JP3724790B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の集積回路部を保護し、且つ、半導体素子と外部装置との電気的接続安定性に優れ、高密度実装を可能とした半導体装置、特にチップスケールパッケージ(CSP)、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、CSPの製造方式としては、ウエハー上に作製された半導体集積回路装置(IC)を、個々のチップに切断してから、バンプ電極の取り付けやIC表面保護の樹脂封止を行なっていた。これに対して、近年、ウエハーレベルで一括して封止成形する、ウエハーレベルパッケージ方式が、注目され始めている。
【0003】
このウエハーレベルパッケージ方式によるCSPは、通常、パッシベーション膜及び半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、ウエハー状の半導体素子表面に、コンプレッション成形やトランスファー成形によって、エポキシ樹脂系封止材を形成した後、必要に応じてポリイミド封止材表面を研磨して、メタルポスト表面を露出させる工程、露出したメタルポスト表面に金属バンプを形成させる工程、前記金属バンプを形成したウエハーを裏面研磨及びダイシングする工程、をとることにより製造されている。
【0004】
しかし、このような方法で製造されたパッケージは、封止樹脂とシリコンウエハーとの線膨張係数の差に起因して、樹脂封止後に反りが発生するが、特に8インチ以上の大きな径のウエハーでは、反りが顕著になり、後工程が困難となり製造上大きな問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、樹脂封止後のパッケージの反りが小さく、しかも信頼性に優れるウエハーレベルパッケージ方式による、半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、金属電極の形成された半導体素子パッシベーション膜上に、封止材層として、引張り弾性率が2000MPa以下、線膨張係数が200ppm/℃以下、且つ、ガラス転移温度が200℃以上であるポリイミド樹脂により、10〜300μmの膜厚で形成されていることを特徴とする半導体装置である。
【0007】
また、ポリイミド樹脂が、一般式(1)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂であることを特徴とする、前記半導体装置である。
【0008】
【化2】
式中、R1,R2は炭素数1〜4で二価の脂肪族基又たは芳香族基、R3,R4,R5,及びR6は一価の脂肪族基又は芳香族基、R7,R8は四価の脂肪族基又は芳香族基、R9は二価の脂肪族又は芳香族基を表し、kは5〜50の整数、m:nは5〜80:95〜20である。
【0009】
一般式(1)で表される構成単位においてR7及び/又はR8が、好ましくは、ビフェニルテトラカルボン酸残基、又は、ピロメリット酸残基であることを特徴とする前記半導体装置であり、一般式(1)で表される構成単位においてR9が、好ましくは、ジアミノジフェニルエーテル残基、又は、フェニレンジアミン残基であることを特徴とする、前記半導体装置である。
【0010】
更に、本発明は、パッシベーション膜及び半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、ウエハー上の半導体素子表面に、イミド化後の引張り弾性率が2000MPa以下、線膨張係数が200ppm/℃以下、且つ、ガラス転移温度が200℃以上である、半硬化状態のポリアミック酸フィルムを加熱・圧着する工程、前記ポリアミック酸フィルムが圧着されたウエハー上の半導体素子に熱処理を施して、イミド化を完結した後に、前記メタルポスト表面を露出させる工程、前記露出させたメタルポスト表面に金属バンプを形成させる工程、前記金属バンプを形成したウエハーを裏面研磨及びダイシングする工程、とからなることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
一般にガラス転移温度が高く線膨張係数が低いポリイミドフィルムは、分子骨格として剛直な構造を持つため軟化点を持たず、成形加工することが困難であるために、信頼性に優れるにもかかわらず、利用することが難しかった。
一方、本発明は、特定の構造を持つポリイミドの前駆体であるポリアミック酸のフィルムを利用することで、加工性を付与でき、しかイミド化後は、ガラス転移温度が高く、線膨張係数が従来のポリイミドと比較し低く、信頼性・耐熱性が優れ、しかも柔軟(弾性率が低い)なポリイミドとなることに着目し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
本発明に用いるポリアミック酸は、通常、ジアミンと酸無水物とを、無溶媒又は溶媒中で反応させることにより得られる。ジアミンとしては、ジアミノジフェニルエ−テル類、フェニレンジアミン類が好ましいが、ジアミノベンゾフェノン、ベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなども用いることが出来る。また、酸無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物類が好ましいが、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物なども使用することができ、前記ジアミン及び酸無水物は、それぞれ1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0013】
また、本発明において、前記ポリアミック酸より得られるポリイミド樹脂の弾性率を一定範囲以下にするため、ジアミン成分の一つとして、一般式(2)で表わされるシロキサン化合物を、ジアミン成分総量の5〜80モル%併用することが、より好ましい。ジアミン成分総量の5モル%より少ないと、一般的に弾性率を低下させるのに効果がなく、パッケージ反りの低減効果があまり期待できない。また、80モル%を越えると、線膨張係数大きくなり、反り低減効果が不十分になるばかりか、ガラス転移温度も低くなり、信頼性を損なうことがある。
【0014】
一般式(2)で表されるシロキサン化合物として、具体的には、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)が好ましく、特に式中のkの値が5〜50の場合が、得られる樹脂の引張り弾性率、ガラス転移温度、接着性、耐熱性の点から好ましい。これらのシロキサン化合物は、1種類のみ単独で用いることは勿論、2種類以上を併用することもできる。特に、k=8〜30のシロキサン化合物を用いることは、耐熱性等他の特性を損なわないで弾性率を低下させる効果が大きく好ましい。
【0015】
【化3】
式中、R1,R2は炭素数1〜4で二価の脂肪族基又たは芳香族基、R3,R4,R5,及びR6は一価の脂肪族基又は芳香族基を表し、kは5〜50の整数である。
【0016】
但し、イミド化後の引張り弾性率が2000MPa以下で且つ線膨張係数が200ppm/℃以下、ガラス転移温度が200℃以上となり、フィルム物性を損なわない組み合わせで有れば、これらのモノマーの組み合わせに限定されるものではない。
【0017】
更に、前記ポリアミック酸には、イミド化後の前記フィルム性能を損なわない範囲で、フィラーや他の樹脂等各種添加剤を同時に添加することも可能である。このとき、イミド化後の引張り弾性率が2000MPa以下で且つ線膨張係数が200ppm/℃以下、ガラス転移温度が200℃以上となる組み合わせを選択する必要があるが、8インチ以上の大径ウエハーに用いる場合は、線膨張係数は100ppm/℃以下が、より好ましい。樹脂の弾性率やウエハーの厚みにもよるが、一般に線膨張係数が200ppm/℃を超えると、ウエハーとの膨張係数の差が大きく、イミド化後の冷却時に発生するカールが顕著となり、後工程における位置合わせ等が困難となる。被着体としては一般に線膨張係数が3ppm/℃程度のシリコンウエハーを用いることが多いので、この3ppm/℃程度になるのが更に好ましい。一般に一般式(1)で表現されるような樹脂系ではまずあり得ないが、線膨張係数が0ppm/℃より大きい方が好ましい。
また樹脂の引張り弾性率が2000MPa以下となる組み合わせを選択する必要があるが、8インチ以上の大径ウエハーを用いる場合は、1000MPa以下がより好ましい。樹脂の線膨張係数やウエハーの厚みにもよるが、一般に引張り弾性率が2000MPaを超えると、ウエハーとの間に発生する残留応力が大きく、張り合わせ後の冷却時に発生するカールが顕著となり、後工程で位置合わせ等が困難となる。
一方、パッケージの信頼性を保つためには樹脂のガラス転移温度は高いほど好ましいが、半田耐熱性等を考慮すると200℃以上、より望ましくは250℃以上のガラス転移温度であること好ましい。
【0018】
本発明に用いる、イミド化後の引張り弾性率が2000MPa以下で且つ線膨張係数が200ppm/℃以下、ガラス転移温度が200℃以上となり得るポリアミック酸フィルムは、一般に離型フィルム上に形成された形態で利用されるが、必要に応じて離型フィルムを剥離して用いても構わない。
離型フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエ−テルサルフォン、ポリイミド、ポリエチレン等のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0019】
離型フィルム付きのポリアミック酸フィルムの製造方法としては、ポリアミック酸溶液を離型フィルム上に、ロールコーター、ロータリーコーター、ナイフコーター、ドクターブレード、フローコーター等の公知の塗布手段で、流延塗布した後、加熱乾燥して、半硬化状態のポリアミック酸フィルムを形成させることにより得ることが出来る。
また、必要に応じてポリアミック酸フィルム面同士を熱圧着することにより、張り合わせて厚みの厚いポリアミック酸フィルムとすることも可能である。
【0020】
本発明において、ポリアミック酸溶液を乾燥させ、半硬化状態のポリアミック酸フィルムを形成させる条件としては、80〜200℃、5〜30分が適当である。これより温度が低く時間が短い場合、ウエハーと加熱圧着する際、流動性が大きく、しみ出しが大きく、フィルム厚のバラツキも大きくなる。また、これより温度が高く時間が長い場合は、導体箔と加熱・圧着する際、流動性が小さすぎ、ウエハーとの密着性やメタルポストへの樹脂埋め込み性が低下し、ボイドの発生が多くなる。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法としては、まず、離型フィルム付きポリアミック酸フィルムを、離型フィルムごとパッシベーション膜及び半導体素子の素子電極用メタルポストが形成されたウエハーに、半硬化状態のポリアミック酸フィルム面を加熱・圧着した後、離型フィルムを剥離し、加熱により充分にイミド化を行なう。この時、クッション(シート状の緩衝材)を工夫することにより、離型フィルムと剥離した状態で利用しても構わない。また、このとき同時に数枚のポリアミック酸フィルムを重ね合わせて圧着することにより、厚みの厚い封止樹脂層を、一度に形成することも可能である。
【0022】
半硬化状態のポリアミック酸フィルム状態におけるイミド化率は、10〜50%、望むべくは20〜40%である。イミド化率が10%未満では、フィルムのタック性が残り作業性が悪いばかりか、フィルムを巻取って使用する場合、巻き取り後に離型フィルム背面に接着して、フィルムを一枚ずつ単離することが難しくなる。また、50%を越えてイミド化を施すと、溶融特性が悪くなり、ポリアミック酸面を合わせて熱圧着しても、充分に一体化しなくなる。
【0023】
封止層として用いるポリイミド樹脂の厚みは、半導体素子を保護しパッケージとしての信頼性を確保する目的から、10μm以上が望ましい。一方、300μmを越える厚みだと、信頼性には優れるものの反りが顕著となったり、イミド化時に気泡が発生するばかりか、生産性も損ないコストアップにもつながり好ましくない。
【0024】
ポリアミック酸フィルム同士、及びポリアミック酸フィルムとウエハーとを加熱・圧着する条件としては、プレス形式の場合は、70〜200℃、0.5〜9.8MPa、5〜30分、ロ−ル式ラミネ−タの場合は、70〜200℃、1〜500kg/cm、0.1〜50m/分の条件が適当であり、特に温度としては、ポリアミック酸フィルムの乾燥温度より、あまり高くない温度で実施するのが、揮発物の発生もなく望ましい。このとき張り合わせる雰囲気が真空になっていると、ボイドの発生が軽減できるのでより好ましい。
【0025】
加熱イミド化の条件は、樹脂の組成、厚みにより異なるが、一般に樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度に加熱する。樹脂層の発泡が起こらないようにするため、必要に応じて低温から徐々に温度を上昇させて熱処理することが好ましい。このとき、樹脂溶液中の溶剤揮発とイミド化に伴う縮合水揮発が同時に起こり、樹脂層の体積収縮により、ウエハーが変形もしくは破損することがあるため、必要に応じて何らかの方法で、ウエハーを固定することが好ましい。また、メタルポストやウエハーの酸化を防ぐために、不活性な雰囲気で熱処理することが好ましい。
【0026】
次いで、イミド化後に、樹脂皮膜の残留によりメタルポスト表面が覆われている場合は、必要に応じてポリイミド封止樹脂表面を研磨して、メタルポスト表面を露出させるが、研磨の方法は、機械的な研磨の他、プラズマ、レーザー等のドライプロセスを用いることも可能である。次に、露出したメタルポスト表面に、半田ボール等の金属バンプを形成した後、ウエハーの裏面研磨を施し、チップ状にダイシングする。
【0027】
尚、ポリイミドフィルムの引張り弾性率は、銅箔光沢面上にフィルムを形成した後、銅箔をエッチング除去して得られるフィルムについて、ASTM−D882の方法に従って測定した。またガラス転移温度および線膨張係数(50〜100℃の範囲)に関しては上述のフィルムを用いてセイコー電子工業製熱機械分析装置(TMA/SS 120C)を用いて5℃/分の昇温速度にて測定した。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0029】
(合成例1)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、無水のN−メチル−2−ピロリドン80重量%とトルエン20重量%の混合溶剤を、全仕込原料中の固形分割合が20重量%になるだけの量を入れ、窒素ガスを流し系中をかき混ぜながら、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル0.7モル、およびα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルジシロキサン(APPS、一般式(2)においてkの平均値が20)0.3モルを投入し、均一になるまでかき混ぜる。均一に溶解した後、系を20℃に保ちながら、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)1.0モルを、粉末状のまま15分間かけて徐々に添加し、その後8時間撹拌を続けポリアミック酸溶液Aを得た。この間フラスコは20℃に保った。
【0030】
このポリアミック酸溶液Aを用いて、銅箔光沢面上にイミド化後の厚みが25μmとなるように直接塗布し、100℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分加熱乾燥した後、銅箔を全面エッチングすることにより除去して、ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定したところ引張り弾性率は720MPa、線膨張係数は140ppm/℃、ガラス転移温度は216℃であった。
【0031】
(合成例2)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、無水のN−メチル−2−ピロリドン80重量%とトルエン20重量%の混合溶剤を、全仕込原料中の固形分割合が20重量%になるだけの量を入れ、窒素ガスを流し系中をかき混ぜながら、p−フェニレンジアミン0.6モル、およびα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルジシロキサン(APPS、一般式(2)においてkの平均値が20)0.4モルを投入し、均一になるまでかき混ぜる。均一に溶解した後、系を20℃に保ちながら、ピロメリット酸二無水物(PMDA)1.0モルを、粉末状のまま15分間かけて徐々に添加し、その後8時間撹拌を続けポリアミック酸溶液Bを得た。この間フラスコは20℃に保った。
【0032】
このポリアミック酸溶液Bを用いて、銅箔光沢面上にイミド化後の厚みが25μmとなるように直接塗布し、100℃で30分、200℃で30分、250℃で30分、300℃で30分加熱乾燥した後、銅箔を全面エッチングすることにより除去して、ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定したところ引張り弾性率は680MPa、線膨張係数は160ppm/℃、ガラス転移温度は208℃であった。
【0033】
(合成例3)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、無水のN−メチル−2−ピロリドン80重量%とトルエン20重量%の混合溶剤を、全仕込原料中の固形分割合が20重量%になるだけの量を入れ、窒素ガスを流し系中をかき混ぜながら、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAPP)0.50モル、および1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)0.50モルを投入し、均一になるまでかき混ぜる。均一に溶解した後、系を20℃に保ちながら、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)0.7モル、および3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)0.3モルを、粉末状のまま15分間かけて徐々に添加し、その後8時間撹拌を続けた。この間フラスコは20℃に保った。
【0034】
その後、窒素ガス導入管と冷却器を外し、トルエンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、油浴に代えて系を175℃に加熱し、発生する水を系外に除いた。6時間加熱したところ、系からの水の発生は認められなくなった。系を冷却することによりポリイミド溶液Cが得られた。このポリイミド溶液Bを用いて合成例1と同様に操作してポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの引張り弾性率を測定したところ、3400MPa、線膨張係数は60ppm/℃、ガラス転移温度は220℃であった。
【0035】
(実施例1)
市販の離型フィルム(ユーピレックス75S:宇部興産社製)上に、このポリアミック酸溶液Aをロールコーターで、イミド化後の厚みが25μmになるように塗布し、110℃で15分、150℃で15分、200℃で15分、250℃で15分、300℃で15分乾燥を行ない、離型フィルムのついた熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。パッシベーション膜および半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、8インチシリコンウエハーに熱可塑性ポリイミドフィルム面を重ね合わせ、真空プレスを用いて減圧下で350℃、2.0MPa、15分加熱・圧着を行なった。室温に冷却した後、離型フィルムを剥しウエハーを平滑面に置いて、最高地点と最低地点の高さの差を測ったところ、20μmとカールの少ない封止材付きウエハーとなっており、以下に述べる後作業を滞りなく行なうことができた。即ち、ポリイミド封止樹脂表面を機械的に研磨してメタルポスト表面を露出させ、露出したメタルポスト表面に半田ボールを形成した後、ウエハーの裏面研磨を施し、チップ状にダイシングすることによりCSPタイプの半導体装置を得た。
【0036】
(実施例2)
市販の離型フィルム(ユーピレックス75S)上に、溶液Aをロールコーターで、イミド化後の厚みが40μmになるように塗布し、110℃で15分、150℃で15分、200℃で15分、250℃で15分、300℃で30分乾燥を行ない、離型フィルムのついた熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。得られた離型フィルム付き熱可塑性ポリイミドフィルムを2枚用いて、熱可塑性ポリイミドフィルム面同士が向かい合うように重ね合わせ、ロール式のラミネータを用いて、400℃、100kg/cm、0.5m/分で加熱・圧着を行ない、熱可塑性ポリイミド積層フィルムとした後に、片側の離型フィルムを剥離し、片側に離型フィルムの付いた熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。
【0037】
次に、パッシベーション膜および半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、8インチシリコンウエハーに離型フィルムから剥離した熱可塑性ポリイミドフィルム2枚とを重ね合わせ、真空プレスを用いて減圧下で350℃、2.0MPa、30分加熱・圧着を行なった。冷却後、離型フィルムを剥しウエハーを平滑面に置いて、最高地点と最低地点の高さの差を測ったところ、50μmとカールの少ない封止材付きウエハーとなっており、以下に述べる後作業を滞りなく行なうことができた。即ち、ポリイミド封止樹脂表面を機械的に研磨して、メタルポスト表面を露出させ、露出したメタルポスト表面に半田ボールを形成した後、ウエハーの裏面研磨を施し、チップ状にダイシングすることによりCSPタイプの半導体装置を得た。
【0038】
(実施例3)
市販の離型フィルム(ユーピレックス75S:宇部興産社製)上に、このポリアミック酸溶液Bをロールコーターで、イミド化後の厚みが25μmになるように塗布し、110℃で15分、150℃で15分、200℃で15分、250℃で15分、300℃で15分乾燥を行ない、離型フィルムのついた熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。パッシベーション膜および半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、8インチシリコンウエハーに熱可塑性ポリイミドフィルム面を重ね合わせ、真空プレスを用いて減圧下で350℃、2.0MPa、15分加熱・圧着を行なった。室温に冷却した後、離型フィルムを剥しウエハーを平滑面に置いて、最高地点と最低地点の高さの差を測ったところ、30μmとカールの少ない封止材付きウエハーとなっており、以下に述べる後作業を滞りなく行なうことができた。即ち、ポリイミド封止樹脂表面を機械的に研磨してメタルポスト表面を露出させ、露出したメタルポスト表面に半田ボールを形成した後、ウエハーの裏面研磨を施し、チップ状にダイシングすることによりCSPタイプの半導体装置を得た。
【0039】
(比較例1)
実施例2と同様の樹脂および方法を用いて40μm離型フィルムのついた熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。得られた離型フィルム付き熱可塑性ポリイミドフィルムの、離型フィルムを剥離したものを25枚重ねて、厚み合計が1000μmとなるようにして、パッシベーション膜および半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、8インチシリコンウエハーと張り合わせるために、真空プレスを用いて減圧下で、350℃、2.0MPa、30分加熱・圧着を行なった。冷却後、ウエハーを平滑面に置いて、最高地点と最低地点の高さの差を測ったところ、380μmとカールが大きな封止材付きウエハーとなっており、後作業を行なう際に、位置合わせ等に支障をきたし作業を進めることができなかった。
【0040】
(比較例2)
市販の離型フィルム(ユーピレックス75S)上に、ポリイミド溶液Cをロールコーターで、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、110℃で15分、150℃で15分、200℃で15分、250℃で15分乾燥を行ない、離型フィルムのついた熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。パッシベーション膜および半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された8インチシリコンウエハーに、ポリイミドフィルム面を重ね合わせ、真空プレスを用いて減圧下で、280℃、3.9MPa、30分加熱・圧着を行なった。この後、離型フィルムを剥しウエハーを平滑面に置いて、最高地点と最低地点の高さの差を測ったところ、480μmとカールが大きな封止材付きウエハーとなっており、後作業を行う際に位置合わせ等に支障をきたし、作業を進めることができなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、弾性率が低く、かつ容易に加工できる熱可塑性ポリイミドフィルムを利用することにより、樹脂封止後の反りが小さく、しかも信頼性に優れたウエハーレベルCSPを、容易に生産性良く製造することができ、工業的に優れた半導体装置の製造方法である。
Claims (1)
- パッシベーション膜及び半導体素子の素子電極用メタルポストが形成された、ウエハー上の半導体素子表面に、イミド化後の引張り弾性率が2000MPa以下、線膨張係数が200ppm/℃以下、且つ、ガラス転移温度が200℃以上である、半硬化状態のポリアミック酸フィルムを同時に数枚重ね合わせて熱圧着する工程、
前記ポリアミック酸フィルムが圧着されたウエハー上の半導体素子に熱処理を施して、イミド化を完結した後に、前記メタルポスト表面を露出させる工程、
前記露出させたメタルポスト表面に金属バンプを形成させる工程、
前記金属バンプを形成したウエハーを裏面研磨及びダイシングする工程、
とからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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