JP3706369B2 - 高分子材料の合成方法、高分子薄膜の形成方法及び層間絶縁膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比誘電率が低くて機械強度が大きい高分子材料、高分子薄膜及び層間絶縁膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超LSIの層間絶縁膜として用いられる有機高分子膜としては、耐熱性を高めるために芳香族を含む分子を重合させてなる有機高分子膜、例えば、ポリイミド誘導体、ポリアリルエーテル誘導体、ポリキノリン誘導体又はポリパラキシレン誘導体等からなる有機高分子膜が知られている。これらの有機高分子膜は、炭素を主成分とするため、従来から用いられているSiO2 を主成分とする層間絶縁膜に比べて、構成分子の分極率が小さいので、比誘電率が低い。このため、有機高分子膜は比誘電率が低い層間絶縁膜として注目されている。炭素を主成分とする有機高分子膜の比誘電率は2.4〜3.0程度であって、SiO2 を主成分とする通常の層間絶縁膜の比誘電率である3.3〜4.5程度に比べて低い。もっとも、SiO2 を主成分とする層間絶縁膜であっても、有機成分が導入された有機SOGでは2.9程度の比誘電率を持つものが知られている。
【0003】
ところで、従来の有機高分子膜においては、有機分子の分極率がSiO2 の分極率よりも小さいことにより、低い比誘電率を実現しているが、比誘電率を一層低減するために、有機高分子膜の多孔質化が検討されている。
【0004】
しかしながら、有機高分子膜を多孔質化すると、比誘電率を大きく低下することは可能であるが、一方では、密着性及び機械的強度の低下を招く。これは、多孔質化による比誘電率の低減は、有機高分子膜の架橋密度の低減により実現されるという原理的な欠陥に起因する。有機高分子膜の機械強度は、架橋密度が高いほど大きいため、多孔質化による架橋密度の低下は、有機高分子膜の硬さの低下を招くと共に、ガラス転移温度の低下をもたらす。
【0005】
層間絶縁膜の密着性及び機械的強度の低下は、層間絶縁膜を平坦化するために化学的機械研磨(CMP)を行なう際に、配線構造の破壊を引き起こしてしまうという問題がある。また、ガラス転移温度の低下は、層間絶縁膜に対して後に行なわれる熱処理工程において軟化現象が起きるため、多層配線構造の変形又は破壊が引き起こされるという問題がある。
【0006】
そこで、密着性及び機械的強度の低下を引き起こすことなく、有機高分子膜の低誘電率化を実現するために、特開平2001−332543号公報において、有機高分子中に3次元の空孔を持つ3次元重合高分子構造の低誘電率有機高分子膜が提案されている。これは、例えば、4つの官能基を有する3次元架橋分子と、該3次元架橋分子の官能基と化学結合を形成する2つの官能基を有する直鎖状分子(2次元架橋分子)との共重合体を形成したり、又は内部に空孔を有する分子を重合したりすることによって、分子レベルのサイズの3次元の空孔を有する高分子構造体を形成する方法である。
【0007】
この方法によると、有機高分子膜中に分子レベルのサイズを持つ空孔を形成できるので、架橋密度の向上による耐熱性の向上(ガラス転位温度の向上)及び機械的強度の向上と、低誘電率化との両立が可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高い架橋密度を有する有機高分子膜は、高度な3次元ネットワークを有するので、ゲル化する傾向が強い。ゲルとは、重合反応が進むにつれて架橋が進行し、これにより大量の溶媒がネットワーク中に含まれた状態で不溶化した湿潤固体である。
【0009】
このため、ゲル化した湿潤固体から、成形体を形成したり又は薄膜化に適した原材料を調整したりすることは非常に困難であると共に、ゲル化した湿潤固体を基板上に塗布することは不可能である。
【0010】
このため、膜中に分子レベルのサイズを持つ空孔を有し且つ高い架橋密度を有する有機高分子膜を形成することは極めて困難である。
【0011】
前記に鑑み、本発明は、膜中に分子レベルのサイズを持つ空孔を有し且つ高い架橋密度を有する有機高分子膜を確実に形成できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の高分子材料の合成方法は、溶液状態のルイス酸とルイス塩基とを酸塩基相互作用により自己組織化させることによって超分子構造を形成する工程と、超分子構造を構成するルイス酸とルイス塩基とを超分子構造を重合の反応場として重合させることによって重合体の立体構造を生成する工程とを備えている。
【0013】
本発明に係る第1の高分子材料の合成方法によると、重合体中に分子サイズの空孔が分布するため、空孔のサイズを均一にできると共に空孔を均一に分散させることができる。重合体を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度を高くすることができる。
【0014】
本発明に係る第1の高分子材料の合成方法において、重合体の立体構造は、多数の微細な空孔を高い規則性で内部に有する薄膜であることが好ましい。
【0015】
このようにすると、重合体よりなる薄膜の比誘電率を確実に低下させることができると共に、重合体よりなる薄膜を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなって薄膜の機械的強度が大きくなる。
【0016】
本発明に係る第2の高分子材料の合成方法は、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをルイス酸塩基反応させることにより、第1のモノマーと第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を生成する工程と、モノマー付加体を含む溶液中から溶媒を揮発させることにより、モノマー付加体よりなる超分子固体を生成する工程と、超分子固体の内部において第1のモノマーと第2のモノマーとを重合反応させることにより、高分子固体を生成する工程とを備えている。
【0017】
本発明に係る第2の高分子材料の合成方法によると、高分子固体中に分子サイズの空孔が分布するため、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、高分子固体の比誘電率を確実に低下させることができる。また、高分子固体を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなるので、機械的強度が向上する。
【0018】
本発明に係る第2の高分子材料の合成方法において、ルイス酸は、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体であり、ルイス塩基は、アミン誘導体であることが好ましい。
【0019】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとを確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体を確実に生成することができる。
【0020】
本発明に係る第2の高分子材料の合成方法において、ルイス酸は、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であり、ルイス塩基は、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体、又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることが好ましい。
【0021】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをより一層確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体をより一層確実に生成することができる。
【0022】
この場合、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることが好ましい。
【0023】
このようにすると、柔軟性及びクッション性を有する高分子材料を合成することができる。
【0024】
本発明に係る第2の高分子材料の合成方法において、ルイス酸は、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体、又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体であり、ルイス塩基は、アミノ基を有するアダマンタン誘導体であることが好ましい。
【0025】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをより一層確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体をより一層確実に生成することができる。
【0026】
この場合、アミノ基を有するアダマンタン誘導体は、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラアミン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることが好ましい。
【0027】
このようにすると、柔軟性及びクッション性を有する高分子材料を合成することができる。
【0028】
本発明に係る第2の高分子材料の合成方法において、第1のモノマー及び第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、フレキシブルな結合を有していることが好ましい。
【0029】
この場合、フレキシブルな結合はメチレン基により形成することができる。
【0030】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法は、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをルイス酸塩基反応させることにより、第1のモノマーと第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を生成する工程と、モノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成する工程と、超分子固体薄膜を加熱して、超分子固体薄膜の内部において第1のモノマーと第2のモノマーとを重合反応させることにより、高分子薄膜を形成する工程とを備えている。
【0031】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法によると、高分子薄膜中に分子サイズの空孔が分布するため、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、高分子膜の比誘電率を確実に低下させることができる。また、高分子薄膜を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなるので、高分子薄膜の機械的強度が向上する。さらに、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成しておいてから、第1のモノマーと第2のモノマーとを重合させるため、既に重合が起こってゲル状態になっている湿潤固体を基板上に塗布する場合に比べて、薄膜化が容易である。
【0032】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法において、ルイス酸は、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体であり、ルイス塩基は、アミン誘導体であることが好ましい。
【0033】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとを確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体を確実に生成することができる。
【0034】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法において、ルイス酸は、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であり、ルイス塩基は、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体、又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることが好ましい。
【0035】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをより一層確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体をより一層確実に生成することができる。
【0036】
この場合、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることが好ましい。
【0037】
このようにすると、柔軟性及びクッション性を有する高分子薄膜を形成することができる。
【0038】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法において、ルイス酸は、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体、又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体であり、ルイス塩基は、アミノ基を有するアダマンタン誘導体であることが好ましい。
【0039】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをより一層確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体をより一層確実に生成することができる。
【0040】
この場合、アミノ基を有するアダマンタン誘導体は、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラアミン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることが好ましい。
【0041】
このようにすると、柔軟性及びクッション性を有する高分子薄膜を形成することができる。
【0042】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法において、第1のモノマー及び第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、フレキシブルな結合を有していることが好ましい。
【0043】
この場合、フレキシブルな結合はメチレン基により形成することができる。
【0044】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法は、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをルイス酸塩基反応させることにより、第1のモノマーと第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を生成する工程と、モノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成する工程と、超分子固体薄膜を加熱して、超分子固体薄膜の内部において第1のモノマーと第2のモノマーとを重合反応させることにより、層間絶縁膜を形成する工程とを備えている。
【0045】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法によると、層間絶縁膜中に分子サイズの空孔が分布するため、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、層間絶縁膜の比誘電率を確実に低下させることができる。また、層間絶縁膜を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなるので、層間絶縁膜の機械的強度が向上する。さらに、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成しておいてから、第1のモノマーと第2のモノマーとを重合させるため、既に重合が起こってゲル状態になっている湿潤固体を基板上に塗布する場合に比べて、層間絶縁膜の薄膜化が容易である。
【0046】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法において、ルイス酸は、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体であり、ルイス塩基は、アミン誘導体であることが好ましい。
【0047】
このようにすると、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとを確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体を確実に生成することができる。
【0048】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法において、ルイス酸は、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であり、ルイス塩基は、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体、又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることが好ましい。
【0049】
このようにすると、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをより一層確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体をより一層確実に生成することができる。
【0050】
この場合、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることが好ましい。
【0051】
このようにすると、柔軟性及びクッション性を有する層間絶縁膜を形成することができる。
【0052】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法において、ルイス酸は、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体、又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体であり、ルイス塩基は、アミノ基を有するアダマンタン誘導体であることが好ましい。
【0053】
このようにすると、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをより一層確実にルイス酸塩基反応させることができるので、溶液中にモノマー付加体をより一層確実に生成することができる。
【0054】
この場合、アミノ基を有するアダマンタン誘導体は、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラアミン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることが好ましい。
【0055】
このようにすると、柔軟性及びクッション性を有する層間絶縁膜を形成することができる。
【0056】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法において、第1のモノマー及び第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、フレキシブルな結合を有していることが好ましい。
【0057】
この場合、フレキシブルな結合はメチレン基により形成することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る、高分子材料の合成方法、高分子薄膜の形成方法及び層間絶縁膜の形成方法について、図1(a) 、(b) 及び図2を参照しながら説明する。
【0059】
まず、図1(a) に示すように、溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーBと、ルイス塩基である第2のモノマーAとをルイス酸塩基反応させる。このようにすると、ルイス酸とルイス塩基とは弱い電気的相互作用で結合するので、図1(b) に示すようなモノマー付加体が形成される。尚、図1(b) においては、ルイス酸である第1のモノマーBとルイス塩基である第2のモノマーAとが弱い電気的相互作用で結合している部位を丸印で示す。
【0060】
ここで、ルイス酸塩基(Lewis acid‐base)反応について説明する。ルイス酸塩基反応とは、1923年にルイスが提示したものであり、電子の授受に基づく酸と塩基との反応に関する理論に基づく反応である。この理論によれば、電子対を与えて相手と化学結合を形成するものが塩基であり、電子対を受けて相手と化学結合するものが酸である。従って、塩基は電子対供与体と定義され、酸は電子対受容体と定義される。また、酸と塩基との反応は、電子対授受とそれに伴う結合の再編成として説明される。従って、ここで定義される電子授受系反応はすべてルイス酸塩基反応に含まれる。また、水素イオンを含まない系、特に配位結合をつくる系も、ルイスの理論では,酸塩基反応として定義される。
【0061】
次に、図1(b) に示すモノマー付加体が含まれている溶液から溶媒を揮発させる。このようにすると、モノマー付加体よりなる超分子固体が形成される。
【0062】
この場合、モノマー付加体が形成されている溶液を基板上に塗布した後、溶液から溶媒を揮発させると、基板上に超分子固体薄膜が形成される。
【0063】
また、モノマー付加体が形成されている溶液を、半導体素子又は配線構造が形成されている基板上に塗布した後、溶液から溶媒を揮発させると、半導体素子又は配線構造の上に超分子固体薄膜が形成される。
【0064】
次に、超分子固体の内部において、第1のモノマーBと第2のモノマーAとを重合反応させることにより、図2に示すような高分子固体を形成する。
【0065】
この場合、超分子固体薄膜の内部において、第1のモノマーBと第2のモノマーAとを重合反応させると、高分子薄膜が得られる。
【0066】
また、半導体素子又は配線構造の上に形成されている超分子固体薄膜の内部において、第1のモノマーBと第2のモノマーAとを重合反応させると、層間絶縁膜が得られる。
【0067】
ところで、従来の有機多孔質膜の形成方法においては、膜を構成する分子同士の結合を切断することにより、膜中に空孔を形成していたため、機械的強度が低下し、膜質が均一でないと共に膜質が劣化するという問題を有していた。すなわち、分子同士の結合が切断されるため、膜の機械的強度の確保に重要な役割を果たすネットワークが部分的に切断されることになり、このため、膜の機械的強度が低下してしてしまう。また、空孔の大きさに統計的なばらつきが生じる(サイズ分布が生じる)こと及び空孔の分散状態が不均一になることにより、膜質が不均一になるという原理的な問題を有していると共に、デザインルールに近い大きさの空孔が存在する可能性があるため、パターン欠陥を引き起こすという問題を有していた。さらに、空孔が連続孔であるため、プロセスの途中において、水分、エッチングガス又は洗浄液が膜中に拡散して、膜質が劣化するという問題も有していた。このため、従来の有機多孔質膜はLSIの微細化に対応することができなかった。
【0068】
これに対して、本実施形態によると、高分子中に分子サイズの空孔が分布するため、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、比誘電率を確実に低下させることができる。
【0069】
また、高分子を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなるので、機械的強度が向上する。
【0070】
さらに、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成しておいてから、第1のモノマーと第2のモノマーとを重合させるため、既に重合が起こってゲル状態になっている湿潤固体を基板上に塗布する場合に比べて、薄膜化が容易である。
【0071】
以下、本発明の一実施形態に用いられるルイス酸及びルイス塩基について説明する。
【0072】
まず、ルイス酸である第1のモノマーとしては、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体を用いることができる。これらの誘導体の一例を、図3(a) 、(b) 及び図4(a) 、(b) に例示する。尚、図3(a) 及び図4(a) において、Xa は芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は芳香族炭化水素の誘導体である。
【0073】
第1のモノマーが、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体である場合には、ルイス塩基である第2のモノマーとしてはアミン誘導体が好ましい。アミン誘導体の一例を、図7(a) 〜(d) 及び図8(a) 〜(d) に例示する。尚、図7(a) 〜(d) 及び図8(a) 〜(d) において、X5及びX6のうちの少なくとも1つはNH2 基であり、X5及びX6のうちNH2 基でないものはOH基である。X7及びX8のうちの少なくとも1つはNH2 基であり、X7及びX8のうちNH2 基でないものはOH基である。
【0074】
第1のモノマーが、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体である場合には、第2のモノマーとしては、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることが特に好ましい。尚、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体の例としては、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
また、本発明の一実施形態において、ルイス酸である第1のモノマーとしては、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体を用いることができる。これらの誘導体の一例を、図5(a) 〜(d) 及び図6(a) 〜(d) に例示する。尚、図5(a) 〜(d) 及び図6(a)〜(d) において、X1及びX2は両者で【化1】又は【化2】に示す基を構成すると共に、X3及びX4は両者で【化1】又は【化2】に示す基を構成する。
【0076】
【化1】
【0077】
【化2】
【0078】
第1のモノマーが、カルボキシル基を有する、ベンゼン誘導体、ベンジジン誘導体、ナフタレン誘導体、アンスラセン誘導体又はテトラセン誘導体である場合には、ルイス塩基である第2のモノマーとしては、アミノ基を有するアダマンタン誘導体が好ましい。アミノ基を有するアダマンタン誘導体の例としては、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体又は1、3、5、7−テトラアミン誘導体が挙げられる。アミノ基を有するアダマンタン誘導体の一例を、図9(a) 、(b) 及び図10(a) 、(b) に例示する。尚、図9(a) 及び図10(a) において、Xb は芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は芳香族炭化水素の誘導体である。
【0079】
図11は、カルボキシル基を有する第1のモノマーと、2つのアミノ基を有する第2のモノマーとから、ポリイミダゾール系のポリマーを生成する場合の化学反応を示している。
【0080】
図12は、カルボキシル基を有する第1のモノマーと、アミノ基及び水酸基を有する第2のモノマーとから、ポリオキサゾール系のポリマーを生成する場合の化学反応を示している。
【0081】
図13は、アミノ基を有する第1のモノマーと、2つのカルボキシル基を有する第2のモノマーとから、ポリイミド系のポリマーを生成する場合の化学反応を示している。
【0082】
(実施例)
以下、本発明の一実施形態を具体化する実施例について、図14(a) 〜(d) 及び図15を参照しながら説明する。
【0083】
本実施例においては、ルイス塩基である第2のモノマーとしては、2つの官能基群を有する2次元架橋分子、例えば、テトラアミノベンジジン酸誘導体を用いる。また、ルイス酸である第1のモノマーとしては、4つの官能基群を有する3次元架橋分子、例えば、4つのカルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であるテトラカルボキシルアダマンタン誘導体を用いる。
【0084】
尚、ここでいう官能基群とは、1個又は複数個の官能基からなり、分子と分子とが結合することができる箇所を意味し、官能基の化学的な数を問わない。例えば、2つのカルボキシル基(官能基)は、1つのアミノ基(官能基)と結合して1つのイミド環を形成するが、2つのカルボキシル基と1つのアミノ基とは1つの結合部位を形成するため、2つのカルボキシル基及び1つのアミノ基は、それぞれ1つの官能基群となる。
【0085】
シクロヘキサノンよりなる溶液中において、テトラカルボキシルアダマンタン誘導体(第2のモノマー)とテトラアミノベンジジン酸誘導体(第1のモノマー)とを混合して混合溶液を得る。このようにすると、混合溶液中において、テトラカルボキシルアダマンタン誘導体とテトラアミノベンジジン酸誘導体とが弱い電気的作用により結合するので、図14(a) 及び図15に示すモノマー付加体が得られる。
【0086】
ところで、テトラアミノベンジジン酸誘導体は、単独ではシクロヘキサノンに溶解し難いが、本実施例においてはテトラカルボキシルアダマンタン誘導体と共存するため、徐々にルイス酸塩基付加体を形成しながらシクロヘキサノンに溶解する。この場合、混合溶液中の固形分の濃度が10%になると共に、テトラアミノベンジジン酸誘導体とテトラカルボキシルアダマンタン誘導体とのモル比が2:1になるように調整する。これは、所望の膜厚を形成するためと、混合溶液中においてダイヤモンド構造に相似する構造を有するモノマー付加体が形成されるために必要な化学量論比である。
【0087】
次に、モノマー付加体を含む混合溶液を約60℃の温度下で約30分間攪拌した後、該混合溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過し、その後、該混合溶液5mlを、4000rpmの回転数で回転する半導体基板上に塗布して塗布膜を形成する。次に、半導体基板を250℃のホットプレートで加熱することにより、塗布膜を乾燥させる。つまり、塗布膜から溶媒を揮発させる。このようにすると、図14(b) に示すような超分子固体(又は超分子固体薄膜)が得られる。
【0088】
次に、窒素雰囲気中において、半導体基板を300℃の温度下で20分間加熱した後、400℃の温度下で30分間加熱することにより、超分子固体(又は超分子固体薄膜)を焼成する。このようにすると、図14(c) に示す重合反応が起こって、図14(d) に示す高分子固体(又は高分子薄膜)が得られる。
【0089】
本実施例によると、四面体の各頂点にそれぞれ官能基を有する、つまり4つの官能基を有するルイス酸であるテトラカルボキシルアダマンタン誘導体(第2のモノマー)と、直線の両端にそれぞれ官能基を有する、つまり2つの官能基を有するルイス塩基であるテトラアミノベンジジン酸誘導体(第1のモノマー)とは、ルイス酸の4つの官能基のそれぞれとルイス塩基の2つの官能基とがそれぞれ、弱い電気的相互作用により結合することにより、ダイヤモンド構造を有するルイス酸塩基付加体を形成する。
【0090】
次に、ルイス酸塩基付加体を含む溶液を基板上に塗布して薄膜を形成すると、薄膜の内部において、ルイス酸塩基付加体はダイヤモンド構造を保っている。
【0091】
次に、薄膜を加熱すると、ルイス酸塩基付加体の内部において、ルイス酸とルイス塩基とが重合するので、ダイヤモンド構造を有する高分子膜が形成される。
【0092】
本実施例により得られる3次元の網目状高分子膜の膜厚は400nmであった。水銀プロ−バを用いるCV法により高分子膜の容量値を測定すると共に、膜厚と容量値とから、高分子膜の比誘電率を計算したところ、比誘電率は1.5であった。尚、アダマンタン誘導体とベンゼン誘導体の混合比により高分子膜の比誘電率は変化するが、アダマンタン誘導体とベンゼン誘導体とを1:2程度のモル比で混合すると、得られる高分子膜の比誘電率は極小値をとった。
【0093】
本実施例により得られた高分子膜の弾性率及び硬さを[表1]に示し、また本実施例の高分子膜と従来例の高分子膜との比較(弾性率、硬さ、密着性の比較)を図16及び図17に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
図16に示すように、本発明による高分子膜の弾性率と硬さは、従来例の高分子膜の2〜3倍の値が得られており、膜の機械的強度が向上している。尚、従来例1ではSiLK膜(商標:ポリフェノール系の高分子膜)で、従来例2はプラズマ法で形成したBCB膜(商標:ベンゾシクロブテン系の高分子膜)で、従来例3は塗布法で形成したBCB膜である。
【0096】
また、図17に示すように、密着性も従来例の高分子膜の2〜3倍の値が得られており、膜の密着性が向上している。尚、従来例1及び従来例2はポリイミド系の高分子膜である。
【0097】
尚、本実施例では、カルボキシル基とアミノ基との反応によるイミド形成反応を用いたが、特にこの反応系に限定されるものではなく、アミド結合、エーテル結合、C−C結合又はC−N結合等の反応系を用いることができる。
【0098】
また、弾性率、硬さを高めるために、架橋密度を高めた有機膜では、内部応力が大きくなりすぎ、歪みを生じる結果、膜のクラックや基板の反りが生じるという欠点があった。この欠点を克服するために、柔軟性のあるモノマーの導入や、架橋の少ないモノマーを部分的に導入する方法が有効である。この方法により、膜自体の機械的強度の劣化を抑制し、膜の応力を低減することが可能である。
【0099】
柔軟性があるモノマーとは、具体的には、図3(a) 、図4(a) におけるXa、図9(a) 、図10(a) におけるXbがメチレン基(−(CH2)n−)のような、フレキシブルな結合を有するアダマンタン誘導体や、図5(c) 、図6(d) 、図7(c) 、図8(d) に示すような、メチレン基(−(CH2)n−)により形成されるフレキシブルな結合を有する芳香族誘導体モノマーなどを用いることができる。また、架橋の少ないモノマーとは、具体的には、アダマンタン誘導体で置換基数が4より少ない、1−、1,3−、1,3,5−置換アダマンタン誘導体(図3又は図9の化合物の置換基数をへらしたもの)を、1,3,5,7−置換アダマンタン誘導体との混合系として用いる方法である。また、メタンの1置換、2置換、3置換誘導体(図4又は図10の化合物の置換基数を減らしたもの)と4置換誘導体との混合系を用いることもできる。
【0100】
さらに、分岐の多い架橋密度の高い構造を実現することで、機械的強度の向上と同時に、密着性の向上も可能になる(図17を参照)。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係る第1又は第2の高分子材料の合成方法によると、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、高分子固体の比誘電率を確実に低下させることができると共に、高分子固体を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなって、機械的強度が向上する。
【0102】
本発明に係る高分子薄膜の形成方法によると、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、高分子膜の比誘電率を確実に低下させることができると共に、高分子薄膜を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなって、高分子薄膜の機械的強度が向上する。また、モノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成しておいてから、第1のモノマーと第2のモノマーとを重合させるため、超分子固体薄膜の薄膜化が容易になる。
【0103】
本発明に係る層間絶縁膜の形成方法によると、空孔のサイズが均一になると共に空孔が均一に分散するので、層間絶縁膜の比誘電率を確実に低下させることができると共に、層間絶縁膜を構成するネットワークが切断されないため、架橋密度が高くなって、層間絶縁膜の機械的強度が向上する。また、モノマー付加体を含む溶液を基板上に塗布して、モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成しておいてから、第1のモノマーと第2のモノマーとを重合させるため、層間絶縁膜の薄膜化が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) はルイス酸とルイス塩基との弱い電気的相互作用による結合を示す概念図であり、(b) はルイス酸とルイス塩基とからなるモノマー付加体の模式図である。
【図2】ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとが重合してなる高分子固体の模式図である。
【図3】 (a) 及び(b) は、ルイス酸である第1のモノマーの化学式の一例である。
【図4】 (a) 及び(b) は、ルイス酸である第1のモノマーの化学式の一例である。
【図5】 (a) 〜(d) は、ルイス酸である第1のモノマーの化学式の一例である。
【図6】 (a) 〜(d) は、ルイス酸である第1のモノマーの化学式の一例である。
【図7】 (a) 〜(d) は、ルイス塩基である第2のモノマーの化学式の一例である。
【図8】 (a) 〜(d) は、ルイス塩基である第2のモノマーの化学式の一例である。
【図9】 (a) 及び(b) は、ルイス塩基である第2のモノマーの化学式の一例である。
【図10】 (a) 及び(b) は、ルイス塩基である第2のモノマーの化学式の一例である。
【図11】ポリイミダゾール系ポリマーの生成過程を示す化学反応式である。
【図12】ポリオキサゾール系ポリマーの生成過程を示す化学反応式である。
【図13】ポリイミド系ポリマーの生成過程を示す化学反応式である。
【図14】 (a) 〜(d) は、本発明の実施例を説明する化学式である。
【図15】本発明の実施例により得られるモノマー付加体の模式図である。
【図16】本実施例の高分子膜と従来例の高分子膜との比較を示す図である。
【図17】本実施例の高分子膜と従来例の高分子膜との比較を示す図である。
Claims (26)
- 溶液状態のルイス酸とルイス塩基とを酸塩基相互作用によりモノマー付加体を形成した後、該モノマー付加体を乾燥させることにより超分子構造を形成する工程と、
前記超分子構造を構成する前記ルイス酸と前記ルイス塩基とを前記超分子構造を重合の反応場として重合させることによって重合体の立体構造を生成する工程とを備えていることを特徴とする高分子材料の合成方法。 - 前記重合体の立体構造は、多数の微細な空孔を高い規則性で内部に有する薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の高分子材料の合成方法。
- 溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをルイス酸塩基反応させることにより、前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を生成する工程と、
前記モノマー付加体を含む前記溶液中から溶媒を揮発させることにより、前記モノマー付加体よりなる超分子固体を生成する工程と、
前記超分子固体の内部において前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとを重合反応させることにより、高分子固体を生成する工程とを備えていることを特徴とする高分子材料の合成方法。 - 前記ルイス酸は、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミン誘導体であることを特徴とする請求項3に記載の高分子材料の合成方法。 - 前記ルイス酸は、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体、又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることを特徴とする請求項3に記載の高分子材料の合成方法。 - 前記カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることを特徴とする請求項5に記載の高分子材料の合成方法。
- 前記ルイス酸は、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体、又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミノ基を有するアダマンタン誘導体であることを特徴とする請求項3に記載の高分子材料の合成方法。 - 前記アミノ基を有するアダマンタン誘導体は、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラアミン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることを請求項7に記載の高分子材料の合成方法。
- 前記第1のモノマー及び前記第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、フレキシブルな結合を有していることを特徴とする請求項3に記載の高分子材料の合成方法。
- 前記フレキシブルな結合は、メチレン基により形成されていることを特徴とする請求項9に記載の高分子材料の合成方法。
- 溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをルイス酸塩基反応させることにより、前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を生成する工程と、
前記モノマー付加体を含む前記溶液を基板上に塗布して、前記モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成する工程と、
前記超分子固体薄膜を加熱して、前記超分子固体薄膜の内部において前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとを重合反応させることにより、高分子薄膜を形成する工程とを備えていることを特徴とする高分子薄膜の形成方法。 - 前記ルイス酸は、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミン誘導体であることを特徴とする請求項11に記載の高分子薄膜の形成方法。 - 前記ルイス酸は、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体、又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることを特徴とする請求項11に記載の高分子薄膜の形成方法。 - 前記カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることを特徴とする請求項13に記載の高分子薄膜の形成方法。
- 前記ルイス酸は、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体、又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミノ基を有するアダマンタン誘導体であることを特徴とする請求項11に記載の高分子薄膜の形成方法。 - 前記アミノ基を有するアダマンタン誘導体は、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラアミン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることを請求項15に記載の高分子薄膜の形成方法。
- 前記第1のモノマー及び前記第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、フレキシブルな結合を有していることを特徴とする請求項11に記載の高分子薄膜の形成方法。
- 前記フレキシブルな結合は、メチレン基により形成されていることを特徴とする請求項17に記載の高分子薄膜の形成方法。
- 溶液中において、ルイス酸である第1のモノマーとルイス塩基である第2のモノマーとをルイス酸塩基反応させることにより、前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとが弱い電気的相互作用により結合してなるモノマー付加体を生成する工程と、
前記モノマー付加体を含む前記溶液を基板上に塗布して、前記モノマー付加体よりなる超分子固体薄膜を形成する工程と、
前記超分子固体薄膜を加熱して、前記超分子固体薄膜の内部において前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとを重合反応させることにより、層間絶縁膜を形成する工程とを備えていることを特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 前記ルイス酸は、カルボン酸誘導体、アルコール誘導体、ケトン誘導体、アルデヒド誘導体又は酸無水物誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミン誘導体であることを特徴とする請求項19に記載の層間絶縁膜の形成方法。 - 前記ルイス酸は、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミノ基を有するテトラアミノベンジジン誘導体、アミノ基を有するテトラアミノベンゼン誘導体、又はアミノ基を有するジアミノジヒドロキシルベンゼン誘導体であることを特徴とする請求項19に記載の層間絶縁膜の形成方法。 - 前記カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体は、1−カルボキシルアダマンタン誘導体、1、3−ジカルボキシルアダマンタン誘導体、1、3、5−トリカルボキシルアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラカルボキシルアダマンタン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることを特徴とする請求項21に記載の層間絶縁膜の形成方法。
- 前記ルイス酸は、カルボキシル基を有するベンゼン誘導体、カルボキシル基を有するベンジジン誘導体、カルボキシル基を有するナフタレン誘導体、カルボキシル基を有するアンスラセン誘導体、又はカルボキシル基を有するテトラセン誘導体であり、
前記ルイス塩基は、アミノ基を有するアダマンタン誘導体であることを特徴とする請求項19に記載の層間絶縁膜の形成方法。 - 前記アミノ基を有するアダマンタン誘導体は、1−アミノアダマンタン誘導体、1、3−ジアミノアダマンタン誘導体、1、3、5−トリアミノアダマンタン誘導体若しくは1、3、5、7−テトラアミン誘導体、又はこれらの誘導体の混合物であることを請求項23に記載の層間絶縁膜の形成方法。
- 前記第1のモノマー及び前記第2のモノマーのうちの少なくとも1つは、フレキシブルな結合を有していることを特徴とする請求項19に記載の層間絶縁膜の形成方法。
- 前記フレキシブルな結合は、メチレン基により形成されていることを特徴とする請求項25に記載の層間絶縁膜の形成方法。
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