JP3718683B2 - 振動遮断接続装置及び構造物の振動遮断接続機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は機械・建築・土木などの一般の構造物における防振・制振・免震・耐震、振動絶縁あるいは振動遮断に関する、主として受動的な防振技術である。
【0002】
【従来の技術】
従来の受動的な防振技術の本質は、種々の改良が試みられてはいるが、摩擦ダンパ(粘性または乾燥摩擦ダンパ)の附加により振動エネルギを消散することにより構造物の振動を抑制・減衰させる手法、および構造物内の特定のブロック(剛体的部分)にダイナミックダンパ(動吸振器)を附加することにより、そのダイナミックダンパの固有振動数に等しい振動数の加振入力に対して、そのブロックの振動を局所的に抑制する手法とにほぼ限定されている。
【0003】
すなわち従来の防振技術において防振の手段として用いられている主な要素は摩擦ダンパとダイナミックダンパ(これは質量とバネ、時には摩擦ダンパを含む)であり、本発明で主役をなす慣性接続要素(直列慣性とも呼ばれる)を利用した例は見当らない。(例えば、日本機械学会編,機械工学便覧A3力学・日本機械力学版,および日本機械学会編,耐振設計と構造動力学,日本工業出版版参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく従来の防振技術においては、制振手段として主として粘性摩擦ダンパおよびダイナミックダンパを用いる。しかし粘性摩擦ダンパは共振振幅の抑制と、一旦生じた振動の減衰を早める効果を与えるが、加振源よりの振動力の伝達を阻止する特性は全く有せず、加振入力の下で構造物またはその一部を静止させる能力は持たない。
【0005】
一方ダイナミックダンパは、加振振動数に対応してダイナミックダンパが適確に調整されている場合には、そのダイナミックダンパを附加した構造物内のブロックを静止させる能力を持ちうる。しかしその場合にダイナミックダンパ自体は大振幅の振動を生ずるため、疲労破壊を生じやすい。のみならず、このダイナミックダンパの大振幅振動は、一旦加振入力が停止した時には、逆に構造物を加振することになり、有害なものと化す。
【0006】
なお1つのダイナミックダンパは振動系としての元構造物に新たな1自由度を附加するものであり、したがって新たな共振点を生じ、構造物の振動特性を複雑化するなどの様々な問題点を有する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の問題点を解決するために、本発明においては、加振源から構造物中に伝わる振動力の伝達経路となる要所の強度部材または接続機構に前記[特許請求の範囲]で規定した特性、すなわちその接続剛性を保有したままに振動力を遮断する特性を附与して振動力の伝達を遮断する手段を用いる。これにより振動系としての元構造物に新たな自由度を加えることなしに、構造物全体あるいはそのある領域を、加振入力下においても完全な静止状態に置くことが可能となるのみならず、特定次の共振振動を実質的に抑制する等、構造物の振動特性を効果的に改善することができる。
【0008】
以下に本発明の振動遮断接続装置の作動原理につき述べる。
図1に2構造物(本明細書において、2つの構造物というときは、1構造物内の2つの部分構造を接続する場合を含む。)A,Bの本接続装置による接続状況の抽象図を示す。この図では本接続装置の本質的構成要素である弾性接続要素kSおよび慣性接続要素mS の他に、後の説明に関連して、点線で粘性接続要素(粘性摩擦ダンパ)CSも描き加えられている。
【0009】
本接続装置は前記[特許請求の範囲]で規定した2種の要素で構成されているので、本接続装置を通しての伝達合力Qは次式で与えられる:
【数8】
【0010】
本接続装置で連結された全構造物の何処かに、円振動数ωの強制振動力または強制振動変位が加わって定常振動あるいは準定常振動状態に全構造物がある場合には、この構造物に属する2つの節点変位成分qA,qBも等しく振動状態にある。
【0011】
したがって、全構造物内に粘性摩擦ダンパ等が含まれている場合をも含めqA,qBの振動の位相差をも考慮して振動の複素数表示を用いて示せば、両接続端の変位は:
【数9】
両接続端の加速度は:
【数10】
となり、ここにAA,ABはqA,qBの複素振幅である。したがって、これらを式(1)に代入すれば、伝達合力は:
【数11】
ただしここにFは伝達合力Qの複素振幅である。
【0012】
したがって、式(4)より明白なように、
(kS−mSω2)=0 ∴ω=(kS/mS)1/2……………(5)
であるならば、本接続装置はそれを通しての振動力の伝達を完全に遮断する特性を持つ。
【0013】
式(4)で示される本接続装置の伝達特性を、代表する2定数kS,mSをもって無次元化すれば、図1に点線で描き加えた粘性接続要素CSの効果をも含めた形で、接続装置伝達率τは:
【数12】
ただしここに
【数13】
が得られる。
【0014】
この伝達率τは,接続装置両端に同振幅の相対変位が静的に加わったとき(ω=0)の伝達力と、振動的に加わった時(ω≠0)のそれとの比を与えるもので、接続される構造物の振動特性とは全く無関係に、接続装置そのものの接続特性を代表するものである。
【0015】
図3(a)に、本発明の振動遮断接続装置のτ−特性を実線カーブで示す。図より明らかなごとく、本接続装置はη=1(すなわち強性加振円振動数ωが本接続装置の遮断振動数ωS=(kS/mS)1/2に一致する点)で完全な振動力遮断特性を示し、η=0〜√2の変域でτ<1、すなわち振動力遮断効果を示す。
【0016】
附記した破線カーブ群は、本接続装置に粘性接続要素CSを加えた時のもので、この粘性CSの増大(ζの増大)は一方的に振動力遮断特性を低下させること(τを増大させること)が見られる。すなわち粘性を本接続装置に加えることは、遮断効果を阻害する。
比較のために、従来よく用いられている(バネkS)+(粘性摩擦ダンパCS)接続装置のη〜τ曲線を図3(b)に示す。図に明らかなごとく、この接続装置はηの全変域でτ>1、すなわち振動力遮断効果を全く示さない。
【0017】
【発明の実施の形態】
(1)慣性接続要素の実体
次に本発明の振動遮断接続装置を構成する2要素中、特に“慣性接続要素”と呼んだ実体につき述べる。その本質は、電気回路と線形集中定数的な機械回路との類推理論(アナロジー)において、電流〜力、電圧〜変位対応の類推で、4端子電気回路網での“直列容量”に対応する機械系の要素として“直列慣性”または“直列質量”と概念的に呼ばれたものに他ならない。
【0018】
全く同様に同じ対応の類推で、本発明で“弾性接続要素”と呼んだものは、4端子電気回路での“直列インダクタンス”に対応する機械系の要素として“直列バネ”と呼ばれているものに他ならない。(例えば、高橋利衛著,振動学演習II,113頁、オーム社版、および中田孝著、工学解析、285頁、オーム社版参照)。
【0019】
本発明において敢えて通常的な呼称でない“――接続要素”の表現を用いたのは、1つの変位成分に集中的に附加される慣性(質量)あるいは弾性拘束(バネ)とは区別して、2つの変位成分間を結ぶ要素であることを強調したいためのものである。
【0020】
ところが、直列バネ(弾性接続要素)に理論的に附与されている特性は、それにより結ばれる2変位成分が1直線に沿う直線変位成分であれば伸縮バネにより、同軸の回転変位成分であれば捩りバネに類する単体の機械要素により実現されるのに反し、直列慣性(慣性接続要素)に理論的に附与されている特性を実現する単体の機械的要素は見出されていない。したがって従来、これを実現する種々な機構が試みられているが、期待される特性を純粋に精度よく実現する機構は見当らない。
【0021】
2つの直線変位成分を結ぶ直列慣性の特性を一応実現する機構として、現今の文献(例えば前出の高橋利衛および中田孝の文献参照)に現れるほぼ唯一のものは、図2に見る機構である。この機構は、集中質量4mS以外のすべてのリンクの慣性を無視し、また2本の垂直リンクが垂直位置の近傍でのみ作動する微少変位の範囲で、確かに純粋な直列慣性(慣性接続要素)の特性を示す。
【0022】
しかしこの機構の致命的な欠点は、その機構申に不動支点Sを必要としている点にある。例えば宇宙空間で2つの宇宙船の接続点間を振動遮断的に連結したい場合、あるいはより卑近な鉄道車両の連結の場合ですら、接続機構中にそのような不動支点は得られるはずもない。建築物の耐震設計において、もし仮にそのような不動支点が得られるなら、初めからその不動支点の上に建築物を構築しさえすればよいのである。
【0023】
すなわち、従来の構造物の防振・耐震技術のうちに、直列慣性要素を利用した具体例が見当らないが、その理由は直列慣性の特性を不動支点を要さずに実現し得る適当な機構が見出しがたかった点にあるとも思われる。(例えば前記の文献,耐震設計と構造力学,日本機械学会編,日本工業出版版参照)。
【0024】
上述を技術的背景として、したがって本発明の要点は、防振技術に実用し得るような、慣性接続要素(直列慣性)の特性を実現する具体的な機構を与えたことにある。
【0025】
(2)一般接続機構からの慣性接続要素特性の抽出
2つの接続点変位成分qA,qBを連結する接続機構として、3つの条件すなわち、
a.線形性
b.エネルギ保存性
c.無自由度性(両接続端の自由度qA,qB以外の新たな自由度を附 加しないこと)
の3条件を満たす機構を想定するならば、それがどのようなものであれ全く一般的に、その機構に蓄積される位置エネルギは、
【数14】
の形で与えられ、ここに正方マトリクス[k]は剛性マトリクスであり、その対称性(kAB=kBA)は保証されている。
【0026】
しかしqA,qBが一直線に沿う(または2平行線上の)直線変位、あるいは一軸まわりの回転変位である場合には、直ちにこの弾性接続要素の特性を実現するものとして、その剛性(バネ定数)kSの伸縮バネ、あるいは捩りバネを用いることができ、この場合、位置エネルギは言うまでもなく、
【数15】
となる。これは正に[特許請求の範囲]で規定した弾性接続要素の特性に外ならない。
【0027】
一方、接続機構に対する上記の3条件の下で、そこに蓄積される運動エネルギは一般に、
【数16】
で与えられ、式中の正方対称マトリクス[m]は慣性(質量)マトリクスである。これを展開・変形すれば、次式のように記すことができる:
【数17】
【0028】
上式においてmAB=mBA=−mSと記せば、全く一般的に、この運動エネルギは、
【数18】
となり、この{}内の第3項
【数19】
は、正に[特許請求の範囲]で規定した“慣性接続要素”の特性を示す項である。
【0029】
しかし余分な他の2項が存在するため、この一般的な機構の慣性特性は純粋な慣性接続要素(直列慣性)ではない。しかしながら余分なこの2項は、その形から容易に知られるように、
【数20】
は変位qAに集中附加された質量(mAA+mS),
【数21】
は変位qBに集中附加された質量(mBB+mS)を意味するものに外ならない。
【0030】
したがって、思考上、これらの質量を、この接続機構で連結される以前の節点変位qA,qBに本来集中附加されていた質量mA,mBの中に含めてしまえば、接続機構そのものの運動エネルギは
【数22】
となる。
【0031】
すなわち、前記の3条件を満たす任意の接続機構から、その慣性マトリクス(式(9))中の非対角項mAB=mBA=−mSが負値で存在するかぎり、本発明の振動遮断接続機構を構成する慣性接続要素(直列慣性)の特性を抽出することができる。
【0032】
(3)発明の具体的な機構例
以上では本発明の基づく理論面の説明にのみ終始したが、上述の観点の下に、それを実現する具体的な機構の代表的な数例を以下の図4〜図12に示す。
【0033】
機構の本質が理解し易いために、主としてレール上を走行する2つの台車A,Bの連結の場合に例を取り示すことにする。
【0034】
ただし、それらの機構例の説明においては、慣性接続に主役をなす主慣性体(図では交差斜線をほどこした物体)以外のリンクやロッカーアームその他の機構要素の慣性は一応無視する。それは上述の一般論から、主慣性体以外の慣性は等価的に両台車の質量(mA,mB)中に、あるいは主慣性体自体に含め得るからである。
【0035】
機構例その1:[図4],その2:[図5]
図4,図5の機構例は、共に微少変位の範囲で、質量mSの垂直変位およびバネkSの伸縮を等しく|qA−qB|で与える。したがって、両機構の位置エネルギUと運動エネルギTは、
U=1/2・kS(qA−qB)2,
【数23】
で与えられ、バネkSは弾性接続要素,質量mSは慣性接続要素の特性を実現している。すなわち、これらの機構は共に本発明の振動遮断接続機構の極めて単純なものの一例であり、その遮断円振動数はωS=(kS/mS)1/2である。
【0036】
この2つの機構での慣性接続機構は単純でありながら、図2に見る従来提案されている機構に比べ、機構中に不動支点を持たないという大きな利点を持つ。すなわち、走行中の2台車の連結にも適用し得るものである。
しかし2要素のこの配置のままであると、3つの欠点を有する。それらはレールに沿う1次元空間内の問題として捕らえているかぎりでは解析の対象とならないが、現実の3次元空間では問題となる。
【0037】
その欠点の第1は、両図に見るごとく、弾性接続力の作用線e−eと慣性接続力の作用線i−iとの不一致であり、両力が力として相殺する遮断振動数においても、現実には望ましくない伝達モーメントを生ずる。
【0038】
欠点の第2は、これは台車Aに属する質量系中に質量mSの上下運動が上下方向の運動量変化をもたらし、したがって、その反力がレールに及ぶことである(ただしこの質量mSの上下運動は台車Aに属する質量系の水平方向の運動量には何の影響も及ぼさない)。
【0039】
欠点の第3は、質量mSの上下変位xを接続点Pの水平変位に変換するメカニズムの非線形性(微少変位では無視されるが)である。
【0040】
第1の欠点は、バネkSの挿入位置を上部に点線で示した位置に移すことにより除去される。すなわち弾性・慣性の接続力は、共にリンクi−iを通して伝達され、有害なモーメントは消失する。なお、バネkSは図5に破線で示した捩りバネktsに等価的に置換することもできる。
【0041】
機構例その3:[図6]
図6の機構例は前記の3つの欠点をすべて除去したものであり、垂直移動慣性体mSのかわりに回転慣性体(その慣性モーメントI)を用いたものである。弾性・慣性の接続力は、共に回転慣性体Iに剛結した半径rのピニオン(図では簡単のため、単なる歯車として描かれている)と水平に噛み合うラックにより伝達されている。この接続機構では(バネの非線形性が生じないかぎり)大変位でも線形性が保たれ、それに蓄えられる位置・運動エネルギは、I/r2=mSと記して、
U=1/2・kS(qA−qB)2,
【数24】
である。
したがって、遮断円振動数は、図4,図5の機構例と全く同様に
ωS={kS/(I/r2)}1/2=(k S /m S )1/2で与えられる。
【0042】
この図6の機構例は、確かに前記の3つの欠点を除去したものであるが、なお1つの欠点を持つ。それは台車Aに属する質量系の中で、回転慣性モーメントIの回転体が(図中で水平方向にx軸,垂直方向にy軸をとって直交座標系x,y,zを設けて),台車Aに固定したz軸に平行な軸のまわりの回転振動を生じている場合、x,y,両軸方向の運動量変化は確かに生じないが、角運動量のz軸成分の振動的な変化を伴うことである。それにより台車Aに作用する反モーメントは、例えば懸架ばねを有する台車の場合には、台車のピッチング振動を誘起する傾向を生じ、好ましいものではない。
【0043】
機構例その4:[図7]
図7の機構例は前例図6の機構例と同様に図4,図5の機構例の有する前記3つの欠点を除去したものであり、図6と同様に主慣性体として1つの回転慣性体(その回転慣性モーメントI)を用いたものにすぎないが、図6の機構例では図での紙面に垂直な軸を持つ回転体を用いているのに対し、この図7の機構例ではレールに平行な軸をもつ回転体を用いている。
【0044】
すなわちリード
【数25】
のボールねじなどを用いて相対変位(qA−qB)を回転角
【数26】
に変換する機構を含む。したがって、
【数27】
と記せば、運動エネルギは全く図6の機構例の場合と同様に、
【数28】
で与えられ、遮断円振動数も同じくωS=(kS/mS)1/2となる。
この機構に残された欠点は、この回転体の回転振動が、台車Bにローリング振動を誘起する傾向を持つ点にある。
【0045】
機構例その5:[図8]
図8の機構例は、図6の機構例に残された前記の欠点を除去したものである。
図に見るごとく、図6の機構例での1箇の回転体(I)のかわりに、両面ラックで結合された互いに等速逆転する2箇の回転体(2×I/2)を用いている。したがって、その2箇の回転体に生ずる回転振動は、それの属する台車B側の質量系に何の運動量・角運動量変化をもたらさない。すなわち原理的にこの接続機構は、それにより接続される両構造の接続点に何の副次的な反作用を及ぼすことのない振動遮断接続機構となる。
図6の機構例から図8の機構例への前記の改良と全く同様に、図7の機構例も、適当な機構で等速逆転する2回転体を設けることにより、それに残された上述の唯一の欠点を除去することができる。
【0046】
機構例その6:[図9]
図9の機構例は図4の機構例における主慣性体mSを2分し、水平対向ピストン型に置き換えたもので、完全な対称性を持つ単純な形態を有し、図4の機構例の持つ全ての欠点を一挙に除去した、優れた機構の1つである。
【0047】
機構例その7:[図10]
図10の機構例も本発明の特性を具現しうる機構の1つではあるが、そこで要求される慣性接続要素特性を得る機構としては、極めて非効率的な、悪例の1つとして示す。
この機構は、図に見るごとく、一見スマートな点対称的な要素配置をもつ。この機構においても主慣性体(質量m、慣性モーメントI)の重心の変位および回転変位は、両端の変位qA,qBで線形に規定され、前記の3条件を満たすものであるが、その重心がいずれの側にも固定されず遊動的であることが、図4〜図9の機構例との大きな相違点である。
【0048】
すなわち、この機構のもたらす慣性接続要素としての等価慣性mSは、
mS=(I/r2−m)/4
となり、図6,図7の機構例などの場合に比べ、慣性モーメントIのmSへの寄与は1/4となり、また質量mのそれは負であって、慣性接続要素としての効果を減じており、好ましくない機構の1例である。
【0049】
機構例その8:[図11],その9:[図12]
前記の図4〜図10の機構例では、すべて1直線に沿う2変位点間の“伸縮的接続”の場合に例を取った。しかし、2平行線に沿う2変位点間の“せん断的接続”の場合、または回転動力の伝達機構中のカップリングのように、2回転断面の間の“捩り的接続”の場合にも、前述のものと本質的には全く同じ機構を用いることができる。
図11の機構例は“せん断的接続”の場合の、また図12の機構例は“捩り的接続”の場合の、それぞれの1例であり、等しく振動遮断接続機構として機能するものである。
なお図4〜図12中に角枠内に記したmS,kS等は、その機構の等価接続慣性および等価接続弾性を示す。
【0050】
本発明の振動遮断接続機構は前記各種の機構例に見るごとく様々な形態を取りうるものであり、形態的に規定することはできない。しかし前記の例に見るように、これらの接続機構の本質的な特徴は、変位qB側への最終的な接続点を開放した場合(ただし、バネkSを図に破線で描いた位置に移す以前の図4,図5の機構例、および図11の機構例のごとく、形態的にバネとロッドの2路によりqB側に接続されている時には、両路を開放した後、その両路を結合した場合)、容易に觀られるように、そこには様々な形態ではあるが、qA側にその質量中心が固定された、しかもqAの変動とは全く無関係な1つの1自由度振動系(移動振動系、あるいは回転振動系)が形成されている点にある。
【0051】
したがって、[特許請求の範囲]では解析力学的に表現したが、それを補足する意味で、ここに敢えて本発明を機構的に表現すれば、
『連結しょうとする構造物の2点間に、1つの1自由度振動系を形成する機構を設け、その振動系の変形を通して、新たな自由度を附加することなく、この2点間を連結する接続機構』
と規定することができる。
【0052】
なお附記したい機構上のポイントは、主慣性体として回転慣性体を用いる場合には、適当な増速歯車列を附加することにより、小さな回転体から大きな慣性接続効果を得ることが容易な点である。
【0053】
【実施例】
(1)実施例1:振動遮断ロッド
前掲の図8の機構例に例示した接続装置を、両端にボールジョイントを有する単体にまとめたもので、その概容を図13に示す。すなわち、この振動遮断ロッドは図示のごとく、そのそれぞれの慣性モーメントが1/2である2つのフライホイール(回転慣性体)1a,1b,そのバネ定数kSの伸縮バネ2,両面ラックを持つロッド3およびそれらを格納するケーシング4,の5部品より成る。
【0054】
ケーシング4の左端は、ボールジョイント端4cを形成するとともに、中央部ではフライホイール1a,1bの軸受け4a,4bを、また右端ではロッド3のガイド4dを形成している。ロッド3の左端とケーシング4は伸縮バネ2で連結されており、ロッド3の両面ラック3a,3bはフライホイール1a,1bにそれぞれ剛結したピッチ半径rのピニオン1a’,1b’に噛み合うとともに、右端では、この振動遮断ロッドの右端のボールジョイント端3cを形成している。
【0055】
したがって、両ボールジョイント端4c,3c間の相対変位(qA−qB)につれて、この振動遮断ロッドには、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2が、またI/r2=mSと記して、運動エネルギ
【数29】
が蓄積される。すなわちこの振動遮断ロッドは、本発明で規定した振動遮断接続装置の1例にほかならない。
【0056】
この種の振動遮断ロッドは、小さな計器類から巨大な構造物に亘り、その防振の対象物に応じて、適当な強度と、接続剛性および振動遮断特性を与える設計により、極めて広範囲に簡便に利用し得るものである。
【0057】
例えば図14に例示するごとく、任意の立体的な構造物を、6本以上の振動遮断ロッドにより適当に地盤上に安定に支持すれば、地震による地盤からの全く任意な変位加振(両方向水平動,上下動,回転及び傾斜動の組合せ)に対し、その立体構造物の特性や負荷状態とは全く無関係に、地盤からの振動力伝達を遮断し、その構造物を地震災害から防御することができる。
【0058】
(2)実施例2:振動力遮断的防振台
この防振台は図15(a)に示すように、従来普通のテーブルmをバネkSと粘性摩擦ダンパCSで支持した機構に慣性接続要素mSを加えることにより、本発明による振動遮断特性を加味したもので、その基礎からテーブルへの変位伝達率T(これはテーブルに作用する外力の基礎への力伝達率とも等しく、以下単に伝達率Tと呼ぶ)は、次式で与えられる。
【数30】
ただしここに、加振円振動数をω、固有円振動数をωO=(kS/m)1/2と記して
η=ω/(kS/m)1/2=ω/ωO:振動数比、
ζ=CS/{2(kSm)1/2}:減衰比、
ε=mS/m:質量比、
ωS=(kS/mS)1/2=ωO√ε:遮断円振動数
である。
【0059】
この伝達率Tの、減衰比ζ=0(すなわち無減衰)の場合の振動数比ηに対する応答曲線を、質量比ε=mS/mをパラメータとして図15(b)に示す。本発明の特徴は慣性接続要素(直列慣性)mSを併用している点にあり、したがって、太い実線で示したε=mS/m=0の場合の曲線は、テーブルをバネkSのみで支持した従来の防振台の特性を示すものに他ならない。すなわち従来の防振台では、伝達率Tはη=1(共振点)を頂点とする大きなピークを持ち、以後η=√2=1.4142を過ぎると初めてT<1と低下して防振特性を示すが、T=0となるのは、すなわちテーブルが静止するのはη=∞においてのみである。
【0060】
上述の従来の防振台特性(太い実線の曲線)と対比するために、図15(b)において、細い実線で示した曲線群は、質量比ε=0.4,1,4として本発明による振動遮断特性を附加した場合の伝達率特性である。図に見るように、質量比ε=mS/mを適当に調整することにより希望するどのような振動数比ηにおいても、伝達率T=0、すなわちテーブルを静止させることができる。テーブルを静止させるこの振動数比(遮断振動数比ηS)は、ηS=1/√εで単純に与えられる。
【0061】
同図(図15(b))に見るごとく、質量比εの増加に応じて遮断振動数比ηSは低下し、かつこの低下につれて、共振の山も左方に移動しつつ顕著に縮少する。この特性は、後述の実施例において示すが、多自度系における振動応答特性を大きく改善するのに、極めて効果的に利用される。
【0062】
なお、ここに強調したいのは、本振動遮断接続機構における遮断円振動数ωSはテーブル質量mに無関係なばかりでなく、そのテーブル上に他の加振源を持たない如何なる構造物が附加されようとも、この不変の遮断円振動数ωSにおいて、テーブル及びテーブル上の全構造物を静止させることである。
【0063】
のみならず、遮断円振動数ωS=(kS/mS)1/2に一致する加振円振動数ω(=ωS)の強制定常振動状態で、テーブルが静止するということは、基礎からの変位入力qF=AFsinωStの任意の時間区間の部分波形を、任意の時間的ずれ(位相差)および任意の倍率を与えて合成した極めて一般的な変位入力の下での過渡振動の場合においても、テーブルの初期変位,初期速度が共にゼロの時には、テーブルの変位および速度の応答はゼロ,すなわちテーブルは静止状態を持続することを意味していることである。
【0064】
上記の過渡振動応答の最も基本的な場合の1例を、図15(d)に示す。図示の例では固有円振動数ωO=(kS/m)1/2に一致する(すなわち共振的な)sinの半波形の基礎変位入力に対する、従来の防振支持機構でのテーブルの変位応答(破線)と,ωS=ωOに調整された本振動遮断接続機構でのテーブルの変位応答(実線)であるが、敢えて僅かな減衰比(ζ=0.1)を与えた場合につき示した。その理由は、無減衰(ζ=0)の場合にはこの接続機構により振動力の伝達は完全に遮断され、その応答はゼロ(静止)となり、応答曲線は横軸に一致して見えなくなってしまうからである。なお同図で太い実線で示した曲線は変位入力(sinの半波形)である。
【0065】
図15(b)のグラフでは本振動遮断接続機構の純粋な振動力遮断効果を示したが、これにζ=0.1の減衰を加えた時の伝達特性を図15(c)のグラフに示す。
ε=0カーブは従来のバネと粘性摩擦ダンパによる制振効果の場合であるが、質量比εを適当に与える(本振動遮断接続機構の特性を適当に加味する)ことにより、広い振動数の変域で、より効果的に共振を抑制し得ることが知れよう。ただし減衰が加わると、純粋な振動力伝達の遮断効果は消失し、図15(b)のグラフに示すようなテーブルの完全な静止点は生じない。
【0066】
(3)実施例3:多層建築物の免震
建築物に対する本振動遮断接続機構による免震の一実施例として、3層建築物を、質量mの剛体の各層間を柱の曲げ変形による層間せん断のバネ剛性kで接続した、3自由度のせん断振動系モデルとして扱う。加振入力は地震の水平動による基礎の水平振動変位qo=Aosinωt(ωは加振円振動数)とし、各層の応答水平変位振幅を下から順に、A1,A2,A3とする。
【0067】
図16には、このようにモデル化された3層建築物の、後に述べる免震機構を設置する以前の略図(これを以後「元系」と呼ぶ)と、その定常加振時の基礎から各層への変位振幅の伝達率Ti=Ai/Aoの振動数応答特性のグラフを示す。
同グラフにおいて、
第1層への伝達率T1=A1/Aoは実線で、
第2層への伝達率T2=A2/Aoは破線で、
第3層への伝達率T3=A3/Aoは鎖線で、
示すことにする(以下の図17,図18においても同様)。
【0068】
横軸は、この構造物を構成する基本単位構造である単層質量mを柱のせん断剛性kで支持したものの固有円振動数ωO=(k/m)1/2で無次元化した加振振動数比η=ω/ωOである。この建物は3自由度の振動系であるため、同グラフに示すごとく、1次,2次,3次の固有振動数を頂点とする全層が一斉に大振幅を生ずる3つの大きな共振の山をもち、この共振現象こそが建築物に震害を及ぼす主因である。
【0069】
図17には、前記の元系の共振特性を改善するために、基礎と第1層の間に振動遮断接続を与えたもの(図では図11に示した機構例を略記。mS=I/r2。この改良された系を以後「改1系」と略称)の略図(a)と、その各層への変位伝達率特性のグラフ(b),(c)を示す。グラフの座標は図16のグラフと同様であるが、本振動遮断接続機構の特性を代表するものとして、遮断円振動数ωS=(kS/mS)1/2;kS=k)を無次元化したηS=ωS/ωOを固定パラメータとして示す(グラフ右上に記入)。
【0070】
図17(b)のグラフは、ηS=(1/0.5)1/2=1.4142と設定したもので、対応する点(η軸上○印で示す)で全ての曲線は一斉に集まり、全層への伝達率はゼロ、すなわち基礎からの振動力の伝達は完全に遮断されて、全層は地震にもかかわらず静止していることを意味する。これは1例にすぎないが、地震による加振振動数比ηに応じて遮断振動数比をηS=ηに調整すれば、如何なる地震に対しても、全層を静止させることができる。のみならず、図16のグラフと比較すれば明瞭なごとく、本振動遮断接続機構の附加により、共振の3つの大きな山は縮少され、振動数全域において共振特性は大きく改善されている。
【0071】
図17(c)のグラフは、上述の共振特性改善効果を極度に利用して、遮断振動数を3次の共振振動数に一致させるようにηS=(1/0.333)1/2=1.7329と設定した時の伝達率特性であり、3次の共振の山は完全に消滅し、この系の共振特性は顕著に改善されていることが見られる。このような共振特性の改善は、本発明の振動遮断接続機構により初めて達成されるもので、従来のダイナミックダンパを用いた場合には、系の自由度を増加させるため新たな共振の山を生じ、逆に共振の山の数を増加させてしまう結果となる。
【0072】
図18(a)に示した系(「改2系」と呼ぶ)は、改1系を更に改良し、第1層と第2層の間にも同様の振動遮断接続機構を附加したものであり、この2つの接続機構により2つの遮断振動数比ηS1=(m/mS1)1/2,ηS2=(m/mS2)1/2を設定することができる。図18(b)のグラフは、ηS1=(1/0.3)1/2=1.8257,ηS2=(1/0.7)1/2=1.1952と設定した時の伝達率を示し、それぞれ対応する2点(η軸上の〇印の点)で、その接続機構より上層の全層が静止することが見られる。
【0073】
図18(c)のグラフは、ηS1=(1/0.6)1/2=1.2910,ηS2=(1/1.599)1/2=0.7908と設定することにより、第2層以上の構造に対し2次および3次の共振の山を完全に消滅させた時の伝達特性を示す。即ち、この改2系では、η>1の全域で一切の共振の山は一掃され、元系の伝達特性(図16(b)のグラフ)と比較すれば、極めて顕著な共振特性の改善が達成されていることが見られる。
さらに、図19のグラフは、(d)として、改2系においてηS1=(1/1.334)1/2=0.866,ηS2=(1/0.5)1/2=1.414と設定することにより、2次および3次の共振の山を完全に消滅させた時の伝達特性を示す。即ち、この改2系では、η>1の全域で一切の共振の山は一掃され、元系の伝達特性(図16(b)のグラフ)と比較すれば、極めて顕著な共振特性の改善が達成されていることが見られる。
【0074】
(4)実施例4:自動車の振動遮断サスペンション
図20(a)は普通の小型乗用車の1車輪当りの2自由度の振動系をモデル化した図と、その地面(その振幅AO)から車軸系(その振幅AA),車体系(その振幅AB)への変位伝達率Tのグラフを示す。上述の車種では普通
(車軸系質量)/(車体系質量)=mA/mB≒0.143
(タイヤのバネ定数)/(車体のバネ定数)=kT/kB≒10
程度であるので、その場合の伝達特性を示した。
【0075】
以下図20(b),(c)の場合も同様であり、グラフの横軸は、地面からの入力円振動数ωをωO=(kB/mB)1/2(ほぼこの系の1次固有振動数)で無次元化した振動数比η=ω/ωOである。
また、図20(a)において、実線カーブは車体への伝達率、破線カーブは車軸への伝達率を示す。グラフに示すごとく、この系は2つの共振の山をもち、η=1近くの1次共振(バネ上共振。実車では、ほぼ1.5〜2.5Hz)は乗り心地上あまり問題にならないが、η=9近くの2次共振(バネ下共振。実車ではほぼ15〜25Hz)での車体への共振の山は、小さくはあるが、乗り心地上に有害なものである。
【0076】
図20(b)は、前記の車体での有害な2次共振を抑制するために、粘性摩擦ダンパ(ショックアブソーバ)CBにより減衰比
ζ=CB/{2(kBmS)1/2}=0.2を与えた場合のグラフである。たしかに車体に対する2次共振は抑制されているが、η=4〜8での車体への振動伝達率は、T=0.25ほどに増大し、悪化している。
【0077】
図20(c)は、車軸系と車体系との間に、本発明の振動遮断接続機構を構成したもの(図4〜図12に例示した種々の機構例を適用しうるが、ここでは図4の機構例または図9の機構例に類似な機構を略記している)と、その伝達特性グラフの1例を示す。この接続機構での慣性接続要素としての等価質量mSは、対向ピストンの全質量mPのもの、すなわちmS=mPで与えられ、したがって遮断振動数比はηS=(kB/mP)1/2/(kB/mB)1/2=(mB/mP)1/2となる。
【0078】
図20(c)のグラフは、2次共振点のη値に一致させて遮断振動数比をηS=8.32624と設定した時のもので、車体に対する2次共振のピークが完全に消滅しているばかりでなく、η>6の全域で車体への伝達率はほぼT<0.05に抑制されている。すなわち図20(a),(b)の場合と比較し、共振特性の顕著な改善が達成されている。
【0079】
【発明の効果】
本発明は上記に詳述したように:
(1)静的接続剛性をもって構造物を接続しながら、元構造物(一般には多自由度の振動系としてモデル化される)に新たな自由度を附加することなしに、定常加振時には、その加振振動数に応じて振動遮断接続装置の特性を代表する2つの定数(あるいは、そのいずれか)を設定または調整することにより、その接続装置を通しての振動力の(したがって、振動変位の)伝達を、完全に遮断する。
【0080】
(2)この接続装置の定数の調整は、簡単な自動制御機構により自動化し得るもので、それにより準定常的すなわち加振振動数が比較的に緩慢に変動する加振に対しても、その振動遮断効果もしくは抑制効果を持たせることができる。
【0081】
(3)この接続装置の定数の固定的な設定の場合においても、それにより定まる遮断振動数を、接続された全構造物の固有振動数(共振振動数)のいずれかに一致させることにより、その共振を完全に消滅させることができ、その近傍の振動数域での構造物の変位応答を顕著に抑制する。
【0082】
(4)この接続装置による振動遮断効果は、その遮断振動数の定常加振入力に対してのみならず、その定常加振入力中のいくつかの任意の時間区間の断片(例えばsinの半波形など)を全く任意に組合せた過渡的な入力に対しても保持される。
換言すれば、この種の任意な過渡的入力に対しても、この接続装置は変動入力の伝達を遮断し、加振源の存在しない側の構造物の過渡応答をゼロに、すなわち、その構造物を静止状態に保つ:−
等の顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2構造物の振動遮断接続の抽象図である。
【図2】 従来提案されている直列慣性(慣性接続要素)の機構の機能図である。
【図3】 接続機構の機械回路図とその振動力伝達特性のグラフである。
【図4】 振動力遮断接続機構の機構例(その1)の機能図である。
【図5】 振動力遮断接続機構の機構例(その2)の機能図である。
【図6】 振動力遮断接続機構の機構例(その3)の機能図である。
【図7】 振動力遮断接続機構の機構例(その4)の機能図である。
【図8】 振動力遮断接続機構の機構例(その5)の機能図である。
【図9】 振動力遮断接続機構の機構例(その6)の機能図である。
【図10】 振動力遮断接続機構の機構例(その7)の機能図である。
【図11】 振動力遮断接続機構の機構例(その8)の機能図である。
【図12】 振動力遮断接続機構の機構例(その9)の機能図である。
【図13】 振動遮断ロッドの部分断面側面図である。
【図14】 振動遮断ロッドによる立体的な構造物支持例の斜視図である。
【図15】 振動力遮断的防振台の機能図とその伝達率および過渡応答のグラフである。
【図16】 3層建築物“元系”の機能図とその伝達率特性のグラフである。
【図17】 3層建築物の基礎〜第1層間に振動遮断機構を設置した“改1系”の機能図とその伝達率のグラフである。
【図18】 3層建築物の基礎〜第1層間および第1層〜第2層間に振動遮断機構を設置した“改2系”の機能図とその伝達率のグラフである。
【図19】 3層建築物の基礎〜第1層間および第1層〜第2層間に振動遮断機構を設置した“改2系”の伝達率のグラフである。
【図20】 自動車サスペンションの2自由度振動系モデルの機能図とその伝達率のグラフである。
【符号の説明】
図1〜図19に含まれる抽象的な図(機械回路図・機能図)などにおいては、機構を構成する各要素の要素特性を代表する物理的定数を、その要素の符号として附記している。すなわち、
m 質量
I 慣性モーメント
k 伸縮バネまたはせん断バネ
kt 捩りバネ
C 粘性摩擦ダンパ
q 節点の移動または回転の変位成分
図13の側面図においては、
1a,1b フライホイール(回転慣性体)
1a’,1b’ フライホイール1a,1bに剛結したピニオン
2 伸縮バネ
3 両面ラックを持つロッド
3a,3b ロッド3のラック
3c ロッド3の右端ボールジョイント
4 ケーシング
4a,4b ケーシング4に固定されたフライホイール1a,1bに対する軸受け
4c ケーシング4の左端ボールジョイント
4d ケーシング4右端のロッド3に対するガイド
Claims (12)
- 2つの構造物を接続する振動遮断接続装置を用いた構造物の振動遮断接続機構であって、
前記振動遮断接続装置は、代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、互いに平行な2つの線に沿って変位する点でそれぞれ接続することにより、前記振動遮断接続装置でこれらの構造物をせん断的に接続する構造物の振動遮断接続機構。 - 2つの構造物を接続する振動遮断接続装置を用いた構造物の振動遮断接続機構であって、
前記振動遮断接続装置は、代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、それぞれの回転断面間で接続することにより、前記振動遮断接続装置でこれらの構造物を捩り的に接続する構造物の振動遮断接続機構。 - 2つの構造物を接続する振動遮断接続装置であって、
代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、
代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記慣性接続要素は、相対変位(qA−qB)に応じて、この相対変位の方向に垂直な方向に直線変位する移動慣性体である振動遮断接続装置。 - 2つの構造物を接続する振動遮断接続装置であって、
代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、
代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記慣性接続要素は、相対変位(qA−qB)に応じて、互いに反対方向に直線変位する2つの対向移動慣性体である振動遮断接続装置。 - 2つの構造物を接続する振動遮断接続装置であって、
代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、
代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記慣性接続要素は、相対変位(qA−qB)に応じて、互いに反対方向に回転変位する2つの対向回転慣性体である振動遮断接続装置。 - 前記対向回転慣性体は、相対変位(qA−qB)の方向に垂直な軸を中心として回転変位する請求項5に記載の振動遮断接続装置。
- 請求項3〜6のいずれかに記載の振動遮断接続装置を用いた構造物の振動遮断接続機構であって、
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、一直線に沿って変位する点でそれぞれ接続することにより、前記振動遮断接続装置でこれらの構造物を伸縮的に接続する構造物の振動遮断接続機構。 - 請求項3〜6のいずれかに記載の振動遮断接続装置を用いた構造物の振動遮断接続機構であって、
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、互いに平行な2つの線に沿って変位する点でそれぞれ接続することにより、前記振動遮断接続装置でこれらの構造物をせん断的に接続する構造物の振動遮断接続機構。 - 請求項3〜6のいずれかに記載の振動遮断接続装置を用いた構造物の振動遮断接続機構であって、
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、それぞれの回転断面間で接続することにより、前記振動遮断接続装置でこれらの構造物を捩り的に接続する構造物の振動遮断接続機構。 - 2つの構造物を接続する振動遮断接続機構であって、
代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、
代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、一直線に沿って変位する点でそれぞれ接続することにより、これらの構造物を伸縮的に接続し、
前記慣性接続要素は、質量中心が一方の構造物に対して固定され、かつ相対変位(qA−qB)に応じて前記一方の構造物に対して直線変位する、互いに反対方向に変位する同質量の2つの対向移動慣性体である構造物の振動遮断接続機構。 - 2つの構造物を接続する振動遮断接続機構であって、
代表するバネ定数をkSとして、前記2つの構造物のそれぞれに対する接続点の変位qA,qBに応じて、位置エネルギU=1/2・kS(qA−qB)2を蓄積する特性を有する弾性接続要素と、
代表する慣性定数をmSとして、前記接続点の変位qA,qBに応じて、運動エネルギ
前記接続点を、前記2つの構造物に対して、一直線に沿って変位する点でそれぞれ接続するか、互いに平行な2つの線に沿って変位する点でそれぞれ接続するか又はそれぞれの回転断面間で接続することにより、これらの構造物を伸縮的、せん断的又は捻り的に接続し、
前記慣性接続要素は、一方の構造物に対して固定された回転軸を有し、かつ相対変位(qA−qB)に応じて回転変位する、逆転する同慣性モーメントの2つの対向回転慣性体である構造物の振動遮断接続機構。 - 前記バネ定数kS及び前記慣性定数mSを、加振円振動数ωに対して、ω=(kS/mS)1/2の関係としたことを特徴とする請求項1,2,7〜11のいずれかに記載の構造物の振動遮断接続機構。
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