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JP3707577B2 - 船舶用エンジンの運転制御装置 - Google Patents

船舶用エンジンの運転制御装置 Download PDF

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JP3707577B2 JP33844196A JP33844196A JP3707577B2 JP 3707577 B2 JP3707577 B2 JP 3707577B2 JP 33844196 A JP33844196 A JP 33844196A JP 33844196 A JP33844196 A JP 33844196A JP 3707577 B2 JP3707577 B2 JP 3707577B2
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作レバーによりシフト位置を前進,中立(ニュートラル),後進の何れかに切り替えるとともにスロットル弁の開度を調整するようににした船舶用エンジンの運転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば船外機等を備えた小型船舶では、操作レバーの回動位置によりシフト位置を前進,中立,後進の何れかに切り替えるとともに、操作レバーを前進位置,後進位置からさらに回動することによりスロットル弁開度を調整するようにしたものがある。このような小型船舶では、前進走行中の船体を制動する場合、スロットル弁を閉じるとともにシフト位置を前進から後進に切り替えてプロペラを逆転させることにより後進推力を発生させて減速するようにしている。この場合、船体が惰性で前進しているときに前進水流で前進方向に回転しているプロペラを強制的に瞬時に後進方向に切り替えることとなる。
【0003】
また、上記小型船舶では、船体を低速走行させながら釣りを行ういわゆるトローリングを行う場合がある。このトローリングでは魚種によっては極めて低い船速が要求される場合があり、エンジン回転数を例えばアイドル回転数より低い回転数に制御しなければならない場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記船体を制動する場合、前進状態から後進状態に切り替えるとエンジンストールが発生し易いという問題がある。即ち、前進走行中にスロットル弁を閉じてニュートラルに切り替えても船体は慣性力で前進しており、前進水流によってプロペラも前進方向に回転している。一般に小型船舶では前,後進の切替えにはドッククラッチが採用されており、そのため後進に切り替えたときに発生する衝撃的なクランク軸を逆転させる方向に働く力を吸収できず、その結果エンジンストールが発生する場合がある。
【0005】
また上記トローリング走行を行う場合、アイドル回転数より低いエンジン回転数に設定するのは現状では困難であり、安定した微速走行が得られないという問題があり、この点での改善が要請されている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、前進から後進に切り替えて制動を行う場合のエンジンストールを防止でき、かつアイドル回転数より低いエンジン回転速度が安定して得られる船舶用エンジンの運転制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、操作レバーによりシフト位置を前進,中立,後進の何れかに切り替えるとともに吸気通路面積を変化させるスロットル弁を開閉するようにした船舶用エンジンの運転制御装置において、上記操作レバーのシフト位置を検出してシフト位置に応じた信号を出力するシフトポジションセンサを設け、上記スロットル弁の開度が略全閉の状態で該スロットル弁が連通する気筒への吸気量を調整する吸気量調整弁を設け、該吸気量調整弁による吸気量を上記シフトポジションセンサからの信号に基づいて制御する吸気量制御手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、上記吸気量制御手段は、上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に及び後進側から前進に切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1において、上記吸気量制御手段は、所定速度以上で前進走行中に上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は3において、上記吸気量制御手段は、上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に及び後進側から前進に所定速度以上で切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、は請求項1,3,4の何れかにおいて、上記吸気量制御手段は、エンジン回転速度の低下割合が所定値以上の場合に上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に及び後進側から前進に切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1において、上記吸気量制御手段は、操作レバーが前進位置でかつスロットル弁開度を略全閉とする位置にありかつトローリング状態のときの上記吸気量調整弁による吸気量を操作レバーが中立位置にあるときの吸気量より減量することを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1ないし6の何れかにおいて、上記吸気量調整弁は、上記スロットル弁をバイパスするように設けられてエンジンのアイドル回転数を調整するアイドル回転数調整弁であることを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1ないし6の何れかにおいて、上記吸気量調整弁は、上記スロットル弁が兼用されていることを特徴としている。
【0015】
ここで本発明において、操作レバーが前進側から後進に又は後進側から前進に切り替えられた時点の直前の検出は、例えば操作レバーの回動角度によって行われる。また、便宜的に中立位置を通過した時点をもって上記直前状態であると判断することも可能である。なお、前進側から後進に切り替えられるとは、前進位置から中立位置を通って後進位置に切り替えられるとの意味である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図6は、請求項1〜7の発明の一実施形態による船外機用エンジンの運転制御装置を説明するための図であり、図1,図2は本実施形態の運転制御装置が適用された船外機の概略構成図,側面図、図3は操作レバーのシフト操作を示す図、図4はシフトポジションセンサの特性図、図5はシフト位置とエンジン回転数との関係を示す特性図、図6は運転制御装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【0017】
図1において、1は船外機であり、これは船体2の船尾2aにクランプブラケット3を介して上下,左右に揺動可能に枢支されている。この船外機1は推進機4が配設された下部ケース5にエンジン6を搭載し、該エンジン6をカウリング7で囲んだ概略構造のものである。
【0018】
上記推進機4は、垂直方向に延びるドライブシャフト8の下端に傘歯車機構10を介して推進軸11を連結し、該推進軸11の後端にプロペラ12を結合した構成となっている。上記傘歯車機構10はドライブシャフト8に装着された駆動傘歯車10aと、推進軸11に回転自在に装着され駆動傘歯車10aに噛合した前進傘歯車10b,後進傘歯車10cとからなる。
【0019】
上記推進機4には前後進切替え装置15が配設されている。この切替え装置15は、前,後方向に揺動可能に枢支された操作レバー16にシフトケーブル18aを介してシフトロッド18bを連結し、該シフトロッド18bに連結されたドッククラッチ18cにより上記前,後進傘歯車10b,10cの何れかを推進軸11に結合し、又は両方とも結合しないように構成されている。また上記操作レバー16を所定開度以上に回動することによりスロットルアクチュエータ45がスロットル弁17を開閉するようになっている。なお、52はスロットル開度センサである。
【0020】
上記操作レバー16は、図3に示すように、ドッククラッチ18cにより前,後進傘歯車10b,10cの両方ともを推進軸11に対してフリーにするニュートラル位置(領域)Aと、該ニュートラル位置Aからさらに前方に回動させることにより前進傘歯車10bを推進軸11に結合させる前進クラッチイン位置B1と、該クラッチイン位置B1からさらに前方に回動させることにより上記スロットル弁17を該回動量に応じて開く前進走行位置(領域)B2との間で回動する。また上記ニュートラル位置Aから後方に回動させることにより後進傘歯車10cを推進軸11に結合させる後進クラッチイン位置C1と、該クラッチイン位置C1からさらに後方に回動させることによりスロットル弁17を該回動量に応じて開く後進走行位置(領域)C2との間で回動するようになっている。ここで、スロットル弁17の開度は、上記操作レバー16がニュートラル位置Aの範囲,及び前,後クラッチイン位置B1,C1から前,後進走行位置B2,C2までの範囲にあるときには全閉のアイドル開度Dに設定されている。
【0021】
上記エンジン6は水冷式4サイクル並列4気筒エンジンであり、クランク軸20を走行時に略垂直をなすように縦向きに配置して構成されており、該クランク軸20の下端に上記ドライブシャフト8の上端が連結されている。上記エンジン6は、シリンダブロック21に形成されたシリンダボア21a内にピストン22を挿入配置するとともに、該ピストン22をコンロッド23で上記クランク軸20に連結した構造のものである。上記シリンダブロック21の船体前後方向に見て後合面にはシリンダヘッド24が、また前合面には上記クランク軸20を収容するクランクケース34がそれぞれ締結されている(図2参照)。
【0022】
上記シリンダヘッド24に形成された各気筒毎の燃焼凹部24aには点火プラグ25が挿着されている。また各燃焼凹部24aに連通する排気ポート26,吸気ポート27にはそれぞれ排気バルブ28,吸気バルブ29が配設されており、該各バルブ28,29はクランク軸20と平行に配設されたカム軸30,31により開閉駆動される。なお、25aは点火コイル,25bはイグナイタである。
【0023】
上記各排気ポート26には排気マニホールド32が接続されており、排気ガスは排気マニホールド23から上記下部ケース5内を通って推進機4の後端から水中に排出されるようになっている。
【0024】
上記各吸気ポート27には吸気マニホールド33が接続されている。各吸気マニホールド33は、上記クランクケース34のオイルパン34aの側部に配設された合流部35に接続されており、該合流部35には各気筒共通の上記スロットル弁17を内蔵するスロットルボディ36が接続されている。このスロットルボディ36はオイルパン34aの後方に配設されたサージタンク37に接続されている。このサージタンク37には吸気ダクト38が接続されており、該吸気ダクト38はエンジン6の上方に配置されている。この吸気ダクト38には空気流入口38aが形成されており、上記カウリング7の後壁に形成された外気導入孔7aから空気を取り入れるようになっている(図2の→印参照)。
【0025】
また上記シリンダヘッド24の各吸気ポート27に臨む部分には燃料噴射弁40が挿入配置されており、該燃料噴射弁40の噴射口はポート開口を指向している。上記各燃料噴射弁40にはクランク軸20と平行に配置され加圧燃料を供給する燃料供給レール41が接続されており、該供給レール41は不図示のベーパセパレータに連通接続されている。
【0026】
上記スロットルボディ36には、吸気量調整弁としてのアイドル回転数調整弁60が配設されている。このアイドル回転数調整弁60は、上記スロットル弁17の上流側と下流側とを連通するバイパス通路61に、該バイパス通路61の面積を変化させる調整バルブ62を介設した構成となっている。この調整バルブ62はスロットル弁17が全閉位置に位置しているアイドリング運転時に上記バイパス通路61の通路面積を略1/2とするようにその開度が設定されている。
【0027】
上記エンジン6は運転制御装置としてのコントロールユニット42を備えている。このコントロールユニット42は、エンジン回転数センサ43,吸気圧センサ44,スロットル開度センサ52,冷却水温度センサ46,船体速度センサ47,及び気筒判別センサ48からの検出値が入力され、これらの検出値から内蔵する運転制御マップに基づいて燃料噴射弁40の燃料噴射量,噴射時期、及び点火プラグ25の点火時期を制御するように構成されている。
【0028】
上記速度センサ47は、船体走行に伴う水流により回転するパドルの回転速度を検出する水車式スピードセンサであり、船体2の船尾2aの下端に配設されている。なお、上記速度センサには、船外機の下部ケース内の水圧変化を検出する半導体圧力センサ等を採用してもよい。
【0029】
また、上記船外機1にはトローリング回転数を3段階で選択可能のトローリング選択スイッチ65が配設されており、該選択スイッチ65を乗船者が所定操作するとトローリング回転数に応じた選択信号が上記アイドル回転数調整弁60の開度を制御する吸気量制御手段として機能する上記コントロールユニット42に出力される。そしてコントロールユニット42は、図5に示すように、上記トローリング選択信号が入力されると、予め設定されたトローリング回転数となるように上記アイドル回転数調整弁60を開閉制御するように構成されている。即ち、上記トローリング選択スイッチ65が入力されかつ操作レバー16が前進クラッチイン位置B1の直前から前進走行位置B2までの間にあるときには上記バイパス通路61を絞り込んで吸気量を減少させる。この吸気量の減少に見合った燃料が噴射供給され、これによりアイドリング回転数より低いトローリング回転数が得られる。
【0030】
上記切替装置15のシフトロッド18bにはシフトポジションセンサ55が配設されている。このシフトポジションセンサ55は上記シフトロッド18bの位置つまり操作レバー16のシフト位置A〜Cを検出して上記コントロールユニット42に出力する。このシフトポジションセンサ55は、図4に示すように、シフト位置A〜Cに応じた値の電圧信号を出力する。また上記操作レバー16にはこれの回動速度を検出するレバー速度センサ57が配設されており、該センサ57からの検出値を上記コントロールユニット42に出力する。
【0031】
そして上記コントロールユニット42は、図5に示すように、上記船体速度センサ47,レバー速度センサ57からの検出値が所定値を越え、かつシフトポジションセンサ55からの出力信号が後進クラッチイン位置C1直前の電圧値a〜bの範囲にあるとき、予め設定された制動回転数となるように上記アイドル回転数調整弁60を開閉制御する。即ち、船体2が所定速度以上で前進走行中でかつ操作レバー16をニュートラル位置Aから後進クラッチイン位置C1に移動させたときには上記バイパス通路61を開けて吸気量を増量させる。またこの吸気量の増量に見合った燃料増量が行われ、これによりエンジン回転数はアイドリング回転数より高い制動回転数に制御される。
【0032】
上記コントロールユニット42による制動回転数制御動作を図6のフローチャートに沿って説明する。
スロットル弁17が全閉でなく開いているときには上記アイドル回転数調整弁60のフィードバック制御は行われず、該調整弁60の開度は初期設定値(バイパス通路61を1/2開く開度)に保持され、スロットル弁開度に応じた通常運転が行われる(ステップS1,S2)。
【0033】
上記スロットル弁開度が全閉で、操作レバー16のレバー速度が設定値より大きく、かつ図4に示すポジションセンサ55からの電圧値が後進クラッチイン直前タイミングであることを示すa〜bの範囲の場合(図5のt1参照)には船体制動操作が行われたと判定し、アイドル回転数調整弁60を開いてエンジン回転数を制動回転数に制御する(ステップS1〜S5)。そして制動運転後の経過時間が設定値より大きくなると上記アイドル回転数調整弁60の開度を所定のアイドリング開度に戻す(ステップS7)。
【0034】
また上記ステップS3においてレバー速度が設定値より小さい場合には船体制動操作は行われていない判定してアイドリング回転数調整弁60の開度増加は行わない。またステップS4においてポジションセンサ55からの電圧値がa〜bの以外の値を示している場合は所定のアイドリング開度に制御する。
【0035】
ここで、上記ステップ3ではレバー速度に基づいて船体制動操作の有無を判定するようにしたが、船体速度により判定してもよく、また該船体速度とレバー速度の両方に基づいて判定してもよい。このようにした場合には制動操作の有無をより正確に判定できる。またエンジン回転速度の低下割合が所定値以上の場合に船体制動操作が行われていると判断することも可能である。
【0036】
このように本実施形態によれば、操作レバー16が後進クラッチイン位置C1直前にシフトされるとアイドリング回転数調整弁60を開いて制動回転数,つまりアイドル回転数より高い回転数に制御したので、エンジンの回転力を高めることができ、これにより船体2を制動する場合のエンジンストールの発生を回避でき、安定した制動を行うことができる。
【0037】
また操作レバー16のレバー速度が設定値より大きく、かつシフトポジションセンサ55からの電圧値がa〜bの範囲のとき,つまり後進クラッチイン直前,もしくは同時にエンジン回転数を増加させるようにしたので、エンジン速度増加に伴う違和感を回避できる。即ち、操作レバー16が遅い速度で操作された場合にニュートラル位置A内にあるうちにアイドル調整弁開度を増加開始した場合にはエンジン回転数が運転者の意図に反して上昇することとなり、違和感を感じ易い。
【0038】
ここで上記後進クラッチイン直前にアイドリング調整弁開度を増加開始した場合でも、ドッグクラッチに衝撃荷重がかかり、騒音等の問題が発生し易い。本実施形態では、上記後進クラッチイン直前でかつレバー速度,船速が設定値以上のエンジンストール発生防止上特に必要な特定の運転状態のときにのみ制動回転数に制御するようにしたので、上記衝撃荷重の発生頻度を低減でき、ドッククラッチ18cの損傷,及びギヤ音の発生の問題を抑制できる。
【0039】
本実施形態では、操作レバー16が前進クラッチイン位置B1〜前進走行位置B2の間にあり、トローリングモードが選択された場合には上記アイドル回転調整弁60を閉じてアイドリング回転数より低い何れかのトローリング回転数に制御するようにしたので、安定した微速走行を得ることができ、魚種応じたトローリングが可能である。
【0040】
ここで上記実施形態においてトローリング回転数を3段階に設定し、選択スイッチにより適宜選定するようにしたが、この場合は、吸気量を制御するとともに、運転気筒数の一部を休止させるようにしてもよい。
【0041】
なお、上記実施形態では、吸気量調整弁としてスロットル弁17とは別個にアイドル回転数調整弁60を設けたが、本発明の吸気量調整弁はこれに限られるものではなく、上記スロットル弁17を吸気量調整弁に兼用してもよい。この場合には、上記後進切替え制動状態ではスロットル弁開度をアクチュエータ45により僅かに開いて吸気量を増加させることとなる。このように構成したのが請求項8の発明である。
【0042】
また上記実施形態では、操作レバー16のシフト位置A〜Cに応じて出力電圧値を変化させるシフトポジションセンサ55を採用したが、本発明のシフトポジションセンサとしては、図7に示すように、前進スイッチ,ニュートラルスイッチ,後進スイッチからなるものを採用してもよい。この場合、上記後進スイッチは後進クラッチインの直前にてオンする構造のものが採用される。
【0043】
また上記実施形態では、シフト位置が前進側から後進に切り替えられる場合を説明したが、本発明は後進側から前進に切り替えられる場合にも適用できる。さらにまた上記実施形態では、4サイクルエンジンの運転制御装置を例に説明したが、本発明は2サイクルエンジンにも勿論適用でき、また船外機用エンジンに限らず船内エンジンにも適用できる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明に係る船舶用エンジンの運転制御装置によれば、スロットル弁開度が略全閉の状態で吸気量を調整する吸気量調整弁と、該吸気量調整弁による吸気量を操作レバーの状態に基づいて制御する吸気量制御手段とを備えたので、請求項2〜5に示すように、操作レバーのシフト位置等に応じて吸気量を制御することにより各種のエンジン回転状態を得ることができる。
【0045】
請求項2の発明では、上記操作レバーによりシフト位置が前進と後進との間で切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量するようにしたので、前進状態から後進状態に切替えられた時又は後進状態から前進状態に切り替えられた時の逆転力に対向できるようにエンジン回転数が増加し、エンジンのストールを回避できる効果がある。
【0046】
請求項3の発明では、上記前進から後進への切替え時のエンジン回転数増加を船体が所定速度以上で前進走行中に後進に切替えられた場合に限定したので、また請求項5の発明では、前進〜後進間の切り替えによりエンジン回転速度の低下割合が所定値以上となった場合に限定したので、エンジンストール防止上特に必要な場合にのみ上記エンジン回転数増加を行うこととなり、クラッチ機構等に大きな衝撃力が作用する頻度を低減できる効果がある。
【0047】
請求項4の発明では、上記前進から後進に又はその逆方向に所定速度以上で切替えられた場合にのみ上記エンジン回転数増加を行うようにしたので、エンジン回転数が運転者の意図に反して上昇するのを防止して違和感の発生を回避できる効果がある。
【0048】
請求項6の発明では、操作レバーが前進位置でかつスロットル弁開度を略全閉とする位置にありかつトローリングモードが選択されている場合には、上記吸気量調整弁による吸気量を操作レバーが中立位置にあるときの吸気量より減量するようにしたので、エンジン回転数をアイドリング回転数より低いトロール回転数に制御することが可能となり、トローリングを行う場合の安定した微速走行を実現できる効果がある。
【0049】
請求項7の発明では、上記吸気量調整弁を上記スロットル弁をバイパスするように設けられてエンジンのアイドル回転数を調整するアイドル回転数調整弁で構成したので、また請求項8の発明では、上記吸気量調整弁を上記スロットル弁と兼用としたので、スロットル弁全閉時におけるエンジン回転数の制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による船外機用エンジンの運転制御装置を説明するための概略構成図である。
【図2】上記船外機の側面図である。
【図3】上記船外機の操作レバーのシフト位置を説明するための図である。
【図4】上記運転制御装置のシフトポジションセンサの出力特性図である。
【図5】上記運転制御装置のシフト位置とエンジン回転数との関係を示す特性図である。
【図6】上記運転制御装置の動作を示すフローチャート図である。
【図7】上記シフトポジションセンサの変形例の出力特性図である。
【符号の説明】
1 船外機
6 4サイクルエンジン
15 切替え装置
16 操作レバー
17 スロットル弁
42 コントロールユニット(吸気量制御手段)
60 アイドリング回転数調整弁(吸気量調整弁)

Claims (8)

  1. 操作レバーによりシフト位置を前進,中立,後進の何れかに切り替えるとともに吸気通路面積を変化させるスロットル弁を開閉するようにした船舶用エンジンの運転制御装置において、上記操作レバーのシフト位置を検出してシフト位置に応じた信号を出力するシフトポジションセンサを設け、上記スロットル弁の開度が略全閉の状態で該スロットル弁が連通する気筒への吸気量を調整する吸気量調整弁を設け、該吸気量調整弁による吸気量を上記シフトポジションセンサからの信号に基づいて制御する吸気量制御手段を備えたことを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  2. 請求項1において、上記吸気量制御手段は、上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に及び後進側から前進に切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  3. 請求項1において、上記吸気量制御手段は、所定速度以上で前進走行中に上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  4. 請求項1又は3において、上記吸気量制御手段は、上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に及び後進側から前進に所定速度以上で切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  5. 請求項1,3,4の何れかにおいて、上記吸気量制御手段は、エンジン回転速度の低下割合が所定値以上の場合に上記操作レバーによりシフト位置が前進側から後進に及び後進側から前進に切り替えられた時点又はその直前から所定の期間において上記吸気量調整弁による吸気量を増量することを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  6. 請求項1において、上記吸気量制御手段は、操作レバーが前進位置でかつスロットル弁開度を略全閉とする位置にありかつトローリング状態のときの上記吸気量調整弁による吸気量を操作レバーが中立位置にあるときの吸気量より減量することを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  7. 請求項1ないし6の何れかにおいて、上記吸気量調整弁は、上記スロットル弁をバイパスするように設けられてエンジンのアイドル回転数を調整するアイドル回転数調整弁であることを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
  8. 請求項1ないし6の何れかにおいて、上記吸気量調整弁は、上記スロットル弁が兼用されていることを特徴とする船舶用エンジンの運転制御装置。
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