例えば、1H−NMRにおける加熱経時変化では、アリル基領域(δ=3.0〜5.8ppm)で酸素原子に結合したアリル基に由来したシグナルが減少し、高磁場領域に新たに芳香族環に結合したアリル基に由来すると考えられるシグナルが出現した。マススペクトルにおいては、加熱して転位反応を生じたと思われるものには、加熱前に存在していた不飽和炭化水素基部分の欠如したフラグメントピークが小さくなるかまたは観測されなくなる。TGにおいては、200℃前後からわずかに重量減少が観測され、DSCでは200℃前後で発熱が観測された。TG及びDSCでのこれらの現象は、対応する飽和炭化水素オキシ基のみを有するフタロシアニンまたはナフタロシアニン系化合物では観測されなかった。さらに、不飽和炭化水素基のクライゼン転位及び脱離反応を生じたナフタロシアニンまたはフタロシアニン系化合物の780nm近傍の溶液中での吸光度は、反応前のものに比較して2〜20倍に増大した。これらの化合物をガラス基板上に塗布して形成した光記録媒体において、780nm近傍の反射率は、反応前のものに比較して2/3〜1/10に減少する。従って、ピット部分とピット以外の部分とのレーザー光の反射光量に大きな違いが生じ、再生信号の変調度を大きくとることが可能である。上記の効果、特にクライゼン転移による効果は、他の光吸収化合物においても同様の傾向が見られた。
【0027】
本発明の光吸収化合物のうち、特にフタロシアニン及びナフタロシアニン系化合物は、650〜900nmにシャープな吸収を有し、分子吸光係数は150,000以上と高く、長期安定性及び耐光性にも優れるため、半導体レーザーを用いる光記録媒体(光ディスク、光カード等)の記録材料に好適である。
【0028】
以下に本発明の好ましい態様を詳述する。
【0029】
一般式(II)〜(V)中、OR基で示される置換基の具体例としては、置換または未置換の炭素数1〜20の飽和炭化水素オキシ基または炭素数2〜20の不飽和炭化水素オキシ基であるが、入手の容易さや溶解度を考慮して好ましくは炭素数3〜12である置換または未置換の飽和炭化水素オキシ基または不飽和炭化水素オキシ基である。
【0030】
例えば、未置換の飽和炭化水素オキシ基の例としては、n-プロピルオキシ基、iso-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、iso-ペンチルオキシ基、neo-ペンチルオキシ基、2-メチルブチル-3-オキシ基、n-ヘキシルオキシ基、cyclo-ヘキシルオキシ基、2-メチルペンチル-4-オキシ基、2-メチルペンチル-3-オキシ基、3-メチルペンチル-4-オキシ基、n-ヘプチルオキシ基、2-メチルヘキシル-5-オキシ基、2,4-ジメチルペンチル-3-オキシ基、2-メチルヘキシル-3-オキシ基、ヘプチル-4-オキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシル-1-オキシ基、2,5-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,2,4-トリメチルペンチル-3-オキシ基、n-ノニルオキシ基、3,5-ジメチルヘプチル-4-オキシ基、2,6-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、n-ドデシルオキシ基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル-3-オキシ基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル-1-オキシ基、1-cyclo-ヘキシル-2,2-ジメチルプロピル-1-オキシ基等が挙げられる。
【0031】
置換飽和炭化水素オキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、γ−メトキシプロピルオキシ基、γ−エトキシプロピルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基、エトキシエトキシエトキ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基、ジメチルアミノエトキシ基、2-アミノ-2-メチルヘキシル-3-オキシ基等のアミノアルコキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、ナフチルオキシ基、3-ベンジル-3-メチルブチル-2-オキシ基等のアラルキルオキシ基、2-ヒドロキシエチル-1-オキシ基、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル-1-オキシ基等のヒドロキシアルコキシ基、アセトキシエチルオキシ基、アセトキシエトキシエチルオキシ基等のアシルオキシアルコキシ基、等が挙げられる。
【0032】
置換または未置換の不飽和炭化水素オキシ基において、オキシ酸素原子の隣の炭素原子から数えて二、三番目の炭素原子間に二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基の例として、2-プロペニル-1-オキシ基、1-ブテニル-3-オキシ基、2-ブテニル-1-オキシ基、3-ブテニル-2-オキシ基、1-ヒドロキシ-2-ブテニル-4-オキシ基、2-ペンテニル-1-オキシ墓、3-ペンテニル-2-オキシ基、1-ペンテニル-3-オキシ基、1,4-ペンタジエニル-3-オキシ基、1-ヘキセニル-3-オキシ基、2-ヘキセニル-1-オキシ基、2-ヘキセニル-4-オキシ基、3-ヘキセニル-2-オキシ基、4-ヘキセニル-3-オキシ基、2,4-ヘキサジエニル-1-オキシ基、1,4-ヘキサジエニル-3-オキシ基、1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、1-ヒドロキシ-2,4-ヘキサジエニル-6-オキシ基、2,5-ヘキサジエニル-1-オキシ基、1,3-ヘキサジエニル-5-オキシ基、1-ヘプテニル-3-オキシ基、2-ヘプテニル-4-オキシ基、3-ヘプテニル-5-オキシ基、1,4-ヘプタジエニル-3-オキシ基、1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、1,5-ヘプタジエニル-3-オキシ基、2,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、1-オクテニル-3-オキシ基、2-オクテニル-4-オキシ基、1-ノネニル-3-オキシ基、4-ジメチルアミノ-1-ブテニル-3-オキシ基、4-メチルチオ-1-ブテニル-3-オキシ基、1-シクロペンチル-2-メチル-2-プロペニル-1-オキシ基、1-シクロヘキシル-2-メチル-2-プロペニル-1-オキシ基、2-メチル-2-ブテニル-1-オキシ基、3-メチル-2-ブテニル-1-オキシ基、2-メチル-3-ブテニル-2-オキシ基、3-メチル-3-ブテニル-2-オキシ基、3-メチル-2-ブテニル-1-オキシ基、2,3-ジメチル-3-ブテニル-2-オキシ基、2-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、3-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、4-メチル-3-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、3-メチル-4-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ペンテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2,3-ジメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-1,4-ペンタジエニル-3-オキシ基、2,4,4-トリメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、3-メチル‐3-ヘキセニル-2-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセ二ル-4-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-4-オキシ基、5-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2,2-ジメチル-5-ヘキセニル-4-オキシ基、2,3,4-トリメチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、5-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘプテニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-2,6-ヘプタジエニル-1-オキシ基、2,6-ジメチル-2,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、3,5-ジメチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2-メチル-4-ジメチルアミノ-1-ブテニル-3-オキシ基、2-メチル-4-メチルチオ-1-ブテニル-3-オキシ基、3-メチル-2-ペンテニル-4-イン-1-オキシ基等が挙げられる。
【0033】
上記以外の置換または未置換の不飽和炭化水素オキシ基の例としては、エテニルオキシ基、3-ブテニル-1-オキシ基、5-ヘキセニル-2-オキシ基、5-ヘキセニル-1-オキシ基、3-ヘキセニル-1-オキシ基、4-ヘキセニル-1-オキシ基、1-オクテニル-4-オキシ基、2-メチル-3-ブテニル-1-オキシ基、3-メチル-3-ブテニル-1-オキシ基、3-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、2-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-4-ヘキセニル-2-オキシ基、5-メチル-5-ヘキセニル-2-オキシ基、5-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、6-メチル-5-ヘプテニル-2-オキシ基、2,2-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、5-メチル-1-ヘプテニル-4-オキシ基、6-メチル-6-ヘプテニル-3-オキシ基、3,5-ジメチル-1,6-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,6-ジメチル-1-ノネニル-3-イン-5-オキシ基、1-フェニル-4-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、4-エチル-1-ヘキシニル-3-オキシ基、2,6-ジメチル-6-ヘプテニル-4-イン-3-オキシ基、4-メチル-1-ペンチニル-3-オキシ基等が挙げられる。
【0034】
特に好ましい例としては、色素の融点を考慮して炭素数5〜10で、分岐して立体障害が大きく、芳香環の垂直方向に張り出し易く、かつ単位重量当たりの吸光係数が大きくできる基、また、光記録媒体とした時感度向上に有効な基であり、具体的には、2-メチルペンチル-4-オキシ基、2-メチルペンチル-3-オキシ基、3-メチルペンチル-4-オキシ基、2-メチルヘキシル-5-オキシ基、2,4-ジメチルペンチル-3-オキシ基、2-メチルヘキシル-3-オキシ基、2,5-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘキシル-3-オキシ基、2,2,4-トリメチルペンチル-3-オキシ基、3,5-ジメチルヘプチル-4-オキシ基、2,6-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、2,4-ジメチルヘプチル-3-オキシ基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル-3-オキシ基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル-1-オキシ基、3-メチル-3-ブテニル-1-オキシ基、4-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ペンテニル-3-オキシ基、2,4-ジメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2,4,4-トリメチル-1-ペンテニル-3-オキシ基、2-メチル-1-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘキセニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘキサジエニル-4-オキシ基、5-メチル-1,5-ヘキサジエニル-3-オキシ基、2,2-ジメチル-5-ヘキセニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエニル-4-オキシ基、2-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、4-メチル-4-ヘプテニル-3-オキシ基、5-メチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、2-メチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-1-ヘプテニル-3-オキシ基、3,5-ジメチル-1,6-ヘプタジエニル-4-オキシ基、2,5-ジメチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基、3,5-ジメチル-1,5-ヘプタジエニル-4-オキシ基、4-メチル-4-ペンテニル-2-オキシ基、4-メチル-1-ペンチニル-3-オキシ基、5-メチル-5-ヘキセニル-3-オキシ基等である。
【0035】
また、式(II)〜(V)中、Metで示される2価金属原子の例としては、Cu,Zn,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Pt,Mn,Sn,Mg,Pb,Hg,Cd,Ba,Ti,Be,Ca等が挙げられ、1置換の3価金属原子の例としては、Al−F,Al−Cl,Al−Br,Al−I,Ga−F,Ga−Cl,Ga−Br,Ga−I,In−F,In−Cl,In−Br,In−I,Tl−F,Tl−Cl,Tl−Br,Tl−I,Al−C6H5,Al−C6H4(CH3),In−C6H5,In−C6H4(CH3),Mn(OH),Mn(OC6H5),Mn〔OSi(CH3)3〕,Fe−Cl,Ru−Cl等が挙げられ、2置換の4価金属原子の例としては、CrCl2,SiF2,SiCl2,SiBr2,SiI2,SnF2,SnCl2,SnBr2,ZrCl2,GeF2,GeCl2,GeBr2,GeI2,TiF2,TiCl2,TiBr2,Si(OH)2,Sn(OH)2,Ge(OH)2,Zr(OH)2,Mn(OH)2,TiA2,CrA2,SiA2,SnA2,GeA2〔Aはアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す〕,Si(OA’)2,Sn(OA’)2,Ge(OA’)2,Ti(OA’)2,Cr(OA’)2〔A’はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す〕,Si(SA”)2,Sn(SA”)2,Ge(SA”)2〔A”はアルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す〕等が挙げられ、オキシ金属原子の例としては、VO,MnO,TiO等が挙げられる。特に好ましい例としては、Cu,Ni,Co,Mg,Zn,Pd,Pt,SiCl2,Si(OH)2,Si(OA’)2,VO等である。
【0036】
例えば、一般式(V)で示されるフタロシアニン化合物の合成法としては、下式(VI)
【0037】
【化9】
〔式(VI)におけるベンゼン環は、一般式(V)で述べたような置換基を有していて良い。〕で表される化合物の1〜4種を混合して、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)存在下に、金属誘導体とアルコール中で加熱反応する。あるいは、金属誘導体とクロルナフタレン、ブロムナフタレン、トリクロルベンゼン等の高沸点溶媒中で加熱反応する方法が挙げられる。また、式(VI)で表される化合物を、アルコール中、ナトリウムメチラートを触媒にアンモニアと反応して式(VII)で表されるジイミノイソインドリンを中間体として同様に反応する方法等が挙げられる。
【0038】
【化10】
また、式(VI)で表される化合物の合成は、特開昭61−186384(USP4769307)号公報、NOUVEAU JOURNAL DE CHIMIE, VOL.6, NO.12, PP653〜658 (1982)に記載の方法等にて行った。
【0039】
一般式(III)及び(IV)で示されるナフタロシアニン化合物の合成法としては、例えば、J. Am. Chem. Soc., 106, 740(1984); J. Org. Chem., 28, 3379(1963); J. Chem. Soc., 1744(1936)に記載の方法等が挙げられる。
【0040】
即ち、一般式(III)で示される化合物は、下式(VIII)または(IX)
【0041】
【化11】
〔式(VIII)及び(IX)におけるナフタレン環は、一般式(III)で述べたような置換基を有していて良い。〕で表される化合物の1〜4種を混合して、上述したフタロシアニン化合物と同様の方法で合成される。
【0042】
同様に一般式(IV)で示される化合物は、下式(X)または(XI)
【0043】
【化12】
〔式(X)及び(XI)におけるナフタレン環は、一般式(IV)で述べたような置換基を有していて良い。〕から合成される。
【0044】
また、式(VI)、(VIII)及び(X)または(VII)、(IX)及び(XI)を混合して金属誘導体と加熱反応させることにより、ベンゼン骨格とナフタレン骨格とが混在する一般式(II)に包含される化合物も合成することができる。
【0045】
本発明の光吸収化合物を用いて光記録媒体を製造する方法には、透明基板上に本発明の光吸収化合物を含む1〜3種の化合物を1層または2層に塗布、あるいは蒸着する方法があり、塗布法としては、バインダー樹脂20重量%以下、好ましくは0%と、本発明の光吸収化合物0.05〜20重量%、好ましくは0.5〜20重量%となるように溶媒に溶解し、スピンコーターで塗布する方法等がある。また蒸着方法としては10-5〜10-7torr、100〜300℃にて基板上に堆積させる方法等がある。
【0046】
基板としては、光学的に透明な樹脂であれば良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン共重合樹脂等が挙げられる。また基板は熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂により表面処理がなされていても良い。
【0047】
光記録媒体(光ディスク、光カード等)を作製する場合、コストの面、ユーザーの取り扱いの面より、基板はポリアクリレート基板またはポリカーボネート基板を用い、かつスピンコート法により塗布されるのが好ましい。
【0048】
基板の耐溶剤性より、スピンコートに用いる溶剤は、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、ジクロロジフルオロエタン等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、あるいはそれらの混合溶媒が好適に用いられる。
【0049】
記録媒体として加工するには、上記の様に基板で覆う、あるいは2枚の記録層を設けた基板に、エアーギャップを設けて対向させて張り合わせる、または、記録層上に反射層(アルミニウムまたは金)を設け、熱硬化性または光硬化性樹脂の保護層を積層する方法などがある。保護層として、Al2O3,SiO2,SiO,SnO2等の無機化合物を利用しても良い。
【0050】
本発明で得られる光記録媒体は、各種レーザー光によって記録・再生が可能である。但し、レーザー波長により記録層に含有させる本発明の光吸収化合物を選択することで、より感度・記録特性の良い光記録媒体を得ることができる。例えば、780nm前後の波長のレーザー光の時は一般にフタロシアニン系化合物が好ましく、830nm前後のレーザー光の時は一般にフタロシアニン系化合物よりも光吸収が長波長側にシフトするナフタロシアニン系化合物が好ましい。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれにより限定されるものではない。
【0052】
実施例1
撹拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に、60%水素化ナトリウム9.6g(0.24モル)及びジメチルホルムアミド150mlを装入し、窒素通気下撹拌する。これに2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5g(0.25モル)を温度20〜30℃1時間で滴下する。同温度で3時間撹拌しナトリウムアルコラート溶液を調製する。
【0053】
次に、撹拌器、還流冷却器を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル34.6g(0.2モル)およびジメチルホルムアミド150mlを装入し溶解させる。これに、予め調製したナトリウムアルコラート溶液を、0〜10℃で3時間で滴下し、滴下終了後、温度を20〜30℃に昇温し3時聞撹拌して、反応を終了する。終了後、3lの水に排出し30分撹拌する。これにトルエン500mlを加え30分撹拌後、静置し、トルエン層を分離する。トルエンを減圧留去後、n−ヘキサン600mlで再結晶して3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル39.4g(収率82.0%)を得た。液体クロマトグラフィーでの純度分析では純度は99.2%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0054】
【0055】
次に、撹拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)、及びn−アミルアルコール125gを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化パラジウム5.3g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で20時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物の濃緑色結晶を得た。収量は16.8g(収率63%)であった。高速液体クロトグラフィーによる純度測定の結果は99.0%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0056】
可視吸収:λmax=692nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0057】
上記フタロシアニン化合物のn−オクタン溶液(10g/l)をスパイラルグルーブ(ピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深0.18μm)付きの外形120mm、厚さ1.2mmのCD−R用ポリカーボネート基板上に500〜1000rpmでスピンコート成膜した。その上に30nmの金をスパッタ蒸着して反射層を形成し、続いて光硬化型ポリアクリル樹脂によりオーバーコートした後、光硬化させ保護層を形成してCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、カーボンアーク灯63℃、200時間の耐久試験においても変化はなかった。
【0058】
実施例2
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装入し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物の濃緑色結晶を得た。収量は19.8g(収率77.1%)であった。高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.6%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0059】
可視吸収λmax=708nm
εg=2.4×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0060】
上記フタロシアニン化合物のジブチルエーテル溶液(10g/l)を実施例1と同様にスピンコーターによりCD−R用ポリカーボネート基板上に塗布し、その上に金をスパッタ蒸着し、続いてUV硬化樹脂を用いて保護層を形成し、CD−R型媒体を作製した。この媒体に780nmの半導体レーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、0.5mWの再生光で百万回再生を行っても変化がなかった。また80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0061】
実施例3
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装人し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で三塩化バナジウム4.7g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンオキシバナジウム化合物の濃緑色結晶を得た。収量は11.6g(収率45.3%)であった。液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0062】
可視吸収:λmax=733nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0063】
上記フタロシアニン化合物10gをジブチルエーテルとジイソプロピルエーテル3:1(体積比)混合溶媒500mlに溶解し、スピンコーターによりポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は61dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらにこの光カードは保存安定性も良好なものであった。
【0064】
実施例4
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチルー1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装入し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化マグネシウム2.8g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で15時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン:酢酸エチル=8:2体積比)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンマグネシウム化合物の濃緑色結晶を得た。収量は13.8g(収率56.2%)であった。液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は98.9%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0065】
可視吸収λmax=704nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0066】
上記フタロシアニン化合物のエチルシクロヘキサン溶液(20g/l)を実施例1と同様にスピンコーターによりCD−R用ポリカーボネート基板上に塗布し、その上に金をスパッタ蒸着し、続いてUV硬化樹脂を用いて保護層を形成し、CD−R型媒体を作製した。この媒体に780nmの半導体レーザーを用いて、線速2.8m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、0.5mWの再生光で百万回再生を行っても変化がなかった。また80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0067】
実施例5
実施例1と同様の容器に、3−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリル24.0g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)およびn−アミルアルコール120gを装入し、窒素雰囲気下で100℃まで昇温させた。次に、同温度で塩化亜鉛4.1g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で25時間反応させた。反応終了後、冷却し、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮して溶媒を回収した後、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン:酢酸エチル=8:2体積比)して、目的とするα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン亜鉛化合物の濃緑色結晶を得た。収量は16.9g(収率65.8%)であった。液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0068】
可視吸収λmax=706nm
εg=2.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0069】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0070】
実施例6
3−ニトロフタロニトリルの代わりに4−ニトロフタロニトリルを用いる以外は実施例1と同様の操作を行い4−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、β位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物を得た。
【0071】
4−(2,4−ジメチル−1−ペンテニル−3−オキシ)フタロニトリルの収量は41.0g(収率85.3%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は98.9%であった。元素分析の結果は以下の通りである。
【0072】
【0073】
フタロシアニンパラジウム化合物の収量は18.7g(収率70.2%)であり、液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。可視吸光スペクトルおよび元素分析の結果は以下の通りである。
【0074】
可視吸収λmax=688nm
εg=1.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0075】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレ一トは、0.2%未満であった。
【0076】
実施例7〜9
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに4−メチル−4−ヘプテン−3−オール32.1gを用いる以外は実施例1〜3と同様な操作を行い、3−(4−メチル−4−ヘプテニル−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム,銅及びオキシバナジウム化合物を得た。
【0077】
3−(4−メチル−4−ヘプテニル−3−オキシ)フタロニトリルの収量は41.2g(収率81.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0078】
【0079】
フタロシアニンパラジウム、銅及びオキシバナジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0080】
フタロシアニンパラジウム化合物(実施例7)
収量17.4g(収率62.0%)、純度99.1%
可視吸収:λmax=691nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0081】
フタロシアニン銅化合物(実施例8)
収量20.6g(収率76.2%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=707nm
εg=2.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0082】
フタロシアニンオキシバナジウム化合物(実施例9)
収量12.0g(収率44.1%)、純度98.8%
可視吸収:λmax=730nm
εg=2.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0083】
上記各フタロシアニン化合物において、ジメチルシクロヘキサン溶液(10g/l)をスピンコーターによりPMMA製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を形成し、光カードを作製した。これらの光カードは、780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)、線速2m/s,4mWの半導体レーザー光により記録することが可能で、その際のCN比は58〜61dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調べたところ105回の再生が可能であった。さらに、上記各フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)のレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0084】
実施例10
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2−メチル−4−ヘキセン−3−オール28.5gを用いる、及び塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化ニッケル3.9gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2−メチル−4−ヘキセニル−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンニッケル化合物を得た。
【0085】
3−(2−メチル−4−ヘキセニル−3−オキシ)フタロニトリルの収量は40.0g(収率83.2%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0086】
【0087】
フタロシアニンニッケル化合物の収量は17.1g(収率64.1%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度測定の結果は98.8%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0088】
可視吸収:λmax=700nm
εg=2.0×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0089】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0090】
実施例11
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2−メチル−1,5−ヘプタジエン−4−オール31.6gを用いること、及び塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化コバルト3.9gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2−メチル−1,5−ヘプタジエニル−4−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンコバルト化合物を得た。
【0091】
3−(2−メチル−1,5−ヘプタジエニル−4−オキシ)フタロニトリルの収量は42.1g(収率83.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は98.8%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0092】
【0093】
フタロシアニンコバルト化合物の収量は13.5g(収率50.3%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度測定の結果は98.8%であった。可視吸光スペクトル及び元素分析の結果は以下の通りである。
【0094】
可視吸収:λmax=695nm
εg=2.1×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0095】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0096】
実施例12〜14
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン−4−オール35gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン−4−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム,銅及びオキシバナジウム化合物を得た。
【0097】
3−(3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン−4−オキシ)フタロニトリルの収量は44.7g(収率84.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0098】
【0099】
フタロシアニンパラジウム、銅及びオキシバナジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0100】
フタロシアニンパラジウム化合物(実施例12)
収量19.0g(収率65.0%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=690nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0101】
フタロシアニン銅化合物(実施例13)
収量21.4g(収率76%)、純度99.6%
可視吸収:λmax=706nm
εg=1.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0102】
フタロシアニンオキシバナジウム化合物(実施例14)
収量15.5g(収率54.8%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=733.5nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0103】
上記各フタロシアニン化合物において、ジメチルシクロヘキサン溶液(10g/l)を実施例3と同様にポリカーボネート製光カード基板上に塗布し、塗布面に保護層を形成し、光カードを作製した。これらの光カードは、780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)、線速2m/s,4mWの半導体レーザー光により記録することが可能で、その際のCN比は58〜61dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調べたところ105回の再生が可能であった。さらに、上記各フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nm(フタロシアニンオキシバナジウム化合物を用いた媒体の時のみ800nm)のレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0104】
実施例15、16
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2,5−ジメチル−5−ヘキセン−3−オール32gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2,5−ジメチル−5−ヘキセン−3−オキシ)フタロニトリルを合成し、さらにα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム及び銅化合物を得た。
【0105】
3−(2,5−ジメチル−5−ヘキセン−3−オキシ)フタロニトリルの収量は43.7g(収率86.0%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.0%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0106】
【0107】
フタロシアニンパラジウム及び銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0108】
フタロシアニンパラジウム化合物(実施例15)
収量17.4g(収率62.1%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=688.5nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0109】
フタロシアニン銅化合物(実施例16)
収量22.0g(収率81.5%)、純度99.2%
可視吸収:λmax=705nm
εg=2.1×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0110】
上記各フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。また、これらの媒体にキセノンランプ50℃による耐光性試験を行ったところ、200時間経過しても変化がなかった。
【0111】
実施例17
2,4−ジメチル−1−ペンテン−3−オール28.5gの代わりに2,4−ジメチル−3ペンタノール29.1gを用いる以外は実施例1と同様な操作を行い、3−(2,4−ジメチルペンチル−3−オキシ)フタロニトリルを合成した。収量は38.7g(収率80%)であり、高速液体クロマトグラフィーによる純度分析の結果は99.1%であった。元素分析の結果は以下の通りであった。
【0112】
【0113】
得られた3−(2,4−ジメチルペンチル−3−オキシ)フタロニトリルと実施例7〜9で合成した3−(4−メチル−4−ヘプテニル−3−オキシ)フタロニトリルとを1:1モル比で混合し、実施例1と同様にα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物を得た。
【0114】
フタロシアニンパラジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0115】
収量17.4g(収率62.1%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=691.0nm
εg=2.5×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0116】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。これらの媒体に、波長780nmのレーザーを用いて、線速1.4m
/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0117】
実施例18
下記構造式(A)
【0118】
【化13】
で示されるフタロニトリル誘導体29.6g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gの混合溶液中に塩化パラジウム5.3g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で20時間反応させた。反応混合物をメタノール1400g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニンパラジウム化合物を得た。
【0119】
フタロシアニンパラジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0120】
収量14.6g(収率45.3%)、純度99.3%
可視吸収:λmax=724.0nm
εg=1.7×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0121】
上記フタロシアニン化合物のジブチルエーテル溶液(10g/l)をポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、780nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は60dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらにこの光カードは保存安定性も良好なものであった。
【0122】
実施例19
塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化第一銅3.0gを添加する以外は実施例18と同様の操作を行い、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物を得た。
【0123】
フタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0124】
収量17.9g(収率57.2%)、純度99.4%
可視吸収:λmax=740.0nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0125】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0126】
実施例20
塩化パラジウム5.3gの代わりに塩化第一鉄3.8gを添加する以外は実施例18と同様の操作を行い、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン鉄化合物を得た。
【0127】
フタロシアニン鉄化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0128】
収量13.4g(収率43.2%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=730.0nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0129】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。また80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0130】
実施例21
下記構造式(B)
【0131】
【化14】
で示されるフタロニトリル誘導体29.8g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gの混合溶液中に塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応混合物をメタノール1400g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に飽和または不飽和の炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物を得た。
【0132】
フタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0133】
収量17.3g(収率55.1%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=739.5nm
εg=1.9×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0134】
上記フタロシアニン化合物のジメチルシクロヘキサン溶液(10g/l)をスピンコーターによりポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は59dBであった。また、実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。80℃/85%の条件で1000時間経過後も記録再生に支障はなかった。
【0135】
実施例22
下記構造式(C)
【0136】
【化15】
で示されるフタロニトリル誘導体32.4g(0.1モル)、DBU15.2g(0.1モル)及びn−アミルアルコール125gの混合溶液中に塩化第一銅3.0g(0.03モル)を添加し、95〜100℃で10時間反応させた。反応混合物をメタノール1400g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン銅化合物を得た。
【0137】
フタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0138】
収量24.5g(収率72.4%)、純度99.2%
可視吸収:λmax=736.5nm
εg=1.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0139】
上記フタロシアニン化合物を用いて実施例21と同様にして光カ一ド型媒体を作製した。この媒体に800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は57dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらに保存安定性も良好なものであった。
【0140】
実施例23
下記構造式(D)
【0141】
【化16】
で示されるジイミノイソインドリン誘導体31.3g(0.1モル)及びキノリン200gの混合溶液中に四塩化珪素34.0g(0.2モル)を添加し、185〜195℃で5時間反応させた。反応混合物をメタノール2000g中に排出し、結晶を析出させ、得られた結晶をカラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン:酢酸エチル=8:2(体積比))することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するフタロシアニン珪素化合物(中心金属はSiCl2)を得た。
【0142】
フタロシアニン珪素化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0143】
収量12.5g(収率39.0%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=743.0nm
εg=2.2×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0144】
上記フタロシアニン化合物のジブチルエーテル溶液(10g/l)をポリカーボネート製光カード基板上に厚み100nmで塗布し、続いて塗布面にUV硬化樹脂を用いて保護層を設けて光カ一ドを作製した。このカードは、800nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は59dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。
【0145】
実施例24
下記構造式(E)
【0146】
【化17】
で示されるナフタロニトリル誘導体29.0g(0.1モル)、モリブデン酸アンモニウム0.03g、尿素1500g、塩化第一銅3.0g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、200〜260℃で1時間反応させた。次に反応溶液にクロロホルムを加え、不溶物を濾過後、濾液を濃縮し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、α位に不飽和炭化水素オキシ基を有するナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0147】
ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0148】
収量3.1g(収率10.0%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=825.0nm
εg=2.2×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0149】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長830nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0150】
実施例25
下記構造式(F)
【0151】
【化18】
で示されるナフタロニトリル誘導体34.6g(0.1モル)、モリブデン酸アンモニウム0.03g、尿素1500g、塩化第一銅3.0g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、200〜260℃で2時間反応させた。次に反応溶液にクロロホルムを加え、不溶物を濾過後、濾液を濃縮し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、8つのα位に不飽和炭化水素オキシ基を有するナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0152】
ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0153】
収量2.9g(収率8.1%)、純度99.1%
可視吸収:λmax=853.0nm
εg=2.1×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0154】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例23と同様にして光カ一ドを作製した。このカードは、830nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は58dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらに保存安定性も良好なものであった。
【0155】
実施例26
前記構造式(E)及び構造式(F)で示されるナフタロニトリル誘導体を1:1のモル比で混合したものを、実施例24において、塩化第一銅の代わりに塩化ニッケルと加熱反応させることによりナフタロシアニンニッケル化合物を得た。
【0156】
ナフタロシアニンニッケル化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0157】
収量3.3g(収率9.8%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=815.0nm
εg=2.2×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0158】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長830nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であり、カーボンアーク灯63℃、200時間の耐久試験においても変化はなかった。
【0159】
実施例27
下記構造式(G)
【0160】
【化19】
で示されるナフタロニトリル誘導体27.4g(0.1モル)、1−クロロナフタレン150g及び三塩化バナジウム4.7g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、230℃で4時間反応させた。反応溶液を75%メタノール水に排出し、析出した固体を瀘別し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、α位に不飽和炭化水素オキシ基を有する1,2−ナフタロシアニンオキシバナジウム化合物を得た。
【0161】
1,2−ナフタロシアニンオキシバナジウム化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0162】
収量5.9g(収率20.2%)、純度99.0%
可視吸収:λmax=750.0nm
εg=2.0×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0163】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例23と同様にして光カ一ドを作製した。この媒体に波長830nm、線速2m/s,4mWのレーザー光により記録した時、CN比は58dBであった。また、線速2m/s,0.8mWのレーザー光により再生可能で、再生光安定性を調ベたところ、105回の 再生が可能であった。さらに保存安定性も良好なものであった。
【0164】
実施例28
下記構造式(H)
【0165】
【化20】
で示されるナフタロニトリル誘導体40.3g(0.1モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール320g、DBU15.2g(0.1モル)及び塩化第一銅3.0g(0.03モル)からなる混合物を加熱し、還流下6時間反応させた。反応溶液を5%塩酸水に排出した。析出した結晶を濾別し、カラム精製(シリカゲル500g、溶媒トルエン)することにより、不飽和炭化水素オキシ基を有する1,2−ナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0166】
1,2−ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0167】
収量7.9g(収率18.9%)、純度99.9%
可視吸収:λmax=727.0nm
εg=1.8×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0168】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0169】
実施例29
前記構造式(H)の代わりに下記構造式(J)
【0170】
【化21】
で示されるナフタロニトリル誘導体40.3g(0.1モル)を用いた以外は実施例28と同様にして不飽和炭化水素オキシ基を有する1,2−ナフタロシアニン銅化合物を得た。
【0171】
1,2−ナフタロシアニン銅化合物の収量、高速液体クロマトグラフィーによる純度、可視吸光スペクトル及び元素分析の結果を以下に示す。
【0172】
収量12.1g(収率28.9%)、純度99.5%
可視吸収:λmax=715.0nm
εg=1.6×105 cm2 g-1(溶媒:トルエン)
【0173】
上記ナフタロシアニン化合物を用いて実施例1と同様にしてCD−R型媒体を作製した。この媒体に、波長800nmのレーザーを用いて、線速1.4m/sでEFM信号を6.0mWのパワーで書き込んだときのエラーレートは、0.2%未満であった。
【0174】
比較試験
以上得られた光吸収化合物を用いた光記録媒体と、公知の光吸収化合物を用いた光記録媒体についてその性能を比較した。本発明の媒体として、実施例1、2、10、11、13、17、18、24及び27の化合物を用いて実施例1と同様にして作製した媒体を使用し、比較例として下記3種の公知アルコキシフタロシアニンまたはアルコキシナフタロシアニンを用いて実施例1と同様にして作製した媒体を使用した。
【0175】
比較例1:下記構造式で示される特開平3−62878号公報(USP 5,124,067)の例示化合物
【0176】
【化22】
【0177】
比較例2:下記構造式で示される特開平2−296885号公報の例示化合物
【0178】
【化23】
【0179】
比較例3:下記構造式で示される特開平2−43269号公報(USP 4,960,538)の例示化合物
【0180】
【化24】
【0181】
光吸収化合物の吸収波長に合わせて適切なレーザー波長での記録・再生を行った。具体的には、フタロシアニン系化合物を用いた媒体は780nmのレーザー、フタロシアニン系化合物より吸収波長が高波長側にずれるナフタロシアニン系化合物を用いた媒体は波長830nmのレーザーを使用し、下記3種の方法で記録した。
通常記録:線速度1.4m/s(1倍速)で63分の情報を記録する。
高速記録:線速度5.6m/s(4倍速)で63分の情報を記録する。
高密度記録:線速度1.2m/sで74分の情報を記録する。
【0182】
尚、通常記録の時のみ6.0と3.6mWの2つのレーザーパワーで記録し、他の記録方法による時は6.0mWで記録した。
【0183】
さらに記録感度(C/N比)、ジッター及びデビエイションをそれぞれCDデコーダー(DR3552、ケンウッド社製)、LJM−1851ジッターメーター(リーダー電子製)、TIA−175タイムインターバルアナライザー(ADC社製)を用いてそれぞれ計測した。これらの評価結果を表1に示す。
【0184】
【表1】
【0185】
評価基準
感度(C/N比)
A:≧55dB
B:<55dB
ジッター
A:3Tピットジッター及び3Tランドジッターが <35ns
B:3Tピットジッター及び3Tランドジッターが ≧35ns
デビエイション
A: −50ns< 3T及び11Tデビエイション <50ns
B: 3T及び11Tデビエイション ≧50ns
又は3T及び11Tデビエイション ≦−50ns
【0186】
表1から分かるように、本発明の光吸収化合物、特に芳香環に結合している置換基ORが、その芳香環結合酸素原子の隣の炭素原子から数えて2、3番目の炭素原子間に二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基である化合物、を用いた光記録媒体は、通常記録の6.0mWレーザーパワー及び3.6mW低レーザーパワー、高速記録及び高密度記録において良好な感度、記録特性を示した。それに対して比較例1〜3の公知化合物を用いた光記録媒体では、通常記録で6.0mW以上のレーザーパワーの場合は良好な感度、記録特性を示すが、低レーザーパワー、高速記録及び高密度記録の場合の感度、記録特性は不十分であった。
【0187】
【発明の効果】
本発明の光吸収化合物は、分子内にある芳香環に炭素間三重結合または炭素間二重結合を含有する不飽和炭化水素オキシ基の導入したものであり、この化合物を用いた光記録媒体においては、反射層である金属層との密着性が増し、書き込み時の分解を制御できたことから通常記録時のみならず高速記録、高密度記録時における感度及び記録特性が向上した。さらに、特定の位置に炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素オキシ基のクライゼン転位を利用して、低レーザーパワーでの、感度、記録特性の良好な光記録媒体への書き込みを可能にした。
Claims (9)
- 下記一般式(II)
- 一般式(III)において、OR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が各々1または6、7または12、13または18、及び19または24のα位である請求項2の光吸収化合物。
- 一般式(IV)において、OR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が各々6、12、18、及び24のα位である請求項4の光吸収化合物。
- 一般式(V)において、OR1、OR2、OR3、OR4、OR5、OR6、OR7及びOR8の置換位置が各々1、4、5、8、9、12、13及び16のα位である請求項6の光吸収化合物。
- 一般式(V)において、R1、R2、R3及びR4が二重結合を含有している不飽和炭化水素基であり、OR1、OR2、OR3及びOR4の置換位置が1又は4位、5又は8位、9又は12位、及び13又は16位であり、かつk,l,m及びnが0である請求項6の光吸収化合物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光吸収化合物を記録層に含有して形成される光記録媒体。
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