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JP2004146620A - フィルム状接着剤及び半導体接着テープ - Google Patents

フィルム状接着剤及び半導体接着テープ Download PDF

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JP2004146620A
JP2004146620A JP2002310393A JP2002310393A JP2004146620A JP 2004146620 A JP2004146620 A JP 2004146620A JP 2002310393 A JP2002310393 A JP 2002310393A JP 2002310393 A JP2002310393 A JP 2002310393A JP 2004146620 A JP2004146620 A JP 2004146620A
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JP
Japan
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adhesive
film
polyimide resin
compound
semiconductor
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JP2002310393A
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Inventor
Hideyuki Miyazaki
宮崎 秀行
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】耐熱性、接着性、および基板への濡れ性に優れ、貼付温度の低下により組立時の熱による基板およびチップの熱損傷を抑えた高信頼性のフィルム状耐熱接着剤を提供すること。
【解決手段】半導体パッケージの組立工程において半導体チップとリードフレームを接着する為に用いられる接着部材に使用され、熱可塑性ポリイミド樹脂と熱硬化性樹脂の組み合わせからなるフィルム状接着剤であって、接着成分の示差走査熱量計の測定において得られる硬化発熱ピークトップの温度が100℃から200℃の間にあることを特徴とするフィルム状接着剤。

Description

【0001】
【発明の所属する分野】
本発明は、耐熱性と低温加工性を併せ持ち、エレクトロニクス用途、特に半導体実装材料として適したシリコン基板や金属に対する接着力に優れたフィルム状接着剤と、その製造方法、これを用いたリードフレーム及び半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の高機能大容量化、軽量化の開発が進んでいる。半導体素子に用いられる基板材料も軽量化・コストおよび大容量化デザインの必要性から従来の金属基板から有機基板に推移しつつある。
【0003】
このような背景から基板とチップ間に用いられる接着用材料にも▲1▼低温貼付化、▲2▼濡れ性の向上、▲3▼高信頼性化が要求されている。▲1▼は基盤の耐熱性が金属材料に比べて劣ることから高温度下での接着作業が不可能なこと、▲2▼は基盤に対する回路パターンの形成により段差が生じ、接着剤貼付時に濡れ性が充分でないと基板と接着剤層の間にボイドを生じることから、そして▲3▼について有機基板は一般に吸湿度合が金属のそれより高く、また従来の金属基板用接着剤では有機材料の接着が困難であることから信頼性の低下を招くこと、がそれぞれ理由として挙げられる。
【0004】
また、基板のみならず半導体チップの方にも低温貼付化が要求されている。これはチップの大容量化・省スペース化の為に回路パターン密度の増加、チップの薄型化が進んでいることによるものであり、微細回路への熱損傷および熱をかけた時のチップの反りを抑える為に、ダイボンディング時にかかる熱を最小限に抑える必要がある。
【0005】
現在主流のダイボンディング方法としてペースト材料を用いる方法が挙げられる。汎用性、信頼性に優れているが、接着時の位置ズレやブリード(はみ出し)、厚みの不均一化、そして複雑な形状を有するパッケージへの適用性が困難であることからペーストに代わってフィルム状接着剤が用いられるようになってきた。以前からもメモリなどに採用されているリード・オン・チップ構造には専ら半導体接着テープが用いられている。
【0006】
従来の半導体接着テープには専らポリイミド系接着剤が多く使用されているが半導体チップを基板にマウントする工程においてこれら半導体接着テープの多くは貼付温度が200℃〜300℃以上と高く、基板および半導体チップなどの被着材への熱損傷が懸念されている。この熱が原因で基板の劣化、半導体チップ上の配線劣化、チップの反り等の熱変形により生産工程における歩留まりの低下を引き起こすという問題がある。
【0007】
これらの問題を解決する為に、接着テープの接着剤成分のガラス転移温度を下げて更なる低温加工性を付与することが考えられる。しかし、単にガラス転移点を下げるだけでは接着剤成分の耐熱性や高温・高湿時の接着性が低下し、チップ貼り付け時の熱によって樹脂自体の発泡を引き起こしたり、ワイヤーボンディングなどの高温度雰囲気下が要求される状況下での組立作業が弾性率保持の低さから困難になることや、半導体装置としての信頼性を損なう恐れがある。
【0008】
こうした問題を解決する為に、熱可塑性ポリイミド樹脂にエポキシ樹脂等などの硬化製樹脂およびその硬化剤を混合させることで得られる半導体用接着剤が開発、実用化されてきた。このような熱可塑性樹脂−熱硬化性樹脂のハイブリッド型接着剤の構成は従来より広く用いられていたものである。このような接着剤の欠点としてはポリイミド樹脂と硬化成分を共に溶解させる溶媒種が高沸点溶媒に限られていたことであり、溶媒を蒸発させてフィルム状にする時に含まれる硬化成分が硬化することで接着剤としての機能を失う問題があった。
そこで、低沸点溶媒を用いたポリイミド樹脂の合成(例えば特許文献1参照)により、このような接着剤に用いることのできるポリイミド樹脂および硬化成分の選択の幅が広がり、昨今急速な進歩を遂げつつある半導体素子に用いられる接着剤に要求される複雑な要求にも対応することができるようになった。
このような低沸点溶媒を用いたポリイミド樹脂の合成は、先述の低温貼付性、回路段差の埋め込み性の解決に極めて有効である。100℃〜200℃の低温度域の範囲で有機材料等に貼付かつフロー性の良好な半導体用接着樹脂の設計においてはその樹脂の硬化挙動が極めて重要な役割を果たす。これは熱硬化樹脂の接着性が硬化後に発現されるものであり,またそのフロー性が硬化反応の直前に最大値を迎えることに起因する。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−275281号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の有機材料基板および大容量チップを用いた半導体装置組立工程の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果なされたもので、特定の硬化特性を有する耐熱性接着剤を用いることにより、耐熱性、接着性、および有機材料基板への濡れ性に優れ、貼付温度の低下により組立時の熱による基板およびチップの熱損傷を抑えた高信頼性耐熱接着剤を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有機材料基板と大容量チップの間に用いられる半導体用接着剤に要求される問題について鋭意検討した結果、問題解決の為、特定のガラス転移温度を有するポリイミド樹脂と特定の硬化特性を有する硬化性樹脂および硬化剤の組み合わせにより構成される接着剤で特定の硬化特性を有する接着剤を単層または基材両面に塗布して得られる三層構造の半導体接着テープを用いることにより解決できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は:
(1)半導体パッケージの組立工程において半導体チップとリードフレームを接着する為に用いられる接着部材に使用され、熱可塑性ポリイミド樹脂と熱硬化性樹脂の組み合わせからなるフィルム状接着剤であって、示差走査熱量測定で得られる発熱ピークトップの温度が100℃から200℃の間にあることを特徴とするフィルム状接着剤、
(2)1分子中に少なくとも2個以上のイミド環を含み、かつ90℃〜200℃のガラス転移点を有するポリイミド樹脂、硬化性化合物、該硬化性化合物の硬化剤、及びシランカップリング剤とを含むフィルム状接着剤であって、硬化したフィルムの210℃における弾性率が10〜100MPaであり、かつ吸水率が3重量%以下である(1)記載のフィルム状接着剤、
(3)ポリイミド樹脂が、アミン成分として、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、式(2)又は(3)で表されるノルボルネン環を含む脂環式ジアミン、及び式(4)で表されるスピロアセタール環を含む脂環式ジアミンの中から選ばれる少なくとも1つのジアミン化合物と、酸成分として、芳香族テトラカルボン酸無水物とを反応させてイミド閉環し、かつ有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂を主たる構成成分とする(1)又は(2)記載のフィルム接着剤、
【化5】
Figure 2004146620
【化6】
Figure 2004146620
【化7】
Figure 2004146620
(式中、R1,R2,R7,R8,R9,R10,R11,及びR12は炭素数1〜4で二価の脂肪族基または芳香族基、R3,R4,R5,およびR6は一価の脂肪族基または芳香族基を表し、kは1〜100の整数である。)
(4)硬化性化合物が、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、及び1分子中に少なくとも2個以上のシアネート基を有するシアネート化合物の中から選ばれる少なくとも1つの化合物である(2)又は(3)記載のフィルム接着剤、
(5)硬化剤が、分子中に少なくとも1個のイミダゾール環を含む化合物、及びフェノールノボラック構造を有する化合物の中から選ばれる少なくとも1つの化合物である(2)〜(4)いずれか記載のフィルム状接着剤、
(6)(1)〜(5)いずれか記載のフィルム状接着剤の接着剤組成物成分、及び溶媒として一般式(5)で表されるフェニルエーテルを含有する溶液を支持体の片面または両面に流延塗布し、加熱乾燥させた後に、残存溶媒量が500ppm以下であることを特徴とする半導体接着テープ、
【化8】
Figure 2004146620
(式中、R13は水素原子または炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基であり、R14は炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基を表す。)
(7)(6)記載の半導体接着テープが貼り付いてなることを特徴とするリードフレーム、
(8)(7)記載のリードフレームを用いてなる半導体装置、
である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサンとしては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサンやα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらは一般式(4)で表されるフェニルエーテルに溶解するものが好ましい。
【0014】
本発明に用いる芳香族もしくは脂肪族ジアミンとしては、3,3‘−ジメチル−4,4‘−ジアミノビフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、4,4‘−メチレンジ−o−トルイジン、4,4‘−メチレンジアミン−2,6−キシリジン、4,4‘−メチレン−2,6−ジエチルアニリン、2,4−トルエンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4‘−ジアミノジフェニルプロパン、3,3‘−ジアミノジフェニルプロパン、4,4‘−ジアミノジフェニルエタン、3,3‘−ジアミノジフェニルエタン、4,4‘−ジアミノジフェニルメタン、3,3‘−ジアミノジフェニルメタン、4,4‘−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3‘−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4‘−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3‘−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4‘−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3‘−ジアミノジフェニルエ−テル、ベンジジン、3,3‘−ジアミノビフェニル、3,3‘−ジメチル−4,4‘−ジアミノビフェニル、3,3‘−ジメトキシベンジジン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォンなどを挙げることができる。中でも、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、または2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)−トリシクロ−5,2,1,0(2.6)デカン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど分子中にノルボルネン環やスピロアセタール環などの脂環構造を含むジアミンが、フェニルエーテルへの溶解性に関して好ましい。上記のジアミンは、単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】
上記ジアミノポリシロキサンと芳香族もしくは脂肪族ジアミンとの反応比率は、ポリイミド樹脂のガラス転移点が90℃〜200℃の範囲にある限りは特に規定しないが、ジアミノポリシロキサンの反応比率がジアミノポリシロキサンと芳香族もしくは脂肪族ジアミンの総モル数に対し、好ましくは5〜95モル%である。5モル%未満であると、得られるポリイミド樹脂のフェニルエーテルへの溶解性が低下し、作業上問題が生じる可能性がある。95モル%を超えるとフィルムのガラス転移温度が著しく低下し、フィルムとしての強度が保てない可能性がある。
【0016】
本発明に用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物、4,4‘−(4,4’−イソプロピデンジフェノキシ)フタル酸二無水物などが挙げられる。中でも、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4‘−(4,4’−イソプロピデンジフェノキシ)フタル酸二無水物が、得られるポリイミド樹脂のフェニルエーテルへの溶解性に関して好ましい。上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物は、単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
上記ジアミノシロキサン、ジアミン化合物、芳香族テトラカルボン酸無水物を反応させてなるポリイミド樹脂はガラス転移温度が90℃から200℃の範囲にあることが必要である。90℃未満ではポリイミド樹脂自体の耐熱性が低下し、ワイヤーボンディングが行なわれる温度域(180〜230℃)における弾性率が低く、ワイヤーボンディング時にテープと被着体との間で剥離が生じる恐れがある。逆に200℃を越える場合ポリイミド樹脂のフェニルエーテルへの溶解性が低くなり、フェニルエーテル溶液の状態でポリイミド樹脂が析出する恐れがある。
【0018】
本発明の耐熱性接着剤に用いられるポリイミド樹脂組成物の重縮合反応における酸成分とアミン成分の当量比は、得られるポリイミド樹脂の分子量を決定する重要な因子である。また、ポリマーの分子量と物性、特に数平均分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れている。従って、実用的に優れた強度を得るためには、ある程度高分子量であることが必要である。
【0019】
本発明に用いるポリイミド樹脂の製造では、酸成分とアミン成分の当量比rが
0.900 ≦ r ≦ 1.06
さらには、
0.975 ≦ r ≦ 1.025
の範囲にあることが、機械的強度および耐熱性の両面から好ましい。ただし、r=[全酸成分の当量数]/[全アミン成分の当量数]である。rが0.900未満では、分子量が低くてフィルムとした場合脆くなる。また1.06を越えると、未反応のカルボン酸が加熱時に脱炭酸して、ガス発生や発泡の原因となり好ましくないことがある。ポリイミド樹脂の分子量制御のために、ジカルボン酸無水物あるいはモノアミンを添加することは、上述の酸/アミンモル比rの範囲内であれば、特にこれを妨げない。
【0020】
本発明に用いる反応溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン又は式(5)で表されるフェニルエーテルである事が好ましい。
【0021】
ここで、式(5)で表されるフェニルエーテルの代表的なものとして、アニソール、フェネトール、メトキシトルエン等が挙げられるが、より低温の熱処理でポリイミド樹脂フィルムが得られることから、アニソールが最も好ましい。
【0022】
この時、共沸用溶媒として上記のフェニルエーテルと相溶性のある非極性溶媒を混合して使用しても良い。前記非極性溶媒としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素が好ましい。混合溶媒における非極性溶媒の割合は、50重量%以下であることが好ましい。これは非極性溶媒が50重量%を越える場合は、溶媒の溶解力が低下し、原料であるジアミノポリシロキサンと芳香族もしくは脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン又はポリイミド樹脂が析出する恐れがあるためである。
【0023】
上述した成分、配合比によりポリイミド樹脂を合成する場合、上記成分のジアミノポリシロキサンと芳香族もしくは脂肪族ジアミンとを、フェニルエーテルを主とする反応溶媒中に仕込み、70〜80℃程度に加熱し、ジアミノポリシロキサンと芳香族もしくは脂肪族ジアミンを溶解させる(A液)。さらに、別の反応器に上記成分のテトラカルボン酸二無水物を、フェニルエーテルを主とする溶媒中に仕込み、還流が起きるまで加熱昇温を行う(B液)。引き続き、前記A液を、還流中のB液内に添加して、ポリアミド化と脱水閉環反応を短時間で進行させ、一般式(6)で表される繰り返し単位と一般式(7)で表される繰り返し単位とを有するポリイミド樹脂の溶液が得られる。イミド化反応によって生じた水は閉環反応を妨害するため、ディーン・スターク(Dean−Stark)管などの装置を使用して系外に排出する。
【0024】
【化9】
Figure 2004146620
【化10】
Figure 2004146620
(式中、R1,R2,R17は炭素数1〜4で二価の脂肪族基または芳香族基、R3,R4,R5,およびR6は一価の脂肪族基または芳香族基、R15,R16は四価の脂肪族基または芳香族基を表し、kは1〜100の整数である。m、nの割合は各成分合計100モル%中、mが5〜95モル%、nが5〜95モル%である。)
【0025】
本発明に用いる硬化性化合物は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、及び1分子中に少なくとも2個以上のシアネート基を有するシアネート化合物の中から選ばれる少なくとも1つの化合物である事が好ましい。
本発明に用いるエポキシ化合物(D)は、少なくとも1分子中に2個のエポキシ基を有し、ポリイミド樹脂(C)との相溶性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂(C)を合成する際に使用する溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。例として、ビスフェノールA型のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールネボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0026】
本発明に用いるシアネート化合物(E)は少なくとも1分子中に2個のシアネート基を有し、ポリイミド樹脂との相溶性を有するものであれば特に限定されるものではない。例として、ビスフェノール−A−ジシアネート4,4‘−イソプロピリデンジフェニルシアネート、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、4,4‘−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)などが挙げられる。
【0027】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物におけるエポキシ化合物(D)とシアネート化合物(E)の総含有量は、ポリイミド樹脂(C)100重量部に対して0.01〜200重量部が好ましい。含有量が0.01未満であると、高温時のフィルム強度が低下し、接着力が低下する。含有量が200重量部を超えるとエポキシ化合物やシアネート化合物の樹脂特性の影響を受け、ポリイミド樹脂の特性である耐熱性や機械強度が損なわれる。
【0028】
本発明に用いられる硬化剤(F)はエポキシ化合物(D)またはシアネート化合物(E)などの硬化性化合物と反応し、DSC測定(試料重量10mg,昇温速度10℃/分)において100℃から200℃の間に硬化発熱反応ピークトップが存在するようなものでなければならない。従来硬化性樹脂はその硬化反応時に溶融粘度が極小値を有するもので、この温度間にピークトップが存在することで加熱貼り付け時の基材への濡れ性が確保できる。ピークトップ温度が100℃未満だと接着剤の保存性を著しく低下させ、200℃を超えると100℃〜200℃の低温加熱貼り付け時に未硬化物の存在による樹脂成分からの分解や過流動による発泡が生じる。またポリイミド樹脂(C)やエポキシ化合物(D)との相溶性や、ポリイミド樹脂(C)を合成する際に使用する溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。例として1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物などが挙げられる。
【0029】
本発明のポリイミド樹脂組成物における硬化剤(F)の含有量は、エポキシ化合物(D)、及びシアネート化合物(E)の硬化性化合物の合計100重量部に対して0.01〜50重量部以下が好ましい。0.01未満であると、十分な硬化特性が得られない。50重量部を越えると硬化時に未反応の硬化剤が残存し、フィルム状接着剤にした際、熱圧着した時に未反応成分が溶出し、信頼性に悪影響を及ぼすこととなる。
【0030】
本発明に用いるシランカップリング剤(G)は、ポリイミド樹脂(C)やエポキシ化合物(D)、シアネート化合物(E)、硬化剤(F)との相溶性や、ポリイミド樹脂(C)を合成する際に使用する溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。例として、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが接着性の面で好ましい。
【0031】
本発明のポリイミド樹脂組成物におけるシランカップリング剤(G)の含有量は、ポリイミド樹脂(C)100重量部に対して0.01〜50重量部が好ましい。0.01未満であると、十分な接着特性が得られない。50重量部を越えると、ポリイミド樹脂同士の架橋が起きやすくなり、ポリイミド樹脂組成物溶液を調製した際、溶液がゲル化しやすく、またフィルム状接着剤にした際、熱圧着した時、被着体に対する濡れ性が低下し、接着力が低下する。
【0032】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂(C)にエポキシ化合物(D)、シアネート化合物(E)、硬化剤(F)及びシランカップリング剤(G)を添加し混合することにより得られる。本発明のポリイミド樹脂組成物には、上記成分の他に、表面平滑性を出すための平滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加剤を必要に応じて添加することができる。また、ポリイミド樹脂溶液中の溶剤の蒸発速度を調節するために、均一に溶解する範囲で芳香族炭化水素系溶剤を使用することができる。
【0033】
本発明においてポリイミド樹脂組成物は、接着剤として用いられ、これを用いて、フィルム状接着剤とするには、上記で得られたポリイミド樹脂溶液を、例えば、ロールや金属シート、又は、ポリエステルシートなどの離型シートの上に、フローコーター、ロールコーターなどにより、流延あるいは塗布して、樹脂層からなるフィルムを形成させ、加熱乾燥後、剥離してポリイミド樹脂フィルムとすることができる。この際の加熱処理は、通常50〜150℃、より好ましくは50〜120℃で行われ、エポキシ樹脂等、硬化成分が架橋することなくフィルム状接着剤を製造することが可能である。熱処理時間については、通常0.1〜1時間程度で良く、低温短時間で完全に溶剤を除去することが可能であり、フィルム状接着剤を熱圧着した際、残存溶剤による発泡を抑制することができる。残存溶媒の量としては500ppm以下であることが好ましい。
【0034】
上記の方法で得られたフィルム接着剤は、未処理の状態でガラス転移点が40℃から150℃、より好ましくは50から100℃の範囲にあることが好ましい。これは、リードフレームへの貼付およびダイマウントに要する貼付温度を250℃以下にするために必要な、接着剤の濡れ性を確保する為である。
【0035】
上記の方法で得られたフィルム接着剤をリードフレームおよび半導体素子に接着させた後、熱処理することで耐熱性に優れたフィルムを得ることができるが、その熱処理条件は100〜200℃で5秒から1時間であることが好ましく、より好ましくは100〜150℃で5秒から30分である。これは、200℃を越える熱処理温度はリードフレームおよび半導体素子への熱損傷を深刻にし、100℃未満の熱処理温度では封止する際に未硬化成分の残存成分が揮発成分となって、リードフレームへや半導体素子の汚染の原因となる恐れがある。1時間を越える熱処理時間は生産性の低下を引き起こし、5秒未満の熱処理時間では低温熱処理の場合と同様、未硬化成分の残存成分が揮発成分となって、リードフレームへや半導体素子の汚染の原因となる恐れがある。
【0036】
本発明で得られるフィルム接着剤は吸水率が3重量%以下であることが好ましい。これはフィルム接着剤を用いて半導体装置を組み立てる場合、フィルム接着剤の吸水性が半導体装置の信頼性に影響を及ぼす場合があるためである。
【0037】
本発明のフィルム接着剤は、低温度短時間の熱処理で硬化したフィルムの210℃における弾性率が10から100MPa、好ましくは30から100MPaの範囲にあることが好ましい。この弾性率の範囲にあれば、ワイヤーボンディングを問題無く行なうことができる。
【0038】
また本発明のフィルム接着剤を半導体装置の組立に用いたとき、低吸水性・高温時の接着性に優れていることから高信頼性の半導体装置を提供することが可能となる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における略号は以下の通りである。
PI:ポリイミド
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BPADA:ビスフェノールA酸無水物
ODPA:4,4‘−オキシジフタル酸二無水物
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
APB: 1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
TCDD:3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)−トリシクロ−5,2,1,0(2.6)デカン
NBDA:2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
ATU:3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン
APPS−1:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量249)(式(1)においてk=1)
APPS−9:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(式(1)においてk=9)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
KBM573:アミノシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、商品名KBM−573

Ep−1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名EOCN−1020−80、エポキシ当量200)
Ep−2:ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェル(株)製、商品名YX−4000HK、エポキシ当量195)
Cyn−1:ビスフェノールA型ジイソシアネート樹脂(ロンザ(株)製、商品名ArocyL10)
Cu−1:1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(四国化成(株)製、商品名1B2MZ)
Cu−2:1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製、商品名2E4MZ−CN)
Si−1:アミノシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、商品名KBM−573)
Si−2:エポキシシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、商品名KBM403E)
【0040】
(PI−1の合成)
三角フラスコに、アニソール26.0gを入れ、さらに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン86.2g(0.21モル)、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン4.63g(0.03モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(式(1)においてk=9)50.22g(0.06モル)を投入し、70℃に加熱し、溶解するまで撹拌を行った(A液)。
【0041】
次に、乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌機を備えた三口フラスコに、アニソール524.2g、トルエン137.0gを入れ、窒素ガスを流した。次に、酸成分である3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物88.3g(0.3モル)を投入し、トルエンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、油浴にて系を還流が発生するまで加熱した。次に、前記A液を滴下ロートに投入し、フラスコ内に1時間かけて滴下した。その間に発生する水は、ディーン・スターク管を用いて系外に除いた。3時間加熱した後、冷却し、目的とするポリイミド樹脂の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂は、東ソー株式会社製GPC測定装置を用いて、ポリスチレン換算で測定のところ、Mw=38200であった。
【0042】
(PI−2の合成)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、攪拌機を備えた三口フラスコに、アニソール592.8g、トルエン148.19gを入れ、窒素ガスを流した。次に、アミン成分である2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン90.31g(0.22モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(式(1)においてk=9)13.67g(0.055モル)、そして酸成分であるビスフェノールA酸無水物143.00g(0.275モル)を投入し、トルエンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、油浴にて系を還流が発生するまで加熱した。その間に発生する水は、ディーン・スターク管を用いて系外に除いた。1時間加熱した後、冷却し、目的とするポリイミド樹脂の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂は、東ソー株式会社製GPC測定装置を用いて、ポリスチレン換算で測定のところ、Mw=38000であった。
【0043】
(PI−3の合成)
三角フラスコに、アニソール465.25gを入れ、さらに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン82.1g(0.20モル)、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)−トリシクロ−5,2,1,0(2.6)デカン15.54g(0.08モル)、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量249)(式(1)においてk=1)6.17g(0.04モル)、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン10.96g(0.04モル)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン9.94g(0.04モル)を投入し、70℃に加熱し、溶解するまで撹拌を行った(A液)。
【0044】
次に、乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌機を備えた三口フラスコにアニソール131.88g、トルエン149.28gを入れ、窒素ガスを流した。次に、酸成分である4,4’−オキシジフタル酸二無水物124.1g(0.4モル)を投入し、トルエンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、油浴にて系を還流が発生するまで加熱した。次に、前記A液を滴下ロートに投入し、フラスコ内に1時間かけて滴下した。その間に発生する水は、ディーン・スターク管を用いて系外に除いた。3時間加熱した後、冷却し、目的とするポリイミド樹脂の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂は、東ソー株式会社製GPC測定装置を用いて、ポリスチレン換算で測定のところ、Mw=52000であった。
【0045】
(PI−4の合成)
三角フラスコに、アニソール438.50gを入れ、さらに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン43.85g(0.15モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(式(1)においてk=9)125.55g(0.15モル)を投入し、70℃に加熱し、溶解するまで撹拌を行った(A液)。
【0046】
次に、乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌機を備えた三口フラスコに、アニソール348.90gを入れ、窒素ガスを流した。次に、酸成分である4,4’−オキシジフタル酸二無水物93.07g(0.30モル)を投入し、ディーン・スターク管をフラスコに装着し、油浴にて系を還流が発生するまで加熱した。次に、前記A液を滴下ロートに投入し、フラスコ内に1時間かけて滴下した。その間に発生する水は、ディーン・スターク管を用いて系外に除いた。3時間加熱した後、冷却し、目的とするポリイミド樹脂の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂は、東ソー株式会社製GPC測定装置を用いて、ポリスチレン換算で測定のところ、Mw=55400であった。
【0047】
(PI−5の合成)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、攪拌機を備えた三口フラスコにNMP594.63gを入れ、窒素ガスを流した。次にアミン成分である3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン29.15g(0.15モル)とAPPS−9 125.6g(0.150モル)を投入し、均一になるまで撹拌した。均一に溶解後、系を氷水浴で20℃に保ちながら、酸成分であるODPA 93.07g(0.30モル)を粉末状のまま10分間かけて添加し、その後2時間撹拌を続けポリアミド酸溶液を得た。この間フラスコは20℃を保った。
その後、窒素ガス導入管と冷却器を外し、トルエンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、系にトルエン 148.70gを添加した。氷水浴から油浴に替えて系を加熱し発生する水を系外に除いた。3時間加熱した後冷却し、ポリイミド溶液PI−5を得た。
【0048】
上記で得たポリイミドPI−1〜5の配合表を表1に示す。表中の配合数値はモル比を表わす。これらポリイミド溶液をシリコン離型処理二軸延伸ポリエステルフィルムにロールコーターで、厚みが25μmになるように塗布し、80℃で2分、130℃で2分、180℃で2分乾燥を行い、ポリイミド樹脂フィルムを得た。このフィルムのガラス転移点を熱機械分析装置(TMA,セイコーインスツルメンツ社製,SS−6000)を用いて測定した結果を併せて表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004146620
【0050】
実施例1〜6及び比較例1〜4
上記で得たポリイミド溶液と各成分について表2に示す配合により混合して、実施例1〜6、及び比較例1〜4の接着剤溶液を調合した。表中の配合の数値は重量部を表わす。
【0051】
次に、得られたフィルムを表2に示した乾燥条件で乾燥し、フィルム状接着剤を得た。フィルム状接着剤のガラス転移点、DSCピーク温度、及び残存溶媒量を測定した結果を表2に示す。フィルム状接着剤を更に表2に示した熱処理条件で硬化させ、硬化したフィルムのガラス転移点、弾性率、吸水率、及び接着強度の測定を行った結果を表2に示す。
【0052】
硬化発熱ピークトップ測定方法:
サンプル10mgをアルミパン内に入れて、示差走査熱量計(DSC,セイコーインスツルメンツ社製,DSC6200)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行なった。得られたDSCカーブのピークトップを読み取り,硬化発熱ピークトップ温度とした。
【0053】
ガラス転移点測定方法:
サンプルを厚み25μm,幅3mmの矩形に切り出し,熱機械分析装置(TMA,セイコーインスツルメンツ社製,SS−6000)を用いて昇温速度5℃/分,荷重25mNの条件で測定を行なった。TMA曲線の外挿点をガラス転移点とした。
【0054】
弾性率測定方法:
断面積の既知な幅1cmのフィルムサンプルを,動的粘弾性測定装置(DMS,セイコーインスツルメンツ社製,DMS210)を用いて,周波数10Hz,昇温速度3℃/分で測定を行なった。得られた貯蔵弾性率E′の値を弾性率とする。
【0055】
吸水率測定方法:
厚み25μm,5cm×5cmの正方形に切り出したフィルムを50℃乾燥機中にて24時間乾燥し,このときの重量をwとする。次いで25℃の純水中に24時間フィルムを浸漬し,取り出し後重量を測定してその重量をWとする。フィルムの吸水率は次の式で表される。
吸水率(%)=(W−w)/w×100
【0056】
残存溶媒量測定方法:
試料約50mgをパージ&トラップの試料管に入れ、流速50mL/分のヘリウムガスで揮発分を追い出しながら、250℃×15分の加熱条件で試料を加熱する。この時発生した揮発分を−80℃でトラップし、試料加熱終了後トラップした成分を急速加熱してGC/MS計に導入する。各発生ガス成分の定量については、既知濃度のn−デカンのトルエン希釈溶液を用いて、試料と同じ加熱条件にてパージ&トラップ−GC/MS法測定を行い、各発生ガス成分のピーク面積値を比較することによって各標準試料に対する換算定量値を、試料重量に対する重量分率として算出する。
【0057】
接着強度測定方法:
接着フィルムサンプルを42アロイのプレートに熱圧着して試験片を作成し、圧力を開放後300℃で30秒間アニ−ルした。接着面にかかる圧力はゲージ圧力と接着面積から計算の結果4kgf/cmであった。この試験片について180℃ピール強度の測定を行なった。
【0058】
【表2】
Figure 2004146620
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、低温貼付性が要求される部材に対して100℃〜200℃の貼付が可能なフィルム状接着材を得ることができる。また貼付後の耐熱性、信頼性については硬化成分を含むことから熱処理などの熱履歴を与えることによって,高信頼性と耐熱性を要求するエレクトロニクス用材料等に最適なフィルム状接着剤を提供することができる。

Claims (8)

  1. 半導体パッケージの組立工程において半導体チップとリードフレームを接着する為に用いられる接着部材に使用され、熱可塑性ポリイミド樹脂と熱硬化性樹脂の組み合わせからなるフィルム状接着剤であって、接着成分の示差走査熱量計(以下DSC)の測定において得られる硬化発熱ピークトップの温度が100℃から200℃の間にあることを特徴とするフィルム状接着剤。
  2. 1分子中に少なくとも2個以上のイミド環を含み、かつ90℃〜200℃のガラス転移点を有するポリイミド樹脂、硬化性化合物、該硬化性化合物の硬化剤、及びシランカップリング剤とを含むフィルム状接着剤であって、硬化したフィルムの210℃における弾性率が10〜100MPaであり、かつ吸水率が3重量%以下である請求項1記載のフィルム状接着剤。
  3. ポリイミド樹脂が、アミン成分として、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、式(2)又は(3)で表されるノルボルネン環を含む脂環式ジアミン、及び式(4)で表されるスピロアセタール環を含む脂環式ジアミンの中から選ばれる少なくとも1つのジアミン化合物と、酸成分として、芳香族テトラカルボン酸無水物とを反応させてイミド閉環し、かつ有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂を主たる構成成分とする請求項1又は2記載のフィルム接着剤。
    Figure 2004146620
    Figure 2004146620
    Figure 2004146620
    (式中、R1,R2,R7,R8,R9,R10,R11,及びR12は炭素数1〜4で二価の脂肪族基または芳香族基、R3,R4,R5,およびR6は一価の脂肪族基または芳香族基を表し、kは1〜100の整数である。)
  4. 硬化性化合物が、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、及び1分子中に少なくとも2個以上のシアネート基を有するシアネート化合物の中から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項2又は3記載のフィルム接着剤。
  5. 硬化剤が、分子中に少なくとも1個のイミダゾール環を含む化合物、及びフェノールノボラック構造を有する化合物の中から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項2〜4いずれか記載のフィルム状接着剤。
  6. 請求項1〜5いずれか記載のフィルム状接着剤の接着剤組成物成分、及び溶媒として一般式(5)で表されるフェニルエーテルを含有する溶液を支持体の片面または両面に流延塗布し、加熱乾燥させた後に、残存溶媒量が500ppm以下であることを特徴とする半導体接着テープ。
    Figure 2004146620
    (式中、R13は水素原子または炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基であり、R14は炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基を表す。)
  7. 請求項6記載の半導体接着テープが貼り付いてなることを特徴とするリードフレーム。
  8. 請求項7記載のリードフレームを用いてなる半導体装置。
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