JP3729252B2 - 画像処理システム、プログラムおよび情報記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、目標色を再現するために画像データの変換を行う画像処理システム、プログラムおよび情報記憶媒体に関する。
【0002】
【背景技術および発明が解決しようとする課題】
一般に、目標色(例えばsRGB等の規格に適合した色等)を再現するために画像データの色変換を行う場合、3次元ルックアップテーブル(以下、「3D−LUT」という。)と補間演算を組み合わせて色の変換が行われている。
【0003】
全ての画像信号(例えば、R信号、G信号、B信号等)の組み合わせを3D−LUTで表現する手法も考えられるが、3色8ビットのシステムでは50MB(メガバイト)程度になり、多大な記憶容量が必要となる(洪博哲著『お話・カラー画像処理』CQ出版株式会社、1999年発行、123ページ参照)。
【0004】
また、補間演算を行う場合、8点を用いて補間演算を行うが、この手法では多大な演算時間がかかってしまう。
【0005】
演算時間を短縮するため、3D−LUT空間における対象点を含む立方体を分割して対象点を含む三角錐を用いて、すなわち、4点を用いて補間演算する手法も提案されている(同書参照)。
【0006】
しかし、この4点の抽出や補間演算自体が複雑であり、演算時間がかかってしまう。
【0007】
特に、動画像のように60分の1秒でリアルタイムに画像を書き換える場合には、色変換にかかる演算時間を短縮することが重要となる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、目標色を再現するために画像データの変換を行う場合に、より少ない記憶容量で、かつ、より少ない演算時間で色変換を行うことのできる画像処理システム、プログラムおよび情報記憶媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理システムは、目標色を再現するために、複数種の画像信号値によって表現される画像データの変換を行う画像処理システムにおいて、
所定の色変換用データに基づき、前記画像データを変換する色変換手段を含み、
前記色変換用データは、前記画像信号値の種別ごとに、色変換後の画像信号値を、色変換前の複数種の画像信号値と対応付けるための信号別対応付けデータを含み、
前記色変換手段は、
入力される画像信号値と、前記信号別対応付けデータと、に基づき、前記画像信号値の種別ごとに、画像信号値の色変換を行う手段と、
色変換の行われた画像信号値を、前記画像信号値の種別ごとに統合する手段と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、目標色を再現するために、複数種の画像信号値によって表現される画像データの変換を行うためのプログラムであり、コンピュータにより読み取り可能なプログラムであって、
所定の色変換用データに基づき、前記画像データを変換する色変換手段としてコンピュータを機能させ、
前記色変換用データは、前記画像信号値の種別ごとに、色変換後の画像信号値を、色変換前の複数種の画像信号値と対応付けるための信号別対応付けデータを含み、
前記色変換手段は、
入力される画像信号値と、前記信号別対応付けデータと、に基づき、前記画像信号値の種別ごとに、画像信号値の色変換を行う手段と、
色変換の行われた画像信号値を、前記画像信号値の種別ごとに統合する手段と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、コンピュータにより読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記手段をコンピュータに実現させるためのプログラムを記憶したことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、画像信号値の種別ごとに、前記複数種の画像信号値で表される画像信号値を求め、求められた画像信号値を画像信号値の種別ごとに統合することにより、目的とする画像信号値を得ることができる。
【0013】
これにより、色変換用データのために必要となる記憶容量を低減し、色変換にかかる演算時間を短縮できる。
【0014】
すなわち、例えば、上述したように、3色8ビットで構成される3D−LUTの場合、50MB程度が必要となる。一方、本発明によれば、24ビット×256×3色=2304B(バイト)で済む。
【0015】
また、色変換時の演算のアルゴリズムも、統合、すなわち、信号別対応付けデータの検索と、和算だけで済むので、線形補間等を用いる従来の手法に比べて演算時間を低減できる。
【0016】
また、前記画像処理システムは、所定の状況において、前記目標色に応じて前記色変換用データを生成する色変換用データ生成手段を含んでもよい。
【0017】
また、前記プログラムは、所定の状況において、前記目標色に応じて前記色変換用データを生成する色変換用データ生成手段としてコンピュータを機能させてもよい。
【0018】
また、前記情報記憶媒体は、前記色変換用データ生成手段としてコンピュータを機能させるプログラムを記憶してもよい。
【0019】
これによれば、色変換用データを柔軟に生成することができるため、種々の目標色に対応した色変換を行うことができる。
【0020】
また、前記画像処理システム、前記プログラムおよび前記情報記憶媒体において、前記信号別対応付けデータは、前記複数種の画像信号値を比率で表現したものであってもよい。
【0021】
これによれば、比率で表現することにより、必要となる記憶容量をさらに低減させることができる。すなわち、再現しようとする色は同じであるため、階調によらず、各画像信号値間の比率は一定である。例えば、3色(3種類の信号値)の場合、9つのデータで済む。
【0022】
また、前記画像処理システム、前記プログラムおよび前記情報記憶媒体において、前記画像データは、動画像データであってもよい。
【0023】
これによれば、リアルタイムに色変換を行えるため、動画像データの色変換も快適に行うことができる。
【0024】
また、前記画像処理システム、前記プログラムおよび前記情報記憶媒体において、前記色変換用データ生成手段は、視環境を示す環境情報に基づき、前記色変換用データを生成してもよい。
【0025】
これによれば、視環境によって目標色が変更される場合であっても、視環境に応じた色変換を行うことができる。
【0026】
また、前記画像処理システム、前記プログラムおよび前記情報記憶媒体において、前記色変換用データ生成手段は、画像の校正時に、前記色変換用データを生成してもよい。
【0027】
これによれば、画像の校正時に色変換用データを生成することにより、校正の指示に応じた正確な色変換用データを生成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、動画像を投写表示する液晶プロジェクタを用いた画像処理システムに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(システム全体の説明)
図1は、本実施の形態の一例に係る画像処理システムの概略説明図である。
【0030】
スクリーン10のほぼ正面に設けられた投写型表示装置の一種であるプロジェクタ20から、所定のプレゼンテーション用の動画像や静止画像が投写される。プレゼンター30は、スクリーン10上の被表示領域である画像表示領域12の画像の所望の位置をレーザーポインタ50から投射したスポット光70で指し示しながら、第三者に対するプレゼンテーションを行う。
【0031】
このようなプレゼンテーションを行う場合、スクリーン10の種別や、環境光80によって画像表示領域12の画像の見え方は大きく異なってしまう。例えば、同じ白を表示する場合であっても、スクリーン10の種別によっては、黄色がかった白に見えたり、青色がかった白に見えたりする。また、同じ白を表示する場合であっても、環境光80が異なれば、明るい白に見えたり、暗い白に見えたりする。
【0032】
また、近年、プロジェクタ20は小型化が進み、持ち運びも容易になっている。このため、例えば、客先においてプレゼンテーションを行う場合もあり得るが、客先の環境に合わせて色を事前に調整することは困難であり、客先で色を手動で調整するには時間がかかりすぎる。
【0033】
従来のプロジェクタでは、プロジェクタ固有の入出力特性を示す入出力用プロファイルに基づき、色の変換を行っているだけであり、画像の投写表示される視環境は考慮されていない。なお、プロファイルとは、特性データという意味である。
【0034】
しかし、上述したように、視環境を考慮しなければ、画像の色の見え方を統一することは困難である。色の見え方は、光、対象の光の反射または透過、視覚の3つの要因で決定する。
【0035】
本実施の形態では、光および対象の光の反射または透過を反映した視環境を把握することにより、適切な画像の色を再現できる画像処理システムを実現している。
【0036】
ところで、このような画像の表示を行う場合、sRGB等の規格に準拠した色を目標色として、目標色を画像処理システムが適用される視環境において適切に再現するために画像の色の変換を行う。
【0037】
しかし、従来の手法では、画像の色の変換には、3D−LUTのための多大な記憶容量が必要だったり、補間演算のために多大な演算時間がかかっていた。
【0038】
図2は、従来のプロジェクタ内のプロジェクタ画像処理部100の機能ブロックの一例を示す図である。
【0039】
プロジェクタでは、PC等から送られるアナログ形式のRGB信号を構成するR1信号、G1信号、B1信号をA/D変換部110に入力し、デジタル形式のR2信号値、G2信号値、B2信号値を、CPU200によって制御されるプロジェクタ画像処理部100で色変換およびガンマ処理を行っている。
【0040】
そして、色変換されたR3信号値、G3信号値、B3信号値をガンマ処理してR4信号値、G4信号値、B4信号値となった各画像信号値をD/A変換部180に入力し、アナログ変換されたR5信号、G5信号、B5信号を、画像表示手段の一部であるL/V(ライトバルブ)駆動部190に入力し、液晶ライトバルブを駆動して画像の投写表示を行っている。
【0041】
プロジェクタ画像処理部100は、プロジェクタ色変換部120と、ガンマ処理部170と、色域演算部160と、キャリブレーション信号発生部150とを含んで構成されている。
【0042】
キャリブレーション信号発生部150は、キャリブレーション(校正用)画像信号値を生成する。このキャリブレーション画像信号は、A/D変換部110から出力される信号値と同様に、デジタル形式のR2信号値、G2信号値、B2信号値としてプロジェクタ色変換部120に入力される。
【0043】
このように、キャリブレーション画像信号値をプロジェクタ20の内部で生成するため、PC等の外部入力装置からキャリブレーション画像信号値をプロジェクタ20に入力することなく、プロジェクタ20単体でキャリブレーションを行うことができる。
【0044】
プロジェクタ色変換部120は、キャリブレーション信号発生部150からのRGBの各デジタル信号値(R2、G2、B2)を、プロジェクタプロファイル記憶部164が管理しているプロジェクタプロファイルを参照し、プロジェクタ出力に適したRGBデジタル信号値(R3、G3、B3)に変換する。
【0045】
また、プロジェクタ色変換部120は、各デジタル信号値(R2、G2、B2)を変換するための3D−LUTを生成する3D−LUT生成部122と、生成された3D−LUTを記憶する3D−LUT記憶部124とを含んで構成されている。
【0046】
3D−LUT生成部122は、より具体的には、色域演算部160で演算された色域を再現できるように3D−LUTを生成する。
【0047】
次に、色域演算部160について説明する。
【0048】
また、色域演算部160は、目標プロファイル記憶部162と、プロジェクタプロファイル記憶部164とを含んで構成されている。より具体的には、色域演算部160は、目標プロファイル、色光センサー60からの環境情報、プロジェクタプロファイルに基づき、ユーザーが選択した好みの色であって、かつ、視環境に適合した画像の色の見え方になるように、色域を演算する。
【0049】
なお、ここで、目標プロファイルとは、目標とすべき色(ここでは、sRGB規格における色)の入出力特性データの一種である。また、プロジェクタプロファイルとは、プロジェクタの機種に対応した入出力特性データの一種である。
【0050】
また、ガンマ処理部170は、プロジェクタ色変換部120によって色変換された各画像信号(R3信号、G3信号、B3信号)に対してガンマ処理を行う。
【0051】
このように、従来は、3D−LUTを用いて色変換を行っていたため、3D−LUT記憶部124に記憶される3D−LUTの容量が過大となっていた。また、視環境が変わる度に新たに3D−LUTを生成する必要がある上、補間も必要であり、色変換に時間がかかっていた。
【0052】
特に、本実施形態のように、動画像を表示する場合、色変換に時間がかかるとリアルタイムな動画像表示を行うことができなくなる。
【0053】
本実施の形態では、3D−LUTに代わる色変換用データとして、画像信号値の種別ごとに、色変換後の画像信号値を、色変換前の複数種の画像信号値と対応付けるための信号別対応付けデータを用いる。そして、この信号別対応付けデータを用いて色変換を行い、色変換の行われた画像信号値を、画像信号値の種別ごとに統合する。
【0054】
これにより、色変換用データのために必要となる記憶容量を低減し、色変換にかかる演算時間を短縮できる。
【0055】
次に、本実施形態の一例に係るプロジェクタ20内のプロジェクタ画像処理部100の機能ブロックについて説明する。
【0056】
図3は、本実施形態の一例に係るプロジェクタ20内のプロジェクタ画像処理部100の機能ブロック図である。
【0057】
図2に示すプロジェクタ画像処理部100との違いは、色域演算部160によって求められた色域に基づいて色を変換するための変換用データを生成する変換用データ生成部130と、生成された変換用データを記憶する変換用データ記憶部123と、入力される画像信号値と、信号別対応付けデータとに基づき、画像信号値の種別ごとに、画像信号値の色変換を行う変換部125と、変換された画像信号値を画像信号値の種別ごとに統合する統合部127とを設けていることである。
【0058】
なお、変換用データ記憶部123、変換部125および統合部127は、プロジェクタ色変換部121に含まれる。
【0059】
図4は、本実施形態の一例に係る変換用データを示す模式図である。
【0060】
本実施の形態では、RGB信号値を用いているため、R信号値、G信号値、B信号値のそれぞれに、信号別対応付けデータが設けられている。なお、ここで、信号別対応付けデータは、色変換前のR信号値、G信号値およびB信号値で表される。
【0061】
具体的には、例えば、R信号値、G信号値、B信号値のそれぞれの値が255、255、255である場合、すなわち、白である場合、色変換後のR信号値は、(R、G、B)=(250、0、8)で表され、色変換後のG信号値は、(R、G、B)=(5、189、15)で表され、色変換後のB信号値は、(R、G、B)=(0、12、196)で表される。
【0062】
なお、このように、もともと1つの画像信号値だけで表されるものを、3つの画像信号値で表す必要があるのは、視環境によって目標色を再現するための色域が標準的な色域とは異なり、色域のずれが生じているからである。例えば、標準的な環境では赤のRGB信号値は(R、G、B)=(255、0、0)であるが、視環境が異なれば、赤であってもR信号値だけでは表すことができず、R、G、Bの全ての信号値を用いて表す必要がある。
【0063】
また、統合部127は、変換部125によって変換されたR、G、Bの各画像信号値の和を演算する。上述した白を再現する場合、RGB信号値は、(R、G、B)=(255、201、219)で表される。
【0064】
なお、図4に示す具体的な数値は、あくまで一例であり、プロジェクタ20等のデバイスや、視環境によって変わるものである。
【0065】
次に、図3に示す各部を用いた処理の流れについて説明する。本実施形態では、プレゼンテーションを行う前の前処理において、キャリブレーション、視環境の把握、変換用データの生成等を行い、プレゼンテーション実行時の本処理において、色の変換等を行う。
【0066】
図5は、本実施形態の一例に係る前処理のフローチャートである。
【0067】
まず、色域演算部160は、ユーザーの指定や画像の種別によって目標プロファイルを選択する(ステップS2)。
【0068】
目標プロファイルが選択された後、プロジェクタ20は、キャリブレーション信号発生部150からキャリブレーション信号値(R2、G2、B2)を発生させる。
【0069】
キャリブレーション信号発生部150は、当該キャリブレーション信号値をプロジェクタ色変換部121に出力する。
【0070】
プロジェクタ色変換部121は、デフォルト(初期状態)の変換用データを用いて、キャリブレーション信号を変換してRGB信号値(R3、G3、B3)として出力する。
【0071】
そして、ガンマ処理部170は、各RGB信号値(R3、G3、B3)に対してガンマ処理を行ってRGB信号値(R4、G4、B4)として出力する。
【0072】
そして、D/A変換部180は、当該デジタル形式のRGB信号値(R4、G4、B4)をアナログ形式のRGB信号(R5、G5、B5)に変換する。そして、L/V駆動部190は、アナログRGB信号(R5、G5、B5)に基づき、液晶ライトバルブを駆動する。そして、プロジェクタ20は、キャリブレーション画像を画像表示領域12に投写表示する(ステップS4)。
【0073】
画像表示領域12にキャリブレーション画像が表示された状態で、色光センサー60は、視環境を示す環境情報の一種として三刺激値の検出を行う(ステップS6)。なお、検出する三刺激値は、絶対値、相対値のいずれでもよい。
【0074】
このように、キャリブレーション画像を用いて、視環境の把握を行うことにより、より適切に視環境を把握することができる。したがって、画像の色の見えをより適切に再現することができる。
【0075】
そして、変換用データ生成部130は、色光センサー60からの三刺激値、選択された目標プロファイルおよびプロジェクタプロファイルに基づき、変換用データを生成し(ステップS8)、当該変換用データを変換用データ記憶部123に記憶する(ステップS10)。
【0076】
このようにして、前処理の段階において、視環境が把握され、把握された視環境に応じて変換用データが生成され、変換用データ記憶部123に記憶される。
【0077】
このように、画像のキャリブレーション時に変換用データを生成することにより、キャリブレーションの指示に応じた正確な変換用データを生成することができる。
【0078】
また、このように、キャリブレーション時に変換用データを生成することにより、プレゼンテーション実行時の環境や目標色に柔軟に対応することができる。
【0079】
次に、本処理について説明する。
【0080】
図6は、本実施形態の一例に係る本処理のフローチャートである。
【0081】
A/D変換部110は、動画像であるアナログRGB信号(R1、G1、B1)をR、G、Bの各画像信号値(R2、G2、B2)に変換する。
【0082】
プロジェクタ色変換部121は、デジタル画像データであるR、G、Bの各画像信号値(R2、G2、B2)を入力する(ステップS12)。
【0083】
変換部125は、入力されたR、G、Bの各画像信号値(R2、G2、B2)に基づき、変換用データ記憶部125に記憶された変換用データから対応するR、G、Bの各画像信号値を抽出する(ステップS14)。例えば、変換部125は、上述した白を再現する場合、R信号値については、(R、G、B)=(250、0、8)を抽出し、G信号値については、(R、G、B)=(5、189、15)を抽出し、B信号値については、(R、G、B)=(0、12、196)を抽出する。そして、変換部125は、抽出したR信号値、G信号値およびB信号値を統合部127に出力する。
【0084】
このようにして画像信号値の種別ごとに色変換が行われる。
【0085】
そして、統合部127は、変換部125によって変換(抽出)されたR、G、Bの各画像信号値を統合する(ステップS16)。例えば、白の場合、統合後のR、G、Bの各画像信号値は、(R、G、B)=(255、201、219)となる。すなわち、R3信号値=255、G3信号値=201、B3信号値=219となる。
【0086】
そして、プロジェクタ20は、色変換されたR、G、Bの各画像信号値(R3、G3、B3)を、ガンマ処理部170を用いてガンマ処理してR、G、Bの各画像信号値(R4、G4、B4)として出力する(ステップS18)。
【0087】
そして、ガンマ処理後のデジタルRGB信号値(R4、G4、B4)を、D/A変換部180を用いてD/A変換し、変換されたアナログRGB信号(R5、G5、B5)を用いて実際のプレゼンテーション画像を表示する(ステップS20)。
【0088】
なお、動画像を表示する場合、実際には、1画像を構成する各画素ごとにステップS12〜S18の処理が行われ、1画像(1フレーム)が60分の1秒ごとに切り替わるため、1画像分の処理を60分の1秒ごとに行う。
【0089】
以上のように、本実施の形態によれば、色変換用データとして、3D−LUTではなく、図4に示すような信号別に対応付けられた変換用データを用いて色変換を行うことにより、色変換用データによる記憶領域の占有量を低減できる。
【0090】
また、色の変換時に線形補間等の複雑な演算が不要であり、データ抽出と和算だけで色の変換を行うことにより、高速に色変換を行うことができる。
【0091】
これにより、動画データを処理する場合でも、リアルタイムに処理することができ、快適に目標色に適合した動画を表示することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、色光センサー60を用いて視環境を把握することにより、視環境を考慮して画像を投写表示している。
【0093】
これにより、画像表示時の視環境に適応して画像を表示することができ、表示環境の差を吸収して適用される環境によらずに同一の画像を表示することができる。したがって、複数の異なる場所において、ほぼ同一の色を短時間で再現することができる。
【0094】
(ハードウェアの説明)
なお、上述した各部に用いるハードウェアとしては、例えば、以下のものを適用できる。
【0095】
例えば、A/D変換部110としては、例えばA/Dコンバーター等、D/A変換部180としては、例えばD/Aコンバーター等、L/V駆動部190としては、例えば液晶ライトバルブ駆動ドライバ等、変換用データ生成部としては例えばCPU等、例えばCPUやRAM等、ガンマ処理部170としては、例えば画像処理回路やASIC等、プロジェクタ色変換部121および色域演算部160としては、例えばCPUやRAM等を用いて実現できる。なお、これら各部は回路のようにハードウェア的に実現してもよいし、ドライバのようにソフトウェア的に実現してもよい。
【0096】
また、図3に示すように、これら各部の機能を情報記憶媒体300からプログラムを読み取って実現してもよい。情報記憶媒体300としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用でき、その情報の読み取り方式は接触方式であっても、非接触方式であってもよい。
【0097】
また、情報記憶媒体300に代えて、上述した各機能を実現するためのプログラムを、伝送路を介してホスト装置等からダウンロードすることによって上述した各機能を実現することも可能である。すなわち、上述した各機能を実現するための情報は、搬送波に具現化されるものであってもよい。
【0098】
さらに、色光センサー60については以下のハードウェアを適用できる。
【0099】
例えば、各刺激値を選択的に透過するカラーフィルターおよびフォトダイオード、フォトダイオードからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターおよび当該デジタル信号を増幅するOPアンプ等を適用できる。
【0100】
以上、本発明を適用した好適な実施の形態について説明してきたが、本発明の適用は上述した実施例に限定されない。
【0101】
(変形例)
例えば、図4に示す変換用データは、数値をそのまま用いたものであるが、各画像信号値間の比率で表した変換用データを用いてもよい。
【0102】
図7は、本実施形態の他の一例に係る変換用データを示す模式図である。
【0103】
例えば、図4に示す変換用データを各画像信号値間の比率で示せば図7のようになる。R信号値、G信号値、B信号値のそれぞれの値が全て0の場合は、変換後の画像信号値の全ての値も0であるため、実質的に変換用データ記憶部123に記憶する必要があるのは9つのデータである。
【0104】
すなわち、R信号値、G信号値、B信号値のそれぞれの値がすべて1〜255である場合、色変換後のR信号値は、(R:G:B)=(0.98:0.00:0.03)で表され、色変換後のG信号値は、(R:G:B)=(0.02:0.74:0.06)で表され、色変換後のB信号値は、(R:G:B)=(0.00:0.05:0.77)で表される。
【0105】
したがって、これらの9つの比率を示す数値だけを変換用データ記憶部123に記憶すればよい。
【0106】
また、図7に示す比率を用いる方式によれば、図4に示す例では、9×256=2304個のデータが必要となるため、比率の演算が必要となる点で、数値で表す場合と比べて若干演算量は増えるが、図4に示す場合よりもデータ量をより低減できる。
【0107】
また、上述したプロジェクタのような投写型画像表示装置以外の表示手段で画像表示を行ってプレゼンテーション等を行う場合にも本発明を適用できる。このような表示手段としては、例えば、液晶プロジェクタのほか、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクタや、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)、EL(Electro Luminescence)、直視型液晶表示装置等のディスプレイ装置等が該当する。なお、DMDは、米国テキサスインスツルメンツ社の商標である。また、プロジェクタは前面投写型のものに限られず、背面投写型のものであってもよい。
【0108】
また、プレゼンテーション以外にも、ミーティング、医療、デザイン・ファッション分野、営業活動、コマーシャル、教育、さらには映画、TV、ビデオ、ゲーム等の一般映像等における画像表示を行う場合にも本発明は有効である。もちろん、動画像データだけでなく、静止画像データを処理する場合にも本発明は有効である。
【0109】
さらに、sRGBを目標色として画像表示する場合だけでなく、スキャナで取り込んだ画像の色や、PCで生成した画像の色を目標色として、画像をモニターで表示したり、プリンタで印刷したりする場合等にも本発明は有効である。このような場合にも、色変換に必要となるデータ量を低減できる。
【0110】
また、上述した実施例では、RGB信号値を用いたが、CMY値やCMYK値を用いる場合にも本発明を適用できる。
【0111】
また、視環境把握手段としては、色光センサー60以外にも、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラ等の撮像手段を適用することも可能である。
【0112】
なお、上述したスクリーン10は、反射型のものであったが、透過型のものであってもよい。
【0113】
なお、上述したプロジェクタ20のプロジェクタ画像処理部100の機能は、単体の画像表示装置(例えば、プロジェクタ20)で実現してもよいし、複数の処理装置で分散して(例えば、プロジェクタ20とPCとで分散処理)実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の一例に係る画像処理システムの概略説明図である。
【図2】 従来のプロジェクタ内のプロジェクタ画像処理部の機能ブロックの一例を示す図である。
【図3】 本実施形態の一例に係るプロジェクタ内のプロジェクタ画像処理部の機能ブロック図である。
【図4】本実施形態の一例に係る変換用データを示す模式図である。
【図5】本実施形態の一例に係る前処理のフローチャートである。
【図6】本実施形態の一例に係る本処理のフローチャートである。
【図7】本実施形態の他の一例に係る変換用データを示す模式図である。
【符号の説明】
20 プロジェクタ
50 レーザーポインタ
60 色光センサー
80 環境光
120、121 プロジェクタ色変換部
123 変換用データ記憶部
125 変換部
127 統合部
130 変換用データ生成部
150 キャリブレーション信号発生部
160 色域演算部
162 目標プロファイル記憶部
164 プロジェクタプロファイル記憶部
170 ガンマ処理部
300 情報記憶媒体
Claims (13)
- 目標色を再現するために、複数種の画像信号値によって表現される画像データの変換を行う画像処理システムにおいて、
所定の色変換用データに基づき、前記画像データを変換する色変換手段を含み、
前記色変換用データは、前記画像信号値の種別ごとに、色変換前の1種類の画像信号値と、色変換後の前記複数種の画像信号値とを対応付けるための信号別対応付けデータを含み、
前記色変換手段は、
入力される画像信号値を、前記画像信号値の種別ごとに、前記信号別対応付けデータに基づき、前記1種類の画像信号値を前記複数種の画像信号値に変換する手段と、
変換された前記複数種の画像信号値を、前記画像信号値の種別ごとに統合する手段と、
を含むことを特徴とする画像処理システム。 - 請求項1において、
前記目標色に応じて前記色変換用データを生成する色変換用データ生成手段を含むことを特徴とする画像処理システム。 - 請求項1、2のいずれかにおいて、
前記信号別対応付けデータは、前記色変換後の前記複数種の画像信号値を前記色変換前の1種類の画像信号値に対する比率で表現したものであることを特徴とする画像処理システム。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記画像データは、動画像データであることを特徴とする画像処理システム。 - 請求項2〜4のいずれかにおいて、
前記色変換用データ生成手段は、視環境を示す環境情報に基づき、前記色変換用データを生成することを特徴とする画像処理システム。 - 請求項2〜5のいずれかにおいて、
前記色変換用データ生成手段は、画像の校正時に、前記色変換用データを生成することを特徴とする画像処理システム。 - 目標色を再現するために、複数種の画像信号値によって表現される画像データの変換を行うためのプログラムであり、コンピュータにより読み取り可能なプログラムであって、
所定の色変換用データに基づき、前記画像データを変換する色変換手段としてコンピュータを機能させ、
前記色変換用データは、前記画像信号値の種別ごとに、色変換前の1種類の画像信号値と、色変換後の前記複数種の画像信号値とを対応付けるための信号別対応付けデータを含み、
前記色変換手段は、
入力される画像信号値を、前記画像信号値の種別ごとに、前記信号別対応付けデータに基づき、前記1種類の画像信号値を前記複数種の画像信号値に変換する手段と、
変換された前記複数種の画像信号値を、前記画像信号値の種別ごとに統合する手段と、
、
を含むことを特徴とするプログラム。 - 請求項7において、
前記目標色に応じて前記色変換用データを生成する色変換用データ生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。 - 請求項7、8のいずれかにおいて、
前記信号別対応付けデータは、前記色変換後の前記複数種の画像信号値を前記色変換前の1種類の画像信号値に対する比率で表現したものであることを特徴とするプログラム。 - 請求項7〜9のいずれかにおいて、
前記画像データは、動画像データであることを特徴とするプログラム。 - 請求項8〜10のいずれかにおいて、
前記色変換用データ生成手段は、視環境を示す環境情報に基づき、前記色変換用データを生成することを特徴とするプログラム。 - 請求項8〜11のいずれかにおいて、
前記色変換用データ生成手段は、画像の校正時に、前記色変換用データを生成することを特徴とするプログラム。 - コンピュータにより読み取り可能な情報記憶媒体であって、
請求項8〜12のいずれかのプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。
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