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JP3797635B2 - 空間清浄化材及びそれを用いた空間清浄化方法 - Google Patents

空間清浄化材及びそれを用いた空間清浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間の清浄化に係り、特に、空間に存在する有害ガスを吸着・分解して除去できる空間清浄化材及びそれを用いた空間清浄化方法に関する。
本発明は、半導体、液晶、精密機械工業など、いわゆるハイテク産業(先端産業)における空間の清浄化に効果的である。具体的には、安全キャビネット、クリーンボックス、ストッカ、搬送空間、インターフェイス、表面処理装置(例えば光CVD装置等)、減圧又は真空処理装置(例えば成膜室、プラズマ処理装置)、エアナイフ、表面洗浄装置、露光装置、除電装置がある。
【0002】
【従来の技術】
従来の空間清浄化技術を、半導体製造工場におけるクリーンルームの空気清浄を例に図15を用いて説明する。
図15において、外気1は先ずプレフィルタ2で粗粒子が除去され、次いで空調機3で空調され、中性能フィルタ4で除塵される。次に、クリーンルーム5の天井部に設置されているHEPAフィルタ(高性能フィルタ)6で微細な粒子が除去され、クリーンルーム5はクラス10〜100が維持される(「洗浄設計」p11〜24、Summer 1988)。7-1、7-2はファン、矢印は空気の流れを示す。
ところで、今後半導体産業では製品の高品質化、精密化が増々進み、これに伴いガス状物質が汚染物として関与する。即ち、従来は微粒子除去のみで十分であったのが、今後は、ガス状物質の制御が重要となってくる。そして、前記図15に示した、従来のクリーンルームのフィルタでは、微粒子のみしか除去されず、外気からのガス状汚染物質は、除去されずにクリーンルームに導入されてしまうので問題となる。
【0003】
ガス状汚染物質には、(1)NOx、SOx、HCl、HFなどの酸性ガス、(2)NH3 、アミンなどの塩基性ガス、(3)有機性ガス(H.C)がある。この内、通常のクリーンルームでは、H.Cがガス状汚染物質として重要である。即ち、H.Cは通常のクリーンルームの濃度レベルでガラスやシリコンウェハ基材、基板に吸着し、悪影響を与えるためである(「空気清浄」、第33巻、第1号、p.16〜21(1995年))。
H.Cの起因は、外気の自動車排ガス、高分子製品からの脱ガスのクリーンルームへの導入、クリーンルーム構成材料の高分子材料(例えば、高分子製品の可塑材、離型材、酸化防止剤等)からの脱ガスなどがある(「空気清浄」、第33巻、第1号、p.16〜21、1995年)。また、プロセス装置の一部又は全部をプラスチック板等で囲うので、これらのプラスチックから有機性ガスが発生する。そして、最近省エネの点でクリーンルームの空気を循環使用するため、クリーンルーム内の有機性ガスは徐々に高まってしまい、基材や基板を汚染することになる。これらのH.Cは通常の大気濃度レベルのような極低濃度でも悪影響を及ぼす。
【0004】
具体例で説明すると、H.Cによるウェハ基材(貴重品)の汚染は、基材とレジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そして、親和性が悪くなると、レジストと膜厚に影響を与えたり、基板とレジストとの密着性に影響を与え、品質の低下や歩留まりの低下をもたらす(「空気清浄」、第33巻、第1号、p.16〜21、1995年)。
H.Cによるウェハ基材の汚染は、H.C吸着量の増加に伴い、酸化膜の耐圧の劣化が激しくなる(第13回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、No2、p.686、1992年)。
このように、今後要求が高まるより質の高い製品は、集積度が密(製品がより微細化、高精密化になる)であり、従来問題とならなかった有機性ガスのようなガス状物質の制御が必要となってくる(「空気清浄」、第33巻、第1号、p.16〜21、1995)。
すなわち、今後、高品質な製品を製造するための清浄空間は、外気から導入されるガス状汚染物質、及びクリーンルーム内で発生するH.Cや共存する酸性ガス、塩基性ガスを効果的に除去することが重要である。
【0005】
また、最近先端産業における製品の製造は、コストを低減させて行う必要から、局所清浄化(ミニエンバイロメント)が急速に広まっている。しかし、局所清浄化においては、高分子材料の使用が多くなるので、これらの材料からの有機性ガスの発生による汚染を効果的に防止する方式の出現が期待されていた((社)日本機械工業連合会、平成6年度報告書、p.41〜50、平成7年3月)。
ここで、ウェハやガラス基板への有機性ガス(H.C)の汚染は、簡便には接触角により評価することができる。
接触角とは水によるぬれの接触角のことであり、基板表面の汚染の程度を示すものである。すなわち、基板表面に疎水性(油性)の物質を付着すると、その表面は水をはじき返してぬれにくくなる。すると基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って接触角が大きいと汚染度が高く、逆に接触角が小さいと汚染度が低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、前記した問題点を解消し、空間に存在する有機性ガスなどのガス状汚染物質による汚染を効果的に防止することができる空気清浄化材とそれを用いた空間の清浄化方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、クリーンルーム内の気体を清浄化するための空間清浄化材において、該気体と接触する製品、半製品又は原材料としての基材又は基板と同じ材質のガラス、シリコンウェハ、非金属性物質又は金属性物質から選ばれた少なくとも一種類の基材又はこれらを組合せた基板と、該基材又は基板と同一面上の一部に、光照射により光触媒作用を発揮する物質を配備したことを特徴とする空間清浄化材としたものである。
また、本発明では、有害ガスが存在するクリーンルーム内の気体を清浄化する方法において、該クリーンルーム内に、上記した空間清浄化材を設置して光照射し、クリーンルーム中の有害ガスを除去することを特徴とする空間清浄化方法としたものであり、さらに、ガラス、シリコンウェハ、非金属性物質又は金属性物質から選ばれた少なくとも一種類の製品、半製品又は原材料としての基材又はこれらを組合せた基板の少なくとも一種類が存在するクリーンルーム内の気体を清浄化する方法において、該クリーンルーム内に、光照射により光触媒作用を発揮する物質を、前記クリーンルーム内に存在する製品、半製品又は原材料としての基材又は基板と同じ材質の基材又は基板の同一面上の一部に配備した空間清浄化材を設置し、該清浄化材に光照射して該クリーンルーム内の気体を清浄化することを特徴とする空間清浄化方法としたものである。
本発明において、光触媒作用を発揮する物質としては、TiO2 を用いるのがよく、また、前記清浄化すべきクリーンルーム内の気体は予め粒子状物質が除去されているのがよく、前記クリーンルームは、半導体製造施設で用いるクリーンルームであり、前記基材又は基板が、半導体製造施設で取扱う材料と同じ材質であるのがよく、このようにして、清浄化した気体を半導体製造装置に供給することもできる。
なお、本発明において、基材は、ウェハのように一種類の材料のものを指し、基板は、金属付加基材のように二種類以上の材料のものを指す。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、次の4つの知見に基づいてなされたものである。
(1)本発明の対象分野である先端産業では、従来粒子除去のみで十分であったものが、製品の高品質化、高精密化により、今後、ガス状汚染物質、即ち、SO2 、NO、HCl、HFのような酸性ガス、NH3 ・アミン類のような塩基性ガス、非メタン炭化水素のような有機性ガス(H.C)の影響を受けるようになる。これらのガスによる影響の程度(影響の度合い)は、対象装置やプロセスの種類により異なる。例えば、SO2 、H.Cは酸化膜の絶縁不良、NH3 は解像不良を引き起こす。即ち、これらのガス状汚染物質は、ガラス、ウェハ、非金属付加基材(例、ITO/ガラス)、金属付加基材(例、Ta/ガラス)などの種々の基材や基板に付着(吸着)し、歩留りの低下(生産性の低下)をもたらす。
【0009】
(2)現状のクリーンルームのHEPAやULPAなどのフィルタ方式では、これらのガス状汚染物質は捕集・除去されないので、外気の濃度のものがクリーンルーム内に導入されてしまう。また、これらのガス状汚染物質はクリーンルーム内で発生することが多く、また最近は省エネの観点でクリーンルーム空気を循環使用するため、これらのガス状汚染物質の濃度は外気に比べて高い。
これをH.Cを例に、次に説明する。
少なくとも、1部が有機物(高分子樹脂)で構成されるクリーンルーム環境では、該有機物から極微量の有機性ガス(H.C)が発生し、クリーンルーム空間中の収容物(ウェハやガラス基材や基板などの原料、半製品)を汚染する。
【0010】
すなわち、クリーンルーム空間では、少なくともその一部に有機物(例、プラスチック容器、パッキン材、シール材、接着剤、壁面の材料等)を使用しており、該有機物から極微量の有機性ガスが発生する。
例えば、シール材からはシロキサン、収納容器の材料であるプラスチック材からはフタル酸エステルなどが発生し、これらの有機性ガスは、発生濃度は極く低濃度であるが、クリーンルームは閉鎖系であり、閉じ込められ、さらに、最近クリーンルームは省エネの点で空気の循環使用の比率が高いので、該濃度は徐々に高くなり、クリーンルーム内の収容物の上に付着し悪い影響を与えてしまう。
このように、クリーンルーム中のH.Cは外気からの導入H.Cにクリーンルーム内部からの発生ガスが加わるので、多成分、かつ高濃度となっており、最近ではクリーンルームはH.Cに関しては、ダーティルームと言われている。
【0011】
(3)前記のガス状汚染物質は光照射された光触媒により効果的に除去される。
(4)クリーンルームには、かなり多成分(例数千種類ないしそれ以上)のガス状物質が存在するが、実際にガラス、ウェハ、非金属付加基材、金属付加基材に付着し、悪影響を及ぼす物質は、その内の一部のみ(該ガラス、ウェハ、非金属付加基材、金属付加基材に付着性を有する成分のみ)である。
(5)ガラス、シリコンウェハ、非金属付加基材(例、ITO/ガラス)、金属付加基材(例、Ta/ガラス)の基材や基板の上又はその近傍に、光照射された光触媒を設置すると、ガラス、シリコンウェハ、非金属付加基材、金属付加基材表面に付着(吸着)したガス状汚染物質が除去される作用がある。
【0012】
次に、本発明を詳細に説明する。
本発明の構成は、同一面上に、(1)ガス状汚染物質を捕集するためのガラス、シリコンウェハ、非金属性物質、金属性物質、非金属付加基材、金属付加基材の非金属又は金属性の基材や基板(捕集材)と、(2)捕集したガス状汚染物質を除去するための光触媒とを配備したものである。
即ち、製品や半製品、原料としてのウェハ、ガラス、非金属付加基材(例、ITO/ガラス)、金属付加基材(例、Ta/ガラス、Crガラス)の非金属又は金属性の基材や基板にガス状汚染物質が付着(吸着)し、歩留りの低下など悪影響を及ぼすので、該ウェハ、ガラス、非金属付加基材、金属付加基材の非金属又は金属性の基材や基板においてガス状汚染物質が付着する物質をガス状汚染物質の捕集材として用い、該捕集材の上又はその近傍に光触媒を設置し、該捕集材上の付着(吸着)物の除去を行うものである。
【0013】
ガス状汚染物質の捕集材と、該物質を除去するための光触媒との同一面上への配備の方法としては次の4つがある(一体化の方法)。
(1)適宜の母材上への捕集材と光触媒の付加。
(2)捕集材上への光触媒の付加。
(3)光触媒上への捕集材の付加。
(4)捕集材と光触媒とを混合及び/又は多層化(重ね合せ)。
次に、上記構成材について説明する。
まず、ガス状汚染物質の捕集材について説明する。
【0014】
該捕集材は、クリーンルーム(作業部屋)に存在するかなりの多成分にわたるガス状物質の中から、製品、半製品、原材料に付着(吸着)し悪影響を及ぼすガス状物質(ガス状汚染物質)を選択的に捕集(吸着)するものであれば何れでも良い。通常、後方の製造装置やプロセスで取扱う製品、半製品、原材料の基材や基板が好適である。例えば、基材としてはシリコンウェハ、ガラス、Ta、Cr、Au、Al、ITO、SiO2 、基板としては該ウェハやガラス表面にTa、Cr、Au、Al、ITO、SiO2 などの実際のプロセスにおける金属性又は非金属性物質を付加(被覆)した材料がある。これらの基材や基板の金属性物質又は非金属性物質は、後述する適宜の母材上に付加して用いることができる。付加の方法としては、蒸着法やスパッタリング法による薄膜の被覆がある。
該基材や基板をガス状汚染物質の捕集材として用いることにより、後方の製造装置やプロセスで基材や基板上に付着(吸着)し、悪影響を及ぼすガス状汚染物質が選択的に捕集される。
【0015】
これをガラス基材を扱う製造装置について説明する。
ガラス基材は、これを原材料として液晶が製造される。該ガラス基材は、クリーンルーム空気中に暴露すると、ガス状汚染物質が付着(吸着)し、接触角が増加する。このような接触角が増加したガラス基材や基板表面に成膜すると、成膜した膜の付着強度が低くなり、歩留りの低下をもたらす。
該ガラス基材に付着し、接触角を増加させる有機性ガスは、本発明者らの研究では、高分子量のH.Cであり、その構造として−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つことである。このH.Cは親水部(−CO、−COO結合部)を有する疎水性物質(H.Cの基本構造の−C−C−C−の部分)と考えることができる。
【0016】
具体例で説明すると、通常のクリーンルームにおいてガラス基材表面の接触角を増加させる有機性ガスは、C16〜C20の高分子量H.C、例えばフタル酸エステル、高級脂肪酸、フェノール誘導体であり、これらの成分に共通することは化学的構造として、−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つことである。
例えば、ガラス基材表面への付着H.C成分としては、2,6−t−ブチル−4−エチニルフェノール、パルミチン酸、フタル酸−ジ−n−ブチルエステル(DBP)、フタル酸−ジ−2−エチルヘキシルエステル(DOP)等である(「コンタミネーション便覧」p.17、オーム社)。
従って、このようなガラス基材を扱う製造装置では、該ガラス基材をガス状汚染物質の捕集材として用い、該製造装置への供給空気の処理を行う。これにより、上記のごとくして、捕集用ガラス基材表面にガス状汚染物質は捕集されるので、該基材を取扱う製造装置への供給空気は、該基材への付着汚染物質がない清浄空気となる。そして、該製造装置内の空間は基材へ付着し得るガス状汚染物質がない清浄空間となる。
【0017】
次に、光照射により光触媒作用を発揮する物質について説明する。
光触媒は、前記のガス状汚染物質の捕集材と共に、一体化又は別々に同一面上に配備でき、光照射により、前記の捕集材上の付着物を分解できるものであればいずれでもよい。
通常、半導体材料が効果的であり、容易に入手出来、加工性も良いことから好ましい。効果や経済性の面から、Se,Ge,Si,Ti,Zn,Cu,Al,Sn,Ga,In,P,As,Sb,C,Cd,S,Te,Ni,Fe,Co,Ag,Mo,Sr,W,Cr,Ba,Pbのいずれか、又はこれらの化合物、又は合金、又は酸化物が好ましく、これらは単独で、また2種類以上を複合して用いる。
【0018】
例えば、元素としてはSi,Ge,Se、化合物としてはAlP,AlAs,GaP,AlSb,GaAs,InP,GaSb,InAs,InSb,CdS,CdSe,ZnS,MoS2 ,WTe2 ,Cr2 Te3 ,MoTe,Cu2 S,WS2 、酸化物としてはTiO2 ,Bi2 3 ,CuO,Cu2 O,ZnO,MoO3 ,InO3 ,Ag2 O,PbO,SrTiO3 ,BaTiO3 ,Co3 4 ,Fe2 3 ,NiOなどがある。このうち、TiO2 が効果が高いことから好ましい。
また、Ti、Znなどの金属は、酸化することにより、光触媒とすることができるので、用途、装置の種類、要求性能、経済性などによっては好適に使用できる。
光触媒の付加は、蒸着法、スパッタリング法、焼結法、ゾル−ゲル法、塗布による方法、焼付け塗装による方法など、周知の付加方法を適宜用いることができる。
【0019】
また、光触媒作用の向上のために、上記光触媒にPt,Ag,Pd,RuO2 ,Co3 4 の様な物質を加えて使用することも出来る。該物質の添加は、光触媒による前記の捕集材上の付着物の分解作用が加速されるので好ましい。これらは、一種類又は複数組合せて用いることができる。通常、添加量は、光触媒に対して、0.01〜10重量%であり、適宜添加物質の種類や要求性能などにより、予備試験行い適正濃度を選択することができる。
添加の方法は、含浸法、光還元法、スパッタ蒸着法、混練法など周知手段を適宜用いることができる。
前記の捕集材や光触媒は、適宜の母材、例えば、セラミックス、SUS材、Cu−Zn材、Al材、Ti材上に付加して用いることもできる。例えば、SUS材への捕集材としてのTaの付加、及び光触媒としてのTiO2 の付加がある。
【0020】
次に、光触媒への光照射について述べる。
光源は前記ガス状汚染物質の捕集材と光触媒からなる空間清浄化材が、光照射により光触媒作用を発揮するようになれば何れでも良い。通常、水銀灯、水素放電管、キセノン放電管、ライマン放電管などを適宜使用出来る。
光源の例としては、殺菌ランプ、ブラックライト、蛍光ケミカルランプ、UV−B紫外線ランプ、キセノンランプがある。
前記の捕集材と光触媒の同一面上への付加は、夫々の材料を上記の適宜の付加手段により、薄膜状、線状、網状、帯状、くし状、粒子状、島状の適宜の形状を組合せることができる。このための付加の方法は、適用装置の形状、規模、構造、光の照射方法、要求性能などにより適宜に選択することができる。
【0021】
本発明の前記捕集材と光触媒より成る空間清浄化材の形状は、平板状、棒状、球状、網状、繊維状、ファイバー状、プリーツ状、格子状など適宜の形状を用いることができる。
本発明の空間清浄化材の設置方法は、適用装置の壁面や流路中などの適宜の位置に、適用装置、装置形状、規模、母材の種類、空間清浄化材の形状、要求性能などにより適宜選択することが出来る。
本発明の特徴は、製品、半製品、原材料(基材あるいは基板)に付着し歩留まりの低下をもたらすガス状汚染物質を、捕集材として用いた該基材あるいは基板と一体化して付加した光触媒により除去するものである。ガス状汚染物質の分解の反応メカニズムの詳細は不明だが次のように考えられる。該基材あるいは基板の表面に付着したガス状汚染物質は、該表面に吸着後、拡散し、該基材あるいは基板と同一面上に配備して付加した光触媒の有する光触媒作用を受け除去される。
【0022】
本発明における空間清浄化においては、微粒子(粒子状物質)の存在が問題となる場合は適宜除塵手段(微粒子除去方式)を組み合せて用いることができる。 除塵手段としては、周知の方式を1種類あるいは複数の種類を組み合せて用いることができ、フィルタを用いる方式、本発明者らが提案している光電子を用いる方式がある。この内、光電子を用いる方式は、本発明の空間清浄化材で用いる光照射を有効利用(光源からの光を両方で使用)できるので、利用分野、適用装置の種類によっては好ましい。
フィルタ方式に用いるフィルタは、HEPA、ULPA、静電フィルタ、エレクトレット、本発明者が提案したイオン交換フィルタ(例、特公平5−9123号)がある。
光電子を用いる方式は、本発明者らがすでに提案しており適宜用いることができる。次に提案した方式の例を示す。
特公平3−585号、特公平6−34941号、特公平6−74909号、特公平6−74910号、特公平7−110342号、特公平8−211号各公報。
【0023】
本発明の空間清浄化材によるガス状汚染物質の除去性能は、処理対象の汚染ガスを測定することにより、その効果を把握することができる。しかし、本発明の分野である、先端分野の対象、気体や空間には、ppb〜pptレベルの極低濃度、かつ多成分の物質が処理対象となる。例えば、NH3 :1〜5ppb、DOP(フタル酸エステル)0.1〜5ppb。このような極低濃度の物質を個々に測定、評価することは、高度の測定機器が必要で、かつ、手間がかかり、必ずしも実用的でない。このような場合、非メタン炭化水素(H.C)を指標に評価を行うと好都合である。これは、非メタンH.Cは、他のガス状汚染物質、例えばNH3 、アミン、NOと共存する場合が多いため、そして測定が簡易にできる(例、非メタンH.C計)ため、本発明の空間清浄化材において、他のガス状汚染物質と同様に吸着(捕集)されるためである。通常、非メタンH.Cを、入口濃度の10%以下、好ましくは1%以下にすることで効果的なガス状汚染物質の処理を行うことができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は本実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
半導体工場のクリーンルームにおける空気清浄を、図1に示した本発明の空間清浄化材8を用いた空気清浄装置Aの基本構成図を用いて説明する。
図1において、5はクラス100のクリーンルームであり、ガス状汚染物質としてのH.C10、及びNH3 11を含むクリーンルーム空気12は、紫外線ランプ13、ウェハ(ガス状汚染物質の捕集材)上にTiO2 (紫外線照射により光触媒作用を発揮する物質)を付加した空間清浄化材8、除塵用フィルタ14-1、14-2により構成される空気清浄装置Aに導入されることにより処理される。これにより、H.C、NH3 などのガス状汚染物質が除去された清浄空気15となり、ウェハの製造装置(ウェハの加工、成膜プロセス)16へ供給される。
【0025】
次に、本例を詳細に説明する。クリーンルーム5に入る前の外気1は、先ず粗フィルター2と空気調和器3で処理される。次いで、空気はクリーンルーム5に入る際にHEPAフィルター6によって除塵され、H.CやNH3 などガス状汚染物質が共存するクラス100の濃度の空気12となる。
ウェハの製造装置16では、ガス状汚染物質の内、H.CとNH3 の影響が特に大きい。
すなわち、外気1に共存する自動車起因のH.Cや、プラスチック類など高分子樹脂起因のH.Cは、粗フィルター2、空気調和器3、及びHEPAフィルター6では除去されないため、クリーンルーム5内に導入されてしまう。更に、クリーンルーム5内では、クリーンルーム5の構成材やウェハの製造装置16周辺の高分子樹脂類からH.C、例えばフタル酸エステル、高級脂肪酸10が発生する。
また、NH3 11は、外気から導入されるものに、クリーンルーム5内における作業によりNH3 発生がある。
【0026】
このため、外気1中のH.C濃度1.1ppm(非メタンH.C)に対し、クリーンルーム5中のH.C濃度は、1.2〜1.5ppm(非メタンH.C)と高濃度となっている。前記クリーンルーム5内の構成材やウェハの製造装置16の周辺から発生したH.Cは、フタル酸エステル(DOP、DBP)などウェハに付着しやすい構造のガス状汚染物質であるので、外気1中のH.Cに比較してウェハ汚染への関与が大きい。
また、NH3 濃度については、外気が10ppb程度であるのに対して、クリーンルーム5内ではクリーンルーム5内でNH3 発生があるので50〜80ppbとなっている。
本例の空間清浄化材8は、図2にその構成図を示している。図2の空間清浄化材8において、aは断面図、bは平面図である。すなわち、空間清浄化材8は、ガス状汚染物質捕集材としてのウェハ17上に光触媒材としてTiO2 18を付加している。
【0027】
空気清浄装置Aに導入された空気12中のガス状汚染物質としてのH.C10とNH3 11は、ウェハ17の表面に付着(吸着)捕集され、これらの汚染物質は紫外線ランプ13からの照射を受けた本発明の空間清浄化材8におけるTiO2 18により分解される。
すなわち、クリーンルーム5内のH.C10は多成分に及ぶが、この内、製造装置16においてウェハに付着(吸着)し歩留まりの低下をもたらす原因となる種類のH.Cは、ウェハ表面に付着性が高いので、製造装置6の前方に本発明の空間清浄化材8を設置すると、空間清浄化材8中のウェハ17表面上に後方で悪影響を及ぼすH.Cが選択的に付着捕集される。また、NH3 も同様にウェハ17表面上に付着捕集され、これらの汚染物質は紫外線ランプ13からの紫外線が照射されたTiO2 18の光触媒作用を受けて分解される。
【0028】
このようにして、クリーンルーム空気12は、本発明の空間清浄化材8を設置した空気清浄装置Aにより処理され、空気12中のガス状汚染物質が除去され、清浄空気15が得られる。清浄空気15中のH.C濃度は、非メタンH.Cとして0.1ppm以下、NH3 は1ppb以下である。14-1の除塵フィルタは、クリーンルーム空気12に含まれる微粒子の除去用、また14-2の除塵フィルタは、緊急時に紫外線ランプ13や空間清浄化材8の周辺から発塵があった場合の捕集フィルタ(HEPA)である。
図1における矢印は、空気の流れを示す。図2における矢印は、紫外線ランプ13からの紫外線の照射方向を示す。
ここで、空間清浄化材8は、ウェハ表面に、くし型のスクリーンを用いて、その形にTiO2 の微粒子粉末のスラリーの塗布を行い、1000℃で乾燥して製造した。
【0029】
実施例2
実施例1の図1の空気清浄装置Aにおける空間清浄化材8の別のタイプのものを図3に示す。
図3中aは断面図、bは平面図であり、母材としてのSUS表面19に光触媒材としてのTiO2 18、ガス状汚染物質捕集材としてのTa薄膜17をくし状に付加している。
ここで、図3の空間清浄化材8の製造を次に示す。
母材としてのSUS表面に、先ず光触媒材としてのTiO2 をゾル−ゲル法により付加し、次いで350℃で加熱処理を行い、次にその表面をくし型のスクリーンでおおい、ガス状汚染物質捕集材としてのTaを蒸着法によりくし状に付加した。
【0030】
実施例3
実施例1の半導体工場のクラス100のクリーンルームにおけるクラス1のスーパークリーンゾーンに設置された小型のウェハ保管庫(ウェハ収納ストッカC)における空気清浄を図4に示した本発明の空間清浄化材8を用いたウェハ保管庫の基本構成図を用いて説明する。
ウェハ保管庫Cの空気清浄は、ウェハ保管庫Cの片側に設置された紫外線ランプ13、空間清浄化材8にて実施される。
すなわち、ウェハ保管庫C中のH.C10、NH3 11(ガス状汚染物質)は、空間清浄化材8におけるガス状汚染物質の捕集材に捕集され、次いで、その近傍に付加された光触媒材により、分解、除去される(空気清浄化部、A)。これにより、ウェハ20の存在する被清浄空間部(清浄化空間部、B)は、清浄化される。21はウェハキャリヤを示す。
【0031】
ここでの空間清浄化材8は、図5に(a:断面図、b:平面図)に示すようにウェハ17の上に、光触媒材としてのTiO2 18を粒状に付加している。図5の断面図aの矢印は、紫外線の照射方向を示している。
ウェハ保管庫Cでは、ウェハ20の保管庫Cへの出し入れ(該保管庫の開閉)毎にクリーンルーム5中のガス状汚染物質としてのウェハ基板に付着すると接触角の増加をもたらすH.C(非メタンH.C濃度:1.0〜1.3ppm)10や、解像不良を引き起こすNH3 (30〜50ppb)が侵入するが、上記のごとくしてこれらのガス状汚染物質は、空間清浄化材8に捕集され、除去される。これにより、保管庫Cの清浄化空間部Bでは、接触角の増加をもたらさない(非メタンH.C濃度として0.1ppm以下)、解像不良を生じない(NH3 濃度0.1ppb以下)清浄な超清浄空間が創出される。
【0032】
22-1,22-2,22-3は、保管庫C内の空気の流れを示す。すなわち、空気清浄化部Aに移動した空気は、紫外線ランプの照射により加温されるため、上昇気流が生じ、保管庫C内を矢印、22-1,22-2,22-3の様に動く。この空気の自然循環による動きにより、保管庫C内のガス状汚染物質は空気清浄化部Aに順次効果的に移動する。このようにして、保管庫C内は、迅速かつ簡便に清浄化され、ウェハ保管庫内は超清浄空気となり、ウェハへの汚染防止が顕著になる。すなわち、ウェハ保管庫Cに侵入するガス状汚染物質は、20〜30分以内に上記のごとくして空気清浄化部Aにて効果的に処理されるので、ウェハキャリヤ21に収納されたウェハ20の近傍は超清浄空気となり、ウェハ20の汚染は防止される。
図4において、実施例1と同一符号は同じ意味を示す。
ここでの図5の空間清浄化材8の製造法を次に示す。
ウェハに、光触媒材としてのTiO2 懸だく液をスプレイによってその表面に粒状に付加し、1000℃で乾燥した。
【0033】
実施例4
実施例3の図4のウェハ保管庫Cにおいて、空間清浄化材8を、図6に示す別のタイプのものを用いた。
図6中aは断面図、bは平面図であり、母材としてのSUS表面19に、光触媒材としてのTiO2 18を付加し、その上にガス状汚染物質捕集材としてのTa17を島状に付加している。
ここでの図6の空間清浄化材8の製造法を次に示す。
母材としてのSUS表面に、先ず光触媒材としてのTiO2 をゾル−ゲル法により付加し、次いで350℃で加熱処理を行い、次いでTaを蒸着法により粒状に付加した。
【0034】
実施例5
実施例1の半導体工場のクラス100のクリーンルームに設置された中型のウェハ保管庫(ウェハ収納ストッカ)における空気清浄を図7に示した本発明の空間清浄化材を用いたウェハ保管庫Cの基本構成図を用いて説明する。
ウェハ保管庫Cの空気清浄は、紫外線源としての紫外線ランプを空間清浄化材で囲み一体化したユニット(空気清浄化部、A)を、ウェハ保管庫C内に設置することにより実施される。
該ユニットAは、図8に基本構成図を示したように、紫外線ランプ13、該ランプ13を囲む(円筒状になった)本発明の空間清浄化材8により構成される。
すなわち、ウェハ保管庫C中のガス状汚染物質としてのH.C10、アンモニア11は空間清浄化材8中の捕集材にて捕集され、該捕集されたガス状汚染物質は空間清浄化材8中の紫外線ランプからの照射を受けたTiO2 により分解、無害化処理される。
【0035】
ここでの空間清浄化材8は、図9(a:断面図、b:平面図)に示すように、母材としてのSUS材(円筒状)19に、ガス状汚染物質の捕集材としてのSiO2 膜17、その上に光触媒材としてのTiO2 18を粒状に付加したもので、図9の断面図aの矢印は、紫外線の照射方向を示している。
ウェハ保管庫Cでは、ウェハ20の保管庫Cへの出し入れ(該保管庫の開閉)毎にクリーンルーム5中のガス状汚染物質として、ウェハ基板に付着すると接触角の増加をもたらすH.C(非メタンH.C濃度:1.0〜1.3ppm)10や、解像不良を引き起こすNH3 (30〜50ppb)11が侵入するが、上記のごとくしてこれらのガス状汚染物質は、空間清浄化材8に捕集され、除去される。これにより、保管庫Cの清浄化空間部Bでは、接触角の増加をもたらさない(非メタンH.C濃度として0.1ppm以下)、解像不良を生じない(NH3 濃度0.1ppb以下)清浄な超清浄空間が創出される。
【0036】
22-1,22-2,22-3は、保管庫C内の空気の流れを示す。すなわち、空気清浄化部Aに移動した空気は、紫外線ランプの照射により加温されるため、上昇気流が生じ、保管庫C内を矢印、22-1,22-2,22-3の様に動く。この空気の自然循環による動きにより、保管庫C内のガス状汚染物質は空気清浄化部Aに順次効果的に移動する。このようにして、保管庫C内は、迅速かつ簡便に清浄化され、ウェハ保管庫内は超清浄空気となり、ウェハへの汚染防止が顕著になる。
図7において、実施例1、3と同一符号は同じ意味を示す。
ここでの図9の空間清浄化材8の製造法を次に示す。
母材としての半円筒状のSUS材料に、先ずその内面にSiO2 を蒸着法により付加し、次いでTiO2 懸だく液をスプレイによってその表面に粒状に付加し、100℃で乾燥した。空間清浄化材8は、この半円筒状の材料を組合せたものである。
【0037】
実施例6
実施例5の図8の一体化ユニット(空気清浄化部、A)の別のタイプのものを図10に示す。
図10は、紫外線ランプ13の上に本発明の空間清浄化材8を付加したものである。
該ユニットは、図11に示すように紫外線ランプ13上にガス状汚染物質の捕集材としてのSiO2 膜17とその上に光触媒材としてのTiO2 18を粒状に付加したものであり、図11に、その断面図(上半分)を示す。
図10、11において、実施例5と同じ符号は同じ意味を示す。
【0038】
実施例7
半導体工場のクラス10,000のクリーンルームに設置された小型のウェハ保管庫(ウェハ収納ストッカC)における空気清浄を図12に示した本発明の空間清浄化材8を用いたウェハ保管庫の基本構成図を用いて説明する。
本例は、クリーンルーム5内の微粒子(粒子状物質)24も、ガス状汚染物質10,11と同時に除去を行うものである。該微粒子24の捕集においては、本発明者らがすでに提案した光電子を用いる方法(前記)を用いている。
ウェハ保管庫Cの空気清浄は、ウェハ保管庫Cの片側に設置された紫外線ランプ13、本発明の空間清浄化材8、光電子放出材25、光電子放出のための電極材26、荷電微粒子捕集材27にて実施される。
【0039】
すなわち、ウェハ保管庫C中のH.C10、NH3 11(ガス状汚染物質)は、空間清浄化材8におけるガス状汚染物質の捕集材に捕集され、次いで、その近傍に付加された紫外線ランプ13から紫外線が照射された光触媒材により、分解、除去される。また、微粒子(粒子状物質)24は、紫外線ランプ13からの紫外線が照射された光電子放出材25から放出される光電子により荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子は荷電微粒子の捕集材27に捕集される(空気清浄化部、A)。これにより、ウェハ20の存在する被清浄空間部(清浄化空間部、B)は、ガス状汚染物質、微粒子が除去された超清浄空間となる。
ここでの空間清浄化材8は、図5(a:断面図、b:平面図)に示すように、ウェハ17の上に、光触媒材としてのTiO2 18を粒状に付加している。図5の断面図aの矢印は、紫外線の照射方向を示している。光電子放出材25は、Cu−Zn上にAuを被覆したもの、電極材26、27はCu−Zn材である。光電子放出材25と電極26間の光電子放出用の電場は50V/cm、荷電微粒子捕集材27の電場は、500V/cmである。
【0040】
ウェハ保管庫Cでは、ウェハ20の保管庫Cへの出し入れ(該保管庫の開閉)毎にクリーンルーム5中のガス状汚染物質としてのウェハ基板に付着すると接触角の増加をもたらすH.C(非メタンH.C濃度:1.0〜1.3ppm)10や、解像不良を引き起こすNH3 (30〜50ppb)11、欠陥不良を引き起こす微粒子(クラス10,000)が侵入するが、上記のごとくしてこれらのガス状汚染物質、微粒子(粒子状物質)は、空気清浄化部Aにて、捕集・除去される。これにより、保管庫Cの清浄化空間部Bでは、接触角の増加をもたらさない(非メタンH.C濃度として0.1ppm以下)、解像不良を生じない(NH3 濃度0.1ppb以下)、欠陥不良を生じない〔微粒子濃度:不検出(クラス1よりも清浄)〕、超清浄空間が創出される。
【0041】
22-1,22-2,22-3は、保管庫C内の空気の流れを示す。すなわち、空気清浄化部Aに移動した空気は、紫外線ランプの照射により加温されるため、上昇気流が生じ、保管庫C内を矢印、22-1,22-2,22-3の様に動く。この空気の自然循環による動きにより、保管庫C内のガス状汚染物質と微粒子は空気清浄化部Aに順次効果的に移動する。このようにして、保管庫C内は、迅速かつ簡便に清浄化され、ウェハ保管庫内は超清浄空気となり、ウェハへの汚染防止が顕著になる。
すなわち、ウェハ保管庫Cに侵入するガス状汚染物質は、20〜30分以内に上記のごとくして空気清浄化部Aにて効果的に処理されるので、ウェハキャリヤ21に収納されたウェハ20の近傍は超清浄空気となり、ウェハ20の汚染は防止される。
図12において、実施例1、3と同一符号は同じ意味を示す。
【0042】
実施例8
実施例7の図12の空気清浄化部Aの別のタイプのものを図13に示す。
図13は、紫外線ランプ13の上に光電子放出材25を被覆し、対向する光電子放出用の電極26が、本発明の空間清浄化材8と兼用のものである。ここで、光電子放出材25はAuの薄膜であり、紫外線ランプ(殺菌ランプ)からの放射紫外線は、Au薄膜を60%透過し、空間清浄化材8に照射されている。
本例の空気清浄化部Aは、紫外線ランプ13、本発明の空間清浄化材8、光電子放出材25、電極26、27が一体化されたユニットとなっており、コンパクト化されている。ここでの空間清浄化材8は、SUS材料(母材)上にガス状汚染物質の捕集材としてのTaが蒸着法により付加され、その上に光触媒材としてのTiO2 が粒状に付加されている。
空間清浄化材8を、光電子放出用の電極(正)とすることで、空間清浄化材8上の光触媒材の光触媒作用が促進されることから好ましい。これは、電極(正)とすることにより、光触媒中の電位こう配が増大し、フォトキャリヤの再結合が抑制されるためと推定される(エバラ時報、No.173、p.7〜17、1996)。
【0043】
実施例9
図4に示した構成の保管庫に半導体工場の下記試料空気を入れ、本発明の空間清浄化材に紫外線照射を行い、保管庫に収納したウェハ上の接触角及び該ウェハにCr膜を成膜し、該膜のウェハとのなじみ(付着力)を測定した。また、保管庫内の空気中の非メタン炭化水素濃度、アンモニア濃度、及び保管庫内のウェハに吸着した炭化水素の分析を行った。また、比較として空間清浄化材がない場合(ブランク)も同様に調べた。
保管庫の大きさ ; 80リットル
光 源 ; 殺菌灯(主波長:254nm)
空間清浄化材 ; シリコンウェハ表面上に、TiO2 を粒状に付加したもの。
空間清浄化材の製造; シリコンウェハに、TiO2 の懸だく液をスプレイによってその表面に粒状に付加し、1000℃で乾燥した。
接触角の測定 ; 水滴接触角法〔(株)協和界面科学製、CA−DT型〕
【0044】
ウェハ上の成膜 ; Cr300nm厚さ、スパッタリング法
成膜したCrの付着力; スクラッチ試験(RHESCA製CSR02型)
保管庫中の非メタン炭化水素の測定; ガスクロマトグラフ(GC)
ウェハ上に吸着した炭化水素の同定; GC/MS法
保管庫中のアンモニアの測定; 化学発光法
Figure 0003797635
【0045】
結果
図14は、経過時間による接触角(角度)と付着力(mN)の変化を示すグラフである。図14において、接触角は空間清浄化材が有る場合−〇−、無い場合−●−で示し、また付着力は空間清浄化材が有る場合−△−、無い場合−▲−で示す。
このように、空間清浄化材を付加した場合は、時間の経過によっても変化がなかった。
また、空間清浄化材なしのとき、50時間後にウェハを取り出し、加熱によりウェハ上に付着した炭化水素を脱離させ、GC/MS法で測定したところ、フタル酸エステルを検出した。空間清浄化材を設置した場合は検出しなかった。
また、保管庫内の非メタン炭化水素の濃度は、空間清浄化材有りの場合、1時間、10時間、100時間、400時間の経過後、いずれも0.1ppm以下であった。空間清浄化材無しの場合、1時間、10時間、100時間、400時間の経過後、いずれも0.9ppmであった。
【0046】
保管庫内のアンモニア濃度は、空間清浄化材有りの場合、1時間、10時間、100時間、400時間経過後、いずれも1ppb以下であった。空間清浄化材無しの場合、1時間、10時間、100時間、400時間経過後、いずれも20〜25ppbが検出された。
また、比較として、空間清浄化材のウェハ上にTiO2 の付加を行わない場合について、同様に接触角について調べた。その結果、図14中の−−−□−−−に示すように経過時間100時間後から接触角が増加した。
光触媒は、前述有機性ガスやアンモニアに共存する他のガス状汚染物質の内、ウェハやガラス基板に吸着性の高いガスも同時に処理される。
例えば、クリーンルームにおいて酸やアルカリ性物質が高濃度で存在する場合、例えば酸やアルカリ性物質を用いる洗浄工程における発生NOxやアミン類がクリーンルームに流出している場合、該ガス状の汚染物質の濃度によっては、上述の接触角増加に関与する。この場合は、該ガス状の汚染物も光触媒による作用により同時に処理される。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができた。
(1)本発明では、空間清浄化材の構成として、有害ガスが付着する製造装置あるいはプロセスで取扱う製品、半製品、原材料の基材又は基板と、光照射により光触媒作用を発揮する光触媒とを同一面上に配備したことにより、
(a)本発明の対象気体や空間において、ガス状汚染物質はかなり多成分が存在するが、該基材や基板には、後方の製造装置あるいはプロセスで問題となる(悪影響を及ぼす)ガス状汚染物質が選択的に捕集(吸着)された。即ち、かなりの多成分のガス状物質の内、問題を引き起こすガス状物質(ガス状汚染物質)のみが捕集されたので、ガス状汚染物質の効果的な捕集ができた。
(b)(a)より気体中あるいは空間中のガス状汚染物質は、効果的に該基材又は基板表面に捕集され、次いで一体化された光触媒により処理された。
(c)上記で得られた気体(雰囲気)を半導体ウェハや液晶ガラスに暴露しておくと、該基材や基板表面の汚染が防止される。
【0048】
(2)微粒子の存在が問題となる用途(装置)においては、適宜フィルタ方式や光電子を用いる方式を組合せて用いることにより、
(a)ガス状汚染物質と微粒子(粒子状物質)が同時に除去(制御)された超清浄空間が創出できた。
(b)ガスと粒子の同時制御により、適用分野が広がり、これにより実用性が向上した。
(c)特に、光電子を用いる方式は、本発明の空間清浄化材で用いる光源、例えば紫外線ランプ(殺菌灯)が兼用で使えるので、コンパクトな構造となり実用性が向上した。
(3)前記により、簡易な構成により、簡便に超清浄空間が創出できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空間清浄化材を用いた清浄化装置を設置したクリーンルームの全体構成図。
【図2】本発明の空間清浄化材の一例を示す拡大図。(a)断面図、(b)平面図。
【図3】本発明の空間清浄化材の他の例を示す拡大図。(a)断面図、(b)平面図。
【図4】クリーンルーム内に設置したウェハ保管庫の全体構成図。
【図5】本発明の空間清浄化材の他の例を示す拡大図。(a)断面図、(b)平面図。
【図6】本発明の空間清浄化材の他の例を示す拡大図。(a)断面図、(b)平面図。
【図7】クリーンルーム内に設置したウェハ保管庫の他の例を示す全体構成図。
【図8】保管庫内に設置した空間清浄化装置の断面図。
【図9】空間清浄化装置内の空間清浄化材の拡大図。(a)断面図、(b)平面図。
【図10】保管庫内に設置した空間清浄化装置の他の断面図。
【図11】空間清浄化装置内の空間清浄化材の断面図。
【図12】クリーンルーム内に設置したウェハ保管庫の他の例を示す全体構成図。
【図13】保管庫内に設置した空間清浄化装置の断面図。
【図14】接触角(度)と付着力(mN)の経時変化を示すグラフ。
【図15】従来のクリーンルームの全体構成図。
【符号の説明】
1:外気、2:粗フィルター、3:空気調和器、5:クリーンルーム、6:HEPAフィルター、8:空間清浄化材、10:H.C、11:NH3 、12:クリーンルーム空気、13:紫外線ランプ13、14:除塵用フィルター、15:清浄空気、16:ウェハ製造装置、17:ウェハ、18:TiO2 、19:SUS、20:ウェハ、21:ウェハキャリヤ、22:気流、24:微粒子、25:光電子放出材、26:電極、27:荷電微粒子捕集材

Claims (8)

  1. クリーンルーム内の気体を清浄化するための空間清浄化材において、該気体と接触する製品、半製品又は原材料としての基材又は基板と同じ材質のガラス、シリコンウェハ、非金属性物質又は金属性物質から選ばれた少なくとも一種類の基材又はこれらを組合せた基板と、該基材又は基板と同一面上の一部に、光照射により光触媒作用を発揮する物質を配備したことを特徴とする空間清浄化材。
  2. 前記光触媒作用を発揮する物質が、TiO2 であることを特徴とする請求項1記載の空間清浄化材。
  3. 有害ガスが存在するクリーンルーム内の気体を清浄化する方法において、該クリーンルーム内に、請求項1又は2記載の空間清浄化材を設置して光照射し、クリーンルーム中の有害ガスを除去することを特徴とする空間清浄化方法。
  4. ガラス、シリコンウェハ、非金属性物質又は金属性物質から選ばれた少なくとも一種類の製品、半製品又は原材料としての基材又はこれらを組合せた基板の少なくとも一種類が存在するクリーンルーム内の気体を清浄化する方法において、該クリーンルーム内に、光照射により光触媒作用を発揮する物質を、前記クリーンルーム内に存在する製品、半製品又は原材料としての基材又は基板と同じ材質の基材又は基板の同一面上の一部に配備した空間清浄化材を設置し、該清浄化材に光照射して該クリーンルーム内の気体を清浄化することを特徴とする空間清浄化方法。
  5. 前記清浄化すべきクリーンルーム内の気体は、予め粒子状物質が除去されていることを特徴とする請求項3又は4記載の空間清浄化方法。
  6. 前記クリーンルームが、半導体製造施設で用いるクリーンルームであることを特徴とする請求項3又は4記載の空間清浄化方法。
  7. 前記基材又は基板が、半導体製造施設で取扱う材料と同じ材質であることを特徴とする請求項6記載の空間清浄化方法。
  8. 請求項6又は7記載の空間清浄化方法によって清浄化した気体を半導体製造装置に供給することを特徴とする半導体製造方法。
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