JP3797951B2 - 抗菌性ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラス(防黴性を有するガラスを含む。)およびその製造方法に関し、より詳細には、Agイオンの溶出速度が適当である一方、凝集することが少なく、安価な抗菌性ガラスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建材、家電製品(TV、パソコン、携帯電話、ビデオカメラなど含む)、雑貨、包装用資材等において、抗菌効果を付与するために、所定量の抗菌性ガラスを樹脂中に混入させた抗菌性樹脂組成物が使用されている。
【0003】
このような抗菌性樹脂組成物として、例えば、特開平1−313531号公報には、樹脂中に、Agイオンを溶出する抗菌性ガラスを含む合成樹脂成形体が開示されている。当該合成樹脂成形体は、具体的に、SiO2、B2O3、P2O5の一種もしくは二種以上の網目形成酸化物と、Na2O、K2O、CaO、ZnOの一種もしくは二種以上の網目修飾酸化物とからなるガラス固形物100重量部中に、一価のAgとして、Ag2Oを0.1〜20重量部含有した抗菌性ガラスを合成樹脂中に含んだ構成としてある。より具体的には、当該特許公報の実施例において、SiO2:40モル%、B2O3:50モル%、Na2O:10モル%からなる混合物100重量部に対して、Ag2Oを2重量部添加した抗菌性ガラスを開示している。
【0004】
また、特開平8−92051号公報には、イオン交換可能なイオンの一部または全部をアンモニウムイオンおよび抗菌性金属イオンで置換した抗菌性ゼオライトに対して、凝集防止剤として、シリコーンを含んでなる耐変色性および分散性に優れた防臭化粧料が開示されている。
より具体的には、アンモニウムイオンおよび銀イオン等の金属イオンで置換した平均粒径が10μm以下の抗菌性ゼオライトに対して、重量比で1/10以上のシリコーン油や揮発性シリコーンのシリコーンを含んでなる、スプレータイプやスチックタイプ等の耐変色性および分散性に優れた防臭化粧料が開示されている。
【0005】
一方、特開2001−87645号公報には、ホタテ貝殻の利用例として、粒径約200μmの多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末(ホタテ貝殻粉末)と、該炭酸カルシウム粉末(ホタテ貝殻粉末)を約1,000℃で焼成してなる粒径約200μmの酸化カルシウム粉末と、を混合した吸着抗菌性粉体が開示されている。
また、同様に、特開2001−199823号公報には、ペット用トイレ砂等に添加することを意図し、ホタテ貝の貝殻粉末と、トルマリン等とを混合した状態で、800℃以上の温度で焼結してなる、直径1〜20mm程度の抗菌剤が開示されている。
また、同様に、特開2001−151616号公報には、ホタテ貝などの貝殻を700℃以上の温度で焼成した貝殻粉末が担持または配合されてなる紙、織布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートまたは樹脂容器などの基材からなる抗菌保存材が開示されている。
さらに、特開2001−26508号公報には、ホッキ貝の貝殻粉末を原料とし、この貝殻粉末を不活性ガス雰囲気中、最終到達温度700〜2,500℃で焼成してなる平均粒子径が1〜50μmの抗菌剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−313531号公報に開示されている抗菌性ガラスは、水溶解性であって、周囲の水分を吸水し、保管時に凝集しやすいという問題が見られた。したがって、かかる抗菌性ガラスが凝集すると、樹脂と混合して合成樹脂成形体を構成する際に、均一に混合分散させることが困難になるという問題が見られた。
もちろん、開示された抗菌性ガラスの組成を変更し、水溶解性を低下させることによって、抗菌性ガラスの凝集性はある程度防止することができるものの、今度は、Agイオンの溶出速度が低下して、抗菌性についても低下してしまうという新たな問題が見られた。
また、開示された抗菌性ガラスは、Ag含有のガラス成分のみから構成してあるため、コストが比較的高く、経済的に不利であるという問題も見られた。
【0007】
また、特開平8−92051号公報に開示された防臭化粧料は、液状のシリコーンを多量に添加しなければならず、抗菌性ガラスに適用した場合、製造時においてアルコール系溶剤等を使用する関係で、かかるシリコーンを均一に混合することが困難であった。
また、抗菌性ガラスに、このような量のシリコーンを添加すると、周囲を被覆してしまい、Agイオンの溶出速度が低下するという問題も見られた。
また、開示された防臭化粧料は、高価なシリコーンを多量に使用しなければならず、コストが高く、経済的に不利であるという問題も見られた。
さらに、抗菌性ガラスに対して、このように有機材料であるシリコーンを多量に添加しても、凝集防止効果が得られず、逆に抗菌性ガラスの取り扱い性が低下するという問題も見られた。
【0008】
また、特開2001−87645号公報や特開2001−26508号公報等に開示された貝殻粉末を主成分とした抗菌剤は、いずれも焼成処理することにより抗菌効果が発揮されるものの、その抗菌効果がばらつき、しかも持続性に乏しいという問題が見られた。さらに、これらの公報等に開示された貝殻粉末は、それ自体抗菌剤の主成分として用いることが意図されており、それを比較的少量使用して、抗菌性ガラスの凝集防止剤として使用するという意図は全く見られなかった。
【0009】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、抗菌性ガラスに対して、安価な貝殻粉末を混合添加することにより、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)を維持したまま、抗菌効果が変わることなく、抗菌性ガラスの凝集性が著しく低下することを見出したものである。
すなわち、本発明は、Agイオンの溶出速度が適当である一方、凝集性が少なく、しかも安価である抗菌性ガラスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスに対して、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添加した抗菌性ガラスが提供され、上述した問題を解決することができる。より具体的には、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスであって、抗菌性ガラスの平均粒径を0.5〜50μmの範囲内の値とするとともに、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値になるように添加することを特徴とする抗菌性ガラスである。
すなわち、このような平均粒径を有する貝殻粉末を添加することにより、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)を維持したまま、所定の抗菌効果を発揮させることができる。その一方で、添加した貝殻粉末が、隣接する抗菌性ガラスが接触することを防止し、その結果、抗菌性ガラスが凝集して、水溜り部が生成することを有効に防止することができる。
また、このような貝殻粉末であれば、吸水率を所定値以下の値とすることが容易であり、周囲から進入してくる水分を低下させることができるので、隣接する抗菌性ガラスが凝集することをさらに有効に防止することができる。
さらに、このような貝殻粉末は、従来はほとんど廃棄処分されていた天然材料であって、それを使用すれば、資源の有効利用を図ることができる一方、貝殻粉末は極めて安価であって、増量効果を発揮できるという利点もある。
【0011】
また、本発明の抗菌性ガラスを構成するにあたり、貝殻粉末が、ホタテ貝殻粉末、カキ殻粉末およびホッキ貝からなる群から選択されるいずれか一つの貝殻粉末であることが好ましい。
このように構成すると、抗菌性ガラスの凝集防止と、Agイオンの溶出速度とのバランスをより良好なものとすることができる。
また、このような種類の貝殻粉末であれば、安価であるとともに、白色性に富んでおり、抗菌性ガラスにおける透明性低下や着色性の問題発生を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明の抗菌性ガラスを構成するにあたり、その周囲に、貝殻粉末が、付着または固着してあることが好ましい。
このように構成すると、比較的少量の貝殻粉末の添加によっても、優れた凝集防止効果を得ることができる。また、このように構成すると、隣接する抗菌性ガラスの間に、凝集防止剤が確実に存在するため、凝集防止効果をさらに有効に発揮することができる。
【0014】
また、本発明の抗菌性ガラスを構成するにあたり、貝殻粉末の平均粒径をD2とし、抗菌性ガラスの平均粒径をD1とした場合に、D2/D1を1/100〜100の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成すると、抗菌性ガラスと貝殻粉末とがより均一に混合されて、比較的少量の貝殻粉末の添加によっても、優れた凝集防止効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明の抗菌性ガラスを構成するにあたり、貝殻粉末が、扁平状であることが好ましい。
このように構成すると、貝殻粉末が隣接する抗菌性ガラス間に密着して存在しやすくなり、隣接する抗菌性ガラスと抗菌性ガラスとを確実に離間させて、優れた凝集防止効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明の抗菌性ガラスを構成するにあたり、抗菌性ガラスの形状が多面体であることが好ましい。
このように構成すると、貝殻粉末が隣接する抗菌性ガラス間にグリップされた状態で存在しやすくなり、隣接する抗菌性ガラスを確実に離間させて、優れた凝集防止効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明の抗菌性ガラスを構成するにあたり、防湿材料を用いて、周囲がパッケージしてあることが好ましい。
このように構成すると、防湿材料により、周囲に存在する水分の進入を低下させることができるため、抗菌性ガラスの凝集防止をより良好なものとすることができる。
【0018】
また、本発明の別の態様は、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法において、当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化する工程と、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添加する工程と、を含むことを特徴とする。すなわち、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法において、当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化して、平均粒径を0.5〜50μmの範囲内の値とする工程と、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値になるように混合添加する工程と、を含むことを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法である。
このように実施すると、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)を維持したまま、抗菌効果が変わることなく、凝集性が少ない抗菌性ガラスを効果的に得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の抗菌性ガラスおよびその製造方法に関する実施の形態を具体的に説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスに対して、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添加した抗菌性ガラスである。より具体的には、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスであって、抗菌性ガラスの平均粒径を0.5〜50μmの範囲内の値とするとともに、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値になるように添加することを特徴とする抗菌性ガラスである。
【0021】
1.抗菌性ガラス
(1)形状1
抗菌性ガラスの形状は特に制限されるものではなく、粒状、球状、多面体等のいずれであっても良いが、多面体であることがより好ましい。すなわち、図1に電子顕微鏡写真を示すように、抗菌性ガラスが、複数の角や面から構成されており、例えば6〜10面体とすることが好ましい。
この理由は、抗菌性ガラスの形状を多面体とすることにより、図2(a)に模式的に示されるように、凝集防止剤が隣接する抗菌性ガラス間に存在しやすくなり、その結果、優れた凝集防止効果が得られやすいためである。なお、抗菌性ガラスの形状が球状の場合には、図2(b)に模式的に示されるように、凝集防止剤の存在や平均粒径の大きさにかかわらず、隣接する抗菌性ガラスと抗菌性ガラスとが接触しやすくなる。したがって、同量の凝集防止剤の添加であれば、球状の抗菌性ガラスを用いた場合よりも、多面体の抗菌性ガラスを用いた場合の方が、優れた凝集防止効果を発揮することができると言える。
また、多面体の抗菌性ガラスであれば、球状の抗菌性ガラスと異なり、光が面内を一定方向に進行しやすいという特徴がある。したがって、抗菌性ガラスに起因した光散乱を有効に防止することができ、そのため、抗菌性樹脂組成物を組成した場合に、その透明性を向上させることができる。
また、抗菌性ガラスを多面体とすることにより、樹脂中への混合分散が容易となり、抗菌性樹脂組成物の構成が容易となるばかりか、射出成形した場合に、抗菌性ガラスが一定方向に配向しやすいという特徴がある。したがって、多面体の抗菌性ガラスであれば、樹脂中に均一に分散しやすくなるとともに、樹脂中での抗菌性ガラスによる光の散乱を効果的に防止することができる。
さらに、抗菌性ガラスの形状が多面体であれば、製造時や使用時等に再凝集しにくいため、抗菌性ガラスの製造時における平均粒径の制御や、使用する際の製造工程における製造条件の制御についてもより容易となる。
【0022】
(2)形状2
また、抗菌性ガラスの形状に関し、多面体の周囲に無機物および有機物あるいはいずれか一方の粒子を被覆した形態とすることも好ましい。
このように構成することにより、Agイオンの溶出速度の制御を容易にし、また、抗菌性ガラスの分散性をさらに良好なものとすることができる。
また、抗菌性ガラスを被覆する粒子としては、酸化チタン、酸化ケイ素、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉛、ホワイトカーボン、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリカーボネート粒子等の一種単独または二種以上の組合せが好ましい。
さらに、抗菌性ガラスを粒子により被覆する方法も特に制限されるものでないが、例えば、抗菌性ガラスと、粒子とを均一に混合後、600〜1200℃の温度で加熱してガラスに融着するか、あるいは、結合剤を介して、固定することが好ましい。
【0023】
(3)平均粒径
また、抗菌性ガラスの平均粒子径を0.5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる平均粒子径が0.5μm未満の値となると、光散乱が生じやすくなり、透明性が低下する場合があるためである。
一方、かかる平均粒子径が50μmを超えると、樹脂中への混合分散が困難となったり、取り扱いが困難となったり、あるいは成形品に添加した場合に、成形品の表面平滑性が低下する場合があるためである。
したがって、抗菌性ガラスの平均粒子径を1〜20μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、抗菌性ガラスの平均粒子径は、レーザー方式のパーティクルカウンターや沈降式の粒度分布計を用いたり、あるいは、抗菌性ガラスの電子顕微鏡写真をもとにして、容易に測定することができる。
【0024】
(4)種類1
耐変色性に優れた抗菌性ガラスの種類として、以下の組成からなる抗菌性ガラスを使用することが好ましい。すなわち、Ag2O、ZnO、CaO、B2O3およびP2O5を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、ZnOの含有量を1〜50重量%の範囲内の値、CaOの含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、B2O3の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP2O5の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするとともに、ZnO/CaOの重量比率を1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
【0025】
ここで、Ag2Oは、抗菌性ガラスにおける必須構成成分であり、ガラス成分が溶解して、Agイオンを溶出させることにより、優れた抗菌性を長期間発現することができる。
また、ZnOは、抗菌性ガラスにおける網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、黄変を防止する機能とともに、抗菌性を向上させる機能をも果たしている。
なお、かかるZnOの含有量は、後述するCaOの含有量を考慮して定めることが好ましい。具体的には、ZnO/CaOで表される重量比率を、1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる重量比率が1.1未満の値となると、抗菌性樹脂組成物の黄変を効率的に防止することができない場合があり、一方、かかる重量比率が15を超えると、抗菌性樹脂組成物が白濁したり、あるいは、逆に、黄変したりする場合があるためである。
したがって、かかるZnO/CaOで表される重量比率を1.2〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0026】
また、CaOを用いることにより、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、抗菌性ガラスを作成する際の、加熱温度を低下させたり、ZnOとともに、黄変防止機能を発揮したりすることができる。
また、B2O3は、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、本発明においては抗菌性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性にも関与する。
また、P2O5は、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、本発明においては抗菌性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性にも関与する。
また、CeO2は、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性ガラスの透明性改善機能も発揮することができる。また、CeO2を添加することで、電子線に対する変色性を向上させることもできる。
また、MgOやNa2Oは、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性ガラスの透明性改善機能も発揮する。
また、Al2O3は、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性ガラスの機械的強度や透明性の改善機能も発揮することができる。
【0027】
(5)種類2
また、耐変色性に優れた別の抗菌性ガラスの種類として、以下の組成からなる抗菌性ガラスを使用することも好ましい。すなわち、ZnOを実質的に含まない代りにAg2O、CaO、B2O3およびP2O5を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、CaOの含有量を15〜50重量%の範囲内の値、B2O3の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP2O5の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするとともに、CaO/Ag2Oの重量比率を5〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成すると、成分としてZnOを実質的に含んでいなくとも、CaOの含有量を比較的多くすることにより、黄変防止効果を有効に発揮することができるためである。
【0028】
2.貝殻粉末
(1)平均粒径1
凝集防止剤として抗菌性ガラスに添加する貝殻粉末の平均粒径を0.1μm以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる貝殻粉末の平均粒径が0.1μm未満の値となると、図2(c)に模式的に示されるように、多面体の抗菌性ガラスであっても、隣接する抗菌性ガラスと抗菌性ガラスとの接触を有効に妨げることができず、抗菌性ガラスの凝集を防止することが困難となる場合があるためである。また、貝殻粉末の平均粒径が0.1μm未満の値となると、一旦混合した抗菌性ガラスと貝殻粉末とが分離しやすくなり、結果として、均一に混合することが困難となって、抗菌性ガラスの凝集防止を図ることがさらに困難となるためである。
ただし、貝殻粉末の平均粒径が過度に大きくなると、取り扱いが困難となったり、あるいは、逆に抗菌性ガラスと均一に混合したりすることが困難となる場合がある。
したがって、貝殻粉末の平均粒径を0.5〜200μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
(2)平均粒径2
また、貝殻粉末の平均粒径は、抗菌性ガラスの平均粒径を考慮して定めることが好ましい。すなわち、抗菌性ガラスの平均粒径が比較的小さい場合には、貝殻粉末の平均粒径についても、比較的小さくすることにより、逆に抗菌性ガラスの平均粒径が比較的大きい場合には、貝殻粉末の平均粒径についても、比較的大きくすることにより、それぞれより均一に混合することができ、その結果、優れた凝集防止効果を発揮できるためである。
そのため、具体的に、貝殻粉末の平均粒径をD2とし、抗菌性ガラスの平均粒径をD1とした場合に、D2/D1を1/100〜100の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる比率(D2/D1)が1/100未満の値となると、抗菌性ガラスと貝殻粉末とが分離しやすくなり、均一に混合することが困難となって、抗菌性ガラスの凝集を防止することが困難となる場合があるためである。また、かかる比率(D2/D1)が、100を超えると、抗菌性ガラスと均一に混合することが困難となり、逆に抗菌性ガラスの凝集を防止することがさらに困難となる場合があるためである。
したがって、このように凝集防止性のバランスがより良好となることから、抗菌性ガラスの平均粒径(D1)に対する貝殻粉末の平均粒径(D2)の比率(D2/D1)を1/80〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、1/50〜1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0030】
(3)種類
貝殻粉末の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ホタテ貝殻粉末、カキ殻粉末、サザエ貝殻粉末、ハマグリ貝殻粉末、アサリ貝殻粉末、シジミ貝殻粉末、ホッキ貝殻粉末等の一種単独、または二種以上の組合せが好適例として挙げられる。
また、これらの貝殻粉末のうち、白色性に富み、しかも極めて安価であって、天然資源量も豊富であることから、ホタテ貝殻粉末やカキ殻粉末、あるいはホッキ貝殻粉末を使用することがより好ましい。
また、使用する貝殻粉末は、700℃以上の温度で焼成してあることが好ましい。このように焼成された貝殻粉末は、多孔質となって、貝殻粉末自体が抗菌効果を発揮しやすくなるためである。
ただし、本発明においては、貝殻粉末は、主として凝集防止剤として使用するため、貝殻粉末自体の抗菌効果は必ずしも必要でない。そのため、より安価であって、経済的に有利であることから、非焼成の貝殻粉末を使用したり、あるいは700℃未満の温度で加熱した貝殻粉末を使用したりすることも好ましい。
【0031】
(4)添加量
また、貝殻粉末の添加量を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる貝殻粉末の添加量が0.1重量%未満となると、凝集防止効果が低下したり、増量効果が低下したりする場合があるためである。一方、かかる貝殻粉末の添加量が50重量%を超えると、Agイオンの溶出速度が著しく低下して、抗菌性ガラスにおける抗菌性が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは樹脂と混合した場合に、得られる抗菌性樹脂組成物の機械的強度や透明性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる抗菌性ガラスにおける凝集防止性と、抗菌性等とのバランスがより好ましいことから、貝殻粉末の添加量を、全体量に対して、1〜30重量%の範囲内の値とするのがより好ましく、5〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0032】
(5)形状
貝殻粉末の形状は、特に制限されるものではないが、例えば、球状、多角形状、あるいは扁平状とすることが好ましい。
また、これらの形状のうち、貝殻粉末が扁平状の場合、球状等と比較して、より優れた凝集防止効果が得られることからより好ましい。すなわち、図2(d)に模式的に示されるように、扁平状の貝殻粉末であれば、貝殻粉末が隣接する抗菌性ガラス間に存在しやすくなり、隣接する抗菌性ガラスを確実に離間させて、優れた凝集防止効果が得られるものである。
また、扁平状の貝殻粉末を使用する場合、扁平率(縦直径/横直径)を0.1〜0.95の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる扁平率が0.1未満の値となると、扁平状の貝殻粉末を安定して作成することが困難となる場合があるためであり、一方、かかる扁平率が0.95を超えると、扁平効果が発揮されない場合がるためである。
したがって、貝殻粉末の扁平率を0.3〜0.9の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜0.85の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0033】
3.凝集防止剤
また、貝殻粉末以外の無機化合物からなる凝集防止剤を添加することも好ましい。
このような凝集防止剤の種類は、無機化合物であれば特に制限されるものではないが、例えば、リン酸三カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ゼオライト、天然アパタイト、および亜鉛華からなる群から選択される少なくとも一つの無機化合物であることが好ましい。
また、比較的少量の添加で優れた凝集効果が得られることから、リン酸三カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、またはゼオライトを使用することがより好ましい。
【0034】
4.吸水率
また、貝殻粉末を添加した状態で測定される抗菌性ガラスにおける吸水率を3重量%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる吸水率が3重量%を超えると、周囲に存在する水を吸いやすくなり、隣接する抗菌性ガラスの接触を有効に妨げることができずに、抗菌性ガラスの凝集を防止することが困難となる場合があるためである。
ただし、かかる吸水率を過度に小さく制御しようとすると、ガラスの水溶解性を低下しなければならず、そのため、抗菌効果の発現が遅くなる場合がある。
したがって、貝殻粉末を添加した抗菌性ガラスにおける吸水率を0.01〜2.5重量%範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜2重量%範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、貝殻粉末を添加した状態の抗菌性ガラスにおける吸水率は、抗菌性ガラスを40℃、RH80%の条件で、3日間吸水させた場合の重量変化から算出することができる。
【0035】
5.添加剤
(1)錯体形成化合物
Agイオンと錯体を形成することが可能な錯体形成化合物、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、硫化アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、酢酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、およびリン酸アンモニウム等の一種単独または二種以上の組合せを添加することが好ましい。
このような錯体形成化合物を添加することにより、抗菌性ガラスの変色や、着色を著しく防止することができる。
また、雰囲気が強アルカリ、例えばpH値が10以上であっても、Agイオンと容易に錯体を形成して、着色防止することができることから、錯体形成化合物として、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を使用することがより好ましい。
また、錯体形成速度が適当であって、少量の添加で優れた変色防止効果が得られることから、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、および塩化アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を使用することがより好ましい。
さらに、優れた耐熱性が要求される用途、例えば、200℃以上の溶融状態の樹脂中に直接混合される用途においては、熱分解されることが少ないことから、塩化アンモニウム等を使用することがより好ましい。
【0036】
また、錯体形成化合物の添加量を、全体量に対して、0.01〜30重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる錯体形成化合物の添加量が0.01重量%未満となると、変色を有効に防止することが困難となる場合があるためであり、一方、かかる錯体形成化合物の添加量が30重量%を超えると、抗菌性ガラスにおける抗菌性が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは樹脂と混合した場合に、得られる抗菌性樹脂組成物の機械的強度や透明性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる抗菌性ガラスにおける耐変色性と、抗菌性等とのバランスがより好ましいことから、錯体形成化合物の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とするのがより好ましく、0.5〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
(2)樹脂
また、抗菌性ガラスに対して、樹脂を添加して、抗菌性樹脂組成物として構成することも好ましい。
このような樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フッ素系樹脂、ポリアリーレン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の一種または二種以上の組合せを挙げることができる。
これらの樹脂のうち、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリエチレンテレフタレート樹脂等を使用した場合、より透明性に優れるともに、安価な抗菌性樹脂組成物を提供することができることから、好ましい樹脂である。
【0038】
また、抗菌性ガラス/樹脂の添加割合を、樹脂100重量部あたりの抗菌性ガラスの添加重量で表した場合、0.01〜30重量部の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる抗菌性ガラスの添加量が、0.01重量部未満となると、抗菌性樹脂組成物における抗菌性が低下する場合があり、一方、かかる抗菌性ガラスの添加量が、30重量部を超えると、抗菌性樹脂組成物の機械的強度が低下したり、均一に混合することが困難となったり、あるいは得られる抗菌性樹脂組成物の透明性が低下する場合が生じるためである。
したがって、かかる抗菌性樹脂組成物における抗菌性と機械的強度等とのバランスがより好ましいことから、樹脂100重量部あたり、抗菌性ガラスの添加量を、0.1〜10重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0039】
(3)他の添加剤
また、抗菌性ガラスに対して、分散性向上、酸化防止、あるいは着色化等の目的のために、分散剤としての界面活性剤、ステアリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸ナトリウム、またはシランカップリング剤等、酸化防止剤としてのヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物等、着色剤としての顔料や染料等を添加することが好ましい。
なお、これらの添加剤の添加量は、添加効果等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、それぞれ全体量に対して、0.01〜30重量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0040】
6.用途
抗菌性ガラスの用途は特に制限されるものではなく、例えば、バッグ、靴、玩具、布、タイル、カーペット、台所用品、バスタブ等の成形品の表面に、抗菌層として抗菌性樹脂組成物を含浸したり、積層したりして構成した用途であれば良い。
また、抗菌性樹脂組成物自身を加工して抗菌性成形品とすることも好ましい。その場合、例えば、板状、フィルム状、長方体状、正方体状、球状、棒状、あるいは異形体状(ユニットバス等)とすることが好ましい。
一例を示せば、コンクリート等の表面に積層する抗菌性樹脂組成物からなるタイルやフィルム、あるいはシートの形態とすることが好ましい。さらに、一例を示せば、抗菌性樹脂組成物からなるタイルやフィルム、あるいはシートの片面に接着剤層を設け、この接着剤層中に、錯体形成化合物や抗菌性ガラスを添加した形態とすることも好ましい。
【0041】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法であって、当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化する工程(以下、微細化工程と称する場合がある。)と、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添加する工程(以下、添加工程と称する場合がある。)と、を含むことを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法である。すなわち、Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法において、当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化して、平均粒径を0.5〜50μmの範囲内の値とする工程と、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値になるように混合添加する工程と、を含むことを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法である。
【0042】
1.微細化工程
微細化工程は、ガラス原料を溶融して得た溶融ガラスを、粉砕し、所定の平均粒径を有する抗菌性ガラスとする工程である。
具体的には、以下に示すような粗粉砕(水粉砕を含む。)、中粉砕、および微粉砕を行うことが好ましい。このように実施すると、均一な平均粒径を有する抗菌性ガラスを効率的に得ることができる。ただし、用途によっては平均粒径をより細かく制御するために、粉砕工程の後、分級工程をさらに設けて、ふるい処理等を実施することも好ましい。
【0043】
▲1▼粗粉砕
粗粉砕は、平均粒径が10mm程度になるように、抗菌性ガラスを粉砕する工程である。かかる粗粉砕として、通常、ガラス融液を、静水に注入することにより、所定の平均粒径とする水砕を行うことが好ましい。
なお、粗粉砕後の抗菌性ガラスは、角の無い塊状であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
【0044】
▲2▼中粉砕
中粉砕は、平均粒径が100μm程度になるように、粗粉砕後の抗菌性ガラスを粉砕する工程である。通常、一次中粉砕と、二次中粉砕との二段階に分けて、実施することが好ましい。
この一次中粉砕は、平均粒径が10mm程度の抗菌性ガラスを、平均粒径が1mm程度の抗菌性ガラスとする粉砕工程であり、回転ロール等を用いて実施することが好ましい。
また、二次中粉砕は、平均粒径が1mm程度の抗菌性ガラスを、平均粒径が400μm程度の抗菌性ガラスとする粉砕工程であり、回転ウス等を用いて実施することが好ましい。
なお、二次中粉砕後の抗菌性ガラスは、角を有する多面体であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
【0045】
(3)微粉砕
微粉砕は、平均粒径が0.5〜50μmの範囲内の値になるように、中粉砕後の抗菌性ガラスをさらに細かく粉砕する工程である。かかる微粉砕のためには、例えば、回転ウス、回転ロール、振動ミル、ボールミル、サンドミル、あるいはジェットミルを用いることができるが、特に振動ミルおよびジェットミル等の微粉砕装置を用いることが好ましい。このような微粉砕装置を使用することにより、粗粉砕ガラスに対して、適度なせん断力を付与することができ、粒径が過度に小さい抗菌性ガラスが生じることなく、所定の平均粒径を有する多面体の抗菌性ガラスを効果的に得ることができる。
なお、振動ボールミルと、ジェットミルとを比較した場合、振動ボールミルを用いた方が、1回の処理量が多く、微粉砕装置の構造が簡易であるという利点がある。一方、ジェットミルを用いた方が、抗菌性ガラスの再凝集の割合が少なく、比較的短時間で攪拌できるという利点がある。また、ジェットミルを用いることにより、例えば、外添粒子を添加することなく、再凝集の少ない抗菌性ガラスを得ることができる。したがって、抗菌性ガラスの用途等に応じて、微粉砕装置を使い分けることが好ましい。
その他、振動ボールミルやジェットミルを用いて微粉砕した後の抗菌性ガラスは、中粉砕後の抗菌性ガラスよりも多くの角を有する多面体であることが電子顕微鏡写真から確認されている。
【0046】
2.添加工程
(1)添加方法
抗菌性ガラスに対する貝殻粉末の添加方法は、特に制限されるものではないが、例えば、プロペラミキサー、三本ロール、ニーダー、ボールミル、サンドミル、ヘンシェルミキサー、ジェットミル等の混合機を用いて実施することが好ましい。
また、抗菌性ガラスと、貝殻粉末とがより均一に混合できるように、混合の際に、アルコールや炭化水素化合物、あるいは不活性液体等を使用することも好ましい。
さらに、貝殻粉末を添加した後、抗菌性ガラスの周囲に付着または固着できるように、加熱や加圧したり、あるいは、高分子材料や硬化性材料を添加したりすることも好ましい。
【0047】
(2)添加時期
また、抗菌性ガラスに対する貝殻粉末の添加時期についても特に制限されるものでなく、抗菌性ガラスの製造工程中に添加することも好ましいし、あるいは、抗菌性ガラスを製造した後に、貝殻粉末を添加することも好ましい。
ただし、抗菌性ガラスの製造工程中、特に、ボールミル等の湿式粉砕工程において添加することにより、貝殻粉末の扁平化が図られるとともに、工程数も増加しないことから、より好ましい添加時期である。すなわち、抗菌性ガラスの製造時の粉砕工程と、添加工程を同時に実施することにより、粉砕工程において使用するボールミル等を利用して、貝殻粉末を加圧して扁平状とすることができる。したがって、隣接する抗菌性ガラスとの間に密着して、確実に存在することができるため、より優れた凝集防止効果を得ることができる。
【0048】
3.その他の工程
抗菌性ガラスに対して、凝集防止剤を添加した後、防湿や運搬等の便宜のために包装する工程を設けることが好ましい。
すなわち、凝集防止剤を含む抗菌性ガラスの周囲が、防湿材料を用いて、パッケージしてあることが好ましい。具体的に、アルミニウム積層フィルム等を用いて、小分けした状態で、パッケージすることが好ましい。
このような工程を設けてパッケージすることにより、抗菌性ガラスの凝集化をさらに容易に防止することができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
【0050】
[実施例1]
1.抗菌性樹脂組成物の作成
(1)溶融工程
抗菌性樹脂組成物(表中A組成と表示する。)の全体量を100重量%としたときに、P2O5の組成比が60重量%、CaOの組成比が25重量%、Na2Oの組成比が1.5重量%、B2O3の組成比が10重量%、Ag2Oの組成比が3重量%、CeO2の組成比が0.5重量%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合するまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱して、ガラス融液を作成した。
【0051】
(2)粉砕工程
ガラス溶融炉から取り出したガラス融液を、25℃の静水中に流し込むことにより、水砕し、平均粒子径が約10mmの粗粉砕ガラスとした。
次いで、アルミナ製の一対の回転ロール(東京アトマイザー(株)製、ロールクラッシャー)を用いて、ギャップ1mm、回転数150rpmの条件で、粗粉砕ガラスをホッパーから自重を利用して供給しながら、一次中粉砕(平均粒子径約1000μm)を実施した。さらに、アルミナ製の回転ウス(中央化工機商事(株)製、プレマックス)を用い、ギャップ400μm、回転数700rpmの条件で、一次中粉砕した抗菌性ガラスを、二次中粉砕し、平均粒子径を約400μmとした。
次いで、内容積105リットルの振動ボールミル(中央化工機商事(株)製)内に、メディアとして、直径10mmのアルミナ球を210kgと、二次中粉砕した抗菌性ガラスを20kgと、イソプロパノールを14kgと、平均粒径が70μmのホタテ貝殻粉末(商品名:シェルパワー、(株)ドーケン製)を1kg(5重量%相当)とをそれぞれ収容した後、回転数1,000rpm、振動幅9mmの条件で、7時間微粉砕処理した。
なお、この段階後の凝集防止剤を含む微粉砕ガラスを、電子顕微鏡で観察したところ、少なくとも70重量%以上が、多数の角や面のある多面体であって、平均粒径が10μmであることを確認した。
【0052】
(3)固液分離および乾燥
微粉砕した凝集防止剤を含む抗菌性ガラスと、イソプロパノールとを遠心分離機((株)コクサン製)を用いて、回転数3000rpm、3分の条件で、固液分離を行った。次いで、オーブンを用い、105℃、3時間の条件で凝集防止剤を含む抗菌性ガラスを乾燥した。
【0053】
(4)解砕
乾燥して、一部塊化した凝集防止剤を含む抗菌性ガラスを、ギア型の解砕機(中央化工機商事(株)製)を用いて解砕し、凝集防止剤を含む抗菌性ガラス(多面体ガラス)とした。
また、この段階の凝集防止剤を含む抗菌性ガラスを、電子顕微鏡で観察したところ、抗菌性ガラス自体は、少なくとも90重量%以上が角や面のある多面体であることを確認した。
さらに、凝集防止剤については、添加前は球状であったものが、一部扁平化されていることを確認した。
【0054】
(5)混合工程および成形工程
得られた凝集防止剤を含む抗菌性ガラス(以下、単に、抗菌性ガラスと称する場合がある。)を、ポリスチレン樹脂中に、0.5重量%となるように混入させ、抗菌性樹脂組成物を調製した後、成形機を用いて、厚さ2mm、縦5cm、横5cmの試験片を得た。
【0055】
2.抗菌性ガラスおよび抗菌性樹脂組成物の評価
(1)Agイオン溶出性評価
得られた抗菌性ガラス10gを、50mlの蒸留水(20℃)中に浸漬し、振とう機を用いて1時間振とうした。遠心分離器を用いてAgイオン溶出液を分離後、さらにろ紙(5C)でろ過して、測定試料とした。そして、測定試料中のAgイオンを、ICP発光分光分析法により測定し、Agイオン溶出量(mg/kg換算)を算出した。
【0056】
(2)透明性評価
得られた抗菌性樹脂組成物からなる試験片の透明性を、顕微鏡を使用して、以下の基準で判断した。結果を表1に示す。
◎:無色透明である。
〇:一部不透明感ある。
△:一部白色感がある。
×:完全に白色である。
【0057】
(3)凝集防止性評価
得られた抗菌性ガラス4gを、シャーレ中に平坦に収容した状態で、40℃、RH80%の湿度条件に、3日間放置した後、直径2mmのガラス棒にて押圧し、以下の基準から凝集防止性を評価した。結果を表1に示す。
◎:柔らかい感触であって、1回の押圧によりほぐすことができる。
○:やや柔らかい感触であって、5回以内の押圧によりほぐすことができる。
△:やや硬い感触であって、10回以上の押圧によりほぐすことができる。
×:硬い感触であって、10回以上の押圧によってもほぐすことができない。
【0058】
(4)抗菌性評価1〜2
得られた抗菌性ガラスを、ポリスチレン樹脂中に、添加量が0.5重量%となるように混入させ、抗菌性ガラス入り樹脂を調製した後、成形機を用いて、厚さ2mm、縦5cm、横5cmの抗菌性ガラス入り試験片を得た。
一方、試験菌を、Trypticase Soy Agar(BBL)の寒天平板培地で、35℃、24時間培養し、発育集落を1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄研化学(株)製)に懸濁させて、約1×106CFU/mlになるように調整した。
次いで、抗菌性ガラス入りの試験片に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO#12732)の懸濁液0.4mlおよび大腸菌(Escherichia coli ATCC#8739)の懸濁液0.4mlをそれぞれ均一に接触させ、さらに、ポリエチレン製フィルム(減菌)を載せて、それぞれフィルムカバー法の測定サンプルとした。
【0059】
次いで、測定サンプルを、湿度95%、温度35℃、24時間の条件で、恒温槽に載置し、試験前の菌数(発育集落)と試験後の菌数(発育集落)とをそれぞれ測定し、以下の基準で抗菌性1(黄色ブドウ球菌)と、抗菌性2(大腸菌)とを評価した。
なお、試験前の菌数(発育集落)は、黄色ブドウ球菌および大腸菌とも、それぞれ2.6×105(個/試験片)であった。それぞれの結果を表1に示す。
◎:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10,000未満である。
〇:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10,000以上〜1/1,000未満である。
△:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/1,000以上〜1/100未満である。
×:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/100以上である。
【0060】
[実施例2〜5]
実施例1で使用したホタテ貝殻粉末の添加量を5重量%から、実施例2では2重量%とし、実施例3では10重量%としたほかは、実施例1と同様に、それぞれ抗菌性ガラスを作成して、評価した。
また、実施例4では、振動ボールミルの処理時間を5時間とし、抗菌性ガラスの平均粒径を20μmとしたほかは、実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
さらに、実施例5では、ホタテ貝殻粉末を添加しない条件で実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成した後、5重量%となるようにホタテ貝殻粉末をミキサーで後添加したほかは、実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、添加時期を評価した。
【0061】
[実施例6〜10]
実施例1で使用したホタテ貝殻粉末のほかに、実施例5ではステアリン酸ナトリウムを併用し、実施例6ではステアリン酸カルシウムを併用し、実施例7ではゼオライトを併用し、実施例8では天然アパタイトを併用し、実施例9では亜鉛華を併用したほかは、実施例1と同様に、それぞれ抗菌性ガラスを作成して、評価した。
【0062】
[比較例1〜2]
比較例1では、実施例1において、ホタテ貝殻粉末を添加しなかったほかは、実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
また、比較例2では、実施例1において使用したホタテ貝殻粉末をさらに微粉砕し、平均粒径を0.1μm以下としたホタテ貝殻粉末を使用したほかは、実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
【0063】
[比較例3〜6]
実施例1で使用したホタテ貝殻粉末のかわりに、比較例3ではAZ−6177(シランカップリング剤、日本ユニカー(株)製)を使用し、比較例4ではKBM−903(シランカップリング剤、信越化学(株)製)を使用し、比較例5ではサーフィノールGA(界面活性剤、日信化学(株)製)を使用し、比較例6ではステアリン酸を使用したほかは、実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【発明の効果】
本発明の抗菌性ガラスによれば、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を含むことにより、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)を維持したまま、抗菌効果が変わることなく、優れた凝集防止効果や増量効果が得られるようになった。
また、本発明の抗菌性ガラスの製造方法によれば、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を添加する工程を設けることにより、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)を維持したまま、抗菌効果が変わることなく、優れた凝集防止効果を有するとともに、安価な抗菌性ガラスが効果的に得られるようになった。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】 抗菌性ガラスの形状を模式的に示す図(写真)である。
【図2】 凝集防止効果を説明するために供する図である。
【0069】
【符合の説明】
10:多角形の抗菌性ガラス
12:平均粒径が適当な凝集防止剤
14:水分
20:球状の抗菌性ガラス
22:水溜り部
30:平均粒径が小さい凝集防止剤
40:扁平状の凝集防止剤
Claims (8)
- Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスであって、
前記抗菌性ガラスの平均粒径を0.5〜50μmの範囲内の値とするとともに、
凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値になるように添加することを特徴とする抗菌性ガラス。 - 前記貝殻粉末が、ホタテ貝殻粉末、カキ殻粉末およびホッキ貝からなる群から選択されるいずれか一つの貝殻粉末であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性ガラス。
- 前記貝殻粉末が、前記抗菌性ガラスの周囲に付着または固着してあることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性ガラス。
- 前記貝殻粉末の平均粒径をD2とし、前記抗菌性ガラスの平均粒径をD1とした場合に、D2/D1を1/100〜100の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性ガラス。
- 前記貝殻粉末が、扁平状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性ガラス。
- 前記抗菌性ガラスの形状が多面体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌性ガラス。
- 防湿材料を用いて、周囲がパッケージしてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌性ガラス。
- Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法において、
当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化して、平均粒径を0.5〜50μmの範囲内の値とする工程と、
凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を、全体量に対して、0.1〜50重量%の範囲内の値になるように混合添加する工程と、
を含むことを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法。
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