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JP3711230B2 - 多層型感光材料 - Google Patents

多層型感光材料 Download PDF

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JP3711230B2
JP3711230B2 JP2000254535A JP2000254535A JP3711230B2 JP 3711230 B2 JP3711230 B2 JP 3711230B2 JP 2000254535 A JP2000254535 A JP 2000254535A JP 2000254535 A JP2000254535 A JP 2000254535A JP 3711230 B2 JP3711230 B2 JP 3711230B2
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尚孝 久保田
美和 宮入
貴子 廣▲崎▼
浩太朗 遠藤
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に、厚さ30〜300nmという薄い非水溶性反射防止層を設け、さらにその上に厚さ200〜500nmという薄いネガ型レジスト層を設け、必要に応じてさらにその上に水溶性反射防止層を施した多層型感光材料について、ネガ型レジスト層の組成に工夫を加え、優れた感度及び解像性をもち、しかもエッジラフネスの少ない良好な断面形状のレジストパターンを与えるように改良された感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、半導体素子の小型化の要請に従い、250nm付近のレジストパターン、さらに次世代を目標とした200nm以下のレジストパターンを得るのに必要な解像性をもつアルカリ現像可能な化学増幅型のネガ型レジスト系感光材料の開発が行われている。
【0003】
ところで、化学増幅型のネガ型レジストは、アルカリ可溶性フェノール樹脂と尿素−ホルムアルデヒド付加物やメラミン−ホルムアルデヒド付加物のようなアミノプラストとの組み合せからなる酸硬化性樹脂成分に酸発生剤を配合したものが知られているが、このようなネガ型レジストに有機質又は無機質反射防止層を設けた基板上で使用することにより、その解像性が飛躍的に向上することから、200nm以下のレジストパターンを形成させる場合には、このような反射防止層と組み合わせて使用することが多い。
【0004】
しかしながら、例えば「DUVシリーズ」(ブリューワサイエンス社製)のような有機質の反射防止層とネガ型レジストと組み合わせて用いると、良好な断面形状のパターンが得られない場合があり、ネガ型レジストについては、このような有機質の反射防止層と組み合わせて用いた場合でも、テーパー形状や裾ひき形状を示さない矩形性の良好な断面形状のレジストパターンを与えるものが要望されている。
また、反射防止膜には、このほかに化学的気相成長法(CVD)によって形成される無機質の反射防止膜があるが、この場合にも同じような問題があり、その解決が求められている。
また、レジストパターンサイズが200nm以下という超微細レジストパターンを形成させる場合には、「エッジラフネス」という好ましくない現象を伴うことがあり、これを抑制することが解決すべき新たな問題として浮上してきた。
【0005】
一方において、化学増幅型のポジ型又はネガ型レジストについては、そのレジスト層上に水溶性反射防止層を設けることにより、解像性が向上し、かつ定在波の影響が抑制されることが知られている(特許第2878150号掲載公報)。しかしながら、レジスト層の下に有機質又は無機質の反射防止層を、また上に水溶性反射防止層を同時に設けて三層構造とすると、これを用いてパターン形成する際に、水溶性反射防止層の除去工程とこの反射防止層のエッチング工程が必要になり、作業が煩雑になるという欠点があるため、高スループットが求められる半導体素子の製造においては、一般にこの反射防止層からなる下層とレジスト層、又は水溶性反射防止層からなる上層とレジスト層とのいずれかの二層構造が選ばれていた。
【0006】
ところで、ネガ型レジスト層上に水溶性反射防止層を設けた二層構造のものは、ネガ型レジスト層と水溶性反射防止層との界面付近で不必要な架橋反応を起し、T型形状断面を有するレジストパターンを生じやすいこと及び近年定在波の影響のない断面垂直性の良好なレジストパターンが切望されるようになってきたことから、ネガ型レジスト層と下層の反射防止層との界面における裾ひきを抑制し、かつネガ型レジストと上層の水溶性反射防止層との界面でのT型形状断面の発生を抑制し、優れた矩形断面のパターン形状を与える三層構造が急拠注目されるようになってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、200nm以下の微細なレジストパターンの形成に際し、優れた感度、解像性に加え、エッジラフネスの少ない良好な断面形状のレジストパターンを与える二層の多層型感光材料及びT型形状断面の発生が抑制され、かつ裾ひきがなくエッジラフネスの少ない良好な断面形状のレジストパターンを与える三層の多層型感光材料を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特に微細なレジストパターンの形成に好適な多層型感光材料について鋭意研究を重ねた結果、基板上に、所定厚さの非水溶性反射防止層を設け、その上に厚さ200〜500nmのネガ型レジスト層を設けた二層構造又は必要に応じてさらにその上に水溶性反射防止層を施した三層構造の多層型感光材料において、前記ネガ型レジスト層を特定の組成の化学増幅型レジストで構成することにより、感度、解像度が優れ、しかも多層構造にかかわらず、エッジラフネスの少ない良好な矩形状断面をもつレジストパターンを与えるものが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、基板上に厚さ30〜300nmの非水溶性反射防止層を設け、その上に厚さ200〜500nmのネガ型レジスト層を設け、必要に応じてさらにネガ型レジスト層の上に水溶性反射防止層を設けた多層型感光材料であって、前記ネガ型レジスト層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生するオニウム塩及び(C)ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも1個の架橋形成基によりN位が置換されたグリコールウリルを、(A)成分100質量部当り(B)成分0.5〜20質量部、(C)成分3〜50質量部の割合で含有することを特徴とする感光材料を提供するものである。
【0010】
これまで、ネガ型レジストの架橋剤成分としてテトラメトキシメチル化グリコールウリルを用いることは知られているが、非水溶性反射防止層又はこれと水溶性反射防止層をもつ多層構造の感光材料においてこれを用いたときに、エッジラフネスが少なく、かつ良好な矩形断面をもつレジストパターンを与えることは全く予想外のことであった。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における基板の素材としては、これまで電子部品、電気部品用の基板に慣用されている素材の中から任意に選んで用いることができる。このようなものとしては、例えばシリコンウエーハやSiON、SiN、Si34、多結晶シリコン、TiNなどで被覆されたシリコンウエーハや、タンタル、クロムなどの金属で被覆されたガラス板などを挙げることができる。
【0012】
次に、この基板の上に設ける非水溶性反射防止層は、無機質でも有機質でもよい。無機質反射防止層は、通常化学的気相成長法、すなわちCVDにより形成される。有機質反射防止層は、被膜形成用の樹脂成分と反射防止成分の2成分系又は樹脂自体に反射防止能を付与した1成分系の反射防止層形成成分を有機溶剤に溶かして調製した塗布液を基板表面に塗布し、乾燥及び加熱することによって形成される。この層の厚さは、通常30〜300nmの範囲内で選ばれる。
本発明で用いる有機質反射防止層形成用塗布液は、市販品、例えば「DUVシリーズ」(ブリューワサイエンス社製)として入手することができる。
【0013】
ところで、これらの塗布液を用いて形成した非水溶性反射防止層上に、ネガ型レジスト層を設けた感光材料を用いてレジストパターンを作製すると、レジストパターンの裾ひきを生じることがあるが、これは、露光後の加熱処理の際、非水溶性反射防止層から酸成分が浸出することに起因するものと思われる。そして、本発明によれば、酸成分の含有量の多い非水溶性反射防止層を使用した場合においても裾ひきが防止されるという点で特に顕著な効果を奏するものである。
【0014】
他方、本発明において用いる水溶性反射防止層は、レジストパターンの解像性や定在波の影響を抑制するためのものであり、ポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂成分と、パーフルオロオクチルスルホン酸、パーフルオロデシルスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸やパーフルオロヘプタン酸又はパーフルオロオクタン酸のようなパーフルオロカルボン酸のアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド塩又はモノエタノールアミン塩などのフッ素系界面活性剤成分とを含有する水溶液をネガ型レジスト層上に塗布し、乾燥することにより形成される。この水溶性反射防止層の厚さは35〜45nmの範囲が好ましい。
【0015】
本発明においては、ネガ型レジストとして、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)オニウム塩の中から選ばれた活性線の照射により酸を発生する物質及び(C)ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基から選ばれた少なくとも1個の架橋形成基でN位が置換されているグリコールウリルを必須成分として含み、さらに所望に応じ(D)脂肪族低級アミン又は(E)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体あるいはその両方を含むものを用いることが必要である。
【0016】
この際、(A)成分として用いるアルカリ可溶性樹脂には、特に制限はなく、これまで化学増幅型のアルカリ可溶性樹脂成分の中から任意に選ぶことができるが、感度、解像性、断面形状の良好なレジストパターンを与えるという点で、質量平均分子量2,000〜4,000のヒドロキシスチレン60〜97モル%とスチレン40〜3モル%の共重合体、その中に存在する水酸基の5〜30%の水素原子がアルカリ不溶性基で置換されている質量平均分子量2,000〜4,000のヒドロキシスチレン60〜97モル%とスチレン40〜3モル%の共重合体、その中に存在する水酸基の3〜40%の水素原子がアルカリ不溶性基で置換されている質量平均分子量2,000〜4,000のポリヒドロキシスチレンなどが好ましい。特に、矩形型断面形状のレジストパターンを与える点で、質量平均分子量2,000〜4,000のヒドロキシスチレン60〜97モル%とスチレン40〜3モル%の共重合体が好ましい。
【0017】
上記のアルカリ不溶性基とは、未置換のアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解性を低下させる置換基である。例えば、tert‐ブトキシカルボニル基、tert‐アミルオキシカルボニル基などの第三級アルコキシカルボニル基、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、イソブチル基などの低級アルキル基がある。
これらの中で、レジストパターニングが施される周辺環境の影響を受けにくく、良好なレジストパターンが得られることから、低級アルキル基、特にイソプロピル基が好ましい。
【0018】
次に、(B)成分、すなわち酸発生剤は、化学増幅型レジストの成分として一般に用いられている放射線の照射により酸を発生する化合物であるが、本発明においては、これらの中のアルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含むオニウム塩を用いることが好ましい。このような酸発生剤は既に知られており、例えば特開昭54−95686号公報、特開昭62−229942号公報、特開平2−120366号公報などに記載されている。
【0019】
これまで、KrFレーザー光に対する透明性が高く、解像性が優れたレジストパターンを与えるという長所があることから、KrF用ネガ型レジストの酸発生剤としては、トリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレートが好ましいとされていた(特公平8−3635号公報)。
しかしながら、このようなハロゲン酸発生剤は、グリコールウリル系の架橋剤と組み合わせて使用する場合、LSI製造の実ラインプロセスで適用可能な感度ではレジストパターンを形成できないという欠点がある。
【0020】
そのほか、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンのようなスルホン酸発生剤も知られているが、このものは、グリコールウリル系架橋剤と併用した場合、高解像性のレジストパターンを得ることができない。
しかしながら、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩は、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも1種の架橋形成基によりN位が置換されたグリコールウリルからなる架橋剤と併用した場合、他の酸発生剤を用いた場合に生じる上記のような欠点はなく、優れた特性のレジスト層を与える。
【0021】
この(B)成分のアニオンは、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオンである。炭素数が長くなるほど、またフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)が小さくなるほどスルホン酸としての強度が落ちることから、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子の全部がフッ素化されたフッ素化アルキルスルホン酸が好ましい。
【0022】
他方、このアニオンと結合して酸発生剤を構成するカチオンは、従来この種の酸発生剤において通常用いられているものの中から任意に選ぶことができ、特に制限はない。このようなものとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基のような低級アルキル基又はメトキシ基、エトキシ基のような低級アルコキシ基で置換されていてもよいし、置換されなくてもよいジフェニルヨードニウム又はトリフェニルスルホニウム、ジ低級アルキルモノフェニルスルホニウム、低級アルキルシクロヘキシル2‐オキソシクロヘキシルスルホニウムなどが挙げられる。
【0023】
このカチオンとして、特に好適なのは、一般式
【化1】
Figure 0003711230
(式中のR1及びR2はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシル基である)
で表わされるカチオン、例えばジフェニルヨードニウム、ビス(4‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムなど、一般式
【化2】
Figure 0003711230
(式中のR3、R4及びR5はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシル基である)
で表わされるカチオン、例えばトリフェニルスルホニウム、トリス(4‐メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4‐メトキシフェニル)スルホニウムなど、一般式
【化3】
Figure 0003711230
(式中のR6は炭素数1〜4のアルキル基である)
で表わされるカチオン、例えばジメチルフェニルスルホニウムなど、一般式
【化4】
Figure 0003711230
(式中のR6は前記と同じ)
で表わされるカチオン、例えばメチルシクロヘキシル・2‐オキソシクロへキシルスルホニウムなどであり、これらのカチオンとトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネートとのオニウム塩、特に前記一般式(II)で表わされるトリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネートが好適である。
これらのオニウム塩は、単独で用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明においては、この(B)成分を、(A)成分100質量部当り0.5〜20質量部、好ましくは5〜15質量部の割合で用いられる。これよりも(B)成分の量が少ないと十分な感度が得られないし、またこれよりも(B)成分の量が多くなると、焦点深度幅が狭くなったり、保存安定性が悪くなる。
【0025】
次に、本発明においては、(C)成分すなわち架橋剤として、N位がヒドロキシアルキル基か低級アルコキシアルキル基又はその両方で置換されたグリコールウリルを用いることが必要である。
このような架橋剤は、従来使用されてきたアルコキシメチル化メラミンやアルコキシメチル化尿素に比べ、架橋能力が低い。本発明においては、このような架橋能力の低さを逆に利用し、オニウム塩と組み合わせることにより、非水溶性反射防止層上での裾ひき形状、エッジラフネスの低減又は水溶性反射防止層下でのT型形状断面を改善したのである。
【0026】
上記架橋剤は、グリコールウリルとホルマリンを縮合反応させることにより、またこの生成物を低級アルコールと反応させることにより得ることができる。
このような架橋剤としては、例えばモノ,ジ,トリ又はテトラヒドロキシメチルグリコールウリル、モノ,ジ,トリ又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ又はテトラエトキシメチルグリコールウリル、モノ,ジ,トリ又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどがある。
なお、このような架橋剤は、例えば市販品「N2702」(三和ケミカル社製)として入手することができる。このものはトリ体、テトラ体がほとんどであり、また、単量体、二量体、三量体の混合物である。
【0027】
この(C)成分は、(A)成分100質量部に対し、3〜50質量部、好ましくは10〜20質量部の割合で配合される。この範囲より少ないと、架橋形成が進まず、レジストパターンが得られないし、またこの範囲より多いとレジスト塗布液の保存安定性や感度の経時的劣化を生じるので好ましくない。
【0028】
本発明においては、前記した(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加えて、所望に応じさらに(D)成分の脂肪族低級アミンや(E)成分の有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。これらは、化学増幅型ネガ型レジストに慣用されている添加成分である。
【0029】
(D)成分の脂肪族低級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどの第三アミンやジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジプロパノールアミンなどの第二アミンが好適である。この(D)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜1.0質量部の割合で用いられる。
(E)成分の有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
また、リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
これらの(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜1.0質量部の割合で用いられる。
これらの(D)成分や(E)成分はそれぞれ単独で用いてもよいし、両者を一緒に用いてもよい。
さらに、本発明においては、レジスト塗膜性を向上させる界面活性剤を必要に応じ添加することができる。
【0030】
本発明においては、前記の(A)成分ないし(C)成分及び所望に応じ用いられる(D)成分や(E)成分を有機溶剤に溶解して調製された塗布液を用いてネガ型レジスト層を形成させる。この際用いる有機溶剤としては、各成分を溶解しうるものであればよく、特に制限はない。
このような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特に(B)成分と(C)成分の溶解性を考慮すると、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合物が好ましい。なお、その混合物における質量比は50:50ないし80:20が好ましい。
【0031】
本発明感光材料においては、先ず非水溶性反射防止層を基板上に厚さ30〜300nmの範囲で形成する。本発明感光材料においては、非水溶性反射防止層の厚さ及びその上に設けられるネガ型レジスト層の厚さは高解像性で矩形性に優れるレジストパターンを得る上で重要であり、ネガ型レジスト層の厚さは、200〜500nm、好ましくは200〜450nm、より好ましくは200〜400nmの範囲で選ばれる。この範囲を逸脱すると微細なパターンサイズや優れた断面形状のパターンが得られない。
【0032】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
実施例1
次に示す組成に従ってネガ型レジスト溶液を調製した。
Figure 0003711230
すなわち、上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分とフッ素シリコーン系界面活性剤をプロピレングリコールモノメチルエーテル700質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300質量部の混合物に溶解した後、孔径200nmメンブレンフィルターをとおしてろ過し、ネガ型レジスト溶液を得た。
一方、6インチシリコンウエーハ上に反射防止層形成用塗布液DUV−42(ブリューワサイエンス社製)を塗布、乾燥し、次いで180℃で60秒間加熱し、厚さ80nmの非水溶性反射防止層を設けた。
この非水溶性反射防止層の上に前記ネガ型レジスト溶液を2500rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で60秒間乾燥することにより、厚さ500nmのレジスト層を形成した。次いで、縮小投影露光装置FPA−3000EX3(キヤノン社製)により、KrFエキシマレーザーを選択的に照射したのち、110℃で60秒間、後加熱処理し、次いで2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、純水で15秒間リンスすることにより、ネガ型のレジストパターンを得た。
このようにして得られたレジストパターンの限界解像度は180nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの180nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は40mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0034】
実施例2
実施例1において、(B)成分として同量の式
【化5】
Figure 0003711230
で表わされる化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は180nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの180nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は50mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0035】
実施例3
実施例1における(A)成分としてその中に存在する水酸基の20%の水素原子がアルカリ不溶性基であるイソプロピル基で置換された質量平均分子量3000のポリヒドロキシスチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は180nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの180nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は30mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0036】
実施例4
実施例1における(C)成分として同量のテトラブトキシメチル化グリコールウリルを用いた以外は、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は180nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの180nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は45mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0037】
実施例5
次に示す組成に従ってネガ型レジスト溶液を調製した。
Figure 0003711230
すなわち、上記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分とフッ素シリコーン系界面活性剤をプロピレングリコールモノメチルエーテル1050質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート450質量部の混合物に溶解した後、孔径200nmメンブレンフィルターをとおしてろ過し、ネガ型レジスト溶液を得た。
一方、6インチシリコンウエーハ上に反射防止層形成用塗布液DUV−42(ブリューワサイエンス社製)を塗布、乾燥し、その後180℃で60秒間加熱し、厚さ80nmの非水溶性反射防止層を設けた。
この非水溶性反射防止層の上に上記ネガ型レジスト溶液を2500rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で60秒間乾燥することにより、厚さ300nmのレジスト層を形成した。次いで、縮小投影露光装置FPA−3000EX3(キヤノン社製)により、KrFエキシマレーザーを選択的に照射したのち、110℃で60秒間、後加熱処理し、次いで2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、純水で15秒間リンスすることにより、ネガ型のレジストパターンを得た。
このようにして得られたレジストパターンの限界解像度は150nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの150nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は40mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0038】
実施例6
実施例5における(A)成分としてその中に存在する水酸基の20%の水素原子がアルカリ不溶性基であるイソプロピル基で置換された質量平均分子量3000のポリヒドロキシスチレンを用いた以外は、実施例5と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例5と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は150nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの150nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は35mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0039】
実施例7
実施例5における(C)成分として同量のテトラブトキシメチル化グリコールウリルを用いた以外は、実施例5と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例5と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は150nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの150nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は40mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0040】
実施例8
6インチシリコンウエーハ上に反射防止層形成用塗布液DUV−42(ブリューワサイエンス社製)を塗布、乾燥し、その後180℃で60秒間加熱し、厚さ80nmの非水溶性反射防止層を設けた。次いでこの非水溶性反射防止層の上に、実施例5で調製したネガ型レジスト溶液を2500rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で60秒間乾燥することにより、厚さ300nmのレジスト層を形成した。
次いで、このレジスト層の上に水溶性反射防止層形成用塗布液TSP−9AEX(東京応化工業社製)を塗布、乾燥し、厚さ42nmの水溶性反射防止層を設けた。
次に、縮小投影露光装置FPA−3000EX3(キヤノン社製)により、KrFエキシマレーザーを選択的に照射したのち、110℃で60秒間、後加熱処理し、次いで2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、純水で15秒間リンスすることにより、ネガ型のレジストパターンを得た。
このようにして得られたレジストパターンの限界解像度は150nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、また水溶性反射防止層との界面の断面がT型形状となることなく板面から垂直に切り立った矩形を示した。
このものの150nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は40mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0041】
実施例9
6インチシリコンウエーハ上に反射防止層形成用塗布液DUV−42(ブリューワサイエンス社製)を塗布、乾燥し、その後180℃で60秒間加熱し、厚さ80nmの非水溶性反射防止層を設けた。
この非水溶性反射防止層の上に前記実施例1のネガ型レジスト溶液を2500rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で60秒間乾燥することにより、厚さ500nmのレジスト層を形成した。
次いで、このレジスト層の上に水溶性反射防止層形成用塗布液TSP−9AEX(東京応化工業社製)を塗布、乾燥し、厚さ42nmの水溶性反射防止層を設けた。
次いで、縮小投影露光装置FPA−3000EX3(キヤノン社製)により、KrFエキシマレーザーを選択的に照射したのち、110℃で60秒間、後加熱処理し、次いで2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、純水で15秒間リンスすることにより、ネガ型のレジストパターンを得た。
このようにして得られたレジストパターンの限界解像度は180nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、また水溶性反射防止層との界面の断面がT型とならず板面から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの180nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は40mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0042】
比較例1
実施例1における(B)成分としてトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5質量部及び(C)成分としてメトキシメチル化尿素(三和ケミカル社製,商品名「Mx290」)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は200nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近が裾ひきが認められた。
このものの200nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は100mJ/cm2であった。
【0043】
比較例2
実施例1における(B)成分としてトリス(2,3‐ジブロモプロピル)イソシアヌレート5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、パターニング処理したが、レジストパターンは形成できなかった。
【0044】
比較例3
実施例1における(B)成分としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト溶液を調製した。
次いで、実施例1と同様にして、パターニング処理したところ、得られたレジストパターンの限界解像度は300nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は非水溶性反射防止層との境界付近に裾ひきが認められた。
このものの300nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は50mJ/cm2であった。
【0045】
実施例10
実施例1における非水溶性反射防止層を設けたシリコンウエーハの代りに、CVD法によりSiON膜(無機反射防止膜)を設けたシリコンウエーハを用い、さらにネガ型レジスト層の膜厚を450nmとした以外は実施例1と同様にしてネガ型のレジストパターンを形成した。
このようにして得られたレジストパターンの限界解像度は180nmのラインアンドスペースパターンであり、そのレジストパターン形状は反射防止層との境界付近に裾ひきは認められず、基板から垂直に切り立った矩形の良好なものであった。
このものの180nmのレジストパターンを得るのに要する最小露光量(感度)は40mJ/cm2であった。
また、エッジラフネスの少ないラインパターンであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によると、ネガ型レジスト層と非水溶性反射防止層とからなる二層の多層型感光材料又はネガ型レジスト層と非水溶性反射防止層と水溶性反射防止層とからなる三層の多層型感光材料において、裾ひきやT型形状断面を生じることなく、矩形性の良好なレジストパターンを与えるという利点をもたらすことができる。

Claims (6)

  1. 基板上に厚さ30〜300nmの非水溶性反射防止層を設け、その上に厚さ200〜500nmのネガ型レジスト層を設けた多層型感光材料であって、前記ネガ型レジスト層が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生するオニウム塩及び(C)ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも1個の架橋形成基によりN位が置換されたグリコールウリルを、(A)成分100質量部当り(B)成分0.5〜20質量部、(C)成分3〜50質量部の割合で含有することを特徴とする感光材料。
  2. 非水溶性反射防止層が酸成分を含有する請求項1記載の感光材料。
  3. ネガ型レジスト層の上にさらに水溶性反射防止層を設けた請求項1又は2記載の感光材料。
  4. 水溶性反射防止層が水溶性樹脂成分とフルオロアルキルスルホン酸塩又はフルオロアルキルカルボン酸塩を含有する請求項3記載の感光材料。
  5. ネガ型レジスト層がさらに(D)脂肪族低級アミンを(A)成分100質量部当り0.01〜1.0質量部の割合で含有する請求項1ないし4のいずれかに記載の感光材料。
  6. ネガ型レジスト層がさらに(E)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を(A)成分100質量部当り0.01〜1.0質量部の割合で含有する請求項1ないし5のいずれかに記載の感光材料。
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