JP3725585B2 - 既設管渠内面のライニング方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設管渠内面のライニング方法に関し、特に既設の下水管を長距離に亘ってライニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水道管の管渠が老朽化した場合、管渠の内張りを行うことによってこれを更生する方法が用いられている。
【0003】
このような管渠を内張りする方法としては、柔軟なフィルム、織布或いは不織布及び硬化性樹脂から成り、内張りを行うべき管渠の長さに対応する長さを有するライニング材を既設管の内部に引き込んだ後、流体圧で膨脹させ、それを硬化させる方法、あるいは、一端が閉塞された上記長さを有するライニング材を流体圧付与により既設管の内部で反転させつつ導入し、更に流体圧を加えることにより既設管渠内面に密着せしめ、それを硬化させる方法などのライニング方法が知られている。このような工法を用いることにより、既設管渠を容易に補修或いは補強して更生することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
住宅密集地などで施工する際に、構築する始点立坑と到達立坑の場所が制限され、この始点立坑と到達立坑との間の距離が長距離に及ぶ場合があり、更にその長距離間を一度にライニングしなければならないこともある。
【0005】
しかしながら、上記従来のライニング方法では、内張りすべき範囲の距離に相当する長さのライニング材を引き込み動作することとなる。すなわち、非常に長尺のライニング材を使用しなければ既設管渠内面のライニングができない。筒状の基礎形状を有するように加工されたライニング材は、通常、工場で加工製造されるものであるためにライニング材の製造長さは自ずから限定される。
【0006】
また、仮に長尺(長距離)、例えば、長さ約200m以上の筒状ライニング材の製造ができても、一巻き或いは一梱包当たりのライニング材重量が大きくなり過ぎるために施工現場への材料搬送ができなかった。とりわけ、ライニング対象となる既設管渠の管径が大きくなるに従い、その内壁面に押圧されるライニング材の重量も飛躍的に増大するため、施工現場への材料搬送の困難性はより増大する。従って、一巻き或いは一梱包当たりのライニング材の長さを減少させなければ現場への材料搬送もできず、その結果一度に連続施工できる既設管渠のライニング長さも必然的に短くなり、200m以上の連続的な長距離ライニング作業はできないという事情があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の限界を越えた長距離にわたる管渠の連続ライニング、例えば幾つかのマンホールを経て連結されたような長距離の管渠を一度に連続的にライニングする方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る既設管渠内面のライニング方法は、
紫外線硬化性樹脂を含有しかつ管状の基礎形状を有する可撓性ライニング材を既設管渠内に未硬化状態で導入し、
前記可撓性ライニング材内に流体圧を付与することによりその可撓性ライニング材の外周面を前記既設管渠内面に押圧させた状態とし、
前記硬化性樹脂に対する紫外線照射によって前記可撓性ライニング材を硬化させる既設管渠内面のライニング方法において、
前記可撓性ライニング材の導入動作を、所定長さに設定された複数の前記可撓性ライニング材同士をその管軸方向に順次接続しながら前記既設管渠内に連続的に引き込むことによって行うこととしている。
【0009】
したがって、ライニング施工を行うべき範囲が長距離に及ぶ場合でも搬送困難な長尺のライニング材を使用することなく連続的なライニングを行うことができる。すなわち、搬送の困難性を伴わない程度の長さの可撓性ライニング材を複数用い、その可撓性ライニング材の接続個数を調整することで種々の長さ範囲に対応することができる。
【0010】
次に、請求項2に係る既設管渠内面のライニング方法は、
前記既設管渠が一以上のマンホールを介して連結された複数の管渠からなり、前記可撓性ライニング材の導入動作の後に、前記可撓性ライニング材の前記マンホールの部分に通じる部分の除去動作を行うこととしている。
【0011】
上記請求項1の発明について述べた長距離の管渠に対する連続的ライニング施工の容易化により、1又は複数のマンホールが途中に存するような長距離管渠へのライニング材の連続導入も容易となるが、そのような場合に、本発明ではライニング材の導入動作後にライニング材のマンホールへ通じる部分を除去してマンホール機能に支障のないようにしたものである。
【0012】
また、請求項3にかかる既設管渠内面のライニング方法は、
前記可撓性ライニング材の接続動作が、
前記各可撓性ライニング材を補強するため前記各可撓性ライニング材にその管軸方向に伸長させて複数設けられた補強材相互を接続し、該接続部をシールしてライニング材の外部に対し密閉状態とすることにより行うこととしている。
【0013】
これにより、ライニング材同士の確実かつ安定した接続状態を確保すると共に、上記流体圧付与によるライニング材の管渠内面への押圧状態の確保を空気漏れ等を防止しつつ、より確実ならしめている。
【0014】
更に、請求項4にかかる既設管渠内面のライニング方法は、
前記可撓性ライニング材の硬化動作終了後において、
前記可撓性ライニング材同士の接続部を、両ライニング材間に架設され両ライニング材接続側端部の内壁面に両端外壁面を密着させて取付け可能な止水用被覆体によって密着連通状態とすることとしている。
【0015】
これにより、ライニング材硬化後、管渠が下水道等の通常の機能を果す際における管内の流通物の接続部からの漏出を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例に係るライニング方法について説明する。本実施例では、複数のマンホールを介してつながる複数の管渠を一度に長距離に亘って連続的にライニングする例について説明する。
【0017】
図1は、複数のマンホール11a、11b・・・を介してつながる管渠12a、12b・・・が示されており、通常管渠12は、陶管、ヒューム管や或いはコンクリート製矩形管等で構成されている。また、既設管渠のライニングのために構築した始点立坑13および到達立坑14は1000mm以上の管径φを有する。
【0018】
このうような管渠12の内面は、長時間の使用により硫化水素、その他の腐食性ガス等に曝されて劣化し、腐食されて管厚が薄くなり、強度が低下し、更には地表面上を通過する車両の振動や地圧等により亀裂や管ずれ、あるいは蛇行が発生している場合が多い。
【0019】
先ず、図2に示すように、ライニングの前に、管渠12内面を高圧洗浄車15の高圧ジェット噴射部16から高圧水を吹き付けることにより清掃する。この高圧ジェット噴射部16は、到達立坑14側から始点立坑(図上右側)の方へ向けて管渠12内を移動する。このときこの高圧ジェット噴射部16にはライニング材牽引用ロープ17の先端部を固定しておき、高圧ジェット噴射部16の推進と共に管渠12及びマンホール11の空間部を通って到達立坑14から始点立坑13(図示せず)の方へ送られるようにする。
【0020】
上記のような前処理を行った後、最初のライニング材1の前端にライニング材牽引用ロープ17を接続する。ここでライニング材1は、従来の場合と異なり所定長さに設定されたものである。すなわち、ライニングを行う距離範囲全長に対応する長さではなく、搬送の容易性を考慮した短尺のライニング材である。
【0021】
図3及び図4は、本発明のライニング方法に適用し得るライニング材の構成の一例を示している。図3は、ライニング材の内部構成を示す斜視図であり、図4は図3のA−A線断面図である。
【0022】
ライニング材1は、全体として可撓性を有するようにガラス繊維、ポリエステル繊維等の部材から構成され、編まれた又は織布或いは不織布状のチューブ状のベース材2及び3、これに未硬化状態の紫外線硬化性を有する樹脂、例えば不飽和ポリエステル系樹脂4を含浸させて形成した樹脂層5、この樹脂層5の内外両面をそれぞれ被覆するポリウレタン/ポリアミド複合フィルム等からなる内側薄膜6および外側薄膜7を有する。尚、ベース材2、3は二層に限定されず強度を必要とする場合には三層以上の多層に巻き付けても良い。
【0023】
更に、樹脂層5内には外側薄膜7に近接してベース材3を囲むように配設されたライニング材1の管軸方向ラインと略平行にはしる複数の補強材8が設けられている。補強材8は比較的大きな引張強さを有し、引張力に対して伸びの少ない金属製或いは可撓性樹脂製のものが用いられる。図上線材状のものが示されているが、帯状の構成をとっても良い。更に、金属或いは可撓性樹脂からなるより線或いは、これらのより線、高強度を有する炭素繊維、ガラス繊維等の繊維を編んだ紐状体或いは帯状体によって形成することも可能である。また、その断面形状は円形だけでなく矩形状等適宜の形状のものを用いることができる。
【0024】
本実施形態のライニング材1においては、樹脂層5内に引き込み方向と略平行な補強材8が設けられているので、引き込み作業に際して、内側薄膜6及び外側薄膜7の両薄膜に挟まれた未硬化のベース材2、3の伸び、撓み及び未硬化状態の硬化性樹脂の流動が防止される。
【0025】
外側薄膜7の外側にアルミニウム箔等の光反射性膜(図示せず)を設けたライニング材1を用いることもできる。光反射性膜を外側に存在させることにより引き込み作業中にマンホール等から差し込む光の影響を防止することができると共に硬化装置からの光エネルギーを硬化性樹脂を含浸する樹脂層5の方へ反射させ光の吸収効率を高めることができる。
【0026】
上記のようなライニング材1は、図5(a)に示すように地上に配置されたライニング材供給装置18に収容され、そこから始点立坑13の口部付近に導かれる。尚、ここでライニング材供給装置18は、図5(a)に示すようにライニング材をリールに巻いた状態で収容する形式のもの、或いは図5(b)に示すように折り返して重ねて収納するものでもよい。
【0027】
本発明においてはライニング材1は、搬送容易性を考慮して設定された所定長さのものが複数本用いられるが、上記リールを用いる場合には各リール毎に1本のライニング材1を巻いておき、折返し式の場合には各ライニング材毎にケースに収納しておくのが好適である。
【0028】
まず、最初のライニング材1の前端に到達立坑14側から始点立坑13側へ上述の方法で導かれたライニング材牽引用ロープ17を接続する。それと共に前記ライニング材牽引用ロープ17には予めライニング材1の中を通され、一端がライニング材1の前端に取り付けられた第2の牽引用ロープ19が結合されている。この第2の牽引用ロープ19は、後記する硬化装置を到達立坑14側から始点立坑13側へ牽引するときに用いるためのロープである。
【0029】
また、ライニング材1の引き込み作業を容易にし、ライニング材1を管渠12内壁によって傷つけることなく管渠12内に導入するため、図5(a)に示したように塩化ビニル等の下敷きシート20を敷き、さらに必要に応じて下敷きシート20上面に滑材を塗布してもよい。下敷きシート20は、経由するマンホール空間部を通り、マンホール11を介してつながる管渠12から管渠12にまたがってこれらを橋渡しするように配置される。配置後の下敷きシート20は、ライニング材1の導入の際に動かないよう複数ヶ所に亘ってアンカーボルト等を使用して固定される。
【0030】
尚、ライニング材1、特に到達立坑14側に近いライニング材は相当な距離に亘って引きずられることとなるので摩擦熱によるライニング材1の変質を防止するために必要に応じて冷気を管渠12内に送りながらライニング材1の引き込みを行うことが好適である。
【0031】
次に、ライニング材牽引用ロープ17を到達立坑14側へ引っ張ることにより管渠12内の下敷きシート20上を滑りながらライニング材1が管渠12内に引き込まれる。最初のライニング材1が後端部近くまで引き込まれたとき引込みを一時中断し、第2のライニング材1aの前端部を最初のライニング材1の後端部に接続する。この接続動作は、ライニング材1がリールに巻かれた状態でライニング材供給装置18に収容されている場合には、リールに巻かれたライニング材1の残量が少なくなってきた時に行われる。その接続動作は、次に使用するリールに巻かれたライニング材1の引き出し側前端と先のリールのライニング材1の後端との接続動作である。
【0032】
すなわち、この接続作業は、本実施例では先のライニング材1の後端が立坑内に引き込まれてしまう前に始点立坑13の近傍位置で行われる。なお、上記リールへのライニング材1の巻きつけは、上記接続作業の容易化を考慮してライニング材1の後端をリール外方にはみ出させた状態としておくのが好適である。また、折返し式に各ライニング材1を収納しておく場合、各ケースのライニング材1の後端の手前の所定箇所に目印を付しておく。更に、この接続動作時期の管理は、作業者の視覚による判断でも可能であるが、先のライニング材1の残量が減ってきたことをセンサによって検知し、この検知信号に基づき作業者に知らせる合図を自動的に発するようにしてもよい。
【0033】
図6は、上記ライニング材相互(図上1と1a)の接続作業の一例を示している。まず、補強材8同士の接続は、本実施例では接続部材9を介して行っている。この場合、必ずしも全ての補強材8相互を接続する必要はなく、引張り移動時に離脱しない程度の接続強度が得られる本数だけ接続すれば足りる。更に、接続を行う際には後述する圧縮空気による拡径時のライニング材1の管渠12内壁面への均一密着性を確保出来るよう周方向に所定間隔をおいて複数ヶ所の接続を行うのが好ましい。補強材8と接続部材9の接続については耐熱性接着材を用いて行うことが好適である。また、補強材8同士の接続は、上記のように接続部材9を介在させず、直接行っても良い。なお、接続あるいは接着方法は上記の構成に限定されず、例えば耐熱性の熔着、接着、ネジ接合、結び結合等種々の方法をとることができる。
【0034】
また、ライニング材1の接続部である端部間に隙間が生じることにより、後述のライニング材1の圧縮空気による拡径、管渠12内壁への密着がうまく行われないことのないように、例えばポリウレタン/ポリアミドなどの積層フィルム等で形成した耐熱性フィルム10で周囲にできた筒状空隙を簡易シールするのが好ましい。
【0035】
このようにして第2のライニング材1aの前端を第2のライニング材1の後端につないだ後、これらを管渠12内へ引き込む動作を行う。そして、第2のライニング材1aが始点立坑13内にその後端部近くまで引き込まれた時、再び引込み動作を一時中断し第3のライニング材(図示せず)の前端部を第2のライニング材1aの後端部に同様にして接続し、且つシールして気密性を持たせる。
【0036】
以上の動作を連続して行い、所定の個数のライニング材1を引き込み、最先端は到達立坑14内に引き出される。図7(a)は、到達立坑14内を示しており、例えば、管渠12の伸長方向から到達立坑14の上方開口へ向けて曲げられたフレキシブルプラスチックホース21が設置され、その口部22が到達立坑14の上方へ向けて配置されている。ライニング材1は、この内部で支持される。この他、ライニング材1を単に到達立坑14内に横たえて配置する場合もある。
【0037】
同図において、フレキシブルプラスチックホース21の口部22には、バルブ23が取付けられており、このバルブ23には、同図(b)に示したように複数の空気通気孔25が形成されており、各空気通気孔25はプラグ24(図上黒色で塗り潰している)の着脱により開閉自在となっている。すなわち、開閉の個数によって開口率調整を行っている。始点立坑13側のライニング材1の端部にも同様にプラグ24を有するバルブ23を取り付けた後、この始点立坑13側からライニング材1内に流体圧を付与するため、圧縮空気を供給する。この圧縮空気の供給によりライニング材1を膨脹させて管渠12内壁にライニング材1の外周面を押圧、密着させることができる。なお、図上中央の符号26はライニング材牽引用ロープ17を挿通させるための孔である。
【0038】
次に、図8に示したような紫外線照射硬化装置27を最先のライニング材1の前端に取付けて既に到達立坑14側へ引っ張ってきた第2の牽引用ロープ19に接続する。そして、バルブ23の一部分を取り外し、この硬化装置27をライニング材1内に挿入する。この硬化装置27の挿入作業の間も複数連結されたライニング材1内には始点立坑13側から到達立坑14側へ圧縮空気が送り続けられ、バルブ23の空気通気孔25を通しての排出が継続されている。
【0039】
ここにおいて硬化装置27は、特公平7−41670に詳細に説明されているのでここでは簡単に説明するが、数台のワゴンを互いに関節様に連結してトレインを形成したものでもよく、あるいは円周方向に複数の光源を配列した硬化機構を有する硬化装置(図示せず)であってもよい。例えば、図8に示した装置は、光源ワゴン28と点灯ワゴン29(イグナイター)からなる。各光源ワゴン28は硬化用の放射線を発するための放射源30を備え、一方、各点灯ワゴン29は2台の光源ワゴン28の点灯を行うための制御装置31を備えている。前記複数のワゴンは、スプリング脚と該スプリング脚の一端部に設けられたホイールにより弾性的に管渠内に支持されるように構成されている。
【0040】
図8に示した硬化装置27の各光源ワゴン28をライニング材1の前端部、すなわち到達立坑14側の端部で点灯した後、一定の速度でライニング材1の連結体内を始点立坑13方向へ移動させる。到達立坑14側から始点立坑13への移動中、好ましくは紫外線波長範囲300〜500nm、より好ましくは350〜450nmの光をライニング材1に照射して樹脂を硬化させる。この硬化の過程中もライニング材1の連結体内には、冷却等のため始点立坑13側から到達立坑14側へ圧縮空気が送り続けられ、バルブ23の空気通気孔25を通して外部へ排出されている。
【0041】
以上のようにしてライニング材1中の樹脂を硬化させた後、更生後の夫々の管渠12の前方および後方の管口から外へ突出した余分なライニング材1部分を切除する。更に、接続部は図6で示したように圧縮空気遮蔽用の耐熱性フィルム10で簡易シールされているだけなので、実際の管渠機能状態(下水道など)でのシールが必要となる場合がある。そこで、図9に示したように、硬化後に隣合うライニング材1間の内壁欠落部分を密閉連通するために止水用被覆体32を設けてもよい。この止水用被覆体32は、ライニング材1内で放射方向への力を受けて円形状に拡開し、且つライニング材1内面に当接されるものである。
【0042】
そして、図10に示すようにライニング後、連結されている管渠12の途中位置に存在するマンホールなどの取付管部11と管渠12との間を塞いだ状態としているライニング材1の遮蔽部分34を遠隔制御式の切断装置33を用いて切断除去し開孔させることによりライニング作業は完了する。
【0043】
本発明の方法において各管渠12の始端部と終端部の全周にわたって管状水膨潤性ゴムを取り付けることにより既設管渠12内壁とライニング材1間に水が侵入するのを確実に防止することができる。
【0044】
本発明において用いることができるライニング材1は、図3及び図4に示すライニング材以外にPCT/EP94/02521号に記載のような一つの帯状プラスチックフィルムを螺旋状に巻いてなる内側プラスチック箔管及び該箔管の上に帯状繊維材料を螺旋状に巻き付け、更にその上に第2の帯状プラスチックフィルムを螺旋状に巻いて外側プラスチック箔管を形成し、前記帯状繊維材料には硬化性樹脂を含浸させたライニング管を適用することも可能である。
【0045】
上記の本発明の実施態様は、始点立坑13から到達立坑14の間をライニングするものであるが、本発明は何れかの立坑を始点とし、既設の幾つかのマンホール11を経て一つのマンホール11を到達点としてライニングすることも可能である。
【0046】
上記実施例において、ライニング作業中にバルブ23の開口率の調節だけでは加熱された圧縮空気の排出が十分に行われないときは、ライニング材1のマンホール11を横断する部分、すなわちマンホール11に通じる部分に通気孔を設けてその通気孔からも排気が行われるようにしてもよい。
【0047】
以上のように本実施例によれば、複数のライニング材1を互いに接続することにより一回の引き込み作業で管渠12内に導入し得る長さを長くして行くことができる。これにより、従来困難であった、例えば200m以上の長距離に亘る連続的なライニングも可能となる。
【0048】
従って、住宅密集地などで立坑の設置場所の確保が困難で、住宅密集地以外のところに立坑を構築し、そこから住宅密集地の下を通ってまた幾つかのマンホールを経て長距離に亘ってライニングを行うことを余儀なくされるような場合においても有効に連続的ライニングを行うことができる。
【0049】
また、上記実施例の様に光硬化により樹脂を硬化させることで、熱風、熱水蒸気、温水等で加熱し硬化させる場合のように多大な熱量を要することはなく、また短時間で長距離に亘って連続的にライニング作業を行うことができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、複数のライニング材相互を順次接続しながら既設管渠内に連続的に引き込むことにより、ライニング材の搬送の困難性を生じさせることなく長距離に亘る連続的ライニング作業が可能となる。これにより、少ない立坑の構築数でかつ立坑設定位置に制限が有るような場合でも、ライニング作業がより容易なものとなり、ライニングの適用範囲の拡大に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は複数のマンホールを介してつながる管渠の断面図である。
【図2】図2は高圧ジェットで管渠内を清掃する過程を示す説明図である。
【図3】図3は本発明で用いるライニング材の一例を示す一部切欠構造説明図である。
【図4】図4は図1におけるA−A線断面図である。
【図5】図5(a)はライニング材を引き込む過程の説明図であり、図5(b)はライニング材の他の引き込み方法を示す。
【図6】図6は、ライニング材同士の接続の仕方の一例を示す説明図である。
【図7】図7(a)は到達立坑内に引き出したライニング材の最先端にバルブを取り付けた後圧縮空気でライニング材を膨脹させた状態を示し、説明図、図7(b)はバルブの正面図である。
【図8】図8は、硬化装置をライニング材内に挿入して到達立坑側から始点立坑の方へ移動させてライニング材に放射線を照射している状態を示す説明図である。
【図9】図9はライニング材の接続部に止水用被覆体を取り付けた状態を示す説明図である。
【図10】図10はマンホールを横断するライニング材の部分を切除する過程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ライニング材
Aライニング材の軸線
2、3 ベース部材
4 硬化性樹脂
5 樹脂層
6 内側薄膜
7 外側薄膜
8 補強材
9 接続部材
32 止水用被覆体
33 切断装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設管渠内面のライニング方法に関し、特に既設の下水管を長距離に亘ってライニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水道管の管渠が老朽化した場合、管渠の内張りを行うことによってこれを更生する方法が用いられている。
【0003】
このような管渠を内張りする方法としては、柔軟なフィルム、織布或いは不織布及び硬化性樹脂から成り、内張りを行うべき管渠の長さに対応する長さを有するライニング材を既設管の内部に引き込んだ後、流体圧で膨脹させ、それを硬化させる方法、あるいは、一端が閉塞された上記長さを有するライニング材を流体圧付与により既設管の内部で反転させつつ導入し、更に流体圧を加えることにより既設管渠内面に密着せしめ、それを硬化させる方法などのライニング方法が知られている。このような工法を用いることにより、既設管渠を容易に補修或いは補強して更生することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
住宅密集地などで施工する際に、構築する始点立坑と到達立坑の場所が制限され、この始点立坑と到達立坑との間の距離が長距離に及ぶ場合があり、更にその長距離間を一度にライニングしなければならないこともある。
【0005】
しかしながら、上記従来のライニング方法では、内張りすべき範囲の距離に相当する長さのライニング材を引き込み動作することとなる。すなわち、非常に長尺のライニング材を使用しなければ既設管渠内面のライニングができない。筒状の基礎形状を有するように加工されたライニング材は、通常、工場で加工製造されるものであるためにライニング材の製造長さは自ずから限定される。
【0006】
また、仮に長尺(長距離)、例えば、長さ約200m以上の筒状ライニング材の製造ができても、一巻き或いは一梱包当たりのライニング材重量が大きくなり過ぎるために施工現場への材料搬送ができなかった。とりわけ、ライニング対象となる既設管渠の管径が大きくなるに従い、その内壁面に押圧されるライニング材の重量も飛躍的に増大するため、施工現場への材料搬送の困難性はより増大する。従って、一巻き或いは一梱包当たりのライニング材の長さを減少させなければ現場への材料搬送もできず、その結果一度に連続施工できる既設管渠のライニング長さも必然的に短くなり、200m以上の連続的な長距離ライニング作業はできないという事情があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の限界を越えた長距離にわたる管渠の連続ライニング、例えば幾つかのマンホールを経て連結されたような長距離の管渠を一度に連続的にライニングする方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る既設管渠内面のライニング方法は、
紫外線硬化性樹脂を含有しかつ管状の基礎形状を有する可撓性ライニング材を既設管渠内に未硬化状態で導入し、
前記可撓性ライニング材内に流体圧を付与することによりその可撓性ライニング材の外周面を前記既設管渠内面に押圧させた状態とし、
前記硬化性樹脂に対する紫外線照射によって前記可撓性ライニング材を硬化させる既設管渠内面のライニング方法において、
前記可撓性ライニング材の導入動作を、所定長さに設定された複数の前記可撓性ライニング材同士をその管軸方向に順次接続しながら前記既設管渠内に連続的に引き込むことによって行うこととしている。
【0009】
したがって、ライニング施工を行うべき範囲が長距離に及ぶ場合でも搬送困難な長尺のライニング材を使用することなく連続的なライニングを行うことができる。すなわち、搬送の困難性を伴わない程度の長さの可撓性ライニング材を複数用い、その可撓性ライニング材の接続個数を調整することで種々の長さ範囲に対応することができる。
【0010】
次に、請求項2に係る既設管渠内面のライニング方法は、
前記既設管渠が一以上のマンホールを介して連結された複数の管渠からなり、前記可撓性ライニング材の導入動作の後に、前記可撓性ライニング材の前記マンホールの部分に通じる部分の除去動作を行うこととしている。
【0011】
上記請求項1の発明について述べた長距離の管渠に対する連続的ライニング施工の容易化により、1又は複数のマンホールが途中に存するような長距離管渠へのライニング材の連続導入も容易となるが、そのような場合に、本発明ではライニング材の導入動作後にライニング材のマンホールへ通じる部分を除去してマンホール機能に支障のないようにしたものである。
【0012】
また、請求項3にかかる既設管渠内面のライニング方法は、
前記可撓性ライニング材の接続動作が、
前記各可撓性ライニング材を補強するため前記各可撓性ライニング材にその管軸方向に伸長させて複数設けられた補強材相互を接続し、該接続部をシールしてライニング材の外部に対し密閉状態とすることにより行うこととしている。
【0013】
これにより、ライニング材同士の確実かつ安定した接続状態を確保すると共に、上記流体圧付与によるライニング材の管渠内面への押圧状態の確保を空気漏れ等を防止しつつ、より確実ならしめている。
【0014】
更に、請求項4にかかる既設管渠内面のライニング方法は、
前記可撓性ライニング材の硬化動作終了後において、
前記可撓性ライニング材同士の接続部を、両ライニング材間に架設され両ライニング材接続側端部の内壁面に両端外壁面を密着させて取付け可能な止水用被覆体によって密着連通状態とすることとしている。
【0015】
これにより、ライニング材硬化後、管渠が下水道等の通常の機能を果す際における管内の流通物の接続部からの漏出を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例に係るライニング方法について説明する。本実施例では、複数のマンホールを介してつながる複数の管渠を一度に長距離に亘って連続的にライニングする例について説明する。
【0017】
図1は、複数のマンホール11a、11b・・・を介してつながる管渠12a、12b・・・が示されており、通常管渠12は、陶管、ヒューム管や或いはコンクリート製矩形管等で構成されている。また、既設管渠のライニングのために構築した始点立坑13および到達立坑14は1000mm以上の管径φを有する。
【0018】
このうような管渠12の内面は、長時間の使用により硫化水素、その他の腐食性ガス等に曝されて劣化し、腐食されて管厚が薄くなり、強度が低下し、更には地表面上を通過する車両の振動や地圧等により亀裂や管ずれ、あるいは蛇行が発生している場合が多い。
【0019】
先ず、図2に示すように、ライニングの前に、管渠12内面を高圧洗浄車15の高圧ジェット噴射部16から高圧水を吹き付けることにより清掃する。この高圧ジェット噴射部16は、到達立坑14側から始点立坑(図上右側)の方へ向けて管渠12内を移動する。このときこの高圧ジェット噴射部16にはライニング材牽引用ロープ17の先端部を固定しておき、高圧ジェット噴射部16の推進と共に管渠12及びマンホール11の空間部を通って到達立坑14から始点立坑13(図示せず)の方へ送られるようにする。
【0020】
上記のような前処理を行った後、最初のライニング材1の前端にライニング材牽引用ロープ17を接続する。ここでライニング材1は、従来の場合と異なり所定長さに設定されたものである。すなわち、ライニングを行う距離範囲全長に対応する長さではなく、搬送の容易性を考慮した短尺のライニング材である。
【0021】
図3及び図4は、本発明のライニング方法に適用し得るライニング材の構成の一例を示している。図3は、ライニング材の内部構成を示す斜視図であり、図4は図3のA−A線断面図である。
【0022】
ライニング材1は、全体として可撓性を有するようにガラス繊維、ポリエステル繊維等の部材から構成され、編まれた又は織布或いは不織布状のチューブ状のベース材2及び3、これに未硬化状態の紫外線硬化性を有する樹脂、例えば不飽和ポリエステル系樹脂4を含浸させて形成した樹脂層5、この樹脂層5の内外両面をそれぞれ被覆するポリウレタン/ポリアミド複合フィルム等からなる内側薄膜6および外側薄膜7を有する。尚、ベース材2、3は二層に限定されず強度を必要とする場合には三層以上の多層に巻き付けても良い。
【0023】
更に、樹脂層5内には外側薄膜7に近接してベース材3を囲むように配設されたライニング材1の管軸方向ラインと略平行にはしる複数の補強材8が設けられている。補強材8は比較的大きな引張強さを有し、引張力に対して伸びの少ない金属製或いは可撓性樹脂製のものが用いられる。図上線材状のものが示されているが、帯状の構成をとっても良い。更に、金属或いは可撓性樹脂からなるより線或いは、これらのより線、高強度を有する炭素繊維、ガラス繊維等の繊維を編んだ紐状体或いは帯状体によって形成することも可能である。また、その断面形状は円形だけでなく矩形状等適宜の形状のものを用いることができる。
【0024】
本実施形態のライニング材1においては、樹脂層5内に引き込み方向と略平行な補強材8が設けられているので、引き込み作業に際して、内側薄膜6及び外側薄膜7の両薄膜に挟まれた未硬化のベース材2、3の伸び、撓み及び未硬化状態の硬化性樹脂の流動が防止される。
【0025】
外側薄膜7の外側にアルミニウム箔等の光反射性膜(図示せず)を設けたライニング材1を用いることもできる。光反射性膜を外側に存在させることにより引き込み作業中にマンホール等から差し込む光の影響を防止することができると共に硬化装置からの光エネルギーを硬化性樹脂を含浸する樹脂層5の方へ反射させ光の吸収効率を高めることができる。
【0026】
上記のようなライニング材1は、図5(a)に示すように地上に配置されたライニング材供給装置18に収容され、そこから始点立坑13の口部付近に導かれる。尚、ここでライニング材供給装置18は、図5(a)に示すようにライニング材をリールに巻いた状態で収容する形式のもの、或いは図5(b)に示すように折り返して重ねて収納するものでもよい。
【0027】
本発明においてはライニング材1は、搬送容易性を考慮して設定された所定長さのものが複数本用いられるが、上記リールを用いる場合には各リール毎に1本のライニング材1を巻いておき、折返し式の場合には各ライニング材毎にケースに収納しておくのが好適である。
【0028】
まず、最初のライニング材1の前端に到達立坑14側から始点立坑13側へ上述の方法で導かれたライニング材牽引用ロープ17を接続する。それと共に前記ライニング材牽引用ロープ17には予めライニング材1の中を通され、一端がライニング材1の前端に取り付けられた第2の牽引用ロープ19が結合されている。この第2の牽引用ロープ19は、後記する硬化装置を到達立坑14側から始点立坑13側へ牽引するときに用いるためのロープである。
【0029】
また、ライニング材1の引き込み作業を容易にし、ライニング材1を管渠12内壁によって傷つけることなく管渠12内に導入するため、図5(a)に示したように塩化ビニル等の下敷きシート20を敷き、さらに必要に応じて下敷きシート20上面に滑材を塗布してもよい。下敷きシート20は、経由するマンホール空間部を通り、マンホール11を介してつながる管渠12から管渠12にまたがってこれらを橋渡しするように配置される。配置後の下敷きシート20は、ライニング材1の導入の際に動かないよう複数ヶ所に亘ってアンカーボルト等を使用して固定される。
【0030】
尚、ライニング材1、特に到達立坑14側に近いライニング材は相当な距離に亘って引きずられることとなるので摩擦熱によるライニング材1の変質を防止するために必要に応じて冷気を管渠12内に送りながらライニング材1の引き込みを行うことが好適である。
【0031】
次に、ライニング材牽引用ロープ17を到達立坑14側へ引っ張ることにより管渠12内の下敷きシート20上を滑りながらライニング材1が管渠12内に引き込まれる。最初のライニング材1が後端部近くまで引き込まれたとき引込みを一時中断し、第2のライニング材1aの前端部を最初のライニング材1の後端部に接続する。この接続動作は、ライニング材1がリールに巻かれた状態でライニング材供給装置18に収容されている場合には、リールに巻かれたライニング材1の残量が少なくなってきた時に行われる。その接続動作は、次に使用するリールに巻かれたライニング材1の引き出し側前端と先のリールのライニング材1の後端との接続動作である。
【0032】
すなわち、この接続作業は、本実施例では先のライニング材1の後端が立坑内に引き込まれてしまう前に始点立坑13の近傍位置で行われる。なお、上記リールへのライニング材1の巻きつけは、上記接続作業の容易化を考慮してライニング材1の後端をリール外方にはみ出させた状態としておくのが好適である。また、折返し式に各ライニング材1を収納しておく場合、各ケースのライニング材1の後端の手前の所定箇所に目印を付しておく。更に、この接続動作時期の管理は、作業者の視覚による判断でも可能であるが、先のライニング材1の残量が減ってきたことをセンサによって検知し、この検知信号に基づき作業者に知らせる合図を自動的に発するようにしてもよい。
【0033】
図6は、上記ライニング材相互(図上1と1a)の接続作業の一例を示している。まず、補強材8同士の接続は、本実施例では接続部材9を介して行っている。この場合、必ずしも全ての補強材8相互を接続する必要はなく、引張り移動時に離脱しない程度の接続強度が得られる本数だけ接続すれば足りる。更に、接続を行う際には後述する圧縮空気による拡径時のライニング材1の管渠12内壁面への均一密着性を確保出来るよう周方向に所定間隔をおいて複数ヶ所の接続を行うのが好ましい。補強材8と接続部材9の接続については耐熱性接着材を用いて行うことが好適である。また、補強材8同士の接続は、上記のように接続部材9を介在させず、直接行っても良い。なお、接続あるいは接着方法は上記の構成に限定されず、例えば耐熱性の熔着、接着、ネジ接合、結び結合等種々の方法をとることができる。
【0034】
また、ライニング材1の接続部である端部間に隙間が生じることにより、後述のライニング材1の圧縮空気による拡径、管渠12内壁への密着がうまく行われないことのないように、例えばポリウレタン/ポリアミドなどの積層フィルム等で形成した耐熱性フィルム10で周囲にできた筒状空隙を簡易シールするのが好ましい。
【0035】
このようにして第2のライニング材1aの前端を第2のライニング材1の後端につないだ後、これらを管渠12内へ引き込む動作を行う。そして、第2のライニング材1aが始点立坑13内にその後端部近くまで引き込まれた時、再び引込み動作を一時中断し第3のライニング材(図示せず)の前端部を第2のライニング材1aの後端部に同様にして接続し、且つシールして気密性を持たせる。
【0036】
以上の動作を連続して行い、所定の個数のライニング材1を引き込み、最先端は到達立坑14内に引き出される。図7(a)は、到達立坑14内を示しており、例えば、管渠12の伸長方向から到達立坑14の上方開口へ向けて曲げられたフレキシブルプラスチックホース21が設置され、その口部22が到達立坑14の上方へ向けて配置されている。ライニング材1は、この内部で支持される。この他、ライニング材1を単に到達立坑14内に横たえて配置する場合もある。
【0037】
同図において、フレキシブルプラスチックホース21の口部22には、バルブ23が取付けられており、このバルブ23には、同図(b)に示したように複数の空気通気孔25が形成されており、各空気通気孔25はプラグ24(図上黒色で塗り潰している)の着脱により開閉自在となっている。すなわち、開閉の個数によって開口率調整を行っている。始点立坑13側のライニング材1の端部にも同様にプラグ24を有するバルブ23を取り付けた後、この始点立坑13側からライニング材1内に流体圧を付与するため、圧縮空気を供給する。この圧縮空気の供給によりライニング材1を膨脹させて管渠12内壁にライニング材1の外周面を押圧、密着させることができる。なお、図上中央の符号26はライニング材牽引用ロープ17を挿通させるための孔である。
【0038】
次に、図8に示したような紫外線照射硬化装置27を最先のライニング材1の前端に取付けて既に到達立坑14側へ引っ張ってきた第2の牽引用ロープ19に接続する。そして、バルブ23の一部分を取り外し、この硬化装置27をライニング材1内に挿入する。この硬化装置27の挿入作業の間も複数連結されたライニング材1内には始点立坑13側から到達立坑14側へ圧縮空気が送り続けられ、バルブ23の空気通気孔25を通しての排出が継続されている。
【0039】
ここにおいて硬化装置27は、特公平7−41670に詳細に説明されているのでここでは簡単に説明するが、数台のワゴンを互いに関節様に連結してトレインを形成したものでもよく、あるいは円周方向に複数の光源を配列した硬化機構を有する硬化装置(図示せず)であってもよい。例えば、図8に示した装置は、光源ワゴン28と点灯ワゴン29(イグナイター)からなる。各光源ワゴン28は硬化用の放射線を発するための放射源30を備え、一方、各点灯ワゴン29は2台の光源ワゴン28の点灯を行うための制御装置31を備えている。前記複数のワゴンは、スプリング脚と該スプリング脚の一端部に設けられたホイールにより弾性的に管渠内に支持されるように構成されている。
【0040】
図8に示した硬化装置27の各光源ワゴン28をライニング材1の前端部、すなわち到達立坑14側の端部で点灯した後、一定の速度でライニング材1の連結体内を始点立坑13方向へ移動させる。到達立坑14側から始点立坑13への移動中、好ましくは紫外線波長範囲300〜500nm、より好ましくは350〜450nmの光をライニング材1に照射して樹脂を硬化させる。この硬化の過程中もライニング材1の連結体内には、冷却等のため始点立坑13側から到達立坑14側へ圧縮空気が送り続けられ、バルブ23の空気通気孔25を通して外部へ排出されている。
【0041】
以上のようにしてライニング材1中の樹脂を硬化させた後、更生後の夫々の管渠12の前方および後方の管口から外へ突出した余分なライニング材1部分を切除する。更に、接続部は図6で示したように圧縮空気遮蔽用の耐熱性フィルム10で簡易シールされているだけなので、実際の管渠機能状態(下水道など)でのシールが必要となる場合がある。そこで、図9に示したように、硬化後に隣合うライニング材1間の内壁欠落部分を密閉連通するために止水用被覆体32を設けてもよい。この止水用被覆体32は、ライニング材1内で放射方向への力を受けて円形状に拡開し、且つライニング材1内面に当接されるものである。
【0042】
そして、図10に示すようにライニング後、連結されている管渠12の途中位置に存在するマンホールなどの取付管部11と管渠12との間を塞いだ状態としているライニング材1の遮蔽部分34を遠隔制御式の切断装置33を用いて切断除去し開孔させることによりライニング作業は完了する。
【0043】
本発明の方法において各管渠12の始端部と終端部の全周にわたって管状水膨潤性ゴムを取り付けることにより既設管渠12内壁とライニング材1間に水が侵入するのを確実に防止することができる。
【0044】
本発明において用いることができるライニング材1は、図3及び図4に示すライニング材以外にPCT/EP94/02521号に記載のような一つの帯状プラスチックフィルムを螺旋状に巻いてなる内側プラスチック箔管及び該箔管の上に帯状繊維材料を螺旋状に巻き付け、更にその上に第2の帯状プラスチックフィルムを螺旋状に巻いて外側プラスチック箔管を形成し、前記帯状繊維材料には硬化性樹脂を含浸させたライニング管を適用することも可能である。
【0045】
上記の本発明の実施態様は、始点立坑13から到達立坑14の間をライニングするものであるが、本発明は何れかの立坑を始点とし、既設の幾つかのマンホール11を経て一つのマンホール11を到達点としてライニングすることも可能である。
【0046】
上記実施例において、ライニング作業中にバルブ23の開口率の調節だけでは加熱された圧縮空気の排出が十分に行われないときは、ライニング材1のマンホール11を横断する部分、すなわちマンホール11に通じる部分に通気孔を設けてその通気孔からも排気が行われるようにしてもよい。
【0047】
以上のように本実施例によれば、複数のライニング材1を互いに接続することにより一回の引き込み作業で管渠12内に導入し得る長さを長くして行くことができる。これにより、従来困難であった、例えば200m以上の長距離に亘る連続的なライニングも可能となる。
【0048】
従って、住宅密集地などで立坑の設置場所の確保が困難で、住宅密集地以外のところに立坑を構築し、そこから住宅密集地の下を通ってまた幾つかのマンホールを経て長距離に亘ってライニングを行うことを余儀なくされるような場合においても有効に連続的ライニングを行うことができる。
【0049】
また、上記実施例の様に光硬化により樹脂を硬化させることで、熱風、熱水蒸気、温水等で加熱し硬化させる場合のように多大な熱量を要することはなく、また短時間で長距離に亘って連続的にライニング作業を行うことができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、複数のライニング材相互を順次接続しながら既設管渠内に連続的に引き込むことにより、ライニング材の搬送の困難性を生じさせることなく長距離に亘る連続的ライニング作業が可能となる。これにより、少ない立坑の構築数でかつ立坑設定位置に制限が有るような場合でも、ライニング作業がより容易なものとなり、ライニングの適用範囲の拡大に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は複数のマンホールを介してつながる管渠の断面図である。
【図2】図2は高圧ジェットで管渠内を清掃する過程を示す説明図である。
【図3】図3は本発明で用いるライニング材の一例を示す一部切欠構造説明図である。
【図4】図4は図1におけるA−A線断面図である。
【図5】図5(a)はライニング材を引き込む過程の説明図であり、図5(b)はライニング材の他の引き込み方法を示す。
【図6】図6は、ライニング材同士の接続の仕方の一例を示す説明図である。
【図7】図7(a)は到達立坑内に引き出したライニング材の最先端にバルブを取り付けた後圧縮空気でライニング材を膨脹させた状態を示し、説明図、図7(b)はバルブの正面図である。
【図8】図8は、硬化装置をライニング材内に挿入して到達立坑側から始点立坑の方へ移動させてライニング材に放射線を照射している状態を示す説明図である。
【図9】図9はライニング材の接続部に止水用被覆体を取り付けた状態を示す説明図である。
【図10】図10はマンホールを横断するライニング材の部分を切除する過程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ライニング材
Aライニング材の軸線
2、3 ベース部材
4 硬化性樹脂
5 樹脂層
6 内側薄膜
7 外側薄膜
8 補強材
9 接続部材
32 止水用被覆体
33 切断装置
Claims (4)
- 紫外線硬化性樹脂を含有しかつ管状の基礎形状を有する可撓性ライニング材を既設管渠内に未硬化状態で導入し、
前記可撓性ライニング材内に流体圧を付与することによりその可撓性ライニング材の外周面を前記既設管渠内面に押圧させた状態とし、
前記硬化性樹脂に対する紫外線照射によって前記可撓性ライニング材を硬化させる既設管渠内面のライニング方法において、
前記可撓性ライニング材の導入動作は、
所定長さに設定された複数の前記可撓性ライニング材同士を管軸方向に順次接続しながら前記既設管渠内に連続的に引き込むことによって行うことを特徴とする既設管渠内面のライニング方法。 - 前記既設管渠は一つ以上のマンホールを介して連結された複数の管渠からなり、前記可撓性ライニング材の導入動作の後、前記可撓性ライニング材の前記マンホールの部分に通じる部分の除去動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のライニング方法。
- 前記可撓性ライニング材同士の接続動作は、
前記各可撓性ライニング材の補強のため前記各可撓性ライニング材にその管軸方向に伸長させて複数設けられた補強材相互を接続し、
前記流体圧の付与動作時の空気もれを防止するため該接続部の外側面をシール材で覆って簡易密閉状態とすることにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のライニング方法。 - 前記可撓性ライニング材の硬化動作終了後において、
前記可撓性ライニング材同士の接続部を、両ライニング材間に架設され両ライニング材接続側端部の内壁面に両端外壁面を密着させて取付け可能な止水用被覆体によって密着連通状態とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のライニング方法。
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