JP3720757B2 - セラミック接合装置及びこれを用いたセラミック接合体の製造方法。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状セラミック焼結体とそれより小さな外形を有する他のセラミック焼結体又は金属を接合するためのセラミック接合装置とこれを用いたセラミック接合体の接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
板状セラミック焼結体とそれより小さな外形を有するセラミック焼結体や金属を接合したセラミック接合体は、さまざまな分野で使用されており、例えば、半導体製造装置では、半導体ウエハーを保持するためのセラミックヒーターやセラミック製静電チャックの如きウエハ支持部材に筒状支持体を拡散接合したものが用いられている。この筒状支持体はウエハ支持部材を真空処理室内に設置するためのもので、ウエハ支持部材を形成する板状セラミック焼結体と同種のセラミック焼結体あるいは熱膨張係数が近似した金属により形成されていた。
【0003】
そして、このような板状セラミック焼結体と、他のセラミック焼結体又は金属を接合する方法としては、例えば、特開平6−241662号公報に開示されたセラミック接合装置を用いることが提案されている。
【0004】
このセラミック接合装置は、図3に示すように、被接合物Wを収容する炉体32と、被接合物Wの接合部に荷重を加える加圧軸40と、この加圧軸40を駆動させる加圧機構41と、加圧軸40からの力を被接合物Wの接合部に均等にかけるための加圧用冶具43とから構成されており、上記炉体32は、金属製容器33内の底面に配置された被接合物Wを載せるカーボン製の台座37と、この台座37上の被接合物Wを包囲するカーボン製の断熱カバー34と、この断熱カバー34内の側面近傍に配置された発熱体35とを具備したもので、ガス排気封入装置38により上記容器33内のガスを排出したり、ガスを充填するとともに、電源装置36より通電して発熱体35を発熱させることで炉体32内を加熱するようになっていた。なお、39は敷板である。
【0005】
また、加圧軸40は金属製容器33の上部壁に設けられたシールガイド42の貫通穴に気密に挿通されており、加圧軸40は油圧シリンダー等の加圧機構41によって駆動させ、被接合物Wを押圧するようになっていた。
【0006】
そして、このセラミック接合装置31により、板状セラミック焼結体とそれより小さな外形を有するセラミック焼結体や金属を接合する場合、上記台座37に敷板39を介して被接合物Wである板状セラミック焼結体を載せるとともに、この板状セラミック焼結体上に接合剤を介して外形の小さなセラミック焼結体又は金属を載せた後、発熱体35によって炉体32内を所定の温度に加熱するとともに、加圧機構41によって加圧軸40を降下させ、加圧用治具43を介して板状セラミック焼結体上におかれたセラミック焼結体又は金属を押圧することにより、板状セラミック焼結体とそれより小さな外形を有するセラミック焼結体や金属を接合するようになっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図3に示すようなセラミック接合装置31によって、板状セラミック焼結体とそれより外形の小さなセラミック焼結体や金属を接合すると、板状セラミック焼結体が変形したり、反りが発生することがあり、接合前の寸法精度を保った状態で接合することができないといった課題があった。
【0008】
即ち、焼結されたセラミック焼結体同士や、焼結されたセラミック焼結体と金属とを接合するには、セラミック焼結体が塑性変形する高温にまで加熱する必要があるが、図3に示すセラミック接合装置31は、このような高温状態で板状セラミック焼結体と他のセラミック焼結体又は金属との接合領域のみを加圧する構造であることから、図4に示すように、板状セラミック焼結体の加工用治具43によって押圧される部分が変形し、その外周部が浮き上がって反りが発生するといった課題があった。
【0009】
その為、板状セラミック焼結体がウエハ支持部材のように、高い平面精度が要求され、変形や反りを嫌うものである場合、変形度合いに応じて再度板状セラミック焼結体に研削加工や研磨加工を施さなければならず、加工工程が増えるため、作業が煩雑になるとともに、製造コストが高くなるといった課題があった。
【0010】
また、ウエハ支持部材がセラミックヒーターやセラミック製静電チャックである場合、板状セラミック焼結体中にヒータ用電極や静電吸着用電極が埋設されているのであるが、図3に示すセラミック接合装置31によって接合を行うと、板状セラミック焼結体の変形によってその内部に埋設されているヒータ用電極や静電吸着用電極も変形し、半導体ウエハーを載せる載置面からヒータ用電極や静電吸着用電極までの距離を一定に保てなくなり不良品となるため、製造歩留りが悪いといった課題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題に鑑み、本発明のセラミック接合装置は、板状セラミック焼結体と、この板状セラミック焼結体より小さな外形を有するセラミック焼結体又は金属とからなる被接合物を載せる台座を備えた炉体と、上記板状セラミック焼結体上に載せたセラミック焼結体又は金属との接合面に荷重を加える加圧軸と、加圧軸によって上記板状セラミック焼結体上に載せたセラミック焼結体又は金属を押圧する加圧用治具と、上記加圧軸を駆動させる加圧機構と、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く上記板状セラミック焼結体の露出面に荷重を加える重しとから構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は上記セラミック接合装置の台座に板状セラミック焼結体を載せるとともに、板状セラミック焼結体上に外形の小さなセラミック焼結体又は金属を載せ、さらに上記セラミック焼結体又は金属上には加圧用治具を、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く板状セラミック焼結体の露出面には重しをそれぞれ載せた状態で、炉体内を接合温度に加熱し、次いで上記加圧機構により加圧軸を降下させて加圧用治具を押圧することにより、外形の小さなセラミック焼結体又は金属を板状セラミック焼結体に接合したセラミック接合体を製造するようにしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は本発明のセラミック接合装置を示す概略断面図である。
【0015】
このセラミック接合装置1は、板状セラミック焼結体51と、板状セラミック焼結体51より小さな外形を有するセラミック焼結体や金属からなる被接合物Sを収容する炉体2と、上記板状セラミック焼結体51上に載せたセラミック焼結体又は金属との接合部に荷重を加える加圧軸10と、この加圧軸10によって上記板状セラミック焼結体51上に載せたセラミック焼結体又は金属を押圧する加圧用治具18と、上記加圧軸10を駆動させる加圧機構16と、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く板状セラミック焼結体51の露出面に荷重を加える重し21とからなり、上記炉体2は、金属製容器3内の底面に配置した被接合物Sを載せるカーボン製の台座5と、この台座5上の被接合物Sを包囲するカーボン製の断熱カバー4と、この断熱カバー4内の側面近傍に配置する発熱体6とから構成してある。
【0016】
加圧軸10は、金属製容器3の上部壁に設けられたシールガイド9の貫通穴に気密に挿通されており、加圧軸10は油圧シリンダー等の加圧機構16によって駆動させ、被接合物Sに荷重を加えるようになっている。
【0017】
加圧用治具18や重し21は、被接合物Sの加圧領域の形状に合わせてさまざまな形状を採用することができ、図2に示すようなセラミック接合体を製造する場合、加圧用治具18としては、筒状体52のフランジ部53のほぼ全面を押圧する有底筒状体19をしたものが良く、重し21としては、筒状体52との接合領域を除く板状セラミック焼結体51の露出面のほぼ全面を押圧する円筒状体をしたものを用いれば良い。
【0018】
また、加圧軸10を形成する材質としては、2500℃前後の温度にも耐え得るカーボンを好適に用いることができる。ただし、カーボンは硬度がそれ程大きくなく、摺動部分に用いると摩耗し易いことから、図1に示すように、シールガイド9と摺動する軸後端部11を超鋼合金やステンレス鋼(SUS304)等の金属により形成し、発熱体6によって高温に加熱される軸先端部12をカーボンにより形成した接合体を用いることが好ましい。
【0019】
さらに、加圧用治具18を形成する材質としては、加圧軸10と同様に、2500℃前後の温度にも耐え得るカーボンを用いることができるが、被接合物Sとの当接面までカーボンにより形成すると、押圧時にカーボンが被接合物Sに付着して品質低下を招くため、図1に示すように、治具本体19の少なくとも当接面を含む治具先端部20をセラミック焼結体により形成した接合体を用いることが好ましい。
【0020】
また、重し21を形成する材質としては、2500℃前後の温度にも耐え得るとともに、できるだけ比重の大きなものが良く、例えば、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素等を主成分とするセラミック焼結体を用いることができる。
【0021】
なお、7は発熱体6に通電するための電源装置、8は金属製容器3内にガスを供給したり、容器3のガスを排出するためのガス排気封入装置である。
【0022】
次に、図2に示すセラミック接合体を図1に示すセラミック接合装置1により製造するための方法について説明する。
【0023】
まず、台座5上に被接合物Sである板状セラミック焼結体51を載せるとともに、板状セラミック焼結体51上の所定位置に接合剤を介してセラミック焼結体又は金属からなる筒状体52のフランジ部53を当接させて載せる。この時、台座5と板状セラミック焼結体51との間には、セラミック焼結体からなる敷板24を配置して台座5のカーボンが板状セラミック焼結体51に付着することを防止する。
【0024】
そして、筒状体52のフランジ部53を押圧する加圧用冶具18をセットする。また、板状セラミック焼結体51の接合領域を除く露出面には、窒化ホウ素等の離形剤を塗布してセラミック焼結体からなる敷板22を載せ、その上に重し21を載せる。この時、重し21は、筒状体52のフランジ部53を加圧軸10で押圧した際に板状セラミック焼結体51の接合領域を除く露出面が変形することを防止する程度の加圧力があれば良く、例えば、フランジ部53に加える押圧力が5000N以下であれば、10〜300Nの重量を有する重し21を用いれば良い。
【0025】
次に、ガス排気封入装置8により金属製容器3内のガスを排気して真空度100Pa以下に減圧する。そして、金属製容器3内を減圧しながら電源装置7により通電して発熱体6を発熱させ、台座5上に載せた被接合物Sを加熱する。この時、昇温速度は、被接合物Sの外周部と中央部の温度差が200℃以上とならないように、200℃/時間以下の速度で昇温することが好ましい。
【0026】
また、昇温と同時に加圧機構16によって加圧軸10がそれぞれ被接合物Sの加圧面に載せた加圧用治具18に接触する寸前まで降下させる。このようにすることで、加圧軸10の熱容量による炉体2内の温度の変動を防止することができる。
【0027】
次いで、金属製容器3内の温度を、板状セラミック焼結体51が塑性変形する温度にまで加熱した段階で、加圧軸10を加圧用治具18と当接させ、筒状体52のフランジ部53のほぼ全体を押圧する。ここで、発熱体6により加熱する温度を、板状セラミック焼結体51が塑性変形可能な温度としたのは、セラミック焼結体は脆性材料であるため、塑性変形可能な温度より低い温度で加圧すると、板状セラミック焼結体51や他のセラミック焼結体が破損する恐れがあるからである。
【0028】
しかる後、金属製容器3内の温度が所定の接合温度となるまで加熱した段階で、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53との接合部における加圧力が1〜5MPaとなるように押圧するとともに、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53との接合部に加える荷重をA、重し21により板状セラミック焼結体51の露出面に加える荷重をBとした時、その比率(A/B)が10〜100となるように加圧し、この状態を1〜2時間保持する。
【0029】
ここで、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53との接合部に加える圧力を1〜5MPaとしたのは、板状セラミック焼結体51と筒状体52の寸法にもよるが、圧力が1MPa未満となると十分な接合強度を得ることができず、逆に圧力が5MPaを超えると、板状セラミック焼結体が変形してしまうからである。
【0030】
また、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53との接合部に加える荷重をA、重し21により板状セラミック焼結体51の露出面に加える荷重をBとした時、その比率(A/B)が10〜100となるように加圧するのは、比率(A/B)を10未満とするようなセラミック焼結体製の重し21を製作することが実用上難しいからであり、逆に比率(A/B)が100を超えると、筒状体52のフランジ部53に加える荷重Aに対して、板状セラミック焼結体51の露出面に加える荷重が小さくなり、重し21による加圧力により板状セラミック焼結体51の変形を防止する効果が小さいからである。
【0031】
さらに、加圧軸10が加圧用治具18と当接してからの下降速度は、板状セラミック焼結体51の材質や厚みにもよるが、窒化アルミニウム等の窒化物やアルミナ製の板状セラミック焼結体で、接合部の板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53を加えた厚みが50mmであれば10mm/s以下とすることが良い。なぜなら、加圧軸10が加圧用治具18と当接してからの下降速度が10mm/sを超えると、板状セラミック焼結体51中に加圧力が急速に伝わり、板状セラミック焼結体51が変形し易くなるからであり、好ましくは2mm/s以下とすることが良い。
【0032】
しかる後、加熱温度を徐々に下げ、塑性変形し難い温度になったところで加圧軸10による加圧を止め、さらに炉体2内の温度が200℃以下になるまで下げることにより板状セラミック焼結体51に筒状体52を接合したセラミック接合体を得ることができる。
【0033】
そして、本発明によれば、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52との接合部に荷重を加えるとともに、重し21により板状セラミック焼結体51の接合領域以外の露出部に荷重を加えるようにしたことから、従来例と比較して板状セラミック焼結体51の反りを抑えることができるとともに、加圧軸10と重し21により加える荷重を前述した範囲に調整することにより、板状セラミック焼結体51の反りを大幅に防止するとともに、筒状体52と強固に接合することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良や変更されたものも含むものであることは言う迄もない。
【0035】
【実験例】
(実験例1)
以下、本発明の具体例として、円板状をした板状セラミック焼結体51からなるセラミックヒーターと、円筒状をしたセラミック焼結体からなる筒状体52とを接合したウエハ支持部材を本発明のセラミック接合装置及び接合方法を用いて製造した例について説明する。
【0036】
まず、セラミックヒーターを製作するには、純度99%の窒化アルミニウム粉末に、0.1重量%の炭酸カルシウムを添加した原料粉末100重量%に対してアクリル系バインダーを6重量%添加し、溶剤とともに混合してスラリーを準備し、ドクターブレード法にて窒化アルミニウムのグリーンシートを複数枚作製した。
【0037】
次に、得られた複数枚のグリーンシートを略正方形のシート状に切断し、数枚のグリーンシート間に密着液を介して積み重ね、80℃に加熱しながら3MPaの力で加圧することによりシート同士を圧着させてシート積層体を製作した。
【0038】
そして、シート積層体の表面にスクリーン印刷機を用いてヒータ用電極となる導体ペーストを所定のパターン形状に印刷した後、導体ペーストを覆うように残りの数枚のグリーンシートを積み重ねて熱圧着し、さらにスクリーン印刷機を用いて静電吸着用電極となる導体ペーストを所定のパターン形状に印刷し、導体ペーストを覆うように残りのグリーンシートを積み重ねて熱圧着することによりシート積層体を得た。
【0039】
ただし、シート積層体の厚みは18mm、シート積層体の表面から静電吸着用電極となる導体ペーストが埋設されている深さは凡そ1.0mm、シート積層体の表面からヒータ用電極となる導体ペーストが埋設されている深さは凡そ9mmとなるようにした。
【0040】
次いで、得られたシート積層体に切削加工を施して円盤状に形成した後、窒素雰囲気中で300℃に加熱して脱脂、炭化処理を施した後、さらに350℃の酸素雰囲気中で加熱して炭化量を0.5重量%以下となるように調整し、しかる後、2100℃、4.5MPaの窒素ガス雰囲気中で焼成することにより、静電吸着用電極とヒータ用電極を埋設した板状セラミック焼結体を得た。
【0041】
そして、板状セラミック焼結体51に精密加工を施してその外形を直径300mm、厚み12.5mmとなるようにし、次いで上面に研磨加工を施して載置面を形成するとともに、下面に静電吸着用電極及びヒータ用電極へ通電するための給電端子を接合する穴を穿孔した。そして、筒状体52を接合した後、この穴にFe−Ni−Co製の給電端子を挿入して1000℃の温度でロウ付けすることによりセラミックヒーターを製作した。なお、得られた板状セラミック焼結体51の載置面における平面度を測定したところ10μmであった。
【0042】
一方、筒状体52を製作するには、純度99%の窒化アルミニウム粉末に、0.1重量%の炭酸カルシウムを添加した原料粉末100重量%に対してアクリル系バインダーを6重量%添加し、溶剤とともに混練乾燥して造粒粉を製作した。
【0043】
次に、この造粒粉を心金を有したゴム型中に充填し、80MPaの圧力でラバープレス成形することにより筒状の成形体を製作した後、外形を切削加工にて加工することにより、一端にフランジ部を有する筒状成形体を得た。
【0044】
次いで、板状セラミック焼結体51と同様に、窒素雰囲気中で300℃に加熱して脱脂、炭化処理を施した後、さらに350℃の酸素雰囲気中で加熱して炭化量を0.5重量%以下となるように調整し、しかる後、2100℃、4.5MPaの窒素ガス雰囲気中で焼成することにより焼結させ、セラミック焼結体の外形を精密研削することにより、筒状部の外形が50mm、肉厚が5mm、フランジ部の外形が直径80mm、内径70mm、長さが500mmのフランジ部を有する筒状体52を製作した。
【0045】
そして、得られた板状セラミック焼結体51と筒状体52とを接合するには、図1に示すセラミック接合装置1の台座5上に窒化ホウ素からなる敷板24を介してセラミックヒーターとしての板状セラミック焼結体51の下面を上にして載せるとともに、板状セラミック焼結体51の所定位置に筒状体52のフランジ部を当接させて載せ、さらに上記フランジ部の接合面と反対側の表面上に、加圧用治具である窒化硼素製のリング状をした治具先端部20とカーボン製の有底筒状をした加圧用治具19本体を順次載せるとともに、板状セラミック焼結体51の接合領域を除く露出面上に、重し21である窒化硼素製のリング状をした治具先端部23とカーボン製の筒状をした加圧用治具22本体を順次載せた。なお、板状セラミック焼結体51と筒状体52との接合部には、接合剤として、窒化アルミニウム粉末100重量%に対して炭酸カルシウムを1重量%添加したペーストを塗布した。
【0046】
次に、炉体2内を密閉し、ガス排気導入装置8により炉体2内を減圧し、電源装置7に通電して発熱体6を発熱させることにより被接合物Sである板状セラミック焼結体51及び筒状体52を加熱して水分等を除去した後、1200℃まで200℃/時間の速度で昇温し、1200℃で炉内に100kPaの窒素ガスを導入し、上記窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラミック焼結体51及び筒状体52が容易に塑性変形し出す1800℃の温度で加圧軸10により加圧軸10の下降速度を1mm/sとして加圧した。この時、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状セラミック焼結体52との接合面間には約3MPaの圧力が加わるとともに、加圧軸10の荷重は重し21により板状セラミック焼結体51の接合領域を除く露出面に加える荷重の50倍となるようにした。
【0047】
そして、1800℃〜1900℃までは60℃/時間の速度で昇温し、1900℃の温度で1時間保持した。
【0048】
ここで、接合温度を1800℃〜1900℃としたのは、接合温度が1800℃より低いと、接合剤を液化させ、板状セラミック焼結体や筒状体52に拡散させることができず、強固な接合力を得ることができない。また、AlN純度が99%以上である高純度窒化アルミニウム質セラミック焼結体が塑性変形せず、加圧軸10による押圧力によって板状セラミック焼結体51や筒状体52が破損するからであり、逆に、接合温度が1900℃を超えると、AlN純度が99%以上である高純度窒化アルミニウム質セラミック焼結体の塑性変形スピードが大きくなりすぎ、加圧軸10や重し21による押圧力によって板状セラミック焼結体や筒状体の変形を防止することが難しいからである。
【0049】
その後、加圧した状態で温度を200℃/時間の速さで下げ、炉体2内の温度が1600℃となった時点で加圧軸10を加圧用治具18より離して加圧力をゼロとする。そして、200℃/時間の速度で炉体2内の温度を800℃まで温度を下げた後、炉体2内に窒素ガスを供給してそのガス圧を200kPaとし、炉体2内の温度を速く低下させるようにした。そして、炉体2内の温度が200℃以下となった時点で、板状セラミック焼結体51からなるセラミックヒーターとセラミック焼結体からなる筒状体52とが一体的に接合されたセラミック接合体を得た。
【0050】
そして、得られたセラミックヒーターの載置面における平面度を測定したところ200μmと、接合前の平面度に対して20倍程度に留めることができた。
【0051】
また、セラミックヒーターの載置面に、熱電対を取り付けたシリコンウエハを載せて発熱させ、シリコンウエハの表面温度を赤外線温度測定器で測定しながら平均温度が700℃となった時点での熱電対によるシリコンウエハの温度を測定したところ、温度ばらつきは6℃と小さく、ウエハを均一に加熱することができた。
【0052】
これに対し、図4に示す従来のセラミック接合装置を用いて上記セラミックヒーターと筒状体52とを接合したものも製作したところ、接合後のセラミックヒーターの載置面における平面度は500μmと、接合前の平面度に対して50倍も変形していた。
【0053】
また、図3に示す従来のセラミック接合装置を用いて接合したセラミックヒーターの載置面に、熱電対を取り付けたシリコンウエハを載せて発熱させ、シリコンウエハの表面温度を赤外線温度測定器で測定しながら平均温度が700℃となった時点での熱電対によるシリコンウエハの温度を測定したところ、温度ばらつきが20℃もあり、ウエハを均一に加熱することができなかった。
(実験例2)
次に、実験例1で製作した板状セラミック焼結体51と筒状セラミック焼結体52とを図1に示すセラミック接合装置を用いて接合するあたり、加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53との接合部に加える荷重(A)と、重し21により板状セラミック焼結体の露出面に加える荷重(B)とを異ならせた時の接合後に、セラミックヒーターの載置面における平面度を測定し、接合部のヘリウムリークの有無をヘリウムリークテスターで測定した。
【0054】
結果は表1に示す通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
この結果、試料No.1のように加圧軸10により板状セラミック焼結体と筒状支持体のフランジ部との接合部に加える荷重(A)と、重し21が板状セラミック焼結体の露出面に加える荷重(B)との比率(A/B)が10未満となると、セラミックヒーターの載置面の平面度の変化は抑えることができるものの、重しの重量が大きくなり過ぎ、加熱時に板状セラミック焼結体51の周辺部と中央部の温度差が大きくなり昇温中に板状セラミック焼結体が割れた。
【0057】
これに対し、試料No.2から12のように加圧軸10により板状セラミック焼結体51と筒状体52のフランジ部53との接合部に加える荷重(A)と、重しにより板状セラミック焼結体51の露出面に加える荷重(B)との比率(A/B)を10〜100とすれば、板状セラミック焼結体51を大きく変形させることがなく、また、セラミックヒーターの載置面の平面度を小さくすることができることが分かる。
【0058】
さらに、試料No.14のように加圧軸10の下降速度が大きいと板状セラミック焼結体51が破損した。従って、加圧軸10の下降速度を10mm/s以下とすることで板状セラミック焼結体の破損することなく反り量を低減できることが分かった。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセラミック接合装置によれば、板状セラミック焼結体と、この板状セラミック焼結体より小さな外形を有するセラミック焼結体又は金属とからなる被接合物を載せる台座を備えた炉体と、上記板状セラミック焼結体上に載せたセラミック焼結体又は金属との接合面に荷重を加える加圧軸と、加圧軸によって上記板状セラミック焼結体上に載せたセラミック焼結体又は金属を押圧する加圧用治具と、上記加圧軸を駆動させる加圧機構と、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く上記板状セラミック焼結体の露出面に荷重を加える重しとから構成したことによって、大きな外形を有する板状セラミック焼結体に反りを発生させたり、変形させたりすることなく、小さな外形を有する他のセラミック焼結体又は金属を強固に接合することができる。
【0060】
また、本発明は、上記セラミック接合装置の台座に板状セラミック焼結体を載せるとともに、板状セラミック焼結体上に外形の小さなセラミック焼結体又は金属を載せ、さらに上記セラミック焼結体又は金属上には加圧用治具を、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く板状セラミック焼結体の露出面には重しをそれぞれ載せ、重しの自重で上記露出面を押圧し、この状態で炉体内を接合温度に加熱した後、上記加圧機構により加圧軸を降下させて加圧用治具を押圧し、接合部に加える加圧力を1〜5MPaとするとともに、その時の荷重をA、上記接合領域を除く板状セラミック焼結体の露出面に加える荷重をBとした時、その比率(A/B)が10〜100となるようにし、板状セラミック焼結体に小さな外形を有するセラミック焼結体又は金属を接合するようにしたことによって、板状セラミック焼結体に反りを発生させたり、変形させたりすることなく、他のセラミック焼結体又は金属と強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック接合装置を示す概略断面図である。
【図2】本発明のセラミック接合装置で接合するセラミック接合体の構造を示す図で、(a)はその断面図、(b)はその底面図である。
【図3】従来のセラミック接合装置を示す概略断面図である。
【図4】図3のセラミック接合装置による被接合物の接合状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:セラミック接合装置
2:炉体
3:金属製容器
4:断熱カバー
5:台座
6:発熱体
7:電源装置
8:ガス排気封入装置
9:シールガイド
10:加圧軸
16:加圧機構
18:加圧用治具
21:重し
24:敷板
31:セラミック接合装置
32:炉体
33:金属製容器
34:断熱カバー
35:発熱体
36:電源装置
37:台座
38:ガス排気封入装置
39:敷板
40:加圧軸
41:加圧機構
42:シールガイド
43:加圧用治具
Claims (3)
- 板状セラミック焼結体と、該板状セラミック焼結体より小さな外形を有するセラミック焼結体又は金属とからなる被接合物を載せる台座を備えた炉体と、上記板状セラミック焼結体上に載せたセラミック焼結体又は金属との接合面に荷重を加える加圧軸と、該加圧軸によって上記板状セラミック焼結体上に載せたセラミック焼結体又は金属を押圧する加圧用治具と、上記加圧軸を駆動させる加圧機構と、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く上記板状セラミック焼結体の露出面に荷重を加える重しとを有することを特徴とするセラミック接合装置。
- 請求項1に記載のセラミック接合装置の台座に板状セラミック焼結体を載せるとともに、該板状セラミック焼結体上に外形の小さなセラミック焼結体又は金属を載せ、さらに上記セラミック焼結体又は金属上には加圧用治具を、上記セラミック焼結体又は金属との接合領域を除く板状セラミック焼結体の露出面には重しをそれぞれ載せた状態で、炉体内を接合温度に加熱し、次いで上記加圧機構により加圧軸を降下させて加圧用治具を押圧することにより、外形の小さなセラミック焼結体又は金属を板状セラミック焼結体に接合するようにしたことを特徴とするセラミック接合体の製造方法。
- 上記加圧用治具を押圧する際の加圧軸の下降速度を10mm/s以下としたことを特徴とする請求項2に記載のセラミック接合体の製造方法。
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