JP3714149B2 - 空気清浄機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒の作用により空気中の汚染物質を無害な物質に分解又は変換して浄化する空気清浄機に関するものである。
このような空気清浄機は、室内や車内、机、ベッド、ロッカー内、下駄箱内などの空気浄化に使用するのに適する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光触媒は、強い酸化力により、防汚、殺菌、消臭、浄化などを目的として、応用が世界中で開発されている。
二酸化チタンなどの光触媒では、400nm以下の波長の光、特に300〜400nmの波長の光の照射によって電子と正孔が表面に生じ、酸化還元反応を生じる。すなわち、O2 -とOH-がその活性種として生成する。そこで光触媒は、その酸化還元反応により汚染物質を酸化分解し、空気を清浄化する空気清浄機等に利用されている。
【0003】
光触媒を使用した従来の空気清浄機の分解斜視図を図4に示す。
空気は、フロントケース41を介してケーシング部材43内に導入され、フィルタ40、シロッコファン45及びハニカム構造の光触媒担持体である光ハニカム47を介して、ケーシング部材43外に排出される。光ハ二カム47の基材の表面には光触媒が担持されており、その光触媒には光源49から紫外線が照射されている。光ハニカム47に導入されて光触媒に接触した汚染物質は、光触媒の酸化分解作用によって無害な物質に分解又は変換される。
光触媒を使用した空気清浄機は、活性炭を使用した空気清浄機のように汚染物質を吸着除去するのではなく、汚染物質を無害な物質へ分解又は置換するという特徴的な作用をもつ。また、吸着剤としての活性炭は交換が必要であるが、光触媒は交換が不要であり、半永久的に使用できるという利点もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光触媒を使用した空気清浄機では、二酸化チタンの酸化分解作用による汚染物質の分解速度が遅いため、活性炭を使用した空気清浄機のように汚染物質の迅速な除去ができないという問題があった。そこで、空気と光触媒の接触面積を大きくして浄化能力を向上させるべく、ハニカム構造を有する光触媒担持体の表面に光触媒を担持したものが提案されている。
【0005】
しかし、提案されているハニカム構造体の傾斜は、垂直なセル構造であるため、空気との接触反応が効果的でなく、接触反応効率を向上する必要がある。すなわち、光触媒の反応効率の向上と光触媒の耐久性(自浄作用)の向上が必要である。
そこで本発明は、安全であり、かつ光触媒の反応効率を向上させた空気清浄機を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の空気清浄機は、ハニカム構造体を構成する基材の表面に光触媒が担持された光触媒担持体と、光触媒担持体に所定波長の光を照射する光源と、光触媒担持体に空気を導入する送風手段と、空気中の酸素からオゾンを発生する光源を備えたオゾン発生手段と、ハニカム構造体を構成する基材の表面にオゾン分解触媒が担持されたオゾン分解触媒担持体と、がケーシング部材内に配置されており、ケーシング部材内に導入された空気がオゾン発生手段及び光触媒担持体を通過した後に、オゾン分解触媒担持体を通過してケーシング部材外に排出されるように構成された空気清浄機において、光触媒担持体とオゾン分解触媒担持体のそれぞれのハニカム構造が空気の流れ方向に対して互いに逆方向の45°傾斜を有することを特徴とする。好ましい傾斜角は、ハニカム構造体またはオゾン分解触媒が空気の流れ方向に30〜60°、特に好ましくは45°である。
【0007】
これにより、オゾン分解効果も改善され、また吹出口から光が見えない構造となり、光漏れを防止できる。
【0008】
なお、本発明者により、光触媒反応にオゾンを共存させると汚染物質の酸化分解反応が促進されることが確認されている。その作用は下記のとおりと考えられる。
▲1▼光触媒による活性種生成の酸化分解反応。・・・本来の光触媒の浄化作用。
▲2▼オゾンによる酸化分解反応。・・・光触媒では分解できない高分子成分を酸化して低分子成分にする。ただし、オゾンによる酸化分解反応では炭酸ガスと水にまで完全分解せず、中間体を生成する場合が多いが、この中間体は光触媒で分解される。
▲3▼オゾンによる光触媒の還元種の酸化。・‥光触媒表面では、酸化作用だけでなく還元作用も同時進行しているが、オゾンが共存すると還元種の酸化を行なうために、光触媒の酸化作用が促進される。
▲4▼光触媒によるオゾン分解。・・・オゾンの使用は空気中の残存オゾンが問題になるが、光触媒がオゾンを分解する。その際、活性酸素が生成し、その活性酸素も酸化分解反応に寄与する。
上記に示す作用により清浄能力が向上される。
さらに光触媒及びオゾン分解触媒の作用により、オゾンが分解され、その際、活性酸素が生成し、その活性酸素も酸化分解反応に寄与する。
【0009】
【発明の実施の形態】
光源は、400nm以下、好ましくは200nm以下の波長の光であってオゾンを発生しうる光を照射する光源であることが好ましい。その光源として例えば低圧水銀灯が挙げられる。
空気に紫外線を照射すると、次のような反応が起こり、空気中に酸素原子やオゾンが発生する。
このように、オゾン発生の可能な光源を用いれば、オゾン発生手段を兼ねることができ、装置の低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0011】
光触媒担持体には活性炭がさらに担持されていることが好ましい。
光触媒担持体に活性炭を存在させることにより、活性炭による汚染物質の一時保存が起こる。活性炭は、空気中の汚染物質と平衡関係になるように汚染物質を着脱する。すなわち、光触媒による分解が追随できない高濃度では汚染物質を吸着し、空気中の汚染物質濃度が低くなれば脱着するので、清浄能力を向上させることができる。さらに、活性炭はオゾンを分解するので、オゾン分解触媒を兼ねることができる。
【0012】
光触媒担持体の基材は、外形が半円筒状で、その胴体部が半径方向に複数の貫通孔をもつハニカム構造体であり、光源は光触媒担持体の半円筒状の軸中心に配置される棒状の光源であることが好ましい。
その結果、ハニカム構造の全ての孔に光を照射することができ、清浄能力を向上させることができるとともに、光触媒担持体の小型化を実現できる。
また、ハニカム構造体は、空気の流れ方向に傾斜を有する。これにより空気はストレートに吹き出されず、ハニカムに衝突してから吹出される構造になり、反応効率が向上する。
さらにハニカム構造体とオゾン分解触媒のそれぞれのハニカム構造が互いに逆方向の45°傾斜を有してもよい。これにより、オゾン分解効果も改善され、また吹出口から光が見えない構造となり、光漏れを防止できる。
【0013】
ケーシング部材内に導入される空気に含まれる粉塵を除去するフィルタをさらに備えることが好ましい。
その結果、送風手段及び光触媒担持体へ導入される空気中の浮遊粒子を除去することができ、送風手段及び光触媒担持体への浮遊粒子の付着を抑制することができる。
【0014】
光触媒としての好ましい例は、二酸化チタン単体、又は二酸化チタンを主成分とする他の金属若しくは金属酸化物との混合物である。光触媒担持体の基材は、表面積を大きくするために、不織布からなるものであることが好ましい。また、オゾン分解触媒としての好ましい例は、活性炭である。
【0015】
【実施例】
図1は一実施例を示す構成図であり、(A)は分解斜視図、(B)はその実施例を構成する光ハニカム、ネット部材及び光源を示す斜視図である。
13はケーシング部材であり、フィルタ3を収容するフィルタ収容部13a、シロッコファン5を収容するファン収容部13b、及び後述する光ハニカム(光触媒担持体)を収容する光ハニカム収容部13cから構成されている。
ファン収容部13bは外形が円盤状であり、その前面側の一端面13dに長方形状のフィルタ収容部13aが形成されている。フィルタ収容部13aの前面は開口されている。
フィルタ収容部13aの一側面(上面)に沿ったファン収容部13bの側面に光ハニカム収容部13cが形成されている。光ハニカム収容部13cの前面(フィルタ収容部13a側の面)は開口されており、上面(ファン収容部13bとは反対側の面)には空気吹出口となる複数のスリットが形成されている。
フィルタ収容部13aの内部は、ファン収容部13bの内部を介して、光ハニカム収容部13cの内部に連通している。
【0016】
フィルタ収容部13aには、フィルタ3が収容されている。フィルタ3として、HEPAフィルタと活性炭フィルタを前後に積層したものを用いた。フィルタ3はこれに限定されるものではなく、吸入される空気中の浮遊粒子を集塵するものであれば如何なるものでもよい。
ケーシング部材13のフィルタ収容部13aの前面及び光ハニカム収容部13cの前面はフロントケース1によって覆われている。フロントケース1には、フィルタ収容部13aに対応する位置に空気吸込口としての複数のスリットと、光ハニカム収容部13cに対応する位置に空気吹出口としての複数のスリットがそれぞれ形成されている。
ファン収容部13bには、フィルタ収容部13a側から空気を吸入し、光ハニカム収容部13c側に排出する送風手段としてのシロッコファン5が収容されている。
【0017】
光ハニカム収容部13cの内部及びフィルタ収容部13aの上方の空間に、光触媒である二酸化チタンを担持した光ハニカム15が配置されている。光ハニカム15は不織布により形成されており、外形が平板状のハニカム構造体に形成された後、そのハニカム構造体が外周半径50mmの半円筒状に湾曲されて形成されている。光ハニカム15の半径方向の厚さ寸法は20mmであり、軸方向の長さ寸法は250mmである。
【0018】
光ハニカム15の胴体には半径方向に放射状に貫通する孔(セル)が形成されている。そのセルは半円筒状の軸方向にも半径方向にも密に配列され、その円筒軸方向のピッチは約10mmである。セルは、図2に示すように空気の流れに対して45°の傾斜を有する。なお、図2は光ハニカム15のセル断面図で、図中矢印は空気の流れを示す。
【0019】
光ハニカム15を構成する不織布には活性炭が担持されており、活性炭の表面には光触媒としての二酸化チタンが塗布されて担持され、活性炭と二酸化チタンが層状に担持されている。
光ハニカム15は、その半円筒の軸方向に沿った2つの平坦面のうち、一方の平坦面がフィルタ収容部13aの上側側壁の外面に接触し、他方の平坦面が光ハニカム収容部13c内でファン収容部13b側に対向して配置されている。
【0020】
光ハニカム収容部13cの内部には、光ハニカム15の軸中心に、棒状の冷陰極低圧水銀灯(約6ワット)が光源17として配置されている。
光ハニカム収容部13cの内部には、光ハニカム15の外周表面を覆うように、オゾン分解触媒としての活性炭を担持したオゾン分解ハニカム19も配置されている。オゾン分解ハニカム19の基材は例えばセルロース、ウレタン、ポリプロピレンなどから構成され、その基材のピッチ寸法は例えば0.1〜10mmである。このハニカム19は、光ハニカム15の基材と同一でもよい。
【0021】
次に、この実施例の動作を説明する。
電源をオンにして、光源17を点灯し、ファン5を作動させる。ファン5の作用によってフロントケース1の周囲の空気が空気吸込口用のスリットを介してケーシング部材13内に導入される。導入された空気は、フィルタ3によって浮遊粒子が集塵された後、ファン5を介して、光ハニカム収容部13c内に導入される。
光ハニカム収容部13c内では、光源17の点灯によって185nmの波長の光が照射されるのでオゾンが発生する。さらに、光源17の点灯によって光ハニカム15に塗布された光触媒に波長400nm以下の波長の光が照射されるので光触媒が活性化する。オゾンの酸化分解作用及び光触媒の酸化分解作用によって、光ハニカム15のセルを通過中の空気中の汚染物質が酸化されて無害な物質へ分解又は置換される。
なお、光ハニカム15のセルを通過する空気は、図2に示すようにセルが空気の流れに対し、45°に傾斜しているので、空気と光触媒等の接触反応が有効に進行する。
【0022】
発生したオゾンは光ハニカム15及びオゾン分解ハニカム19に担持された光触媒の作用によって分解され、ケーシング部材13外に排出される空気中のオゾン濃度は人体に安全な0.05ppm以下になる。オゾンが分解するとき活性酸素が生成し、その活性酸素も酸化分解反応に寄与する。
また、空気中の汚染物質濃度が高濃度のときには、光ハニカム15及びオゾン分解ハニカム19に担持された活性炭に汚染物質が一時的に吸着され、その後分解される。このようにして浄化された空気は、フロントケース1及び光ハニカム収容部13cの空気吹出口用のスリットからケーシング部材13外に排出される。
【0023】
なお、上記の説明では、光ハニカム15のセルの傾斜を図2に示すように空気の流れに対し45°に傾斜させたが、これに限定されずオゾン分解触媒を担持させたオゾン分解ハニカム19を同様に45°の傾斜を持たせてもよい。
また、図3に示すように光ハニカムとオゾン分解触媒のそれぞれのハニカム構造を互いに逆方向の45°傾斜を持たせてもよい。図3中20は光ハニカム、21はオゾン分解ハニカム、矢印は空気の流れを示す。
【0024】
さらに、光源は冷陰極低圧水銀灯ではなく、300〜400nmの波長の光を照射するブラックライトを用いてもよい。また、光触媒の活性化と同時にオゾンを発生するものを用いてもよい。
図1の実施例では、オゾン分解触媒としての活性炭を担持したオゾン分解ハニカムを備えているが、装置内で発生したオゾンを光ハニカムに担持された光触媒及び活性炭の作用によって安全な濃度にまで分解できるのであれば、オゾン分解ハニカムは備えていなくてもよい。その場合、本発明のオゾン分解触媒は、光ハニカムに担持された活性炭によって構成される。
図1の実施例では、送風手段としてシロッコファンを用いているが、これに限定されるものではなく、軸流ファンなど他の送風手段を用いてもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の空気清浄機は、光触媒及びオゾンの酸化分解作用によって清浄能力を向上させることができ、かつ、光触媒及びオゾン分解触媒によってオゾンを分解するので安全性を向上させることができる。
また、空気の流れ方向に対してハニカム構造体またはオゾン分解触媒に傾斜を付けて、ファンの風がストレートに吹き出されず、ハニカムに衝突してから吹出される構造にしているので、光触媒の反応効率が向上する。
さらにハニカム構造体とオゾン分解触媒のそれぞれのハニカム構造が互いに逆方向の45°傾斜を有するのでオゾン分解効果も改善され、また吹出口から光が見えない構造となり、光漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気清浄機を構成図であり、(A)は分解斜視図、(B)は同実施例を構成する光ハニカム、オゾン分解ハニカム及び光源を示す斜視図である。示す分解斜視図である。
【図2】光ハニカムの断面図である。
【図3】光ハニカムとオゾン分解ハニカムの断面図である。
【図4】従来の空気清浄機の分解図である。
【符号の説明】
1:フロントケース
3:フィルタ
5:シロッコファン
13:ケーシング部材
15:光ハニカム(光触媒担持体)
17:光源
19:オゾン分解ハニカム
Claims (1)
- ハニカム構造体を構成する基材の表面に光触媒が担持された光触媒担持体と、光触媒担持体に所定波長の光を照射する光源と、光触媒担持体に空気を導入する送風手段と、空気中の酸素からオゾンを発生する光源を備えたオゾン発生手段と、ハニカム構造体を構成する基材の表面にオゾン分解触媒が担持されたオゾン分解触媒担持体と、がケーシング部材内に配置されており、ケーシング部材内に導入された空気がオゾン発生手段及び光触媒担持体を通過した後に、オゾン分解触媒担持体を通過してケーシング部材外に排出されるように構成された空気清浄機において、光触媒担持体とオゾン分解触媒担持体のそれぞれのハニカム構造が空気の流れ方向に対して互いに逆方向の45°傾斜を有することを特徴とする空気清浄機。
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