JP2003292341A - 抗菌性ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
抗菌性ガラスおよびその製造方法Info
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Abstract
持し、抗菌効果が変わることなく、凝集防止効果に優れ
るとともに、安価な抗菌性ガラスおよびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスに
おいて、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上
の貝殻粉末、例えば、焼成して、粉砕したホタテ貝殻粉
末、カキ殻粉末、およびホッキ貝粉末からなる群から選
択されるいずれか一つの貝殻粉末を0.1〜50重量%
の割合となるように混合添加する。
Description
しうる抗菌性ガラス(防黴性を有するガラスを含む。)
およびその製造方法に関し、より詳細には、Agイオン
の溶出速度が適当である一方、凝集することが少なく、
安価な抗菌性ガラスおよびその製造方法に関する。
ン、携帯電話、ビデオカメラなど含む)、雑貨、包装用
資材等において、抗菌効果を付与するために、所定量の
抗菌性ガラスを樹脂中に混入させた抗菌性樹脂組成物が
使用されている。
ば、特開平1−313531号公報には、樹脂中に、A
gイオンを溶出する抗菌性ガラスを含む合成樹脂成形体
が開示されている。当該合成樹脂成形体は、具体的に、
SiO2、B2O3、P2O5の一種もしくは二種以上の網
目形成酸化物と、Na2O、K2O、CaO、ZnOの一
種もしくは二種以上の網目修飾酸化物とからなるガラス
固形物100重量部中に、一価のAgとして、Ag2O
を0.1〜20重量部含有した抗菌性ガラスを合成樹脂
中に含んだ構成としてある。より具体的には、当該特許
公報の実施例において、SiO2:40モル%、B
2O3:50モル%、Na2O:10モル%からなる混合
物100重量部に対して、Ag2Oを2重量部添加した
抗菌性ガラスを開示している。
イオン交換可能なイオンの一部または全部をアンモニウ
ムイオンおよび抗菌性金属イオンで置換した抗菌性ゼオ
ライトに対して、凝集防止剤として、シリコーンを含ん
でなる耐変色性および分散性に優れた防臭化粧料が開示
されている。より具体的には、アンモニウムイオンおよ
び銀イオン等の金属イオンで置換した平均粒径が10μ
m以下の抗菌性ゼオライトに対して、重量比で1/10
以上のシリコーン油や揮発性シリコーンのシリコーンを
含んでなる、スプレータイプやスチックタイプ等の耐変
色性および分散性に優れた防臭化粧料が開示されてい
る。
は、ホタテ貝殻の利用例として、粒径約200μmの多
孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末(ホタテ貝殻粉
末)と、該炭酸カルシウム粉末(ホタテ貝殻粉末)を約
1,000℃で焼成してなる粒径約200μmの酸化カ
ルシウム粉末と、を混合した吸着抗菌性粉体が開示され
ている。また、同様に、特開2001−199823号
公報には、ペット用トイレ砂等に添加することを意図
し、ホタテ貝の貝殻粉末と、トルマリン等とを混合した
状態で、800℃以上の温度で焼結してなる、直径1〜
20mm程度の抗菌剤が開示されている。また、同様
に、特開2001−151616号公報には、ホタテ貝
などの貝殻を700℃以上の温度で焼成した貝殻粉末が
担持または配合されてなる紙、織布、不織布、樹脂フィ
ルム、樹脂シートまたは樹脂容器などの基材からなる抗
菌保存材が開示されている。さらに、特開2001−2
6508号公報には、ホッキ貝の貝殻粉末を原料とし、
この貝殻粉末を不活性ガス雰囲気中、最終到達温度70
0〜2,500℃で焼成してなる平均粒子径が1〜50
μmの抗菌剤が開示されている。
1−313531号公報に開示されている抗菌性ガラス
は、水溶解性であって、周囲の水分を吸水し、保管時に
凝集しやすいという問題が見られた。したがって、かか
る抗菌性ガラスが凝集すると、樹脂と混合して合成樹脂
成形体を構成する際に、均一に混合分散させることが困
難になるという問題が見られた。もちろん、開示された
抗菌性ガラスの組成を変更し、水溶解性を低下させるこ
とによって、抗菌性ガラスの凝集性はある程度防止する
ことができるものの、今度は、Agイオンの溶出速度が
低下して、抗菌性についても低下してしまうという新た
な問題が見られた。また、開示された抗菌性ガラスは、
Ag含有のガラス成分のみから構成してあるため、コス
トが比較的高く、経済的に不利であるという問題も見ら
れた。
された防臭化粧料は、液状のシリコーンを多量に添加し
なければならず、抗菌性ガラスに適用した場合、製造時
においてアルコール系溶剤等を使用する関係で、かかる
シリコーンを均一に混合することが困難であった。ま
た、抗菌性ガラスに、このような量のシリコーンを添加
すると、周囲を被覆してしまい、Agイオンの溶出速度
が低下するという問題も見られた。また、開示された防
臭化粧料は、高価なシリコーンを多量に使用しなければ
ならず、コストが高く、経済的に不利であるという問題
も見られた。さらに、抗菌性ガラスに対して、このよう
に有機材料であるシリコーンを多量に添加しても、凝集
防止効果が得られず、逆に抗菌性ガラスの取り扱い性が
低下するという問題も見られた。
特開2001−26508号公報等に開示された貝殻粉
末を主成分とした抗菌剤は、いずれも焼成処理すること
により抗菌効果が発揮されるものの、その抗菌効果がば
らつき、しかも持続性に乏しいという問題が見られた。
さらに、これらの公報等に開示された貝殻粉末は、それ
自体抗菌剤の主成分として用いることが意図されてお
り、それを比較的少量使用して、抗菌性ガラスの凝集防
止剤として使用するという意図は全く見られなかった。
果、抗菌性ガラスに対して、安価な貝殻粉末を混合添加
することにより、十分なAgイオンの溶出量(溶出速
度)を維持したまま、抗菌効果が変わることなく、抗菌
性ガラスの凝集性が著しく低下することを見出したもの
である。すなわち、本発明は、Agイオンの溶出速度が
適当である一方、凝集性が少なく、しかも安価である抗
菌性ガラスおよびその製造方法を提供することを目的と
する。
オンを溶出しうる抗菌性ガラスに対して、凝集防止剤と
して、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添加
した抗菌性ガラスが提供され、上述した問題を解決する
ことができる。すなわち、このような平均粒径を有する
貝殻粉末を添加することにより、十分なAgイオンの溶
出量(溶出速度)を維持したまま、所定の抗菌効果を発
揮させることができる。その一方で、添加した貝殻粉末
が、隣接する抗菌性ガラスが接触することを防止し、そ
の結果、抗菌性ガラスが凝集して、水溜り部が生成する
ことを有効に防止することができる。また、このような
貝殻粉末であれば、吸水率を所定値以下の値とすること
が容易であり、周囲から進入してくる水分を低下させる
ことができるので、隣接する抗菌性ガラスが凝集するこ
とをさらに有効に防止することができる。さらに、この
ような貝殻粉末は、従来はほとんど廃棄処分されていた
天然材料であって、それを使用すれば、資源の有効利用
を図ることができる一方、貝殻粉末は極めて安価であっ
て、増量効果を発揮できるという利点もある。
あたり、貝殻粉末が、ホタテ貝殻粉末、カキ殻粉末およ
びホッキ貝からなる群から選択されるいずれか一つの貝
殻粉末であることが好ましい。このように構成すると、
抗菌性ガラスの凝集防止と、Agイオンの溶出速度との
バランスをより良好なものとすることができる。また、
このような種類の貝殻粉末であれば、安価であるととも
に、白色性に富んでおり、抗菌性ガラスにおける透明性
低下や着色性の問題発生を少なくすることができる。
あたり、貝殻粉末の添加量を、全体量に対して、0.1
〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この
ように構成すると、抗菌性ガラスの凝集防止効果や増量
効果と、Agイオンの溶出速度とのバランスをより良好
なものとすることができる。
あたり、その周囲に、貝殻粉末が、付着または固着して
あることが好ましい。このように構成すると、比較的少
量の貝殻粉末の添加によっても、優れた凝集防止効果を
得ることができる。また、このように構成すると、隣接
する抗菌性ガラスの間に、凝集防止剤が確実に存在する
ため、凝集防止効果をさらに有効に発揮することができ
る。
あたり、貝殻粉末の平均粒径をD2とし、抗菌性ガラス
の平均粒径をD1とした場合に、D2/D1を1/10
0〜100の範囲内の値とすることが好ましい。このよ
うに構成すると、抗菌性ガラスと貝殻粉末とがより均一
に混合されて、比較的少量の貝殻粉末の添加によって
も、優れた凝集防止効果を得ることができる。
あたり、貝殻粉末が、扁平状であることが好ましい。こ
のように構成すると、貝殻粉末が隣接する抗菌性ガラス
間に密着して存在しやすくなり、隣接する抗菌性ガラス
と抗菌性ガラスとを確実に離間させて、優れた凝集防止
効果を得ることができる。
あたり、抗菌性ガラスの形状が多面体であることが好ま
しい。このように構成すると、貝殻粉末が隣接する抗菌
性ガラス間にグリップされた状態で存在しやすくなり、
隣接する抗菌性ガラスを確実に離間させて、優れた凝集
防止効果を得ることができる。
あたり、防湿材料を用いて、周囲がパッケージしてある
ことが好ましい。このように構成すると、防湿材料によ
り、周囲に存在する水分の進入を低下させることができ
るため、抗菌性ガラスの凝集防止をより良好なものとす
ることができる。
溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法において、当該抗菌
性ガラスを粉砕し、微細化する工程と、凝集防止剤とし
て、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添加す
る工程と、を含むことを特徴とする。このように実施す
ると、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)を維持し
たまま、抗菌効果が変わることなく、凝集性が少ない抗
菌性ガラスを効果的に得ることができる。
びその製造方法に関する実施の形態を具体的に説明す
る。
gイオンを溶出しうる抗菌性ガラスに対して、凝集防止
剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合
添加した抗菌性ガラスである。
状、球状、多面体等のいずれであっても良いが、多面体
であることがより好ましい。すなわち、図1に電子顕微
鏡写真を示すように、抗菌性ガラスが、複数の角や面か
ら構成されており、例えば6〜10面体とすることが好
ましい。この理由は、抗菌性ガラスの形状を多面体とす
ることにより、図2(a)に模式的に示されるように、
凝集防止剤が隣接する抗菌性ガラス間に存在しやすくな
り、その結果、優れた凝集防止効果が得られやすいため
である。なお、抗菌性ガラスの形状が球状の場合には、
図2(b)に模式的に示されるように、凝集防止剤の存
在や平均粒径の大きさにかかわらず、隣接する抗菌性ガ
ラスと抗菌性ガラスとが接触しやすくなる。したがっ
て、同量の凝集防止剤の添加であれば、球状の抗菌性ガ
ラスを用いた場合よりも、多面体の抗菌性ガラスを用い
た場合の方が、優れた凝集防止効果を発揮することがで
きると言える。また、多面体の抗菌性ガラスであれば、
球状の抗菌性ガラスと異なり、光が面内を一定方向に進
行しやすいという特徴がある。したがって、抗菌性ガラ
スに起因した光散乱を有効に防止することができ、その
ため、抗菌性樹脂組成物を組成した場合に、その透明性
を向上させることができる。また、抗菌性ガラスを多面
体とすることにより、樹脂中への混合分散が容易とな
り、抗菌性樹脂組成物の構成が容易となるばかりか、射
出成形した場合に、抗菌性ガラスが一定方向に配向しや
すいという特徴がある。したがって、多面体の抗菌性ガ
ラスであれば、樹脂中に均一に分散しやすくなるととも
に、樹脂中での抗菌性ガラスによる光の散乱を効果的に
防止することができる。さらに、抗菌性ガラスの形状が
多面体であれば、製造時や使用時等に再凝集しにくいた
め、抗菌性ガラスの製造時における平均粒径の制御や、
使用する際の製造工程における製造条件の制御について
もより容易となる。
物および有機物あるいはいずれか一方の粒子を被覆した
形態とすることも好ましい。このように構成することに
より、Agイオンの溶出速度の制御を容易にし、また、
抗菌性ガラスの分散性をさらに良好なものとすることが
できる。また、抗菌性ガラスを被覆する粒子としては、
酸化チタン、酸化ケイ素、コロイダルシリカ、酸化亜
鉛、酸化スズ、酸化鉛、ホワイトカーボン、アクリル粒
子、スチレン粒子、ポリカーボネート粒子等の一種単独
または二種以上の組合せが好ましい。さらに、抗菌性ガ
ラスを粒子により被覆する方法も特に制限されるもので
ないが、例えば、抗菌性ガラスと、粒子とを均一に混合
後、600〜1200℃の温度で加熱してガラスに融着
するか、あるいは、結合剤を介して、固定することが好
ましい。
の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かか
る平均粒子径が0.1μm未満の値となると、光散乱が
生じやすくなり、透明性が低下する場合があるためであ
る。一方、かかる平均粒子径が300μmを超えると、
樹脂中への混合分散が困難となったり、取り扱いが困難
となったり、あるいは成形品に添加した場合に、成形品
の表面平滑性が低下する場合があるためである。したが
って、抗菌性ガラスの平均粒子径を0.5〜50μmの
範囲内の値とすることがより好ましく、1〜20μmの
範囲内の値とすることがさらに好ましい。なお、抗菌性
ガラスの平均粒子径は、レーザー方式のパーティクルカ
ウンターや沈降式の粒度分布計を用いたり、あるいは、
抗菌性ガラスの電子顕微鏡写真をもとにして、容易に測
定することができる。
成からなる抗菌性ガラスを使用することが好ましい。す
なわち、Ag2O、ZnO、CaO、B2O3およびP2O
5を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、
Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、Z
nOの含有量を1〜50重量%の範囲内の値、CaOの
含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、B2O3の含
有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP2O5
の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするととも
に、ZnO/CaOの重量比率を1.1〜15の範囲内
の値とすることが好ましい。
る必須構成成分であり、ガラス成分が溶解して、Agイ
オンを溶出させることにより、優れた抗菌性を長期間発
現することができる。また、ZnOは、抗菌性ガラスに
おける網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、
黄変を防止する機能とともに、抗菌性を向上させる機能
をも果たしている。なお、かかるZnOの含有量は、後
述するCaOの含有量を考慮して定めることが好まし
い。具体的には、ZnO/CaOで表される重量比率
を、1.1〜15の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量比率が1.1未満の値となる
と、抗菌性樹脂組成物の黄変を効率的に防止することが
できない場合があり、一方、かかる重量比率が15を超
えると、抗菌性樹脂組成物が白濁したり、あるいは、逆
に、黄変したりする場合があるためである。したがっ
て、かかるZnO/CaOで表される重量比率を1.2
〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5
〜8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
に網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、抗菌
性ガラスを作成する際の、加熱温度を低下させたり、Z
nOとともに、黄変防止機能を発揮したりすることがで
きる。また、B2O3は、基本的に網目形成酸化物として
の機能を果たすが、その他に、本発明においては抗菌性
ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放出性に
も関与する。また、P2O5は、基本的に網目形成酸化物
としての機能を果たすが、その他に、本発明においては
抗菌性ガラスの透明性改善機能やAgイオンの均一な放
出性にも関与する。また、CeO2は、基本的に網目修
飾酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性ガラスの透
明性改善機能も発揮することができる。また、CeO2
を添加することで、電子線に対する変色性を向上させる
こともできる。また、MgOやNa2Oは、基本的に網
目修飾酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性ガラス
の透明性改善機能も発揮する。また、Al2O3は、基本
的に網目形成酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性
ガラスの機械的強度や透明性の改善機能も発揮すること
ができる。
て、以下の組成からなる抗菌性ガラスを使用することも
好ましい。すなわち、ZnOを実質的に含まない代りに
Ag2O、CaO、B2O3およびP2O5を含み、かつ、
全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量
を0.2〜5重量%の範囲内の値、CaOの含有量を1
5〜50重量%の範囲内の値、B2O3の含有量を0.1
〜15重量%の範囲内の値、およびP2O5の含有量を3
0〜80重量%の範囲内の値とするとともに、CaO/
Ag2Oの重量比率を5〜15の範囲内の値とすること
が好ましい。この理由は、このように構成すると、成分
としてZnOを実質的に含んでいなくとも、CaOの含
有量を比較的多くすることにより、黄変防止効果を有効
に発揮することができるためである。
均粒径を0.1μm以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる貝殻粉末の平均粒径が0.1μm未
満の値となると、図2(c)に模式的に示されるよう
に、多面体の抗菌性ガラスであっても、隣接する抗菌性
ガラスと抗菌性ガラスとの接触を有効に妨げることがで
きず、抗菌性ガラスの凝集を防止することが困難となる
場合があるためである。また、貝殻粉末の平均粒径が
0.1μm未満の値となると、一旦混合した抗菌性ガラ
スと貝殻粉末とが分離しやすくなり、結果として、均一
に混合することが困難となって、抗菌性ガラスの凝集防
止を図ることがさらに困難となるためである。ただし、
貝殻粉末の平均粒径が過度に大きくなると、取り扱いが
困難となったり、あるいは、逆に抗菌性ガラスと均一に
混合したりすることが困難となる場合がある。したがっ
て、貝殻粉末の平均粒径を0.5〜200μmの範囲内
の値とすることが好ましく、1〜50μmの範囲内の値
とすることがさらに好ましい。
を考慮して定めることが好ましい。すなわち、抗菌性ガ
ラスの平均粒径が比較的小さい場合には、貝殻粉末の平
均粒径についても、比較的小さくすることにより、逆に
抗菌性ガラスの平均粒径が比較的大きい場合には、貝殻
粉末の平均粒径についても、比較的大きくすることによ
り、それぞれより均一に混合することができ、その結
果、優れた凝集防止効果を発揮できるためである。その
ため、具体的に、貝殻粉末の平均粒径をD2とし、抗菌
性ガラスの平均粒径をD1とした場合に、D2/D1を
1/100〜100の範囲内の値とすることが好まし
い。この理由は、かかる比率(D2/D1)が1/10
0未満の値となると、抗菌性ガラスと貝殻粉末とが分離
しやすくなり、均一に混合することが困難となって、抗
菌性ガラスの凝集を防止することが困難となる場合があ
るためである。また、かかる比率(D2/D1)が、1
00を超えると、抗菌性ガラスと均一に混合することが
困難となり、逆に抗菌性ガラスの凝集を防止することが
さらに困難となる場合があるためである。したがって、
このように凝集防止性のバランスがより良好となること
から、抗菌性ガラスの平均粒径(D1)に対する貝殻粉
末の平均粒径(D2)の比率(D2/D1)を1/80
〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、1/5
0〜1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ば、ホタテ貝殻粉末、カキ殻粉末、サザエ貝殻粉末、ハ
マグリ貝殻粉末、アサリ貝殻粉末、シジミ貝殻粉末、ホ
ッキ貝殻粉末等の一種単独、または二種以上の組合せが
好適例として挙げられる。また、これらの貝殻粉末のう
ち、白色性に富み、しかも極めて安価であって、天然資
源量も豊富であることから、ホタテ貝殻粉末やカキ殻粉
末、あるいはホッキ貝殻粉末を使用することがより好ま
しい。また、使用する貝殻粉末は、700℃以上の温度
で焼成してあることが好ましい。このように焼成された
貝殻粉末は、多孔質となって、貝殻粉末自体が抗菌効果
を発揮しやすくなるためである。ただし、本発明におい
ては、貝殻粉末は、主として凝集防止剤として使用する
ため、貝殻粉末自体の抗菌効果は必ずしも必要でない。
そのため、より安価であって、経済的に有利であること
から、非焼成の貝殻粉末を使用したり、あるいは700
℃未満の温度で加熱した貝殻粉末を使用したりすること
も好ましい。
50重量%の範囲内の値とするのが好ましい。この理由
は、かかる貝殻粉末の添加量が0.1重量%未満となる
と、凝集防止効果が低下したり、増量効果が低下したり
する場合があるためである。一方、かかる貝殻粉末の添
加量が50重量%を超えると、Agイオンの溶出速度が
著しく低下して、抗菌性ガラスにおける抗菌性が低下し
たり、均一に混合することが困難となったり、あるいは
樹脂と混合した場合に、得られる抗菌性樹脂組成物の機
械的強度や透明性が低下したりする場合があるためであ
る。したがって、かかる抗菌性ガラスにおける凝集防止
性と、抗菌性等とのバランスがより好ましいことから、
貝殻粉末の添加量を、全体量に対して、1〜30重量%
の範囲内の値とするのがより好ましく、5〜20重量%
の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
えば、球状、多角形状、あるいは扁平状とすることが好
ましい。また、これらの形状のうち、貝殻粉末が扁平状
の場合、球状等と比較して、より優れた凝集防止効果が
得られることからより好ましい。すなわち、図2(d)
に模式的に示されるように、扁平状の貝殻粉末であれ
ば、貝殻粉末が隣接する抗菌性ガラス間に存在しやすく
なり、隣接する抗菌性ガラスを確実に離間させて、優れ
た凝集防止効果が得られるものである。また、扁平状の
貝殻粉末を使用する場合、扁平率(縦直径/横直径)を
0.1〜0.95の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる扁平率が0.1未満の値となると、
扁平状の貝殻粉末を安定して作成することが困難となる
場合があるためであり、一方、かかる扁平率が0.95
を超えると、扁平効果が発揮されない場合がるためであ
る。したがって、貝殻粉末の扁平率を0.3〜0.9の
範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜0.8
5の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
添加することも好ましい。このような凝集防止剤の種類
は、無機化合物であれば特に制限されるものではない
が、例えば、リン酸三カルシウム、ステアリン酸ナトリ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ゼオライト、天然アパ
タイト、および亜鉛華からなる群から選択される少なく
とも一つの無機化合物であることが好ましい。また、比
較的少量の添加で優れた凝集効果が得られることから、
リン酸三カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステア
リン酸カルシウム、またはゼオライトを使用することが
より好ましい。
スにおける吸水率を3重量%以下の値とすることが好ま
しい。この理由は、かかる吸水率が3重量%を超える
と、周囲に存在する水を吸いやすくなり、隣接する抗菌
性ガラスの接触を有効に妨げることができずに、抗菌性
ガラスの凝集を防止することが困難となる場合があるた
めである。ただし、かかる吸水率を過度に小さく制御し
ようとすると、ガラスの水溶解性を低下しなければなら
ず、そのため、抗菌効果の発現が遅くなる場合がある。
したがって、貝殻粉末を添加した抗菌性ガラスにおける
吸水率を0.01〜2.5重量%範囲内の値とすること
が好ましく、0.1〜2重量%範囲内の値とすることが
さらに好ましい。なお、貝殻粉末を添加した状態の抗菌
性ガラスにおける吸水率は、抗菌性ガラスを40℃、R
H80%の条件で、3日間吸水させた場合の重量変化か
ら算出することができる。
物、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩
化アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、硫化アンモニウ
ム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、酢酸アンモ
ニウム、過塩素酸アンモニウム、およびリン酸アンモニ
ウム等の一種単独または二種以上の組合せを添加するこ
とが好ましい。このような錯体形成化合物を添加するこ
とにより、抗菌性ガラスの変色や、着色を著しく防止す
ることができる。また、雰囲気が強アルカリ、例えばp
H値が10以上であっても、Agイオンと容易に錯体を
形成して、着色防止することができることから、錯体形
成化合物として、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、およびチオ硫酸ナトリウムから
なる群から選択される少なくとも一つの化合物を使用す
ることがより好ましい。また、錯体形成速度が適当であ
って、少量の添加で優れた変色防止効果が得られること
から、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、および塩
化アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一
つの化合物を使用することがより好ましい。さらに、優
れた耐熱性が要求される用途、例えば、200℃以上の
溶融状態の樹脂中に直接混合される用途においては、熱
分解されることが少ないことから、塩化アンモニウム等
を使用することがより好ましい。
に対して、0.01〜30重量%の範囲内の値とするの
が好ましい。この理由は、かかる錯体形成化合物の添加
量が0.01重量%未満となると、変色を有効に防止す
ることが困難となる場合があるためであり、一方、かか
る錯体形成化合物の添加量が30重量%を超えると、抗
菌性ガラスにおける抗菌性が低下したり、均一に混合す
ることが困難となったり、あるいは樹脂と混合した場合
に、得られる抗菌性樹脂組成物の機械的強度や透明性が
低下したりする場合があるためである。したがって、か
かる抗菌性ガラスにおける耐変色性と、抗菌性等とのバ
ランスがより好ましいことから、錯体形成化合物の添加
量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の
値とするのがより好ましく、0.5〜10重量%の範囲
内の値とすることがさらに好ましい。
樹脂組成物として構成することも好ましい。このような
樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン
テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビ
ニリデン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコー
ル樹脂、フッ素系樹脂、ポリアリーレン樹脂、アクリル
系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、アイオノマ
ー樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フ
ェノール樹脂、メラミン樹脂等の一種または二種以上の
組合せを挙げることができる。これらの樹脂のうち、ポ
リスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、およびポリエチレンテレフタレート樹脂等を使用し
た場合、より透明性に優れるともに、安価な抗菌性樹脂
組成物を提供することができることから、好ましい樹脂
である。
樹脂100重量部あたりの抗菌性ガラスの添加重量で表
した場合、0.01〜30重量部の範囲内の値とするの
が好ましい。この理由は、かかる抗菌性ガラスの添加量
が、0.01重量部未満となると、抗菌性樹脂組成物に
おける抗菌性が低下する場合があり、一方、かかる抗菌
性ガラスの添加量が、30重量部を超えると、抗菌性樹
脂組成物の機械的強度が低下したり、均一に混合するこ
とが困難となったり、あるいは得られる抗菌性樹脂組成
物の透明性が低下する場合が生じるためである。したが
って、かかる抗菌性樹脂組成物における抗菌性と機械的
強度等とのバランスがより好ましいことから、樹脂10
0重量部あたり、抗菌性ガラスの添加量を、0.1〜1
0重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3
〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
あるいは着色化等の目的のために、分散剤としての界面
活性剤、ステアリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸ナ
トリウム、またはシランカップリング剤等、酸化防止剤
としてのヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミ
ン化合物等、着色剤としての顔料や染料等を添加するこ
とが好ましい。なお、これらの添加剤の添加量は、添加
効果等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、そ
れぞれ全体量に対して、0.01〜30重量%の範囲内
の値とするのがより好ましい。
えば、バッグ、靴、玩具、布、タイル、カーペット、台
所用品、バスタブ等の成形品の表面に、抗菌層として抗
菌性樹脂組成物を含浸したり、積層したりして構成した
用途であれば良い。また、抗菌性樹脂組成物自身を加工
して抗菌性成形品とすることも好ましい。その場合、例
えば、板状、フィルム状、長方体状、正方体状、球状、
棒状、あるいは異形体状(ユニットバス等)とすること
が好ましい。一例を示せば、コンクリート等の表面に積
層する抗菌性樹脂組成物からなるタイルやフィルム、あ
るいはシートの形態とすることが好ましい。さらに、一
例を示せば、抗菌性樹脂組成物からなるタイルやフィル
ム、あるいはシートの片面に接着剤層を設け、この接着
剤層中に、錯体形成化合物や抗菌性ガラスを添加した形
態とすることも好ましい。
gイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの製造方法であっ
て、当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化する工程(以
下、微細化工程と称する場合がある。)と、凝集防止剤
として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を混合添
加する工程(以下、添加工程と称する場合がある。)
と、を含むことを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法で
ある。
を、粉砕し、所定の平均粒径を有する抗菌性ガラスとす
る工程である。具体的には、以下に示すような粗粉砕
(水粉砕を含む。)、中粉砕、および微粉砕を行うこと
が好ましい。このように実施すると、均一な平均粒径を
有する抗菌性ガラスを効率的に得ることができる。ただ
し、用途によっては平均粒径をより細かく制御するため
に、粉砕工程の後、分級工程をさらに設けて、ふるい処
理等を実施することも好ましい。
性ガラスを粉砕する工程である。かかる粗粉砕として、
通常、ガラス融液を、静水に注入することにより、所定
の平均粒径とする水砕を行うことが好ましい。なお、粗
粉砕後の抗菌性ガラスは、角の無い塊状であることが電
子顕微鏡写真から確認されている。
粉砕後の抗菌性ガラスを粉砕する工程である。通常、一
次中粉砕と、二次中粉砕との二段階に分けて、実施する
ことが好ましい。この一次中粉砕は、平均粒径が10m
m程度の抗菌性ガラスを、平均粒径が1mm程度の抗菌
性ガラスとする粉砕工程であり、回転ロール等を用いて
実施することが好ましい。また、二次中粉砕は、平均粒
径が1mm程度の抗菌性ガラスを、平均粒径が400μ
m程度の抗菌性ガラスとする粉砕工程であり、回転ウス
等を用いて実施することが好ましい。なお、二次中粉砕
後の抗菌性ガラスは、角を有する多面体であることが電
子顕微鏡写真から確認されている。
になるように、中粉砕後の抗菌性ガラスをさらに細かく
粉砕する工程である。かかる微粉砕のためには、例え
ば、回転ウス、回転ロール、振動ミル、ボールミル、サ
ンドミル、あるいはジェットミルを用いることができる
が、特に振動ミルおよびジェットミル等の微粉砕装置を
用いることが好ましい。このような微粉砕装置を使用す
ることにより、粗粉砕ガラスに対して、適度なせん断力
を付与することができ、粒径が過度に小さい抗菌性ガラ
スが生じることなく、所定の平均粒径を有する多面体の
抗菌性ガラスを効果的に得ることができる。なお、振動
ボールミルと、ジェットミルとを比較した場合、振動ボ
ールミルを用いた方が、1回の処理量が多く、微粉砕装
置の構造が簡易であるという利点がある。一方、ジェッ
トミルを用いた方が、抗菌性ガラスの再凝集の割合が少
なく、比較的短時間で攪拌できるという利点がある。ま
た、ジェットミルを用いることにより、例えば、外添粒
子を添加することなく、再凝集の少ない抗菌性ガラスを
得ることができる。したがって、抗菌性ガラスの用途等
に応じて、微粉砕装置を使い分けることが好ましい。そ
の他、振動ボールミルやジェットミルを用いて微粉砕し
た後の抗菌性ガラスは、中粉砕後の抗菌性ガラスよりも
多くの角を有する多面体であることが電子顕微鏡写真か
ら確認されている。
されるものではないが、例えば、プロペラミキサー、三
本ロール、ニーダー、ボールミル、サンドミル、ヘンシ
ェルミキサー、ジェットミル等の混合機を用いて実施す
ることが好ましい。また、抗菌性ガラスと、貝殻粉末と
がより均一に混合できるように、混合の際に、アルコー
ルや炭化水素化合物、あるいは不活性液体等を使用する
ことも好ましい。さらに、貝殻粉末を添加した後、抗菌
性ガラスの周囲に付着または固着できるように、加熱や
加圧したり、あるいは、高分子材料や硬化性材料を添加
したりすることも好ましい。
ても特に制限されるものでなく、抗菌性ガラスの製造工
程中に添加することも好ましいし、あるいは、抗菌性ガ
ラスを製造した後に、貝殻粉末を添加することも好まし
い。ただし、抗菌性ガラスの製造工程中、特に、ボール
ミル等の湿式粉砕工程において添加することにより、貝
殻粉末の扁平化が図られるとともに、工程数も増加しな
いことから、より好ましい添加時期である。すなわち、
抗菌性ガラスの製造時の粉砕工程と、添加工程を同時に
実施することにより、粉砕工程において使用するボール
ミル等を利用して、貝殻粉末を加圧して扁平状とするこ
とができる。したがって、隣接する抗菌性ガラスとの間
に密着して、確実に存在することができるため、より優
れた凝集防止効果を得ることができる。
や運搬等の便宜のために包装する工程を設けることが好
ましい。すなわち、凝集防止剤を含む抗菌性ガラスの周
囲が、防湿材料を用いて、パッケージしてあることが好
ましい。具体的に、アルミニウム積層フィルム等を用い
て、小分けした状態で、パッケージすることが好まし
い。このような工程を設けてパッケージすることによ
り、抗菌性ガラスの凝集化をさらに容易に防止すること
ができる。
説明する。但し、以下の説明は本発明を例示的に示すも
のであり、本発明はこれらの記載に制限されるものでは
ない。
を100重量%としたときに、P2O5の組成比が60重
量%、CaOの組成比が25重量%、Na2Oの組成比
が1.5重量%、B2O3の組成比が10重量%、Ag2
Oの組成比が3重量%、CeO2の組成比が0.5重量
%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機
を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一
に混合するまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、1
280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱して、ガ
ラス融液を作成した。
水中に流し込むことにより、水砕し、平均粒子径が約1
0mmの粗粉砕ガラスとした。次いで、アルミナ製の一
対の回転ロール(東京アトマイザー(株)製、ロールク
ラッシャー)を用いて、ギャップ1mm、回転数150
rpmの条件で、粗粉砕ガラスをホッパーから自重を利
用して供給しながら、一次中粉砕(平均粒子径約100
0μm)を実施した。さらに、アルミナ製の回転ウス
(中央化工機商事(株)製、プレマックス)を用い、ギ
ャップ400μm、回転数700rpmの条件で、一次
中粉砕した抗菌性ガラスを、二次中粉砕し、平均粒子径
を約400μmとした。次いで、内容積105リットル
の振動ボールミル(中央化工機商事(株)製)内に、メデ
ィアとして、直径10mmのアルミナ球を210kg
と、二次中粉砕した抗菌性ガラスを20kgと、イソプ
ロパノールを14kgと、平均粒径が70μmのホタテ
貝殻粉末(商品名:シェルパワー、(株)ドーケン製)
を1kg(5重量%相当)とをそれぞれ収容した後、回
転数1,000rpm、振動幅9mmの条件で、7時間
微粉砕処理した。なお、この段階後の凝集防止剤を含む
微粉砕ガラスを、電子顕微鏡で観察したところ、少なく
とも70重量%以上が、多数の角や面のある多面体であ
って、平均粒径が10μmであることを確認した。
パノールとを遠心分離機((株)コクサン製)を用いて、
回転数3000rpm、3分の条件で、固液分離を行っ
た。次いで、オーブンを用い、105℃、3時間の条件
で凝集防止剤を含む抗菌性ガラスを乾燥した。
を、ギア型の解砕機(中央化工機商事(株)製)を用いて
解砕し、凝集防止剤を含む抗菌性ガラス(多面体ガラ
ス)とした。また、この段階の凝集防止剤を含む抗菌性
ガラスを、電子顕微鏡で観察したところ、抗菌性ガラス
自体は、少なくとも90重量%以上が角や面のある多面
体であることを確認した。さらに、凝集防止剤について
は、添加前は球状であったものが、一部扁平化されてい
ることを確認した。
抗菌性ガラスと称する場合がある。)を、ポリスチレン
樹脂中に、0.5重量%となるように混入させ、抗菌性
樹脂組成物を調製した後、成形機を用いて、厚さ2m
m、縦5cm、横5cmの試験片を得た。
の評価 (1)Agイオン溶出性評価 得られた抗菌性ガラス10gを、50mlの蒸留水(2
0℃)中に浸漬し、振とう機を用いて1時間振とうし
た。遠心分離器を用いてAgイオン溶出液を分離後、さ
らにろ紙(5C)でろ過して、測定試料とした。そし
て、測定試料中のAgイオンを、ICP発光分光分析法
により測定し、Agイオン溶出量(mg/kg換算)を
算出した。
顕微鏡を使用して、以下の基準で判断した。結果を表1
に示す。 ◎:無色透明である。 〇:一部不透明感ある。 △:一部白色感がある。 ×:完全に白色である。
した状態で、40℃、RH80%の湿度条件に、3日間
放置した後、直径2mmのガラス棒にて押圧し、以下の
基準から凝集防止性を評価した。結果を表1に示す。 ◎:柔らかい感触であって、1回の押圧によりほぐすこ
とができる。 ○:やや柔らかい感触であって、5回以内の押圧により
ほぐすことができる。 △:やや硬い感触であって、10回以上の押圧によりほ
ぐすことができる。 ×:硬い感触であって、10回以上の押圧によってもほ
ぐすことができない。
量が0.5重量%となるように混入させ、抗菌性ガラス
入り樹脂を調製した後、成形機を用いて、厚さ2mm、
縦5cm、横5cmの抗菌性ガラス入り試験片を得た。
一方、試験菌を、Trypticase Soy Aga
r(BBL)の寒天平板培地で、35℃、24時間培養
し、発育集落を1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄
研化学(株)製)に懸濁させて、約1×106CFU/
mlになるように調整した。次いで、抗菌性ガラス入り
の試験片に、黄色ブドウ球菌(Staphylococ
cus aureus IFO#12732)の懸濁液
0.4mlおよび大腸菌(Escherichia c
oli ATCC#8739)の懸濁液0.4mlをそ
れぞれ均一に接触させ、さらに、ポリエチレン製フィル
ム(減菌)を載せて、それぞれフィルムカバー法の測定
サンプルとした。
度35℃、24時間の条件で、恒温槽に載置し、試験前
の菌数(発育集落)と試験後の菌数(発育集落)とをそ
れぞれ測定し、以下の基準で抗菌性1(黄色ブドウ球
菌)と、抗菌性2(大腸菌)とを評価した。なお、試験
前の菌数(発育集落)は、黄色ブドウ球菌および大腸菌
とも、それぞれ2.6×105(個/試験片)であっ
た。それぞれの結果を表1に示す。 ◎:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10,000
未満である。 〇:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/10,000
以上〜1/1,000未満である。 △:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/1,000以
上〜1/100未満である。 ×:試験後の菌数が、試験前の菌数の1/100以上で
ある。
テ貝殻粉末の添加量を5重量%から、実施例2では2重
量%とし、実施例3では10重量%としたほかは、実施
例1と同様に、それぞれ抗菌性ガラスを作成して、評価
した。また、実施例4では、振動ボールミルの処理時間
を5時間とし、抗菌性ガラスの平均粒径を20μmとし
たほかは、実施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成し
て、評価した。さらに、実施例5では、ホタテ貝殻粉末
を添加しない条件で実施例1と同様に、抗菌性ガラスを
作成した後、5重量%となるようにホタテ貝殻粉末をミ
キサーで後添加したほかは、実施例1と同様に、抗菌性
ガラスを作成して、添加時期を評価した。
タテ貝殻粉末のほかに、実施例5ではステアリン酸ナト
リウムを併用し、実施例6ではステアリン酸カルシウム
を併用し、実施例7ではゼオライトを併用し、実施例8
では天然アパタイトを併用し、実施例9では亜鉛華を併
用したほかは、実施例1と同様に、それぞれ抗菌性ガラ
スを作成して、評価した。
において、ホタテ貝殻粉末を添加しなかったほかは、実
施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
また、比較例2では、実施例1において使用したホタテ
貝殻粉末をさらに微粉砕し、平均粒径を0.1μm以下
としたホタテ貝殻粉末を使用したほかは、実施例1と同
様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
テ貝殻粉末のかわりに、比較例3ではAZ−6177
(シランカップリング剤、日本ユニカー(株)製)を使
用し、比較例4ではKBM−903(シランカップリン
グ剤、信越化学(株)製)を使用し、比較例5ではサー
フィノールGA(界面活性剤、日信化学(株)製)を使
用し、比較例6ではステアリン酸を使用したほかは、実
施例1と同様に、抗菌性ガラスを作成して、評価した。
止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を含
むことにより、十分なAgイオンの溶出量(溶出速度)
を維持したまま、抗菌効果が変わることなく、優れた凝
集防止効果や増量効果が得られるようになった。また、
本発明の抗菌性ガラスの製造方法によれば、凝集防止剤
として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉末を添加す
る工程を設けることにより、十分なAgイオンの溶出量
(溶出速度)を維持したまま、抗菌効果が変わることな
く、優れた凝集防止効果を有するとともに、安価な抗菌
性ガラスが効果的に得られるようになった。
真)である。
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスに
おいて、凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上
の貝殻粉末を混合添加することを特徴とする抗菌性ガラ
ス。 - 【請求項2】 前記貝殻粉末が、ホタテ貝殻粉末、カキ
殻粉末およびホッキ貝からなる群から選択されるいずれ
か一つの貝殻粉末であることを特徴とする請求項1に記
載の抗菌性ガラス。 - 【請求項3】 前記貝殻粉末の添加量を、全体量に対し
て、0.1〜50重量%の範囲内の値とすることを特徴
とする請求項1または2に記載の抗菌性ガラス。 - 【請求項4】 前記貝殻粉末が、前記抗菌性ガラスの周
囲に付着または固着してあることを特徴とする請求項1
〜3のいずれか一項に記載の抗菌性ガラス。 - 【請求項5】 前記貝殻粉末の平均粒径をD2とし、前
記抗菌性ガラスの平均粒径をD1とした場合に、D2/
D1を1/100〜100の範囲内の値とすることを特
徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性ガ
ラス。 - 【請求項6】 前記貝殻粉末が、扁平状であることを特
徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌性ガ
ラス。 - 【請求項7】 前記抗菌性ガラスの形状が多面体である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の
抗菌性ガラス。 - 【請求項8】 防湿材料を用いて、周囲がパッケージし
てあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に
記載の抗菌性ガラス。 - 【請求項9】 Agイオンを溶出しうる抗菌性ガラスの
製造方法において、 当該抗菌性ガラスを粉砕し、微細化する工程と、 凝集防止剤として、平均粒径が0.1μm以上の貝殻粉
末を混合添加する工程と、 を含むことを特徴とする抗菌性ガラスの製造方法。
Priority Applications (4)
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KR20240114116A (ko) * | 2023-01-16 | 2024-07-23 | 주식회사 케이씨씨글라스 | 유리용 조성물 및 이로부터 제조된 유리 |
-
2002
- 2002-03-29 JP JP2002095014A patent/JP3797951B2/ja not_active Expired - Fee Related
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