JP3714868B2 - バックホウ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロント装置を通常の掘削作業に使用する掘削作業モードと、フロント装置の先端に吊り負荷を作用させて使用するクレーン作業モードとに切換え可能に構成したバックホウに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成のバックホウにおいては、各部の最大作動速度は主作業である掘削作業に適した速度に設定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
設定されている最大作動速度は掘削作業を能率よく行うために適したものであってクレーン作業には速すぎるものであり、レバー操作を加減しながら作業を行う必要があった。なお、クレーン作業時にエンジン回転速度を落すことで最大作動速度を抑制することも可能であるが、これでは作業出力が低下してしまうものであった。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、掘削作業は能率的に行うことができるとともに、クレーン作業には出力を低下することなく扱い易い作動速度で操作することができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0006】
(構成) 請求項1に係る発明は、フロント装置を通常の掘削作業に使用する掘削作業モードと、フロント装置の先端に吊り負荷を作用させて使用するクレーン作業モードとに切換え可能に構成したバックホウにおいて、
前記フロント装置に圧油を供給するポンプの吐出流量を、作業負荷に基づいて制御するロードセンシングシステムを装備するとともに、クレーン作業モードへの切換えを検出する手段を備え、
クレーン作業モードへの切換えが検出されると、前記ロードセンシングシステムにおける制御差圧を強制変更してフロント装置に圧油を供給する可変容量型のポンプの吐出量を 減少させるように制御する吐出流量制御手段を備え、
さらに、この吐出流量制御手段を、可変容量型の油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧との制御信号圧が印加される流量補償用バルブと、その流量補償用バルブによって前記可変容量型の油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧との差を設定値に維持するように操作される流量補償用ピストンと、クレーン作業モードへの切換え検出にともなって、前記ロードセンシングシステムにおける制御差圧を減少させる側に強制変更する制御圧を前記流量補償用バルブに対して供給する電磁開閉バルブとで構成してあることを特徴とする。
【0007】
(作用) 上記構成によると、掘削作業モードでは、フルアクセル状態でのポンプの吐出流量は掘削作業に適した設定値に維持され、クレーン作業モードへ切換えられると、エンジン回転速度を落すことなくポンプの吐出流量が自動的に減少される。
【0008】
また、上記構成によると、通常の掘削作業モードではロードセンシングシステムが機能し、作業負荷に応じた圧油供給が行われる。また、掘削作業モードからクレーン作業モードへ切換えられると、ロードセンシングシステムにおける制御差圧が強制的に減少変更され、エンジン回転速度を落すことなく油圧ポンプの吐出量が減少される。
【0009】
【0010】
【0011】
(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、掘削作業モードでは速い最大作動速度で能率的に掘削作業を行うことができるとともに、クレーン作業モードでは、レバー操作を加減しなくても、扱いやすい低速で、しかも、作業出力を落すことなくクレーン作業が行えるようになる。
【0012】
また、通常の掘削作業モードでは動力の節約と操作性を向上することができるとともに、クレーン作業モードではレバー操作を加減しなくても、扱いやすい低速で、しかも、作業出力を落すことなくクレーン作業を行うことができ、請求項1の発明を好適に実施することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に、バックホウの全体側面図が示されている。このバックホウは、左右一対のクローラ型走行装置1L,1Rを装備した走行機台2の上部に、エンジン3および運転部4が装備された旋回台5が縦軸心X1 周りに全旋回可能に搭載され、この旋回台5の前部に、ブーム6、アーム7、および、バケット8を順次連結してなるフロント装置9が装備されるとともに、走行機台2の前部にドーザ作業用の排土板10が装備されている。
【0014】
左右の走行装置1L,1Rは、それぞれ走行用油圧モータML,MRによって正逆転駆動されるとともに、旋回台3は旋回用油圧モータMTによって左右に旋回駆動されるようになっている。フロント装置6のブーム6、アーム7、および、バケット8は、それぞれブームシリンダC1、アームシリンダC2、および、バケットシリンダC3によって駆動されるとともに、フロント作業装置9全体がスイングシリンダC4によって、旋回台3に対して縦軸心X2 周りに左右に揺動駆動されるようになっている。また、排土板10は、ドーザシリンダC5によって上下駆動されるようになっている。
【0015】
図2に、上記した各種の油圧アクチュエータを駆動する油圧回路の全体が、また、図3にその概略がそれぞれ示されている。図において、V1 は旋回用の制御バルブ、V2 は左走行用の制御バルブ、V3 は右走行用の制御バルブ、V4 はドーザ用の制御バルブ、V5 はアーム用の制御バルブ、V6 はブーム用の制御バルブ、V7 はバケット用の制御バルブ、V8 はスイング用の制御バルブ、V9 は補助作業用の制御バルブであり、左右の走行用の制御バルブV2 ,V3 は運転座席11前方の操縦塔12に配備された左右の走行レバー13によってそれぞれ直接にスプールを切換え操作する人為操作式のものが採用されるとともに、ドーザ用、スイング用、および、補助作業用の各制御バルブV4 ,V8 ,V9 はレバー操作やペダル操作によって直接にスプールを操作する人為操作式のものが採用され、また、旋回用、アーム用、ブーム用、および、バケット用の各制御バルブV1 ,V5 ,V6 ,V7 は、油圧パイロット操作式のものが採用され、操縦塔12に十字操作可能に配備された左右一対の作業用レバー14によって操作されるパイロットバルブPV1 ,PV2 から供給されるパイロット圧によって、レバー操作量に応じた開度に操作されるようになっている。なお、前記制御バルブV1 〜V9 のバルブブロック群は、インレット用ブロックB1 、アウトレット用ブロックB2 とともに並列されて互いに連結されて内部油路によって接続されている。
【0016】
作業用の主ポンプP1 と、パイロット圧供給用のパイロットポンプP2 とを備えた圧油供給部15がエンジン3によって駆動されるようになっている。この主ポンプP1 は、斜板の角度変更によって吐出量を変更可能な可変容量型のものが使用されており、その吐出油が油路aを介してインレットブロックB1 に供給されたのち、各制御バルブV1 〜V9 に供給される。また、パイロットポンプP2 は、定容量のギヤポンプが使用されており、その吐出圧が油路bを介してアンロード部19に供給されたのち、パイロットバルブPV1 ,PV2 の一次側油路cにパイロット元圧として供給されている。
【0017】
図4に示すように、アンロード部19は、レバーロック用のアンロードバルブV10と、高速走行切換え用のアンロードバルブV11とが並列配備されている。アンロードバルブV10は、搭乗運転部4への乗降通路を横切って開閉する牽制レバー27に電気的に連係されており、牽制レバー27を振り上げて乗降通路を開放した状態では、図示のようにアンロード位置の付勢保持され、パイロットバルブPV1 ,PV2 の一次側油路cがドレンされて、作業用レバー14を操作しても制御バルブV1 ,V5 ,V6 ,V7 を切換え操作することができない状態、つまり、レバーロック状態がもたらされる。また、作業者が運転座席11に搭乗した後、乗降通路を横切る位置にまで牽制レバー27を降ろすと、これが電気的に検出されて図示と逆の位置に切換えられ、パイロットバルブPV1 ,PV2 の一次側油路cへのパイロット元圧の供給が行われ、制御バルブV1 ,V5 ,V6 ,V7 の切換え操作が可能となる。
【0018】
また、パイロットバルブPV1 ,PV2 の一次側油路cは、旋回用モータMTに備えたネガティブ・ブレーキNBの解除用の油路eにも連通されており、レバーロック用のアンロードバルブV10がアンロード位置にあるレバーロック時には、ネガティブ・ブレーキNBの解除用油路eがドレンされるので、旋回台5も旋回不能にロックされることになる。
【0019】
また、高速走行切換え用のアンロードバルブV11は、移動走行の際に走行用モータML,MRを高速状態に切換えるためのものであり、常態では図示のようにアンロード位置にある。左右の走行用モータML,MRは、の斜板角の変更によって高低2段の変速が可能なアキシャルプランジャ型の可変容量モータが利用されており、モータケーシングに組込んだシリンダ28L,28Rに圧油を供給することで「高速」が、また、シリンダ28L,28Rから排油することで「低速」がもたらされるよう構成されている。そして、シリンダ28L,28Rを作動制御する流路切換えバルブV12,V13の操作用パイロット油路fがアンロードバルブV11に連通接続されている。
【0020】
これによると、通常は、アンロードバルブV11は図示のアンロード位置に付勢保持されており、パイロット油路fがドレンされることで流路切換えバルブV12,V13は図示した「低速」にある。そして、操縦塔12の横側下部に配備した増速ペダル29を踏み込み操作すると、これが電気的に検出されてアンロードバルブV11が逆位置に切換えられ、パイロット油路fに圧が立って流路切換えバルブV12,V13が図示の位置から逆位置に切換えられる。流路切換えバルブV12,V13が逆位置に切換えられた状態では、モータ駆動用の高圧側油路の油圧によってシリンダ28L,28Rが駆動されて、モータ斜板が高速位置に操作されるのである。
【0021】
ポンプP1 は、ロードセンシングシステムによって吐出流量が制御されるようになっており、その流量制御部16が圧油供給部15に隣接して備えられている。流量制御部16には流量補償用バルブV14が装備されるとともに、圧油供給部15には、ポンプP1 を流量調節するための流量補償用ピストンAcが備えられ、流量補償用バルブV14によって流量補償用ピストンAcが作動制御されるようになっている。そして、主ポンプP1 の吐出圧PPSと、各セクションにおける負荷検出ラインのうちの最高負加圧を取出した制御信号圧PLSとが、それぞれインレットブロックB1 から導出された信号ラインL1 ,L2 を介して流量補償用バルブV14に印加されるようになっており、周知のように、吐出圧PPSと制御信号圧PLSとの差が設定値(制御差圧)に維持されるように、流量補償用ピストンAcを介してポンプP1 の吐出流量が制御される。
【0022】
ロードセンシングシステムは、作業負荷圧に応じてポンプ吐出量を制御して、負荷に必要とされる油圧動力をポンプから吐出させることで、動力の節約と操作性を向上することができるシステムであり、この例では、各制御バルブV1 〜V9 のスプールの後にそれぞれ圧力補償弁CVが接続されたアフターオリフィス型のロードセンシングシステムが利用されている。
【0023】
なお、この例では、ロードセンシングシステムのアンロードバルブV15と主リリーフバルブV16が、インレット用ブロックB1 に組込まれている。また、流量制御部16における流量補償用バルブV14に設定される制御差圧は、図4中に示すように、バネ17と差圧ピストン18とによって与えられるようになっており、エンジン3の回転速度が高くなってパイロットポンプP2 の吐出量が多いなると、差圧ピストン18によって与えられる制御差圧成分が大きくなって、ポンプP1 の流量が多い目に制御され、逆に、エンジン3の回転速度が低くなってパイロットポンプP2 の吐出量が少なくなると、差圧ピストン18によって与えられる制御差圧成分が小さくなって、ポンプP1 の流量が少ない目に制御されるのである。
【0024】
また、このバックホウでは、エンジン3のアクセル装置を自動的に操作するオートアイドリング制御システムが備えられている。すなわち、図3に示すように、エンジン3のガバナ21は、電磁ソレノイドやモータなどの電気アクチュエータ22によって操作されるようになっており、この電気アクチュエータ22を作動制御する制御装置23に、運転部4に備えたポテンショメータ利用のアクセル設定器24と、バルブ作動検出用パイロット油路gの圧を検知する圧力スイッチ25とが接続されている。
【0025】
バルブ作動検出用パイロット油路gは、制御バルブV1 〜V9 の各スプールに直列に連通されてその下流が排油路dに連通接続されるとともに、バルブ作動検出用パイロット油路gの上流は、パイロットポンプP2 の油路bから分岐導出された油路hに絞りsを介して接続されている。従って、制御バルブV1 〜V9 の全てが中立にある状態では、バルブ作動検出用パイロット油路gは排油路dに連通されて、その圧力がほとんど零にまで低下するとともに、制御バルブV1 〜V9 のうちのいずれか一つでも操作されると、バルブ作動検出用パイロット油路gの排油路dへの連通が断たれて、油路gの圧力がパイロットポンプP2 の元圧近くにまで上昇することになり、このバルブ作動検出用パイロット油路gに圧が立っているか否かを圧力スイッチ25で検知することで、制御バルブが操作されているかどうかを判別している。
【0026】
従って、運転者がアクセル設定器24を作業用の高速位置に設定した状態において、制御バルブV1 〜V9 の全てが中立にあると、バルブ作動検出用パイロット油路g圧油が排油路dに流出して大きく低下するために、圧力スイッチ25は感圧作動することがなく、この状態では、ガバナ21は予め設定されているアイドリング位置にまで電気アクチュエータ22によって自動的にアクセルダウン制御される。そして、作業が開始されて制御バルブV1 〜V9 のうちのいずれか一つでも操作されると、バルブ作動検出用パイロット油路g圧が立ち、これが圧力スイッチ25で検知される。圧力スイッチ25が感圧作動すると、ガバナ21はアクセル設定器24で設定された高速位置まで電気アクチュエータ22によって自動的にアクセルアップ制御される。つまり、フロント作業および走行が行われていない非作業時には、エンジン3の回転数を自動的に所定のアイドリング回転にまで落として騒音の低減および燃費の向上を図り、フロント作業あるいは走行が行われるとエンジン3の回転速度を設定した回転数にまで自動的に上げて、必要な油圧動力を供給してフロント作業あるいは走行を効率よく行うことができるようになっているのである。
【0027】
また、このバックホウでは、クレーン作業が行えるようになっている。つまり、図1中に示すように、前記バケット8の背面に設けられたブラケット8aのリンク支点yには、吊り下げリンク31が回動可能に枢支連結されている。この吊り下げリンク31は、フロント装置9が通常の掘削作業に用いられる時にはバケットリンク8bに沿って格納保持され、フロント装置9を用いてクレーン作業を行う際には、図示のように、掻き込み姿勢にしたバケット8の背部において振り出されて、フックなどの吊り下げ具32が装着される。
【0028】
前記制御装置23には、通常の掘削作業を行う作業モードとクレーン作業を行うモードとに切換える作業モード選択スイッチ33が接続されており、この作業モード選択スイッチ33がクレーン作業モードに切換えられると、以下のような制御が行われるようになっている。
【0029】
図5中に示すように、上記ロードセンシングシステムの流量制御部16において、パイロットポンプP2 の油路bから分岐導出された油路iが電磁開閉バルブMVを介して流量補償用バルブV14に接続され、油路i圧をポンプP1 の吐出圧PPSと同方向から流量補償用バルブV14に印加できるようになっている。
【0030】
ここで、作業モード選択スイッチ33が掘削作業モードに切換えられている時には、前記電磁開閉バルブMVには通電されず、図示のように、油路iの圧が流量補償用バルブV14に印加されることはない。そして、作業モード選択スイッチ33が掘削作業モードからクレーン作業モードに切換えられると、電磁開閉バルブMVが通電駆動されて、油路iの圧が流量補償用バルブV14に印加され、印加された圧の分だけ制御差圧が減少される。その結果、流量制御部16においては、吐出圧PPSが少なくなる状態でバランスすることになり、ポンプP1 からの吐出油量は減少側に制御され、フロント装置9の最大作動速度および旋回台5の最大作動速度が掘削作業モードの場合より減少する。
【0031】
なお、クレーン作業モードでは、掻込み姿勢のバケット8が不用意に排土側に操作されることがないように、バケット用の制御バルブV7 に接続された排土側のパイロット油路が、制御装置23に接続された図示しない電磁バルブによって遮断されるとともに、旋回用の制御バルブV1 のパイロット油路に介在した図示しない電磁圧力比例制御バルブによって制御バルブV1 に印加されるパイロット圧を制限して、旋回速度が抑制されるようになっている。また、運転部4の日除け34に取付けたパトライト35が点灯作動されて、クレーン作業中であることを容易に認識できるようになっている。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】 バックホウの全体側面図
【図2】 全体の油圧回路図
【図3】 全体の油圧回路図の概略図
【図4】 走行および旋回セクションの油圧回路図
【図5】 圧油供給部および流量制御部の詳細を示す回路図
【符号の説明】
9 フロント装置
P1 ポンプ
Claims (1)
- フロント装置を通常の掘削作業に使用する掘削作業モードと、フロント装置の先端に吊り負荷を作用させて使用するクレーン作業モードとに切換え可能に構成したバックホウにおいて、
前記フロント装置に圧油を供給するポンプの吐出流量を、作業負荷に基づいて制御するロードセンシングシステムを装備するとともに、クレーン作業モードへの切換えを検出する手段を備え、
クレーン作業モードへの切換えが検出されると、前記ロードセンシングシステムにおける制御差圧を強制変更してフロント装置に圧油を供給する可変容量型のポンプの吐出量を減少させるように制御する吐出流量制御手段を備え、
さらに、この吐出流量制御手段を、可変容量型の油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧との制御信号圧が印加される流量補償用バルブと、その流量補償用バルブによって前記可変容量型の油圧ポンプの吐出圧と最高負荷圧との差を設定値に維持するように操作される流量補償用ピストンと、クレーン作業モードへの切換え検出にともなって、前記ロードセンシングシステムにおける制御差圧を減少させる側に強制変更する制御圧を前記流量補償用バルブに対して供給する電磁開閉バルブとで構成してあることを特徴とするバックホウ。
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