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JP3725340B2 - オーディオ信号処理装置 - Google Patents

オーディオ信号処理装置 Download PDF

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JP3725340B2
JP3725340B2 JP21798398A JP21798398A JP3725340B2 JP 3725340 B2 JP3725340 B2 JP 3725340B2 JP 21798398 A JP21798398 A JP 21798398A JP 21798398 A JP21798398 A JP 21798398A JP 3725340 B2 JP3725340 B2 JP 3725340B2
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    • G10H2210/231Wah-wah spectral modulation, i.e. tone color spectral glide obtained by sweeping the peak of a bandpass filter up or down in frequency, e.g. according to the position of a pedal, by automatic modulation or by voice formant detection; control devices therefor, e.g. wah pedals for electric guitars

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオ信号を編集加工するオーディオ信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エフェクターと呼ばれるオーディオ信号処理装置が知られている。このオーディオ信号処理装置は、録再装置から外部供給される原楽音のオーディオ信号を、デジタルオーディオ技術を応用した信号処理によって、演出効果の高い楽音に編集加工する機能を有している。この機能を利用して、ディスコテック等では、DJ(ディスクジョッキー)と呼ばれる操作者が、踊り客に対して乗りの良い楽音を提供し、ダンス中の演出効果を高めるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオーディオ信号処理装置にあっては、編集加工の内容に対応した多数の操作ボタンや操作スイッチが操作パネル上に配設されている。このため、本装置に備えられた機能を利用して、演出効果の高い楽音を編集加工するには、これら多数の操作スイッチ等を敏速に操作し続ける必要があることから、操作性の点で問題があった。
【0004】
例えば、上記のディスコテック等の場合では、踊り客に対して乗りの良い楽音を間断無く提供する必要があり、このためには、操作者はこれら各機能毎に設けられている多数の操作スイッチ等を操作して、所望の機能を設定したり、解除したり、再度設定したりと、極めて煩雑な操作が要求されることになり、操作性に問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来のオーディオ信号処理装置の課題を克服するために成されたものであり、操作性が良く、併せて優れた演出効果を発揮するオーディオ信号処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明は、オーディオ信号を編集加工する信号処理手段と、前記信号処理手段に対して前記編集加工のパラメータを指定する操作手段とを備えるオーディオ信号処理装置において、前記操作手段は、回転量と回転方向に応じて前記編集加工のパラメータを指定する回転体であり、前記操作手段が操作されている期間の履歴情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて前記信号処理手段に前記編集加工のパラメータを指定する制御手段と、前記記憶手段に対して、前記履歴情報の記憶処理を実行させる第1の実行指定手段と、前記記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて前記信号処理手段に対して前記編集加工を実行させる第2の実行指定手段と、を備え、前記第1の実行指定手段は、前記記憶手段に前記操作手段の単位時間当たりの回転量と回転方向を記憶させ、前記制御手段は、記憶された前記単位時間当たりの回転量と前記回転方向に基づいて前記パラメータを指定し、前記第2の実行指定手段は、操作者の所望のタイミングで、指定された前記パラメータに基づいて前記信号処理手段に対して前記編集加工を実行させることを特徴とする。
【0007】
かかる構成を有するオーディオ信号処理装置によれば、操作手段を操作している期間中の履歴情報を、操作者が記憶手段に一旦記憶させると、その後、操作手段を操作しなくても、記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて、信号処理手段によるオーディオ信号の編集加工が継続的に実行される。
【0008】
また、操作者が任意のタイミングで第1の実行指定手段を操作すると、そのタイミングに合わせて操作手段の履歴情報が記憶手段に記憶される。
【0009】
また、操作者が任意のタイミングで第2の実行指定手段を操作すると、そのタイミングに合わせて、記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて、信号処理手段によるオーディオ信号の編集加工が継続的に実行される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。尚、図1は、本実施形態のオーディオ信号処理装置に内蔵されている要部回路を示すブロック図、図2は、デジタルシグナルプロセッサの機能を等価回路で示した機能ブロック図、図3は、本オーディオ信号処理装置に備えられている操作パネルの構造を示す平面図である。
【0011】
本オーディオ信号処理装置は、イコライザ演出機能、JET(ジェット)演出機能、ZIP(ヂップ)演出機能、WAH(ワウ)演出機能、RING(リング)演出機能、FAZZ(ファズ)演出機能等の複数の演出機能を備えており、操作者がこれら演出機能の1つ又は複数を指定すると共に、後述するJOG(ジョグ)ダイヤル21を操作することで、多様な演出効果を発揮するようになっている。
【0012】
図1において、本オーディオ信号処理装置1には、本装置全体を制御するシステムコントローラA1と、外部から供給されるアナログのステレオオーディオ入力信号SinをデジタルデータDinにデジタル変換して入力するA/D変換器A2と、上記複数の演出機能を備えた信号処理部A3と、信号処理部A3が演出処理をする際に各種のデータを格納するための記憶部A4と、信号処理部A3で演出処理されたデジタルデータDoutをアナログのステレオオーディオ出力信号Soutにアナログ変換して出力するD/A変換器A5が備えられている。更に、詳細は後述するが、符号5〜23で示す各種の操作手段と表示手段がシステムコントローラA1に接続されている。
【0013】
システムコントローラA1は、予め設定されたシステムプログラムの実行により本装置全体の動作を制御するマイクロプロセッサ(MPU)を備え、操作者が上記の操作手段を操作すると、操作手段の動きを検出して、信号処理部A3に対して編集加工のためのパラメータを設定したり、上記表示手段の制御等を行う。
【0014】
信号処理部A3は、A/D変換器A2から供給されるデジタルデータDinに対して、システムコントローラA1で指定される編集加工のためのパラメータを受けて、演出処理を行うデジタルシグナルプロセッサ(DSP)で構成されている。このデジタルシグナルプロセッサによって、図2に示すような等価回路が実現されている。
【0015】
図2において、A/D変換器A2から供給されるデジタルデータDinの入力レベルを調節する可変増幅器B1と、可変増幅器B1から出力されるデジタルデータDin’に対して周波数特性を可変調節することにより上記のイコライザ演出機能を発揮するイコライザ処理部B2が備えられている。
【0016】
イコライザ処理部B2には、切換え部SWを介して、JET処理ブロックB3、ZIP処理ブロックB4、WAH処理ブロックB5、RING処理ブロックB6、FAZZ処理ブロックB7が接続されている。そして、イコライザ処理部B2で生成され切換え部SWを介して供給されるデジタルデータD1に対して、これらの処理ブロックB3〜B7がそれぞれ所定のJET演出、ZIP演出、WAH演出、RING演出及びFAZZ演出のための信号処理を行う。
【0017】
更に、これらの処理ブロックB3〜B7で生成される各デジタルデータを加算演算する加算回路B8と、この加算演算で生成されるデジタルデータD2のレベルを可変調節する可変増幅器B9と、イコライザ処理部B2で生成されるデジタルデータD1のレベルを可変調節する可変増幅器B10と、これらの可変増幅器B9,B10から出力される各デジタルデータD3,D4を加算演算する加算回路B11と、加算回路B11で生成されるデジタルデータD5のレベルを調節して上記のデジタルデータDoutを生成する可変増幅器B12が備えられている。
【0018】
上記の符号5〜23で示した各種の操作手段と表示手段は、図3に示すイコライザ操作部2と表示部3とエフェクト操作部4を備えた操作パネルに配設されている。
【0019】
イコライザ操作部2には、入力調整ボリューム5と、3個のイコライザボリューム6,7,8と、出力調整ボリューム9と、イコライザ起動スイッチ10が設けられている。
【0020】
入力調整ボリューム5は、回動型の可変ボリュームで形成されており、操作者による回動操作が行われると、その回動量をシステムコントローラA1が検出して可変増幅器B1に指示することにより、デジタルデータDinの入力レベルをその回動量に応じて調節させる。
【0021】
3個のイコライザボリューム6,7,8は、いずれも回動型の可変ボリュームで形成されており、システムコントローラA1が各イコライザボリューム6,7,8の回動量を検出してイコライザ処理部B2に指示することにより、可変増幅器B1から出力されるデジタルデータDin’の周波数特性をその回動量に応じて調節させる。
【0022】
すなわち、操作者によりイコライザボリューム6の操作が行われると、デジタルデータDin’の低域周波数成分に対するイコライザ特性を調節し、イコライザボリューム7が操作されると、デジタルデータDin’の中域周波数成分に対するイコライザ特性を調節し、イコライザボリューム8が操作されると、デジタルデータDin’の高域周波数成分に対するイコライザ特性を調節する。
【0023】
イコライザ起動スイッチ10は、傾倒型のスナップスイッチで形成されており、イコライザボリューム6,7,8で設定されるイコライザ特性のデジタルデータDin’への適用と解除との切換えを行うために設けられている。操作者がイコライザ起動スイッチ10を、所定の「OFF1」の位置に操作すると、システムコントローラA1がこの操作位置を検知し、イコライザ処理部B2に対して上記のイコライザ特性を解除させる。この解除処理によると、イコライザ処理部B2はデジタルデータDin’の周波数特性を調節しなくなるため、デジタルデータDin’がそのままデジタルデータD1として送出される。
【0024】
また、イコライザ起動スイッチ10が「ON1」の位置に傾倒操作されると、デジタルデータDin’への上記イコライザ特性の適用が継続される。更に、イコライザ起動スイッチ10が「ON2」の位置に傾倒操作されると、その操作中だけ上記のイコライザ特性が適用され、操作者の手が離されると「OFF1」の位置へ自己反力により自動的に戻って上記のイコライザ特性を解除するようになっている。
【0025】
このように、イコライザボリューム6,7,8とイコライザ起動スイッチ10を操作することで、楽音の周波数特性を変化させるためのイコライザ演出機能が発揮されるようになっている。
【0026】
出力調整ボリューム9は、回動型の可変ボリュームで形成され、操作者による回動操作が行われると、その回動量をシステムコントローラA1が検出して可変増幅器B12に指示することにより、デジタルデータDoutの出力レベルをその回動量に応じて調節させる。
【0027】
表示部3には、横一列に配設された複数個の発光ダイオードで構成された発光表示部23が設けられており、JOGダイヤル21の回転量を上記の発光ダイオードの点灯数等で表示するようになっている。
【0028】
エフェクト操作部4には、プッシュポップ型の押釦スイッチや静電容量検出型のタッチスイッチ等から成る操作ボタン11〜18と、回動型の可変ボリューム19,22と、傾倒型のスナップスイッチから成る演出処理起動スイッチ20と、円盤状の回転体(JOGダイヤルという)21が設けられている。
【0029】
JOGダイヤル21は、上面がほぼ平坦でその周方向に沿って複数個の線状の突起が成形されており、本装置の筐体に回動自在に支持されている。かかる構造により、操作者に対して接触感と操作感の向上が図られている。
【0030】
JOGダイヤル21の裏面側には、JOGダイヤル21の単位時間Δτ当たりの回転量(角速度)Δθと回転方向を検出し、その検出信号SRをシステムコントローラA1に供給する光学式のパルスエンコーダ24が配設されている。
【0031】
図4(a)に示すように、パルスエンコーダ24は、JOGダイヤル21の回転軸21aに一体化された回転円板25と、本装置の筐体等に固定されて回転円板25の一側面に対向配置された固定板26と、回転円板25と固定板26とを挟んで対向する発光素子27及び一対の受光素子28,29と、更に図4(b)に示すように、受光素子28,29の出力端子に接続されたEXORゲート30及びD型フリップフロップ31を備えて構成されている。
【0032】
更に、回転円板25には、複数個の透過スリット25aが周方向に沿って等間隔に形成され、固定板26にも透過スリット25aに対向する複数個の透過スリット26aが形成され、受光素子28,29は、所定の間隔をおいて並設されている。そして、透過スリット25a,26aの各スリット幅(光透過させる部分の幅)と各スリット間隔(光透過させない部分の間隔)、及び受光素子28,29の相互間隔を予め調整しておくことで、JOGダイヤル21の回動に伴って、受光素子28,29とEXORゲート30及びD型フリップフロップ31から、図5(a)(b)に示すような波形の信号Sa,Sb,Srt,Sdrを発生させるようになっている。
【0033】
すなわち、JOGダイヤル21が時計回り方向に回転操作されると、それに伴って透過スリット25aが透過スリット26aに対して相対移動し、ビーム光が透過スリット25aと26aの重なった透過部分を通過することでパルス変調される。この変調されたパルス光を受光素子28,29が受光・検知することで、図5(a)に示すように、検知信号Saと、その検知信号Saより位相の進んだ検出信号Sbが出力される。また、検知信号Saとそれより進相の検知信号SbがEXORゲート30とD型フリップフロップ31に供給されることで、JOGダイヤル21の単位時間当たりの回転量(角速度)Δθに同期して論理レベルが変化する角速度信号Srtと、JOGダイヤル21が時計回り方向に回転操作されていることを示す論理“H”の方向信号Sdrが生成される。そして、これらの角速度信号Srtと方向信号Sdrの論理レベルの変化をシステムコントローラA1が解析することで、JOGダイヤル21の時計回り方向の回転とその角速度Δθを判定するようになっている。
【0034】
一方、JOGダイヤル21が反時計回り方向に回転操作されると、それに伴って透過スリット25aが透過スリット26aに対して相対移動し、ビーム光が透過スリット25aと26aの重なった透過部分を通過することでパルス変調される。この変調されたパルス光を受光素子28,29が受光・検知することで、図5(b)に示すように、検知信号Saと、その検知信号Saより位相の遅れた検出信号Sbが出力される。また、検知信号Saとそれより遅相の検知信号SbがEXORゲート30とD型フリップフロップ31に供給されることで、JOGダイヤル21の単位時間当たりの回転量(角速度)Δθに同期して論理レベルが変化する角速度信号Srtと、JOGダイヤル21が反時計回り方向に回転操作されていることを示す論理“L”の方向信号Sdrが生成される。そして、これらの角速度信号Srtと方向信号Sdrの論理レベルの変化をシステムコントローラA1が解析することで、JOGダイヤル21の時計回り方向の回転とその角速度Δθを判定するようになっている。
【0035】
次に、操作ボタン11〜18、可変ボリューム19,22、演出処理起動スイッチ20及びJOGダイヤル21の各機能と、それぞれの機能に対応してシステムコントローラA1及び信号処理部A3に備えられている各機能について説明する。
【0036】
操作ボタン11は、JETボタントと呼ばれている。このJETボタン11が押下(オン)状態に設定されると、図2中の切換え部SWがJET処理ブロックB3側に切替わると共に、JET処理ブロックB3が起動する。そして、操作者がJOGダイヤル21を回動操作すると、JOGダイヤル21の回転量(角速度Δθを累積加算した回転量、以下、累積回転量という)θや回転方向に応じて、ジェット機の音のような効果音(JET音)を有する楽音を生成することができる。
【0037】
JET処理ブロックB3は、図6に示すように、イコライザ処理部B2からのデジタルデータD1を遅延する遅延回路32と、遅延回路32に対して遅延時間Tdを指定する遅延時間係数回路33と、デジタルデータD1を半分のレベルに減衰させるゲイン制御回路34と、遅延回路32で遅延されたデジタルデータを半分のレベルに減衰させるゲイン制御回路35と、ゲイン制御回路34,35から出力されるデジタルデータを加算演算して出力する加算回路36とを備えて実現されている。
【0038】
遅延時間係数回路33は、システムコントローラA1から供給される遅延時間係数データXdを格納するレジスタ等で構成され、遅延回路32は、遅延時間係数データXdに基づいて遅延時間Tdを設定するデジタルフィルタ等で構成されている。
【0039】
更に、システムコントローラA1が、上記の累積回転量θに対応した遅延時間係数データXdを遅延時間係数回路33に供給することで、JOGダイヤル21の回動に応じて、遅延回路32の遅延時間Tdが逐次変化するようになっている。
【0040】
図11は、JOGダイヤル21の累積回転量θと回転方向に対応する遅延時間Tdの関係を示している。同図において、JOGダイヤル21が時計回り方向(正転方向)に360゜回転する毎に、遅延時間Tdの増加と減少が繰り返され、JOGダイヤル21が反時計回り方向(逆転方向)に−360゜回転する毎に、遅延時間Tdの増加と減少が繰り返されようになっている。
【0041】
このように、JET処理ブロックB3によれば、遅延処理の行われないデジタルデータD1と、遅延回路32で遅延されるデジタルデータとが加算回路36で加算されることにより、ジェット機の音のような効果音を発生させるためのデジタルデータDJETが生成される。
【0042】
次に、操作ボタン12は、ZIPボタンと呼ばれている。このZIPボタン12が押下(オン)状態に設定されると、図2中の切換え部SWがZIP処理ブロックB4側に切替わると共に、ZIP処理ブロックB4が起動する。そして、操作者がJOGダイヤル21を回動操作すると、JOGダイヤル21の累積回転量θや回転方向に応じてピッチ(音程)の変化する楽音を生成することができる。
【0043】
ZIP処理ブロックB4は、図7に示すように、ピッチシフター回路37と、ピッチ係数回路38とを備えて構成されている。更に、ピッチ係数回路38は、システムコントローラA1から供給されるピッチ係数データYpを格納するレジスタ等で構成され、ピッチシフター回路37は、デジタルデータD1のピッチHpを、ピッチ係数回路38中のピッチ係数データYpに基づいて調節するデジタルフィルタ等で実現されている。
【0044】
そして、システムコントローラA1が、上記の累積回転量θに対応したピッチ係数データYpを、ピッチ係数回路38を介してピッチシフター回路37に供給することで、JOGダイヤル21の回動に応じて、ピッチ(音程)が変わる効果音を発生させるためのデジタルデータDZIPが生成される。
【0045】
ここで、図12の波形図に基づいてピッチ調節の原理を説明する。尚、説明の便宜上、デジタルデータD1の変化をアナログ波形で示している。同図(a)に示すようなデジタルデータD1が入力されると、ピッチ係数回路38中のピッチ係数データYpによりピッチ(音程)を上げるように設定された場合には、このデジタルデータD1を図示しないメモリに書き込んで読み出す際に、デジタルデータD1中から幾つかのデータを間引いて読み出し(同図(b)参照)、ピッチを下げるように設定された場合には、幾つかのデータを繰り返して読み出す(同図(c)参照)ようになっている。
【0046】
そして、より具体的なJOGダイヤル21の累積回転量θと回転方向に対応するピッチHpの関係を示す図13のように、JOGダイヤル21が時計回り方向(正転方向)に回転すると、所定の累積回転量θ毎に約10オクターブずつピッチHpが高くなり、JOGダイヤル21が反時計回り方向(逆転方向)に回転すると、所定の累積回転量θ毎に約−15オクターブずつピッチHpが低くなるように、予め設定されている。
【0047】
このように、ZIPボタン12とJOGダイヤル21の操作により、ピッチ(音程)を変化させるためのZIP演出効果が得られる。
【0048】
次に、操作ボタン13は、WAHボタンと呼ばれている。このWAHボタン13が押下(オン)状態に設定されると、図2中の切換え部SWがWAH処理ブロックB5側に切替わると共に、WAH処理ブロックB5が起動する。そして、操作者がJOGダイヤル21を回転操作すると、JOGダイヤル21の累積回転量θや回転方向に応じて、周波数成分の変化した楽音を生成させることができる。
【0049】
WAH処理ブロックB5は、図8に示すように、高域カットオフ周波数fCHを可変制御できるローパスフィルタ39と、低域カットオフ周波数fCLを可変制御できるハイパスフィルタ40と、フィルタ係数回路41を備えて構成されている。
【0050】
更に、フィルタ係数回路41は、システムコントローラA1から供給されるフィルタ係数データZを格納するレジスタ等で構成され、ローパスフィルタ39とハイパスフィルタ40は、フィルタ係数データZに基づいて上記の高域カットオフ周波数fCHと低域カットオフ周波数fCLを変化させるデジタルフィルタ等で構成されている。
【0051】
そして、図14の特性図に示すように、システムコントローラA1が、JOGダイヤル21の正転と逆転による累積回転量θに対応したフィルタ係数データZを、フィルタ係数回路41に供給することで、上記のカットオフ周波数fCHとfCLを逐次変化させる。この結果、ハイパスフィルタ40の高域の通過周波数帯域が図15(a)のように変化し、ローパスフィルタ39の低域の通過周波数帯域が図15(b)のように変化することで、WAH演出効果を生じさせるデジタルデータDWAHが生成される。
【0052】
尚、WAHボタン13が押下(オン)状態に設定されない場合には、両方のフィルタ39,40とも、全ての可聴周波数帯域(0〜20KHz)に亘って通過状態となり、これにより、WAH機能は解除される。
【0053】
次に、操作ボタン14は、RINGボタンと呼ばれ、鐘の音のような演出効果を得るために設けられている。RINGボタン14が押下(オン)状態に設定されると、図2中の切換え部SWがRING処理ブロックB6側に切替わると共に、RING処理ブロックB6が起動する。そして、操作者がJOGダイヤル21を回転操作すると、JOGダイヤル21の累積回転量θや回転方向に応じて、音色の変化する鐘の音のような楽音を生成させることができる。
【0054】
RING処理ブロックB6は、図9に示すように、正弦波発生回路43と、この正弦波発生回路43で生成される正弦波データとデジタルデータD1とを掛け算する掛け算器42で構成されている。そして、JOGダイヤル21の累積回転量θに対応した周波数指定データFqがシステムコントローラA1から供給されることにより、RING演出効果を生じさせるデジタルデータDRINGが生成される。
【0055】
次に、操作ボタン15は、FUZZボタンと呼ばれ、歪んだ(ノイズが加わった)楽音を生成するために設けられている。FUZZボタン15が押下(オン)状態に設定されると、図2中の切換え部SWがFUZZ処理ブロックB7側に切替わると共に、FUZZ処理ブロックB7が起動する。そして、操作者がJOGダイヤル21を回転操作すると、JOGダイヤル21の累積回転量θや回転方向に応じて、ノイズ成分の変化する楽音を生成させることができる。
【0056】
FUZZ処理ブロックB7は、図10に示すように、バンドパスフィルタ44、クリップ回路45、可変増幅器46、及び加算回路47を備えて構成されている。
【0057】
そして、システムコントローラA1がJOGダイヤル21の累積回転量θや回転方向に応じて、バンドパスフィルタ44の通過周波数帯域を変化させ、クリップ回路45がバンドパスフィルタ44を通過したデジタルデータD1’のレベルを制限(クリップ)し、図3中に示した操作ボリューム19の回動量に応じて可変増幅器46の増幅率を変化させることによって、歪みを有するデジタルデータD1”を生成し、更に、このデジタルデータD1”と元のデジタルデータD1とを加算回路47で加算演算することにより、いわゆるFUZZ音と呼ばれる演出効果を生じさせるデジタルデータDFUZZを生成する。
【0058】
尚、操作ボリューム19は、深さ調節ボリュームと呼ばれ、演出効果の程度(深さ)を調節するために設けられている。
【0059】
操作ボタン18は、HOLD(ホールド)ボタンと呼ばれている。このHOLDボタン18が押下(オン)状態に設定されていると、JOGダイヤル21の回転操作が停止された場合に、その停止時直前におけるJOGダイヤル21の回転状態(具体的には、単位時間当たりの回転量Δθと回転方向)を記憶する。そして、その記憶した回転方向に基づいて回転量Δθを累積加算(回転方向が時計回り方向の場合は加算、回転方向が時計回り方向の場合は減算)することで最新の累積回転量θ求め、更に、最新の累積回転量θに基づいて、自動的に信号処理部A3による演出処理が継続される。
【0060】
すなわち、このHOLDボタン18が押下操作されない場合(オフ状態)では、操作者が上記の操作ボタン11〜15の何れかをオン操作して、JOGダイヤル21を回動させると、その回動に同期して、各操作ボタン11〜15に対応する演出効果が発揮されるが、JOGダイヤル21の回動を止めると、徐々に演出効果の無い元の楽音に戻っていく。
【0061】
これに対し、操作者がHOLDボタン18をオン状態に設定し、JOGダイヤル21を回動操作した後に、その回動操作を止めた場合には、その停止時直前におけるJOGダイヤル21の単位時間当たりの回転量Δθとその回転方向が記憶され、これにより、上記最新の累積回転量θに基づいて操作ボタン11〜15の何れかによる演出効果が維持され、その演出効果が付加された楽音が繰り返して生成されるようになっている。
【0062】
操作ボタン16は、メモリボタンと呼ばれている。このメモリボタン16が押下(オン)状態に設定され、再びオフ状態に設定されると、このオン状態からオフ状態までの期間中に操作されたJOGダイヤル21の単位時間当たりの回転量(角速度)Δθと回転方向の全てが、記憶部A4中に割り当てられている履歴メモリに格納される。すなわち、JOGダイヤル21の回転中の動きの情報が、回転方向と回転量Δθとによる履歴データとして、履歴メモリに格納される。
【0063】
このように、JOGダイヤル21が操作されている間の履歴情報を履歴メモリに記憶させるための実行指定手段として、メモリボタン16が設けられており、システムコントローラA1がメモリボタン16のオン操作に対応した処理を行う。
【0064】
すなわち、図16のフローチャートに示すように、メモリボタン16がオン状態に設定されると、ステップS100で「YES」となり、次のステップS101において、パルスエンコーダ24からの方向信号Sdrと角速度信号Srtに基づいて、JOGダイヤル21の単位時間Δτ当たりの回転量Δθと回転方向を判定し、更に、ステップS102において、上記の履歴メモリのメモリアドスをインクリメントして、そのメモリアドスに回転量Δθと回転方向のデータを記憶させる。そして、ステップS103で、記憶データの記憶数nを計数した後、メモリボタン16がオフ状態に設定されるまで、上記のステップS100〜S103の処理を繰り返すことで、JOGダイヤル12の一連の動き(履歴情報)を記憶する。
【0065】
次に、操作ボタン17は、PLAY(プレイ)ボタンと呼ばれ、上記のメモリボタン16と関連して使用される。すなわち、PLAYボタン17が押下(オン)操作されると、上記の履歴メモリに記憶されている一連の回転量Δθと回転方向のデータが順次に読み出され、それらの回転量Δθを回転方向に基づいて順次に累積加算することによって、上記の累積回転量θを算出する。
【0066】
この累積回転量θに基づいて信号処理部A3の各処理ブロックB3〜B7を制御することにより、JOGダイヤル21が回動操作されなくとも、各処理ブロックB3〜B7による演出処理が実行されるようになっている。
【0067】
更に、上記履歴メモリからのデータ読み出し数が上記の記憶数nに達する度に、履歴メモリに対するアドレッシングを先頭のメモリアドレスから再開することにより、各処理ブロックB3〜B7による演出処理が連続して実行される。そして、PLAYボタン17が次の押下でオフ状態設定されるまで、上記の演出処理が連続して実行される。
【0068】
このように、PLAYボタン17は、上記の履歴メモリに記憶された履歴情報に基づいて自動的に演出処理を行わせるための実行指定手段であり、操作者がメモリボタン16とPLAYボタン17を連関して操作すると、JOGダイヤル21を操作しなくとも、演出効果を連続して発揮させることができるため、操作者に対する操作性の向上が図られている。また、メモリボタン16とPLAYボタン17の操作を繰り返すと、JOGダイヤル17の一連の回転量Δθと回転方向を新たに上記の履歴メモリに記憶させることができるため、演出効果の変更が可能となっている。
【0069】
なお、上述したHOLDボタン18をオン操作した場合には、JOGダイヤル21が停止した時点での累積回転量θ、すなわち1つの固定した累積回転量θに基づいて演出処理が行われるのに対し、メモリボタン16とPLAYボタン17を連関して操作した場合には、JOGダイヤル21の回動から停止までの一連の回転量Δθと回転方向が履歴メモリに記憶されるために、JOGダイヤル21の回動履歴に基づいた演出処理が実行される点で、各機能の内容が相違している。
【0070】
したがって、操作者は、これらのHOLDボタン18と、メモリボタン16及びPLAYボタン17を組み合わせて操作することで、多様な演出効果を得ることができる。
【0071】
次に、可変ボリューム22は、混合量調節ボリュームと呼ばれ、図2に示す可変増幅器B9,B10の増幅率を調節するために設けられている。操作者が混合量調節ボリューム22を時計回り方向へ回転させると、その回転量に応じて、可変増幅器B9の増幅率が上昇すると共に、可変増幅器B10の増幅率が降下する。これにより、イコライザ処理部B2から可変増幅器B9までの演出処理経路を介して生成されるデジタルデータD3のレベルに比べて、イコライザ回路B2から可変増幅器B10までの経路を介して生成されるデジタルデータD4のレベルの方が相対的に小さくなる。このため、加算回路B11がデジタルデータD3とD4を加算演算することによって、元の楽音成分に比べて演出処理された成分の混合比率の大きなデジタルデータD5が生成される。
【0072】
これとは逆に、操作者が混合量調節ボリューム22を反時計回り方向へ回転させると、その回転量に応じて、可変増幅器B9の増幅率が降下すると共に、可変増幅器B10の増幅率が上昇する。これにより、イコライザ処理部B2から可変増幅器B9までの演出処理経路を介して生成されるデジタルデータD3のレベルに比べて、イコライザ回路B2から可変増幅器B10までの経路を介して生成されるデジタルデータD4のレベルの方が相対的に大きくなる。このため、加算回路B11がデジタルデータD3とD4を加算演算することにより、元の楽音成分に比べて演出処理された成分の混合比率の小さなデジタルデータD7が生成される。
【0073】
このように、混合量調節ボリューム22により、元の楽音成分と演出処理が施された成分との混合比率を任意に設定することができるようになっている。
【0074】
ここで、可変増幅器B9とB10のそれぞれの増幅率は、混合量調節ボリューム22に連動して変化するが、その増幅率の変化があっても、加算回路B11から出力されるデジタルデータD5の全体のレベルが変動しないように、自動的にレベル調整が行われるようになっている。すなわち、可変増幅器B9とB10は、デジタルデータD1とD2を個々独立に増幅あるいは減衰させることで、これらのデータD1とD2の混合比率を調節するのではなく、予め決められた所定の増幅率の下で、可変増幅器B9とB10の相対的な増幅率が変化することによって、これらのデータD1とD2の混合比率を調節している。この結果、混合量調節ボリューム22の操作によってデジタルデータD1とD2の混合比率を変化させても、D/A変換器A5から出力されるステレオオーディオ信号Soutの振幅が変動しないようになっている。
【0075】
そして、ステレオオーディオ信号Soutの振幅は、出力調整ボリューム9に連動した可変増幅器B12によって行われる。
【0076】
尚、本実施形態では、上記の如く、予め決められた所定の増幅率の下で可変増幅器B9とB10の相対的な増幅率を調節することで、いわゆる自動音量調節を行うこととしているが、可変増幅器B12の入力段に、自動ゲインコントロール回路を設けることによって、自動音量調節を行うようにしてもよい。この自動ゲインコントロール回路を設けた場合には、デジタルデータD1とD2に対する可変増幅器B9とB10の増幅率を個々独立に調節することが可能となる。
【0077】
演出処理起動スイッチ20は、以上に説明した演出処理の起動とその解除との切換え選択を行うために設けられている。
【0078】
すなわち、操作者が演出処理起動スイッチ20を、所定の「OFF2」の位置に操作すると、システムコントローラA1がこの操作位置を検知し、信号処理部A3に対して演出処理の動作を解除させ、イコライザ処理部B2からのデジタルデータD1を、そのままデジタルデータDoutとして出力させる。
【0079】
また、演出処理起動スイッチ20が「ON3」の位置に傾倒操作されると、デジタルデータD1への演出処理が継続される。更に、演出処理起動スイッチ20が「ON4」の位置に傾倒操作されると、その操作中だけ演出処理が継続され、操作者の手が離されると「OFF2」の位置へ自己反力により自動的に戻って演出処理が解除されるようになっている。
【0080】
次に、かかる構成を有する本オーディオ信号処理装置の動作例を図17に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、JET演出機能が設定されたときの動作例を代表して説明する。
【0081】
図17において、スタートからエンドまでの処理は、いわゆる割込み処理などによって、一定周期T0(=Δτ)で繰り返えされるようになっている。まず、ステップS200では、JETボタン11がオン状態に設定されたか否か判定し、否「NO」であれば、遅延時間Td=0に対応する遅延時間係数データXd(=Xds)をJET処理ブロックB3の遅延時間係数回路33に格納する。これにより、JET演出機能が発揮されない。
【0082】
ステップS200で「YES」であれば、PLAYボタン17がオン状態に設定されているか判定し、「YES」の場合にはステップS203へ、「NO」の場合にはステップS207へ処理が移行する。
【0083】
ステップS203では、前記の履歴メモリ(Mi)に格納されている回転量Δθi と回転方向のデータを読み出し、更にステップS204で、回転量Δθi を回転方向に基づいて累積加算することにより、累積回転量θを算出する。尚、周期T0毎に履歴メモリ(Mi)のアドレスがカウントアップされる。そして、ステップS205で、その累積回転量θに対応する遅延時間Tdを求め、次に、ステップS206において、遅延時間Tdに対応する遅延時間係数データXdをJET処理ブロックB3の遅延時間係数回路33に格納する。これにより、JOGダイヤル21が回動操作されていなくとも、履歴メモリ(Mi)に格納されている回転量Δθi に基づいて、JET演出が継続される。
【0084】
一方、ステップS202からS207に処理が移行すると、JOGダイヤル21の単位時間Δτ当たりの回転量Δθと回転方向を計測し(ステップS207)、更に、1周期T0前に求めた累積回転量θに、回転方向に基づいて回転量Δθを加算して、この加算結果を新たな累積回転量θとして記憶部A4の所定メモリ領域に記憶する(ステップS208)。
【0085】
次に、ステップS209において、回転量Δθが0か否か、すなわちJOGダイヤル21が停止状態にあるか否かを判定する。停止状態でなければ、すなわち「NO」であれば、HOLDボタン18がオン状態に設定されているか否か判定し(ステップS210)、ここで「NO」であれば、ステップS212に移行して、最新の累積回転量θに対応する遅延時間Tdを求め、次に、ステップS213において、その遅延時間Tdに対応する遅延時間係数データXdをJET処理ブロックB3の遅延時間係数回路33に格納する。これにより、HOLD機能を使用しない場合でのJET演出機能が発揮される。
【0086】
ステップS210で、HOLDボタン18がオン状態「YES」と判断されると、ステップS211へ移行して、回転量Δθを記憶部A4内に設けられた速度メモリ領域に記憶した後、ステップS218において、最新の累積回転量θに対応する遅延時間係数データXdをJET処理ブロックB3の遅延時間係数回路33に格納する。これにより、HOLD機能を使用した場合でのJET演出機能が発揮される。
【0087】
前記のステップS209において、「YES」と判定すると、ステップS214へ移行して、HOLDボタン18がオン状態に設定されているか否か判定する。ここで、HOLDボタン18がオン状態「YES」であれば、最新の累積回転量θに基づいて、HOLD機能を使用した場合でのJET演出機能が発揮される(ステップS218)。
【0088】
また、ステップS214において否「NO」であれば、ステップS215〜S217で遅延時間Tdを徐々に減少させることにより、JET演出効果を徐々に解除していき、楽音を元の状態に戻していく。すなわち、ステップS215において、遅延時間がTd=0でないと判断すると、ステップS216でその遅延時間Tdを徐々に減らすための遅延時間Tdrを演算する。例えば、現時点の遅延時間Tdから予め決められた時間ΔTdを減算し、その減算結果(Td−ΔTd)を遅延時間Tdrとする。
【0089】
そして、ステップS217において、遅延時間Tdrに対応する遅延時間係数データXd(=Xdr)をJET処理ブロックB3の遅延時間係数回路33に書き換えていくことで、JET演出の効果を徐々に低減させ、ステップS215で遅延時間がTd=0と判定されるまで、ステップS216,S217の処理が繰り返される。
【0090】
尚、図17では、JET演出機能が設定されたときの動作例を代表して説明したが、残余のZIP、WAH、RING及びFUZZの各演出機能が設定された場合にも同様の処理が行われる。
【0091】
このように、本実施形態によれば、JOGダイヤル21の回転量(角速度)Δθに応じて、上記各処理ブロックB3〜B7の演出処理のための、遅延時間係数データXdやフィルタ係数データZやピッチ係数データYp等のパラメータを設定するようにしたので、操作性の良いオーディオ信号処理装置を提供することができる。
【0092】
更に、メモリボタン16の操作に応じて、JOGダイヤル21の回動履歴の情報を回転量Δθとして記憶し、PLAYボタン17の操作に応じて、その回転量Δθに基づく各演出処理が行われるので、操作者はJOGダイヤル21を操作しなくとも、演出効果を連続して発揮させることができる。このため、操作者にとって煩雑な操作が不要となり、操作性の向上が図られている。また、メモリボタン16とPLAYボタン17の操作を繰り返すと、JOGダイヤル17の一連の回転量Δθを新たに上記の履歴メモリに記憶させることができるため、多様な演出効果を設定することができる。
【0093】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、信号処理手段に対して編集加工のパラメータを設定するための操作手段と、その操作手段が操作されている期間の履歴情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて信号処理手段に対して編集加工のパラメータを設定する制御手段とを備えたので、操作手段を操作している期間中の履歴情報を、操作者が記憶手段に一旦記憶させることで、その後、操作手段を操作しなくても、記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて、信号処理手段によるオーディオ信号の編集加工が継続的に実行される。このため、操作者にとって操作性の良いオーディオ信号処理装置を実現することができる。
【0094】
また、操作手段が操作されている間の一連の履歴情報が記憶手段に記憶されることから、操作者が好みに合わせて操作手段を操作すれば、その履歴情報が記憶される。このため、操作者が好みに合った演出効果を繰り返して発揮させることができる。
【0095】
また、記憶手段に対して、履歴情報の記憶処理を指定する記憶処理指定手段と、記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて信号処理手段に対して編集加工を実行させる実行指定手段とを備えたので、操作者の所望のタイミングで操作手段の履歴情報を記憶手段に記憶させ、また、操作者の所望のタイミングで、記憶手段に記憶された履歴情報に基づく編集加工を行わせることができる。このため、演出効果を好タイミングで発揮させる等、多様な演出を行うことができる。
【0096】
このように、本発明の実施形態によれば、操作性が良く、優れた演出効果を発揮するオーディオ信号処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のオーディオ信号処理装置に内蔵されている要部回路を示すブロック図である。
【図2】デジタルシグナルプロセッサの機能を等価回路で示した機能ブロック図である。
【図3】本実施形態のオーディオ信号処理装置に備えられている操作パネルの構造を示す平面図である。
【図4】JOGダイヤルとパルスエンコーダの構成を示す説明図である。
【図5】パルスエンコーダの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】JET処理ブロックの構成を示すブロック図である。
【図7】ZIP処理ブロックの構成を示すブロック図である。
【図8】WAH処理ブロックの構成を示すブロック図である。
【図9】RING処理ブロックの構成を示すブロック図である。
【図10】FUZZ処理ブロックの構成を示すブロック図である。
【図11】JOGダイヤルの回動操作に対する遅延時間の関係を示す特性説明図である。
【図12】ZIP演出効果の発生原理を説明するための波形図である。
【図13】JOGダイヤルの回動操作に対するピッチ(音程)の関係を示す特性説明図である。
【図14】JOGダイヤルの回転操作に対するカットオフ周波数の関係を示す特性説明図である。
【図15】WAH演出効果の発生原理を説明するための周波数特性図である。
【図16】メモリボタンを操作したときの動作例を説明するためのフローチャートである。
【図17】JET演出機能を用いた場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
A1 システムコントローラ
A3 信号処理部
A4 記憶部
11 JETボタン
12 ZIPボタン
13 WAHボタン
14 RINGボタン
15 FUZZボタン
16 メモリボタン
17 プレイボタン
21 JOGダイヤル

Claims (5)

  1. オーディオ信号を編集加工する信号処理手段と、前記信号処理手段に対して前記編集加工のパラメータを指定する操作手段とを備えるオーディオ信号処理装置において、
    前記操作手段は、回転量と回転方向に応じて前記編集加工のパラメータを指定する回転体であり、
    前記操作手段が操作されている期間の履歴情報を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて前記信号処理手段に前記編集加工のパラメータを指定する制御手段と、
    前記記憶手段に対して、前記履歴情報の記憶処理を実行させる第1の実行指定手段と、
    前記記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて前記信号処理手段に対して前記編集加工を実行させる第2の実行指定手段と、を備え、
    前記第1の実行指定手段は、前記記憶手段に前記操作手段の単位時間当たりの回転量と回転方向を記憶させ、
    前記制御手段は、記憶された前記単位時間当たりの回転量と前記回転方向に基づいて前記パラメータを設定し、
    前記第2の実行指定手段は、操作者の所望のタイミングで、設定された前記パラメータに基づいて前記信号処理手段に対して前記編集加工を実行させることを特徴とするオーディオ信号処理装置。
  2. 前記制御手段は、前記回転量を前記回転方向に基づいて累積加算することにより累積回転量を算出し、該累積回転量に基づいて前記パラメータを設定することを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
  3. ディスクジョッキー用途に用いられる請求項1、または請求項2に記載のオーディオ信号処理装置。
  4. 前記信号処理手段は、複数の演出機能を備え、前記第2の実行指定手段により前記演出機能の一つまたは複数が指定されると、当該指定された演出機能に基づき前記編集加工を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理装置。
  5. 前記操作手段が配置された配置面に、前記第1の実行指定手段と、前記第2の実行指定手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオーディオ信号処理装置。
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